JP4471394B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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本発明は、恒温恒湿室等の内部の雰囲気の温度及び湿度を調節するにあたり、雰囲気内にある水の温度を雰囲気の湿球温度より低くすることで吸湿作用を持つという水の特性を利用し、従来の平衡調温制御等によるものと比較して、より少ないエネルギーで調節が可能な空気調和装置を提供することを目的とする。
本発明は、
雰囲気が雰囲気の湿球温度未満の水と接触すると除湿と同時に熱交換が行われ、前記水の表面を通るように流れる空気流の風速は1〜10m/secで雰囲気の顕熱の降下は0〜−2℃であり、顕熱が不足した熱量を室温用冷却コイルで追加して制御が行われる空気調和装置であって、
空気調和室の内部を制御空間部と機械室に区画する区画板と、
前記区画板の上部に設けられており制御空間部と機械室を連通させる吹出口と、
前記区画板の下部に設けられており制御空間部と機械室を連通させる吸込口と、
前記区画板の下部でつながっており、前記空気調和室内を循環している雰囲気を湿球温度未満に冷却された水の水面に接触するように誘導して流す整風板と、
前記機械室に設けられている、室温用ヒーター、室温用冷却コイル、及び前記吹出口へ向けて送風を行う雰囲気循環用ファンと、
雰囲気に水面が接触するように設けられている貯水容器、貯水容器内の水を加温するヒーター及び貯水容器内の水を冷却する冷却コイルを備えている湿度調節駆動部と、
雰囲気の湿度を低くする場合は冷却コイルで水を雰囲気の湿球温度未満になるように、雰囲気の湿度を高くする場合はヒーターで水を雰囲気の湿球温度以上になるように制御を行う制御部と、
前記室温用冷却コイルと湿度調節駆動部の冷却コイルに冷媒を供給する冷凍機と、
を備え、
前記冷凍機から室温用冷却コイルへつながっている冷却用冷媒供給路には、冷却用電磁膨張弁が設けられており、冷凍機から冷却コイルへつながっている除湿用冷媒供給路には、除湿用電磁膨張弁が設けられており、前記冷却用電磁膨張弁及び除湿用電磁膨張弁は、時間比例電磁弁であり、
前記恒温恒湿室装置の前記制御部による雰囲気の温度の制御は、冷却は、冷凍機から室温用冷却コイルへ供給する冷媒を0〜100%容量制御とし、加熱は室温用ヒーターを0〜100%の時間比例制御とし、湿度調節駆動部の貯水容器内の水の温度の制御は、冷却コイルに供給する冷媒を0〜100%容量制御とし、加湿の際に使用するヒーターは、0〜100%の時間比例制御としたことを特徴とする、
空気調和装置である。
本発明に係る空気調和装置及び恒温恒湿室装置の作用を説明する。
恒温恒湿室装置は、空気調和室と空気調和装置で構成されている。
空気調和室内の温度及び湿度の目的の値(例えば20℃/45%)を制御部等で設定する。空気調和室内の雰囲気は、空気調和中は雰囲気循環用ファンにより常時循環している。
まず、室温用ヒーターまたは室温用冷却コイルを制御部等で制御し運転することによって空気調和室内の雰囲気の温度を調節し、設定温度(20℃)に向かわせる。
湿度の制御においては、雰囲気の湿度が設定湿度より高く、湿度を低くする必要がある場合は、湿度調節駆動部において冷却コイルで水を雰囲気の湿球温度未満になるように冷却する。除湿能力を高めたいときには、水の温度をより低くする。また、水を不凍液で代替して使用すれば、0℃以下での運転も可能になり、除湿能力をさらに高めることができる。
このように、空気調和装置によれば、従来の平衡調温制御によるもののように過冷却と再加湿を行う必要がなく、雰囲気の温度及び湿度を設定値へ並行して向かわせて到達させることができる。
また、設定値に到達した後の温度及び湿度の保持または制御を行うために必要なエネルギーは、除湿及び加湿を行うことによる潜熱負荷と、雰囲気内の水の温度の保持または調節に必要なエネルギーだけであり、しかもこの水の温度を調節するために必要なエネルギーは比較的小さい。したがって、本発明によれば、従来の平衡調温制御によるものよりはるかに少ないエネルギーで、雰囲気の温度及び湿度の調節が可能である。
