JP4452084B2 - 極低炭素細粒鋼板の製造方法 - Google Patents

極低炭素細粒鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形性に優れたIF鋼板(Interstitial Free Steel。侵入型固溶元素[C、N等]の含有量を極力低減した鋼)の製造方法に関するものである。
IF鋼板は、成形性に優れ、また、冷間圧延や熱処理により、伸び、深絞り性等が更に向上するので、自動車、家電製品、缶等の用途に幅広く使用されている。
近年、製品形状の複雑化に伴い、加工工程数が増加したり、加工自体が過酷化したりして、IF鋼板には、これまで以上に優れた成形性が求められている。
しかし、IF鋼板は、C、N、その他の侵入型固溶元素を極力低減することにより機械的性質の向上を図った鋼板であり、成分調整による材質改善を基礎とする機械的性質の向上はほぼ限界に達している。
それ故、この限界を超え、成形性をより一層高めるには、加工及び/又は熱処理により、組織面から材質の改善を図る必要がある。
一般に、結晶粒を微細均一化すると、鋼板の機械的性質、特に、伸び、絞りが向上することが知られている。また、加工性の指標であるr値を向上させるには、結晶粒径を適正な大きさに調整することが重要であることが知られている。
そして、熱延鋼板の製造において、仕上温度を調整して結晶粒径を調整する手法が知られている(非特許文献1、参照)。また、結晶粒を微細化する手法として、熱延終了から冷却開始までの時間を短縮すること、及び/又は、熱延終了後の冷却において冷却速度を最速化することが知られている(特許文献1、参照)。
特許文献1には、加工性に優れ、異方性の小さい冷延鋼板を製造するに際し、上記微細化手法に則り、熱延鋼帯を製造することが開示されているが、その結晶粒の微細化程度は開示されていない。
また、特許文献2には、鋼帯の長さ方向及び幅方向における95%以上の範囲で、平均結晶粒径が10〜25μmで、板面に平行な面における面強度比(222)/(200)が0.8〜2.0の缶用鋼板用熱延母板が開示されている。
上記熱延母板の製造においては、仕上圧延温度をAr3点以上とし、圧延機各スタンド間の通過時間を2秒以内とする仕上熱延で、上記平均結晶粒径と面強度比を確保するが、これら熱延条件が結晶粒径自体の大きさに与える影響についは明確でない。
特開2001−316727号公報 特開2000−256790号公報 第3版鉄鋼便覧III(1)圧延基礎・鋼板、第458頁(「c.仕上温度・巻取温度と結晶粒」の項)
熱延鋼板の結晶組織は、熱延鋼板の機械的性質、更に、熱延鋼板を母材とする冷延鋼板の機械的性質に大きく影響する。本発明は、極低炭素IF鋼板に対し、これまで以上に優れた成形性が求められていることに鑑み、結晶粒を、より適正な大きさ(細粒)に制御するとともに幅方向においても均一化し、鋼板の成形性を、幅方向における成形性の均一性も含め、従来以上に向上せしめた極低炭素IF細粒鋼板を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、IF熱延鋼板を製造する熱間圧延において、種々の制御因子の設定条件を変え、結晶粒を適正な大きさに細粒化するとともに均一化し得る条件を鋭意調査した。
その結果、本発明者は、
(x)圧延速度1300m/分以上で仕上圧延を終了すること、及び、
(y)この仕上圧延に続き膜沸騰冷却域にて冷却すること、
が、結晶粒の細粒化と均一化を図る上で重要であることを見出した。
また、更に、本発明者は、上記(x)の仕上圧延を、(Ar3+40)℃以上(Ar3+65)℃未満(好ましくは、910℃以上935℃未満)の圧延温度で終了することが、結晶粒の細粒化と均一化をより促進することを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは、以下のとおりである。
質量%で、C:0超〜0.01%、Mn:0.05〜0.65%、Ti:0超〜0.1%、残部Fe及び不可避不純物からなる極低炭素鋼材を熱延し細粒の鋼板を製造する方法において、
