JP4468223B2 - 紫外線照射を利用した水処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線照射を利用して浄水処理を行う水処理システムに関する。
従来では、水道を代表とする水処理システムは、塩素殺菌による衛生学的安全性を基盤として運用されてきた。しかし、近年、クリプトスポリジウム、ジアルジア等の新興あるいは再興の病原微生物による水道汚染事故が発生している。
また、水道水源である湖沼、ダム、河川の富栄養化や、有機物汚濁の進行などで大量発生した藻類が、異臭味や着色障害、凝集、沈澱阻害、濾過閉塞、濾過水への漏出障害を引き起こす事態が発生している。
さらに、殺菌のために注入される塩素剤が原水中の有機物と反応して、有害な副生成物(トリハロメタン等)を生成してしまうという問題も起きている。このような事態に対して、従来の凝集、沈澱、濾過、塩素処理からなる基本的処理工程だけの水処理システムでは対応できなくなってきている。
このような背景のもと、従来の塩素処理の代替殺菌技術として、紫外線照射処理による殺菌(消毒)技術(以下、紫外線消毒と表記する場合がある)が注目されている。紫外線消毒は、複雑な薬品注入管理が不要で、有害な副生成物を発生しないという利点がある。このため、浄水処理場等において、殺菌や残留有機物の酸化を目的として紫外線照射処理が採用される場合がある。但し、紫外線の透過効率の観点から、一般的には濾過処理水あるいは凝集,沈澱処理水に紫外線を照射する処理が行なわれている。
一方、凝集改善やクリプトスポリジウムなどの病原性原虫類の感染力消失等を目的とする場合、原水に紫外線照射を行う処理がある。これは、塩素処理の代わりに紫外線を照射する処理である。前述したように、塩素とは異なり、紫外線がトリハロメタン等の副生成物の生成がなく、しかもクリプトスポリジウムの増殖能力にダメージを与えて感染力を消失させるのに効果が高い等という特性を備えているため、紫外線照射処理は当該紫外線のメリットを有効に利用することができる。
また、浄水処理では原水に含まれる藻類を繁殖させないことが好適であり、紫外線照射処理は、藻類の繁殖を防止する処理としても効果的であることが確認されている(例えば、非特許文献1を参照)。
具体例として、貯水池などにおける水中プランクトンの殺藻処理において、紫外線照射を利用することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この先行技術文献では、原水の濁度を検出し、検出濁度に応じて紫外線ランプを収容した流水管に流す原水の流量を制御することが示されている。これによって、より適切な紫外線照射制御が行える。
ここで、特許文献1のシステムでは、沈殿処理前の原水に紫外線を照射するときに濁度の検出値により紫外線照射を行う場合と、照射を停止して処理水を紫外線処理装置からバイパスさせる場合がある。紫外線照射を行う場合に、紫外線照射線線量を、10〜50mJ/cmになるように照射する構成になっている。
なお、濁度計に代えて、微粒子計を採用することについても提案がある(例えば、非特許文献2を参照)。また、浄水処理場において、原水に紫外線を照射するシステムにおいて、濁度計と微粒子計を併用して紫外線ランプ出力を制御する制御方式が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開平5−169059号公報 特開2004−188273号公報 酒井宏治、小熊久美子、片山浩之、大垣眞一郎「低圧・中圧紫外線ランプ照射による藻類の増殖抑制効果」第55回全国水道研究発表会 講演要旨集、平成16年5月、340〜341項 木村繁夫他「微粒子測定機器の基礎的性能評価に関する調査」水道協会雑誌、第71巻、第10号、31〜51頁、平成14年10月発行
前述の先行技術文献に記載されているような紫外線照射システムや紫外線照射処理方法では、以下に示すような課題がある。
従来では、凝集,沈殿処理前の原水に紫外線を照射する場合に、濁度計や微粒子計の測定結果に基づいて紫外線照射量が制御される。しかしながら、特に藻類を不活化するのに適切な紫外線量を求めて、紫外線照射を制御する方法は開発されていない。
