JP4460718B2 - 内視鏡処置装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡と組み合わせて使用され、粘膜の切除等に用いられる内視鏡処置装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、体腔内患部における粘膜を広範囲に切除する場合の方法は、その患部における粘膜の下層に生理食塩水等を注射し、粘膜と筋層の境界にある組織を膨瘤状に膨らませて粘膜と筋層を離し、この後、内視鏡の挿入部先端に装着したフード(キャップ)または内視鏡の挿入部に被せたオーバーチューブの先端から粘膜を吸引し、予め、これらの器具の先端に装着してあった高周波スネアを絞って粘膜の一部を切除し、粘膜の部分的な切除を連続して繰り返すことにより、切除範囲を広げて、患部における粘膜全体を切除するようにしている。
【0003】
また、患部における粘膜を一括して切除する方法としては、膨瘤の一部を切開し、内視鏡の処置具挿通管路(チャンネル)を通じて導入した把持鉗子で、切開した粘膜を、摘み上げるか裏返すことで、境界の組織を内視鏡で観察できるようにしながら、内視鏡の処置具挿通管路を通じて導入した高周波切開具やレーザーメスなどの高エネルギーの切開具を組織に当てて切開するものがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者の方法では、部分的切除が行なわれる範囲がかなり狭く、粘膜を広範囲に切除するためには、何度も部分切除を繰り返す必要があり、多くの時間がかかる。その上に、高周波スネアを絞って粘膜の一部を切除する手法であるため、吸引した粘膜の範囲が吸引された粘膜の容積によって変化する。また、粘膜を吸引した後での内視鏡像では高周波スネアがかかるフードなどの先端位置を内視鏡で観察できないこともあって、切除する範囲を確認して正確にコントロールすることが難しい。さらに部分的に切除した個所の隣同士を連続させて能率的に切除することが難しい。
【0005】
一方、後者の方法では、一度のメスの動きで、粘膜を切り剥せる範囲が切開具の当る部分に限られるので、広範囲にわたり粘膜を切除するためには何度も切開を繰り返さなくてはならず、その手間が面倒であった。また、粘膜下層の組織を切開する際、煙や水蒸気が発生するため、その煙や水蒸気で切開する箇所が観察し難くなる上に、切開の度、視野確保のため、内視鏡の送気および吸引操作で煙や水蒸気を除去しなければならず、処置時間が長くなる。
【0006】
加えて、筋層と粘膜の境界の狭い範囲で粘膜下層の組織のみを切るには、内視鏡の観察下で切開具の先端の、慎重な位置決め操作が必要であり、そのためには、内視鏡の湾曲操作、鉗子起上操作、切開具の進退操作を連携した複雑な操作を行なわなければならず、これらの操作は煩雑で神経を要する操作であり、術者は長い間、集中力を持続しなければならなかった。
【0007】
また、粘膜が裏返ってしまうため、どこまで粘膜下層を切り進めれば良いかが分かり難いため、粘膜を元の位置に戻して、患部を確認する必要があり、煩雑で面倒であった。この点を、解消するため、予め、患部の周囲の粘膜に切開を加える方法があるが、針状の高周波メスや、レーザーメスのような、先端が切開可能な切開具で粘膜のみを切開をするには、前述した、境界部位の切開と同様に、高度の技術を要すると共に神経を消耗する作業であった。
【0008】
そのため、特願平11−64774号の未公開出願のものではフードの先端に高周波切開具を取り付けた内視鏡治療装置およびその高周波処置具が考案されているが、フードの直径の長さしか切開できないので、長く切開するには部分切開を慎重に重ねて繰り返す必要があり、加えて、粘膜のみを切開するには内視鏡の吸引操作を微調整して、粘膜をフード内に吸い上げる高さを正確に慎重にコントロールする必要があり、容易なものではない。
【0009】
本発明は上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、従来よりも、患部の粘膜の周囲を簡単に切開することができると共に、広範囲の粘膜を一度に剥離することが可能な内視鏡処置装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するべく、本発明は、内視鏡と組み合わせて使用され、体腔内組織を切開する際に用いられる内視鏡処置装置において、
内視鏡の先端部近傍に配置される透明で耐熱性に優れる電気絶縁体からなる管状体と、
この管状体の一部に突出して設けられた耐熱性と電気的絶縁性に優れた材質からなる細長い形状の切開具保持部と、
この切開具保持部の先端に設けられた、先細り形状の切開具導入部と、
この切開具導入部の後方から、管状体の内側方向に向け、この切開具保持部の内面と所定の距離を離して設けられた切開部を有する高周波切開具と、
この高周波切開具の切開部に電流を供給するケーブルおよび高周波電源装置とからなることを特徴とするものである。
【0011】
上記管状体は内視鏡の先端に装着されるフードであっても内視鏡の挿入部に装着される案内管であっても良い。
【0012】
そして、高周波切開具により、疾患の粘膜を剥離して切除する前に、予め患部の粘膜の周囲を切開するようにした。
【0013】
その作用の一例を管状体がフードの場合で説明すると、高周波切開具は、例えば生理食塩水等を吸収してゼリー状に膨らんだ、粘膜と筋層との境界の組織に、予め高周波メスなどを利用して加えた小切開部分から、その切開具導入部を侵入させ、高周波ワイヤ等の処置用切開部を粘膜の端面および裏面に当てながら、それに高周波を通電することで粘膜のみを切開する。
【0014】
高周波切開具は、円周状に配設すれば、管腔臓器の粘膜を円弧状またはリング状に切開できるし、軸方向に配設すれば、管腔臓器のみならず、内視鏡の進退方向に切開することも可能である。
【0015】
また、フードの先端は斜めにカットしてあり、鋭角な縁が形成されており、病変部の周囲に、予め、前述した高周波切開具を用いて切開を加えておき、この縁を粘膜と筋層の境界に侵入させて、内視鏡を前方に進めることにより、粘膜を剥離することができる。
【0016】
この際、鋭角な縁を柔軟な材料で製作すれば、生理食塩水などを吸収して、ゼリー状になった比較的柔らかい境界の組織のみを切開可能である。
【0017】
