JP4458905B2 - 発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法 - Google Patents

発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4458905B2
JP4458905B2 JP2004111294A JP2004111294A JP4458905B2 JP 4458905 B2 JP4458905 B2 JP 4458905B2 JP 2004111294 A JP2004111294 A JP 2004111294A JP 2004111294 A JP2004111294 A JP 2004111294A JP 4458905 B2 JP4458905 B2 JP 4458905B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyethylene resin
layer
foamed
foam
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004111294A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005289494A (ja
Inventor
高則 唐川
匡泰 坪根
雅浩 新堂
伸幸 辻脇
孝至 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
FP Corp
Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
FP Corp
Sekisui Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by FP Corp, Sekisui Kasei Co Ltd filed Critical FP Corp
Priority to JP2004111294A priority Critical patent/JP4458905B2/ja
Publication of JP2005289494A publication Critical patent/JP2005289494A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4458905B2 publication Critical patent/JP4458905B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は、食品等の冷凍保存に適し、かつ電子レンジで加熱することが可能な発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法に関する。
近年、冷凍食品や電子レンジの普及により、冷凍保存された食品を電子レンジで加熱して解凍あるいは調理することが広く行われるようになっている。この際、食品を冷凍保存用の包装用容器に入れたまま電子レンジで加熱できれば、冷凍食品の移し替えや加熱用容器の用意、洗浄等の手間が省けるので、好ましい。
電子レンジ加熱適性を有する容器としては、ポリプロピレン(PP)系樹脂からなる低発泡層と、ポリプロピレン系樹脂からなる非発泡層(表皮層)とを有する包装用容器が知られている。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は、低温における衝撃強さに劣るため、氷点下などに冷凍保存すると割れるおそれがあり、冷凍保存に適していない。また、深絞り成形において厚さの不均一や細部の賦形性に劣るという欠点がある。
ポリプロピレン系樹脂に対して、高密度ポリエチレン(HDPE)系樹脂は、耐熱性や耐寒性に優れ、冷凍時の強度に優れているが、溶融物の強度が低いために、表面平滑性に優れた美麗な発泡製品を製造することが困難であり、食品包装用容器はまだ製品化されていない。
特許文献1には、メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分、溶融張力(MT)が2〜20g、分子量分布のQ値(Mw/Mn)が2〜9であるエチレン重合体樹脂からなり、発泡倍率が1.01〜3倍である発泡シートを熱成形したことを特徴とする深絞り成形体が記載されている。
特許文献2の実施例5には、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)を70/30の比でブレンドしたポリエチレン系樹脂を使用して発泡シートを成形し、この発泡シートに対して高密度ポリエチレンをダイから押出成形されたフィルムをラミネートすることにより得られ、発泡層と非発泡層(表皮層)とが積層されたポリエチレン系樹脂積層発泡シートが記載されている。
特許第2837380号公報 特開2003−220674号公報
しかしながら、特許文献1に記載の深絞り成形体によれば、発泡シートの気泡の薄い膜が成形体の表面に露出している。このため、この深絞り成形体を食品包装用容器として使用した場合には、該発泡シート内に残存する破泡や傷に食品等の水分や油分等が染み込んで汚れる等の問題があり、食品包装用に用いることは難しい。
特許文献2に記載の方法によれば、積層シートを二工程で製造するため、製造コストが増大するおそれがある。また、溶融した非発泡層用樹脂の熱で発泡層が破泡したりシートが変形したりするおそれがあり、製造条件の調整が大変難しいという欠点を有する。
このように、冷凍保存性と電子レンジ加熱適正を兼ね備える安価な食品包装用容器は、まだ知られていないのが実情である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、冷凍保存性と電子レンジ加熱適性を兼ね備え、安価な包装用容器及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、発泡層と少なくとも1層の非発泡層からなる積層シートを成形してなる包装用容器であって、前記積層シートは、密度が0.940〜0.965g/cm、190℃におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上の気泡調整剤を含有し、発泡層の発泡倍率が1.1〜6倍である発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)と、密度が0.930〜0.960g/cm、190℃におけるメルトフローレートが1〜20g/10分であって且つ前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)のメルトフローレートの1.5〜10倍である非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)を含有する非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)とを共押出発泡によって成形したものであることを特徴とする発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器を提供する。
本発明において、前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)は、190℃における溶融張力(MT)が1.5〜10g、分子量分布のQ値が3〜20であって、前記非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)は、160℃における溶融張力(MT)が1〜10g、分子量分布のQ値が5〜18であることが好ましい。