(i)1300m/分以上の圧延速度、及び、(Ar3+40)℃以上(Ar3+65)℃未満の圧延温度で仕上圧延を終了し、次いで、
(ii)膜沸騰冷却域にて、冷却速度100℃/秒以上200℃/秒未満の強冷却により、仕上圧延鋼板を800〜700℃の温度域まで冷却する
ことを特徴とする極低炭素細粒鋼板の製造方法。
) 前記圧延温度が、910℃以上935℃未満であることを特徴とする前記()に記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
) 前記圧延温度の板幅方向最高温度と最低温度の差が20℃以下であることを特徴とする前記()又は()に記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
) 前記圧延温度の板幅方向最高温度と最低温度の差を、仕上圧延機の前面に設けた鋼板加熱装置で、仕上圧延機に供する粗圧延鋼板を幅方向に加熱することにより、20℃以下に調整することを特徴とする前記()〜()のいずれかに記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
) 前記膜沸騰冷却域での冷却を、仕上圧延終了後、0.7秒以内に開始することを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
本発明によれば、極低炭素IF鋼の製造において、γ−α変態で生成する結晶粒を適正な大きさに細粒化するとともに均一化して、本来的に優れた極低炭素IF鋼の成形性を更に改善することができる。
本発明について、詳細に説明する。本発明においては、極低炭素IF鋼板の仕上圧延を圧延速度1300m/分以上で終了し、続いて膜沸騰冷却域にて冷却(膜沸騰冷却)することを基本思想とする。
そして、本発明においては、膜沸騰冷却により、仕上圧延鋼板を強冷却、好ましくは、100℃/秒〜200℃/秒未満の冷却速度で強冷却することができ(この理由については、後述する。)、この仕上圧延−膜沸騰冷却の連係により、極低炭素IF鋼板の結晶粒を、適正な大きさに細粒化するとともに均一化し、成形性を、板幅方向の成形性も含め著しく改善することができる。
なお、本発明において、適正な細粒とは、35μm以下の細粒を意味する。結晶粒径が35μmを超えると加工時に肌荒れが生じる。即ち、35μm以下の粒径で、加工性に優れた熱延鋼板を得ることができる。
更に、粒径を20μm以下とすると強度が上昇するので、強度を上げずに、加工性に優れた熱延鋼板を製造しようとする時は、結晶粒径を20μm以上にするのが好ましい。
図1に、通常冷却(ラミナー冷却)の場合と強冷却(スリットラミナー冷却)の場合における圧延速度(700m/分以上)と結晶粒径(μm)の関係を示す(なお、仕上圧延温度は900〜940℃である)。
図1に示すように、仕上圧延−強冷却の場合、圧延速度1100m/分以上で、結晶粒径が35μm以下に細粒化されている。即ち、図1から、仕上圧延速度の高速化と、この高速化と強冷却との連係で、結晶粒径の細粒化効果が顕著に発現することが解かる。
また、図2に示すように、仕上圧延−強冷却の場合、鋼板の1/4幅部と3/4幅部と中央部(いずれも板幅方向)における結晶粒径の標準偏差は、仕上圧延速度1100m/分以上の範囲で4μm以下に抑制されている。
このことから、仕上圧延速度を1100m/分以上に高速化することと、この高速化と強冷却の連係により、鋼板の全組織において、結晶粒の細粒化に加え均一化も顕著に達成できることが解かる。
本発明では、上記細粒化効果と均一化効果(両者を併せて、細粒・均一化効果ということがある。)をともに確実に得るために、仕上圧延速度を1300m/分以上とする。
図1及び図2に示すように、仕上圧延速度を1300m/分以上とすると、仕上圧延後の膜沸騰冷却の冷却効果と相俟って、結晶粒径を20〜35μmまで細粒化し、かつ、板幅方向を含めた鋼板全体の結晶粒径の標準偏差を4μm未満に抑制して、結晶粒径を均一化することができる。この点が、本発明の特徴である。
なお、上記細粒・均一化効果を得るうえで、仕上圧延速度の最速化に上限を設定する必要はない。仕上圧延速度は、1300m/分以上で、かつ、仕上圧延機の性能限界により定まる圧延速度の範囲内で、適宜設定すればよい。
