JP4465839B2 - 回路遮断器及び温度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば回路遮断器の端子部又は回路遮断器の接点部の温度を検出して異常時に警報を出力する回路遮断器、または、異常温度を検出して警報を出力する温度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、例えば、特開平05−056552号公報に示された従来の回路遮断器の温度警報装置である。
図において、1はベース1aとカバー1bとからなる回路遮断器のモールドケース、2はモールドケース1の相間壁、3はベース1a内に配設された固定端子、4は固定端子3に固着された固定接点、5は可動端子、6は可動端子5に固着された可動接点、7は相間壁2の接点近傍に設けた穴で、カバー1bからベース1aの底近くまで穿設されている。8は穴7に埋め込まれた温度センサ、9は温度センサ8を警報器(図示せず)に接続するリードである。
【0003】
以上のように形成された従来の温度警報装置は、温度センサ8が接点部近傍の相間壁2の穴7に埋め込まれているので、接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度変動分や、固定端子3に外部接続線(図示しない)を締付ける締付ねじ(図示しない)の緩みによる異常な温度上昇を検知することができる。
【0004】
なお、温度センサ8として、例えばサーミスタを使用し、サーミスタの抵抗値変化をコンパレータで判別して異常温度検出を行うものとして、特開平08−95815号公報に示された温度変化監視装置がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の温度警報装置は、以上のように形成されており、温度センサ8で検出される温度には、本来、検出を目的とする接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度上昇、固定端子3に外部接続線を締付ける締付ねじの緩みによる温度上昇に加え、回路遮断器に流れる電流による接点部、端子部等のジュール熱による温度上昇を含んだものを検出しているため、接点部の接点磨耗や締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度良く検出することができないという問題があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、回路遮断器に流れる電流による接点部、端子部等の温度変動分を含むことなく、本来、検出を目的とする接点部の接点磨耗による接触抵抗増加、又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度よく検出できる回路遮断器を提供することを目的としている。
また、電路に流れる電流による被監視部の温度変動分を含むことなく、被監視部の異常状態による温度上昇を精度よく検出できる温度検出装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る回路遮断器は、電路に流れる電流に基づいて引き外し信号を出力する電流処理手段と、該電流処理手段の引き外し信号により動作する引き外し装置と、該引き外し装置により前記電路を開路する開閉器と、温度が監視される被監視部の温度を検出して検出結果を出力する温度検出手段と、前記電路に流れる電流に基づいて前記温度検出手段の検出結果を補正する温度補正手段とを備えたものである。
【0008】
また、温度補正手段は、被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、電流処理手段から出力された電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧と前記基準電圧を加算する加算回路と、該加算回路から出力された電圧と温度検出手段から出力された温度検出電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたものである。
【0009】
また、温度補正手段は、被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、温度検出手段から出力された温度検出電圧から電流処理手段から出力された電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を減算する減算回路と、該減算回路から出力された電圧と前記基準電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたものである。
【0010】
また、電流処理手段から出力された電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を保持すると共に保持した電圧を電流処理手段にフィードバックさせる電圧保持回路を備えたものである。
【0011】