即ち、一般的には、処理対象の原水に含まれる藻類の種類や濃度(比率)により、不活化するのに必要な紫外線量が異なる。特に、凝集処理前の原水は、水源、気象、季節等の変動により水質が大きく変化する。このため、原水に含まれる藻類の種類や、濃度(比率)が大きく変化する。従来のシステムや制御方法では、藻類の種類や濃度に応じて、必ずしも最適な紫外線量の紫外線を照射する制御がなされていない。
また、逆に藻類を不活化するには過剰な紫外線量を照射するシステムでは、電力量等の運転コストが増大し、高出力の紫外線ランプを使用するか、またはランプ本数を増加させることになる。このため、運転コストの増大化と共に、システムの大規模化を招く問題点があった。
そこで、本発明の目的は、処理対象水に含まれる藻類の種類や濃度(比率)に応じて、藻類の繁殖力を失活させる適切な紫外線量の紫外線を照射できるようにして、運転コストの増大化やシステムの大規模化を招くことなく、浄水処理での効果的な藻類対策を実現できる水処理システムを提供することにある。
本発明の観点に従った水処理システムは、紫外線照射により浄水処理を行う水処理システムにおいて、前記浄水処理対象の水に紫外線を照射するための紫外線照射装置と、前記水に含まれる藻類の種類毎の濃度を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果に基づいて、アナベナ、オシラトリア、シネココッカス、ミクロキスティスのいずれか一つが含まれる藻類の種類を判別する判別手段と、前記判別手段により判別された藻類の種類に基づいて、前記藻類の繁殖能力を抑制または消失させるのに十分な紫外線量の紫外線を照射するように前記紫外線照射装置を制御する制御手段とを備えた構成である。
本発明によれば、処理対象水に含まれる藻類の繁殖力を失活させる適切な紫外線を照射できるようにして、運転コストの増大化やシステムの大規模化を招くことなく、浄水処理での効果的な藻類対策を実現することができる水処理システムを提供できる。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(水処理システムの構成)
図1は、本実施形態に関する紫外線照射を利用した水処理システムの要部を示すブロック図である。
本システムは、図示していない取水口で汲み上げられた原水を、導水管を介して導入する沈砂池1、及び当該沈砂池1を経由して一旦貯蔵するための着水井2を有する。この着水井2により、浄水工程に送る水量を調整する。
さらに、本システムは、着水井2から送られる原水を、前段処理工程を経て導入するための凝集・沈澱池3を有する。前段処理工程には、着水井2から凝集・沈澱池3まで原水を送るための配管の途中に、原水流量計4と紫外線照射装置(以下前段紫外線照射装置と表記する場合がある)5が設置されている。また、原水が前段紫外線照射装置5を迂回する為のバイパス管6が配管されている。
バイパス管6は、前段紫外線照射装置5の入口側と入口三方弁7aを介して接続し、その出口側と出口三方弁7bを介して接続している。入口三方弁7a及び出口三方弁7bは、それぞれ原水の流路を切替えるための弁である。配管の途中で、前段紫外線照射装置5により紫外線照射された水は、凝集・沈殿池3に送られる。
凝集・沈澱池3では、凝集剤が注入されて、急速撹拌、緩速撹拌、沈澱の手順で原水内の濁質が除去される。具体的には、細かな砂や泥、およびコロイド状(colloidal)の有機物質などが集まることでフロックを形成して、濁質が沈澱除去される。このとき、前段紫外線照射装置5による紫外線照射で死滅、あるいは生き残った藻類や病原性微生物の一部もフロック内に取り込まれて除去される。
前段紫外線照射装置5の内部には、紫外線を照射するための紫外線ランプが複数本設置されている。各紫外線ランプはそれぞれ、紫外線ランプ電源装置9から電力が供給されて点灯する。
本システムの浄水処理監視制御装置(以下コントローラと表記する)10は、紫外線ランプ電源装置9と制御信号線を介して接続し、当該電源装置9の出力を制御することで、紫外線照射装置5の各紫外線ランプへの電力供給量を調整する。
コントローラ10は、原水流量計4から原水流量の測定値を入力し、かつ原水紫外線透過率計12から原水の紫外線透過率を入力する。また、コントローラ10は、藻類種定量分析装置13から原水中に含まれる藻類の種類を示す情報、及び判別された藻類種の濃度の測定値を入力する。
