JP4474749B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解質電池に関し、特に、非水電解質の電解液組成に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、非水電解質電池、特にリチウム二次電池は、携帯電話,携帯情報端末,小型コンピューター等の携帯機器類用電源、電力貯蔵用電源、電気自動車用電源として注目されている。
【0003】
リチウム二次電池は、一般に、リチウムイオンを吸蔵放出しうる正極と、負極と、非水電解液とから構成される。
【0004】
リチウム二次電池を構成する正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物が、負極材料としては、グラファイトに代表される炭素質材料が、非水電解液としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等の電解質塩をカーボネート誘導体の非水溶媒に溶解したもの等が広く知られている。前記カーボネート誘導体としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等が知られている。しかしながら、エチレンカーボネートは融点が低く、低温で電解液が凝固し易く、また、プロピレンカーボネートは充電操作時に前記プロピレンカーボネートがグラファイト負極上で分解するため、充電が十分にできないといった問題があった。
【0005】
この問題を解決する手段として、特開平11−354152号公報には、電解液の分解を最小限に抑えるため、非水電解液の溶媒にフェニル基を有する環状カーボネートを含有させる技術が開示されている。ここで用いることのできる非水電解液溶媒の主成分としては、環状カーボネート類,鎖状カーボネート類,環状エステル類,鎖状エステル類,環状エーテル類,鎖状エーテル類,含硫黄有機溶媒等が挙げられている。しかしながら、上記技術を用いても、低温特性の改善は必ずしも十分ではなく、良好な低温特性と高いエネルギー密度とを高次元で両立するさらに高性能な非水電解質電池が求められていた。
【0006】
その他、フェニル基を有する環状カーボネートを電気化学素子に用いる試みとしては、特開2000−133306号公報に記載があるほか、特開平11−204116公報には、高分子電解質用モノマーとしての使用ではあるがスチレンカーボネートが挙げられている。スチレンカーボネートはその合成法が比較的簡単であり、その一例として、Clark,J.R.;Pugliese,M. Rearrangement of substituted 1,2-Glycol Monocarbamates and Related Reactions.J.Org.Chem.24,1959,1088-91 に記載がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、良好な低温特性と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明者らは、鋭意検討の結果、非水電解液を構成する非水溶剤を特定のものとした上で、スチレンカーボネートまたはその誘導体を微量添加することにより、驚くべきことに、良好な低温特性と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池が得られることを見出し、本発明に至った。さらに驚くべきことには、スチレンカーボネートまたはその誘導体を添加することにより、炭素質材料を用いた負極の充放電効率、特に第1回目の充放電効率(以下、「初期効率」という)を向上させる効果があることを見出し、しかも、前記初期効率向上効果は、非水電解液を構成する非水溶剤を特定のものとした場合に、特異的に顕著に現れることを見出した。すなわち、本発明の技術的構成およびその作用効果は以下の通りである。ただし、作用機構については推定を含んでおり、その正否は、本発明を制限するものではない。
【0009】
すなわち、請求項1に係る非水電解質電池は、アルカリ金属イオンを吸蔵放出しうる正極と、負極と、電解質塩が非水溶媒に含有された非水電解液とから、少なくとも構成される非水電解質電池において、前記負極材料の主成分が、グラファイトであり、前記非水電解液が、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンと、スチレンカーボネートまたはその誘導体とを含有しており、前記γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンが前記非水溶媒中70重量%以上であり、さらに前記スチレンカーボネートまたはその誘導体の添加量が、非水電解質中の溶媒中0.05〜2.0重量%であることを特徴としている。
【0010】
ここで、γ―ブチロラクトン,γ―バレロラクトンの中で、γ―ブチロラクトンは誘電率が高く、粘度が低く、かつ安価である点で好ましい。ここで、スチレンカーボネートとは4−フェニル−1,3−ジオキソラン−2−オンのことであり、スチレンカーボネートの誘導体としては、4−メチル−5フェニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5フェニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフェニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。このような構成によれば、γ−ブチロラクトン等のブチロラクトン類は、イオン伝導度が高く、かつ粘度が低いので、低温においても、電解液の粘度上昇が起こることなくイオン伝導を確実にすることができる。また、スチレンカーボネートまたはその誘導体が存在することにより、充電時における負極上でのγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンの分解を確実に抑制できるので、充電を十分に行うことができる。その理由として、スチレンカーボネートまたはその誘導体は、負極上でγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンよりも先に分解し、安定な被膜を形成するためであると考えられる.また、スチレンカーボネートまたはその誘導体はその分子中に極性基と非極性基を兼ね備えて持つ構造であり、そのため、非極性のグラファイト表面に選択的に吸着し、優先的に分解され安定な被膜を形成すると考えられる。よって、良好な低温特性と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池とすることができる。
【0011】
