JP4453315B2 - 複合材料の力学的解析装置 - Google Patents

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この発明は、複合材料の力学的特性の解析に関し、さらに詳しくは、現実の複雑かつ多様な複合材料に対して、微視的な構造と力学的特性との関係を定量的に評価できる複合材料の力学的解析方法及びプログラム、並びに複合材料の力学的解析装置に関する。
近年、コンピュータの発達にともない、近似解析手法を用いたコンピュータシミュレーションによって、複合材料の力学的特性を予測・解析する手法が実用化されてきている。コンピュータシミュレーションには種々の解析手法が用いられるが、代表的な解析手法としては、有限要素法を用いたものが知られている。図13−1は、複合材料の微視的画像を示す概念図である。図13−2は、下記特許文献1〜3に開示されている、微視的画像に対する有限要素モデルの作成方法を示す概念図である。図13−3は、現実のより複雑かつ多様な複合材料の微視的画像を示す概念図である。特許文献1〜3には、図13−1に示すような、複合材料の微視的画像を用いて母相102中における粒系フィラー等の第2相材料103の分散性を定量化し、これと等価なn×nの有限要素モデルを作成する方法が開示されている(nは整数)。
特開平9−180002号公報 特開平9−288689号公報 特開平10−11613号公報
ところで、上記有限要素モデル作成方法は、図13−2に示すような母相102中に第2相材料103として粒系フィラーが分散した単純な構造の複合材料に対しては有効な手法である。しかし、現実のより複雑かつ多様な複合材料(例えば図13−3)に対しては、微視的な構造と力学的特性との関係を定量的に評価することは困難である。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料に対しても微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる複合材料の力学的解析方法及びプログラム、並びに複合材料の力学的解析装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、この発明に係る複合材料の力学的解析方法は、母相と分散相とからなる複合材料の微視的構造の微視的画像を得る画像取得工程と、所定の閾値を基準として前記微視的画像の母相部分と分散相部分とを分離する分離工程と、前記母相部分と前記分散相部分とが複数の有限要素法に基づく要素で分割されるように、前記分離工程後における前記微視的画像を2次元有限要素モデル化する有限要素モデル作成工程と、前記2次元有限要素モデルを用いて前記複合材料の力学的解析を実行することにより、前記複合材料の力学的特性に関するパラメータを求める解析工程と、を含むことを特徴とする。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析プログラムは、母相と分散相とからなる複合材料の微視的構造の微視的画像を得る画像取得手順と、所定の閾値を基準として前記微視的画像の母相部分と分散相部分とを分離する分離手順と、前記母相部分と前記分散相部分とが複数の有限要素法に基づく要素で分割されるように、前記分離工程後における前記微視的画像を2次元有限要素モデル化する有限要素モデル作成手順と、前記2次元有限要素モデルを用いて前記複合材料の力学的解析を実行することにより、前記複合材料の力学的特性に関するパラメータを求める解析手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法では、母相と分散相とからなる複合材料の微視的画像に対して、所定の値の閾値を基準として母相と分散相とを分離した2次元の微視的画像を作成する。そして、当該微視的画像に含まれる分散相及び母相を少なくとも複数の有限要素法に基づく要素で分割して2次元有限要素モデル化する。このような構成により、前記複合材料のモルフォロジー情報を反映させた2次元有限要素モデルを作成することができる。そして、このような2次元有限要素モデルを用いて有限要素法による力学的解析を実行するので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料に対しても微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。また、この複合材料の力学的解析プログラムによれば、前述の複合材料の力学的解析方法がコンピュータを利用して実現できる。なお、本明細書においてプログラムとは、コンピュータプログラムをいうものとする。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、上記複合材料の力学的解析方法において、均一な前記要素によって前記微視的画像を2次元有限要素モデル化することを特徴とする。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析プログラムは、上記複合材料の力学的解析プログラムにおいて、均一な前記要素によって前記微視的画像を2次元有限要素モデル化することを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法は、2次元有限要素モデルを作成する際に、均一な有限要素法に基づく要素によって前記微視的画像を分割してモデル化する。これにより、複合材料の主ひずみや主応力その他の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を簡易に求めることができる。また、この複合材料の力学的解析プログラムによれば、前述の複合材料の力学的解析方法がコンピュータを利用して実現できる。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、上記複合材料の力学的解析方法において、前記解析工程後に、前記解析工程において評価した力学的特性と同じ力学的特性に対する前記複合材料の実験結果と前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果とを比較し、その比較結果に基づいて前記2次元有限要素モデルを修正することを特徴とする。