ここで、分子量分布のQ値とは、質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)である。
前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)が、密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレン系樹脂50〜90質量%、密度0.94g/cm以下の低密度ポリエチレン系樹脂50〜10質量%、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂30質量%以下を含有するものであることが好ましい。
前記非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)が、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)100質量部に対して0.1〜10質量部の酸化チタンを含有するものであることが好ましい。
本発明においては、前記積層シートの片面又は両面にフィルム又は印刷されたフィルムをラミネートすることもできる。
前記積層シートは、180℃、10秒後における[加熱後の寸法/加熱前の寸法]で表される比がMD方向及びTD方向について0.97以上であり、180℃、70秒後における[加熱後の寸法/加熱前の寸法]で表される比がMD方向及びTD方向の少なくとも一方の方向について0.97以下であることが好ましい。
また、本発明は、密度が0.940〜0.965g/cm、190℃におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上の気泡調整剤を含有し、発泡層の発泡倍率が1.1〜6倍である発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)と、密度が0.930〜0.960g/cm、190℃におけるメルトフローレートが1〜20g/10分であって且つ前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)のメルトフローレートの1.5〜10倍である非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)を含有する非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)とを共押出発泡させることにより、発泡層と少なくとも1層の非発泡層からなる積層シートを得、この積層シートを成形することを特徴とする発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器の製造方法を提供する。
本発明の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器は、ポリエチレン系樹脂からなるので、氷点下でも強靭で、食品の冷凍保存に適する。また、適度な剛性を有するとともに、電子レンジによる解凍や調理にも耐えることができる。発泡層に表皮層としての非発泡層が積層されているので、食品から出る水分や油分等が染み込まず、汚れにくく衛生的である。その上、傷つきにくく取り扱いやすい。発泡層用樹脂と非発泡層用樹脂の適切な組み合わせにより、均一で微細な気泡を有する発泡層と、光沢を有する非発泡層とが積層された積層シートが得られる。また、真空成形や真空圧空成形に適し、深絞り可能で、型の微細な形状を再現することができる。積層シートの発泡層と非発泡層とが一工程で製造できる上、安価な原料を汎用の設備を利用して加工することができるので、製造や加工に要するコストを低減できる。
従って、冷凍保存性と電子レンジ加熱適性を兼ね備え、食品包装に適した美麗な包装用容器を安価に製造することが可能となる。
本発明の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器は、発泡層と少なくとも1層の非発泡層からなる積層シートを成形してなる包装用容器である。発泡層および非発泡層はポリエチレン系樹脂を主体としたポリエチレン系樹脂組成物から成形することができる。
ここで、ポリエチレン系樹脂(PE系樹脂)としては、例えばエチレンの単独重合体が挙げられる他、エチレンと他の単量体との共重合体などが、単独で或いは2種以上混合して、使用できる。エチレンの単独重合体としては、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。また、エチレンと共重合体を形成する他の単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピレン、α−オレフィン(1−ブテンなど)、スチレン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等が挙げられる。
前記積層シートの発泡層を構成する発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)は、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)を主体とし、これに気泡調整剤等の添加物が配合されたものである。なお、以下の説明中、「発泡層用ポリエチレン系樹脂」を単に「発泡層用樹脂」という場合がある。
発泡層用樹脂(A)の密度は、0.940〜0.965g/cmの範囲内であり、好ましくは、0.950〜0.960g/cmの範囲内である。これにより、耐熱性と成形性を確保することができる。
発泡層用樹脂(A)の密度が0.940g/cm未満では、電子レンジで加熱したときの耐熱性が不足する。また、発泡層用樹脂(A)の密度が0.965g/cmを超えると、成形困難となる。
発泡層用樹脂(A)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.1〜10g/10分の範囲内であり、好ましくは1〜5g/10分の範囲内である。これにより、シート加工性に優れる上、破泡しにくいものとなる。
発泡層用樹脂(A)のMFRが0.1g/10分未満では、溶融流れが悪すぎて押出が難しく、シート加工性が劣る。また、発泡層用樹脂(A)のMFRが10g/10分を超えると、破泡しやすく、シートの表面が荒れたり、カーテン状の波打ち(菊模様)が発生しやすく、フラット化が難しい。
発泡層用樹脂(A)の190℃における溶融張力(MT)は、好ましくは、1.5〜10gの範囲内であり、より好ましくは、2〜5gの範囲内である。これにより、破泡や連続気泡化が起こりにくくなり、独立気泡の多い良質な発泡体を得ることができる。
発泡層用樹脂(A)のMTが低すぎると、破泡や連続気泡化が起こりやすくなるおそれがある。また、発泡層用樹脂(A)のMTが高すぎると、発泡しにくくなる。
発泡層用樹脂(A)の分子量分布のQ値は、好ましくは3〜20の範囲内である。本発明において、分子量分布のQ値とは、質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)である。
発泡層用樹脂(A)のQ値が低すぎると、発泡シート成形や容器の真空成形の際に適切な溶融粘度を維持できる温度幅が狭くなりすぎ、成形時の温度調整が困難になるおそれがある。発泡層用樹脂(A)のQ値が高すぎると、発泡の不安定化を招くおそれがある。
