JP4306147B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解質電池に関し、特に、非水電解質電池の負極材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、非水電解質電池、特にリチウム二次電池は、携帯電話,PHS(簡易携帯電話),小型コンピューター等の携帯機器類用電源、電力貯蔵用電源、電気自動車用電源として注目されている。リチウム二次電池においては、低い温度での放電性能が充分でないという問題があり、良好な低温性能を発揮するリチウム二次電池が強く求められていた。また、小型・軽量でエネルギー密度の高い電池が求められていた。
【0003】
リチウム二次電池は、一般に、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極と、非水電解質とから構成される。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物等が、負極材料としては、グラファイトに代表される炭素質材料等が、非水電解質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等の電解質がエチレンカーボネート等の非水溶剤に溶解されたもの等が広く用いられている。
【0004】
しかしながら、電解質溶媒であるエチレンカーボネートは融点が低く、低温で電解液が凝固し易いため、リチウム電池の低温性能が優れない原因となっていた。そこで、エチレンカーボネートに代えて、より融点の低いプロピレンカーボネートを電解液の非水溶剤として使用する方法が知られているが、特に負極炭素材料に黒鉛化率の高いグラファイトを用いた場合、充電操作時にプロピレンカーボネートがグラファイト負極上で分解するといった副反応が大きいため、充電が十分にできず、電池性能を大きく低下させる原因となっていた。
【0005】
この問題を解決する手段として、特開平10−97870号公報には、菱面体晶系構造を有する黒鉛を用いることで層面剥離を抑制し、プロピレンカーボネート含有電解液を用いた電池系で不可逆容量を低減する試みが報告されている。また、Simon,B;Flandrois.S;Fevrier-Bouvier,A;Biensan,P.Hexagonal vs Rhombohedral Graphite : The Effect of Crystal Structure on the Electrochemical Intercalation on Lithium Ion.Mol.Cryst.Liq.Cryst.vol.310,1998,p.333-340.には、上記効果に加え、黒鉛中に菱面体構造を数%〜数十%の任意の比率で含む炭素質材料を得る方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、これらの技術は、前記不可逆容量を低減させる効果はあるが、リチウム二次電池の低温性能を改善するものではなかった。
【0007】
一方、特開平11−111297号公報には、電解液の分解を起こさないためには、黒鉛化物の結晶構造に菱面体晶系を有する結晶が30%以上にならないようにする必要があることが記載されている。また、電解液に用いる溶媒としては、第1溶媒としてエチレンカーボネートと、第2溶媒として一般的に知られている溶媒、例えばエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレンまたは、酢酸メチル(MA)などを用いることが記載されている。しかしながら、同公報の実施例に紹介されているようなEC,PC,DECからなる組成の電解液を用いても、低温性能を向上させるといった本発明の課題を解決するものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた低温性能と高いエネルギー密度とを兼ね備えた非水電解質電池を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明者らは、鋭意検討の結果、菱面体晶系構造を有する黒鉛を用い、さらに非水電解質を構成する非水溶剤を特定のものとすることにより、驚くべきことに、良好な低温性能と高いエネルギー密度との両方を兼ね備える非水電解質電池が得られることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の技術的構成およびその作用効果は以下の通りである。ただし、作用機構については推定を含んでおり、その正否は、本発明を制限するものではない。
【0010】
すなわち、請求項1に係る非水電解質電池は、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極炭素材料を主要構成成分とする負極と、非水電解質とから、少なくとも構成される非水電解質電池において、前記負極炭素材料は、エックス線広角回折法によって測定された菱面体晶に帰属される(101)回折線のピーク面積をr(101)、同様にして測定された六方晶に帰属される(101)回折線のピーク面積をh(101)とし、(式1)によって算出される黒鉛結晶全体に占める菱面体晶の存在割合R%が30%以上であり、且つ、前記非水電解質は、γ−ブチロラクトンを少なくとも含有することを特徴とすることを特徴としている。
(式1) R=[r(101)×12/15]/[r(101)×15/12+h(101)]×100
【0012】
すなわち、黒鉛の最も一般的な構造は六方晶系構造であり、炭素網面はA層に対して近接するB層がずれたABAB型積層構造をとっている。一方、熱力学的に準安定なもう一つの状態として菱面体晶系構造があり、ABCABC型積層構造をとっている。
