JP4471956B2 - 弾性波検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物等の被検査対象物に発生する弾性波を検出する弾性波検出装置に関し、特に屋外地上に設置された構造物等が引き起こす腐食や疲労破壊等の発生位置をリアルタイムに検出する弾性波検出装置に関するものである。
橋梁、タワー、貯槽、タンカー、化学プラント、原子力発電プラントなどの鉄鋼構造物は、腐食、応力腐食割れや遅れ破壊、腐食疲労、エロージョンなどの環境劣化・損傷を受けると、大きな事故や災害につながることが多い。そこで環境劣化・損傷場所を簡便に調べる方法の開発は、多くの老朽化装置・設備を抱える先進工業国の21世紀における大きな課題である。
そこで従来から環境劣化・損傷箇所から発生する超音波(以下、AE:Acoustic Emissionと記す)を、多くの圧電素子センサ(チタンジルコン酸鉛)を用いて検出する方法が試みられているが、1)センサの防爆認定が取れないこと、2)センサとモニタリング装置は、重い同軸ケーブル(100g/m)を用いて接続する必要があり、設置や撤収に膨大な時間と労力が必要なこと、3)計測装置が高価であるため長時間のモニタリングが出来ないことなどの問題がある。特に、超大橋や長距離パイプライン、国家備蓄タンクでは、数〜数十kmにわたる検査が必要で、そのために多くのセンサを設置して計測器と同軸ケーブルで接続することは不可能に近い。
これに代わる方法として、同一出願人が通信用光ファイバを用いるフィードバック制御マッハ・ツェンダー干渉計(超音波モニタリングシステム)を提案したが、センサファイバ全体が一本のセンサになっているため、色々な場所のAEをモニタするためには、多量のセンサファイバを並列に設置する必要があった。
ここでAEとは、金属等の固体の内部で微小な変形、亀裂等の破壊、相変態あるいは結晶粒界の移動などの現象が起きる場合に発生する超音波領域(周波数が20kHz以上)の弾性波を指すが、広義には、岩盤の亀裂や地下地盤の変動における数100kHz〜数10kHzの周波数帯域の弾性波も含まれる。上記のAEをリアルタイムに検出することにより、構造物の腐食や疲労破壊等を検出することができる。
また従来技術として特許文献1には、図25に示すように、光ファイバ上に空間的に屈折率の異なる格子を焼付けることで、特定波長のみを反射するファイバであるFBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)10を用いた技術について開示されている。即ち、この反射波長の異なるFBGを被測定物表面になんらかの形で貼付け、伝搬してきた超音波もしくはAE波によりFGBの格子間隔が変化し、反射波長が変化することを利用している。反射は別のFBGをフィルタとして波長の変化を光強度変化に変換して超音波もしくはAE波を検出する仕組みである。また、FBGは歪成分(低周波数の変位)にも反応するため歪も同時計測可能であると記載されている。
特開2003−222571公報
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、フィルタにFBGを用いていることからフィルタFBGの温度変化に対する制御や大きな歪が発生した場合、それに合わせてフィルタの波長帯も変化させる必要があり、それらの制御法の説明はない。
本発明は、かかる課題に鑑み、光ファイバを巻回して構成した周波数特性が異なる複数の超音波センサを、屋外地上に設置された被検査対象物に設置したり、液体を貯蔵する被検査対象物には液体中に直接浸漬または懸垂及び浮遊するようにして、被検査対象物から発生するAEをセンサホルダのAE波として検出すると共に、その共振波の発生箇所を特定することにより、被検査対象物の腐食および疲労破壊等の箇所を特定することが可能な弾性波検出装置を提供することを目的とする。
また他の目的は、センサ用光ファイバの一部を被検査対象物に接触するように配設することにより、AEのもつ損傷に関する情報(損傷規模や速度)を歪めることなく被検査対象物の腐食および疲労破壊等の箇所を更に詳細に特定することができるとともに損傷情報を推定する弾性波検出装置を提供することである。
かかる課題を解決するために、請求項1は、単一波長光を出射する光源と、該光源からの出射光を分岐するスプリッタと、被検査対象物に配設され前記スプリッタにより分岐された一方の光を導光するセンサ用光ファイバと、前記スプリッタにより分岐された他方の光を導光する参照光用光ファイバと、前記センサ用および参照光用の各光ファイバの一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせる結合手段と、該結合手段により重ね合わされた光の強度を検出する光検出手段と、該光検出手段により検出された検出信号に基づいて前記被検査対象物に発生する弾性波を検出する処理手段と、前記光検出手段の検出信号からノイズ成分を抽出するノイズ抽出手段と、該ノイズ抽出手段が抽出した検出信号に含まれるノイズ成分を除去するように前記参照光用の光ファイバの伸縮量を制御する伸縮制御手段と、を備えた弾性波検出装置において、前記センサ用光ファイバは、該センサ用光ファイバを所定回数巻回するセンサホルダを備え、該センサホルダの材質を同一材質とすると共に、当該センサホルダの径、若しくは厚みを変更することにより異なる周波数特性を有する複数の超音波センサとし、該超音波センサを直列に接続してループを構成し、当該複数の超音波センサを前記被検査対象物に配設したことを特徴とする。