以上のような発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)は、高密度ポリエチレンを主体として調製されるが、例えば、密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレン(HPDE)系樹脂50〜90質量%、密度0.94g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)系樹脂50〜10質量%、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)系樹脂30質量%以下を適宜の方法にて混合することにより調製することが可能である。
前記発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)に添加される添加物としては、気泡調整剤、発泡剤、無機系充填剤などが例示される。
本発明においては、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)を良好に発泡させるため、気泡調整剤が必須の成分として添加される。
気泡調整剤としては、炭酸水素ナトリウム−クエン酸系化合物などの無機有機複合系気泡調整剤;タルク、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、ホウ酸などの無機系気泡調整剤;セルロース粉末、木粉、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸マグネシウムやステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩、尿素、ジブチル錫ジマレート等の有機錫化合物などの有機系気泡調整剤等が挙げられる。
気泡調整剤の配合量としては、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上用いられる。より好ましくは0.1〜30質量部の範囲内である。気泡調整剤の配合量が0.1質量部未満であると、気泡調整効果が見られない。気泡調整剤の配合量が30質量部を超えると、成形品の強度が低下して割れやすくなり、また、重くなりすぎるおそれがある。気泡調整剤の種類や量は、発泡倍率やシート押出条件などにより適宜選択する。
また、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)の発泡に用いられる発泡剤としては、揮発性発泡剤や化学発泡剤などがある。
揮発性発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気などのガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の揮発性炭化水素;塩化メチル、フレオン(登録商標)類などのハロゲン化炭化水素などが例示される。
化学発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、無水クエン酸モノナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が例示される。
発泡剤の配合量としては、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲内が好ましい。発泡剤の種類や量は、発泡倍率やシート押出条件などにより適宜選択する。
無機系充填剤としては、タルク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ガラス粉末等が例示される。無機系充填剤の配合量としては、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.5〜30質量部の範囲内が好ましい。無機系充填剤は、マスターバッチとして使用するのが好ましい。
無機系充填剤が少なすぎると発泡の均一性が改善されないおそれがあり、無機系充填剤が多すぎると成形品の外観が悪くなったり、強度が低下するおそれがある。
前記発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)は、発泡層の発泡倍率が1.1〜6倍の範囲内となるように発泡する。これにより、発泡体のもつ軽量性やソフトな感触が得られる上、容器成形後に、包装用容器として必要な表面硬さや腰の強さを確保することができる。
前記発泡層の発泡倍率が1.1倍未満では、発泡体のもつ軽量性やソフトな感触が得られず、該発泡倍率が6倍を超えると、容器成形後に、包装用容器として必要な表面硬さや腰の強さが不足する。
前記積層シートの非発泡層(表皮層)を構成する非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)は、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)を主体とする組成物である。
なお、以下の説明中、「非発泡層用ポリエチレン系樹脂」を単に「非発泡層用樹脂」という場合がある。
非発泡層用樹脂(B)の密度は、0.930〜0.960g/cmの範囲内であり、好ましくは、0.940〜0.955g/cmの範囲内である。これにより、容器を電子レンジで加熱したときに積層シートの表面が軟化しにくく、表面平滑性を維持することができる。
非発泡層用樹脂(B)の密度が0.930g/cm未満では、容器を電子レンジで加熱したときに積層シートの表面が軟化し、食品等に付着する等の問題が発生するおそれがある。また、非発泡層用樹脂(B)の密度が0.960g/cmを超えると、押出成形性が劣る。
非発泡層用樹脂(B)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、1〜20g/10分の範囲内であり、且つ発泡層用樹脂(A)のMFRの1.5〜10倍の範囲内である。より好ましくは非発泡層用樹脂(B)のMFRは3〜10g/10分の範囲内であり、あるいは、発泡層用樹脂(A)のMFRの2〜5倍の範囲内である。非発泡層用樹脂(B)のMFRが、上記の範囲内であることにより、表面状態が良好で、各層の厚さが均一な積層シートを得ることができる。
発泡層用樹脂(A)は、発泡剤によっては発泡剤を混合するとMFRが大きくなるので、非発泡層用樹脂(B)のMFRは、発泡層用樹脂(A)のMFRよりも大きく、且つ前記の範囲内とすることが好ましい。非発泡層用樹脂(B)のMFRが前記の範囲の外であると、ダイ内における発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)と非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)との流れが乱れて、表面状態が悪くなったり、各層の厚さが不均一になったりするおそれがある。非発泡層用樹脂(B)のMFRが低すぎると、特にダイとの摩擦により樹脂の流れが悪くなり、シートの表面状態が悪化するおそれがある。非発泡層用樹脂(B)のMFRが高すぎると、樹脂の流れが過大となり、平滑で均一な厚さの非発泡層(表皮層)が得られにくくなる。
非発泡層用樹脂(B)の160℃における溶融張力(MT)は、好ましくは、1〜10gの範囲内であり、より好ましくは、1〜5gの範囲内である。これにより、積層シートから容器を成形するときに、シートのブリッジが発生しにくく、美麗な深絞り成形品を製造することができる。
非発泡層用樹脂(B)のMTは、高すぎても低すぎても、積層シートから容器を成形するときに、シートのブリッジが発生しやすくなる。