また、電圧保持回路は被監視部の放熱特性に近似させたコンデンサと該コンデンサの電圧を放電させる抵抗で構成されたものである。
【0012】
また、回路遮断器が有する基準の通電電流に対する被監視部の温度変動分を固有データとして記憶させる記憶手段を配設し、前記固有データを用いて温度補正手段へ出力される電圧を補正するものである。
【0013】
また、この発明に係る温度検出装置は、電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を出力する電流処理手段と、温度が監視される被監視部の温度を検出して温度検出電圧を出力する温度検出手段と、前記被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、前記基準電圧と前記電流処理手段から出力された電圧を加算する加算回路と、該加算回路から出力された電圧と前記温度検出電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたものである。
【0014】
また、この発明に係る温度検出装置は、電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を出力する電流処理手段と、温度が監視される被監視部の温度を検出して温度検出電圧を出力する温度検出手段と、前記被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、前記温度検出手段から出力された温度検出電圧から前記電流処理手段から出力された電圧を減算する減算回路と、該減算回路から出力された電圧と前記基準電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による回路遮断器の構成を示すブロック図、図2は図1の動作を示すタイムチャートである。
図において、11は電路10に流れる電流を検出するたとえば変流器からなる電流センサ、12は電流センサ11の出力電流を整流する整流回路、13は整流回路12から入力された電流信号を電圧信号に変換する負担回路、14は負担回路出力13から出力された電圧信号を波形変換する波形変換回路である。
【0016】
15は、波形変換回路14のアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換回路、16はA/D変換回路15から入力された信号を処理し、後述の引き外し装置17に引き外し信号を出力するマイクロプロセッサ、17はマイクロプロセッサ16から出力された引き外し信号により動作し、開閉器18を動作させる引き外し装置である。
【0017】
31は異常温度であるか否かを監視される部分である被監視部で、例えば、回路遮断器の端子部又は開閉器18の接点部である。19は被監視部31に直接取付けるか又は被監視部31に近接して配設することにより被監視部31の温度を検出するサーミスタ、20はサーミスタ19で検出した温度に比例した検出信号を電圧信号に増幅し温度検出電圧を出力する増幅回路、21は被監視部31の温度が異常温度であるか否かの基準である基準電圧が設定された基準電圧設定部である。
【0018】
24はマイクロプロセッサ16から出力された電路10に流れる電流による温度変動分に相当するディジタル電圧をアナログ電圧に変換し出力するD/A変換器、25は基準電圧設定部21に設定された基準電圧と、D/A変換器24から出力された電圧を加算する加算回路、22は加算回路25から出力された電圧と、増幅回路20から出力された温度検出電圧とを比較し異常である場合に出力を行う比較回路、23は比較回路22の出力に基づいて警報を行う警報手段である。
【0019】
次に、以上のように形成されたこの発明の実施の形態1による回路遮断器について、図1を用いて動作を説明する。
(1)開閉器18が投入され、閉路状態になると電路10に電流が通電される。
(2)電流センサ11で電路10に流れる電流が検出され、検出電流に比例した電流が整流回路12に出力される。
【0020】
(3)整流回路12に入力された電流は全波整流され、負担回路13に出力される。
(4)負担回路13に入力された電流は電流信号から電圧信号に変換され、波形変換回路14に出力される。
(5)波形変換回路14に入力された電圧は脈流のない電圧波形に変換され、A/D変換回路15に出力される。
【0021】
(6)A/D変換回路15に入力された電圧はアナログ信号からディジタル信号に変換され、マイクロプロセッサ16に出力される。
(7)マイクロプロセッサ16は入力されたディジタル信号を処理し、電路10に流れる電流が異常電流(過負荷状態)に達すると電路10に流れる通電電流の大きさにほぼ反比例した時間(反限時特性)で引き外し信号を出力し、引き外し装置17を動作させ、開閉器18により電路10に流れる電流を遮断する。
【0022】
次に、異常温度検出時の動作について、図1及び図2を用いて説明する。
(8)開閉器18が投入され、閉路状態になると電路10に電流が通電(S100)される。
(9)上述の(2)〜(6)と同じ。
