以下に、本発明の光学機器の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の光学機器の実施形態として、カメラと、カメラに対し着脱マウントを介して着脱可能に装着される交換レンズ(レンズユニット)とを含む光学機器(カメラシステム)を示す概念図である。なお、本発明におけるカメラは、感光部材としてCCDやCMOSなどの撮像素子、フィルム(銀塩フィルム)を用いるものである。
図1において、1は、撮像画面サイズの大きさが比較的大きい第1の撮像素子3を使用した第1のカメラである。2は、第1の撮像素子3よりも撮像画面サイズが小さい第2の撮像素子4を使用した第2のカメラである。ここで、第1の撮像素子3は、撮像画面サイズの大きさが28×18.7mm(横の長さ×縦の長さ)、対角の長さが約33.6mmであり、画素数は600万画素、1つの画素サイズ(1ピクセルのピッチ)が9.3ミクロン程度である。また、第2の撮像素子4は、撮像画面サイズの大きさが15×10mm(横の長さ×縦の長さ)、対角の長さが18mmであり、画素数は600万画素、1つの画素サイズ(1ピクセルのピッチ)は5ミクロン程度である。ここで、第1の撮像素子3および第2の撮像素子4における撮像画面の縦・横比(アスペクト比)は略同一の比となっている。なお、上述の感光部材である撮像素子は一例であり、上記以外の撮像画面サイズ、画素数の撮像素子(たとえば画素サイズが2ミクロン)を用いても良い。また、感光部材としてフィルムを用いたカメラであってもよい。
5は交換レンズを示しており、交換レンズ5は、変倍レンズ(ズームレンズ)、フォーカスレンズを有するズーム光学系(撮像光学系)を有している。また、6は、第1のカメラ1、第2のカメラ2に設けられた共通したカメラ側マウント部材である。7は、カメラ側マウント6に対応したレンズ側マウント部材であり、交換レンズ5に設けられている。これにより交換レンズ5は、レンズ側マウント部材7をカメラ側マウント部材6に装着することにより、第1のカメラ1、第2のカメラ2の両方、さらには図示はしないが、感光部材としてフィルムを用いるカメラに装着可能となっている。
そして本発明の概念を示す図1の実施形態では、交換レンズ5を、第1のカメラ1に装着した場合と、第2のカメラ2に装着した場合とで、さらには感光部材としてフィルムを用いるカメラに装着した場合とで、交換レンズ5のフォーカスレンズの駆動パターン(フォーカスレンズの駆動精度)を変更して駆動するよう制御している。図1の場合では、第2の撮像素子4の撮像画面サイズおよび画素サイズが、第1の撮像素子3の撮像画面サイズおよび画素サイズより小さいため、撮像素子に対応させてピント精度を変更するように、交換レンズ5のフォーカスレンズの駆動パターン(フォーカスレンズの駆動精度)を変更して駆動制御している。
このように感光部材としてフィルムを用いるカメラ、感光部材として撮像素子を用い撮像素子の画面サイズまたは画素サイズの異なる複数のカメラに、共通して装着使用可能な交換レンズとしては、フォーカス精度の最も厳しいカメラに装着することを想定して構築されている必要がある。ここで、フォーカス駆動の高精度駆動と高速応答駆動は、一般的に相反するために、フォーカス駆動の高精度を必要としないカメラの装着した場合には、フォーカス駆動の高速応答性に重きをおいたフォーカス駆動を行うのが良い。
次に、本発明の光学機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図2は本発明の光学機器の第1の実施形態を示すものであり、光学機器として、感光部材である撮像素子を有するカメラ本体(デジタルスチルカメラ)と、カメラ本体にマウント部材により着脱自在に装着された交換レンズ(レンズユニット)とを含むカメラシステムに適用した場合のブロック図を示す。
図2において、10は交換レンズ(レンズユニット)、20はカメラ本体(デジタルスチルカメラ本体)を示している。交換レンズ10は、第1レンズL1、フォーカスレンズL2、第2レンズL3を有するズーム光学系であり、これらのレンズL1〜L3を光軸方向に移動することによりズームが行われ、フォーカスレンズL2を光軸方向に移動することによりフォーカス調整が行われる。11はフォーカスレンズL2を光軸方向に移動させるように駆動する駆動手段であるフォーカスモータであり、ステッピングモータで構成される。12はレンズ側のCPUであり、後述するカメラ本体20内のカメラ側CPUと通信により各種の情報通信を行うとともに、レンズ10におけるフォーカスモータ11の駆動や図示を省略した光量調節装置(絞り装置)などの各部の制御を司る。13はメモリであり、ROMあるいはRAMや情報の書換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROMなどの各種のメモリが用いられる。メモリ13はCPU12内に持たせた構成としてもよい。14はレンズ側のマウント部材であり、後述するカメラ本体20のマウント部材に着脱自在に結合する。上述したフォーカスモータを構成するステッピングモータはパルスモータの一種で、フォーカスレンズL2の初期位置を決めれば、その後は歩進パルスをそのままインクリメントまたはデクリメントしてパルス数をカウントすることでレンズの位置検出を正確に行うことができる。従ってエンコーダを用いる必要がなく、またレンズ制御が容易である。なおステッピングモータの駆動は、モータに電圧(または電流)を印加することによって制御される。そしてステッピングモータの駆動制御をより精密に行う(高精度駆動)場合は、正弦波波形の電圧(正弦波駆動パターンの電圧)を与えて駆動する。また、高速駆動を行う場合は、矩形波波形の電圧(矩形波駆動パターンの電圧)を与えて駆動する。