なお、ブリッジとは、真空成形や真空圧空成形などにおいて、コーナ部等でシートがたるんで折り畳まれることによるシートの重なりをいう。
非発泡層用樹脂(B)の分子量分布のQ値は、好ましくは5〜18の範囲内であり、より好ましくは、10〜18の範囲内である。非発泡層用樹脂(B)のMFRの範囲との組み合わせにおいては、分子量分布は、前記範囲内であることが好ましい。
非発泡層用樹脂(B)のQ値が低すぎると、真空成形や真空圧空成形などの際にブリッジが発生しやすくなる。非発泡層用樹脂(B)のQ値が高すぎると、低分子量成分の溶出や表面荒れを招くおそれがある。
非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の任意成分を配合することができる。
非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)は、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)100質量部に対して0.1〜10質量部の酸化チタン微粒子を含有するものであることが好ましい。酸化チタン微粒子の配合量は、より好ましくは1〜5質量部の範囲内である。酸化チタン微粒子を上記範囲内で添加することにより、配合真空成形、真空圧空成形、圧空成形などの容器成形時にシートの表面状態を改良する効果が発揮される。
酸化チタン微粒子の配合量が0.1質量部未満であると、容器成形時のシートの表面状態の改良効果が発揮されにくい。また酸化チタン微粒子の配合量が10質量部を超えても表面改質は変わらず、油分が浸透しやすくなる上、成形品の強度低下や価格の上昇を招くおそれがある。
本発明においては、上述の発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)と、非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)とを共押出発泡させることにより、発泡層と少なくとも1層の非発泡層からなる積層シートを製造する。
共押出発泡は、Tダイやサーキュラーダイなどのダイを有する公知の共押出装置を用いることにより、実施することができる。
積層シートにおける発泡層の発泡倍率は、好ましくは1.1〜6倍の範囲内であり、より好ましくは1.2〜3倍の範囲内である。
前記積層シートは、180℃、10秒後における[加熱後の寸法/加熱前の寸法]で表される比(以下、「10秒間の加熱前後の寸法比」ということがある)が、MD方向及びTD方向について0.97以上であり、180℃、70秒後における[加熱後の寸法/加熱前の寸法]で表される比(以下、「70秒間の加熱前後の寸法比」ということがある)が、MD方向及びTD方向の少なくとも一方の方向について0.97以下であることが好ましい。
前記10秒間の加熱前後の寸法比が0.97以上であることにより、真空成形等の容器成形に必要な耐熱性を確保することができる。前記10秒間の加熱前後の寸法比のより好ましい範囲は、0.98以上である。前記10秒間の加熱前後の寸法比が0.97未満であると容器成形に必要な耐熱性が不足するおそれがある。
前記70秒間の加熱前後の寸法比が0.97以下であることにより、真空成形等の容器成形を適度な時間で行うことができ、成形性が良好となる。前記70秒間の加熱前後の寸法比が0.97を超えると、容器成形に要する時間が長くなり、成形性に劣る。
なお、前記積層シートは、非発泡層を有しない発泡シートについても、180℃、10秒間の加熱前後の寸法比が、MD方向及びTD方向について0.97以上であり、180℃、70秒間の加熱前後の寸法比が、MD方向及びTD方向の少なくとも一方の方向について0.97以下であることが好ましい。
ダイで共押出成形する際に、樹脂をダイリップから押出して最初の成形ロール(冷却ロールなど)に接触するまでの時間(以下、押出時間ということがある)は、5秒以内であることが好ましい。前記押出時間は、より好ましくは1.5秒以内である。前記押出時間が長すぎると、カーテン状の波打ち(菊模様)が発生してシートの美観が損なわれるおそれがあり、好ましくない。
本発明の包装用容器は、上述のようにして得られた積層シートを、真空成形、圧空成形、真空圧空成形などの容器成形方法によって成形することにより製造することができる。前記積層シートの片面又は両面には、容器成形の前または後に、フィルムをラミネートすることができる。このラミネート用フィルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂系フィルム等が挙げられる。前記ラミネート用フィルムには、着色や印刷などを施してもよい。
積層シートにラミネートされるフィルムの厚みは通常5〜500μmである。厚みが5μm未満の単層フィルムを押出した場合、ピンホール等を発生しやすい。500μmを超える場合では経済性が悪く、熱融着によりラミネートする場合、フィルムの熱容量が大き過ぎて積層シートの発泡層が熱の影響を大きく受け、成形時に分離する場合がある。
これらのフィルムとしては、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、エチレン・プロピレンランダムコポリマー、エチレン・プロピレンブロックコポリマー、エチレン・プロピレン−ブテン−ターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリスチレンやスチレン−ブタジエン系などのポリスチレン系樹脂、A−PETやPET−G等のポリエステル系樹脂等が適宜使用できる。また、内容物の鮮度保持を長くするために予め抗菌剤例えば銀イオン、わさびからの抽出液等を混合したフィルムやガスバリヤ性フィルムを使用しても良い。更に、アルミ箔、またはアルミ箔を積層した熱可塑性樹脂フィルムを使用することもできる。積層シートにラミネートされるフィルムは柄やマークなどを印刷したものを使用しても良い。この印刷は、フィルムの積層シートとラミネートされる面に施される。この場合、フィルムは印刷層が透かして見られる為に、透明性の良い材質のものが好ましく、ポリスチレン系樹脂やA−PET等が好適に使用される。
本発明において、積層シートとフィルムとをラミネートする方法は特に限定しないが、接着剤による積層、或いは熱ロールによるラミネート、共押出、あるいは発泡シートとフィルムの中間にTダイから押し出された溶融状態の接着性樹脂フィルムを介して圧着ラミネートする方法等がある。使用しうる接着剤としては熱可塑性樹脂系接着剤、熱可塑性エラストマ−系接着剤、感圧型接着剤、ホットメルト型接着剤、ゴム系接着剤等の何れでも良い。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体及びこれらの混合物、スチレンブロックブタジエンブロック共重合体エラストマー、スチレンブタジエン共重合体エラストマー等を用いることが出来る。
本発明の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器は、ポリエチレン系樹脂からなるので、氷点下でも強靭で、食品の冷凍保存に適する。また、適度な剛性を有するとともに、電子レンジによる解凍や調理にも耐えることができる。発泡層に表皮層としての非発泡層が積層されているので、食品から出る水分や油分等が染み込まず、汚れにくく衛生的である。その上、傷つきにくく取り扱いやすい。発泡層用樹脂と非発泡層用樹脂の適切な組み合わせにより、均一で微細な気泡を有する発泡層と、光沢を有する非発泡層とが積層された積層シートが得られる。また、真空成形や真空圧空成形に適し、深絞り可能で、型の微細な形状を再現することができる。積層シートの発泡層と非発泡層とが一工程で製造できる上、安価な原料を汎用の設備を利用して加工することができるので、製造や加工に要するコストを低減できる。