(10)マイクロプロセッサ16は入力されたA/D変換回路15からのディジタル信号に基づいて、電路10に流れる電流による温度変動分に相当するディジタル電圧を算出し、D/A変換回路24に出力する。
【0023】
(11)D/A変換回路24は入力されたディジタル電圧をアナログ電圧に変換し、加算回路25に出力(S101)する。
なお、基準電圧設定部21には被監視部31の温度が異常温度であるか否かの基準である基準電圧(図2の中央部に示す)が設定されている。
(12)加算回路25は被監視部31の温度が異常であるか否かを判別する基準電圧設定部21の基準電圧と、D/A変換回路24から出力された通電電流による温度変動分に相当するディジタル電圧を加算し、比較回路22へ出力(S102)する。
【0024】
(13)被監視部31の近傍に配設されたサーミスタ19が被監視部31の温度を検出し、増幅回路20は被監視部31の温度に比例した温度検出電圧を比較回路22に出力(S103)する。
(14)電路10に通電される電流が増加(S104)すると、D/A変換回路24は上述した(9)〜(10)と同様にして、入力されたディジタル電圧をアナログ電圧に変換し、加算回路25に出力(S105)する。
【0025】
(15)加算回路25は被監視部31の温度が異常であるか否かを判別する基準電圧設定部21の基準電圧と、D/A変換回路24から出力された通電電流による温度変動分に相当するディジタル電圧を加算し、比較回路22へ出力(S106)する。
(16)被監視部31の温度が電路10に通電された電流の増加に伴い上昇すると、サーミスタ19の持つ抵抗値が変化し、増幅回路20は被監視部31の温度に比例した温度検出電圧を比較回路22に出力(S107)する。
【0026】
(17)接点部の接点磨耗による接触抵抗増加又は端子部の締付ねじの緩みが生じ、被監視部31の温度が上昇すると、サーミスタ19の持つ抵抗値が更に変化し、増幅回路20から比較回路22に出力される電圧が上昇(S108)する。
(18)比較回路22は増幅回路20の温度検出電圧と加算回路25の電圧を比較し、増幅回路20の出力が加算回路25の出力を超えた時(S109)、信号を警報手段23に出力(S110)する。
(19)警報手段23は図示しない警報ブザー、警報ランプを用いて被監視部31が異常温度であることを警報する。
【0027】
このように構成された回路遮断器では、異常温度であるか否かの基準となる基準電圧に電路に流れる通電電流による温度変動分に相当する電圧を加算し、加算した電圧を基準電圧にすることにより、回路遮断器に流れる電流による温度変動分の影響を受けることなく、本来、検出を目的とする接点部の接点磨耗による接触抵抗増加又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度良く検出できる。
【0028】
なお、上記の説明では被監視部31が異常温度に達したか否かの判断を行う基準を設定して、異常温度に達した場合に警報を行うようにしたが、基準電圧設定部21及び加算回路25を配設せずに、増幅回路20から出力された被監視部31の温度検出電圧からD/A変換回路24から出力された通電電流による温度変動分に相当する電圧を比較回路22で減算させることにより、被監視部31の温度そのものを警報手段31で表示させるようにしても良い。
【0029】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による回路遮断器の構成を示すブロック図、図4は図3の電圧保持回路の動作を示すタイムチャートである。
図において26は電圧保持回路で、D/A変換回路24から出力された電圧を増幅するオペアンプ30、オペアンプ30から出力された電圧を整流するダイオード29、ダイオード29から出力された電圧を被監視部31の放熱特性に近似した特性で保持するコンデンサ28、及びコンデンサ28の電圧を放電させる抵抗27により構成されている。10〜25は実施の形態1に示すものと同様である。
【0030】
以上のように形成された回路遮断器は、電路10に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を出力するD/A変換器24からの電圧を電圧保持回路26のオペアンプ30で増幅した後、コンデンサ28に充電させておき、開閉器18が開路(S200)し、電路10に流れる電流が遮断され、D/A変換器24から出力される電圧が停止(S201)した場合において、コンデンサ28に充電されていた電荷が抵抗27を介して放電(S202)する間に開閉器18が閉路(S203)されると、コンデンサ28に残留していた電圧(V0)がA/D変換回路15にフィードバックして入力され、マイクロプロセッサ16で処理された後、D/A変換器24から出力されるため、D/A変換器24は電圧V0から立上りを開始(S204)する。
【0031】
