JP4467225B2 - 結晶製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶製造装置に関するものであり、特に、磁場を結晶融液に印加しながら結晶を成長させる結晶製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結晶として、例えばシリコン単結晶を例に挙げて説明する。
近年、半導体素子の高集積・大容量化に伴い、半導体素子の製造に用いられるシリコンウエーハには、ウエーハの大口径化、例えば、シリコン単結晶の直径が300mmを超えるものが要求されており、加えて、素子作製プロセスにおいてスリップ等が発生しない等のウエーハの品質向上が求められている。
【0003】
一般に、シリコンウエーハ作製の際にシリコン単結晶を成長させる方法として、チョクラルスキー法(CZ法)や浮融帯域融解法(FZ法)が広く知られている。
CZ法は、例えば、原料である純度の高い多結晶シリコンを石英ルツボに充填し、これをヒータ等で加熱して溶融した後、このシリコン融液に種結晶を浸して引上げることによってシリコン単結晶(インゴット)を成長させることができる。また一方、FZ法は、原料である多結晶シリコン棒の下端を例えば高周波コイル等で加熱して溶融し、種結晶に融着させ、ヒータを徐々に上方に移動させる(または、多結晶シリコンを下方に移動させる)ことによりシリコン単結晶を成長させる方法である。
【0004】
CZ法は、一般に、FZ法に比べてシリコン単結晶の大口径化を容易に行うことができ、またCZ法でシリコン単結晶を育成する際に、石英ルツボから溶出した酸素が単結晶中に取り込まれるため、ゲッタリング能力が高く、スリップ転位が生じにくいシリコン単結晶を得ることができる等の優位性があることから、現在の大口径シリコンウエーハではCZ法によるシリコン単結晶の製造が主流をなしている。
【0005】
しかしながら、このようなCZ法によるシリコン単結晶の製造では、石英ルツボ内に充填された多量のシリコン融液を側面から例えば抵抗加熱式の黒鉛製のヒータにより加熱し、種結晶及びルツボを回転させながら単結晶を育成するため、シリコン融液に熱対流やルツボ回転・結晶回転による強制対流が起こり、その結果、単結晶の有転位化による歩留まりの低下や育成したシリコン単結晶の不純物分布に影響するという問題がある(直径300mmシリコン基板実用化における課題,応用物理,66,vol7,1997,p.673)。
【0006】
そこで、このような問題点を改善するために、CZ法によるシリコン単結晶の育成中にシリコン融液に磁場を印加すること(MCZ法)によりシリコン融液対流を制御し、融液対流が安定した状態で結晶を育成する方法が着目されている。例えば、シリコン融液に横磁場(水平磁場)を印加して対流を制御しながらシリコン単結晶を育成することによって、単結晶の有転位化を防止し、また結晶中に取り込まれる酸素濃度等を制御しながらシリコン単結晶を製造することができる。
【0007】
このMCZ法によるシリコン単結晶の製造装置は、一般的に、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーと、結晶育成時に磁場を印加する磁場発生装置を具備し、またチャンバー内には、多結晶シリコンが充填される石英ルツボと、該ルツボを取り囲むように加熱ヒータと断熱材で構成されたいわゆるホットゾーンが設置されており、約100Torr程度の減圧下で単結晶の育成が行えるように構成されている。
【0008】
このようなMCZ法、CZ法による単結晶の製造装置において、結晶育成室となるチャンバーの材質としては、加工性に優れ、安価なオーステナイト系のステンレス鋼であるSUS304(JIS規格、炭素含有量0.08%以下:通常、0.06〜0.07%)が一般的に用いられており、単結晶製造装置に使用されるような大きなチャンバーを作製する場合には、例えば、このSUS304を所定の形状となるように成形し、冷却手段として水冷ジャケットを設けるために溶接等の加工を行うことによって、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーを作製することができる。
【0009】
しかしながら、このようなSUS304から作製されたチャンバーを有するシリコン単結晶の製造装置において、MCZ法のようにシリコン融液に磁場を印加しながらシリコン単結晶の製造を繰り返し行うと、チャンバーはほとんど変形せずに、応力腐食割れが発生するという問題が生じた。応力腐食割れとは、金属材料に一定の応力のかかった状態で、その材料に特有の腐食性雰囲気におかれた場合に生ずる割れであり、▲1▼引張り応力でのみ割れ、圧縮応力では割れない、▲2▼金属材料と特定環境の組み合わせの場合に割れる、▲3▼遅れ破壊である等の特徴がある。例えば、上記のようなSUS304を用いて冷却手段を有するチャンバーを作製した場合では、冷却手段に流される水溶液中の溶存酸素とClイオンとの組み合わせにより応力腐食割れが発生するとされている(ステンレス鋼の熱処理技術,昭和58年8月31日 初版9刷,日刊工業新聞社)。