被検査対象物(例えば、建物、タンク、橋梁等)から発生するAEを、光ファイバにより弾性波として検出することにより、被検査対象物の破壊、亀裂および腐食をリアルタイムに検出することができる。そのためには、光ファイバに単一波長光を出射する光源からの光を導光し、その光ファイバを被検査対象物に設置する。このとき被検査対象物の破壊、亀裂および腐食箇所を特定するために、光ファイバ自身が超音波センサであることを利用して、その光ファイバを共振周波数の異なるホルダに巻付けることで周波数特性を付与した超音波センサとし、それを複数個取付けることで、1本のファイバ上に複数の超音波センサを構成し、その複数の超音波センサを被検査対象物に配設する。尚、配設する方法は被検査対象物の表面に超音波センサを接着して固定する。ここで例えば被検査対象物が腐食すると、そこから錆によるAEが発生し、このAEにより光ファイバに微弱な伸縮作用を起こさせる。光ファイバが伸縮すると屈折率および光路長が変化して、その中を伝播する光の位相が変化し、その位相変化から弾性波を検出するものである。また、位置を特定するために複数の超音波センサの周波数特性を異ならせ、どの周波数が発生したかにより超音波を検出したセンサを特定でき位置を特定する。言い換えると、各センサへの到達時間を特定できるので、その到達時間差から位置を特定することができる。また、超音波センサが異なる周波数特性を有するためには、その周波数に共振する材質と形状を有するホルダが必要である。即ち、予め共振周波数を決めておき、その周波数で共振するように超音波センサの材質や形状を決定する。また、例えば、センサホルダの材質をアルミニウムで構成し、形状を円柱にした場合、その円柱の直径を変更したり、直径を変えずに厚み(高さ)を変更することにより周波数特性を調整することができる。
請求項は、前記センサホルダの一部に突起部を備え、該突起部を前記被検査対象物に接触させることを特徴とする。
センサホルダは材質が金属で構成されているので、AE波が到達した場合、被検査対象物と接触する面積が大きいと感度が鈍くなってしまう。そこで本発明では、センサホルダが被検査対象物と接触する部分の面積を狭くしてAE波を検出できるように、センサホルダの一部を突起形状にするものである。
請求項は、前記センサホルダは、所定の共振周波数を有する材質により構成されていることを特徴とする。
センサホルダは所定の共振周波数を有する材質により構成される。その意味でセンサホルダの材質は、加工が容易で、且つ軽量で安価なアルミニウムが最適である。しかし、アルミニウムは非磁性材料であるので、被検査対象物が鋼板で構成されるパイプライン等に取り付ける際に、接着剤が必要となる。そのようなときは、材質を磁性材料にすることにより、直接鋼材に取り付けることができる。
請求項は、前記センサホルダは、中空材若しくは中実材により構成されていることを特徴とする。
センサホルダは材質が金属であるので、例えばセンサを軽量化したい場合は、内部を中空にした材料で構成し、また特にその必要がなければ、中実材を削り出して構成したり、型で整形して製作することができる。
請求項は、前記超音波センサは、少なくとも前記センサ用光ファイバの一部が前記被検査対象物に接触するように配設されることを特徴とする。
センサホルダの一部を突起形状にして被検査対象物に接触させた場合、センサ用光ファイバはセンサホルダの共振波を検出していることになり、AEが持つ情報が失われる。そこで本発明では、センサ用光ファイバの一部が被検査対象物に接触するように配設することにより、AEを歪めることなく被検査対象物の破損の部位を更に詳しく判断することができる。
請求項は、前記超音波センサは、前記センサ用光ファイバの一部若しくは全部が、前記センサホルダが発生する共振定在波を減衰させる材料により被覆されていることを特徴とする。
センサ用光ファイバがAEにより振動すると、センサホルダから共振定在波が発生する。この共振定在波は比較的長く続くので、狭い領域で発生するAEの到達を時間的に区別して検出できないといった問題が発生する。そこで本発明では、センサ用光ファイバの表面の一部若しくは全部を、センサホルダが有する共振定在波を減衰させる材料により被覆するものである。
請求項1の発明によれば、被検査対象物の破壊、亀裂および腐食箇所を特定するために、光ファイバを、異なる周波数特性を有する複数の超音波センサに分割して直列に被検査対象物に配設するので、光ファイバを1本で構成可能であり、且つ超音波センサの増設を容易に行うことができると共に、被検査対象物に発生する弾性波の位置を特定することができる。また、超音波センサは、センサ用光ファイバを所定回数巻回するセンサホルダを備え、センホルダの材質を同一材質とすると共に、センサホルダの径、若しくは厚みを変更することにより周波数特性を調整するので、容易に周波数特性の異なる超音波センサを製作することができる。
また請求項では、センサホルダは、被検査対象物に接触させる部分を突起形状としたので、被検査対象物に伝播するAE波を感度良く検出することができる。
また請求項では、センサホルダの材質は、固体若しくは金属若しくは磁性材料であるので、アルミニウムで製作した場合、超音波センサを軽量に且つ安価に製作することができ、磁性材料で製作した場合は、鋼材により構成された被検査対象物に容易に取り付けることができる。
また請求項では、センサホルダは、中空材若しくは中実材により構成されているので、軽量化したい場合は、内部を中空にした材料で構成し、また特にその必要がなければ、中実材を削り出して構成したり、型で整形して製作することができる。
また請求項では、超音波センサは、少なくともセンサ用光ファイバの一部が被検査対象物に接触するように配設されるので、直接AEを検出することが可能となり、被検査対象物の破損の部位を更に詳しく判断することができる。
また請求項では、超音波センサは、センサ用光ファイバの表面の一部若しくは全部を、センサホルダが発生する共振定在波を減衰させる材料により被覆されるので、狭い領域で発生するAEの到達を時間的に区別することができる。