【0013】
本発明者らの検討によれば、六方晶系構造の黒鉛を負極に用い、電解質の溶媒にプロピレンカーボネートよりも粘度の低いγ-ブチロラクトンを用いた場合には、リチウムイオンが電気化学的にインターカレーションする際に形成されるSEI(Solid Electrolyte Interface)層が粗となり、不可逆容量が大きく、電池性能が良好ではなかった。しかしながら、菱面体晶系構造を含む黒鉛を負極に用いた場合に、電解質の溶媒としてγ-ブチロラクトンを組み合わせたところ、実に驚くべきことに、不可逆容量を大きく低減させる効果があることを見いだした。この効果は、γ-ブチロラクトンを用いた場合に特異的な現象であると認識された。
【0014】
このような構成によれば、γ−ブチロラクトンは、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等に比べて粘度が低く、かつ同程度の誘電率を有するので、低温においても、電解液の粘度上昇が起こることなくイオン伝導を確実にすることができる。また、菱面体晶系構造の黒鉛が存在することにより、充電時における負極上でのγ−ブチロラクトンの分解を確実に抑制できるので、充電を十分に行うことができる。よって、良好な低温性能と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池とすることができる。
【0015】
さらに驚くべきことには、プロピレンカーボネートを電解質溶媒に用いた場合の従来の知見とは全く相反するかのように、電解質溶媒にγ−ブチロラクトンを用いた場合には、特に菱面体晶系構造を30%以上とすることで、電解液の分解を起こすことが無く、より顕著に上記効果が発揮されることがわかった。
【0016】
請求項に係る非水電解質電池は、前記非水電解質が、少なくとも四フッ化ホウ酸アニオン(BF4 -)を含むことを特徴としている。
【0017】
LiBF4等の四フッ化ホウ酸アニオン(BF4 -)を与える電解質塩は、広く用いられているLiPF6等他のフッ素系リチウム塩と比較して、電解液中に存在する水分との反応性が低いので、電解液の水分管理を簡素化することが可能であり製造コストを低減することができる。さらに、電極や外装材の腐食を引き起こすフッ酸発生の程度が小さい。よって、軽量化を目的に、外装材として金属樹脂複合フィルム等の薄い材料を採用した場合であっても、高い耐久性を有する非水電解質電池とすることができる。従って、小型・軽量でエネルギー密度の高い電池を容易に安価に提供することができる。さらに液漏れの心配が無く形状の自由度が大きいポリマー電池に応用した場合、電解質を含んだ電極が水分を含んだ製造工程の雰囲気に触れる時間が長いといった問題に対しても有効である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を例示するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明に係る非水電解質電池は、正極活物質を主要構成成分とする正極と、炭素質材料を主要構成成分とする負極と、電解質塩が非水溶媒に含有された非水電解質とから構成され、一般的には、正極と負極との間に、セパレータが設けられる。
【0020】
非水電解質は、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水溶媒としては、γ-ブチロラクトンの他にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;スルホラン、スルトンまたはその誘導体等を1種以上混合物することができるが、これらに限定されるものではない。特に、非水溶媒にγ-ブチロラクトンを含有することで高沸点で難燃性であるため安全性を向上することが可能であり、且つ粘度が低いため低温性能も改善することが可能であり望ましい。
【0021】
電解質塩としては、例えば、LiClO4,LiBF4,LiAsF6,LiPF6,LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiSCN,LiBr,LiI,Li2SO4,Li210Cl10,NaClO4,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,(CH34NBF4,(CH34NBr,(C254NClO4,(C254NI,(C374NBr,(n−C494NClO4,(n−C494NI,(C254N−maleate,(C254N−benzoate,(C254N−phtalate等の四級アンモニウム塩、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
【0022】
特に、LiBF4は、前記例示した他のフッ素系リチウム塩と比較して、電解液中に存在する水分との反応性が低いので、電解液の水分管理を簡素化することが可能であり製造コストを低減することが可能である。さらに、電極や外装材の腐食を引き起こすフッ酸発生の程度が少なく、例えば軽量化を目的に、外装材として金属樹脂複合フィルム等の薄い材料を採用した場合であっても、高い耐久性を有する非水電解質電池が得られるので、電解質塩として好ましい。
【0023】
さらに、LiBF4とLiN(C25SO22のようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解液の粘度を下げることができるので、低温性能をさらに高めることができ、より望ましい.