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析プログラムは、上記複合材料の力学的解析プログラムにおいて、前記解析工程後に、前記解析手順において評価した力学的特性と同じ力学的特性に対する前記複合材料の実験結果と前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果とを比較し、その比較結果に基づいて前記2次元有限要素モデルを修正することを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法では、例えば、複合材料に対する単軸引張解析、圧縮解析、あるいはせん断解等の解析手法のうち、実験結果が存在する解析手法と同じ解析手法で、前記2次元有限要素モデルを用いて複合材料の力学的特性を解析する。そして、実験結果と解析結果とを比較して、両者の相違が所定範囲内に収まるように2次元有限要素モデルを修正する。これにより、現実の複合材料の挙動を反映した解析結果が得られるので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係をより高い精度で定量評価できる。また、この複合材料の力学的解析プログラムによれば、前述の複合材料の力学的解析方法がコンピュータを利用して実現できる。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、上記複合材料の力学的解析方法において、前記複合材料に対する実験結果と前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果とを比較し、両者の相違が所定の範囲よりも大きい場合には、前記複合材料の微視的構造の3次元の形態を考慮して、前記2次元有限要素モデルを修正することを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法は、2次元有限要素モデルを修正するにあたり、複合材料の微視的構造の3次元の形態を考慮して、母相の連結を強めるように2次元有限要素モデルを修正する。これにより、現実の複合材料の挙動を反映した解析結果が得られるので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係をより高い精度で定量評価できる。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、上記複合材料の力学的解析方法において、前記複合材料に対する実験結果と前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果とを比較し、両者の相違が所定の範囲よりも大きい場合には、前記複合材料の材料定数を変化させて、前記2次元有限要素モデルを修正することを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法は、2次元有限要素モデルを修正するにあたり、複合材料の材料定数を変化させることにより、2次元有限要素モデルを修正する。これにより、材料定数が不明な複合材料を取り扱う場合であっても、現実の複合材料の挙動を反映した解析結果が得られるので、現実の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、上記複合材料の力学的解析方法において、前記2次元有限要素モデル又は修正後の前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果から、少なくとも前記母相部分の力学的特性に関するパラメータ及び前記分散相部分の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求めることを特徴とする。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析プログラムは、上記複合材料の力学的解析プログラムにおいて、前記2次元有限要素モデル又は修正後の前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果から、少なくとも前記母相部分の力学的特性に関するパラメータ及び前記分散相部分の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求めることを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法は、2次元有限要素モデル又は修正後の前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果から、母相部分と分散相部分とにおける主ひずみ、主応力その他の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求める。これにより、複合材料の耐久性や強度その他の力学的特性を簡易に評価できる。また、この複合材料の力学的解析プログラムによれば、前述の複合材料の力学的解析方法がコンピュータを利用して実現できる。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、上記複合材料の力学的解析方法において、前記頻度分布の関数から前記複合材料の力学的特性に関するパラメータの積算分布を求めることを特徴とする。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析プログラムは、上記複合材料の力学的解析プログラムにおいて、前記頻度分布の関数から前記複合材料の力学的特性に関するパラメータの積算分布を求めることを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法は、複合材料の母相部分と分散相部分とにおける主ひずみ、主応力その他の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求め、これから前記力学的特性に関するパラメータの積算分布を求める。これにより、複合材料の耐久性や強度その他の力学的特性をより簡易かつ正確に評価できる。また、この複合材料の力学的解析プログラムによれば、前述の複合材料の力学的解析方法がコンピュータを利用して実現できる。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、上記複合材料の力学的解析方法において、前記分離工程においては、前記複合材料の前記母相と前記分散相との間に存在する境界領域も分離することを特徴とする。