【0010】
このように、シリコン単結晶の製造装置においてチャンバーに応力腐食割れが発生すると、チャンバーに備えられている冷却手段から水漏れが生じるため、通常2〜3年のサイクルでチャンバーの修理・交換が必要であった。
このようなチャンバーの修理・交換は、通常シリコン単結晶の製造を停止して行われるため、上記のようにチャンバーの修理交換のサイクルが2〜3年、またはそれよりも短い場合、シリコン単結晶の生産性の低下を招く原因となり、さらにはチャンバーの修理・交換のための費用も大きいことから、シリコン単結晶の製造コストにも大きな負担がかかるという問題があった。
【0011】
また、このようなチャンバーの応力腐食割れは、MCZ法だけではなく、例えば、特開平5−208887号に開示されているような、磁場を印加しながらFZ法によりシリコン単結晶を製造する方法においても同様に観察され、シリコン単結晶の生産性の低下と製造のコストアップの要因の一つとなっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであって、本発明の目的は、MCZ法等のように結晶融液に磁場を印加しながら結晶の製造を繰り返し行っても、チャンバーに応力腐食割れが生じることなく、結晶の製造を安定して長期間行うことができ、結晶を効率的にかつ安価に製造できる結晶の製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーと、原料を溶融させる加熱手段と、結晶育成時に磁場を印加する磁場発生装置を具備し、前記磁場発生装置から磁場を融液に印加しながら結晶を成長させる結晶の製造装置において、前記冷却手段を有するチャンバーが、炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼からなることを特徴とする結晶製造装置が提供される
【0014】
このように、少なくとも、冷却手段を有するチャンバー、加熱手段及び磁場発生装置を具備し、磁場を融液に印加しながら結晶を成長させる結晶の製造装置において、冷却手段を有するチャンバーが炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼からなるものであれば、磁場を印加しながら結晶の製造を繰り返し行っても、チャンバーに応力腐食割れが発生することがないため、チャンバーを修理・交換することなく長期間の操業を行うことができ、結晶の製造を効率的にかつ安価に行うことができる。
【0015】
このとき、前記結晶の成長は、チョクラルスキー法(CZ法)によって単結晶の成長を行うものであるものとすることができる
CZ法は、上記のように、ルツボ内で一度に大量の結晶融液を用いるものであるため、印加する磁場強度も高くする必要があり、特に本発明を適用するのが有利である。そして、本発明によれば、磁場を融液に印加しながらチョクラルスキー法によって単結晶の成長を行うMCZ法において、冷却手段を有するチャンバーに応力腐食割れが発生することなく、長期間安定して大口径単結晶の製造を行うことができる。
【0016】
この場合、前記炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼が、SUS304LまたはSUS316Lであることが好ましい
このように、冷却手段を有するチャンバーがSUS304LまたはSUS316L(JIS規格記号)であれば、耐食性・加工性に優れており、また溶接等の熱間加工を行って冷却手段を有するチャンバーを作製しても、ステンレス鋼に鋭敏化が生じず粒界腐食を生じることもない。そのため、磁場を印加しながら結晶の製造を繰り返し行っても応力腐食割れが発生することがないので、チャンバーを修理・交換することなく、結晶の製造を長期間行うことができる。さらに、前記SUS304LまたはSUS316LにNを0.1〜0.15%添加したものであれば、耐性、引張り強さ等の強度が上がり、その分肉厚を薄くできる利点も有するのでより好ましい。
【0017】
また、前記冷却手段を有するチャンバーが、チャンバーに冷却手段を設ける溶接が行われた後、固溶化熱処理が施されたものであることが好ましい