通常、被監視部31の温度は通電がなくなったとしても温度は瞬時に低下するのではなく、放熱特性をもって徐々に低下するものであり、電圧保持回路26が配設されていない場合においては、例えば、電路10に流れる電流により被監視部31の温度が上昇している状態で短時間内に開閉器18が開路、閉路されると、被監視部31の温度が昇温しているのにも拘わらず、D/A変換器24は通電された電流による温度変動分に相当する電圧しか出力しないため、比較回路22で増幅回路20の電圧と加算回路25の電圧を比較すると、増幅回路20の出力が加算回路25の出力を超え、比較回路22が警報手段23に信号を出力してしまうという問題があった。
【0032】
電圧保持回路26を備えたこの発明の実施の形態2による回路遮断器は、被監視部31の放熱特性に近似させたコンデンサ28と抵抗27で形成された回路の放電特性を利用して、被監視部31に昇温している温度に相当する電圧をマイクロプロセッサ16にフィードバックさせ再出力させるようにしたので、誤動作がなく、又、精度の高い温度検出ができる。
【0033】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による回路遮断器の構成を示すブロック図、図6は図5の動作を示すタイムチャートである。
図において32は、増幅回路20から出力された温度検出電圧からD/A変換器24から出力された電圧を減算する減算回路で10〜24は実施の形態1に示すものと同様である。
【0034】
次に以上のように形成されたこの発明の実施の形態3による回路遮断器についての動作を説明する。
回路遮断器の引き外し動作については実施の形態1の(1)〜(7)に記述したものと同じであり、温度検出時の動作について、図5及び図6を用いて説明する。
【0035】
(30)開閉器18が投入され、閉路状態になると電路10に電流が通電(S300)される。
(31)実施の形態1の(2)〜(6)と同じ。
(32)マイクロプロセッサ16は入力されたA/D変換回路15からのディジタル信号に基づいて電路10に流れる通電電流による温度変動分に相当するディジタル電圧を算出し、D/A変換回路24に出力する。
【0036】
(33)D/A変換回路24は入力されたディジタル電圧をアナログ電圧に変換し、減算回路32に出力(S301)する。
(34)被監視部31の近傍に配設されたサーミスタ19が被監視部31の温度を検出し、増幅回路20は被監視部31の温度に比例した温度検出電圧を減算回路32に出力(S302)する。
(35)減算回路32は増幅回路20から出力された被監視部31の温度に相当する電圧からD/A変換回路24から出力された通電電流による温度変動分に相当する電圧を減算し、比較回路22へ出力(S303)する。
【0037】
(36)電路10に通電される電流が増加(S304)すると、D/A変換回路24は上述した(31)〜(32)と同様にして、入力されたディジタル電圧をアナログ電圧に変換し、減算回路32に出力(S305)する。
(37)被監視部31の温度が電路10に通電された電流の増加に伴い上昇し、サーミスタ19の持つ抵抗値が変化し、増幅回路20は被監視部31の温度に比例した温度検出電圧を減算回路32に出力(S306)する。
【0038】
なお、基準電圧設定部21には被監視部31の温度が異常温度であるか否かの基準である基準電圧(図6の下部に示す)が設定されている。
(38)比較回路22は被監視部31の温度が異常であるか否かを判別する基準電圧設定部21の基準電圧と、減算回路32から出力された電圧を比較し、減算回路32から出力された電圧がの基準電圧を超えると警報手段23に出力する。(この場合は条件を満足しないので、出力なし)
【0039】
(39)接点部の接点磨耗による接触抵抗増加、又は固定端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩みによる接触抵抗増加などが発生し、被監視部31の温度が上昇すると、サーミスタ19の持つ抵抗値が変化し、増幅回路20から減算回路32に出力される電圧が上昇(S307)する。
(40)減算回路32から出力される電圧が上昇(S308)する。
【0040】
(41)比較回路22は減算回路32から出力された電圧が基準電圧を超えた時(S309)、電圧を警報手段23に出力(S310)する。
(42)警報手段23は図示しない警報ブザー、警報ランプを用いて被監視部31が異常温度であることを警報する。
【0041】
このように構成された回路遮断器では、減算回路を用いて温度検出手段で検出した温度検出電圧から電路に流れる通電電流による温度変動分に相当する電圧を減算するようにしたので、本来、検出を目的とする接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度上昇又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度良く検出できる。
【0042】
なお、上述した実施の形態3において、実施の形態2に記述した電圧保持回路26をD/A変換回路24と減算回路32との間に挿入しても良い。
【0043】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4による回路遮断器の構成を示すブロック図である。図において、16aは回路遮断器が有する基準の通電電流に対する被監視部31の温度変動分を記憶する記憶手段であるEEPROM(不揮発性記憶装置)、10〜25は実施の形態1に示すものと同様である。