この複合材料の力学的解析方法は、さらに複合材料の母相と分散相との間に存在する境界領域も分離するので、母相と分散相との2相構造からなる複合材料のみならず、複数の相からなる複合材料に対しても、微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。また、より現実の複合材料の構造に近い状態で解析結果が得られるので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係をより高い精度で定量評価できる。
また、次の本発明に係る複合材料の力学的解析装置は、母相と分散相とからなる複合材料の微視的構造の微視的画像に対して、所定の閾値を基準として前記微視的画像の母相部分と分散相部分とを分離する画像処理部と、前記母相部分と前記分散相部分とが複数の有限要素法に基づく均一な要素で分割されるように、前記母相部分と前記分散相部分とを分離した後における前記微視的画像を2次元有限要素モデル化するとともに、前記2次元有限要素モデルを用いて前記複合材料の力学的特性に関するパラメータを解析する解析部と、前記力学的特性に関するパラメータの解析結果から、少なくとも前記母相部分の力学的特性に関するパラメータ及び前記分散相部分の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求めるデータ処理部と、を含むことを特徴とする。
この複合材料の力学的解析装置は、母相と分散相とからなる複合材料の微視的画像に対して、所定の値の閾値を基準として母相と分散相とを分離した2次元の微視的画像を作成する画像処理部と、当該微視的画像に含まれる分散相は少なくとも複数の有限要素法に基づく要素で分割して2次元有限要素モデル化する解析部とを有する。このような構成により、前記複合材料のモルフォロジー情報を反映させた2次元有限要素モデルを作成することができる。そして、このような2次元有限要素モデルを用いて有限要素法による力学的解析を実行するので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料に対しても微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。また、この複合材料の力学的解析装置が備えるデータ処理部によって、複合材料の母相部分と分散相部分とにおける主ひずみや主応力その他の力学的特性に関するパラメータとの頻度分布を求める。これにより、複合材料の耐久性や強度その他の力学的特性を簡易に評価できる。
以上説明したように、この発明に係る複合材料の力学的解析方法では、評価対象の複合材料のモルフォロジー情報を反映させた2次元有限要素モデルを作成することができ、また、このような2次元有限要素モデルを用いて有限要素法による力学的解析を実行するので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料に対しても微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。
また、この複合材料の力学的解析プログラムによれば、前述の複合材料の力学的解析方法がコンピュータを利用して実現できる。
また、この複合材料の力学的解析装置では、評価対象である複合材料のモルフォロジー情報を反映させた2次元有限要素モデルを作成することができ、このような2次元有限要素モデルを用いて有限要素法による力学的解析を実行するので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料に対しても微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。また、この複合材料の力学的解析装置が備えるデータ処理部は、複合材料の母相部分と分散相部分とにおける力学的特性の頻度分布を求めるので、複合材料の耐久性や強度等を簡易に評価できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明においては、取り扱う複合材料としてゴムの母相に分散相としてカーボンブラックやシリカ等の粒子が分散したゴム系複合材料を例とするが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、母相に粒子その他の分散相が含まれる材料全般、例えば粒子分散型の金属材料等の解析に対しても適用できる。
(実施の形態1)
実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法は、次の点に特徴がある。すなわち、拡大像取得手段により取得した複合材料の微視的画像に対して分散相部分と母相部分とを分離する画像処理を施すことによって前記微視的画像を分散相部分と母相部分とに割り付ける。そして、割り付けられた分散相部分と母相部分に対して均質な要素で分割することによりモルフォロジー情報を反映させた2次元有限要素モデルを作成し、有限要素解析を実行する。そして、解析結果と実験結果とを比較し、両者が一致するように前記2次元有限要素モデルを修正して得られた修正2次元モデル又は2次元モデルの各要素における力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求め、当該頻度分布によって複合材料の特性を評価する。なお、力学的特性に関するパラメータには、例えば、主ひずみ、主応力及びひずみエネルギー等がある。次に、実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の解析手順について説明する。