また、請求項1に係る非水電解質電池は、前記負極の主成分が、グラファイトであることを特徴としている。グラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、かつ充放電における不可逆容量を少なくできることから、非水電解質電池の負極材料として好ましいが、さらに、非水溶剤としてγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンと微量のスチレンカーボネートまたはその誘導体とを含有する前記非水電解液を併用することによって、前述のように、充電時にグラファイトを主成分とする負極上でγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンが分解するなどして、負極特性が劣化することを確実に回避できる。よって、負極活物質をグラファイトとすることによって、特に、エネルギー密度が高く、自己放電が少なく、充放電における不可逆容量の少ない非水電解質電池とすることができる。
【0012】
さらに、請求項1に係る非水電解質電池は、スチレンカーボネートまたはその誘導体の添加量が、非水電解質中の溶媒中0.05〜2.0重量%であることを特徴としている。スチレンカーボネートまたはその誘導体は、その分子中に極性基と非極性基を兼ね備えて持つ構造であり、そのため、非極性のグラファイト表面に選択的に吸着すると考えられる。そのため、非水電解質中の溶媒中0.05重量%以上で効果を発揮する。一方、環状エステルとの相溶性が低いことや、正極にコバルト酸リチウム等の4V以上の充電を行う活物質を用いる場合、スチレンカーボネートまたはその誘導体の分解に伴う性能低下が確認されたため、非水電解質中の溶媒中2.0重量%以下が望ましい。
【0013】
請求項2に係る非水電解質電池は、電解質塩として、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )が少なくとも用いられていることを特徴としている。LiBF 4 は、電解質塩として広く用いられている他のフッ素系リチウム塩と比較して、電解液中に存在する水分との反応性が低いので、電極や外装材の腐食を引き起こすフッ酸発生の程度が少ない。よって、軽量化を目的に、外装材として金属樹脂複合フィルム等の薄い材料を採用した場合であっても、高い耐久性を有する非水電解質電池とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を例示するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明に係る非水電解質電池は、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極活物質を主要構成成分とする負極と、電解質塩が非水溶剤に含有された非水電解液とから構成され、一般的には、正極と負極との間に、非水電解質電池用セパレータが設けられる。
【0016】
非水電解液は、非水溶剤として、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンとスチレンカーボネートまたはその誘導体とを含有しており、このような構成によれば、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンは、イオン伝導度が高く、かつ粘度が低いので、低温においても、電解液の粘度上昇が起こることなくイオン伝導を確実にすることができる。また、スチレンカーボネートまたはその誘導体が存在することにより、充電時における負極上でのγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンの分解を確実に抑制でき、充電を十分に行うことができるので、高いエネルギー密度の非水電解質電池を得ることができる。
【0017】
スチレンカーボネートまたはその誘導体の量は、非水電解質中の溶媒中0.05重量%〜5.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.10重量%〜2重量%である。スチレンカーボネートまたはその誘導体の量が、非水電解質中の溶媒中0.05重量%以上であることによって、充電操作時におけるγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンの分解をほぼ完全に抑制して充電をより確実に行うことができる。また、5重量%以下であることによって、電解液の粘度が高くなりすぎないので、低温においても、イオン伝導を確実にすることができる。また、特開平11−354152号公報にはスチレンカーボネート等の化合物を有機系溶媒中の合計含有量を0.05〜40重量%として用いるとの記載があるが、スチレンカーボネートはブチロラクトン類との相溶性が低いことや、正極にコバルト酸リチウム等の4V以上の充電を行う活物質を用いる場合、スチレンカーボネートの分解に伴う性能低下が確認されるため、非水電解質中の溶媒中2.0重量%以下が望ましい。さらに、スチレンカーボネート及びその誘導体は、製造は容易であるものの現時点では工業生産されておらず、その添加量を増やすことはコストを上げることにもなりうる。
【0018】
γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンとスチレンカーボネートまたはその誘導体とからなる混合溶媒は、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンおよびスチレンカーボネートまたはその誘導体が共に高沸点溶媒であるので、金属樹脂複合フィルム等の外装材を通しての電解液の揮発を抑制でき、この点においても電解液の非水溶剤として好ましいが、前記目的を達成できる範囲内であれば、必要に応じて、低粘度溶媒等の他の有機溶媒が添加されてもよい。すなわち、このような他の有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル;テトラヒドロフランまたはその誘導体、1,3−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキサランまたはその誘導体;スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
電解質塩としては、例えば、LiClO4,LiBF4,LiAsF6,LiPF6,LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiSCN,LiBr,LiI,Li2SO4,Li210Cl10,NaClO4,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,(CH34NBF4,(CH34NBr,(C254NClO4,(C254NI,(C374NBr,(n−C494NClO4,(n−C494NI,(C254N−maleate,(C254N−benzoate,(C254N−phtalate等の四級アンモニウム塩、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