21はカメラ本体20内に設けられたCCDなどの撮像素子を示している。ここで撮像素子としてCCDを示すが、CMOSなどの他の撮像素子であってもよい。22は撮像素子21から出力される画像信号を基に画像の焦点調節状態の合致度を検出するフォーカス検出回路、23はカメラ本体20における各部の制御を司るカメラ側CPUを示している。撮像素子21、フォーカス検出回路22、CPU23で、焦点調節状態検出手段が構成される。また、24はメモリであり、ROMあるいはRAMや情報の書換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROMなどの各種のメモリが用いられる。メモリ24はカメラ側CPU23内に持たせた構成としてもよい。また、25はカメラ本体20に内蔵された、あるいはカメラ本体20に対し着脱自在とされ電気的に接続される記録媒体である画像保存用のメモリであり、撮像素子21から出力される画像信号を保存(記憶)する。26は撮像素子21から出力される画像信号を画像として表示するディスプレイであり、液晶パネルディスプレイなどの表示デバイスで構成される。また、27はクイックリターンミラー、28はプリズム、29は接眼光学系を示している。クイックリターンミラー27は、交換レンズ10の光軸の中心部分の一部の領域あるいは全体の領域がハーフミラーで構成されている。そしてクイックリターンミラー27は、カメラ本体20の図示を省略したレリーズスイッチ(2段スイッチ)が半押し状態に操作されたフォーカス動作状態のときに交換レンズ10のズーム光学系の光路に位置(図2の状態)して交換レンズ10のズーム光学系から画像光を、撮像素子21に導くとともに、プリズム28側に導くようになっており、レリーズスイッチが半押し状態からさらに全押し状態に操作された撮像状態のときに交換レンズ10のズーム光学系の光路から退避するように構成されている。また、30はカメラ側マウント部材であり、交換レンズ10のレンズ側マウント部材14を着脱自在に結合する。レンズ側マウント部材14およびカメラ側マウント部材30は図示を省略した電気的接点を有しており、交換レンズ10をカメラ本体20にマウント部材14、30により装着した状態で、カメラ側からレンズへの電源供給、カメラ側CPU23とレンズ側CPU12との通信が行われるようになっている。
上述したカメラ本体20内のメモリ24には、撮像素子21に関する情報(感光部材に関する情報)である、撮像素子の撮像画面サイズの情報、画素サイズの情報が予め記憶されている。撮像素子21に関する情報は、撮像素子の撮像画面サイズの情報、画素サイズの情報のほかに、画素数の情報、撮像素子の結像面における許容錯乱円径の情報でもよく、これらの情報をメモリ(感光情報記憶手段)24に予め記憶させてもよい。そして、カメラ側CPU23は、メモリ24の情報を取り出して上記の通信により、取り出した情報をレンズ側CPU12に送信するように構成されている。
また、交換レンズ10内のメモリ(駆動情報記憶手段)13には、フォーカスモータ11を駆動するための複数の駆動パターンの情報、後述するコントラスト方式のオートフォーカス(TV−AF方式)におけるフォーカス動作時のウォブリング量の情報、ウォブリング量の情報を変更するための比例係数を求めるための演算式の情報が予め記憶されている。複数の駆動パターンの情報は、フォーカスモータ11を高精度送りするための正弦波駆動パターン情報と、フォーカスモータ11を高速に駆動するための矩形波駆動パターン情報とである。これらの各駆動パターン情報はそれぞれ複数であってもよい。また、ウォブリング量の情報は、ズーム位置状態、被写体距離状態、絞り値(絞り状態)の各状態毎に応じた複数のウォブリング量の情報がある。
また比例係数Cを求めるための演算式の情報は、
C = Y/34 × Z/9 ・・・(1)
ここで、Yは、撮像素子の撮像画面の対角サイズ、
Zは、撮像素子の画素サイズ
を示す。