〔実施の形態〕
図1は本発明に係る恒温恒湿室装置の実施の形態を示す説明図である。
区画板10の上部には、制御空間部11と機械室12を連通させる吹出口13が設けられている。吹出口13の近傍には、温湿度センサ80が設けられている。温湿度センサ80は、制御部8を構成する。
水循環装置63は、水64を循環させて攪拌することにより、水64の温度を均一化するものである。また、水の温度が氷点に近い温度、例えば2℃くらいになっても、水内の冷却コイル62付近が凍結することを防止できるものである。
図2は水の温度と雰囲気の湿球温度及び除湿出力、加湿出力の関係を示す説明図、
図3は雰囲気の湿度が設定湿度に到達するまでの湿り線図、
図4は雰囲気の湿度が設定湿度に到達した後の湿り線図、
図5は雰囲気の温度及び湿度の制御範囲を示す線図(外気が導入されない場合)、
図6は雰囲気の温度及び湿度の制御範囲を示す線図(外気が導入される場合)、
図7は雰囲気の温度及び湿度の制御に伴う温度、湿度及び水温の変動を示す説明図である。
恒温恒湿室装置Aの作用を図1ないし図7を参照して説明する。
また、湿度調節駆動部6の貯水容器60内の水の温度の制御では、冷却コイル62に供給する冷媒を0〜100%容量制御とした。加湿の際に使用するヒーター61は、0〜100%の時間比例制御とした。
設定温度及び湿度を目的の値(例えば20℃/45%)に制御部8で設定する。空気調和室1内の雰囲気は、ファン2により循環している。
まず、制御部8の制御によって、室温用ヒーター3または室温用冷却コイル4を運転することによって、空気調和室1内の雰囲気の温度を調節し、設定温度(20℃)に向かわせる。
そして、水面で湿球温度未満に冷やされた雰囲気中の水分は水となって水面から水64中に取り込まれる。これによって、雰囲気の除湿が行われる。なお、除湿の際に水面近傍で放散される潜熱の大部分は低温の水46に取り込まれ、雰囲気の温度の変動にほとんど影響はない。
これによって、制御開始から設定湿度に到達する時間を、整風板5で誘導しないものと比較して短くすることができる。また、これにより設定湿度との誤差を例えば±0.5%RH以下に制御することができる等、制御の精度を向上させることが可能になる。
雰囲気の温度及び湿度が設定値に到達すると、後の温度及び湿度の維持のための制御は、室温用ヒーター3または室温用冷却コイル4による室温調節と雰囲気内の水64の温度を調節することにより行う(図7(c)参照)。
また、例えば密閉空間で一旦制御湿度になると、除湿も加湿もしない状態になり、除湿及び加湿による潜熱負荷がなくなり、ドアの隙間の漏れ空気等による負荷のみを補正するエネルギーが必要になるだけとなる(図4参照)。
なお、恒温恒湿室装置Aの空気調和室1内に外気(新鮮空気)を常時導入する場合でも、除加湿信号を冷却加熱出力に変換すれば、湿度調節駆動部6の水64の温度の自動制御は可能である。
図7を主に参照する。
外気温度が25℃の時に、空気調和室1内の温度及び湿度設定値を温度20℃、湿度45%RH(相対湿度)として運転した。
まず、温度が設定値に到達し、続いて、水64の温度の調節により並行して制御されていた湿度が設定値に到達した(図7(a)、(b)参照)。
設定値到達後の冷却出力は0〜4%の範囲内に収まり、加熱出力は0%であった。なお、このとき水64の水面付近の風速を5m/secに設定しており、湿度の設定値到達時間を比較的短かくすることができ、制御における変動幅を小さくして制御の精度を高めることができた。
初期温度が25℃、60%RHである時に、温度20℃、湿度45%の設定値で制御する場合は、温度20℃にする冷却制御は、室温用冷却コイル4によって行う。また、湿度45%にする除湿制御は、湿度調節駆動部6によって行う。図3において(1)は初期時の温湿度、(2)は仮想温湿度、(3)は目的の温湿度(設定値)である。
