JP4452922B2 - 成形用積層シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属調の意匠性を有する成形用積層シート、特に自動車関連部材、建材部材、家電品等に有用な成形用積層シートに関する。
一般に着色された樹脂成形部材を製造する場合、樹脂自体に顔料を練り込み、着色して射出成形等する方法のほか、成形した後、スプレー塗装等を施す方法がある。特に鏡面状金属光沢の意匠性を要求される場合は、顔料の練り込みの困難さ、顔料流れ跡が目立ちやすいなどの理由で、着色法より塗装法が採用されることが多い。塗装法の場合、塗膜を焼付け、架橋させれば、表面保護の効果も期待できる。しかしながら、現在の塗料は揮発性有機溶剤を用いるものが主流であるため、揮発性有機溶剤の排出に対する作業環境保護、外部環境保護の観点から、水系塗料あるいは粉体塗料を使用する等の無溶剤化が図られているが、鏡面状金属光沢の意匠性の表現は現状では困難である。これに対し、塗料を使用する代りに成形性支持樹脂層を積層した着色シートを、射出成形時に一体化して成形する方法が紹介されている。この方法によれば、鏡面状の金属光沢を有する樹脂成形部材を無溶剤で製造することが可能である。
鏡面状の金属光沢を有するシートとしては、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルム等をドライラミネートした積層シートが知られている。また、鱗片状でかつ表面が平滑なアルミニウム粒子を含有するアクリレート系エマルジョンを有する塗料の硬化皮膜から成る層を有する積層シートが記載されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、これらのシートは平面として鏡面状の金属光沢を有しているものの、蒸着面に延伸性が十分にないため、真空成形またはインモールド成形等の成形加工を施した場合に、割れや光沢のムラを生ずる等、鏡面状金属光沢の意匠性の保持が不十分であった。
また、金属薄膜細片を結着樹脂ワニス中に分散したインキの硬化皮膜を有する積層シートを用いることが提案されている(例えば特許文献2参照)。この方法によれば、延伸性を改善することができるが、アルミ蒸着フィルムなどに比べて光沢が劣る上、真空成形の際にさらに光沢が低下し、光沢ムラをおこす欠点があった。
特開平5−111991号公報 特開2002−46230号公報
本発明の課題は、鏡面状の金属光沢を有し、かつ成形しても光沢の低下が少なく、良好な意匠性を保つ成形用積層シートを提供することにある。
金属薄膜細片を含む高輝性インキは、被塗工物に適切に塗工及び乾燥された場合、金属薄膜細片を塗工面に平坦に配向し、鏡面状の金属光沢を呈する。適正な塗工及び乾燥条件を検討した結果、インキ層の乾燥が遅い場合に、流動性のあるインキ層中に金属薄膜細片が浮遊し、配向が乱れ、鏡面状の金属光沢が得られにくいことが判明した。そこで、塗工してから乾燥炉で溶剤が乾燥されるまでの時間を特定時間以内とすることによって、確実に鏡面状の金属光沢を得ることができ、成形後の光沢低下も少なくなることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は第一に、透明又は半透明の熱可塑性樹脂フィルム層と、鏡面状金属光沢を有する装飾層とを有する成形用積層シートであって、前記した装飾層が、前記した樹脂フィルム上に、金属薄膜細片、結着樹脂及び溶剤を含有する高輝性インキを塗工から乾燥開始までの時間が10秒以下となるように塗工及び乾燥することにより形成された高輝性インキの乾燥皮膜層からなることを特徴とする成形用積層シートを提供する。
本発明は第二に、透明又は半透明の熱可塑性樹脂フィルム層と、鏡面状金属光沢を有する装飾層とを有する成形用積層シートの製造方法であって、前記した樹脂フィルム上に、金属薄膜細片、結着樹脂及び溶剤を含有する高輝性インキを塗工する第一の工程と、塗工されたフィルムを乾燥する第二の工程を有し、第一の工程終了から第二の工程開始までの時間が10秒以下であることを特徴とする成形用積層シートの製造方法を提供する。
上記手段により、鏡面状の金属光沢を有し、かつ加熱真空成形法による200%延伸後も良好な鏡面状金属光沢を有する意匠性を与える成形用積層シートを提供することができる。