以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波検出装置の構成図である。本実施形態に係る弾性波検出装置100は、単一波長光を出射する光源2と、この光源2からの光を分岐する第1カプラ(スプリッタ)4と、光源2と第1カプラ4との間に配置され第1カプラ4から光源2に戻る光を除去する光アイソレータ(アイソレータ)3と、被検査対象物20に配設され第1カプラ4により分岐された一方の光を導光するセンサ用光ファイバ6と、同じく第1カプラ4により分岐された他方の光を導光する参照光用光ファイバ5と、センサ用光ファイバ6および参照光用光ファイバ5の一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせる第2カプラ(結合手段)7と、この第2カプラ7により重ね合わされた光の強度を検出する第1光検出器(光検出手段)8と、第2光検出器(光検出手段)9と、第1光検出器8の検出信号と、第2光検出器9の検出信号の差分成分を抽出して差分信号を生成する差分回路(DIFA)10と、周波数が約50kHz〜1MHzの信号を抽出して信号S11として処理装置12に出力するフィルタ(BPF)11と、第1光検出器8と第2光検出器9により検出された検出信号に基づいて被検査対象物20に発生する弾性波を検出する処理装置(処理手段)12と、差分回路10から出力された信号S102を増幅するアンプ(Amp)13と、アンプ13から出力された信号S13からノイズ成分を抽出するフィルタ(LPF)(ノイズ抽出手段)14と、フィルタ14から出力された信号S14に所定時間の積分処理を施す積分器(ITG)15と、積分器15から出力された信号S15に基づいて、ノイズ成分を除去するように参照光用光ファイバ5の伸縮を制御するアクチュエータドライバ(ADIV)(伸縮制御手段)16と、アクチュエータドライバ16から出力された制御信号S16に基づいて、ノイズ成分を除去するように参照光用光ファイバ5を伸縮するアクチュエータ(伸縮手段)51と、を備えて構成される。
尚、センサ用光ファイバ6は、被検査対象物17に配設されたセンサホルダ(詳細は後述する)18a、18b、18c、18dに順次所定回数センサ用光ファイバ6を巻きつけて直列に設置している(以下、この構成をマルチセンサファイバと呼ぶ)。また、光源2と光アイソレータ3、光アイソレータ3と第1カプラ4、第1カプラ4と第2カプラ7、第2カプラ7と第1光検出器8、第2カプラ7と第2光検出器9それぞれは、光ファイバfにより接続されている。また弾性波検出装置1は、いわゆるマッハツェンダー型光ファイバ干渉計を基本とした構成となっている。また、例えば差分回路10、アンプ13、フィルタ14、積分器15、アクチュエータドライバ16、およびアクチュエータ51をフィードバック部50と称する。
次に各構成要素について更に詳細に説明する。
光源2は、特定波長のレーザ光を光ファイバfを介して光アイソレータ3に向けて出力する。この光源2としては、例えばレーザダイオード等のレーザ装置が用いられる。例えば光源2は波長が1313.8nmのレーザ光を出力する。
光アイソレータ3は、光源2から光ファイバfを介して出力されたレーザ光を第1カプラ4に出力する。また、光アイソレータ3は、光源2と第1カプラ4との間に備えられ、第1カプラ4から光ファイバfを介して光源2に戻る光を除去し、光源2の光出力を安定化させる。
第1カプラ4は、光アイソレータ3から出力されたレーザ光を分岐し、一方のレーザ光を参照光用光ファイバ5に出力し、他方のレーザ光をセンサ用光ファイバ6に出力する。そして参照光用光ファイバ5は、第1カプラ4で分岐されたレーザ光が一方端から入力され、第2カプラ7に接続された他方に向けて光を導光して第2カプラ7に出力する。また、参照光用光ファイバ5は、例えば、シングルモードタイプのベアファイバをアクリルやPVC(Poly Vinyl Chloride)で被覆したもの等が用いられる。
センサ用光ファイバ6は、第1カプラ4で分岐したレーザ光の他方が入力され、第2カプラ7に接続された他方端に向けて光を導光して第2カプラ7に出力する。またセンサ用光ファイバ6には、参照光用光ファイバ5と同じ構成(同じ周波数特性)のものが使用される。
第2カプラ7は、参照光用光ファイバ5およびセンサ用光ファイバ6の一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせ、第1光検出器8および第2光検出器9に出力する。そして参照光用光ファイバ5およびセンサ用光ファイバ6により導光されたレーザ光は、第2カプラ7で重ね合わされ、参照光用光ファイバ5およびセンサ用光ファイバ6の光路差によって干渉光が発生する。
また、本実施形態に係る第2カプラ7は、参照光用光ファイバ5およびセンサ用光ファイバ6の一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせて干渉光を生成し、その干渉光を分岐させて第1の光、および第1の光と位相が反転した第2の光を出力する。
第1光検出器8および第2光検出器9は、第2カプラ7から出力される干渉光の強度を検出する。本実施形態では第1光検出器8は、第2カプラ7から出力された第1の光の強度を検出し、第2光検出器9は、第2カプラ7から出力された第2の光の強度を検出する。具体的には、第1光検出器8は、入射する第1の光の光強度に応じた電気信号S8を生成して差分回路10に出力する。また第2光検出器9は、入射する第2の光の光強度に応じた電気信号S9を生成して差分回路10に出力する。そして第1光検出器8および第2光検出器9には、例えばフォトダイオードが用いられる。また第1光検出器8および第2光検出器9で検出される信号の位相は反転している。
また、光源2により出力されたレーザ光は、光検出器8、9に検出されるまで光ファイバ内を伝播するため、光軸の調整や振動制御を行う必要がない。
差分回路(DIFA)10は、第1光検出器8の検出信号である信号S8と、第2光検出器9の検出信号である信号S9の差分成分を抽出して差分信号を生成する。差分成分を抽出することにより直流成分の除去やS/N(Signal to Noiseratio)比を大きくすることができる。また、差分回路10は、差分信号を検出用の信号S101としてフィルタ11に出力する。また、差分回路10は、差分信号を補正用の信号S102としてアンプ13に出力する。また、差分回路10は、位相の反転した信号S8と信号S9との差分信号を生成するので増幅機能を有する。
フィルタ11は、差分回路10から出力された信号S101から弾性波検出に必要な成分を抽出して信号S11として処理装置12に出力する。そしてフィルタ11は、例えばバンドパスフィルタにより構成され、例えば信号S101から周波数が約50kHz〜1MHzの信号を抽出して信号S11として処理装置12に出力する。