次に、焦点調節状態検出手段である上記のコントラスト(TV−AF)方式のフォーカス機構について説明する。本実施形態では、交換レンズ10からの画像光が撮像素子21に結像され、撮像素子21からの画像信号がフォーカス検出回路22に出力される。フォーカス検出回路22では、画像信号から高周波成分の信号の値(焦点電圧の値)をAF評価値としてAF評価信号をカメラ側CPU23に出力する。CPU23では、フォーカスレンズL2を光軸上で前後させたときの各AF評価信号を時系列的に比較してAF評価値が最大になった状態を合焦状態と判断する。したがって、交換レンズ10のフォーカスレンズL2をフォーカス調整動作の際に、光軸上を微小量前後するようにフォーカスモータ11により駆動する。このようなフォーカスレンズを光軸上で微小量前後する動作をウォブリング動作と称し、このウォブリング動作におけるウォブリング量は、ズーム位置状態、物体距離状態、絞り状態等の各状態毎に応じた複数のウォブリング量の情報を用意しておき、上記の状態に対応する最適なウォブリング量の値を用いてフォーカスレンズL2のウォブリング動作を行う。すなわち、ウォブリング量(合焦幅の違い)は、被写界深度に起因するため、ズーム位置のテレ側よりもワイド側で、被写体距離の近距離側よりも遠距離側で、絞りは開放状態よりも小絞り状態で、フォーカスレンズL2のウォブリング動作(ディフォーカスさせる動作)を大きくする必要があり、このウォブリング動作により、撮像素子の結像面上でのピント合致の方向判別を行うことができる。
図3に上述したコントラスト(TV−AF)方式でのAF評価値を示す。図3において、横軸は光軸上のフォーカスレンズの位置、縦軸はAF評価値(焦点電圧の値)を示す。図3において、O点が、AF評価値の値が最も高くなる、最もピントのあった状態(合焦状態)である。図中のaは交換レンズ10のワイドの状態、bは交換レンズ10のテレの状態であり、テレ状態時にフォーカスレンズのピント敏感度が高いことが判る。したがって、テレ状態ではフォーカスレンズL2のウォブリング量が小さく、ワイド状態ではテレ状態のウォブリング量より大きいウォブリング量となり、これらのウォブリング量でフォーカスレンズL2を駆動制御する。
次に、上述の第1の実施形態におけるカメラ側CPU23とレンズ側CPU12とによるフォーカス動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、交換レンズ10のマウント部材14をカメラ本体20のマウント部材30に装着することにより交換レンズ10をカメラ本体20に装着する。これにより交換レンズ10とカメラ本体20とがマウント部材14、30の電気接点を介して通信が行える状態に接続される。そしてカメラ側CPU23はメモリ24から撮像素子21に関する情報(上述した撮像素子の撮像画面サイズの情報(対角の長さY)、画素サイズ(Z)の情報)を読み出して、その撮像素子情報をレンズ側CPU12に送信する(ステップ401)。次に、レンズ側CPU12は、画素サイズの情報Zが7μmより小さいサイズであるか確認する(ステップ402)。ステップ402において、画素サイズの情報Zが7μmより小さいサイズであるときは、次に、撮像素子の撮像画面サイズの対角の長さYの情報が20mmより小さいサイズであるか確認する(ステップ403)。ステップ403において、対角の長さYの情報が20mmより小さいサイズであると、高精度モードが選択され、交換レンズ10内のメモリ13からフォーカスモータ11を高精度モードで駆動するための正弦波駆動パターン情報(正弦波駆動パターン信号)を選択し、高精度モード時でのウォブリング量を算出するための比例係数Cを上述した条件式(1)から算出する(ステップ404)。そして、交換レンズ10の現在のズーム位置状態、被写体距離状態、絞り値に対応するウォブリング量の情報(通常モード時のウォブリング量の情報:通常量)をメモリ13から取り出し、このウォブリング量の情報に、ステップ404で算出した比例係数Cを乗算して高精度モードにおけるウォブリング量(通常量より小さいウォブリング量となる)を算出する(ステップ405)。そして上述のステップ404で選択した正弦波駆動パターン信号に、ステップ405で算出したウォブリング量の信号を加算した高精度モードのフォーカス駆動信号でフォーカスモータ11を駆動してフォーカスレンズL2を移動(ウォブリング動作を重畳して移動させる)させ(ステップ406)、次いで、合焦状態になったか否かが確認される(ステップ407)。ここで、合焦状態とは上述のAF評価値の値が最も高くなる、最もピントのあった状態(合焦状態)である。
上述したステップ402において、画素サイズの情報Zが7μm以上の大きいサイズであるときは、次に、撮像素子の撮像画面サイズの対角の長さYの情報が20mmより小さいサイズであるか確認する(ステップ408)。ステップ408において、対角の長さYの情報が20mmより小さいサイズであると、中精度モードが選択され、交換レンズ10内のメモリ13からフォーカスモータ11を中精度モードで駆動するための正弦波駆動パターン情報(正弦波駆動パターン信号)を選択し、中精度モード時でのウォブリング量を算出するための比例係数Cを上述した条件式(1)から算出する(ステップ409)。また上述したステップ403において、対角の長さYの情報が20mm以上の大きいサイズであるときも、中精度モードが選択され、ステップ409の動作が行われる。