本発明が提供する成形用積層シートは、透明または半透明の熱可塑性フィルムに金属薄膜細片及び結着樹脂を有する装飾層が積層された成形用積層シートである。また、前記した装飾層側にさらに、成形用合成樹脂フィルム層を有していても良い。以下にその実施の形態について説明する。
(透明または半透明熱可塑性フィルム)
本発明の成形用積層シートに用いる透明または半透明熱可塑性フィルムとしては、透明又は半透明の単層又は多層フィルムであって、加熱により延伸性を有するフィルムが用いられる。該フィルムは着色剤を含有していても良い。
前記した透明または半透明熱可塑性フィルムは、真空成形等の熱による成形工程を行うため、軟化点が60〜300℃の範囲である熱可塑性樹脂を主体とするフィルムが好ましい。例を挙げれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、シリコン−アクリル樹脂、アイオノマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフルオネート、ポリビニリデンジフルオネート、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられるが、特に制限はない。厚みは特に制限はないが、30〜2000μmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜500μmである。
(高輝性インキ)
本発明の成形用積層シートの装飾層に用いる高輝性インキは、金属薄膜細片を結着樹脂ワニス中に分散した、鏡面状の金属光沢を有する高輝性インキである。金属薄膜細片のインキ中の不揮発分に対する含有量は10〜60質量%の範囲である。通常メタリックインキには金属粉が使用されるが、金属薄膜細片を使用した場合は、該インキを印刷又は塗布した際に金属薄膜細片が被塗物表面に対して平行方向に配向する結果、従来の金属粉では得られない鏡面状金属光沢が得られる。
(金属薄膜細片)
装飾層に使用する高輝性インキに用いられる金属薄膜細片の金属としては、アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等を使用することができる。金属を薄膜にする方法としては、アルミニウムのように融点の低い金属の場合は蒸着、金、銀、銅など展性を有する場合は展延、融点が高く展性も持たない金属の場合は、スパッタリング等を挙げることができる。これらの中でも、蒸着金属薄膜から得た金属薄膜細片が好ましく用いられる。金属薄膜の厚さは、0.01〜0.1μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.08μmである。インキ中に分散させる金属薄膜細片の面方向の大きさは、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは10〜15μmである。大きさが5μm未満の場合は、塗膜の輝度が不十分となり、25μmを超えると金属薄膜細片が配向しにくくなるので輝度が低下するほか、インキをグラビア方式あるいはスクリーン印刷方式で印刷又は塗布する場合に、版の目詰まりの原因となる。
以下に金属薄膜細片の作成方法を、特に好ましい蒸着法を例として説明する。金属を蒸着する支持体フィルムには、ポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルムなどを使用することができる。まず支持体フィルム上に塗布によって剥離層を設けた後、剥離層上に所定の厚さになるよう金属を蒸着する。蒸着膜面には、酸化を防ぐためトップコート層を塗布する。剥離層およびトップコート層形成用のコーティング剤は同一のものを使用することができる。
剥離層、あるいはトップコート層に使用する樹脂は、特に限定されない。具体的にはたとえば、セルロース誘導体、アクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、EVA樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化EVA樹脂、石油系樹脂等を挙げることができる。また溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等を使用することができる。