図1及び図2からも明らかなように、本発明においては、仕上圧延鋼板を、例えば、スリットラミナー冷却方式で強冷却(膜沸騰冷却)することが必須である。なお、強冷却後は、巻取り温度(例えば、600℃以上)まで冷却し、巻取り機で巻き取る。
仕上圧延速度と強冷却(膜沸騰冷却)との相乗作用で、IF鋼板の結晶粒が細粒化しかつ均一化する理由は、今のところ、次のように考えられる。
通常、鋼板をγ領域で熱延すると、鋼板組織(γ結晶組織)が細粒化され、かつ、該組織に歪(転位)が蓄積される(転位密度が増大する)とともに、再結晶が起き、鋼板組織はγ再結晶組織(この組織は転位密度が低い)となる。
仕上圧延速度が遅いと、仕上圧延中に再結晶が不均一に進行し、粒径不揃いのγ再結晶粒を生成することにもなるが、仕上圧延速度が速いと、(a)歪(転位)の蓄積速度が速くなり、γ結晶組織における歪(転位)の蓄積量が急増し、一方で、(b)鋼板は、再結晶が起きる間もなく圧延機を通過してしまい、鋼板組織は、γ再結晶粒(転位密度が低い)を殆んど含まない結晶組織となる。
即ち、仕上圧延機の最終熱延ロールを出た直後の鋼板組織は、γ結晶粒が、歪蓄積量が極めて多い(転位密度が極めて高い)状態で細粒化されていて、かつ、γ再結晶粒が殆んど存在しない結晶組織となる。
そして、上記鋼板組織においては、最終熱延ロールを出た直後から冷却開始までの間に、再結晶が結晶組織全体で一斉に進行し、細粒でかつ均一なγ再結晶粒が生成する。
粒径不揃いのγ再結晶組織は、粒径不揃いのα結晶組織を生み出すことになるが、仕上圧延速度を1300m/分以上に最速化することで、細粒でかつ均一なα結晶組織を得るための基礎となる細粒でかつ均一なγ再結晶組織を得ることができる。
このように、極低炭素鋼板の結晶組織を細粒化するとともに均一化するためには、まず、仕上圧延速度を1300m/分以上に最速化することが必要である。
γ−α変態は、γ粒界からα結晶粒が成長して進行するので、仕上圧延速度の最速化により細粒でかつ均一なγ再結晶組織を形成した後は、α結晶粒の均一細粒化を促進するため、最終熱延ロールを出た鋼板を強冷却する。
強冷却は、通常、冷却速度を200℃/秒以上として“核沸騰域”で行う(特許文献1、参照)が、本発明者は、仕上圧延速度を1300m/分以上に最速化すれば、“膜沸騰域”で冷却を開始しても、仕上圧延鋼板を強冷却することができ、鋼板の結晶粒径を適正な大きさに細粒化できることを見出した。
この理由は、以下のように考えられる。
高速で走行する鋼板を冷却する時、鋼板と冷却水が衝突する際の相対速度は、低速で走行する鋼板を冷却する時の鋼板と冷却水の相対速度に比べ、当然に大きい。その結果、鋼板上に形成される冷却水の沸騰膜は薄くかつ均一になり、冷却が、鋼板全面で均一化されるとともに迅速化される。
即ち、仕上圧延速度を最速化することにより、鋼板から冷却水への熱伝達が促進されて、仕上圧延後の冷却が“膜沸騰域”における冷却でも、仕上圧延鋼板に対する冷却が効率的かつ迅速に進行する。
上記冷却において、鋼板と冷却水の相対速度は大きいから、冷却水の流量を増加しても、鋼板上で冷却水の沸騰膜が均一薄膜化する効果は確実に得られる。それ故、冷却水の流量を増加して、冷却速度を高めることができる。
また、冷却水の流量を増加すると、鋼板上で冷却水が更新される頻度が増加して、冷却速度はより増加する。
さらに、高速圧延において、“膜沸騰域”での冷却でも、鋼板を迅速かつ均一に強冷却がなされ、粒径の標準偏差が小さい細粒組織を得ることができる理由は、以下のように考えられる。
鋼板上で形成される冷却水の沸騰膜が薄くかつ均一になることにより、冷却水による冷却が、鋼板全面にて均一化されるが、このことは、当然に、冷却が、鋼板の幅方向及び厚さ方向で均一に進行するという効果をもたらす。
さらに、仕上圧延鋼板が高速で走行する場合、冷却の不均一をもたらす大きな原因の一つである「板上水」が鋼板上に滞留する滞留時間は極端に短くなり、この滞留時間短縮により、鋼板温度の均一化がより促進される。