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、1mol/l〜2.5mol/lである。
【0024】
正極の主要構成成分である正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有リン酸塩、リチウム含有硫酸塩などを単独あるいは混合して用いることが望ましい。リチウム含有遷移金属酸化物としては、一般式LiyCo1-xx2、LiyNi1-xx2、LiyMn2-xX4(Mは、IからVIII族の金属(例えは、Li,Ca,Cr,Ni,Fe,Coの1種類以上の元素)であり、異種元素置換量を示すx値については置換できる最大量まで有効であるが、好ましくは放電容量の点から0≦x≦1である。また、リチウム量を示すy値についてはリチウムを可逆的に利用しうる最大量が有効であり、好ましくは放電容量の点から0≦y≦2である。)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
また、前記リチウム含有化合物に他の正極活物質を混合して用いてもよく、他の正極活物質としては、CuO,Cu2O,Ag2O,CuS,CuSO4等のI族金属化合物、TiS2,SiO2,SnO等のIV族金属化合物、V25,V612,VOx,Nb25,Bi23,Sb23等のV族金属化合物、CrO3,Cr23,MoO3,MoS2,WO3,SeO2等のVI族金属化合物、MnO2,Mn23等のVII族金属化合物、Fe23,FeO,Fe34,Ni23,NiO,CoO3,CoO等のVIII族金属化合物、または、一般式LixMX2,LixMNy2(M、NはIからVIII族の金属、Xは酸素、硫黄などのカルコゲン化合物を示す。)等で表される、例えばリチウム−コバルト系複合酸化物やリチウム−マンガン系複合酸化物等の金属化合物、さらに、ジスルフィド,ポリピロール,ポリアニリン,ポリパラフェニレン,ポリアセチレン,ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
負極の主要構成成分である負極炭素質材料の中でも、黒鉛は、金属リチウムに極めて近い作動電位を有するので電解質塩としてリチウム塩を採用した場合に自己放電を少なくでき、かつ充放電における不可逆容量を少なくできるので、負極炭素質材料として好ましい。黒鉛結晶には良く知られている六方晶系とその他に菱面体晶系に属するものがある。特に、菱面体晶系の黒鉛は、電解液中の溶媒の選択性が広く、例えばプロピレンカーボネートのような溶剤を用いても、層剥離が抑制され優れた充放電効率を示すことから望ましい。
【0027】
以下に、好適に用いることのできる菱面体晶系の黒鉛のエックス線回折等による分析結果を示す;
格子定数 a0 =0.3635nm、 α=39.49°
大部分の天然黒鉛および人造黒鉛は六方晶系であるが、天然黒鉛および非常に高温で加熱処理された人造黒鉛中に菱面体晶系構造が数%存在していることが知られている。また、粉砕や摩砕することにより六方晶系から菱面体晶系への増加があることが知られている。特に、黒鉛粒子表面に菱面体晶系が多く含まれ、粒子内部は六方晶系が多く含まれるような黒鉛は高容量、耐溶剤性、製造工程などの優位性から最も望ましい。
【0028】
ここで、特開2000-348727号公報に記載された、黒鉛の結晶全体に含まれる菱面体晶系の算出方法を示す。エックス線広角回折法によって測定された菱面体晶に帰属される(101)回折線のピーク面積をr(101)、同様にして測定された六方晶に帰属される(101)回折線のピーク面積をh(101)とし、(式1)によって黒鉛結晶全体に占める菱面体晶の存在割合R%を算出するものである。
【0029】
(式1) R=[r(101)×12/15]/[r(101)×15/12+h(101)]×100
【0030】
電解質溶媒の選択性が向上することから、菱面体晶系の黒鉛は負極炭素質材料の1%以上含まれていることが望ましく、顕著な効果を得るためには30%以上含まれていることが望ましい。
【0031】
また、負極材料には菱面体晶系の黒鉛以外に、六方晶系黒鉛はもとより、スズ酸化物,ケイ素酸化物等の金属酸化物、リン、ホウ素、アモルファスカーボン等を添加して改質を行うことも可能である。特に、負極材料の表面を上記の方法によって改質することで、電解液の分解を抑制し電池特性を高めることが可能であり望ましい。さらに、グラファイトに対して、リチウム金属、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,およびウッド合金等のリチウム金属含有合金等を併用することや、あらかじめ電気化学的に還元することによってリチウムが挿入されたグラファイト等も負極材料として使用可能である。
【0032】
また、正極活物質の粉体及び負極材料の粉体の少なくとも表面層部分を電子伝導性やイオン伝導性の良いもの、あるいは疎水基を有する化合物で修飾することも可能である。例えば、金,銀,カーボン,ニッケル,銅等の電子伝導性のよい物質や、炭酸リチウム,ホウ素ガラス,固体電解質等のイオン伝導性のよい物質、あるいはシリコーンオイル等の疎水基を有する物質をメッキ,焼結,メカノフュージョン,蒸着,焼き付け等の技術を応用して被覆することが挙げられる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の記載によってなんら限定されるものではない。
【0034】
正極活物質の粉体及び負極炭素質材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
【0035】
前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤およびフィラーが、他の構成成分として含有されてもよい。
【0036】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
【0037】