従って、冷凍保存性と電子レンジ加熱適性を兼ね備え、食品包装に適した美麗な包装用容器を安価に製造することが可能となる。
以下に示す実験例によって、本発明を更に具体的に説明する。
[発泡シートの製造]
表1に示す物性値を有する発泡層用ポリエチレン系樹脂A−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−7、A−8及びA−9を用意し、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部とタルク15質量部を含有する発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)を調製した。ここで、タルクは平均粒径5μmのものを用いた。但し、予備10においては、タルクの添加を省略した。
ポリエチレン系樹脂にタルクを配合する際には、タルク60質量%に対して前記ポリエチレン系樹脂A−1、A−2、A−3、A−4、A−5のいずれかが40質量%の比となるように混合してマスターバッチを製造し、このマスターバッチを残部の前記ポリエチレン系樹脂と混合することにより、タルクを配合した。
上記発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)に発泡剤を添加したのち、押出機によりペレット化した。発泡剤の配合量は、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.5質量部とした。発泡剤としては、永和化成株式会社製ポリスレンを使用した。
前記発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)からなるペレットを90mm押出機に供給し、160℃のTダイから押出して厚さ0.75mmの発泡シートを製造した。
[積層シートの製造]
表1〜表3に示す物性値を有する発泡層用ポリエチレン系樹脂A−1、A−2、A−3、A−4を用意し、前記[発泡シートの製造]の項目で述べたようにして発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)を調製し、押出機によりペレット化した。
また、表2および表3に示す物性値を有する非発泡層用ポリエチレン系樹脂B−1、B−2、B−3、B−4、B−5、B−6、B−7を用意した。
実施例3、7、8においては、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)に対して酸化チタンを添加することにより、非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)として用いた。他の例では、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)を非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)として用いた。非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)は、予め押出機によりペレット化した。
非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)に酸化チタンを配合する際には、まず、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)の一部を酸化チタンと混合して50%マスターバッチを製造し、このマスターバッチを残りの非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)と混合する方法によった。
前記発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)からなるペレットを90mm押出機に供給し、前記非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)からなるペレットを40mm押出機に供給して、Tダイから共押出発泡することにより、発泡層の両面に非発泡層(表皮層)が積層された3層構造の積層シートを製造した。発泡後の積層シートの厚さは0.75mm、両面の非発泡層の厚さはそれぞれ0.025mmとした。
[包装用容器の製造]
上述のように共押出発泡により得られた積層シートを、上ヒータ220℃、下ヒータ210℃、サイクルタイム12秒の製造条件で成形し、中仕切りを有し、寸法が17cm×23cm×深さ25mmの食品包装用容器を製造した。
[試験および評価の方法]
<密度>
ポリエチレン系樹脂の密度は、JIS K 6922−1,2に従って測定した。
<メルトフローレート>
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K 6922−2に従い、測定温度190℃、荷重2.16kgの条件により測定した。
<溶融張力>
ポリエチレン系樹脂の溶融張力(MT)は、東洋精機株式会社のMT測定装置を用い、穴径2.09mm、長さ8mmのオリフィスを用い、シリンダー降下速度20mm/分、巻取り速度15m/分の測定条件によって測定した。測定温度は、発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)については190℃、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)については160℃とした。
<分子量分布>
ポリエチレン系樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、ウォータース社150C型の装置を用いて測定した。溶媒としては130℃の1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、カラムとしては、昭和電工株式会社製ショウデックス(登録商標)HT806Mを用いた。
<加熱前後の寸法比>
発泡シートまたは積層シートの加熱前後の寸法比は、該シートから10cm×10cmのサンプルを所要枚数切り出し、MD方向及びTD方向の長さをサンプルの中央部において測定した(これを加熱前の寸法とする)のち、前記サンプルを180℃の熱風オーブン中に置いて10秒ごとに取り出してMD方向及びTD方向の長さをサンプルの中央部において測定した(これを加熱後の寸法とする)。そして、MD方向及びTD方向のそれぞれについて[加熱後の寸法/加熱前の寸法]の比を算出した。
<MFR比>
積層シートのMFR比は、「非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)のMFR/発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)のMFR」の比により算出した。
<積層シート中の発泡層の発泡倍率>
積層シートから小片のサンプルを切り取り、断面を顕微鏡で観察し表皮層(非発泡層)の厚さをサンプルの3点において測定し、この平均値を表皮層厚みとする。積層シートから2cm×2cmの正方形サンプルを切り取り、厚み及び重さを測定後、水中置換法により積層シートの見かけ比重を測定し、次の式から積層シート中の発泡層の発泡倍率を算出した。