このように、チャンバーが冷却手段を設ける溶接が行われた後、固溶化熱処理が施されたものであれば、溶接の際にチャンバーの溶接部において例え粒界に炭素が析出したとしても、固溶化熱処理により再び炭素をオーステナイト粒内に固溶させることができるため、ステンレス鋼の鋭敏化を確実に防止することができ、より耐食性の優れたチャンバーを作製することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来、シリコン単結晶の製造装置において、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーの材料として、加工性や経済性等からオーステナイト系のステンレス鋼であるSUS304が用いられてきた。しかしながら、MCZ法等のように磁場を印加しながらシリコン単結晶を製造する製造装置において、チャンバーの材料としてこのSUS304が用いられている場合、シリコン単結晶の製造を繰り返し行うと、チャンバー、特に冷却手段との溶接部において応力腐食割れが発生し、冷却手段から水漏れが生じていた。そのため、チャンバーの修理・交換がその都度必要となり、結果としてシリコン単結晶の生産性の低下とコストアップを招くという問題があった。
【0019】
そこで、本発明者等は、チャンバーの応力腐食割れの原因となるステンレス鋼の腐食作用を改善することによってチャンバーの応力腐食割れを防止し、それにより、磁場を印加しながらシリコン単結晶の製造を繰り返し行ってもチャンバーに応力腐食割れが生じることなく、シリコン単結晶を安定して長期間製造できるシリコン単結晶の製造装置が提供できることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
先ず、本発明に係る結晶製造装置として、磁場を印加しながらCZ法によりシリコン単結晶を育成する製造装置を例に挙げ、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るMCZ法によりシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造装置の概略説明図を示している。
【0021】
本発明のシリコン単結晶の製造装置10は、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバー1と結晶育成時に磁場を印加する磁場発生装置2を具備しており、またチャンバー1内には、シリコン融液9が充填される石英ルツボ7と、石英ルツボ7を取り囲むように炭素製の加熱ヒータ6と断熱材5で構成されたホットゾーンが配置されており、約100Torr程度の減圧下で単結晶の育成が行えるように構成されている。そして、チャンバー内で発生する高熱に耐えることが出来るように、チャンバーは、いわゆるジャケット方式、蛇管方式等により水冷されている。
【0022】
このようなシリコン単結晶の製造装置10を用いてシリコン単結晶8を育成する方法は、石英ルツボ7中のシリコン融液9に種結晶を浸漬した後、種絞りを経て、シリコン単結晶8を回転させながら静かに引上げることによって行われる。このとき、磁場発生装置2からシリコン融液9に水平方向の磁場を印加することによって、シリコン融液9の対流を制御して、品質の優れた単結晶を効率良く育成できるようにしている。また、チャンバー1の上部には、ガス導入バルブ3が設けられており、該ガス導入バルブ3からアルゴンガス等の不活性ガスが導入され、引上げ中の単結晶8の周囲を通過してガス排気バルブ4から排出される。
【0023】
本発明のシリコン単結晶の製造装置は、上記のような構成を有するシリコン単結晶の製造装置において、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバー1が炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼からなることを特徴とする。
【0024】
ここで、従来のシリコン単結晶の製造装置において、チャンバーに応力腐食割れが発生する原因について説明する。
従来、シリコン単結晶の製造装置に使用されるチャンバーには、上述のようにオーステナイト系のステンレス鋼材であるSUS304が用いられている。しかしながら、このSUS304におけるオーステナイトのC(炭素)固溶度は、高温では大きく、低温では小さい。例えば、Cr18%、Ni8%を含有するSUS304(18−8ステンレス鋼)におけるCの固溶度は、1200℃で0.34%、1000℃で0.18%であるため、SUS304に含有されている0.08以下(通常、0.06〜0.07%)のCは、1000℃以上の高温においては全てステンレス鋼(γ鉄)に固溶している。
【0025】