原水紫外線透過率計12及び藻類種定量分析装置13は、原水採水管11に接続されて、着水井2と前段紫外線照射装置5とを繋ぐ配管から、原水採水管11により採水された原水サンプルを導入する。
原水紫外線透過率計12は、原水サンプルから原水の紫外線透過率を測定し、測定結果をコントローラ10に出力する。また、藻類種定量分析装置13は、原水中に含まれる藻類の種類を判別した情報、及び当該藻類種の濃度を測定した測定結果をコントローラ10に出力する。
さらに、前段紫外線照射装置5には、内部の任意の点の照度を検知するための紫外線照度計19が設置されている。コントローラ10は、紫外線照度計19からの測定値を入力する。
また、本システムは、後段処理工程において、凝集・沈澱池3から濾過池8まで処理水を送るための配管の途中にも、紫外線照射装置(後段紫外線照射装置)15が設置されている構成でもよい。この場合、コントローラ10は、紫外線ランプ電源装置16と制御信号線を介して接続し、当該電源装置16の出力を制御することで、後段紫外線照射装置15に含まれる各紫外線ランプへの電力供給量を調整する。
(本実施形態の作用効果)
コントローラ10は、紫外線照射装置5(後段紫外線照射装置15も同様)の内部での紫外線照度を、下記式(1)を使用して算出する。ここで、紫外線照度は、紫外線ランプ表面が最大で、ランプから離れるにしたがって徐々に低下する。このときの減少量は、配管を流れる被処理流体(原水)に対する紫外線透過率と、ランプ表面からの距離により計算できる。
Figure 0004468223
ここで、Iは紫外線照度(mW/cm)、Uはランプの紫外線出力(mW)、Tは紫外線透過率(%)、Z0はランプからの距離(cm)、Zは紫外線が原水または処理水内を透過する距離(cm)を意味する。
紫外線照射装置5(後段紫外線照射装置15も同様)による紫外線照射による殺藻及び殺菌(消毒)の性能は、配管を通過する原水に含まれる微生物が受ける照度と時間に基づいた紫外線量により決まる。一般的に、紫外線量は、下記式(2)で定義される。
Figure 0004468223
ここで、Doseは紫外線量(mJ/cm)、Iは紫外線照度(mW/cm)、tは照射時間(s)を意味する。
また、処理対象の微生物を死滅、あるいは不活化(繁殖力を奪う、あるいは病原性微生物の場合は感染力を奪うこと)のために必要な紫外線量は、一般的に微生物の種類により異なる。したがって、処理対象の微生物の種類に応じて、紫外線照射装置5(後段紫外線照射装置15も同様)の能力を考慮する必要がある。
(紫外線照射装置の制御)
本実施形態では、前段紫外線照射装置5は、凝集・沈澱池3の前段である前段工程中に設置されているため、原水中に生存する病原性微生物の他に、藻類の対策としても有効である。従って、コントローラ10は、複数の病原性微生物や藻類を死滅、又は不活化するのに必要な紫外線量による照射を得るために、紫外線照射装置5の紫外線ランプの出力を制御する。
コントローラ10は、原水紫外線透過率計12による測定値、原水流量計4による測定値、および紫外線照射装置5内の紫外線ランプ配置、及び内部構造と流量により変化する原水の流動状態を考慮して、前述の演算式(1)〜(2)などの演算式を使用して、前段紫外線照射装置5の紫外線ランプの出力を制御する。具体的には、コントローラ10は、演算式により紫外線透過率、及び流量変化に合わせて必要な紫外線出力値を演算し、紫外線ランプ電源9から前段紫外線照射装置5内の紫外線ランプに供給する電力を制御する。
(藻類の処理)
本実施形態では、コントローラ10は、紫外線照射装置5により照射される配管中を通過する原水に含まれる処理対象の藻類(微生物を含む)が死滅、あるいは不活化するのに十分な紫外線量Dose、すなわち目標紫外線量TargetDoseを、藻類種定量分析装置13からの出力に基づいて決定する。
藻類種定量分析装置13は、原水サンプルから原水中に含まれる藻類の種類を判別し、判別された藻類種の濃度を測定する濃度計を含む。藻類種定量分析装置13は、例えば画像処理またはDNA解析処理を利用して原水中に含まれる藻類の種類を判別し、判別結果を示す情報を出力する。この場合、藻類種定量分析装置13は、例えば、予め光学顕微鏡で分析した藻の種類を識別するための情報をデータベースとして記憶し、当該情報に基づいて藻類の種類を判別する。藻類種定量分析装置13は、原水中に含まれる藻類の種類を示す情報、及び藻類種の濃度を測定した測定結果をコントローラ10に出力する。