【0044】
以上の様に形成された回路遮断器において、例えば、製品の出荷試験時において、回路遮断器に基準電流を通電し、基準電流に対応する被監視部31の温度をサーミスタ19で検出し、サーミスタ19で検出した温度に比例した検出信号を増幅回路20で電圧信号に増幅し、この電圧信号をA/D変換回路15の入力側に入力し、アナログ信号からディジタル信号に変換し、マイクロプロセッサ16で処理させた後、EEPROM16aに記憶させる。この記憶させたデータは当該回路遮断器の端子部、接点部の初期における固有データして扱われる。
【0045】
以上のように形成された回路遮断器は、異常温度検出時の動作において、EEPROM16aに記憶された回路遮断器が有する固有データに基づいて、例えば、回路遮断器に試験的に通電した基準電流をA、基準電流Aによる被監視部31の温度変動分に対応するマイクロプロセッサ16からD/A変換回路24へ出力されるディジタル電圧をVとすると、通電電流aが流れた場合における補正後のディジタル電圧vは次の補正式により補正され、マイクロプロセッサ16からD/A変換回路24へ出力される。
v=a×V/A
【0046】
以上のように形成された回路遮断器は、製品の出荷試験時に通電試験を実施しておいて、当該回路遮断器の固有データをEEPROM16aに記憶させ、異常温度検出時にその固有データを用いて補正するようにしたので、接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度上昇又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度良く検出できる。
【0047】
なお、上記の実施の形態1から実施の形態4は回路遮断器に温度検出装置を配設させた場合について述べたが、引き外し装置17および開閉器18を備えない、たとえば、電路に流れる通電電流を測定する電流測定器などの温度検出装置として使用できるものである。
【0048】
以上のように請求項1の発明の回路遮断器によれば、回路遮断器に流れる電流による温度変動分の影響を受けることなく、本来、検出を目的とする接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度上昇又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度良く検出できる。
【0049】
請求項2の発明の回路遮断器によれば、異常温度であるか否かの基準となる基準電圧に電路に流れる通電電流による温度変動分に相当する電圧を加算し、加算した電圧を基準電圧とすることにより、回路遮断器に流れる電流による温度変動分の影響を受けることなく、本来、検出を目的とする接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度上昇又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度良く検出できる。
【0050】
請求項3の発明の回路遮断器によれば、減算回路を用いて温度検出手段で検出した温度検出電圧から電路に流れる通電電流による温度変動分に相当する電圧を減算するようにしたので、本来、検出を目的とする接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度上昇又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を精度良く検出できる。
【0051】
請求項4及び請求項5の発明の回路遮断器によれば、被監視部の放熱特性に近似させたコンデンサと該コンデンサの電圧を放電させる抵抗で形成された回路の放電特性を利用して、被監視部に残留している温度に相当する電圧をマイクロプロセッサ16にフィードバックさせ再出力させるようにしたので、誤動作がなく、又、精度の高い温度検出ができる。
【0052】
請求項6の発明によれば、回路遮断器の固有データをEEPROM(記憶手段)に記憶させておいて、異常温度検出時にその固有データを用いて補正するようにしたので、接点部の接点磨耗による接触抵抗増加による温度上昇又は端子に外部接続線を締付ける締付ねじの緩み等の異常状態における温度上昇を更に精度良く検出できる。
【0053】
請求項7の発明の温度検出装置によれば、異常温度であるか否かの基準となる基準電圧に電路に流れる通電電流による温度変動分に相当する電圧を加算し、加算した電圧を基準電圧とすることことにより、電路に流れる電流による温度上昇の影響を受けることなく、被監視部の異常状態による温度上昇を精度よく検出できる。
【0054】
請求項8の発明の温度検出装置によれば、減算回路を用いて温度検出手段で検出した温度検出電圧から電路に流れる通電電流による温度変動分に相当する電圧を減算するようにしたので、電路に流れる電流による温度変動分の影響を受けることなく、被監視部の異常状態による温度上昇を精度よく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す回路遮断器の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の動作を示すタイムチャートである。