上記金属蒸着フィルムを、剥離層およびトップコート層を溶解する溶剤中に浸積して撹拌し、金属蒸着膜を支持体フィルムから剥離した後、さらに撹拌して金属薄膜細片の粒径を約5〜25μmとし、濾別、乾燥する。溶剤は、剥離層あるいはトップコート層に使用する樹脂を溶解するものであること以外に、特に限定はない。金属薄膜をスパッタリングで作成した場合も、上記と同様の方法で金属薄膜細片とすることができる。金属箔を用いる場合は、溶剤中でそのまま攪拌機で所定の大きさに粉砕すればよい。
金属薄膜細片は、インキ中における分散性を高めるために表面処理するのが好ましい。表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。
(結着樹脂)
結着樹脂は、従来のグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、あるいは塗料等に通常使われているものを用いることができる。具体的にはたとえば、塗料用アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢ビ樹脂、エチレン−酢ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂、あるいは塗料用ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂等が好ましく用いられる。また、これらの樹脂にカルボンキシル基、燐酸基、スルホン酸基、アミノ基、四級アンモニウム塩基などの極性基を化学的に結合させたものを使用、または併用してもよい。
(溶剤)
装飾層に使用する高輝性インキは溶剤系のインキであって、用いられる溶剤は、従来のグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、あるいは塗料等に使われている公知慣用の溶剤を使用することができる。具体的にはたとえば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等を挙げることができる。
(添加剤)
装飾層に使用する高輝性インキには、必要に応じて、意匠性、延伸性を阻害しない限り、インキ中に消泡、沈降防止、顔料分散、流動性改質、ブロッキング防止、帯電防止、酸化防止、光安定性、紫外線吸収、内部架橋等を目的として、従来のグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、あるいは塗料等に使用されている各種添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、着色用顔料、染料、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、キレート化剤、ポリイソシアネート等を挙げることができる。
(着色剤)
装飾層を形成するために用いる高輝性インキには、本願発明の鏡面状金属光沢意匠を損なわない範囲で、着色剤を用いることができる。着色剤としては、顔料が好ましく用いられる。用いられる顔料としては特に限定されず、着色顔料、メタリック顔料、干渉色顔料、蛍光顔料、体質顔料等、公知の顔料を使用することができる。着色顔料としては、例えば、キナクリドンレッド等のキナクリドン系、ピグメントレッド等のアゾ系、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系、ペリレンレッド等のペリレン系等の有機顔料;酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられ、メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、ニッケル粉、銅粉、真鍮粉、クロム粉等が挙げられる。
干渉色顔料としては、真珠光沢状のパールマイカ粉、真珠光沢状の着色パールマイカ粉等を挙げられ、蛍光顔料としては、ベイシックイエロー、ローダミンB等の蛍光染料をメラミン樹脂等に固溶させた合成樹脂固溶体タイプが挙げられる。体質顔料としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機顔料が挙げられる。顔料は、直に添加することも、カラーコンパウンドやコンセントレーテッドマスターバッチ、粉末状着色剤、顆粒状着色剤、液状着色剤等のプラスチック用着色剤として添加することもできる。