次に、原水に含まれる藻類の種類や量(濃度)によって、コントローラ10が目標紫外線量TargetDoseを決定する方法を説明する。ここで、水源、気象、季節等によって様々な種類の藻類が原水に混入し、またそれらの量も変わってくる。本実施形態では、水に含まれる可能性が高い藻類の代表例として、アナベナ、オシラトリア、シネココッカス、ミクロキスティスについて、図2から図5を参照して目標紫外線量の決定方法を説明する。
一般的に、藻類のアナベナは、浄水処理にて除去しない場合には、原水中に臭気物質のジェオスミンを発生させる。また、藻類のオシラトリアは、臭気物質2−MIBやジェオスミンを原水中に発生させる。さらに、藻類のシネココッカスは、凝集阻害原因物質を原水中に発生させる。藻類のミクロキスティスは、凝集阻害原因物質や毒性物質を原水中に発生させることが確認されている(文献、佐藤敦久、真柄秦泰基編「上水道における藻類障害〜安全で良質な水道水を求めて〜」社団法人日本水道協会 凝集阻害・藻類除去研究委員会、18〜25項を参照)。
まずアナベナ、オシラトリア、シネココッカス、ミクロキスティスの各藻類を含む試験水に対して、紫外線を照射した場合における各藻類の光合成活性と繁殖力の変化を実験的に確認した。
図2は、アナベナを含む試験水に対し紫外線を照射した時の光合成活性および繁殖力の関係を示した図である。図中の直線20は、照射した紫外線量に対するアナベナの光合成活性の変化を示す。太い破線21は、照射した紫外線量に対するアナベナの繁殖力の変化を示す。細い破線22は、紫外線を照射した後、60分間、試験水のまま光源下で培養(光回復)させた後の、培養前に照射した紫外線量に対するアナベナの繁殖力の変化を示す。
ここで、光合成活性の特性20は、紫外線照射後の試験水の光合成活性度を酸素電極法で測定したものである。また、繁殖力は、紫外線照射後の試験水の一部を寒天プレート培養し、培養後のコロニー数を繁殖力の指標とした。
図2から明白であるように、アナベナの光合成活性を不活化するには、150mJ/cm以上の線量の紫外線を照射しなければならない。しかし、アナベナの繁殖力を失活させれば、光合成活性が残っていても、紫外線処理以外の処理工程での繁殖(増殖)を抑制でき死滅、除去される。アナベナの繁殖力のみを不活化するには、75〜80mJ/cmの線量の紫外線を照射すれば良い。また、75〜80mJ/cm線量の紫外線を照射すれば、細い破線22に示すように、60分間光源下において試験水中のアナベナの光回復は見られなかった。
同様にアナベナ以外の藻類としてオシラトリア、シネココッカス、ミクロキスティスの各藻類を含む試験水に対し紫外線を照射した時の光合成活性および繁殖力の変化を求めた。その結果が、それぞれ図3、図4、図5である。各図から、各藻類の繁殖力を失活させる紫外線量は、オシラトリア、シネココッカスが35mJ/cm、ミクロキスティスが63mJ/cmとなる。
以上のように、コントローラ10は、藻類種定量分析装置13からの原水中に含まれる藻類の種類を示す情報、及びその濃度に基づいて、原水中に藻類のアナベナが多く含まれる場合は、目標紫外線量TargetDoseを75〜80mJ/cm範囲とするように、紫外線ランプ電源9を介して紫外線照射装置5内の紫外線ランプに供給する電力を制御する。
また、コントローラ10は、原水中に藻類のオシラトリア、またはシネココッカスが多く含まれる場合は、目標紫外線量TargetDoseを35mJ/cmとするように、紫外線ランプ電源9を介して紫外線照射装置5内の紫外線ランプに供給する電力を制御する。さらに、コントローラ10は、原水中に藻類のミクロキスティスが多く含まれる場合は、目標紫外線量TargetDoseを63mJ/cmとするように、紫外線ランプ電源9を介して紫外線照射装置5内の紫外線ランプに供給する電力を制御する。
なお、複数の藻類が量に差が無く含まれる場合は、コントローラ10は、含まれる藻類の中で繁殖力を失活させる線量が最も大きい紫外線量を目標紫外線量に設定する。また、本実施形態での藻類の繁殖力を不活化するため必要な紫外線量は、35mJ/cm〜80mJ/cmの範囲であるが、誤差数%または確実な不活化処理のため+20%程度の余裕をとって、コントローラ10は、30mJ/cm〜100mJ/cmの線量の紫外線を照射するように制御する。