f=[ρ×t]/[ρ×(t+t)−ρ×t

但し、fは発泡層の発泡倍率、ρは積層シートの見かけ比重、ρは発泡層の固形成分の比重、ρは表皮層の比重、tは発泡層の厚み(mm)、tは表皮層の厚み(mm)を表す。なお、発泡層厚みtは、積層シートの厚みと表皮層の厚みtとの差で算出する。
<連続気泡率>
発泡シートおよび積層シートの連続気泡率は、下記のようにして測定した。
シートから2cm×2cmのサンプルを切り出し、該サンプルの質量(水浸漬前の質量)を測定する。前記サンプルを水中に浸漬させ、水槽から取り出した後、0.09MPa以下の真空下で5分間放置する。前記サンプルを大気圧下に取り出して表面および切断面に付着した水分をよく拭き取ったのち、サンプルの質量(水浸漬後の質量)を測定する。
連続気泡率Fは下記の式により算出される。

F = (V/V)×100={(M−m)/[m×(f−1)/S]}×100

但し、Fは連続気泡率(%)、Vは連続気泡分の体積(cm)、Vは発泡体の実気泡体積(cm)、Mは水浸漬後のサンプルの質量(g)、mは水浸漬前のサンプルの質量(g)、fは発泡倍率(倍)を表す。また、Sは発泡シート(表1)においては発泡体を構成する固体成分の比重を、また積層シート(表2,表3)においては発泡体と表皮層からなる積層体の固体成分の比重を、それぞれ表す。
<押出状態の評価>
発泡シートまたは積層シートを押出成形する際の押出状態の評価は、目視観察にて下記の評価基準に従い行った。
○ 押出シート成型可能。
△ 成型不良であり、押出条件を変更しても改善困難。
× 押出困難、シート形成不可。
<発泡シートの表面状態の評価>
発泡シートの表面状態の評価は、目視観察にて下記の評価基準に従い行った。
5 艶、平滑性が良好であり、単層のみで食品包装用容器に使用可能。
4 艶、平滑性は可であり、表皮層を積層すれば食品包装用容器に使用可能。
3 艶、平滑性が劣り、表皮層を積層しても改善は困難。
2 破泡などにより表面の肌荒れがひどく、使用不可。
1 著しい外観不良がある。または、均一厚さのシートの形成が不可。
<積層シートの表面状態の評価>
積層シートの表面状態の評価は、目視観察にて下記の評価基準に従い行った。
5+ 積層シートの表面状態が極めて良好であり、かつ、容器成形後においても容器の表面状態が極めて良好であり、食品包装用容器に最適。
5 積層シートの表面状態が極めて良好であり、食品包装用容器に好適。
4 艶、平滑性が良好であり、食品包装用容器に適する。
3 艶、平滑性は可であり、食品包装用容器に使用可。
2 艶、平滑性が劣り、表皮層を積層しても改善は困難。
1 破泡などにより表面の肌荒れがひどく、使用不可。
<発泡状態の評価>
発泡シートおよび積層シートの表面状態の評価は、目視観察にて下記の評価基準に従い行った。
4 破泡や連続気泡がほとんどなくセルが細かく均一。連続気泡率1%未満。
3 破泡や連続気泡が発生。連続気泡率は1%以上10%未満。
2 破泡や連続気泡が著しい。連続気泡率10%以上50%未満。
1 発泡が困難。連続気泡率50%以上。
<ブリッジ発生>
積層シートを容器に成形する際にブリッジの発生程度に応じて、目視観察にて下記の評価基準に従い評価した。