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1重量%〜50重量%が好ましく、特に2重量%〜30重量%が好ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
【0038】
結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレンジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する結着剤は、例えばメチル化するなどしてその官能基を失活させておくことが望ましい。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
【0039】
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、アエロジル、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
【0040】
正極および負極は、前記活物質、導電剤および結着剤をN−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、乾燥することによって、好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚みおよび任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0041】
集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他に、接着性、導電性および耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。負極用集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐還元性向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。
【0042】
集電体の形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群の形成体等が用いられる。厚みの限定は特にないが、1〜500μmのものが用いられる。これらの集電体の中で、正極としては、耐酸化性に優れているアルミニウム箔が、負極としては、還元場において安定であり、且つ電導性に優れ、安価な銅箔、ニッケル箔、鉄箔、およびそれらの一部を含む合金箔を使用することが好ましい。さらに、粗面表面粗さが0.2μmRa以上の箔であることが好ましく、これにより正極活物質または負極炭素質材料と集電体との密着性は優れたものとなる。よって、このような粗面を有することから、電解箔を使用するのが好ましい。特に、ハナ付き処理を施した電解箔は最も好ましい。また、集電体の両面を使用する場合、その表面粗さは等しいか、ほぼ同等であることが望ましい。
【0043】
非水電解質電池用セパレータとしては、優れたレート特性を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
【0044】
非水電解質電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
【0045】
また、非水電解質電池用セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解液とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。
【0046】
さらに、非水電解質電池用セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解液の保液性が向上すため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解液を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
【0047】
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。架橋にあたっては、紫外線(UV)や電子線(EB)等の活性光線等を用いることができる。
【0048】
前記親溶媒性ポリマーには、強度や物性制御の目的で、架橋体の形成を妨害しない範囲の物性調整剤を配合して使用することができる。前記物性調整剤の例としては、無機フィラー類{酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩}、ポリマー類{ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート等}等が挙げられる。前記物性調整剤の添加量は、架橋性モノマーに対して通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0049】
前記アクリレートモノマーについて例示すると、二官能以上の不飽和モノマーが好適に挙げられ、より具体例には、2官能(メタ)アクリレート{エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸・ジネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、重合度2以上のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、重合度2以上のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体のジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等}、3官能(メタ)アクリレート{トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等}、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート{ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンヘキサ(メタ)アクリレート等}が挙げられる。これらのモノマーを単独もしくは、併用して用いることができる。