【0020】
特に、LiBF4は、前記例示した他のフッ素系リチウム塩と比較して、電解液中に存在する水分との反応性が低いので、電極や外装材の腐食を引き起こすフッ酸発生の程度が少なく、軽量化を目的に、外装材として金属樹脂複合フィルム等の薄い材料を採用した場合であっても、高い耐久性を有する非水電解質電池が得られるので、電解質塩として好ましい。
【0021】
さらに、LiBF4とLiN(C25SO22のようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解液の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができより望ましい.
非水電解液における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、1mol/l〜2.5mol/lである。特に、電解質塩にLiBF4をもちいる場合は、1.5mol/l〜2mol/lとすることで、炭素質材料を用いた負極の初期効率が向上するため好ましい。
【0022】
正極の主要構成成分である正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有リン酸塩、リチウム含有硫酸塩などを単独あるいは混合して用いることが望ましい。リチウム含有遷移金属酸化物としては、一般式LiyCo1-xx2、LiyMn2-xX4(Mは、IからVIII族の金属(例えは、Li,Ca,Cr,Ni,Fe,Coの1種類以上の元素)であり、異種元素置換量を示すx値については置換できる最大量まで有効であるが、好ましくは放電容量の点から0≦x≦1である。また、リチウム量を示すy値についてはリチウムを可逆的に利用しうる最大量が有効であり、好ましくは放電容量の点から0≦y≦2である。)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
また、前記リチウム含有化合物に他の正極活物質を混合して用いてもよく、他の正極活物質としては、CuO,Cu2O,Ag2O,CuS,CuSO4等のI族金属化合物、TiS2,SiO2,SnO等のIV族金属化合物、V25,V612,VOx,Nb25,Bi23,Sb23等のV族金属化合物、CrO3,Cr23,MoO3,MoS2,WO3,SeO2等のVI族金属化合物、MnO2,Mn23等のVII族金属化合物、Fe23,FeO,Fe34,Ni23,NiO,CoO3,CoO等のVIII族金属化合物、または、一般式LixMX2,LixMNy2(M、NはIからVIII族の金属、Xは酸素、硫黄などのカルコゲン化合物を示す。)等で表される、例えばリチウム−コバルト系複合酸化物やリチウム−マンガン系複合酸化物等の金属化合物、さらに、ジスルフィド,ポリピロール,ポリアニリン,ポリパラスチレン,ポリアセチレン,ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
負極の主要構成成分である負極材料としては、グラファイトが好適に用いられる。グラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有するので電解質塩としてリチウム塩を採用した場合に自己放電を少なくでき、かつ充放電における不可逆容量を少なくできるので、負極活物質として好ましい。さらに本発明においては、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンとスチレンカーボネートまたはその誘導体とを含有する非水電解液が使用されるので、充電時にグラファイトを主成分とする負極上でγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンが分解する等の反応が起こりにくく、グラファイトの上記有利な特性を確実に発現させることができる。
【0025】
以下に、好適に用いることのできるグラファイトのX線回折等による分析結果を示す;
格子面間隔(d002); 0.333から0.350ナノメートル
a軸方向の結晶子の大きさLa; 20ナノメートル 以上
c軸方向の結晶子の大きさLc; 20ナノメートル 以上
真密度 ; 2.00から2.25g/cm3
【0026】
また、グラファイトに、スズ酸化物,ケイ素酸化物等の金属酸化物、リン、ホウ素、アモルファスカーボン等を添加して改質を行うことも可能である。特に、グラファイトの表面を上記の方法によって改質することで、電解液の分解を抑制し電池特性を高めることが可能であり望ましい。さらに、グラファイトに対して、リチウム金属、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,およびウッド合金等のリチウム金属含有合金等を併用することや、あらかじめ電気化学的に還元することによってリチウムが挿入されたグラファイト等も負極活物質として使用可能である。
【0027】
また、正極活物質の粉体及び負極活物質の粉体の少なくとも表面層部分を電子伝導性やイオン伝導性の良いもの、あるいは疎水基を有する化合物で修飾することも可能である。例えば、金,銀,カーボン,ニッケル,銅等の電子伝導性のよい物質や、炭酸リチウム,ホウ素ガラス,固体電解質等のイオン伝導性のよい物質、あるいはシリコーンオイル等の疎水基を有する物質をメッキ,焼結,メカノフュージョン,蒸着,焼き付け等の技術を応用して被覆することが挙げられる。
【0028】
正極活物質の粉体及び負極活物質の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
【0029】
以上、正極活物質および負極活物質について詳述したが、正極および負極には、主要構成成分である前記活物質の他に、導電剤、結着剤およびフィラーが、他の構成成分として含有されてもよい。
【0030】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
【0031】
これらの中で、導電剤としては、導電性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1重量%〜50重量%が好ましく、特に2重量%〜30重量%が好ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
【0032】