そして、交換レンズ10の現在のズーム位置状態、被写体距離状態、絞り値に対応するウォブリング量の情報(通常モード時のウォブリング量の情報:通常量)をメモリ13から取り出し、このウォブリング量の情報に、ステップ409で算出した比例係数Cを乗算して中精度モードにおけるウォブリング量(通常量より小さく、高精度モード時のウォブリング量より大きいウォブリング量となる)を算出する(ステップ405)。そして上述のステップ409で選択した中精度モードでの正弦波駆動パターン信号に、ステップ405で算出したウォブリング量の信号を加算した中精度モードのフォーカス駆動信号でフォーカスモータ11を駆動してフォーカスレンズL2を移動(ウォブリング動作を重畳して移動させる)させ(ステップ406)、次いで、合焦状態になったか否かが確認される(ステップ407)。
さらに、上述したステップ408において、対角の長さYの情報が20mm以上の大きいサイズであるときは、高速モードが選択され、交換レンズ10内のメモリ13からフォーカスモータ11を高速モードで駆動するための矩形波駆動パターン情報(矩形波駆動パターン信号)を選択し、高速モード時でのウォブリング量は通常量を直接用いるため比例係数Cは、C=1を用いる(ステップ410)。そして、交換レンズ10の現在のズーム位置状態、被写体距離状態、絞り値に対応するウォブリング量の情報(通常モード時のウォブリング量の情報:通常量)をメモリ13から取り出し、このウォブリング量の情報に、ステップ410での比例係数C=1を乗算して高速モードにおけるウォブリング量を算出する(ステップ405)。そして上述のステップ410で選択した高速モードでの矩形波駆動パターン信号に、ステップ405で算出したウォブリング量の信号を加算した高速モードのフォーカス駆動信号でフォーカスモータ11を駆動してフォーカスレンズL2を移動(ウォブリング動作を重畳して移動させる)させ(ステップ406)、次いで、合焦状態になったか否かが確認される(ステップ407)。
そして、ステップ407において、合焦状態であることが確認させると、操作者の操作に応じて、所定の撮像動作が行われる(ステップ411)。ここで、撮像素子を用いたカメラの撮像動作は、撮像素子により光学像が光電変換されてその画像信号が図示を省略した画像処理回路により処理されたのち、画像保存用のメモリ25に保存(記憶)されるとともに、ディスプレイ26に表示される。
上述した図4のフローチャートの説明において、上述した撮像素子に関する情報の取得および比例係数の算出動作は、交換レンズ10がカメラ本体20に装着されたときに1度行えばよく、取得した撮像素子に関する情報および算出した比例係数はレンズ側のメモリ13に記憶させておくようにして、記憶した比例係数を用いて上述のステップ405の動作を行うようにしてもよい。
上述したように第1の実施形態では、交換レンズ10に装着したカメラ本体20の撮像素子に関する情報に応じて、交換レンズ10のフォーカスレンズL2を駆動するフォーカスモータの駆動パターンを複数の駆動パターンから選択するとともに、ウォブリング動作に用いるウォブリング量の比例係数を算出してウォブリング量を変更することにより、撮像素子に最適なフォーカス動作を行うことができ、撮像素子に対応したフォーカス精度(ピント精度)の合焦状態を得ることができる。したがって、1つの交換レンズであっても、撮像素子の異なる複数種類のカメラ本体に対して共通して1つの交換レンズを用いることができる。
なお、上述した第1の実施形態において、カメラ側CPU23から直接、高精度モード、中精度モード、高速モードを示すいずれかの情報と、そのモードにおける比例係数の情報を、レンズ側CPU12に通信により伝えて、図4のステップ405以降の動作を行う構成としてもよい。ここで、高精度モード、中精度モード、高速モードを示す情報と、各モードにおける比例係数の情報は、カメラ側のメモリ24に記憶させておけばよい。そしてこのような構成、動作により、レンズ側CPU12での処理が高速に行え、光学機器(カメラシステム)としての動作・処理が高速に行えるという効果がある。
[第2の実施形態]
次に、本発明の光学機器の第2の実施形態を説明する。
図5は本発明の光学機器の第2の実施形態を示すものであり、光学機器として、感光部材として撮像素子を有するカメラ本体(デジタルスチルカメラ)と、カメラ本体にマウント部材により着脱自在に装着された交換レンズとを含むカメラシステムに適用した場合のブロック図を示す。ここで、カメラ本体に感光部材として撮像素子を用いる実施形態を示すが、第2の実施形態では、感光部材としてフィルム(銀塩フィルム)を用いるカメラ本体でも適用できる。