処理装置12は、例えばフィルタ11から出力された信号S11をアナログ信号からディジタル信号に変換して取り込む。この処理装置12は、例えばパーソナルコンピュータやデジタルオシロスコープ等により構成される。また処理装置12は、取り込んだ信号S11から時間と周波数の情報を抽出し、当該情報から被検査対象物20に発生する弾性波を検出する。更に処理装置12では、例えば取り込んだ信号S11にフィルタ処理、周波数変換処理、ウェーブレット変換処理等を施して、群速度分散や、特定周波数成分の経時変化が解析される。
ここでウェーブレット変換について説明する。ウェーブレット変換は、時間と周波数に依存した窓関数の形を変化させて、検出波形の全域から時間と周波数の情報を抽出する。すなわち、検出波形の各時間において時間−周波数変換を行い、周波数帯域毎の信号強度を時系列的に求める。これにより、特定の周波数における特定モードの波の到達時間の情報が得られ、例えば、音源位置を特定することができる。
アンプ(Amp)13は、差分回路10から出力された信号S102を増幅して信号S13としてフィルタ14に出力する。
フィルタ(LPF)14は、アンプ13から出力された信号S13からノイズ成分、例えば参照光用光ファイバ5およびセンサ用光ファイバ6に発生するノイズ成分を抽出して信号S14として積分器15に出力する。
フィルタ14は、例えば所定周波数よりも低い周波数成分のみを通過させるローパスフィルタ(LPF)により構成され、例えば参照光用光ファイバ5やセンサ用光ファイバ6に発生する外部からの環境ノイズ成分に相当する数kHz以下の周波数成分を信号S14として積分器15に出力する。またフィルタ14の周波数特性は、被検査対象物や外部からの環境ノイズに応じて設定することができる。
積分器(ITG)15は、フィルタ14から出力された信号S14に所定時間の積分処理を施し、処理結果を信号S15としてアクチュエータドライバ16に出力する。この積分器15は、例えば参照光用光ファイバ5に発生する外部からの環境ノイズである低周波ノイズを抽出する機能を有する。
アクチュエータドライバ(ADIV)16は、積分器15から出力された信号S15に基づいて、ノイズ成分を除去するように参照光用光ファイバ5の伸縮を制御させる制御信号S16をアクチュエータ51に出力する。例えばアクチュエータドライバ16は、アクチュエータ51駆動用電源装置により構成される。
アクチュエータ51は、例えばアクチュエータドライバ16から出力された制御信号S16に基づいて、ノイズ成分を除去するように参照光用光ファイバ5またはセンサ用光ファイバ6の光ファイバを伸縮する。本実施形態ではアクチュエータ51は、例えば印加された電圧に応じて伸縮する圧電アクチュエータにより構成される。この圧電アクチュエータは例えば参照光用光ファイバ5に接着され制御信号S16に応じて伸縮し、参照光用光ファイバ5の長手方向に沿った方向に光ファイバを伸縮させる。この光ファイバの伸縮により、光ファイバの屈折率の変化および光路長の変化が生じる。例えば圧電アクチュエータは、例えば矩形状に形成され、印加された電圧に応じて逆圧電効果により長手方向に伸縮を行う。この圧電アクチュエータの長手方向と、光ファイバの長手方向とをそろえて接着させる。
図2(a)は本発明のセンサホルダの構成の一例を示す図である。このセンサホルダは、例えば高さ20mmの円柱部21の上部中心に直径10mm、高さ0.5mmの突起部22を備え、円柱部21の周囲にセンサ用光ファイバ6を所定の回数巻きつけたものである。ここで、共振周波数を変えるために円柱部21の直径を20mm、30mm、40mmの3種類した場合について説明する。
図2(b)は図2(a)のセンサホルダの直径が20mmの場合の検出波を示す図である。本発明のセンサホルダの共振周波数を調べる方法として、センサ用光ファイバ6を巻きつけたセンサホルダの突起部22で芯を圧折し波を検出すると、図2(b)のような検出波が得られる。フーリエ変換をおこなってこれらの波の周波数を調べると図3のようになる。各センサは下記のような固有振動数をもっている。この振動数は理論的に計算される振動数に近い。
センサ20(ホルダ直径20mm):共振周波数123kHz
センサ30(ホルダ直径30mm):共振周波数103kHz
センサ40(ホルダ直径40mm):共振周波数83kHz
図4は本発明による鋼板の2次元位置標定法の概要を示す図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。尚、鋼板25の厚さを4.6mm、横方向の寸法を916mm、縦方向の寸法を1830mmとして、横方向をx軸、縦方向をy軸とし、x軸、y軸の中点をOとする。そしてx軸、y軸の各点を座標により表すものとする。
そして鋼板25上に配置してあるのは1本のセンサファイバ6で、図2で説明したセンサ20、30、40と書かれた位置に周波数の異なるセンサ機能を持たしてマルチセンサファイバを構成している。すなわち、この図では1本のセンサファイバ6を3個のセンサに分割し、センサ20は座標(−100、−700)、センサ30は座標(400、850)、センサ40は座標(−400、250)に配置する。そして音源aが座標(−400、−150)、音源bが座標(200、500)から発生したとする。
音源(source)を標定するためには、3個のセンサに到達する波(この場合は板波)の時間を測定する必要があるが、それぞれのセンサがいつ波を検出したのかを知らなければならない。この目的にためには、それぞれのセンサに異なる周波数特性を持たせればよい。このため、図2(a)に示すように、直径(20、30、40mm)や長さの異なる円柱部21を用意し、円柱部21の円周にファイバ6を巻きつける。この棒のことをここではセンサホルダと呼ぶ。センサホルダには、小さな領域でAE波が検出できるように、直径10mmの突起部22を備えているが、直径や高さは目的に応じて変更できる。またこの実施形態では、アルミを使用しているが、磁性材料にすれば鋼板などには簡単に取り付けることも出来る。ホルダの材質や寸法は、どのような周波数(後述するようにホルダの共振周波数)を持たすかによって適宜変更できるので、応用は極めて広い。ここでは、80kHzから130kHzの周波数域内に異なる周波数特性を持たすため、直径が20、30、50mmのものを用いている。またセンサホルダに巻きつけたファイバは、テープや接着剤で固定する。ここでは5周まきつけているが、巻き付け回数も適宜変更できる。