また、鋭利な縁の部分は、案内管を通して体腔内に導入されるので、挿入の際に鋭角な縁により粘膜が傷つくことがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1乃至図4を参照して本実施形態に係る内視鏡処置装置について説明する。
【0019】
(構成)
図1は本実施形態に係る内視鏡処置装置を概略的に示す使用状態の斜視図である。内視鏡処置装置は外筒(外套)1と内筒2からなる案内管3を備える。内筒2は外筒1の中に摺動・進退・回転自在に挿通されている。内筒2の中には内視鏡10の柔軟な挿入部11が挿入されるようになっている。内視鏡10の挿入部11が案内管3に挿入された状態で内筒2と挿入部11は摺動・進退・回転自在である。
【0020】
内視鏡10の操作部12には処置具挿通路(チャンネル)の入り口13が形成されている。挿入部11における先端部14の先端面には上記処置具挿通路の出口15が形成されている。先端部14の先端面にはその他に観察窓16、照明窓17、ノズル18などが設けられている。ここでの内視鏡10は直視型内視鏡を構成しているが、前方を観察できるものであれば、斜視型の内視鏡であってもよい。
【0021】
案内管3における外筒1の基端には把持部を兼ねた太径の口金5が設けられている。また、内筒2の基端にも把持部を兼ねた太径の口金6が設けられている。口金5及び口金6には嵌合する相手との気密を確保しながらその相手の回転/進退を阻止しないように構成された気密シールが設けられている。
【0022】
図2は上記気密シールを組み込んだ口金5及び口金6の構造を示すものである。これらの構成について説明すると、外筒1を形成するチューブ材21の後端部分は口金5における本体22の先端部に設けられたテーパー部23に嵌合され、締付け用ねじ環24により押し付けられて気密的な状態で、その口金5に連結されている。また、口金5における本体22の後端部にはフランジ25が形成され、このフランジ25にはリング状のゴムシール26が気密に装着されている。ゴムシール26における中央の孔の径はこれに挿通する内筒2の外径よりも僅かに小さい。このため、ゴムシール26は挿通する内筒2との間を気密に保持する。
【0023】
同様に、内筒2を形成するチューブ材27の後端部分は口金6における本体28の先端部に設けられたテーパー部29に嵌合され、締付け用ねじ環30により押し付けられて気密的な状態で、その口金6に連結されている。また、口金6における本体28の後端にはリング状のゴム製のシートシール31が2枚、止めねじリング32によって、締め付け固定されている。各シートシール31の内径はこれに挿入される内視鏡10の挿入部11の外径よりも僅かに小さく形成されている。このため、各シートシール31は挿通する内視鏡10の挿入部11との間を気密に保持する。
【0024】
内筒2についての口金6における本体28には上記シートシール31よりも前方に位置して2つの孔が形成されている。一つの孔には高周波ケーブル33を挿通する孔であり、この孔にはフランジ付きのケーブル用口金34が取着されている。この口金34のフランジ35には中央にスリットが開いたゴム栓36が着脱自在でかつ気密な状態で装着されている。
【0025】
もう一つの孔には先端が細くテーパー状になったフランジ付きのチューブ用口金37が取着されている。この口金37は環流用のチューブ38を接続するものであり、このチューブ38の後端には図示しない環流装置が接続される。
【0026】
上記案内管3の外筒1の材質は多孔質のポリテトラフロロエチレン製であり、柔軟で滑り性に優れる。外筒1の長さは案内管3の内筒2の長さよりも短く、外筒1の内径は内筒2の外径よりも僅かに大きい。また、外筒1の外径は経口的に局所麻酔にて食道に挿入できるように、通常、φ18mm以下である。外筒1の肉厚は約1mmである。上記案内管3の内筒2の材質はフッ素系エラストマー樹脂であり、内筒2は透明で柔軟で耐熱性および電気絶縁性に優れる。
【0027】
図1で示すように、上記案内管3の内筒2の先端は斜めに切断されており、その先端縁は鋭利な縁41として形成されている。
【0028】
また、内筒2の先端部の後方の一側部位には側方から見てコの字型の側開口42がほぼ半周にわたる大きさで開口されている。この側開口42にはその周方向に位置する一方の端縁(辺)からこの側開口42の中央に向けて切開具保持部43が内筒2の周部と一体に同じ曲率で突き出している。すなわち切開具保持部43は側開口42の一辺の壁から横方向(周方向)に突き出して湾曲する帯状のものである。切開具保持部43の先端によって先細り形状の切開具導入部45が形成される。ここでの切開具導入部45はその先端部分ほど徐々に細く薄くなっており、その最先端の辺は丸く形成してある。
【0029】
この切開具導入部45の長さは先端の際から円周状で略2mmある。切開具導入部45の後方から切開具保持部43の基部に渡り、高周波電流により発熱する導電性の高周波ワイヤ47が真直に、内視鏡10の挿入部11が挿通可能な位置に張られている。丁度、切開具保持部43が弓で、高周波ワイヤ47が弦になるような関係になっている。そして、本実施形態では、切開具導入部45を先端で形成する切開具保持部43に高周波ワイヤ47を設けて、これを切開部として、組織を切開できる高周波切開具を構成するようになっている。
【0030】
高周波ワイヤ47の後端には高周波電流を供給するための上記高周波ケーブル33が接続されている。高周波ケーブル33は電気絶縁性の樹脂によって被覆されている。そして、高周波ケーブル33は切開具保持部43のところから軸方向に内筒2内を通り、後端の口金6のケーブル用口金34のところから外へ出て、図示しない高周波電源装置へと案内され、その高周波電源装置に接続されるようになっている。
【0031】
(使用方法)
次に、図3及び図4を参照して本実施形態に係る内視鏡処置装置の使用方法について説明する。
【0032】
食道などの体腔内に内視鏡10の挿入部11を挿入し、この後、この挿入部11をガイドとして、挿入部11に被せた案内管3を体腔内に挿入するか、あるいは案内管3を被せた状態で案内管3と挿入部11を一緒に体腔内に挿入する。いずれにしてもこのときは案内管3の内筒2は外筒1の中に引き込んでおく。
【0033】