図1−1〜図1−3は、実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の説明図である。図2は、実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の解析手順を示すフローチャートである。まず、拡大像取得手段である走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope:SPM)10によって複合材料の試験片1を拡大して、複合材料の微視的画像1iを取得する(ステップS101)。微視的画像1iは、A/D変換器20でディジタル信号に変換され、本発明に係る複合材料の力学的解析装置50に取り込まれる。複合材料の力学的解析装置50は、本発明に係る複合材料の力学的解析方法の各工程を実現する機能を有する。ここで、拡大像取得手段としては、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)や走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)といった電子顕微鏡の他に、SPMの一種である原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)等も使用できる。
取得した微視的画像1iを基に、2次元有限要素モデルを作成する(ステップS102)。この手順について説明する。図3は、実施の形態1の本発明に係る有限要素モデルの作成手順を示すフローチャートである。まず、微視的画像1iの不適部分(例えば、TEMにより微視的画像を取得した場合には当該画像における観察薄片の欠損部分等)を修正する(ステップS201)。次に、微視的画像1iがカラー画像である場合には、これをグレー画像に変換する(ステップS202)。この変換手法は、例えば、カラー画像を直接グレー画像に変換する変換手法を用いることができる。また、カラー画像である微視的画像1iをRGBチャンネル分解又はCMYKチャンネル分解して、モルフォロジー構造を最もよく反映したチャンネルを選択する変換手法を用いることもできる。なお、取得した微視的画像1iがグレー画像である場合には、ステップS202のグレー画像変換手順は不要である。
微視的画像1iをグレー画像に変換したら、後述する二値化において、解析対象である複合材料のモルフォロジーが適切に抽出されるように、グレー画像に変換した後の微視的画像1i全体の色や明るさのムラを修正する(ステップS203)。この修正には、一定分散強調処理や、その他の明るさ・コントラスト調整手段を用いることができる。ここで、一定分散強調処理とは、画像のムラを除去するための局所演算処理の一つであり、画像全体で信号の分散と平均値とが一定になるようにする処理である。次に、有限要素法により解析計算する上で、作成する2次元有限要素モデルが適切な大きさとなるように、微視的画像1iのサイズ及び解像度を調整する(ステップS204)。上記手順によって、修正微視的画像を得る。
この修正微視的画像を、適切な閾値によって二値化して(ステップS205)、モルフォロジーを反映した二値化微視的画像を得る。なお、上記ステップS203によるムラの修正が不十分だった場合には、ステップS205において適応二値化処理を実行する。ここで、適応二値化処理とは、画素群の局所的な平均強度を元にその領域での閾値を決定する処理であり、局所処理を実行する大きさを適切に選択することによって画像ムラ(画像左右での明るさやコントラスト違い)を除去して、複合材料の必要な構造情報だけを適切に反映した二値化微視的画像を得ることができる。
次に、二値化微視的画像に対して膨張/収縮処理、あるいはオープニング処理/クロージング処理を実行し、前記二値化微視的画像から不要なノイズを除去する(ステップS206)。このノイズは、二値化微視的画像のエッジ部における不要な凹凸や孤立点等である。このとき、前記膨張/収縮処理等の効果が強すぎると、モルフォロジーの情報まで失われてしまう。このため、二値化微視的画像のノイズのみが除去されるように、前記膨張処理/収縮処理等の処理の基準となる画素に近接する画素の数を変更することによって、膨張/収縮処理等の効果を調整する。上記手順によって、修正二値化微視的画像を得ることができる。
次に、修正二値化微視的画像を基にして、当該修正二値化微視的画像の白/黒をモルフォロジーに対応させた2次元有限要素モデル1m(図1−3)を作成する(ステップS207)。ここで、修正二値化微視的画像の白部分が複合材料の母相2に対応し、黒部分が複合材料の分散相3に対応している。図4−1、図4−2は、2次元有限要素モデルの分割方法を示す説明図である。2次元有限要素モデル1mを作成する際には、図4−1に示すように、有限要素法に基づく要素4を複数用いて分散相3が分割されるようにする。特に、図4−2に示すような分散相3が分散粒子である場合には、1粒子を少なくとも2以上の要素4で分割することが好ましく、もとの複合材料のモルフォロジー情報をより反映させるためには、4以上の要素4で分割することが好ましい。
また、有限要素法に基づく要素4はすべて均一、すなわちすべての要素4が同じ大きさとすることが好ましい。これは、後述する主ひずみや主応力といった複合材料の物理的特性に関するパラメータの頻度分布を求める際に、取り扱いが容易になるからである。ここで、有限要素法に基づく要素とは、例えば2次元平面においては三辺形要素や四辺形要素等、コンピュータで用いうる要素とすることが望ましい。このようにして分割された微小要素は、有限要素法の解析過程において、2次元座標を用いて逐一特定される。
本実施の形態における有限要素法に基づく要素4は、直交する2辺がδ1、δ2の方形である。本実施の形態ではδ1=δ2なので、正方形の要素4となる。要素4の大きさは、解析対象の複合材料や取得する微視的画像の大きさ等によって適宜変更する。例えば、本実施の形態においては、δ1=δ2=20nmであり、微視的画像1iの1辺あたり約250個の要素4で2次元有限要素モデル1mが構成される(図1−2、図1−3)。上記のモデル化処理は、修正二値化微視的画像の画素をそのまま有限要素モデルの要素とすることによって、より簡便に行うことができる。あるいは、前記画素を分割又は複数結合することで、有限要素モデルの要素を作成してもよい。