図4で3個のホルダを図の位置に設置したとすると、音源a、音源bまでの距離は下記のようになる。音源からは放射状の板波が放出されるので、距離の短い順にそれぞれのセンサがそれぞれの周波数で波(波束)を検出しなければならない。
音源aまでの距離:音源bまでの距離
センサ20(ホルダ直径20mm): 626mm:1237mm
センサ30(ホルダ直径30mm): 1281mm:403mm
センサ40(ホルダ直径40mm): 400mm:650mm
図5(a)は音源aで芯の圧折を行ったときの検出波を示す図である。縦軸に出力電圧、横軸に時間を示す。この図から分かるとおり、やや複雑な波形になっているが、いくつかの波束がみられる。即ち、領域Aにはセンサ40の波形が観測でき、領域Bにはセンサ20の波形が観測でき、領域Cにはセンサ30の波形が観測できる。また領域Dには各センサの反射波が観測できる。
この波にウェーブレット変換をおこなって、時間・周波数平面に書直すと図5(b)のようになる。鋼板端面からの反射(領域d、e)が遅い時間に見られるが、3つのセンサに該当する波束(領域a、b、c)が検出できており、周波数成分はセンサ40が85kHz、センサ30が100kHz、センサ20が130kHzにある。3つのホルダの周波数を前述した図2の方法で調べると、これらの周波数はホルダ共振周波数に該当しているのが解る。
また精度を特に問題にしなければ、図5(b)の最大強度を示す時間差から音源位置が求まるが、精度を上げるためには次のような処理をする。即ち、図5の波に、各センサホルダの共振周波数のウェーブレット係数経時変化を求めると図6に様になる。これから到達時間を読むと次のようになる。
センサ20への123kHz成分の到達時間:0.20ms
センサ30への103kHz成分の到達時間:0.45ms
センサ40への83kHz成分の到達時間:0.13ms
検出している波は、板波の中でも非対称運動する基本モード(Aoモード波)であるので、Aoモード波の100kHzにおける群速度:2837m/s(理論値に計算)を用いて音源位置を標定すると、(−400、−150)となり、与えた音源位置(−400、−170)mmと50mm以下の精度で標定されている。板が小さいのでやや面倒な標定アルゴリズムを使用せざるをえないが、大きな板では図の最大振幅到達時間を使えば簡単に標定できる。
図7(a)は音源bで芯の圧折を行ったときの検出波を示す図である。縦軸に出力電圧、横軸に時間を示す。即ち、領域Aにはセンサ30の波形が観測でき、領域Bにはセンサ40の波形が観測でき、領域Cにはセンサ20の波形が観測できる。図7(b)のウェーブレットと等高線図には3個の波束(領域a、b、c)が観察され、図5に示した周波数帯とほぼ一致している。
図8は、83kHz、103kHz、123kHzのウェーブレット係数経時変化である。同様方法で音源位置を標定すると、(200、500)mmとなり、与えた位置(231、414)mmと90mmの誤算内に標定された。本実施形態では3個のセンサしか使用していないが、多くのセンサを使用すればさらに精度を上げることが出来る。本発明は簡単な方法で、一本のセンサファイバを多くのAEセンサに分割で出来るという特徴を有しており、応用分野の大幅な拡張につながる。
(実施例1)
図9は本発明のセンサホルダをフランジ継ぎ手配管に複数設定した場合の音源位置標定法を説明する図である。本実施例では、パイプAとパイプBをソケット32で接続し、パイプBとパイプCをエルボ31で接続する。そしてパイプAにはセンサ40を配設し、パイプBにはセンサ30を配設し、パイプCにはセンサ20を配設する。それらを光ファイバ33により直列に接続してマルチセンサファイバを構成する。また、パイプAには音源Aを発生させ、パイプBには音源Bを発生させ、パイプCには音源Cを発生させて位置を標定した。尚、音源としては芯を圧折してAE波を発生させた。また、パイプAの形状として長さが960mm、パイプAとソケット32との接続部から300mmの位置にセンサ40を配設し、そこから190mmの位置に音源Aを設ける。同じくパイプBの形状として長さが980mm、パイプBとソケット32との接続部から380mmの位置にセンサ30を配設し、そこから200mmの位置に音源Bを設ける。またパイプCの形状として長さが960mm、パイプCとエルボ31との接続部から300mmの位置にセンサ20を配設し、そこから180mmの位置に音源Cを設ける。ここで、各センサの特性は、センサ20(ホルダ直径20mm):共振周波数120kHz、センサ30(ホルダ直径30mm):共振周波数100kHz、センサ40(ホルダ直径40mm):共振周波数80kHzである。
フランジは超音波伝播の障害になり、AEはフランジ間を往復伝播する。このため、フランジを超えて設置されたAEセンサを用いてパイプのどこに音源(損傷)があるかを調べることは出来ない。配管が長い場合、基本単位長さ(一般には6m)の管の数だけセンサを並列に設置して計測することになる。たとえば1kmのパイプラインでは、166個ものセンサを並列に設置する必要がある。そこで本実施例では、一本長いセンサファイバを何個ものセンサに直列に分割でき、かつファイバは信号伝達ケーブルの役目もするので、極めて軽量でシンプルなセンシングを可能にする。図9は、約1m長の鋼管3本(パイプA、B、C)をソケット32とエルボ31を介して接続した配管の損傷源(芯圧折)が何処にあるかをセンサホルダを用いて評定する方法である。パイプAにはセンサ40を、パイプBにはセンサ30を、パイプCにはセンサ20を1本のセンサファイバ33に設置してマルチセンサファイバを構成し、それぞれのパイプに音源を与えて音源のあるパイプを標定した。
図10(a)は図9のパイプAの音源Aに音源を与えたときの直列センサファイバで検出された円筒波AEの図である。この波のパワースペクトルを取ると図10(b)のように82kHzに最大ピークをもっている。この周波数は、センサ40の共振周波数であるので、センサ40が設置してあるパイプAに音源があることになる。同様にパイプBに音源Bがある場合には、図11(b)に示すように101kHzの波を検出しており、100kHzに共振周波数をもつセンサ30が設置してあるパイプBに音源があることがわかる。図12は音源CがパイプCにあるときの例で、センサ20の共振周波数120kHzに近い波(115kHz)が検出されている。