次に、内視鏡10の処置具挿通路を通じて導入した長尺の注射針を、切除したいバレット食道などの患部の粘膜51に穿刺し、粘膜51と筋層52の間の粘膜下層に全周にわたり、止血剤と染色剤などを混合した生理食塩水などを注入する。すると、粘膜51と筋層52の境界組織53が注射液を吸収してゼリー状に膨らみ、粘膜51と筋層52の間が十分に離れる。
【0034】
この後、内視鏡10の処置具挿通路に挿通した電気メス等で、粘膜51の一部に穴を開け、内視鏡10の吸引操作により、粘膜51を側開口42に吸引し、内筒2を進退および回転して、粘膜51に開けた穴に切開具保持部43の導入部45の位置を合わせ、内筒2を反時計方向に回して、切開具導入部45を粘膜51と筋層52の境界組織53に侵入させる。
【0035】
こうして、粘膜51の下に切開具導入部45が侵入したら、更に内筒2を回転し、高周波ワイヤ47が半分くらい粘膜51下に入ったら吸引をやめ、送気を行なって、高周波ワイヤ47に粘膜51の裏を密着させる。
【0036】
つづいて、高周波電源装置のフットスイッチを踏んで通電する。粘膜51は高周波ワイヤ47に発生した熱により切断される(図3を参照)。この通電の際、水蒸気と煙りが発生するので、内視鏡10による送気と吸引操作を繰り返して、それを除去する。あるいは、高周波電源装置と連動する環流装置を起動し、チューブ38を通して、内視鏡10の挿入部11と内筒2の間から送気と吸引を繰返して、煙等を除去し、内視鏡の視野を確保する。
これらの、一連の操作を操り返して、粘膜51を全周にわたり、リング状に切開する。
【0037】
次に、同様に、もう一箇所、前後方向に離れた位置においてリング状に切開を加える。各切開部分においての切り始めと切り終わりの位置を合わせるためには、透明な内筒2越しに切開して露出した筋層部分を観察しつつ、内筒2の進退操作により位置を合わせる。
【0038】
次に、図4で示すように、切開した全周の断端を内筒3の先端に吸引してつぼめた後、高周波電流を通電できるようにした高周波把持鉗子55で、断端を閉じ、前方へ押し込む。
【0039】
つづいて、内筒3の鋭利な縁41を粘膜51と境界組織53の間にゆっくりと差し込み、ゆっくりと内筒2を回しながら前進させる。これにより境界組織53を切断して、粘膜51を筋層52の間を剥ぐ。途中で出血した場合は出血箇所に高周波把持鉗子55の先端を押し当て凝固電流を通電して止血する。
【0040】
また、内筒2の縁41で切断しきれないような、繊維組織が残る場合には、高周波把持鉗子55で摘んで引き千切る。この場合は、高周波把持鉗子55で掴んでいた断端を離してしまったので、再度、断端を吸引し、高周波把持鉗子55で掴んで、前方に押し込む。
【0041】
これらの操作を繰り返して、患部を含む粘膜51の筒を裏返すように剥離を進め、もう一方のリング状の切開部分まで達すると、自然に、全周的に粘膜が筒状に裏返った状態で切除される。
【0042】
(効果)
ところで、案内管3の外筒1はテトラフロロエチレン製で滑り性に優れるので、内筒2の進退/回転が容易である。また、内筒2はフッ素系のエラストマー樹脂で耐熱性に優れるので、高周波の熱で、溶けたり変形したりすることがない。
【0043】
内筒2は透明なので、切開部が内筒越しに内視鏡像に映し出され、リング状の切開の切り始めと終わりを合わせる処置が容易に行なうことができる。切開具保持部43は内筒2と一体の絶縁体であり、切開具導入部45の部分には高周波切ワイヤ47が位置しないので、粘膜51の裏側を焼灼しないし、切開具導入部45の部分は高周波ワイヤ47がなく、先細りの細く丸い形状なので、粘膜下に侵入し易く、高周波ワイヤ47を粘膜下に潜入させるのに、導き役となるし、切開後でも外れずに、粘膜下に残るので連続して切開するのに役立つ。
【0044】
高周波ワイヤ47は筋層52に接している切開具保持部43の内側に、離して配設されているので、通電により発生する熱は伝わりにくく、筋層52を加熱しない。
【0045】
また、案内管3の後端に設けた各種の気密シールにより、体腔内に送気した空気が漏れることはないし、吸引操作の際に外気を吸引することもない。しかも、ゴムシール部分に潤滑のためのゼリーを塗布することで、気密を保ったまま、内視鏡10の挿入部11や内筒2の回転/進退が可能となる。
【0046】
リング状切開の際は切開具を粘膜下に潜り込ませることにより、内視鏡像に高周波ワイヤ47の上に乗った粘膜51が映し出され、高周波ワイヤ47が筋層側にはないことを確認できるので、術者は安心して切り進めることができる。
【0047】
切開後に、切開具保持部43の先端における切開具導入部45が粘膜下に残るので、切開具が外れることがなく、連続切開が容易となる。
【0048】
また、剥離の際は、予め、リング状の切開を2箇所加えた上で、内筒2の鋭利な縁41で一気に削ぐことにより、短時間に剥離ができ、疲れない。
【0049】
この際、鋭角な縁41は比較的柔軟な材料で製作してあるので、生理食塩水などを吸収して、ゼリー状になった比較的柔らかい境界の組織のみを切開する。
【0050】
加えて、粘膜51は裏返されているので、剥離する箇所がフード状の先端周囲に確実に内視鏡像として観察できるので、安心して剥離を進められる。
【0051】
また、高エネルギー装置を用いない剥離なので、従来のような煙や水蒸気の発生により視野が確保できなくなり、剥離の作業を中断することがない。
【0052】
また、剥離箇所からの出血がある場合でも、剥離箇所がすぐに確定でき、処置具挿通口を通して、凝固止血処置具などを用いて、すぐに止血ができる。
【0053】
鋭利な縁41の部分は、外筒1を通して体腔内に導入されるので、挿入の際に鋭角な縁により粘膜が傷つくことはない。
【0054】
(変形例)
本発明の適用対象の臓器は食道に限らないので、案内管3の内外径と長さは第1実施形態の数値に限らない。また、案内管3の内筒2を2体化して先端部を透明で耐熱性と電気絶縁性に優れる材料で作り、後方部は別の柔軟な材質で作ってもよい。側開口42の大きさと形状についても第1実施形態の寸法のものに限らなくてもよい。第1実施形態での切開具保持部43の曲率は内筒2の曲率と同じであったが、内視鏡10の挿入部11を挿入する際に支障がない範囲で小さな曲率のものでも良い。切開具保持部43の長さや切開具導入部45の長さについても第1実施形態のものに限らなくても良い。高周波ワイヤ47の形状についても内視鏡10の挿入部11を挿入する際に支障がない範囲で円弧等の形状に変更しても良い。
