JP4467230B2 - 有機物の造粒方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物の造粒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、物質の精製手段である晶析操作によって結晶を析出させると同時に析出した結晶を凝集させ、圧密して球形造粒物を得る晶析造粒技術がさかんに研究されるようになっている。この晶析造粒では得られる結晶の粉体特性を改善できるほか、1つのプロセスで晶析と造粒をおこなうためコスト削減なども期待できる。また対象となる物質が薬物の場合、凝集している1次粒子が微細であるため、溶解性を改善し、吸収性を高めるなどの効果も期待できる。
【0003】
晶析造粒で球形造粒物を得る方法としては、晶析に供する有機物を良く溶解できる溶媒(良溶媒)の溶液とし、その溶液を当該有機物をほとんど溶解しない溶媒(貧溶媒)中に滴下することで結晶を析出させる際に、貧溶媒と混和しない液体架橋剤を添加することで粒子を凝集させ、機械的せん断力を加え圧密して球形の造粒物を得る方法(以下、球形造粒法という)が知られている(非特許文献1:化学装置,2002年5月号,第46〜51頁)。
【0004】
また、液体架橋剤(凝集溶剤)を使用して造粒を行う方法としては、粉体を懸濁させた状態から凝集させる液中造粒(以下、湿式造粒法という)も知られている(特許文献1:特開平8−291072号公報)。
【0005】
しかしながら、上記の球形造粒法は、有機物の溶液を貧溶媒に滴下するという晶析方法であるため、晶析槽のほかに有機物の溶液を調製するタンクや、滴下する液滴の大きさをコントロールする必要から薬物溶液を定量的に送液するポンプなどの付帯設備が必要となり、厳密な品質管理の必要な薬物等の物質を扱う場合、管理すべき対象が広がることも合わせてコスト高となる。
【0006】
また、上記の球形造粒法および湿式造粒法のいずれも、液体架橋剤として貧溶媒(粉体の液中造粒法の場合は懸濁溶媒)と混和しない物質を使用しており、良好な造粒物を得るためには、液体架橋剤の液滴が均一に分散するように制御する必要があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−291972号公報
【0008】
【非特許文献1】
化学装置,2002年5月号、46〜51頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題に鑑み、本発明は、簡単な設備及び簡便な操作で有機物を晶析造粒する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、有機物を晶析するに際し、晶析溶媒と容易に混和し且つ有機物に親和性を有する補助溶剤を共存させることにより、簡単な設備、簡便な操作で有機物を造粒しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、有機物が溶媒に溶解された溶液から当該有機物を晶析するに際し、溶媒と容易に混和し且つ有機物と親和性を有する補助溶剤を共存させることにより、有機物を凝集、造粒することを特徴とする有機物の造粒法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の方法により造粒できる有機物としては、晶析可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ユビキノン等のように通常の晶析法では結晶が微細になりがちな有機物が特に好適である。
【0013】
本発明の方法においては、有機物溶液からの当該有機物の晶析は、従来の球形造粒法のように溶液を貧溶媒に滴下することなく、溶液の冷却(冷却晶析)や溶媒の蒸発(濃縮晶析)等の方法により行う。従って、有機物を溶解する溶媒としては、これら晶析法に適した溶媒を用いる。特に冷却晶析の場合は、ジャケット付きの槽のみで操作が可能なことから、冷却晶析に適した溶媒を用いるのがより好ましい。
【0014】
有機物が上記のような溶媒に溶解した溶液は、別途製造された有機物を上記溶媒に溶解して調製しても良いし、有機物を合成した反応液から、上記溶媒を用いて有機物を抽出した抽出液であっても良い。
【0015】
本発明の方法は、有機物の晶析に際し、溶媒と容易に混和し且つ有機物を親和性を有する補助溶剤を共存させることを特徴とする。ここで、「溶媒と容易に混和する」とは、晶析溶媒と補助溶媒が相溶し均一系となることを指す。従って、本発明方法においては、従来の球形造粒法や湿式造粒法のように液滴の分散状態を考慮する必要はなく、簡便な操作で有機物の造粒を行うことができる。また、「有機物と親和性を有する」とは、補助溶剤が本発明に用いる有機物を溶解し得ることを指す。
【0016】
上記補助溶剤としては、溶媒と容易に混和し且つ有機物と親和性を有する限り特に制限されないが、有機物との親和性が高いほど好適であり、有機物の補助溶剤に対する溶解度が、溶媒に対する溶解度よりも高くなるような溶媒と補助溶剤の組合せがより好ましい。
【0017】