次に、図1に戻って説明する。微視的画像1iに基づいて2次元有限要素モデルを作成したら、複合材料の材料定数を設定し(ステップS102)、単軸引張解析、圧縮解析又はせん断解析の中で、解析対象である複合材料の実験結果がある解析の有限要素法による解析を実行する(ステップS103)。そして、有限要素法による解析で得られたS−S(Stress−Strain:応力−ひずみ)曲線と、実験で得られたS−S曲線とを比較し(ステップS104)、両者が一致したら(ステップS104;Yes)、次のステップに進む。なお、ここでいう一致とは、完全な一致だけでなく、両方のS−S曲線の差が所定の範囲内に収まっていることも含む(以下同様)。両者が一致しない場合には(ステップS104;No)、作成した2次元有限要素モデルを修正する(ステップS105)。この修正について説明する。
複合材料の試験片1の拡大像取得手段にもよるが、微視的画像1iのモルフォロジー像から作成した2次元有限要素モデル1mは、2次元的な投影像又は断面像に基づくものである。このため、これをそのまま有限要素法の解析に用いたとしても、力学実験における複合材料の3次元的挙動を十分に再現できない場合がある。図5−1は、複合材料の試験片1の構造を示す説明図である。図5−2は、図5−1の矢印A方向から見た状態を示す説明図である。図5−1に示すように、実際の複合材料の試験片1では母相2は分散相3によって分断されている。しかし、3次元的にこの試験片を見ると、図5−2に示すように、分散相3によって分断された母相2も断面像の直下又は直上(図5−1の紙面垂直方向)ではつながっている。これは、複合材料の試験片1の微視的画像1iを基に作成した2次元有限要素モデル1mにおいても同様である。
したがって、2次元の有限要素モデルを用いて有限要素法の解析を実行すると、実験値よりも母相2の剛性が低く算出される。このように、2次元で有限要素モデルを作成すると、実験値と解析値との差が生じるが、2次元有限要素モデル1mを作成する場合には、複合材料の3次元の形態を考慮して母相2の連結を強めることによって、解析値と実験値とを一致させることができる。特に、分散相3がカーボンブラックの粒子であるような場合には、各粒子が母相2中へ細かく分散しているため、上述したような母相2の分断の影響が強く現れる。このような場合には3次元的な母相2の結合を考慮することが好ましい。
母相2の連結を強化するには、具体的には、2次元有限要素モデルの基となる上記修正二値化微視的画像に対して膨張・収縮処理やWatershed分割処理を施すことで実現できる。しかし、この処理の効果が強すぎると、修正二値化微視的画像のモロフォロジー情報の損失が大きくなるので、かかる処理を段階的に施すことが好ましい。また、上記膨張・収縮処理等に、さらに画像解像度の拡大・縮小操作を組み合わせることによって、より精密で精度の高い母相2の連結強化を実現できる。これにより、実験値と解析値との差をさらに小さくして、複合材料の力学的特性の予測精度を向上させることができる。ここで、Watershedとは、画像信号レベルを地形の標高とみなし、盆地を区切る分水嶺(Watershed)を領域の境界とする画像処理アルゴリズムである。画像中の連結した粒子群像を、個々の粒子像に分割する場合に用いられる。
なお、膨張・収縮処理に関しては、処理基準となる画素に近接する画素の数を調整することで、さらに膨張・収縮処理の効果を細かく調整する。このような手順によって2次元有限要素モデルを修正し、実験値と一致した修正2次元有限要素モデルを得ることができる。その結果、現実の複合材料の挙動を反映した解析結果が得られるので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係をより高い精度で定量評価できる。
ここで、分散相3がシリカの粒子である場合には、ある程度の量の粒子が偏って母相2中へ分布しているので、母相2の分断の影響は比較的現れにくい。このため、複合材料の3次元の形態を考慮しなくとも、解析値と実験値とが一致する場合がある。したがって、複合材料の3次元の形態を考慮するか否かは、分散相3の種類や形態によって決定することが好ましい。
次に、2次元有限要素モデル1m又は修正後の2次元有限要素モデル1mを用いて、所定のひずみXを複合材料に与えた場合における有限要素法の解析を実行する。図6−1は、2次元有限要素モデル又は修正後の2次元有限要素モデルを示す説明図である。図6−2は、2次元有限要素モデル又は修正後の2次元有限要素モデルに所定の引張ひずみを与えた状態を示す説明図である。この例においては、図6−1に示す2次元有限要素モデル1mに引っ張り力Fを与えることにより(図6−2)、2次元有限要素モデルに引張ひずみX=δl/lを与え、有限要素法に基づく解析を実行する。そして、その解析結果から、母相界面部分、母相非界面部分(母相部分)、分散相界面部分、分散相非界面部分(分散相部分)に属する2次元有限要素モデルの要素群の主ひずみ、主応力及びひずみエネルギーの頻度分布を作成し(ステップS106)、これに基づいて複合材料の耐久性や強度その他の力学的特性を評価する。
2次元有限要素モデル1mの各要素が属する部分を判定するためには、前記要素が母相又は分散相のいずれかに属しているかどうかという判定基準の他に、前記要素が母相と分散相との界面近傍に属するかどうかという判断基準が必要である。図7−1〜図7−4は、各要素が属する相を判定する例を示す説明図である。ある注目要素Pが界面部であるか非界面部であるかは、例えば、判断対象である注目要素Pの近傍における要素群(以下近傍要素群と略称)に、一つでも注目要素Pと相が異なる画素が存在すれば、注目要素Pは界面部に属すると判断する。
例えば、図7−1では、注目要素Pは母相2であり、近傍要素群もすべて母相2である。この場合には、注目要素Pは母相、すなわち非界面部に属すると判断される。一方、図7−2では、注目要素Pの近傍要素群の中に、1要素だけ分散相3の要素が含まれる。したがって、この場合には、注目要素Pは界面部に属すると判断される。