図5において、50は交換レンズ、60はカメラ本体(デジタルスチルカメラ本体、あるいはフィルムを用いるカメラ)を示している。交換レンズ50は、第1レンズL1、フォーカスレンズL2、第2レンズL3を有するズーム光学系であり、これらのレンズL1〜L3を光軸方向に移動することによりズームが行われ、フォーカスレンズL2を光軸方向に移動することによりフォーカス調整が行われる。51はフォーカスレンズL2を光軸方向に移動させるように駆動する駆動手段であるフォーカスモータであり、DCモータで構成される。52はエンコーダであり、フォーカスモータ51の駆動により回転されるパルス板と、フォトインタラプタとで構成され、パルス板には、予め決められたピッチで複数のスリットが形成されており、回転されるパルス板のスリットをフォトインタラプタで検出しフォトインタラプタからパルスが出力されるように構成されている。したがって、エンコーダ52から出力されるパルスをカウントすることにより、フォーカスモータ51の駆動量(回転量)およびフォーカスモータ51により駆動されるフォーカスレンズL2の移動量を検出することができる。53はレンズ側のCPUであり、後述するカメラ本体60内のカメラ側CPUと通信により各種の情報の通信を行うとともに、レンズ50におけるフォーカスモータ51の駆動や図示を省略した光量調節装置(絞り装置)などの各部の制御を司る。54はメモリであり、ROMあるいはRAMや情報の書換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROMなどの各種のメモリが用いられる。メモリ54はCPU53内に持たせた構成としてもよい。55はレンズ側のマウント部材であり、後述するカメラ本体60のマウント部材に着脱自在に結合する。上述したフォーカスモータを構成するDCモータの駆動は、電圧を与えることにより行われ、印加電圧の値を変化させることにより、あるいは印加電圧を周波数制御し印加する電圧のデューティー比を変化させることによりDCモータの回転数を変化させる。また上述したDCモータの駆動量(回転量)およびフォーカスレンズL2の移動量は、エンコーダ52から出力されるパルスをカウントすることで検出することができる。本実施形態では、パルス板に形成するスリットのピッチ(最小分解能ピッチ)が、使用される感光部材(フィルムや撮像素子)の中で、感光面(フィルム面、撮像面)における許容錯乱円径が最も小さい感光部材に対するフォーカスレンズの駆動ピッチ(高精度駆動ピッチ)に対応させたピッチとされており、感光面における許容錯乱円径が最も小さい感光部材(フィルム、撮像素子)に対するフォーカスレンズの駆動ピッチ(高精度駆動ピッチ)が検出可能な構成となっている。
61はカメラ本体60内に設けられたCCDなどの感光部材である撮像素子を示している。ここで撮像素子としてCCDを示すが、CMOSなどの他の感光部材である撮像素子であってもよい。62はカメラ本体60における各部の制御を司るカメラ側CPUを示している。63はメモリであり、ROMあるいはRAMや情報の書換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROMなどの各種のメモリが用いられる。メモリ63はカメラ側CPU62内に持たせた構成としてもよい。また、64はカメラ本体60に内蔵された、あるいはカメラ本体60に対し着脱自在とされ電気的に接続される記録媒体である画像保存用のメモリであり、撮像素子61から出力される画像信号を保存(記憶)する。65は撮像素子61から出力される画像信号を画像として表示するディスプレイであり、液晶パネルディスプレイなどの表示デバイスで構成される。また、66はクイックリターンミラー、67はサブミラー、68はプリズム、69は接眼光学系、70は一対のラインセンサを有する焦点調節状態検出手段であるAFセンサを示している。クイックリターンミラー66は、交換レンズ50の光軸の中心部分の一部の領域がハーフミラーで構成され、ハーフミラーを透過した光束はサブミラー67で反射してAFセンサ70に導かれるように構成されている。クイックリターンミラー66は、カメラ本体60の図示を省略したレリーズスイッチ(2段スイッチ)が半押し状態に操作されたフォーカス動作状態のときに交換レンズ50のズーム光学系の光路に位置(図5の状態)して交換レンズ50のズーム光学系における瞳位置で分割された2つの光束をハーフミラーを透過させてサブミラー67により反射させてAFセンサ70に導くとともに、クイックリターンミラー66は、交換レンズ50のズーム光学系からの画像光を反射してプリズム68側に導くようになっている。クイックリターンミラー66は、レリーズスイッチが半押し状態からさらに全押し状態に操作された撮像状態のときに、サブミラー67とともに、交換レンズ50のズーム光学系の光路から退避するように構成されている。ここで、フィルムを用いるカメラの場合は、上述の画像保存用のメモリ64、ディスプレイ65を省いた構成としてもよく、あるいはクイックリターンミラー66でプリズム68側に導かれる光学像を別の撮像素子(図示省略)で撮像してその画像信号をディスプレイ65に表示する構成としてもよい。