【0055】
また、組織を剥離するために案内管3の内筒2に形成する鋭利な縁41の形状も第1実施形態のものに限らない。そこで、各種の鋭利な縁41の例を図5に示す。
【0056】
図5(a)で示す例では内筒2の先端が直角に切断されており、その端縁が全周的に鋭利にカットされて鋭利な縁41が形成されている。このような鋭利な縁41によれば、全周一括に粘膜を切除の際、全周にわたり一度に剥離することができる。
【0057】
図5(b)で示す例では内筒2の先端が下半周が斜めに切断され、上半周が直角に切断された形状である。そして、下半周に鋭利な縁41が形成されている。この例では下半周に鋭角な縁41が形成されているので、組織を剥離し易い。また、上半周が直角に形成されているので、下半周部分が変形し難い。
【0058】
図5(c)で示す例では内筒2の先端が円弧状に切断され、その鋭利な縁41が円形に形成されている。鋭利な縁41が、これまで以上に鋭利に形成されるので、組織を剥離し易く、切れ味が良いので、繊維組織でも容易に切ることができる。
【0059】
図5(d)で示す例では内筒2の先端部が閉塞されたフード状に形成され、かつ側開口42の後方の端縁が鋭利な縁41として形成されている。これによると、内筒2の先端部が閉じていることで、吸引により粘膜51を側開口42のみに吸引できるので、胃のような、管腔臓器でない臓器内でも、予め患部の周辺を切開しておくことで、剥離が可能である。
【0060】
図5(e)で示す例では内筒2の先端縁が直角で、この直角な先端縁に鋸の刃状の鋭利な縁41が縦方向に向いて形成されている。これによる効果は回転により、剥離では切開しきれないで、残った繊維組織まで切ることができる。
【0061】
〔第2実施形態〕
図6を参照して本実施形態に係る内視鏡処置装置について説明する。前述した第1実施形態と同じ構成部位には同じ番号を付与する。
【0062】
(構成)
本実施形態では前述した第1実施形態の内筒2がなく、その代わりに、内視鏡10の先端部14に着脱自在な内径を有する、柔軟で透明で耐熱性に優れる樹脂製の筒状のフード60が管状体として設けられている。フード60には前述した第1実施形態と同様の鋭利な縁41、側開口42、切開具保持部43及び高周波ワイヤ47等が設けられている。
【0063】
ここでの案内管3は内外二重筒構造ではなく、一重であり、その後端にある口金のゴムシールの中央孔径は内視鏡10の挿入部11の外径よりも僅かに小さい。また、高周波ケーブル33は内視鏡の挿入部11に数箇所テープ止めされて案内管3との間を通るようになっている。
【0064】
また、案内管3に対し内視鏡10の挿入部11を、進退/回転させることが可能である。
【0065】
(使用方法・作用)
本実施形態の使用方法は前述した第1実施形態と同じであるが、第1実施形態での内筒2の代わりにフード60がそれと同様に作用する。また、フード60を進退/回転するため、外力が加わるが、フード60は内視鏡10の先端部14にきつめに装着されているので、脱落することがない。高周波ワイヤ47の高周波ケーブル33は電気的に絶縁されているので、患者に電流が流れることがない。高周波ケーブル33は内視鏡10の挿入部11にテープで固定しておけば、切開などの回転操作によっても巻き付くことがない。
【0066】
(効果)
本実施形態ではフード60を用いるため、内筒2とは異なり、内視鏡10の挿入部11が挿通できなくてもよいので、高周波ワイヤ47を、内側に大きく張り出して円弧状に、長く張ることが可能であり、一度の切開長を長くすることができるので、リング状に切開する時間を短縮できる。
【0067】
また、内筒2に相当する部分がないので、第1実施形態と同じ外径の挿入部11の内視鏡10を用いる場合は案内管3の外径を第1実施形態よりも細くできるので、患者の苦痛を軽減できる。
【0068】
また、第1実施形態の外筒1と同じ太さの案内管3を用いて、太い挿入部11で太い処置具挿通管路を有する内視鏡10を組み合わせた場合は大きい先端を有する鉗子が使用できるので、繊維組織の切断が容易となる。
【0069】
加えて、高周波切開時に発生する煙の吸引が容易になる。また、2つの鉗子挿通路を有し、その一方の出口に鉗子起上機構を有する内視鏡を用いることも可能である(図8で示す内視鏡を参照)。この組み合わせでは鉗子起上機構により鉗子先端の位置操作が容易になるし、2本の鉗子を同時に使えるので、繊維組織の切断や止血や粘膜の位置操作が容易になる。
【0070】
高周波ワイヤ47は切開を繰り返すうちに、煤状の汚れが付着し、切れなくなるので、交換が必要であるが、フード60の場合は案内管2に比べ安いので、交換する場合の経済的な負担が少ない。
【0071】
〔第3実施形態〕
図7及び図8を参照して本実施形態に係る内視鏡処置装置について説明する。
【0072】
(構成)
本実施形態の構成は第2実施形態の場合と同様にフード60を用いる例であるが、フード60に形成される側開口42がフード60の斜め前方下半分に及ぶ範囲にわたり広く形成されている。また、切開具保持部43はフード60の軸方向に沿って側開口42の後端から中央部付近まで突き出して設けられている。
【0073】
ここでの切開具保持部43は中空パイプ状の形に形成されており、この切開具保持部43の先端部分によって形成される切開具導入部45は砲弾型の形に形成されている。
【0074】
また、切開具保持部43の切開具導入部45の中央には孔61が開いており、切開具保持部43の、内側に向いた上側面部にはその軸中心方向に沿って細く長い円形のスリット62が開口されている。
【0075】
上記高周波ワイヤ47は上記切開具保持部43のスリット62から半円状の形でフード60の内側に向いて突き出している。高周波ワイヤ47の先端部分は切開具保持部43の内部でヘアピン状に折り曲げられている。ヘアピン部63は切開具保持部43内にスライド自在に収納されている。上記スリット62から突き出しているときの高周波ワイヤ47の半円部分の最大径はスリット62の長さより短い。その半円部分が前方に位置するとき、先端のヘアピン部63は、孔61から粘膜51の厚さと同じ長さで突き出し、側開口42からフード60の内側に吸引して取り込んだ組織の粘膜51のみを切開する高周波ナイフとして機能する。
【0076】