【0050】
前記アクリレートモノマーには、物性調整等の目的で1官能モノマーを添加することもできる。前記一官能モノマーの例としては、不飽和カルボン酸{アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、アコニット酸等}、不飽和スルホン酸{スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等}またはそれらの塩(Li塩、Na塩、K塩、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩等)、またこれらの不飽和カルボン酸をC1〜C18の脂肪族または脂環式アルコール、アルキレン(C2〜C4)グリコール、ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール等で部分的にエステル化したもの(メチルマレート、モノヒドロキシエチルマレート、など)、およびアンモニア、1級または2級アミンで部分的にアミド化したもの(マレイン酸モノアミド、N−メチルマレイン酸モノアミド、N,N−ジエチルマレイン酸モノアミドなど)、(メタ)アクリル酸エステル[C1〜C18の脂肪族(メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、ステアリル等)アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、またはアルキレン(C2〜C4)グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等)およびポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)と(メタ)アクリル酸とのエステル];(メタ)アクリルアミドまたはN−置換(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等];ビニルエステルまたはアリルエステル[酢酸ビニル、酢酸アリル等];ビニルエーテルまたはアリルエーテル[ブチルビニルエーテル、ドデシルアリルエーテル等];不飽和ニトリル化合物[(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル等];不飽和アルコール[(メタ)アリルアルコール等];不飽和アミン[(メタ)アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等];複素環含有モノマー[N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン等];オレフィン系脂肪族炭化水素[エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、(C6〜C50)α−オレフィン等];オレフィン系脂環式炭化水素[シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン等];オレフィン系芳香族炭化水素[スチレン、α−メチルスチレン、スチルベン等];不飽和イミド[マレイミド等];ハロゲン含有モノマー[塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン等]等が挙げられる。
【0051】
前記エポキシモノマーについて例示すると、グリシジルエーテル類{ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル等}、グリシジルエステル類{ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等}、グリシジルアミン類{トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン等}、線状脂肪族エポキサイド類{エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等}、脂環族エポキサイド類{3,4エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート等}等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独もしくは硬化剤を添加して硬化させて使用することができる。
【0052】
前記硬化剤の例としては、脂肪族ポリアミン類{ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、3,9−(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトロオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}、芳香族ポリアミン類{メタキシレンジアミン、ジアミノフェニルメタン等}、ポリアミド類{ダイマー酸ポリアミド等}、酸無水物類{無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸}、フェノール類{フェノールノボラック等}、ポリメルカプタン{ポリサルファイド等}、第三アミン類{トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等}、ルイス酸錯体{三フッ化ホウ素・エチルアミン錯体等}等が挙げられる。
【0053】
前記イソシアナート基を有するモノマーについて例示すると、トルエンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4(2,2,4)−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、3,3'−ジメチルジフェニル4,4’−ジイソシアナート、ジアニシジンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、トリメチルキシレンジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、trans−1,4−シクロヘキシルジイソシアナート、リジンジイソシアナート等が挙げられる。