上述したAFセンサ70は、交換レンズ50のズーム光学系における瞳位置で分割された2つの光束をa像、b像としてAFセンサ70を構成する一対のラインセンサ(センサー対)上に結像させ、a像、b像の2像の相関から焦点調節状態を検出するTTL位相差検出方式のAF検出系を構成する。上述した一対のラインセンサ上の2像の相関を求める手法は、すでに種々のアルゴリズムが提案されているが、代表的なものは、次のものである。a像とb像は対の2つのセンサー上に結像するが、測距の為のデータとして全データを採用する必要はなく、通常はファインダー上の測距点表示と関連させて2つのセンサー上の相関演算用ウインドウエリアを設定する。次に、a、b像のいづれか一方のセンサー出力値を固定し、他方のウインドウエリアの読み出しセルを順次ずらしながら、対応する差分積分値を求め、この最小値が得られる状態で、最も相関のとれた状態とする。位相差方式の最大の特長は、非合焦状態でも、この相関演算からセンサー面上で、何セルのディフォーカスが残存しているか、を知ることができ、この量からピント面上の光軸上でのディフォーカス量に換算し、フォーカスレンズのピント敏感度からレンズの駆動量の方向と量が、ほぼ一意的に決定される点である。即ち、位相差の相関演算が可能なディフォーカス状態であれば、次の測距(フォーカスレンズの駆動)で理想的には一回で合焦状態とすることが可能である。また、厳密に相関演算値がゼロになる必要はなく、ピントの許容幅(合焦幅)に相当する残存量は許容される。
また、図5において、71はカメラ側マウント部材であり、交換レンズ50のレンズ側マウント部材55を着脱自在に結合する。レンズ側マウント部材55およびカメラ側マウント部材71は図示を省略した電気的接点を有しており、交換レンズ50をカメラ本体60にマウント部材55、71により装着した状態で、カメラ側からレンズへの電源供給、カメラ側CPU62とレンズ側CPU53との通信が行われるようになっている。
上述したカメラ本体60内のメモリ63には、感光部材に関する情報としての撮像素子61に関する情報である、撮像素子の結像面における許容錯乱円径の情報が予め記憶されている。撮像素子21に関する情報は、許容錯乱円径の情報のほかに、撮像素子の撮像画面サイズの情報、画素サイズの情報、画素数の情報でもよく、これらの情報をメモリ24に予め記憶させてもよい。そして、カメラ側CPU62は、メモリ63の撮像素子の情報を取り出して上記の通信により、取り出した情報をレンズ側CPU53に送信するように構成されている。ここで、感光部材としてフィルム(銀塩フィルム)を用いるカメラ本体を用いる場合では、感光部材に関する情報としてフィルム面における許容錯乱円径の情報をメモリ63に予め記憶させておき、この情報をレンズ側CPU53に送信するようにすればよい。
次に、上述の第2の実施形態におけるカメラ側CPU62とレンズ側CPU53とによるフォーカス動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、交換レンズ50のマウント部材55をカメラ本体60のマウント部材71の装着することにより交換レンズ50をカメラ本体60に装着する。これにより交換レンズ50とカメラ本体60とがマウント部材55、71の電気接点を介して電源供給が行われるとともに、通信が行える状態に接続される。そしてカメラ側CPU62はメモリ63から感光部材に関する情報である撮像素子61に関する情報(上述した撮像素子の結像面における許容錯乱円径の情報δ、あるいはフィルム面における許容錯乱円径の情報δ)を読み出して、その感光部材の情報をレンズ側CPU53に送信する(ステップ601)。次に、レンズ側CPU53は、許容錯乱円径の情報δが、予め設定した最小の許容錯乱円径の情報と同一かあるいは予め設定した最小の許容錯乱円径の情報より大きいかが確認される(ステップ602)。ここで、予め設定した最小の許容錯乱円径の情報とは、上述したエンコーダ52のパルス板に形成するスリットのピッチ(最小分解能ピッチ)にて検出される、使用される感光部材の中で、感光面(フィルム面、撮像面)における許容錯乱円径が最も小さい感光部材(フィルム、撮像素子)の情報のことである。
そして、ステップ602において、許容錯乱円径の情報δが、予め設定した最小の許容錯乱円径の情報と同一であると精度優先モードが設定される(ステップ603)。この後、レンズ側CPU53は、交換レンズ50の絞り装置(図示省略)の現在の絞り値と許容錯乱円径の情報δとから精度優先モード時における合焦幅(合焦幅=絞り値(F値)×δ)を設定し、フォーカスレンズL2の駆動ピッチ(駆動ピッチ=絞り値(F値)×δ/4)を設定する。ここで、設定したフォーカス駆動ピッチは、エンコーダ52のパルス板の最小分解能ピッチとなっている。また、レンズ側CPU53は、AFセンサ70の一対のライセンサにおける2像の相関を求めるときのラインセンサのセル(画素)のシフトピッチを1セルピッチに設定し、このシフトピッチを1セルピッチで行うことの相関シフト情報および合焦幅の情報をカメラ側CPU62に送信する(ステップ604)。