(実施例2)
本実施例では、シロアリ食害検出センサとして本発明を応用した例である。 図示は省略するが、シロアリによる木材の食害をAEセンサで検出する発明は多いが、いずれも並列センサを用いているため、検出システムが高価になり個人住宅に設置できるものではない。木造建築物の何処が食害を受けているのか、あるいはシロアリがいるのかいないのかを簡便にセンシングする目的にも本発明は極めて有効である。この場合には、センサホルダには材木を用い、これを柱に埋込む(打込む)方法を用いれば、1本のファイバセンサで家屋あるいは神社仏閣などの大型木造建造物の食害位置の検出が可能になる。円筒木材にシロアリが好む物質を含有させておけば、シロアリを集めて、シロアリの有無を早期に検出することも可能である。
図13は板を伝播するラム波の波形が板厚方向の音源位置によって変化する様子を示す図である。1本の光ファイバに、多くのセンサ機能(マルチ・センサ・ファイバという)を持たせる方法と、危険箇所を標定する方法における問題は、それぞれのセンサホルダは、ホルダの共振波を検出するのみで、部材を伝播する超音波(AE)波形は歪められるという問題があった。たとえば、板を伝播するAEは板波(ラム波)と呼ばれ、固有の波形を示す。固有の波形とは地震で経験される上下や水平振動と同じで、これらの振動は縦波が早く横波が遅れて到達することによって縦波と横波が固有の振動(ゆれ)を示すのと同じである。
図13には(a)〜(d)の4種類の波形を示したが、(a)は音源が板の表面にあるとき、(d)は音源が板厚の中央にあるとき、(b)や(c)はその中間にあるときの波である。遅れて到達する大きな振幅の波は、図14(a)に示すように板の中をうねるように伝播する波で、Aoモード波(非対称モード波、anti-symmetric mode)と呼ばれる。一方、図14(b)に示すように早い時間に見られる振幅の小さな波は、Soモード波(対称モード波、asymmetric mode)と呼ばれ粗密振動をしながら伝播播する波である。
これらの波には、図15に示すように、色々なモード波があり、それらの速度は周波数によって変化する(速度分散)という面倒な性質があるが、検出されるモード波は低周波数のSoとAoモード波と書かれた波である。Soモードの低周波数の速度は板厚に依存しない一定値(シート速度という)をとるので、どのセンサホルダが検出した波かが判れば、シート速度から音源位置をきわめて正確に標定することも可能になる。一般にSoモード波の振幅は小さいので検出が難しいが、本発明はこのSoモード波も検出するものである(詳細は後述する)。
図13に示したような波は、図2(a)に示すセンサホルダの突起部22を被検査対象物に接触させる方法では検出できなった。すなわち、図2(a)に示すセンサホルダでは、図13のような波がセンサホルダを振動させた結果生じる共振波のみを検出していたからである。図13に見られる様に、音源が板の表面にある場合と板の中央にある場合で、波の振幅は大きく異なるので、伝播する超音波の波形を正確に検出することは、損傷が板の何処まで進展しているかを知る上でも極めて重要である。Aoモード波の振幅をA、Soモードの振幅をSとすれば、A/Sは音源が板中央にあるときは0、音源が表面にあるときには最大値をとるので、A/Sを調べれば板厚方向の位置までわかるので、3次元の位置標定が可能である。しかし、図2(a)に示すセンサホルダでは2次元位置標定しかできなかった。
またAEの波形(特にSoモードの初動波)は、破壊の大きさや生成速度(地震でいう規模)を推定する上でも極めて重要であり、これが計測できるメリットは大きい。破壊の大きさや規模(破壊のダイナミックスという)を推定する原波形解析についてはここでは言及しないが、すでに開発済みである。即ち、一本の光ファイバをいくつかのセンサに直列に分割する場合、それぞれのセンサは、1)超音波波形を正しく検出するとともに、2)その波形はどのセンサが検出したかがわからなければならない。前述した図2(a)に示すセンサホルダで行ったことは2)である。
そこで本実施形態では、1)と2)が同時に出来るセンサホルダについて説明する。
図16は本発明の実施形態に係る超音波センサの構成を示す図である。(a)は側断面図であり、(b)は正面図である。この超音波センサ50は、少なくともセンサ用光ファイバ6の一部が試験片41にP点で接触するように配設される。そしてセンサ用光ファイバ6の表面の一部を、センサホルダ21が有する共振定在波を減衰させる防食テープ40により被覆されている。即ち、図2(a)のセンサホルダ21を横に寝かすように試験片41の表面に設置する。またセンサホルダ21の共振定在波に減衰を与える目的で、防食テープ40で設置面以外を覆った。これによって、センサホルダ21の共振定在波の持続時間を抑え、構造物へのホルダの取付けを容易にしている。これにより、狭い領域で発生するAEの到達を時間的に区別して検出できるようにした。この超音波センサ50を用いれば、試験片41と接する光ファイバ6がAE波の初期部分を正確に検出するとともに、外周に巻いた光ファイバ6がセンサホルダ21の共振波を検出する。なお、超音波センサ50の共振周波数はセンサホルダ21の外径及び厚さ、密度等に依存し、目的にあわせて変更できる点は、図2(a)で記載した通りである。
図17は圧電トランスミッタで励起したラム波を検出して超音波センサの異方性を調べる図である。この実験では、超音波センサ50から200mm離れた位置に設置した圧電素子43トランスミッタ(共振周波数450kHz)を用いてAEを励起し、超音波センサ50を用いてラム波AEを検出している。図16の超音波センサ50の軸方向に対して直交する位置を0°とし、圧電素子43の位置が超音波センサ50の軸方向に対して0°、45°、90°方向に圧電素子43を置いてラム波AEを検出した。この実験に用いたセンサホルダの共振周波数は81kHzのアルミニウム製である。