一方、高周波ワイヤ47の後端には高周波ケーブル33が接続され、この高周波ケーブル33の接続先端部分はクランク状またはS字状に屈曲されて内視鏡10の処置具挿通路64へと導かれている。高周波ケーブル33は硬い樹脂PFAなどによって厚めに被覆されていて、内視鏡10の処置具挿通路入り口の近傍での押し引き操作による操作力が高周波ワイヤ47に伝わる程度の剛性を持っている。つまり高周波ケーブル33は高周波ワイヤ47を前後に移動させる操作ワイヤを兼ねる。
【0077】
そして、高周波ケーブル33を前後に移動させることにより切開具保持部43のスリット62から突き出した高周波ワイヤ47の半円部分はそのスリット62に沿って前後に移動する。また、高周波ワイヤ47の移動範囲はスリット62の前後方向の範囲長に規制される。そして、高周波ワイヤ47は、側開口42からフード60の内側に取り込んだ組織の粘膜51を、移動して切開する高周波ナイフとして機能する。
【0078】
(使用方法)
本実施形態のフード60の使用目的は内視鏡10における挿入部11の軸方向に沿って粘膜51を切開することにある。切除したい患部71の粘膜下に生理食塩水などを局所注射して膨瘤を形成させた後、その粘膜51を側開口42内に吸引したら、術者は内視鏡10の処置具挿通路の入り口13の近傍で高周波ケーブル33を摘まんで、前方に押し出して、切開具保持部43の孔61からヘアピン部63を突出させて通電し、粘膜51のみに小切開を加える。
【0079】
次に、高周波ケーブル33を処置具挿通路の入り口13の近傍で引き、半円の高周波ワイヤ47を後方に移動し、ヘアピン部63を切開具保持部43内に収納し、この状態で切開具導入部45を粘膜下に潜り込ませる。
【0080】
ここで、切開の大きさが足らずに、切開具導入部45が粘膜下に潜り込まないときは、再度ヘアピン部63を突き出させて、先に開けた小切開に刺し込み、内視鏡10の湾曲操作と回転操作をしつつ、通電して切開部分を広げる。
【0081】
次に、内視鏡10の挿入操作と吸引および送気操作をして、高周波ワイヤ47の半円部分を粘膜51に接触させ、高周波ワイヤ47に高周波を通電して粘膜51に縦方向の切開44bを加えていく。同様の縦方向の切開44bを、患部71を挟んで、もう一本加え、2本の平行線状に切開を施す。
【0082】
次のステップを図8で説明する。ここで使用する内視鏡10は2つの処置具挿通路の出口15を有し、片方の挿通路出口15aには鉗子起上台等による鉗子起上機構19が備えられている。
【0083】
また、先端のフード60は前述した第2実施形態でのものと同じであり、これを用いて、周方向に切開74aを、2箇所加えて、患部71の周囲に少し間隔を空けて、四角形の切開線74を形成する。
【0084】
続いて、断端を高周波把持鉗子55で摘み、鉗子起上機構19の鉗子起上台等を起上して、高周波把持鉗子55を押し込んで、粘膜51を裏返し、フード60の先端の鋭利な縁41を、境界組織53に当てて、その切開部分を観察しながら内視鏡10を回転させ、円弧状にスイングしつつ、進めて、患部71の粘膜51を四角に部分的に剥離する。
【0085】
(作用・効果)
ここで、高周波ケーブル33が硬いので、処置具挿通路の入り口13の近傍での押し引き操作で、高周波ワイヤ47の半円部分を容易に進退させることができる。ヘアピン部63の突出長さはスリット62の前方端部が半円の高周波ワイヤ47の前側に当接することにより規制されるので、粘膜51と同等の厚さ以上の長さに突出し過ぎることがない。
【0086】
また、膨瘤している粘膜51は薄く引き伸ばされているので、粘膜51の厚さの突出量で十分切ることができる。粘膜下に切開具保持部43内にヘアピン部63が収納されているので、粘膜切開の際に通電しても、粘膜51の裏側に当らないし、筋層52にも触れない。つまり電気的に絶縁されている。スリット62により、半円の高周波ワイヤ47は、常時、軸の中心方向を向いているので、筋層52に当らない。また、高周波ワイヤ47を粘膜下に潜入させていくと、高周波ワイヤ47に沿って粘膜51が持ち上がるため、粘膜51の切開の瞬間が内視鏡像として映し出される。
【0087】
患部71が全周ではなく、部分的に存在する場合は、予め、患部71の周囲を切開することで、部分切除を、簡単に行なうことができる。従って、従来の、フードや案内管の先端に、粘膜51を吸引して、スネアで絞って切除する、部分切除方式の場合よりも広範囲に、例えば食道の1/2周を切除することが可能となる。粘膜51を引き上げるか、裏返すかして、粘膜下層を、少しづつ、切開具の先端で切開する手技よりも、短時問に、容易に、広範囲に粘膜を切除できる。
【0088】
また、管腔臓器の粘膜の全周性な疾患であっても、一度に全周を切除すると、患者に対し、大きな侵襲となり、苦痛などの負担をかけるし、狭窄の危険も少なからずあるので、少し、期間を空けて、計画的に部分切除をする。このような場合、本例によれば、部分切除が容易にできるので有効である。
【0089】
また、従来の、キャップや案内管の先端に、粘膜を吸引して、スネアで絞って切除する、部分切除であると、どの箇所を切開するのかが、内視鏡像では直接に観察できないが、本実施形態のものでは観察できる。加えて、楕円形状に部分切除するこれらの手技では、計画的な部分切除をする際に、隣同士の重複部を大きくすると、深く切除してしまうし、逆に重複をし損なうと、患部を除去できないため、時間をかけて、慎重に重ね合わせる作業が必要となるが、本例のものでは、四角形に切開できるので、計画的な部分切除が、確実で容易である。切除後の粘膜の再構築もし易いので、病理検査結果の正確性が増す効果も期待できる。
【0090】
〔第4実施形態〕
図9を参照して本実施形態に係る内視鏡処置装置について説明する。前述した実施形態と同じ構成部位には同じ番号を付与する。
【0091】
(構成)
本実施形態の内視鏡処置装置では、図9で示すように、内視鏡10の先端部14に対して着脱自在に装着可能なフード60を設ける。フード60は透明で柔軟なポリウレタン樹脂からなり、その先端部分は砲弾型である。フード60の側開口42が、フード60の略2/3周にわたり大きく開口しており、そこに、2本の切開具保持部43が、フード60と一体に、軸方向の向きに突き出して平行に設けられている。2本の切開具保持部43はその間に円周角度で約90度の間隔を空けている。
【0092】