(高輝性インキの調製方法)
本発明の成形用積層シートの装飾層に使用する高輝性インキに、金属光沢を発現させるために配合する金属薄膜細片は5〜25μmの大きさが好ましい。ロールミル等の練肉を行った場合は金属薄膜細片が微粒子化してしまい、金属光沢が極端に低下する。したがって、本発明においては練肉を行わず、単に前記した結着樹脂、金属薄膜細片及び溶剤からなる上記配合原料をミキサーで混合してインキとする。
(印刷または塗工方式)
本発明の成形用積層シートの装飾層、該装飾層にさらに積層してもよいインキ、および接着剤の印刷又は塗工方式は、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター及びコンマコーター、コンマリバースコーター、マイクログラビアコーター等の塗工方式を用いることが出来る。なかでも、グラビアリバースコーター、キスタッチリバースコーター及びコンマコーター、マイクログラビアコーターが好ましい。
(塗工、乾燥方法)
本発明の成形用積層シートは、高輝性インキを塗工ヘッドと乾燥炉を有する上記に記載の塗工装置を用いて透明又は半透明熱可塑性フィルムに塗工、乾燥する工程において、フィルムが塗工ヘッドでインキを塗工され、乾燥炉に入るまでの時間が10秒以下となるように塗工、乾燥される。この時間が10秒以上であると、溶剤が未乾燥でインキ層が流動性を保持している間に、被塗物表面に対して平行方向に配向していた金属薄膜細片がインキ層中に浮遊し、鏡面状金属光沢が損なわれる。
乾燥炉での乾燥とは、常温乾燥を超える条件での乾燥を意味する。乾燥炉の設定温度は40〜100℃程度が好ましく、より好ましくは、50〜90℃程度である。乾燥炉での乾燥には送風を併用してもよい。好ましい風速は5〜20m/秒程度である。
(意匠層)
本願発明の成形用シートには、高輝性インキ層の鏡面状金属光沢意匠を損なわない範囲で、装飾層と、透明又は半透明の熱可塑性樹脂フィルム層の間、又は装飾層と成形用合成樹脂フィルム層の間に、全面、または一部分に着色層を設けることができる。あるいは透明又は半透明の熱可塑性樹脂フィルム層表面に規則的、または不規則的な凹凸を設け、ホログラム調、あるいはマット調の意匠を表現することも可能である。着色層には、上記の着色剤を用いることができ、結着樹脂としては、一般にインキまたは塗料に用いられるアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢ビ樹脂、エチレン−酢ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂を用いることができる。
本発明の成形用積層シートは、装飾層の裏面に熱可塑性樹脂で構成される支持基材層を設けることができる。
(成形用合成樹脂フィルム層)
本願発明の成形用積層シートは、そのまま真空成形し、金型にインサートして射出成形することができるが、射出する樹脂の種類によっては密着性に問題が起きる場合もあるので、あらかじめ、射出成形する樹脂との接着性を有する支持基材層を、裏側に設けておくことが好ましい。支持基材層としては、真空成形等の熱による成形工程を行う場合には、熱可塑性樹脂を主体とするフィルムが好ましい。
支持基材層としては、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル/アクリルゴム/スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル/エチレンゴム/スチレン(AES)樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、塩ビ系(PVC)系樹脂等の汎用樹脂、並びに、オレフィン系エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、スチレン系エラストマー(SBC)、ウレタン系エラストマー(TPU)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることができる。また、これらの素材は単独で用いてもよく、2種以上の素材を混合(ブレンド)して用いてもよく、特性の異なる素材を共押出しした積層シートとして用いても良い。
(積層)