【図3】 この発明の実施の形態2を示す回路遮断器の構成を示すブロック図である。
【図4】 図3の電圧保持回路の動作を示すタイムチャートである。
【図5】 この発明の実施の形態3を示す回路遮断器の構成を示すブロック図である。
【図6】 図5の動作を示すタイムチャートである。
【図7】 この発明の実施の形態4による回路遮断器の構成を示すブロック図である。
【図8】 従来の異常温度検出装置の構成図である。
【符号の説明】
10 電路、11 電流センサ、12 整流回路、13 負担回路、
14 波形変換回路、15 A/D変換回路、16 マイクロプロセッサ、
16a EEPROM(記憶手段)、17 引き外し装置、
18 開閉器、19 サーミスタ、20 増幅回路、
21 基準電圧設定部、22 比較回路、 23 警報手段、
24 D/A変換回路、25 加算回路、26 電圧保持回路、
27 抵抗、28 コンデンサ、29 ダイオード、30 オペアンプ、
31 被監視部、32 減算回路、 100 電流処理手段、
200,201,202 温度補正手段、300 温度検出手段。
Claims (8)
- 電路に流れる電流に基づいて引き外し信号を出力する電流処理手段と、
該電流処理手段の引き外し信号により動作する引き外し装置と、
該引き外し装置により前記電路を開路する開閉器と、
温度が監視される被監視部の温度を検出して検出結果を出力する温度検出手段と、
前記電路に流れる電流に基づいて前記温度検出手段の検出結果を補正する温度補正手段とを備えたことを特徴とする回路遮断器。 - 温度補正手段は、
被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、
電流処理手段から出力された電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧と前記基準電圧を加算する加算回路と、
該加算回路から出力された電圧と温度検出手段から出力された温度検出電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。 - 温度補正手段は、
被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、
温度検出手段から出力された温度検出電圧から電流処理手段から出力された電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を減算する減算回路と、
該減算回路から出力された電圧と前記基準電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。 - 電流処理手段から出力された電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を保持すると共に保持した電圧を電流処理手段にフィードバックさせる電圧保持回路を備えたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の回路遮断器。
- 電圧保持回路は被監視部の放熱特性に近似させたコンデンサと該コンデンサの電圧を放電させる抵抗で構成されたことを特徴とする請求項4記載の回路遮断器。
- 回路遮断器が有する基準の通電電流に対する被監視部の温度変動分を固有データとして記憶させる記憶手段を配設し、前記固有データを用いて温度補正手段へ出力される電圧を補正することを特徴とする請求項1から請求項5記載のいずれか1項に記載の回路遮断器。
- 電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を出力する電流処理手段と、
温度が監視される被監視部の温度を検出して温度検出電圧を出力する温度検出手段と、
前記被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、
前記基準電圧と前記電流処理手段から出力された電圧を加算する加算回路と、
該加算回路から出力された電圧と前記温度検出電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたことを特徴とする温度検出装置。 - 電路に流れる電流による温度変動分に相当する電圧を出力する電流処理手段と、
温度が監視される被監視部の温度を検出して温度検出電圧を出力する温度検出手段と、
前記被監視部の温度が異常温度であるか否かの基準電圧が設定された基準電圧設定部と、
前記温度検出手段から出力された温度検出電圧から前記電流処理手段から出力された電圧を減算する減算回路と、
該減算回路から出力された電圧と前記基準電圧を比較し出力を行う比較回路とを備えたことを特徴とする温度検出装置。
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