2本の切開具保持部43の間に位置する、側開口42の辺部には、水掻きのように、鋭利な縁41が、斜めにギロチンの刃のように形成してある。この鋭利な縁41は上記フード60と一体に同材質で形成されている。但し、2つの切開具保持部43における切開具導入部45の位置は軸方向に少しずれている。
【0093】
各切開具保持部43の裏側にはその先端における切開具導入部45の後方から切開具保持部43の内側の縁に沿って、高周波ワイヤ47がフード60の中心に向けて円弧状に突き出すように取り付けられている。また、上記鋭利な縁41のエッジが高周波ワイヤ47の途中に位置している。
【0094】
高周波ワイヤ47の後方には高周波ケーブル33が接続されている。高周波ケーブル33は先端が二股に分かれ、各先端が高周波ワイヤ47に接続されている。高周波ワイヤ47はフード60の外壁に形成した溝68に嵌め込まれて、フード60の外表面から出っ張らないように接着されている。
【0095】
(使用法)
本実施形態の内視鏡処置装置を使用する場合、まず、前述した注射針を用いる方法で粘膜下に生理食塩水等を注射して、患部71の粘膜51を筋層52に対し浮かす。この後、内視鏡10の先端部14に予め装着してあった、前述した第2実施形態と同様のフード60を円周方向に回転して、そのフード60の高周波ワイヤ(切開具)47により、その筋層52に円周角約90度で、手前と奥に2箇所に周方向への切開を加える。
【0096】
その後、フード60を本実施形態で示したものと交換し、前に形成した円周状の切開線72aの部分を側開口42内に吸引し、その両端部に合わせたら、送気と吸引操作を調整しつつ、内視鏡10の先端部14を前に進めて、2つの切開具保持部43をその先端の切開具導入部45から刺し入れ、更に前に進めて、粘膜51が、2本の高周波ワイヤ47の上に均等に乗り上げるようにし、両高周波ワイヤ47に高周波を通電して粘膜51の部分を切開する。
【0097】
このとき、煙と水蒸気が出るので、素早く内視鏡10の送気と吸引操作を繰り返して煙と水蒸気を除去する。
【0098】
切開した箇所に、切開具保持部43と共に高周波ワイヤ47を更に押し進めると同時に、鋭利な縁41を境界組織53に侵入させて押し進め、境界を切開して粘膜51と筋層52を剥離する。剥離箇所を観察し易くするため、断端を把持鉗子55で把持し、前述した図8で示したと同様に、粘膜51を裏返す。このようにして、縦方向の切開と、剥離を同時に、予め、切開しておいた奥の円周状の切開線74の箇所まで切り進める。これによって、四角に、粘膜51を剥離することができる。
【0099】
(効果)
本実施形態では2本の高周波ワイヤ47が等間隔なので、平行に軸方向に移動するが、その2本の高周波ワイヤ47が、切開具保持部43の中央ではなく、縁に沿って配設してあるので、鋭利な縁41による剥離と軸方向の切開線との間に切り残しがない。
【0100】
また、2つの切開具保持部43における切開具導入部45は位置が少しずれているので、挿入抵抗が軽減される。鋭利な縁41は斜めになっているので、剥離の抵抗がさらに軽減される。
【0101】
2本の縦方向の切開と粘膜51の剥離が略同時に行なわれるので、短時間で剥離処理を行なうことができる。一本づつ切開すると、平行に切開するのが難しく、長くなればより困難になるが、このようなフード60を使うと、簡単に平行で長い切開と剥離ができる。
【0102】
さらに切開具導入部45は鋭利な形状ではないし、柔軟な材料からなるので、境界組織に挿入して、万一、筋層52に当ったとしても、損傷しない。
【0103】
(変形例)
本実施形態は切開具として2本の高周波ワイヤ47を設けたが、その間隔は90度に限るわけではなく、必要に応じた角度にしても良い。また、フード60ではなく、第1実施形態の場合の如くの案内管3に設けるようにしても良い。さらに、鋭利な縁41は円弧状にしても良いし、への字のように、中央を尖らせても良い。加えて、高周波ワイヤ47の形状はスロープ状でもよい。突出方向は軸方向に限るものではなく、フード60や案内管3の一部に円周状に突出させれば、粘膜に円周状に2本の切開を形成することも可能である。
【0104】
〔第5実施形態〕
図10を参照して本実施形態に係る内視鏡処置装置について説明する。前述した実施形態と同じ構成部位には同じ番号を付与する。
【0105】
本実施形態では軸方向に高周波ワイヤ47を配設した高周波切開具部の例である。すなわち、透明で柔軟な樹脂の管状体(例えば内管やフード)80の先端部分に前方に開口する切欠き81を設け、この切欠き81の後壁(辺)には前方へ延長する一本の帯状の切開具保持部43が切り残す状態で設けられている。つまり、切開具保持部43はその切欠き81の中央に位置して前方へ突き出すように配設されている。
【0106】
切開具保持部43の中央にはスリット溝82が、その切開具導入部45の後方まで延長して形成されている。スリット溝82の先端には高周波ワイヤ47の先端が固定してあり、高周波ワイヤ47はスリット溝82内に収納されている。高周波ワイヤ47には予め円弧状に曲り癖が付けられてある。
【107】
高周波ワイヤ47の後端には電気的絶縁コート上にテフロン(登録商標)製の熱収縮チューブを被せた硬い高周波ケーブル33が接続されている。高周波ケーブル33は管状体80に一体に形成されたケーブル溝85に配設されたケーブル挿通管路86にスライド自在に収納されている。
【0108】
なお、スリット溝82の幅は高周波ワイヤ47の外径より、僅かに大きく、スムーズに格納と表出を繰り返せる。高周波ワイヤ47の曲り癖は管状体80の中心軸方向に向いているので、その方向に表出する。
【0109】
(使用方法)
これまでと異なる点のみを記載すると、内視鏡の処置具挿通路を挿通した把持鉗子で、粘膜51を摘み上げて、予め、空けた小切開に切開具保持部43の切開具導入部45を合わせ、高周波ケーブル33を引いて高周波ワイヤ47をスリット溝82に収納した切開具保持部43の根元近傍まで、粘膜下に挿入する。そして、高周波ケーブル33を押し込んで、高周波ワイヤ47を円弧状に表出し、通電しながら、粘膜51の裏側から、その粘膜51を切開して、所望の位置まで押し進めていく。
【0110】
(効果)
切開具保持部43内に高周波ワイヤ47が収納されているので、切開具保持部43を粘膜下に挿入する際に高周波ワイヤ47が邪魔にならず、根元近傍まで長く挿入できる。このため、その分、高周波ワイヤ47を長く粘膜下に潜入させることができ、長く切開することができ、結果的に軸方向の切開の時間短縮ができる。