印刷又は塗工された装飾層にさらに前記した各種の樹脂フィルム又はシートから選ばれた支持基材層を積層する。この積層の方法は、装飾層と支持基材層の界面に接着剤を介する方法でも、介さない方法でも良い。接着剤としては、ドライラミネート接着剤、ウェットラミネート接着剤、ヒートシール接着剤、ホットメルト接着剤等が好ましく用いられる。また、特別の接着剤層を用いない熱ラミネートでも良い。この場合は、装飾層の結着樹脂に常温から60℃程度で接着性を有する樹脂を用いればよい。
(粘着剤)
また、接着剤層に代えて、粘着剤層を設けることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、ポリアルキルシリコン系、ウレタン系、ポリエステル系等が好ましく用いられる。
(表面保護層)
本発明の成形用積層シートでは、成形の際の表面層側に、意匠性、耐摩擦性、耐擦傷性、耐候性、耐汚染性、耐水性、耐薬品性及び耐熱性等の性能を付与するために、透明、半透明若しくは着色クリアのトップコート層を1層以上設けてもよい。トップコート剤としては成形用積層シートの展延性を阻害しない限り、ラッカータイプ、イソシアネート又はエポキシ等による架橋タイプ、UV架橋タイプ又はEB架橋タイプが好ましく用いられる。
(用途)
本発明の成形用積層シートは各種成形法の表面層として用いることが出来る。例を挙げると、透明又は半透明の熱可塑性フィルムを表面側に配置し、熱成形により三次元形状を有する予備成形体とした後、射出成形金型内にインサートし、射出樹脂と一体化するインサート射出成形法で成形することが出来る。更には、射出成形金型にシート状で挿入し、金型内で射出樹脂と一体化するインモールド射出成形法で成形することも出来る。本発明の成形用積層シートの優れた延伸性により、延伸度合いの大きい箇所も、優れた鏡面状金属光沢を保つことが出来る。
本発明においては、延伸性を次の様に定義する。成形用積層シートを構成する材料の軟化点よりも高い温度で成形加工を行った後、成形用積層シートの厚さを測定し、成形加工前の厚さに対して1/2の厚さを有する部分、すなわち面積が2倍となる部分を200%延伸部と称する。同様に、延伸後、厚さで1/1.3倍、すなわち面積が1.3倍となる部分を130%延伸部、厚さで1/1.5倍、すなわち面積が1.5倍となる部分を150%延伸部として、光沢を測定した。
(高輝性)
本発明に於いては、延伸されたシートの高輝性の変化を、光沢計:mirror−TRI−gloss(BYK Gardner社製)を用い、透明又は半透明の熱可塑性フィルムの側から、20゜/20゜の条件で測定した表面光沢値の変化率で定義する。
表面光沢値の変化率=(非延伸部の光沢値−延伸部の光沢値)÷(非延伸部の光沢値)×100(%)と定義する。
成形加工は、延伸率130%の場合、底面が1辺126mm、間口が1辺160mmの正方形で、深さが35mmの試験用金型を用い、底面部分が130%延伸するように加工した。同様に、延伸率150%の場合、底面が1辺126mm、間口が1辺160mmの正方形で、深さが40mmの試験用金型を用い、底面部分が150%延伸するように加工した。更に、延伸率200%の場合、底面が1辺126mm、間口が1辺160mmの正方形で、深さが55mmの試験用金型を用い、底面部分が200%延伸するように加工した。
以下に、実施例をもって、本発明を具体的に説明するが、これらに何ら制限されるものではない。実施例中の、部および%は、質量部、質量%を表す。
(1)アルミニウム薄膜細片
ニトロセルロース(HIG7)を、酢酸エチル:イソプロピルアルコール=6:4の混合溶剤に溶解して6%溶液とした。該溶液を、スクリーン線数175線/インチ、セル深度25μmのグラビア版でポリエステルフィルム上に塗布して剥離層を形成した。十分乾燥した後、剥離層上に厚さが0.03μmとなるようにアルミニウムを蒸着し、蒸着膜面に、剥離層に使用したものと同じニトロセルロース溶液を、剥離層の場合と同じ条件で塗布し、トップコート層を形成した。
上記蒸着フィルムを、酢酸エチル:イソプロピルアルコール=6:4の混合溶剤中に浸積してポリエステルフィルムからアルミニウム蒸着膜を剥離したのち、大きさが約150μmとなるよう攪拌機でアルミニウム蒸着膜を粉砕し、アルミニウム薄膜細片を調製した。
(2)アルミニウム薄膜細片スラリー
アルミニウム薄膜細片 10部
酢酸エチル 35部
メチルエチルケトン 30部
イソプロピルアルコール 30部