この後、撮影のためのレリーズ操作(レリーズスイッチの半押し操作)が行われると、カメラ側CPU62は、交換レンズ50のズーム光学系における瞳位置で2つの光束に分割され、AFセンサ70を構成する一対のラインセンサ上に結像されたa像、b像の2像の相関を、上述した相関シフト情報を基に、ラインセンサの1セルピッチでシフトさせることにより演算し、ディフォーカス量・方向を求め、このディフォーカス量・方向の情報からフォーカスレンズの駆動量・方向を求めて、フォーカスレンズの駆動量・方向の情報をレンズ側CPU53に送信する(ステップ605)。これにより、レンズ側CPU53は、上記のフォーカスレンズの駆動量・方向の情報(目標位置)に基づき、ステップ604にて設定したフォーカス駆動ピッチでフォーカスモータ51を駆動しフォーカスレンズL2を移動させる(ステップ606)。ここで、設定したフォーカス駆動ピッチは、上述したように、エンコーダ52のパルス板の最小分解能ピッチとなっている。そして、フォーカスレンズL2が、上記のフォーカスレンズの駆動量・方向の情報に対応する位置に移動すると、この時点での、AFセンサ70を構成する一対のラインセンサ上に結像されたa像、b像の2像の相関を、上述した相関シフト情報を基に、ラインセンサの1セルピッチでシフトさせることにより演算する(ステップ607)。そして、演算結果からディフォーカス量を求め、このディフォーカス量がステップ604で設定した合焦幅の範囲に納まっているかが確認される(ステップ608)。ステップ608において、ディフォーカス量が合焦幅の範囲に納まっていないと、このときのディフォーカス量から、フォーカスレンズの駆動量を求めてステップ604で設定したフォーカス駆動ピッチでの残りのパルス数(駆動するパルス数)を求め(ステップ609)、ステップ606に戻り、設定したフォーカス駆動ピッチで、残りのパルス数だけ、フォーカスモータ51を駆動しフォーカスレンズL2を移動させる。そして、ステップ607、ステップ608を繰り返す。そして、ステップ608で、ディフォーカス量が合焦幅の範囲に納まっている状態であると、フォーカスレンズは、合焦状態にあり、この後、操作者の操作に応じて(レリーズスイッチの半押し状態から全押し状態の操作)、所定の撮像動作が行われる(ステップ610)。ここで、撮像素子を用いたカメラの場合は、撮像素子により光学像が光電変換されてその画像信号が図示を省略した画像処理回路により処理されたのち、画像保存用のメモリ64に保存(記憶)されるとともに、ディスプレイ65に表示される。また、フィルムを用いたカメラの場合は、光学像がフィルム面に感光して保持(記録)される。さらに、上述した別の撮像素子とディスプレイ65を有する構成におけるフィルムを用いたカメラの場合は、光学像がフィルム面に感光して保持(記録)されるとともに、クイックリターンミラー66でプリズム68側に導かれる光学像を別の撮像素子(図示省略)で撮像してその画像信号をディスプレイ65に表示される。
一方、上述したステップ602において、感光部材に関する情報である許容錯乱円径の情報δが、予め設定した最小の許容錯乱円径の情報より大きい情報であると高速対応優先モードが設定される(ステップ611)。この後、レンズ側CPU53は、交換レンズ50の絞り装置(図示省略)の現在の絞り値と許容錯乱円径の情報δとから高速対応優先モード時における合焦幅(合焦幅=絞り値(F値)×δ)を設定し、フォーカスレンズL2の駆動ピッチ(駆動ピッチ=絞り値(F値)×δ/4)を設定する。ここで、設定したフォーカス駆動ピッチは、エンコーダ52のパルス板の最小分解能ピッチより大きいピッチである。したがって、エンコーダ52のパルス板のスリットをフォトインタラプタで検出したときに発生するパルス(最小分解能でのパルス)を、設定したフォーカス駆動ピッチに対応させて、たとえば2パルスで1カウント、あるいはnパルスで1カウント(nは整数)としてエンコーダ52の検出分解能を可変させて、設定したフォーカス駆動ピッチに対応し、このフォーカス駆動ピッチを検出する構成となっている。また、レンズ側CPU53は、AFセンサ70の一対のライセンサにおける2像の相関を求めるときのラインセンサのセル(画素)のシフトピッチを2セルピッチに設定し、このシフトピッチを2セルピッチで行うことの相関シフト情報および合焦幅の情報をカメラ側CPU62に送信する(ステップ612)。
この後、撮影のためのレリーズ操作(レリーズスイッチの半押し操作)が行われると、上述したステップ605にて、AFセンサ70のa像、b像の2像の相関を、上述した相関シフト情報を基に、ラインセンサの2セルピッチでシフトさせて演算し、ディフォーカス量・方向を求め、このディフォーカス量・方向の情報からフォーカスレンズの駆動量・方向を求めて、フォーカスレンズの駆動量・方向の情報をレンズ側CPU53に送信する(ステップ605)。これにより、レンズ側CPU53は、上記のフォーカスレンズの駆動量・方向の情報(目標位置)に基づき、ステップ612にて設定したフォーカス駆動ピッチでフォーカスモータ51を駆動しフォーカスレンズL2を移動させる(ステップ606)。ここで、設定したフォーカス駆動ピッチは、上述したように、エンコーダ52のパルス板の最小分解能ピッチの2倍あるいはn倍(nは整数)となっている。