コントローラ10は、以上のように決定した目標紫外線量の紫外線を、紫外線照射装置5から原水に照射させるように制御することにより、藻類以外の細菌類、ウイルスの不活化および、クリプトスポリジウム等の原虫類オーシストの人への感染力の不活化を実現できる。
なお、一般的に、藻類の繁殖力を不活化するための必要紫外線量は、「35〜80mJ/cm」の範囲であるのに対し、一般的に、細菌類(グラム陰性菌、グラム陽性菌)を不活化するための必要紫外線量は、「3.8〜33.2mJ/cm」の範囲である。ウイルスを不活化するための必要紫外線量は、「4.5〜45mJ/cm」の範囲である。原虫類オーシスト(感染性不活化)を不活化するための必要紫外線量は、「1〜25mJ/cm」の範囲である。具体的には、文献「高効率浄水技術開発研究(ACT21)代替消毒剤の実用化に関するマニュアル」財団法人 水道技術研究センター、106〜112項、2002年12月発行を参照。
ここで、紫外線透過率は、原水中の浮遊物や濁質、溶解性有機物により影響を受ける。このため、降雨などで原水濁度が上昇した場合は、紫外線透過率は大きく低下してしまい、紫外線照射装置5の最大能力で照射しても、必要な紫外線量が得られない場合がある。
このような場合には、紫外線照射装置5に投入する電力は無駄になってしまうため、運転を停止するか下限値まで出力を低下させる制御が好ましい。さらに、処理装置内への浮遊物、濁質の堆積や有機物付着による汚れを防止するため、原水をバイパス配管6に流すように三方弁7a、7bを操作し流路を切替えることが好ましい。この場合、微生物消毒能力を失い、また、凝集阻害で凝集効率が低下する場合があるが、凝集・沈澱池3にて原水内の浮遊物や濁質、および藻類や病原性微生物の一部は、フロックの中に取り込まれ沈澱し汚泥として除去される。また、凝集・沈澱池3や、その出口、または濾過池8において、塩素系消毒剤の注入量を増やすことにより、病原微生物を確実に消毒するようにしても良い。あるいは、前述のように後段処理工程として後段紫外線照射装置15を設置することにより、病原微生物を確実に消毒するようにしても良い。その際、藻類は、凝集沈殿池3にて除去されるため目標紫外線量は、細菌類やウイルス、原虫類オーシストを不活化する必要紫外線量、すなわち藻類の繁殖力を不活化するためより低い紫外線量としても良い。
以上要するに、本実施形態のシステムであれば、紫外線照射装置5からの紫外線量を制御することにより、原水中に大量発生した藻類を不活化できるため、藻類による異臭味や着色障害、凝集、沈澱阻害、濾過閉塞、濾過水への漏出障害を確実に抑制することができる。しかも、浄水処理工程で注入されていた塩素剤の使用量を大幅に削減できるので、従来、塩素剤による消毒の過程で生成されていたトリハトメタン等の有害副生成物の発生を抑制することができるとともに、塩素剤注入にかかっていた費用を節約することができる効果もある。
なお、本実施形態は、原水中の固形物除去手段として凝集・沈殿池3の前段工程中に紫外線照射装置5を組み込んだ浄水処理システムを想定したが、これに限ることはない。具体的には、凝集・沈殿池3を省略して砂濾過池の前段工程や、原水中の固形物除去手段として膜濾過システムを採用した膜分離装置の前段工程に、紫外線照射装置5を組み込んだシステムでもよい。
さらに、本実施形態では、藻類種定量分析装置13により、原水中に含まれる藻類の種類を識別するための情報、及びその濃度の測定結果を得る構成であるが、これに限ることなく、藻類種定量分析装置13を使用しない構成でもよい。即ち、予め原水を人的に光学分析して原水中に含まれる藻類の種類及び量(濃度)を、水源、気象、季節等の処理条件別にデータベース化する。コントローラ10は、当該データベースを利用して、処理時の条件によって手動また自動で原水中に含まれる藻類の種類及び量(濃度)を推定する構成でもよい。また、原水の水質変動が少ない浄水場の場合には、コントローラ10は、予め藻類の種類及び量(濃度)が固定的に設定されて、定期的に光学分析方法などにより、当該藻類の種類及び量(濃度)の設定が補正される構成でもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施形態に関する水処理システムの要部を示すブロック図。 本実施形態に関する藻類のアナベナにおいて、紫外線量に対する光合成活性および繁殖力の関係を示す図。 本実施形態に関する藻類のオシラトリアにおいて、紫外線量に対する光合成活性および繁殖力の関係を示す図。 本実施形態に関する藻類のシネココッカスにおいて、紫外線量に対する光合成活性および繁殖力の関係を示す図。 本実施形態に関する藻類のミクロキスティスにおいて、紫外線量に対する光合成活性および繁殖力の関係を示す図。