それに対して、例えば600℃におけるSUS304におけるCの固溶度は、0.02%であり、常温においては更に小さくなる。そのため、SUS304が50〜850℃の温度に一定時間加熱された場合、固溶限界を超えた過飽和のCはオーステナイト粒内に存在できなくなり、結晶粒界に析出する。その際、C単独では安定でないため、周囲のマトリックスに固溶しているCrを引き寄せて、安定なCr23のクロム炭化物(Cr23はFeを幾分含むため、(Fe,Cr)23と記載することもある)として結晶粒界に連続して析出する。このとき、Crはマトリックスから粒界へ拡散されるため、析出したクロム炭化物の近傍にCr欠乏領域が形成される。このような現象は、一般に鋭敏化と呼ばれ、クロム炭化物の析出によりCr濃度が約12%以下になると、ステンレス鋼の安定表面である不動態(表面にCrを含む酸化皮膜が生成され、優れた耐腐食性を示す状態)を生ぜず、電位も下がることから、結晶粒界のみが優先して腐食される粒界腐食が生じる。
【0026】
したがって、上記のように、SUS304を用いて冷却手段を有するチャンバーを作製する際に溶接等の50〜850℃の熱間加工が行われると、SUS304に鋭敏化が生じるため、冷却手段に流される冷却水により溶接されたチャンバーの溶接部において粒界腐食が生じることになる。
【0027】
また、18−8ステンレス鋼(SUS304)は、常温では準安定状態でα鉄+炭化物に変態しようとする傾向を持ち、18−8ステンレス鋼に冷間加工が行われるとマルテンサイト変態を生じ、磁性が生じる。したがって、SUS304を所定の形状にするために、成形のような冷間加工を行ってチャンバーを作製すると、シリコン単結晶の育成において磁場発生装置から磁場を印加した際に、印加された磁場の影響によりチャンバーに引張り応力が生じる。
【0028】
すなわち、このようにSUS304を用いて冷却手段を有するチャンバーを作製し、該チャンバーを有するシリコン単結晶の製造装置を用いてMCZ法のように磁場をシリコン融液に印加しながらシリコン単結晶を製造すれば、チャンバーの冷却手段の溶接部には、冷却手段に流される冷却水による腐食と印加磁場による引張り応力との作用により、応力腐食割れが発生するものと思われる。
【0029】
そこで、本発明は、このようなチャンバーの応力腐食割れを防止するため、チャンバーの材質として炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼を用い、この低炭素ステンレス鋼に成形や溶接等の加工を行い、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーを作製した。
【0030】
このように、結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーが、炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼からなるものであれば、チャンバー作製の際に溶接等の熱間加工を行っても、オーステナイトの結晶粒界に析出するクロム炭化物を低減する事ができ、その結果、ステンレス鋼に発生する粒界腐食を防止することができる。特に、炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼としては、耐食性・加工性に優れたSUS304LまたはSUS316Lを用いることが好ましく、これらのオーステナイト系のステンレス鋼を用いることによって、熱間加工を行っても鋭敏化が生じにくく、粒界腐食の生じないチャンバーを得ることができる。
【0031】
したがって、シリコン単結晶の製造装置においてチャンバーが炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼からなるものであれば、冷却手段の溶接部に発生する腐食を防止することができるため、MCZ法等のように磁場をシリコン融液に印加しながらシリコン単結晶を製造するものであっても、チャンバーに発生する応力腐食割れを防止することができる。その結果、チャンバーの修理・交換を行うことなく長期間の操業を行うことが可能となり、効率的にかつ安価にシリコン単結晶の製造を行うことができる。
【0032】
さらに、冷却手段を有するチャンバーは、ステンレス鋼からチャンバーを作製する際に、チャンバーに冷却手段を設ける溶接が行われた後、固溶化熱処理が施されたものであることが好ましい。この固溶化熱処理は、例えば、溶接が行われたステンレス鋼に1010〜1150℃の熱処理をし、その後急冷することによって行うことができる。
【0033】
このように冷却手段を有するチャンバーが、溶接後に固溶化熱処理が施されたものであれば、溶接の際にチャンバーの溶接部において粒界に炭素が析出したとしても、固溶化熱処理により再び炭素をオーステナイト粒内に固溶させることができる。従って、ステンレス鋼の鋭敏化を確実に防止することができ、チャンバーに発生する応力腐食割れを完全に防止することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーの材質として、SUS316Lを用い、このSUS316Lを成形し、溶接により水冷ジャケットを形成することによって直径850mmのチャンバーを作製した。その後、該チャンバーを用いて図1に示すようなシリコン単結晶の製造装置を構成した。