【0054】
前記イソシアナート基を有するモノマーを架橋するにあたって、ポリオール類およびポリアミン類[2官能化合物{水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等}、3官能化合物{グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン等}、4官能化合物{ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド等}、5官能化合物{2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエチレントリアミンなど}、6官能化合物{ソルビトール、マンニトール、ズルシトール等}、8官能化合物{スークロース等}]、およびポリエーテルポリオール類{前記ポリオールまたはポリアミンのプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド付加物}、ポリエステルポリオール[前記ポリオールと多塩基酸{アジピン酸、o,m,p−フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、リシノール酸}との縮合物、ポリカプロラクトンポリオール{ポリε−カプロラクトン等}、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物等]等、活性水素を有する化合物を併用することができる。
【0055】
前記架橋反応にあたって、触媒を併用することができる。前記触媒について例示すると、有機スズ化合物類、トリアルキルホスフィン類、アミン類[モノアミン類{N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等}、環状モノアミン類{ピリジン、N−メチルモルホリン等}、ジアミン類{N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ブタンジアミン等}、トリアミン類{N,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン等}、ヘキサミン類{N,N,N’N’−テトラ(3−ジメチルアミノプロピル)−メタンジアミン等}、環状ポリアミン類{ジアザビシクロオクタン(DABCO)、N,N’−ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等}等、およびそれらの塩類等が挙げられる。
【0056】
本発明に係る非水電解質電池は、電解液を、例えば、非水電解質電池用セパレータと正極と負極とを積層する前または積層した後に注液し、最終的に、外装材で封止することによって好適に作製される。また、正極と負極とが非水電解質電池用セパレータを介して積層された発電要素を巻回してなる非水電解質電池においては、電解液は、前記巻回の前後に発電要素に注液されるのが好ましい。注液法としては、常圧で注液することも可能であるが、真空含浸方法や加圧含浸方法も使用可能である。
【0057】
外装材としては、非水電解質電池の軽量化の観点から、薄い材料が好ましく、例えば、金属箔を樹脂フィルムで挟み込んだ構成の金属樹脂複合フィルムが好ましい。金属箔の具体例としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス鋼、チタン、金、銀等、ピンホールのない箔であれば限定されないが、好ましくは軽量且つ安価なアルミニウム箔が好ましい。また、電池外部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ナイロンフィルム等の突き刺し強度に優れた樹脂フィルムを、電池内部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム,ナイロンフィルム等の、熱融着可能であり、かつ耐溶剤性を有するフィルムが好ましい。
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
正極は以下のように作製した。正極活物質としてのLiCoO2、導電剤としてのアセチレンブラック及びバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンを、90:5:5の重量比率で混合後、溶剤としてN−メチルピロリドンを用いて上記材料の正極スラリーを作製した。前記正極スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ20μm)の両面に塗布し、乾燥することによってN−メチルピロリドンを除去した。この正極板をロールプレスによりプレスし、正極を得た。
【0060】
負極は以下のように作製した。天然黒鉛をジェットミルにより摩砕した後、菱面体晶系を含む黒鉛を作製した。この摩砕した天然黒鉛は、エックス線回折図の面積より式1の算出結果から30%の菱面体晶系を含む黒鉛であることが分かった。この様にして得られた負極炭素質材料と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンとを、90:10の重量比率で混合後、溶剤としてN−メチルピロリドンを用いて上記材料の負極スラリーを作製した。得られたスラリーを負極集電体として表面粗さが0.3μmRaである電解銅箔の両面に塗布し、乾燥によりN−メチルピロリドンを除去した。この負極板をロールプレスによりプレスし、負極を得た。
【0061】