【0111】
また、管状体80の先端が開口しているので、切開時の煙や水蒸気が管状体80内に留まり難く、視野確保が楽になる。
【0112】
さらに高周波ケーブル33が所定の位置に収納されているで、処置操作や視界を妨げない。しかも、側開口ではなく、前方に開口した切欠き81なので、内視鏡10で見える視界が広くなる。
【0113】
(変形例)
先端の切断の角度は直角でなくとも良く、挿入や吸引をし易いように、斜めなどに切断しても良い。
【0114】
〔第6実施形態〕
図11を参照して本実施形態に係る内視鏡処置装置について説明する。前述した実施形態と同じ構成部位には同じ番号を付与する。
【0115】
(構成)
本実施形態での例は周方向の切開に用いる高周波切開具部の別例を示す。すなわち透明で柔軟な樹脂の管状体、例えばフード90の前方開口端にはT字型の切開具保持部43が前方へ突き出して形成されている。切開具保持部43の先端には周両方向に延びる片部91がTの字状に形成されている。Tの字状の片部91の前端縁は組織切開用の鋭利な縁41として形成されている。
【0116】
上記切開具保持部43の横線の片部91はフード90の周面と平行に湾曲して形成されている。この円弧状でTの字状の片部91の内面には内側を向いて高周波ワイヤ47が弦状に架設された状態で配設されている。
【0117】
高周波ワイヤ47の両端は片部91の端部から少し手前に離して設けてあり、片部91の両先端部分で、それぞれ切開具導入部45を形成している。
【0118】
(使用方法)
これまでと異なる点は、全周を切開する際に、時計周りまたは反時計周りで、180度回転して切開を加え、逆に回転を戻し、切開端にT字の反対側の先端導入部分を潜り込ませて、初めとは逆方向に180度回転して切開を加えて、360度につなげる切開が可能である。
【0119】
(作用・効果)
内視鏡の吸引操作により、盛り上がった粘膜に対し、どちらの回転方向でも切開具が粘膜下に潜り込ませることができる。また、360度、フード90を回す必要がないので、回転操作が楽になる。
【0120】
高周波ワイヤ47は粘膜を切開するのに伴い、血液や組織が焦げ付き、切れ難くなることがあるが、円弧状のワイヤではその半分が半周を切開することになるので、ワイヤの同じ部分で全周を切開するのに比べ、切れ難くなり難い。食道などの管腔臓器内で、切開具の回転操作をするため、少なからず、臓器が捻られることになるが、同方向で360度回転させるのに比べ、半回転なので、患者への負担を軽減できる。粘膜とフードの外面との接触面積が少なく、回転抵抗が少なく、回転し易いので、術者はつかれない。側開口に比べ、フードの長さを短くできるので、回転抵抗を少なくでき、同様に回転操作が楽になる。また、内視鏡画像に占めるフードの部分が減り、体腔内が見やすくなる。フードが邪魔になり難くなり、処置具による処置操作もし易くなる。
【0121】
(変形例)
T字型の切開具保持部43は前述したような側開口や切欠き部に配設しても良い。また、ワイヤの形状も円弧に限らない、T字を90度回転して、図9で示した実施形態のように軸方向に高周波ワイヤ47を配設してもよい。さらに、切開具保持部をL字型にして、360度回転の切開具にしてもよい。
【0122】
(変形例)
切開具保持部43から突き出す高周波ワイヤ47の部分の形状は放物線でも楕円の一部でも長円の半分でも、またはスロープ状に形成してもよい。図12はそれらの例を示すものである。
【0123】
図12(a)で示すものは突き出す高周波ワイヤ47の部分が直線状のスロープ65が急に立ち上がる形状に形成されている。直線状のスロープ65が急に立ち上がることで、粘膜裏に高周波ワイヤ47の部分が当りやすく、切開し易い。
【0124】
図12(b)で示すものは突き出す高周波ワイヤ47の部分が緩やかな曲線状のスロープ66を形成する形状になっている。スロープ66が緩やかな曲線状のものであることで、高周波ワイヤ47が切開具の粘膜下への侵入の邪魔になり難く、切開具がスムーズに粘膜下に挿入でき、高周波ワイヤ47の長い範囲に粘膜が被さるので長く切れるようになる。
【0125】
図12(c)で示すものは突き出す高周波ワイヤ47の部分が背ヒレ状のワイヤ部67を形成し、切開具保持部43に配設されている。背ヒレ状のワイヤ部67の導入部45側の小さい曲率の円弧部に粘膜が当るので、粘膜裏を切るのではなく、粘膜の端を切ることになり、粘膜下に高周波ワイヤ47を潜り込ませる必要がないので、抵抗が少なく回転操作がし易く、切開箇所が観察し易い。
【0126】
(変形例)
各例のワイヤの配設は円周状の切開具に限るものではなく、軸方向に配設しても良い。
【0127】
本発明は上記の実施形態のものに限定されるものではない。上記説明によれば以下の付記に挙げる各項およびそれらの項を任意に組み合わせたものが得られる。
【0128】
〔付記〕
付記1.内視鏡と組み合わせて用いる、内視鏡処置装置において、内視鏡の先端部の近傍に、配置される透明で柔軟な材質の管状体の一部に、粘膜剥離のための鋭利な縁を設けたことを特徴とする内視鏡処置装置。
【0129】
付記2.透明で柔軟な管状体は、それらの一端を回転および進退自在で気密に接続された、2重の案内管の内筒からなり、内筒は外筒よりも短いことを特徴とする付記1のもの。
【0130】
付記3.請求項1の切開具保持部は、管状体の一部に、管状体と一体または別体に円周方向に突出して設けられた、上記管体と同じかまたは小さい曲率を有する、円弧状であることを特徴とするもの。
【0131】
付記4.請求項1の切開具保持部は、管状体の一部に、管状体と一体または別体に軸方向に突出して設けられたことを特徴とするもの。
【0132】
付記5.請求項1の切開具保持部は、管状体の一部に設けた、側口の壁から突出して設けられたことを特徴とするもの。
【0133】
付記6.請求項1の切開具保持部は、管状体の先端に設けた、切り欠きの壁から突出して設けてあることを特徴とするもの。
【0134】
付記7.請求項1の切開具保持部は、管状体の先端から突出して設けてあることを特徴とするもの。
【0135】
付記8.請求項1の切開具保持部は、管状体の一部に、軸方向に突出した、少なくとも2本以上の数で、これらの支持部に配設される高周波通電ワイヤも少なくとも2本以上であることを特徴とするもの。