ここで、近傍要素群中の相が異なる画素の数や近傍要素群の設定によって、界面近傍に属する画素判断の基準を調整することができる。近傍要素群の設定は、例えば注目要素Pに対して近傍要素群を4連結とするか8連結とするかという設定である。ここで、図7−3に示すように、注目要素Pに隣接する要素のうち4要素を近傍要素としたものが4連結である。そして、図7−4に示すように、注目要素Pに隣接する要素のうち8要素を近傍要素としたものが8連結である。
また、母相界面部分と母相非界面部分との論理和、及び分散相界面部分と分散相非界面部分との論理和を求めて、母相全体と分散相全体とにおける頻度分布を得ることもできる。図8は、実施の形態1に係る本発明によって得た主ひずみの頻度分布を示す説明図である。なお、本実施の形態では、ひずみεの分布範囲が広いので、対数表示で表してある。
複数の試験片に対して上記解析を実行した場合には、複数の試験片間の比較をすることができる。なお、この試験片は、異なる種類の複合材料の試験片でもよく、同種類の複合材料の試験片でもよい。前者では、異なる材料間における力学的特性を評価でき、後者では、材料の微視的構造の違いによる力学的特性を評価できる。
複数の試験片間における力学的特性を評価する場合には、例えば、主ひずみ、主応力、ひずみエネルギーの値が大きい要素を多く含んでいる複合材料の試験片は、全体として強度が低いと考えることができる。したがって、試験片間の評価においては、上記頻度分布から、主ひずみ、主応力、ひずみエネルギーの値が大きい要素数で評価する。値の大きい要素数を判断するためには、頻度分布全体ではなく、上記図8中における値が大きい裾の方によって判断するが、より判断をしやすくするために、式1から求めた積算分布Q(x)を用いて複合材料の力学的特性を評価する(ステップS107)。ここで、ρは頻度分布関数であり、図8に示す曲線を表す関数である。また、xは、主ひずみや主応力その他の力学的特性に関するパラメータの値である。図9は、数1から求めた主応力の積算分布を示す説明図である。
Figure 0004453315
図9から、主ひずみの値が大きい要素を多く含む複合材料の試験片はNo.1であり、主ひずみの値が大きい要素の数が少ない複合材料の試験片はNo.3である。すなわち、この3種類の試験片のうちNo.1の試験片の耐久性が最も低く、No.3の試験片の耐久性が最も高いと判断できる。このように、頻度分布から求めた主ひずみ、主応力、ひずみエネルギーに対する各要素の積算分布によれば、複合材料の力学的特性を簡易に評価できる。
次に、他に必要な解析があれば(ステップS108;Yes)、単軸引張解析、圧縮解析、せん断解析の中で実行していない解析を実行し(ステップS109)、主ひずみや主応力等の頻度分布(ステップS110)、あるいはこれらの積算分布(ステップS111)により複合材料の力学的特性を評価して、すべての手順が終了する。他に必要な解析がなければ(ステップS108;No)、すべての手順が終了する。
次に、本発明の実施の形態に係る複合材料の力学的解析装置について説明する。図10−1は、本発明の実施の形態1に係る複合材料の力学的解析装置を示す説明図である。図10−2は、処理部の構成を示す説明図である。この構造体の構造体の力学的解析装置50は、処理部52と記憶部54とで構成される。図10−2に示すように、処理部52は、微視的画像に対して2値化等の画像処理を施す画像処理部52ipと、有限要素法による解析を実行する解析部52aと、頻度分布や積算分布を求めるデータ処理部52pとを有している。
また、この構造体の構造体の力学的解析装置50には、入出力装置51が接続されており、ここに備えられた入力部53で、複合材料の材料定数や、有限要素法による解析を実行する際の境界条件等を処理部52へ入力する。ここで、入力部53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。記憶部54には、本発明に係る複合材料の力学的解析方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム(プログラムともいう)が格納されている。ここで、記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本発明に係る複合材料の力学的解析方法を実現できるものであってもよい。また、処理部52を構成する画像処理部52ip、解析部52a、及びデータ処理部52pの機能を実現するための上記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明に係る複合材料の力学的解析方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
処理部52は、メモリ及びCPUにより構成されている。本発明に係る複合材料の力学的解析方法を実行するにあたっては、処理部52が前記コンピュータプログラムを当該処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、適宜記憶部54へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52を構成する画像処理部52ip、解析部52a、及びデータ処理部52pの機能は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
(変形例)
図11−1、図11−2は、母相と分散相との間に境界相を持つ複合材料の微視的画像を示す平面図である。このように、母相2と分散相3との間に境界相5が存在する場合にも本発明は適用できる。この場合には、上述した母相2と分散相3との2相で構成される2次元有限要素モデルではなく、境界相5を含めた3相で構成される2次元有限要素モデルを作成する。この場合には、修正微視的画像を処理する際に閾値を複数設定することで、三値化微視的画像を得ることができる。また、一旦作成した2相の二値化微視的画像に対して膨張・収縮処理を施すことにより、境界相5を追加することもできる。
この変形例に係る本発明によれば、より現実の複合材料の構造に近い状態で解析結果が得られるので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係をより高い精度で定量評価できる。また、本発明で取り扱うことのできる複合材料は、2相、3相に限られるものではなく、4相以上の複合材料に対しても適用できる。