結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレンジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する結着剤は、例えばメチル化するなどしてその官能基を失活させておくことが望ましい。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
【0033】
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、アエロジル、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
【0034】
正極および負極は、前記活物質、導電剤および結着剤をN−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、乾燥することによって、好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコーダー等の手段を用いて任意の厚みおよび任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0035】
集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他に、接着性、導電性および耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。負極用集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。
【0036】
集電体の形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群の形成体等が用いられる。厚みの限定は特にないが、1〜500μmのものが用いられる。これらの集電体の中で、正極としては、耐酸化性に優れているアルミニウム箔が、負極としては、還元場において安定であり、且つ電導性に優れ、安価な銅箔、ニッケル箔、鉄箔、およびそれらの一部を含む合金箔を使用することが好ましい。さらに、粗面表面粗さが0.2μmRa以上の箔であることが好ましく、これにより正極活物質または負極活物質と集電体との密着性は優れたものとなる。よって、このような粗面を有することから、電解箔を使用するのが好ましい。特に、ハナ付き処理を施した電解箔は最も好ましい。
【0037】
非水電解質電池用セパレータとしては、優れたレート特性を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
【0038】
非水電解質電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
【0039】
また、非水電解質電池用セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解液とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。
【0040】
さらに、非水電解質電池用セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解液の保液性が向上すため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、該フィルムの微孔内に電解液を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
【0041】
該親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアネート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。架橋にあたっては、紫外線(UV)や電子線(EB)等の活性光線等を用いることができる。
【0042】
該親溶媒性ポリマーには、強度や物性制御の目的で、架橋体の形成を妨害しない範囲の物性調整剤を配合して使用することができる。該物性調整剤の例としては、無機フィラー類{酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩}、ポリマー類{ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート等}等が挙げられる。該物性調整剤の添加量は、架橋性モノマーに対して通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0043】
前記アクリレートモノマーについて例示すると、二官能以上の不飽和モノマーが好適に挙げられ、より具体例には、2官能(メタ)アクリレート{エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸・ジネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、重合度2以上のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、重合度2以上のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体のジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等}、3官能(メタ)アクリレート{トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等}、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート{ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンヘキサ(メタ)アクリレート等}が挙げられる。これらのモノマーを単独もしくは、併用して用いることができる。
【0044】