【0136】
付記9.請求項1の高周波切開具は、中空の絶縁材料からなる切開具保持部と、この切開具保持部の先端に設けられた切開具導入部と、導入部後方から支持部基部までの間に、管状体の内側に向け、設けられたスリットと、支持部中空内部に、このスリットからの表出および収納自在に配設される高周波通電ワイヤとこのワイヤに電流を供給すると共に表出収納操作を兼ねるケーブルと高周波電源装置からなることを特徴とするもの。
【0137】
付記10.請求項2のフードは、その先端を砲弾型に閉塞して形成したことを特徴とするもの。
【0138】
付記11.請求項2のフードは、その最小外径が、組み合わせられる内視鏡先端部の外径とほぼ同じか、小さいことを特徴とするもの。
【0139】
付記12.付記1の鋭利な縁は管状体と一体に形成してなることを特徴とするもの。
【0140】
付記13.付記1の鋭利な縁は、管状体の先端の少なくとも一部に設けられたことを特徴とするもの。
【0141】
付記14.付記1の鋭利な縁は、管状体に設けられた側口の内壁の少なくとも一部に設けられたことを特徴とするもの。
【0142】
付記15.付記1の鋭利な縁は、管状体の先端の一部に設けられた、切り欠きの壁の少なくとも一部に設けられたことを特徴とするもの。
【0143】
付記16.付記1の鋭利な縁は管状体の先端に設けられた、切開具保持部の少なくとも一部に設けられたことを特徴とするもの。
【0144】
付記17.請求項1の切開具保持部の形状は、T字型で、高周波切開ワイヤが、T字の横線の中央に設けられることを特徴とするもの。
【0145】
付記18.請求項1の切開具保持部の形状が、L字型で、高周波切開ワイヤが、L字の横線に設けられることを特徴とするもの。
【0146】
付記19.請求項3の案内管は、先端の所定の長さが透明で電気絶縁性と耐熱性に優れる材料からなり、その後方は、別材料からなることを特徴とするもの。
【0147】
付記20.請求項2のフードは、先端の所定の長さが透明で電気絶縁性と耐熱性に優れる材質からなり、内視鏡先端との装着部位は弾性材料であることを特徴とするもの。
【0148】
付記21.請求項2の高周波ワイヤの位置は、内視鏡にフードを装着した際に、内視鏡画像の略焦点位置になることを特徴とするもの。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、例えば生理食塩水などを注入して、粘膜と筋層の間を離した、粘膜の患部の周囲を容易に短時間で切開することができる。また、患部を含む粘膜の剥離も、容易に短時間にすることができる。
【0150】
慎重な操作をする時間が少ないので、術者が、集中力を従来よりも使わずに済み、疲れない。短時間になることで、患者の疲労も少ない。
【0151】
従来のような、熟練を要する手技を必要としないので、トレーニングに時間がかかることなく、多くの術者が使える機器と手技である。
【0152】
粘膜剥離の前の切開は切開具と粘膜の位置関係をしっかりと把握してから、粘膜の切開箇所を直接、内視鏡像で観察しながら切開ができるので、術者は安心して切開ができる。
【0153】
粘膜剥離は物理的に剥ぎ取るので、高周波メスやレーザー光線で境界を切開しつつ剥離するのに比べ、高エネルギーを使わないので安価である。また、高周波やレーザーと異なり、煙や水蒸気が発生しないので、剥離を中断することなく進められるため、術者がいらいらしなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る内視鏡処置装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】同じく第1の実施形態に係る内視鏡処置装置の手元付近部の縦断面図である。
【図3】内視鏡像で示される第1の実施形態に係る内視鏡処置装置による処置状態の説明図である。
【図4】同じく第1の実施形態に係る内視鏡処置装置の処置状態の説明図である。
【図5】(a)(b)(c)(d)(e)はそれぞれ異なる、案内管の内筒に形成する鋭利な縁の形状の例を示す説明図である。
【図6】第2の実施形態に係る内視鏡処置装置の先端付近部の斜視図である。
【図7】(a)は第3の実施形態に係る内視鏡処置装置の先端付近部の縦断面図、(b)はその切開具の斜視図である。
【図8】同じく第3の実施形態に係る内視鏡処置装置の使用状態の説明図である。
【図9】第4の実施形態に係る内視鏡処置装置の先端付近部の斜視図である。
【図10】第5の実施形態に係る内視鏡処置装置の先端付近部の斜視図である。
【図11】第6の実施形態に係る内視鏡処置装置の先端付近部の斜視図である。
【図12】(a)(b)(c)はそれぞれ異なる切開具の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…外筒、2…内筒、3…案内管、10…内視鏡、
11…内視鏡の挿入部、12…内視鏡の操作部、
41…内筒の鋭利な縁、42…側開口、
43…切開具保持部、45…切開具導入部、
47…高周波ワイヤ、33…高周波ケーブル。
Claims (3)
- 内視鏡と組み合わせて使用され、体腔内組織を切開する際に用いられる内視鏡処置装置において、
内視鏡の先端部近傍に配置される透明で耐熱性に優れる電気絶縁体からなる管状体と、
この管状体の一部に突出して設けられた耐熱性と電気的絶縁性に優れた材質からなる細長い形状の切開具保持部と、
この切開具保持部の先端に設けられた、先細り形状の切開具導入部と、
この切開具導入部の後方から、管状体の内側方向に向け、この切開具保持部の内面と所定の距離を離して設けられた切開部を有する高周波切開具と、
この高周波切開具の切開部に電流を供給するケーブルおよび高周波電源装置とからなることを特徴とする内視鏡処置装置。 - 上記の管状体は、内視鏡先端部に着脱自在に装着されるフードからなることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡処置装置。
- 上記の管状体は、内視鏡の挿入部に被嵌し、体腔内に挿入される案内管からなることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡処置装置。
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