以上、実施の形態1及びその変形例に係る本発明によれば、評価対象の複合材料のモルフォロジー情報を反映させた2次元有限要素モデルを作成することができる。そして、このような2次元有限要素モデルを用いて有限要素法による力学的解析を実行するので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料に対しても微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。また、均一な要素によって2次元有限要素モデルを作成するので、複合材料の主ひずみや主応力その他の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を簡易に求めることができる。また、複合材料の力学的特性に関するパラメータの頻度分布や当該頻度分布から求めた積算分布によれば、複合材料の耐久性や強度等を簡易に評価できる。なお、実施の形態1で開示した本発明の各構成は、以下の実施の形態においても適宜適用できるものとする。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る複合材料の力学的解析方法は、上記実施の形態1に係る複合材料の力学的解析方法と略同一の構成であるが、複合材料の材料定数が不明な場合を取り扱う点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。図12は、実施の形態2の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の解析手順を示すフローチャートである。
まず、取得した複合材料の試験片1の微視的画像から2次元有限要素モデルを作成する(ステップS301、S302)。これらの手順は、実施の形態1で説明した手順(ステップS101、S102)と同様なので、説明を省略する。次に、作成した2次元有限要素モデルを、3次元の形態を考慮した2次元有限要素モデルに修正し(ステップS303)、単軸引張解析、圧縮解析、せん断解析のうち、実験結果が存在するものに対して、修正した前記2次元要素モデルを用いて有限要素法による解析を選択する(ステップS304)。
次に、材料が明確なものに対しては、そのままの材料定数を設定し、明確でない材料に対しては予想される材料定数の値を仮設定する(ステップS305)。そして、修正した前記2次元要素モデルを用いて、単軸引張解析、圧縮解析又はせん断解析の中で、解析対象である複合材料の実験結果がある解析の有限要素解析を実行する(ステップS306)。そして、有限要素法による解析で得られたS−S(Stress−Strain;応力−ひずみ)曲線と、実験で得られたS−S曲線とを比較し(ステップS307)、両者が一致したら(ステップS307;Yes)、次の手順に進む。
両者が一致しない場合には(ステップS307;No)、材料定数を設定し直して、両者が一致するまで前記ステップS305、S306を繰り返す。これによって、材料定数が不明であっても、複合材料の力学的特性を評価できる。また、現実の複合材料の挙動を反映した解析結果が得られるので、現実の複雑かつ多様な構造の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係をより高い精度で定量評価できる。有限要素法による解析で得られたS−S(Stress−Strain:応力−ひずみ)曲線と、実験で得られたS−S曲線とが一致したら、作成した主ひずみ等の頻度分布(ステップS308)や積算分布(ステップS309)から、複合材料の力学的特性を評価する。以下、ステップS309〜S313までは、実施の形態1のステップS108〜S111と同様なので、その説明を省略する。
以上、実施の形態2に係る本発明によれば、材料定数が不明な複合材料を取り扱う場合であっても、現実の複合材料の挙動を反映した解析結果が得られるので、現実の複合材料における微視的な構造と力学的特性との関係を定量評価できる。
以上のように、本発明に係る複合材料の力学的解析方法及びプログラム、並びに複合材料の力学的解析装置は、複合材料の力学的特性の解析に有用であり、特に、微視的な構造と力学的特性との関係を定量的に評価することに適している。
実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の説明図である。 実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の説明図である。 実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の説明図である。 実施の形態1の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の解析手順を示すフローチャートである。 実施の形態1の本発明に係る有限要素モデルの作成手順を示すフローチャートである。 2次元有限要素モデルの分割方法を示す説明図である。 2次元有限要素モデルの分割方法を示す説明図である。 複合材料の試験片1の構造を示す説明図である。 図5−1の矢印A方向から見た状態を示す説明図である。 2次元有限要素モデル又は修正後の2次元有限要素モデルを示す説明図である。 2次元有限要素モデル又は修正後の2次元有限要素モデルに所定の引張ひずみを与えた状態を示す説明図である。 各要素が属する相を判定する例を示す説明図である。 各要素が属する相を判定する例を示す説明図である。 各要素が属する相を判定する例を示す説明図である。 各要素が属する相を判定する例を示す説明図である。 実施の形態1に係る本発明によって得た主ひずみの頻度分布を示す説明図である。 式1から求めた主応力の積算分布を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る複合材料の力学的解析装置を示す説明図である。 処理部の構成を示す説明図である。 母相と分散相との間に境界相を持つ複合材料の微視的画像を示す平面図である。 母相と分散相との間に境界相を持つ複合材料の微視的画像を示す平面図である。 実施の形態2の本発明に係る複合材料の力学的解析方法の解析手順を示すフローチャートである。 複合材料の微視的画像を示す概念図である。 特許文献1〜3に開示されている、微視的画像に対する有限要素モデルの作成方法を示す概念図である。 現実のより複雑かつ多様な複合材料の微視的画像を示す概念図である。