図18は図17の実験結果を示す図である。図18(a)はアルミニウム板上で検出した波形、図18(b)は検出波の周波数成分を示す図である。
図18(a)から解るとおり、共振波の振幅は45°方向からのラム波で最も大きく、90°方向からのラム波振幅が一番小さい。その詳細な理由は本発明の主旨ではないので省略する。尚、図18(b)のパワースペクトルでは、センサの共振周波数81kHzに強いピークを示している。センサホルダ21の直径や形状を変えれば、異なった周波数を示すようになり正確な位置標定が出来る。
図19は、0°方向からのラム波のウェーブレット係数分布図である。縦軸は伝播距離(既知)を伝播時間(実測)で割ったもので波の伝播速度を、横軸は周波数を示す。図中に示した曲線44はA0モードの理論群速度分散で、検出波の初動部に見られたAoラム波の速度分散45と一致している。なお図には0.08MHzの成分(垂直線)46が強く出ているが、これはセンサの共振周波数である。
次に、このセンサホルダを用いた損傷源位置標定法について示す。図20はマルチセンサを用いた音源位置標定の実験装置の図である。ここでは、共振周波数の異なる3個の超音波センサ(α、β、γ)を一本の光ファイバに直列に設置した。共振周波数が91kHz(α)、81kHz(β)、86kHz(γ)の3つの超音波センサを用いて、速度異方性のある直交炭素繊維複合材料(クロスプライCFRP)の音源位置評定法を示す。CFRPは、軽量・高強度材料で、航空機の翼やH2ロケットの固形燃料タンクなどに使用されている。固形燃料タンクでは、タンク移動中の損傷を極めて嫌うので軽量な損傷検出法が求められているので本手法は極めて有望である。ただしCFRPは、伝播速度が方向によって大きく異なる(繊維方向で早く45度方向で遅い)という問題がある。図20に示すように、三角形の各頂点に3個の超音波センサを設置し、一本のファイバで接続してラム波AEを検出する。
図21は、検出波(a)、(b)、(c)、(d)のウェーブレット強度経時変化を示す図である。図20のA点(97、94)でラム波を励起し、3個のセンサで検出された波形を(a)、この波形からウェーブレット変換を用いて81kHz、86kHz、91kHz成分を取りだしてその経時変化をそれぞれ(b)、(c)、(d)に示した。波(a)には3つの波束が見られるが、どの波束がどのセンサに対応するかがわからない。そこで、あらかじめ判っている3センサの共振周波数におけるウェーブレット係数の経時変化を求めると、(b)、(c)、(d)のようになる。それぞれの図には3つのピークが現われているが、最大ピークの到達時間(図中の○をつけたピーク)から、波は(d)→(b)→(c)の順に到達していることが判る。センサの共振周波数と照合すると、AEはセンサα→β→γの順に到達していることになる。
図22は260kHzのウェーブレット強度経時変化を示す図である。なおここで、260kHzという周波数は、クロスプライCFRPに対してAoモードラム波の速度異方性がない特殊な周波数である。図21(a)では、振幅の小さいAoモードラム波は大きな振幅の共振波に隠れて見えないが、ウェーブレット変換をおこなうと図22のように3つのピークが検出でき、早い時間からα→β→γの順に検出していることがわかる。3ピークの到達時間差と260kHzにおけるラム波の速度(1260m/s)から音源位置を推定すると、音源(A)は、(96、103)に標定された。これは10%以下の距離誤差で、標定精度はかなりよいのが解る。
図23はクロスプライCFRP板を3点曲げによって損傷させた際の検出AEの一例を示す図である。このAEは、クロスプライCFRP板を3点曲げ試験によって損傷させた際に発生したAEである。光ファイバセンサは、早い時間にラム波S0モードとA0モードを検出している。遅い時間の波束は3センサの共振による波である。この検出波の振幅は極めて大きく(5V)、微小な損傷も検出できることを示している。なおこの波の詳細な解析を行えば、何処で(板厚の表面か内部か?)、どんな損傷(繊維の破断か?樹脂の剥離か?)が、どのくらいの速度(損傷の大きさと損傷速度)などがわかるが、詳細は割愛する。本実施形態の超音波センサは、3次元の音源位置特定を可能にするのみでなく、AE波形を広周波数帯域で検出することを可能にした。
図24は防食テープの有無による共振波の減衰の様子を示す図である。波形Aは防食テープ40が内場合であり、波形Bは防食テープ40がある場合である。この図から明らかな通り、防食テープ40がある場合は共振波が早く減衰していることが解る。
以上の通り本発明によれば、被検査対象物の破壊、亀裂および腐食箇所を特定するために、光ファイバを、異なる周波数特性を有する複数の超音波センサに分割して直列に被検査対象物に配設するので、光ファイバを1本で構成が可能であり、且つ超音波センサの増設を容易に行うことができると共に、被検査対象物に発生する弾性波の位置を特定することができる。
また、センサ用光ファイバを所定回数巻回するセンサホルダを備え、このセンサホルダの材質若しくは形状により異なる周波数特性を得るようにしたので、どの周波数が発生したかにより超音波を検出したセンサを特定でき、その結果、破壊、亀裂および腐食箇所を特定することができる。
また、センサホルダは、被検査対象物に接触させる部分を突起形状としたので、被検査対象物に伝播するAE波を感度良く検出することができる。
また、センサホルダの材質は、固体若しくは金属若しくは磁性材料であるので、アルミニウムで製作した場合、超音波センサを軽量に且つ安価に製作することができ、磁性材料で製作した場合は、鋼材により構成された被検査対象物に容易に取り付けることができる。
また、センサホルダは、中空材若しくは中実材により構成されているので、軽量化したい場合は、内部を中空にした材料で構成し、また特にその必要がなければ、中実材を削り出して構成したり、型で整形して製作することができる。
また、センホルダの材質を同一材質とした場合、センサホルダの径、若しくは厚みを変更することにより周波数特性を調整するので、容易に周波数特性の異なる超音波センサを製作することができる。
また、超音波センサ50は、少なくともセンサ用光ファイバ6の一部が被検査対象物に接触するように配設されるので、直接AEを検出することが可能となり、被検査対象物の破損の部位を更に詳しく判断することができる。