3 ブリッジ発生なし。
2 ブリッジがわずかに発生。
1 ブリッジが発生。
<賦形性>
積層シートの賦形性は、目視観察にて下記の評価基準に従い評価した。
3 深絞りが良好であり、金型形状を細部まで忠実に再現できた。
2 深絞りは可であるが、金型形状の細部の再現性が不充分。
1 深絞りまたは金型形状の細部の再現性が不可。
[結果と対比]
上記の試験および評価の結果を表1〜表3にまとめた。
Figure 0004458905
Figure 0004458905
Figure 0004458905
表1に示すように、予備試験の発泡シートについては、予備1〜予備4に示す条件でにより好ましい発泡シートが得られた。しかし、発泡シートは、その表面にごくわずかではあるが発泡セルが破泡したり、薄いセル膜が露出したりしているため、この発泡シートから食品包装用容器を製造して使用すると、食品の水分や汁、油分などが染み込んで汚れるおそれがある。従って、非発泡層からなる表皮層を設ける必要がある。
予備5の発泡シートは、発泡層用樹脂(A)のMw/Mnが大きすぎるため、表面荒れがあり、また、発泡層用樹脂(A)のMTが高すぎるため発泡が困難であった。
予備6の発泡シートは、発泡層用樹脂(A)のMFRが大きすぎるためダイ出口で出口タレが発生し、押出成型困難であった。また、発泡層用樹脂(A)のMTが低すぎるためダイ内で発泡し、破泡などによりシートの表面状態がひどく、連続気泡率を測定できないほどであった。
予備7の発泡シートは、発泡層用樹脂(A)のMTが低いため、シートの破泡や表面荒れが著しいものであった。
予備8の発泡シートは、発泡層用樹脂(A)のMFRが過小のため、押出負荷が大きすぎ押出困難であった。
予備9の発泡シートは、発泡層用樹脂(A)の密度が低すぎ、耐熱性が不足し、真空成形や電子レンジ加熱に不適であった。
予備10の発泡シートは、発泡調整剤としてのタルクが配合されていないため、気泡の均一さや微細さに問題があり、シートの表面状態も悪かった。
表2に示すように、実施例の積層シートによれば、外観が良好で、冷凍保存性や電子レンジ加熱適性を備えた包装用容器を製造することができた。
表3に示すように、比較例1の積層シートでは、MFR比が過大のため、表皮層の荒れが生じ、また、非発泡層用樹脂(B)のMFRが過大のため、表面荒れやブリッジが発生した。
比較例2の積層シートでは、MFR比が過小のため、表皮層用樹脂の流れが悪く、表面荒れが生じ、また、発泡が抑制された。
比較例3の積層シートでは、非発泡層用樹脂(B)のMTが低すぎるためブリッジが発生し、また、非発泡層用樹脂(B)のMFRが高すぎるため表面荒れが発生した。
比較例4の積層シートでは、非発泡層用樹脂(B)のMw/Mnが大きすぎるためブリッジが発生し、また、非発泡層用樹脂(B)のMTが大きすぎるため表面荒れが発生した。
比較例5の積層シートでは、非発泡層用樹脂(B)の密度が低すぎて耐熱性が不足し、ブリッジが発生した。
本発明の包装用容器は、食品などの包装に利用することができる。とくに冷凍保存される食品に適し、かつ電子レンジで加熱して解凍や調理する用途に使用することができる。

Claims (7)