前記正極及び負極を、非水電解質電池用セパレータであるポリエチレン製不織布(目付10g/m2,厚さ100μm)を介して積層させ、引き続き、正極端子としてのアルミニウム板(幅5mm、厚さ100μm)及び負極端子としてのニッケル板(幅5mm、厚さ100μm)を、正極集電体及び負極集電体に、それぞれ電気抵抗溶接により接続し、発電要素を得た。前記発電要素を、筒状の金属樹脂複合フィルム(電池外部側樹脂,金属箔,電池内部側樹脂がそれぞれポリエチレンテレフタレート,アルミニウム箔,変性ポリプロピレンとなっている)からなる外装材の中に設置した後、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)20重量部、γ−ブチロラクトン50重量部及びエチレンカーボネート30重量部を混合した非水電解質を、外装材の中に1333Paの減圧下で真空注液し、さらに、1333Paの減圧下で真空封口することによって、本発明の非水電解質電池を作製した。これを本発明電池1とする。
【0062】
(比較例1)天然黒鉛をジェットミルにより摩砕する際の時間等の条件を調整し、エックス線回折図の面積より式1の算出結果から15%の菱面体晶系を含む黒鉛を負極炭素質材料として用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で、非水電解質電池を作製した。これを比較電池1とする。
【0063】
(比較例)負極炭素質材料に菱面体晶系を含まない人造黒鉛を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、非水電解質電池を作製した。これを比較電池とする。
【0064】
(比較例)四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)20重量部、プロピレンカーボネート50重量部及びエチレンカーボネート30重量部を混合した非水電解質を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で、非水電解質電池を作製した。これを比較電池とする。
【0065】
(電池性能試験)
以上の本発明電池及び比較電池を使用して、20℃及び−20℃における放電容量を測定した。充電はいずれも20℃において4.1V、0.2It(5時間率)、7時間の定電流定電圧充電とし、放電は20℃および−20℃のそれぞれの温度において終止電圧2.7V、0.2It(5時間率)の定電流放電とした。
【0066】
20℃における放電容量に対する−20℃における放電容量の割合を「低温性能値」として百分率で求めた。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
この結果から明らかなように、本発明電池1は、負極炭素質材料に菱面体晶系を含まない人造黒鉛を使用した比較電池に比べ、放電容量の値が高く、高いエネルギー密度を有する電池となった。これは、負極炭素材料に30%の菱面体晶系を含む黒鉛を使用したため、充電中に電解液中のγ−ブチロラクトンが分解するといった副反応を抑えることができた結果であると考えられる。
【0068】
また、本発明電池1は、γ−ブチロラクトンを含まず、その他の一般的な溶剤のみで構成された電解質を使用した比較電池に比べ、低温性能値が優れる結果となった。これは、非水電解質の非水溶剤にγ−ブチロラクトンを含有させたので、電解液の粘度が低下し、低温においてもイオンの移動度が良好に保たれたためと考えられる。
【0069】
また、本発明電池1は、菱面体晶系を15%含む黒鉛を負極材料に用いた比較電池1に比べ、放電容量が高くなる傾向が認められた。これは、黒鉛中の菱面体晶系構造物を30%以上としたことで、充電中に電解液中のγ−ブチロラクトンが分解するといった副反応を抑える効果が、特に顕著に発揮されたためであると考えられる。
【0070】
従って、本発明によれば、良好な低温性能と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池が提供できることが確認された。
【0071】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、請求項1に記載したように、負極炭素材料が菱面体晶系構造物を含み、前記(式1)によって算出される黒鉛結晶全体に占める菱面体晶の存在割合R%が30%以上であり、且つ、前記非水電解質中がγ−ブチロラクトンを少なくとも含有することにより、低温においても電解液の粘度上昇が起こることなくイオン伝導を確実にすることができ、また、充電時における負極上でのγ−ブチロラクトンの分解を確実に抑制して充電を十分に行うことができるので、良好な低温性能と高いエネルギー密度とを兼ね備える非水電解質電池を提供できる。
【0073】
さらに、請求項に記載したように、非水電解質が、少なくとも四フッ化ホウ酸アニオン(BF4 -)を含むことにより、電解液中に存在する水分との反応性が低く、電極や外装材の腐食を引き起こすフッ酸発生の程度が少ないので、軽量化を目的に、外装材として金属樹脂複合フィルム等の薄い材料を採用した場合であっても、高い耐久性を有する非水電解質電池を提供できる。

Claims (2)

  1. 正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極炭素材料を主要構成成分とする負極と、非水電解質とから、少なくとも構成される非水電解質電池において、前記負極炭素材料は、エックス線広角回折法によって測定された菱面体晶に帰属される(101)回折線のピーク面積をr(101)、同様にして測定された六方晶に帰属される(101)回折線のピーク面積をh(101)とし、(式1)によって算出される黒鉛結晶全体に占める菱面体晶の存在割合R%が30%以上であり、且つ、前記非水電解質は、γ−ブチロラクトンを少なくとも含有することを特徴とする非水電解質電池。
    (式1) R=[r(101)×12/15]/[r(101)×15/12+h(101)]×100
  2. 前記非水電解質が、少なくとも四フッ化ホウ酸アニオン(BF4 -)を含むことを特徴とする請求項記載の非水電解質電池。
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