前記アクリレートモノマーには、物性調整等の目的で1官能モノマーを添加することもできる。該一官能モノマーの例としては、不飽和カルボン酸{アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、アコニット酸等}、不飽和スルホン酸{スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等}またはそれらの塩(Li塩、Na塩、K塩、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩等)、またこれらの不飽和カルボン酸をC1〜C18の脂肪族または脂環式アルコール、アルキレン(C2〜C4)グリコール、ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール等で部分的にエステル化したもの(メチルマレート、モノヒドロキシエチルマレート、など)、およびアンモニア、1級または2級アミンで部分的にアミド化したもの(マレイン酸モノアミド、N−メチルマレイン酸モノアミド、N,N−ジエチルマレイン酸モノアミドなど)、(メタ)アクリル酸エステル[C1〜C18の脂肪族(メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、ステアリル等)アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、またはアルキレン(C2〜C4)グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等)およびポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)と(メタ)アクリル酸とのエステル];(メタ)アクリルアミドまたはN−置換(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等];ビニルエステルまたはアリルエステル[酢酸ビニル、酢酸アリル等];ビニルエーテルまたはアリルエーテル[ブチルビニルエーテル、ドデシルアリルエーテル等];不飽和ニトリル化合物[(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル等];不飽和アルコール[(メタ)アリルアルコール等];不飽和アミン[(メタ)アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等];複素環含有モノマー[N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン等];オレフィン系脂肪族炭化水素[エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、(C6〜C50)α−オレフィン等];オレフィン系脂環式炭化水素[シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン等];オレフィン系芳香族炭化水素[スチレン、α−メチルスチレン、スチルベン等];不飽和イミド[マレイミド等];ハロゲン含有モノマー[塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン等]等が挙げられる。
【0045】
前記エポキシモノマーについて例示すると、グリシジルエーテル類{ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル等}、グリシジルエステル類{ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等}、グリシジルアミン類{トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン等}、線状脂肪族エポキサイド類{エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等}、脂環族エポキサイド類{3,4エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート等}等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独もしくは硬化剤を添加して硬化させて使用することができる。
【0046】
該硬化剤の例としては、脂肪族ポリアミン類{ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、3,9−(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトロオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}、芳香族ポリアミン類{メタキシレンジアミン、ジアミノフェニルメタン等}、ポリアミド類{ダイマー酸ポリアミド等}、酸無水物類{無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸}、フェノール類{フェノールノボラック等}、ポリメルカプタン{ポリサルファイド等}、第三アミン類{トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等}、ルイス酸錯体{三フッ化ホウ素・エチルアミン錯体等}等が挙げられる。
【0047】
前記イソシアネート基を有するモノマーについて例示すると、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,2,4)−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、p−スチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニル4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、トリメチルキシレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、trans−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
前記イソシアネート基を有するモノマーを架橋するにあたって、ポリオール類およびポリアミン類[2官能化合物{水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等}、3官能化合物{グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン等}、4官能化合物{ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド等}、5官能化合物{2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエチレントリアミンなど}、6官能化合物{ソルビトール、マンニトール、ズルシトール等}、8官能化合物{スークロース等}]、およびポリエーテルポリオール類{前記ポリオールまたはポリアミンのプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド付加物}、ポリエステルポリオール[前記ポリオールと多塩基酸{アジピン酸、o,m,p−フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、リシノール酸}との縮合物、ポリカプロラクトンポリオール{ポリε−カプロラクトン等}、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物等]等、活性水素を有する化合物を併用することができる。