【0035】
このシリコン単結晶の製造装置を用いて、磁場発生装置からシリコン融液表面に0.5Tの磁場を印加しながら、CZ法により従来行われている方法と同様にシリコン単結晶の製造を断続的に行った。その結果、59ヶ月間、チャンバーに水漏れの発生はなく、チャンバーの修理・交換を行うことなく、安定してシリコン単結晶の製造を行うことができた。
【0036】
(実施例2)
結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーの材質として、SUS316Lを用い、このSUS316Lを成形し、溶接により水冷ジャケットを形成することによって直径1115mmのチャンバーを作製した。その後、該チャンバーを用いて図1に示すようなシリコン単結晶の製造装置を構成した。
【0037】
このシリコン単結晶の製造装置を用いて、磁場発生装置からシリコン融液表面に0.4Tの磁場を印加しながら、CZ法により従来行われている方法と同様にシリコン単結晶の製造を断続的に行った。その結果、72ヶ月間、チャンバーに水漏れの発生はなく、チャンバーの修理・交換を行うことなく、安定してシリコン単結晶の製造を行うことができた。
【0038】
(比較例)
結晶育成室となる冷却手段を有するチャンバーの材質として、SUS304を用い、このSUS304を成形し、溶接により水冷ジャケットを形成することによって直径850mmのチャンバーを作製した。その後、実施例と同様に、該チャンバーを用いてシリコン単結晶の製造装置を構成した。
【0039】
このシリコン単結晶の製造装置を用いて、磁場発生装置からシリコン融液表面に0.2Tの磁場を印加しながら、CZ法によりシリコン単結晶の製造を実施例と同様に断続的に行った。その結果、実験開始から16ヶ月目において、水冷ジャケットの上下の溶接部から水漏れが発生した。シリコン単結晶の製造装置を分解して調査したところ、応力腐食割れが発生していたことがわかった。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0041】
例えば、上記では、磁場発生装置から磁場を融液に印加しながら、CZ法によりシリコン単結晶の成長を行うMCZ法によるシリコン単結晶の製造装置について説明を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、磁場発生装置から磁場を融液に印加しながら、FZ法によりシリコン単結晶を成長させるシリコン単結晶の製造装置にも同様に適用することができるし、製造する結晶についてもシリコン単結晶に限らないことは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明よれば、磁場発生装置から磁場を融液に印加しながらシリコン単結晶の製造を繰り返し行っても、冷却手段を有するチャンバーに応力腐食割れが発生しないシリコン単結晶の製造装置を提供することができる。それにより、長期間チャンバーの修理・交換を行うことなくシリコン単結晶の製造を行うことができるため、効率的にかつ安価にシリコン単結晶の製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るMCZ法によりシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1…チャンバー、 2…磁場発生装置、
3…ガス導入バルブ、 4…ガス排気バルブ、
5…断熱材、 6…加熱ヒータ、 7…石英ルツボ、
8…シリコン単結晶、 9…シリコン融液、
10…シリコン単結晶の製造装置。

Claims (2)

  1. 少なくとも、結晶育成室となる溶接により形成された水冷ジャケット方式の冷却手段を有するチャンバーと、原料を溶融させる加熱手段と、前記チャンバーの外側に配置され、結晶育成時に磁場を印加する磁場発生装置を具備し、前記磁場発生装置から水平方向の磁場を融液に印加しながら単結晶を成長させる単結晶の製造装置において、前記冷却手段を有するチャンバーが、炭素含有量0.03%以下の低炭素ステンレス鋼であるSUS304LまたはSUS316Lからなり、前記冷却手段を有するチャンバーが、チャンバーに冷却手段を設ける溶接が行われた後、1010〜1150℃の熱処理をし、その後急冷する固溶化熱処理が施されたものであることを特徴とする単結晶製造装置。
  2. 前記単結晶の成長は、チョクラルスキー法(CZ法)によって単結晶の成長を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
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