  1. 発泡層と少なくとも1層の非発泡層からなる積層シートを成形してなる包装用容器であって、
    前記積層シートは、
    密度が0.940〜0.965g/cm、190℃におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上の気泡調整剤を含有し、発泡層の発泡倍率が1.1〜6倍である発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)と、
    密度が0.930〜0.960g/cm、190℃におけるメルトフローレートが1〜20g/10分であって且つ前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)のメルトフローレートの1.5〜10倍である非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)を含有する非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)と
    を共押出発泡によって成形したものであることを特徴とする発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器。
  2. 前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)は、190℃における溶融張力(MT)が1.5〜10g、分子量分布のQ値が3〜20であって、前記非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)は、160℃における溶融張力(MT)が1〜10g、分子量分布のQ値が5〜18であることを特徴とする請求項1に記載の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器。
  3. 前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)が、密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレン系樹脂50〜90質量%、密度0.94g/cm以下の低密度ポリエチレン系樹脂50〜10質量%、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂30質量%以下を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器。
  4. 前記非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)が、非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)100質量部に対して0.1〜10質量部の酸化チタンを含有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器。
  5. 前記積層シートの片面又は両面にフィルム又は印刷されたフィルムがラミネートされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器。
  6. 前記積層シートは、180℃、10秒後における[加熱後の寸法/加熱前の寸法]で表される比がMD方向及びTD方向について0.97以上であり、180℃、70秒後における[加熱後の寸法/加熱前の寸法]で表される比がMD方向及びTD方向の少なくとも一方の方向について0.97以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器。
  7. 密度が0.940〜0.965g/cm、190℃におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上の気泡調整剤を含有し、発泡層の発泡倍率が1.1〜6倍である発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(A0)と、
    密度が0.930〜0.960g/cm、190℃におけるメルトフローレートが1〜20g/10分であって且つ前記発泡層用ポリエチレン系樹脂(A)のメルトフローレートの1.5〜10倍である非発泡層用ポリエチレン系樹脂(B)を含有する非発泡層用ポリエチレン系樹脂組成物(B0)と
    を共押出発泡させることにより、発泡層と少なくとも1層の非発泡層からなる積層シートを得、この積層シートを成形することを特徴とする発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器の製造方法。
JP2004111294A 2004-04-05 2004-04-05 発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4458905B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004111294A JP4458905B2 (ja) 2004-04-05 2004-04-05 発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004111294A JP4458905B2 (ja) 2004-04-05 2004-04-05 発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005289494A JP2005289494A (ja) 2005-10-20
JP4458905B2 true JP4458905B2 (ja) 2010-04-28

Family

ID=35322901

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004111294A Expired - Lifetime JP4458905B2 (ja) 2004-04-05 2004-04-05 発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4458905B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010144063A (ja) * 2008-12-19 2010-07-01 Dainippon Printing Co Ltd 粘着積層体
JP5152066B2 (ja) * 2009-03-26 2013-02-27 大日本印刷株式会社 発泡壁紙の製造方法
JP5457077B2 (ja) * 2009-06-04 2014-04-02 日本ポリプロ株式会社 ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの押出成形による製法
JP6276055B2 (ja) * 2013-03-04 2018-02-07 株式会社細川洋行 易引裂性に優れるポリエチレン発泡シートおよびこれを用いた包装体
JP6185341B2 (ja) * 2013-09-03 2017-08-23 中央化学株式会社 容器
JP6638277B2 (ja) * 2015-09-15 2020-01-29 凸版印刷株式会社 樹脂組成物セット、樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙、並びに樹脂シート及び発泡壁紙の製造方法
JP7128705B2 (ja) * 2018-09-27 2022-08-31 株式会社ジェイエスピー 多層発泡シート及び容器
JP6977944B1 (ja) * 2021-05-31 2021-12-08 株式会社アースクリエイト 積層体及び冷凍食品用容器包装

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005289494A (ja) 2005-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4276488B2 (ja) ポリエチレン系樹脂押出発泡シート、該発泡シートの成形体、組立箱、コンクリート型枠用内張りシート及び発泡シートの製造方法
JP4458905B2 (ja) 発泡ポリエチレン系樹脂包装用容器及びその製造方法
JP3704034B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡体、成形品およびその製法
JP5782895B2 (ja) 発泡性積層体、発泡加工紙及び断熱容器
JP3718635B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂の積層発泡成形品とその製造に用いる積層発泡体およびその製造方法
JP4616042B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂積層発泡体及びその成形品
JP2004181933A (ja) 発泡シートの製造方法及び発泡シート
JP4949728B2 (ja) 発泡成形用樹脂組成物、およびこれから得られる成形体
US20060022366A1 (en) Method of producing polystyrene-based resin foam street
JP2002011838A (ja) ポリプロピレン系樹脂積層発泡体とそれを用いた成形品
WO1999014266A1 (fr) Materiau de resine pour le moulage de mousse, feuille de mousse obtenue et son procede de fabrication
JP4610139B2 (ja) 多層ポリプロピレン系樹脂発泡板およびその組立箱
JP4369311B2 (ja) 軟質フィルムおよびその用途
JP2007131766A (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートおよびそれらを熱成形して得られる容器
JP2006248187A (ja) ポリプロピレン系樹脂積層発泡シート、その製造方法及びその成形体
JP7128705B2 (ja) 多層発泡シート及び容器
JP2019177543A (ja) 積層発泡シート及び成形体
JP4976530B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂積層発泡体及びその成形品
JP5751670B2 (ja) ポリエチレン系樹脂多層発泡シート及びその成形体
JP4188664B2 (ja) ポリスチレン樹脂発泡シートおよびポリスチレン樹脂積層発泡シート
JP5966478B2 (ja) 発泡性積層体及び発泡加工紙ならびにそれを用いた断熱容器
JP2000334896A (ja) ポリスチレン系樹脂多層発泡体及びその多層発泡体よりなる容器
JP4990585B2 (ja) ポリスチレン系樹脂発泡シート
JP7299032B2 (ja) 積層発泡シート及び成形体
JP2017177785A (ja) 熱成形用積層シート及び容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070314

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090401

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100112

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4458905

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130219

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160219

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250