【0049】
該架橋反応にあたって、触媒を併用することができる。該触媒について例示すると、有機スズ化合物類、トリアルキルホスフィン類、アミン類[モノアミン類{N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等}、環状モノアミン類{ピリジン、N−メチルモルホリン等}、ジアミン類{N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ブタンジアミン等}、トリアミン類{N,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン等}、ヘキサミン類{N,N,N’N’−テトラ(3−ジメチルアミノプロピル)−メタンジアミン等}、環状ポリアミン類{ジアザビシクロオクタン(DABCO)、N,N’−ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等}等、およびそれらの塩類等が挙げられる。
【0050】
本発明に係る非水電解質電池は、電解液を、例えば、非水電解質電池用セパレータと正極と負極とを積層する前または積層した後に注液し、最終的に、外装材で封止することによって好適に作製される。また、正極と負極とが非水電解質電池用セパレータを介して積層された発電要素を巻回してなる非水電解質電池においては、電解液は、前記巻回の前後に発電要素に注液されるのが好ましい。注液法としては、常圧で注液することも可能であるが、真空含浸方法や加圧含浸方法も使用可能である。
【0051】
外装材としては、非水電解質電池の軽量化の観点から、薄い材料が好ましく、例えば、金属箔を樹脂フィルムで挟み込んだ構成の金属樹脂複合フィルムが好ましい。金属箔の具体例としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス鋼、チタン、金、銀等、ピンホールのない箔であれば限定されないが、好ましくは軽量且つ安価なアルミニウム箔が好ましい。また、電池外部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ナイロンフィルム等の突き刺し強度に優れた樹脂フィルムを、電池内部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム,ナイロンフィルム等の、熱融着可能であり、かつ耐溶剤性を有するフィルムが好ましい。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
下記(a)〜(c)の手順に従って、実施例の非水電解質電池を作製した。
【0053】
(a)正極は以下のように作製した。
正極活物質としてLiCoO2、導電剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを、90:5:5の重量比率で混合後、溶剤としてN−メチルピロリドンを用いて上記材料の正極スラリーを作製した。得られたスラリーを正極集電体として20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥することによってN−メチルピロリドンを除去した。この正極板をロールプレスによりプレスし、正極を得た。
【0054】
(b)負極は以下のように作製した。
負極活物質としてLcが100nm以上のグラファイト、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロースを97:1:2の重量比率で混合後、溶剤として精製水を用いて上記材料の負極スラリーを作製した。得られたスラリーを負極集電体として粗面表面粗さが0.3μmRaである電解銅箔の両面に塗布し、乾燥により水を除去した。この負極板をロールプレスによりプレスし、負極を得た。
【0055】
(c)実施例1の非水電解質電池の作製
上記(a)および(b)で得られた正極と負極とを、非水電解質電池用セパレータであるポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ1μm以下のエステル基を有するアクリレートモノマー(親溶媒性ポリマー)を被覆したフィルム(厚さ30μm)を介して積層させ、引き続き、アルミニウム端子(幅5mm、厚さ100μm)(正極端子)を正極集電体に、ニッケル端子(幅5mm、厚さ100μm)(負極端子)を負極集電体に、それぞれ電気抵抗溶接により接続した。この積層体を、筒状の金属樹脂複合フィルム(電池外部側樹脂,金属箔,電池内部側樹脂がそれぞれポリエチレンテレフタレート,アルミニウム箔,変性ポリプロピレンとなっている)からなる外装材の中に設置した後、γ−ブチロラクトン99重量部及びスチレンカーボネート1重量部の混合溶媒に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を2mol/lの濃度で溶解した非水電解液を、外装材の中に真空(1333Pa)注液し、さらに真空(1333Pa)封口することによって、実施例1の非水電解質電池を作製した。
【0056】
(d)実施例2の非水電解質電池の作製
スチレンカーボネートに代えて、4,5−ジフェニル−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いたことを除いては、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質電池を作製した。
【0057】
(e)比較例1の非水電解質電池の作製
γ−ブチロラクトンに四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を2mol/lの濃度で溶解した非水電解液を使用した以外は、上記実施例1の非水電解質電池と同様の方法で、比較例1の非水電解質電池を作製した。
【0058】
(f)比較例2の非水電解質電池の作製
プロピレンカーボネート99重量部及びスチレンカーボネート1重量部の混合溶媒に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を2mol/lの濃度で溶解した非水電解液を使用した以外は、上記実施例1の非水電解質電池と同様の方法で、比較例2の非水電解質電池の作製した。
【0059】
(g)非水電解質電池の性能試験