また、超音波センサ50は、センサ用光ファイバ6の表面の一部若しくは全部を、センサホルダが発生する共振定在波を減衰させる材料(防食テープ40)により被覆されるので、狭い領域で発生するAEの到達を時間的に区別することができる。
本発明の第1の実施形態に係る弾性波検出装置の構成図である。 (a)は本発明のセンサホルダの構成の一例を示す図、(b)は(a)のセンサホルダの直径が20mmの場合の検出波を示す図である。 (a)(b)はセンサ20、30、40の周波数特性を示す図である。 本発明による鋼板の2次元位置標定法の概要を示す図である。 (a)は音源aで芯の圧折を行ったときの検出波を示す図、(b)はこの波にウェーブレット変換をおこなって、時間・周波数平面に書き直した図である。 ウェーブレット変換を用いて図5の検出波から83、103、123kHz成分を抽出した図である。 (a)は音源bで芯の圧折を行ったときの検出波を示す図、(b)はウェーブレットと等高線図である。 83kHz、103kHz、123kHzのウェーブレット係数経時変化を示す図である。 本発明のセンサホルダをフランジ継ぎ手配管に複数設定した場合の音源位置標定法を説明する図である。 (a)は図9のパイプAの音源Aに音源を与えたときの直列センサファイバで検出された円筒波AEの図、(b)はこの波のパワースペクトルを取った図である。 (a)は図9のパイプBの音源Bに音源を与えたときの直列センサファイバで検出された円筒波AEの図、(b)はこの波のパワースペクトルを取った図である。 (a)は図9のパイプCの音源Cに音源を与えたときの直列センサファイバで検出された円筒波AEの図、(b)はこの波のパワースペクトルを取った図である。 板を伝播するラム波の波形が板厚方向の音源位置によって変化する様子を示す図であり、(a)は音源が板の表面にあるときを示す図、(d)は音源が板厚の中央にあるときを示す図、(b)や(c)はその中間にあるときの波を示す図である。 Soモード波とAoモード波の振動の様子を示す図であり、(a)は非対称モード波を示す図、(b)は対称モード波を示す図である。 ラム波に存在する各種モード波とそれらの速度分散を示す図である。 本発明の実施形態に係る超音波センサの構成を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は正面図である。 圧電トランスミッタで励起したラム波を検出して超音波センサの異方性を調べる図である。 (a)はアルミニウム板上で検出した波形を示す図、(b)は検出波の周波数成分を示す図である。 (a)はAoモード理論群速度分散曲線を示す図、(b)は初動ラム波部分拡大図である。 マルチセンサを用いた音源位置標定の実験装置の図である。 (a)、(b)、(c)、(d)は検出波のウェーブレット強度経時変化を示す図である。 260kHzのウェーブレット強度経時変化を示す図である。 クロスプライCFRP板を3点曲げによって損傷させた際の検出AEの一例を示す図である。 防食テープの有無による共振波の減衰の様子を示す図である。 従来技術の構成を示す図である。
符号の説明
1…弾性波検出装置、2…光源、3…光アイソレータ、4…第1カプラ、5…参照光用光ファイバ、6…センサ用光ファイバ、7…第2カプラ、8…第1光検出器、9…第2光検出器、10…差分回路、11…フィルタ、12…処理装置、13…アンプ、14…フィルタ、15…積分器、16…アクチュエータドライバ、17…被検査対象物、18a、18b、18c、18d…センサホルダ、40・・・防食テープ、51…アクチュエータ

Claims (6)

  1. 単一波長光を出射する光源と、該光源からの出射光を分岐するスプリッタと、被検査対象物に配設され前記スプリッタにより分岐された一方の光を導光するセンサ用光ファイバと、前記スプリッタにより分岐された他方の光を導光する参照光用光ファイバと、前記センサ用および参照光用の各光ファイバの一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせる結合手段と、該結合手段により重ね合わされた光の強度を検出する光検出手段と、該光検出手段により検出された検出信号に基づいて前記被検査対象物に発生する弾性波を検出する処理手段と、前記光検出手段の検出信号からノイズ成分を抽出するノイズ抽出手段と、該ノイズ抽出手段が抽出した検出信号に含まれるノイズ成分を除去するように前記参照光用の光ファイバの伸縮量を制御する伸縮制御手段と、を備えた弾性波検出装置において、前記センサ用光ファイバは、該センサ用光ファイバを所定回数巻回するセンサホルダを備え、該センサホルダの材質を同一材質とすると共に、当該センサホルダの径、若しくは厚みを変更することにより異なる周波数特性を有する複数の超音波センサとし、該超音波センサを直列に接続してループを構成し、当該複数の超音波センサを前記被検査対象物に配設したことを特徴とする弾性波検出装置。
  2. 前記センサホルダの一部に突起部を備え、該突起部を前記被検査対象物に接触させることを特徴とする請求項1に記載の弾性波検出装置。
  3. 前記センサホルダは、所定の共振周波数を有する材質により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の弾性波検出装置。
  4. 前記センサホルダは、中空材若しくは中実材により構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の弾性波検出装置。
  5. 前記超音波センサは、少なくとも前記センサ用光ファイバの一部が前記被検査対象物に接触するように配設されることを特徴とする請求項1、3、又は4に記載の弾性波検出装置。
  6. 前記超音波センサは、前記センサ用光ファイバの一部若しくは全部が、前記センサホルダが発生する共振定在波を減衰させる材料により被覆されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の弾性波検出装置。
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