図において(1)は制御ポイント、(2)は冷却負荷時のポイント、(3)は加熱負荷時のポイントである。温度は外壁の熱(−負荷)及びファン稼動熱(+負荷)を補う冷却又は加熱エネルギーにて制御を行う。また、発熱負荷が室内にある場合は発熱負荷量に対応した冷却負荷が増すことになる。湿度は、水64の温度を保持するだけの加熱にて制御を行うので、湿り線図上では平衡になる。
図5に示すように、恒温恒湿室等で一般的に採用される温湿度設定値である25℃/45%近辺は、外気導入がない条件下での除湿制御範囲に含まれる領域に十分に含まれる。
また、外気導入がない条件下においては、10〜60℃の範囲内での除湿及び加湿制御が可能であり、湿度制御も高温部(60℃)では25〜95%の範囲で可能である。
(m 2 =水面の面積 水面風速=1.0m/sec〜10m/secで制御)
1 空気調和室
10 区画板
11 制御空間部
12 機械室
13 吹出口
14 吸込口
15 ドア
2 ファン
3 室温用ヒーター
4 室温用冷却コイル
5 整風板
6 湿度調節駆動部
60 貯水容器
61 ヒーター
62 冷却コイル
63 水循環装置
64 水
7 冷凍機
70 冷却用冷媒供給路
71 冷却用冷媒返送路
72 冷却用電磁膨張弁
73 除湿用冷媒供給路
74 除湿用冷媒返送路
75 除湿用電磁膨張弁
8 制御部
80 温湿度センサ
Claims (1)
- 雰囲気が雰囲気の湿球温度未満の水と接触すると除湿と同時に熱交換が行われ、前記水の表面を通るように流れる空気流の風速は1〜10m/secで雰囲気の顕熱の降下は0〜−2℃であり、顕熱が不足した熱量を室温用冷却コイルで追加して制御が行われる空気調和装置であって、
空気調和室(1)の内部を制御空間部(11)と機械室(12)に区画する区画板(10)と、
前記区画板(10)の上部に設けられており制御空間部(11)と機械室(12)を連通させる吹出口(13)と、
前記区画板(10)の下部に設けられており制御空間部(11)と機械室(12)を連通させる吸込口(14)と、
前記区画板(10)の下部でつながっており、前記空気調和室(1)内を循環している雰囲気を湿球温度未満に冷却された水(64)の水面に接触するように誘導して流す整風板(5)と、
前記機械室(12)に設けられている、室温用ヒーター(3)、室温用冷却コイル(4)、及び前記吹出口(13)へ向けて送風を行う雰囲気循環用ファン(2)と、
雰囲気に水面が接触するように設けられている貯水容器(60)、貯水容器(60)内の水(64)を加温するヒーター(61)及び貯水容器(60)内の水(64)を冷却する冷却コイル(62)を備えている湿度調節駆動部(6)と、
雰囲気の湿度を低くする場合は冷却コイル(62)で水(64)を雰囲気の湿球温度未満になるように、雰囲気の湿度を高くする場合はヒーター(61)で水(64)を雰囲気の湿球温度以上になるように制御を行う制御部と、
前記室温用冷却コイル(4)と湿度調節駆動部(6)の冷却コイル(62)に冷媒を供給する冷凍機(7)と、
を備え、
前記冷凍機(7)から室温用冷却コイル(4)へつながっている冷却用冷媒供給路(70)には、冷却用電磁膨張弁(72)が設けられており、冷凍機(7)から冷却コイル(62)へつながっている除湿用冷媒供給路(73)には、除湿用電磁膨張弁(75)が設けられており、前記冷却用電磁膨張弁(72)及び除湿用電磁膨張弁(75)は、時間比例電磁弁であり、
前記恒温恒湿室装置(A)の前記制御部(8)による雰囲気の温度の制御は、冷却は、冷凍機(7)から室温用冷却コイル(4)へ供給する冷媒を0〜100%容量制御とし、加熱は室温用ヒーター(3)を0〜100%の時間比例制御とし、湿度調節駆動部(6)の貯水容器(60)内の水の温度の制御は、冷却コイル(62)に供給する冷媒を0〜100%容量制御とし、加湿の際に使用するヒーター(61)は、0〜100%の時間比例制御としたことを特徴とする、
空気調和装置。
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