実施例の非水電解質電池と比較例の非水電解質電池とをそれぞれ使用して、20℃における放電容量、及び−20℃における放電容量を測定した。充電は20℃において4.1V,5時間率(0.2C),7時間の定電流定電圧充電で行い、放電は20℃および−20℃のそれぞれの温度において終止電圧2.7V,5時間率(0.2C)の電流で行った。エネルギー密度を“20℃における放電容量”で評価し、低温特性を“20℃における放電容量に対する−20℃における放電容量の割合”で評価した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0004474749
(h)炭素質負極の初期効率向上効果の確認
炭素質負極の単極セルを組み立て、スチレンカーボネートまたはその誘導体を用いた本発明の電解液組成が、炭素質負極の初期効率に与える効果を確認した。種々の組成の電解液を表2のように調整した。対極として、実施例1の正極の代わりに金属リチウムを貼り付けたニッケル板を配置し、参照極として、少量の金属リチウムを先端に取り付けたニッケルワイヤーをセパレータ上に配置した以外は実施例1と同様に電池を組み立てた。参照極の電位を基準に炭素質負極の電位をモニターしながら、前記炭素質負極の電位が上限1.0V、下限0Vの範囲で変化するよう、500mAの電流で炭素質電極に対してドープ−脱ドープを行った。最初にドープされた電気量に対する一回目の脱ドープ電気量の比を初期効率(%)とした。結果を表2に併せて示す。
【0061】
【表2】
Figure 0004474749
表1に示すように、実施例1および実施例2の非水電解質電池は、比較例1および比較例2の非水電解質電池と比べて、“20℃における放電容量”および“20℃における放電容量に対する−20℃における放電容量の割合”の値が高く、良好な低温特性と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池であることが確認された。
【0062】
一方、比較例1の非水電解質電池は、“20℃における放電容量”の値が低く、高いエネルギー密度は得られなかった。これは、充電中に電解液中のγ−ブチロラクトンが分解し、可逆容量が低下したためと考えられる。
【0063】
また、比較例2の非水電解質電池は、“20℃における放電容量に対する−20℃における放電容量の割合”の値が低く、低温特性が不十分であった。
【0064】
以上の結果から明らかなように、比較例2のようにスチレンカーボネートを環状カーボネートと併用した場合には、実施例1のようにスチレンカーボネートをγ−ブチロラクトンと併用した場合に比べ、スチレンカーボネートを5倍量添加してもなお低温特性が不十分であった。これは、実施例の非水電解質電池の電解液と比較して粘度が高くなったためと考えられる。このように、スチレンカーボネートまたはその誘導体をγ−ブチロラクトンと組み合わせて使用することで、低温特性とエネルギー密度において特段の効果を示すことがわかる。
【0065】
次に、表2の結果より、スチレンカーボネートを電解液に添加すると、炭素質負極の初期効率を大きく向上させる効果を示すことがわかる。なかでも、γ―ブチロラクトンに添加した場合の前記初期効率向上効果は、環状カーボネート類であるエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートに添加した場合の前記効果に比べて顕著である。このように、炭素質負極における電解液の副反応を抑え、初期効率を大幅に向上させることができるので、初充電プロセスにおけるリチウムイオンの消費が抑えられる結果、電池の初期容量を高くでき、充放電を繰り返しても高い容量を維持する性能を持った非水電解質電池を提供できる。
【0066】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、請求項1に記載したように、非水電解液が、非水溶剤として、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンとスチレンカーボネートまたはその誘導体とを含有することにより、低温においても電解液の粘度上昇が起こることなくイオン伝導を確実にすることができ、また、充電時における負極上でのγ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンの分解を確実に抑制して充電を十分に行うことができるので、良好な低温特性と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池を提供できる。
【0067】
また、本発明によれば、負極活物質が、グラファイトであるので、電解質塩をリチウム塩とすることによって、特に、自己放電が少なく、充放電における不可逆容量の少ない非水電解質電池を提供できる。
【0068】
さらに、本発明によれば、スチレンカーボネートまたはその誘導体の添加量が、非水電解質中の溶媒中0.05〜2.0重量%であることにより、電池性能を損なわず充放電効率を向上することが可能であり、少量の添加で効果が期待できるのでコストの面でも優位である。
【0069】
また、本発明によれば、請求項2に記載したように、電解質塩が、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )であることにより、電解液中に存在する水分との反応性が低く、電極や外装材の腐食を引き起こすフッ酸発生の程度が少ないので、軽量化を目的に、外装材として金属樹脂複合フィルム等の薄い材料を採用した場合であっても、高い耐久性を有する非水電解質電池を提供できる。

Claims (2)

  1. アルカリ金属イオンを吸蔵放出しうる正極と、負極と、電解質塩が非水溶媒に含有された非水電解液とから、少なくとも構成される非水電解質電池において、前記負極材料の主成分が、グラファイトであり、前記非水電解液が、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンと、スチレンカーボネートまたはその誘導体とを含有しており、前記γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンが前記非水溶媒中70重量%以上であり、さらに前記スチレンカーボネートまたはその誘導体の添加量が、非水電解質中の溶媒中0.05〜2.0重量%であることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 前記電解質塩として、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)が少なくとも用いられていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池。
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