符号の説明
1 試験片
1i 微視的画像
1m 2次元有限要素モデル
2、102 母相
3 分散相
4 要素
5 境界相
20 A/D変換器
50 力学的解析装置
52 処理部
52a 解析部
52ip 画像処理部
52p データ処理部

Claims (9)

  1. 母相と分散相とからなる複合材料の微視的構造の微視的画像を所定の閾値を基準として二値化することによって得られた二値化微視的画像に、膨張/収縮処理、又はオープニング処理/クロージング処理を実行して前記二値化微視的画像からノイズを除去して、複合材料の母相に対応する部分及び複合材料の分散相に対応する部分を含む修正二値化微視的画像を得る画像処理部と、
    前記母相部分と前記分散相部分とが複数の有限要素法に基づく要素で分割されるように、前記修正二値化微視的画像を2次元有限要素モデル化するとともに、前記2次元有限要素モデルを用いて前記複合材料の力学的特性に関するパラメータを解析する解析部と、
    前記力学的特性に関するパラメータの解析結果から、少なくとも前記母相部分の力学的特性に関するパラメータ及び前記分散相部分の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求めるデータ処理部と、
    を含むことを特徴とする複合材料の力学的解析装置
  2. 母相と分散相とからなる複合材料の微視的構造の微視的画像を所定の閾値を基準として二値化することによって得られた二値化微視的画像からノイズを除去して、複合材料の母相に対応する部分及び複合材料の分散相に対応する部分を含む修正二値化微視的画像を得る画像処理部と、
    前記修正二値化微視的画像の画素をそのまま有限要素モデルの要素として、前記母相部分と前記分散相部分とを複数の有限要素法に基づく要素で分割された2次元有限要素モデル化するとともに、前記2次元有限要素モデルを用いて前記複合材料の力学的特性に関するパラメータを解析する解析部と、
    前記力学的特性に関するパラメータの解析結果から、少なくとも前記母相部分の力学的特性に関するパラメータ及び前記分散相部分の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求めるデータ処理部と、
    を含むことを特徴とする複合材料の力学的解析装置。
  3. 母相と分散相とからなる複合材料の微視的構造の微視的画像を所定の閾値を基準として二値化することによって得られた二値化微視的画像に、膨張/収縮処理、又はオープニング処理/クロージング処理を実行して前記二値化微視的画像からノイズを除去して、複合材料の母相に対応する部分及び複合材料の分散相に対応する部分を含む修正二値化微視的画像を得る画像処理部と、
    前記修正二値化微視的画像の画素をそのまま有限要素モデルの要素として、前記母相部分と前記分散相部分とを複数の有限要素法に基づく要素で分割された2次元有限要素モデル化するとともに、前記2次元有限要素モデルを用いて前記複合材料の力学的特性に関するパラメータを解析する解析部と、
    前記力学的特性に関するパラメータの解析結果から、少なくとも前記母相部分の力学的特性に関するパラメータ及び前記分散相部分の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求めるデータ処理部と、
    を含むことを特徴とする複合材料の力学的解析装置。
  4. 前記解析部は、均一な前記要素によって前記修正二値化微視的画像を2次元有限要素モデル化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料の力学的解析装置
  5. 前記解析部は、前記解析部が前記力学的特性に関するパラメータを解析した後に、前記解析において対象とした力学的特性と同じ力学的特性に対する前記複合材料の実験結果と前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果との比較結果に基づいて、前記修正二値化微視的画像に対して膨張・収縮処理又はWatershed分割処理を施すことにより、前記2次元有限要素モデルを修正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料の力学的解析装置
  6. 前記解析部は、前記複合材料に対する実験結果と前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果とを比較し、両者が一致するまで、前記複合材料の材料定数を変化させて、前記2次元有限要素モデルを修正することを特徴とする請求項に記載の複合材料の力学的解析装置
  7. 前記データ処理部は、修正後の前記2次元有限要素モデルを用いた解析結果から、少なくとも前記母相部分の力学的特性に関するパラメータ及び前記分散相部分の力学的特性に関するパラメータの頻度分布を求めることを特徴とする請求項6に記載の複合材料の力学的解析装置
  8. 前記データ処理部は、前記頻度分布の関数から前記複合材料の力学的特性に関するパラメータの積算分布を求めることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材料の力学的解析装置
  9. 前記解析部は、前記修正二値化微視的画像における前記複合材料の前記母相と前記分散相との間に存在する境界相を含めた3相で構成される2次元有限要素モデルを作成するとともに、作成した前記2次元有限要素モデルを用いて前記複合材料の力学的特性に関するパラメータを解析することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の複合材料の力学的解析装置
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