符号の説明
1…沈砂池、2…着水井、3…凝集・沈澱池、4…原水流量計、
5…紫外線照射装置(前段紫外線照射装置)、6…バイパス管、
7a…入口三方弁、7b…出口三方弁、8…濾過池、9…紫外線ランプ電源装置、
10…浄水処理監視制御装置(コントローラ)、11…原水採水管、
12…原水紫外線透過率計、13…藻類種定量分析装置、
15…紫外線照射装置(後段紫外線照射装置)、16…紫外線ランプ電源装置、
19…紫外線照度計。

Claims (8)

  1. 紫外線照射により浄水処理を行う水処理システムにおいて、
    前記浄水処理対象の水に紫外線を照射するための紫外線照射装置と、
    前記水に含まれる藻類の種類毎の濃度を測定する測定手段と、
    前記測定手段の測定結果に基づいて、アナベナ、オシラトリア、シネココッカス、ミクロキスティスのいずれか一つが含まれる藻類の種類を判別する判別手段と、
    前記判別手段により判別された藻類の種類に基づいて、前記藻類の繁殖能力を抑制または消失させるのに十分な紫外線量の紫外線を照射するように前記紫外線照射装置を制御する制御手段と
    を具備したことを特徴とする水処理システム。
  2. 前記制御手段は、前記紫外線量が30〜100mJ/cmの範囲となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
  3. 前記紫外線照射装置は、
    浄水処理工程の凝集、沈澱処理、砂濾過処理、膜濾過処理のいずれかの処理の前段工程に配置されている構成であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の水処理システム。
  4. 前記紫外線照射装置として、浄水処理工程の前段工程に配置されている前段紫外線照射装置と、浄水処理工程の後段工程に配置されている後段紫外線照射装置とを含み、
    前記制御手段は、前段紫外線照射装置または後段紫外線照射装置のいずれかに対して、前記藻類の繁殖能力を抑制または消失させるのに十分な紫外線量の紫外線を照射するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の水処理システム。
  5. 前記藻類は、少なくともアナベナが含まれる複数の藻類種で構成されており、
    前記制御手段は、前記紫外線量が70〜90mJ/cm 又は75〜80mJ/cm の範囲となるように制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水処理システム。
  6. 前記藻類は、少なくともオシラトリアが含まれる複数の藻類種で構成されており、
    前記制御手段は、前記紫外線量が30〜40mJ/cm の範囲となるように制御することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水処理システム。
  7. 前記藻類は、少なくともシネココッカスが含まれる複数の藻類種で構成されており、
    前記制御手段は、前記紫外線量が30〜40mJ/cm の範囲となるように制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水処理システム。
  8. 前記藻類は、少なくともミクロキスティスが含まれる複数の藻類種で構成されており、
    前記制御手段は、前記紫外線量が55〜70mJ/cm の範囲となるように制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水処理システム。
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