具体的には、有機物がユビキノンのような脂溶性物質である場合、補助溶剤としてイソブタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの炭素数が4以上の炭化水素化合物;大豆油、コーン油、オリーブ油などの食用油;dl−α−トコフェロール(ビタミンE)などの脂溶性ビタミン類が好ましく、晶析溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ペンタノール(アミルアルコール)など炭素数が1〜5のアルコールが好ましい。
【0018】
特に好ましい補助溶剤はノルマルヘキサン、dl−α−トコフェロール(ビタミンE)であり、特に好ましい晶析溶媒はエタノールである。なお、溶媒に用いられるアルコールには補助溶剤との混和性を妨げない程度の水を含んでも何ら問題はない。
【0019】
補助溶剤の使用量としては、晶析溶媒の0.1〜7vol%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5vol%である。添加物質の量が多すぎると有機物の溶解度が上昇し、収率低下を招くとともに、補助溶剤が食用油や脂溶性ビタミンの場合には結晶化せず、油状の沈殿物となる。また補助溶剤の量が少なすぎると十分に凝集、造粒がおこなわれず、球形の造粒物を得ることができなくなる。
【0020】
予め補助溶剤を含んだ溶媒に有機物を溶解して晶析を行ってもよく、また、有機物の溶液に、結晶が析出するまでに補助溶剤を添加してもよい。
【0021】
晶析は攪拌下に行い、機械的せん断力を与えて、凝集した結晶を圧密するのが好ましい。
【0022】
以上の方法により、有機物の溶液を貧溶媒に滴下するという方法のように調製タンクや定量送液ポンプのような付帯設備を必要とせず、簡便な操作で有機物を造粒することができる。
【0023】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
【0024】
(実施例1)
内容積500mlの撹拌装置付きセパラブルフラスコにユビキノン10を10g、エタノールを200ml仕込み、補助溶剤としてノルマルヘキサン10mlを加えて45℃で完全に溶解したあと、毎分0.2℃の冷却速度で10℃まで冷却した。ろ過乾燥後得られた結晶をマイクロスコープ(キーエンス製デジタルマイクロスコープVH−6200、以下同じ)で観察したところ、直径約200ミクロンの球状の凝集結晶となっていた。
【0025】
(実施例2)
内容積300mlの撹拌装置付き4ツ口フラスコにユビキノン10を5g、エタノールを100ml仕込み、補助溶剤として大豆油5mlを加えて40℃で完全に溶解したあと、10℃まで冷却した。ろ過乾燥後得られた結晶をマイクロスコープで観察したところ、直径200〜300ミクロンの凝集結晶となっていた。
【0026】
(実施例3)
内容積500mlの撹拌装置付きセパラブルフラスコにユビキノン10を10g、エタノールを200ml仕込み、補助溶剤としてdl−α−トコフェロール(ビタミンE)4mlを加えて45℃で完全に溶解したあと、毎分0.2℃の冷却速度で10℃まで冷却した。ろ過乾燥後得られた結晶をマイクロスコープで観察したところ、直径約100ミクロンの球状の凝集結晶となっていた。
【0027】
(比較例1)
内容積300mlの撹拌装置付き4ツ口フラスコにユビキノン10を5g、エタノールを100ml仕込み、補助溶剤を加えずに40℃で完全に溶解したあと、10℃まで冷却した。得られた結晶は50ミクロン以下の板状結晶として分散し、微粉となって、球状の造粒物は得られなかった。
【0028】
【発明の効果】
有機物の晶析造粒法として従来からある球形造粒法に比して、
(1)薬物の溶液を貧溶媒に滴下するという球形造粒法のように調製タンクや定量送液ポンプのような付帯設備を必要とせず、特に冷却による方法の場合ジャケット付きの槽のみでの操作が可能である。
(2)溶媒と容易に混和する物質を有機物結晶が析出する前に添加し、混和しておくだけで有機物の凝集結晶が得られることから、従来の液体架橋剤のように分散状態を考慮する必要がない。
Claims (6)
- 有機物が溶媒に溶解した溶液から当該有機物を晶析するに際し、溶媒と容易に混和し且つ有機物に対して親和性を有する補助溶剤を結晶が析出する前に添加し、混和して共存させることにより有機物を凝集させ、造粒することを特徴とする有機物の造粒方法。
- 有機物の補助溶剤に対する溶解度が、溶媒に対する溶解度より高いことを特徴とする請求項1記載の造粒方法。
- 補助溶剤が炭素数が4以上の炭化水素化合物、食用油、又は脂溶性ビタミンであることを特徴とする請求項1又は2記載の造粒方法。
- 溶媒が、炭素数が1〜5のアルコールである請求項1〜3のいずれかに記載の造粒方法。
- 補助溶剤の使用量が溶媒の0.1〜7vol%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の造粒方法。
- 有機物がユビキノンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の造粒方法。
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