上記を混合し撹拌しながら、下記組成のニトロセルロース溶液5部を加えた。
ニトロセルロース(HIG1/4) 25%
酢酸エチル:イソプロピルアルコール=6:4混合溶剤 75%
上記混合物を、温度を35℃以下に保ちながら、ターボミキサーを使用して、アルミニウム薄膜細片の大きさが5〜25μmになるまで攪拌し、アルミニウム薄膜細片スラリー(不揮発分10%)を調製した。
(3)高輝性インキ
アルミニウム薄膜細片スラリー(不揮発分10%) 30部
結着樹脂 カルボン酸含有塩ビ−酢ビ樹脂 3部
(UCC社製「ビニライト VMCH」)
アクリル樹脂
(ローム&ハース社製「パラロイドA−11」) 3部
酢酸エチル 26部
メチルエチルケトン 29部
イソプロパノール 11部
上記を混合し、不揮発分中のアルミニウム薄膜細片濃度35質量%であるインキを調製した。
(4)接着剤
(接着剤調製例)
主剤として、芳香族ポリエーテルウレタン樹脂(ディックドライAS−106A:大日本インキ化学工業社製)100部及び硬化剤として、エポキシ(LR−100:大日本インキ化学工業社製)10部からなる2液型接着剤D−1を得た。
熱可塑性フィルムとして、透明で表面光沢値が150(60°/60°)、厚さ125μmのゴム変性PMMAフィルム(以下、フィルムA)、および、グレー、不透明で厚さ300μmのABSフィルム(以下、フィルムC)を用いた。
(実施例1)
層構成を、フィルムA/高輝性インキ/接着剤/フィルムCとし、高輝性インキはキスリバースコーターにて乾燥膜厚2.0μmに塗工した。塗工ヘッドから乾燥炉までの距離は4m、ラインスピードは40m/minであり、塗工ヘッドから乾燥炉に入るまでの時間は6秒であった。接着剤D−1はグラビアコーターにて、塗布量5.0g/mに塗工した。得られた成形用積層シートを40℃で3日間エージングし、その後、シート温度155℃、金型温度60〜80℃の条件にて真空成形法により成形加工した。
(実施例2)
塗工ヘッドから乾燥炉までの距離が2m、ラインスピードは15m/minであり、塗工ヘッドから乾燥炉に入るまでの時間は8秒であった以外は、実施例1と同様に成形用積層フィルムを作成、加工した。
(比較例1)
塗工ヘッドから乾燥炉までの距離が4m、ラインスピードは15m/minであり、塗工ヘッドから乾燥炉に入るまでの時間は16秒であった以外は、実施例1と同様に成形用積層フィルムを作成、加工した。
Figure 0004452922
本発明の鏡面状金属光沢の意匠性を有する成形用積層シート、特に自動車関連部材、建材部材、家電品等の表面基材用途に有用に適用できる。

Claims (5)

  1. 透明又は半透明の熱可塑性樹脂フィルム層と、鏡面状金属光沢を有する装飾層とを有する成形用積層シートを、塗工ヘッドと乾燥炉を有する塗工装置で製造する製造方法であって、前記した樹脂フィルム上に、金属薄膜細片、結着樹脂及び溶剤を含有する高輝性インキを塗工ヘッドで塗工する第一の工程と、塗工されたフィルムを設定温度40℃〜100℃の乾燥炉で乾燥する第二の工程を有し、第一の工程終了から第二の工程開始までの時間が10秒以下であることを特徴とする成形用積層シートの製造方法。
  2. 前記した装飾層側にさらに成形用合成樹脂フィルム層を設ける工程を有する請求項1に記載の成形用積層シートの製造方法
  3. 前記した成形用合成樹脂フィルムが熱可塑性を有し、前記した装飾層の結着樹脂の軟化点が、該成形用合成樹脂フィルムまたは前記した透明又は半透明熱可塑性樹脂フィルム層のいずれか高い方の軟化点よりも低いものである請求項1又は2に記載の成形用積層シートの製造方法
  4. 成形用積層シートを200%延伸成形した時に、前記した透明又は半透明熱可塑性樹脂フィルム層側の表面光沢値の変化率が30%以下である請求項1〜3の何れかに記載の成形用積層シートの製造方法
  5. 透明又は半透明の熱可塑性樹脂フィルム層と、鏡面状金属光沢を有する装飾層とを有する成形用積層シートであって、前記した樹脂フィルム上に、金属薄膜細片、結着樹脂及び溶剤を含有する高輝性インキを塗工ヘッドで塗工する第一の工程終了から設定温度40℃〜100℃の乾燥炉で乾燥する第二の工程開始までの時間10秒以下とする製造方法によって製造されたことを特徴とする成形用積層シート。
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