そして、フォーカスレンズL2が、上記のフォーカスレンズの駆動量・方向の情報に対応する位置に移動すると、この時点での、AFセンサ70を構成する一対のラインセンサ上に結像されたa像、b像の2像の相関を、上述した相関シフト情報を基に、ラインセンサの2セルピッチでシフトさせることにより演算する(ステップ607)。そして、演算結果からディフォーカス量を求め、このディフォーカス量がステップ612で設定した合焦幅の範囲に納まっているかが確認される(ステップ608)。ステップ608において、ディフォーカス量が合焦幅の範囲に納まっていないと、このときのディフォーカス量から、フォーカスレンズの駆動量を求めてステップ612で設定したフォーカス駆動ピッチでの残りのパルス数(駆動するパルス数)を求め(ステップ609)、ステップ606に戻り、設定したフォーカス駆動ピッチで、残りのパルス数だけ、フォーカスモータ51を駆動しフォーカスレンズL2を移動させる。そして、ステップ607、ステップ608を繰り返す。そして、ステップ608で、ディフォーカス量が合焦幅の範囲に納まっている状態であると、フォーカスレンズは、合焦状態にあり、この後、操作者の操作に応じて(レリーズスイッチの半押し状態から全押し状態の操作)、上述した所定の撮像動作(ステップ610)が同様にして行われる。
上述した図6のフローチャートの説明において、上述した感光部材に関する情報の取得および合焦幅、フォーカス駆動ピッチ、相関演算のセルシフトの設定動作は、交換レンズ50がカメラ本体60に装着されたときに1度行えばよく、取得した感光部材に関する情報および設定した合焦幅、フォーカス駆動ピッチの情報はレンズ側のメモリ54に記憶させ、設定した相関演算のセルシフトの情報はカメラ側のメモリ63に記憶させておくようにして、これらの記憶した各情報を用いて上述のステップ605〜609の動作を行うようにしてもよい。
上述したように第2の実施形態では、交換レンズ50に装着したカメラ本体60の感光部材に関する情報(許容錯乱円径の情報)に応じて、交換レンズ50のフォーカスレンズL2を駆動するフォーカスモータの駆動ピッチを変更することにより、感光部材に対して最適なフォーカス動作を行うことができ、感光部材に対応したフォーカス精度(ピント精度)の合焦状態を得ることができる。したがって、1つの交換レンズであっても、フィルムを用いたカメラ本体や撮像素子の異なる複数種類のカメラ本体に対して共通して1つの交換レンズを用いることができる。
なお、上述した第1の実施形態では、交換レンズ10にフォーカスモータとしてステッピングモータを用い、カメラ本体20の感光部材(撮像素子)に関する情報に応じて、ステッピングモータの駆動パターンを変更する例について説明したが、ステッピングモータに替えて、第2の実施形態で説明したDCモータとモータ駆動量およびフォーカスレンズ駆動量を検出するエンコーダとを用いて感光部材(撮像素子)の情報に応じてフォーカスモータ(フォーカスレンズ)の駆動ピッチを、第2の実施形態と同様にして変更する構成としてもよい。
さらに、上述した第2の実施形態でも交換レンズ50のフォーカスモータであるDCモータおよびエンコーダに替えて、第1の実施形態のステッピングモータを用い、カメラ本体60の感光部材(フィルム、撮像素子)に関する情報に応じて、ステッピングモータの駆動パターン(フィルムの場合は駆動ピッチを、変更する構成としてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、異なる感光部材を用いた複数種類のカメラと、これらのカメラに対して、共通して使用可能な交換レンズとを含む光学機器を提供することができる。
また、本発明では、交換レンズに装着したカメラ本体の感光部材(撮像素子)に関する情報に応じて、交換レンズのフォーカスレンズを駆動するフォーカスモータであるステッピングモータの駆動パターンを複数の駆動パターンから選択するとともに、ウォブリング動作に用いるウォブリング量の比例係数を算出してウォブリング量を変更することにより、感光部材に最適なフォーカス動作を行うことができ、感光部材に対応したフォーカス精度(ピント精度)の合焦状態を得ることができる。したがって、1つの交換レンズであっても、感光部材の異なる複数種類のカメラ本体に対して共通して1つの交換レンズを用いることができる。
さらに本発明では、交換レンズに装着したカメラ本体の感光部材(フィルム、撮像素子)に関する情報(許容錯乱円径の情報)と交換レンズに予め設定された許容錯乱円径の情報の比較結果に応じて、センサー対に形成される像の相関を演算するときの画素のシフトピッチと、交換レンズのフォーカスレンズを駆動するフォーカスモータであるDCモータの駆動ピッチを変更することにより、感光部材に最適なフォーカス動作を行うことができ、感光部材に対応したフォーカス精度(ピント精度)の合焦状態を得ることができる。したがって、1つの交換レンズであっても、感光部材の異なる複数種類のカメラ本体に対して共通して1つの交換レンズを用いることができる。