ただし、冷却水の水量が少ないと、鋼板と冷却水が衝突する際の相対速度が小さくなり、冷却水の沸騰膜は不均一となるので、鋼板の冷却速度はばらつくことになる。
したがって、この膜沸騰冷却域において沸騰膜を均一化し、均一冷却を達成し得る冷却水の水量、又は、冷却速度においては臨界値が存在し、本発明者の実験結果によれば、仕上圧延速度が1300m/分以上の場合における冷却速度の臨界値は100℃/秒であると考えられる。
このように、仕上圧延速度の最速化と、仕上圧延終了後の膜沸騰冷却(強冷却)との相乗作用により、最終的に、極低炭素鋼板の結晶組織を、細粒化するとともに均一化することができる。
仕上圧延終了後の強冷却(膜沸騰冷却)は、例えば、スリットラミナー冷却方式により、通常、100℃/秒以上200℃/秒未満の冷却速度で行い、仕上圧延鋼板を、好ましくは800〜700℃の温度域まで冷却する。
冷却温度が800℃を超えると、結晶粒の細粒化効果が充分に発現せず、また、結晶組織において局部的な粒成長が進行し、結晶粒の均一化が阻害される。また、冷却温度が700℃より低いと、結晶組織の均一性が阻害される。
仕上圧延速度の最速化により、仕上圧延終了後、強冷却(膜沸騰冷却)を開始するまでの時間は、当然に短縮されるが、本発明は、そもそも、上記開始時間の短縮を単に狙うものではなく、前述したように、“仕上圧延速度の最速化”と、“結晶粒の微細化と均一化”との冶金的相関(本発明者が見出した知見)に基づくものであるから、本発明において、上記開始時間の長短は付随的なものである。
ただし、上記“結晶粒の微細・均一化効果”を確実に得る点で、膜沸騰冷却域で冷却を開始する時間は0.7秒以内が好ましい。
本発明においては、鋼板の結晶組織をより完璧に細粒化しかつ均一化するため、仕上圧延温度を、Ar3点以上で、(Ar3+40)℃以上(Ar3+65)℃未満の温度範囲に制御する。好ましくは、Ar3=870℃とし、910℃以上935℃未満の温度範囲に制御する。
図3に、通常冷却の場合と強冷却(膜沸騰冷却)の場合における仕上圧延温度(900℃以上)と結晶粒径(μm)の関係を示す(なお、仕上圧延速度は700m/分以上である)。
図3に示すように、上記二つの冷却の場合において、仕上圧延−強冷却(膜沸騰冷却)の場合、圧延温度910℃以上935℃未満の範囲内で、上記“結晶粒の微細・均一化効果”が顕著に発現している。
また、図4に示すように、仕上圧延−強冷却(膜沸騰冷却)の場合、鋼板の両端部と中央部(板幅方向)における結晶粒径の偏差は、仕上圧延温度910℃以上935℃未満の範囲で4μm以下に抑制されている。
このことからも、仕上圧延温度を上記温度範囲に制御することにより、鋼板の全結晶組織において、結晶粒の微細化と均一化を顕著に達成できることが解かる。
ここで、注目すべきことは、(Ar3+40)℃以上(Ar3+65)℃未満という仕上圧延温度の範囲は、従来、結晶粒の微細化と均一化のために採用する仕上圧延温度の範囲よりも高温側にあるということである。
即ち、本発明においては、従来の仕上圧延温度の範囲よりも高温側の温度範囲において、結晶粒の微細化と均一化を、従来以上に顕著に達成できるということである。この点も、本発明の特徴である。
例えば、特許文献1には、仕上圧延温度として、Ar3点以上(Ar3+50)℃以下が適正であり、Ar3点未満のα圧延では結晶粒が粗大化し、(Ar3+50)℃を超えるとγ粒が成長すると記載されている。
これに対し、本発明では、仕上圧延速度を1300m/分以上に高速化することにより、適正なα粒径を得ることができる仕上圧延温度の範囲が高温側に移動している。このことからも、本発明における仕上圧延速度の高速化は、単なる高速化ではなく、鋼組織において発現する冶金的効果に大きな影響を与えるものであることがわかる。
この理由は、以下のように考えられる。
仕上圧延速度を高速化すると、鋼板中に蓄積される歪の蓄積量は増大する。このため、初期のγ粒径は小さくなり、γ粒が所要の大きさのγ粒に成長するまでに時間がかかることとなる。その結果、適正なα粒を得るための仕上圧延温度域が広くなる。
当然のことながら、γ結晶組織において再結晶の一様な進行を図るためには、仕上圧延温度を上記温度範囲に維持することに加え、鋼板の長手方向及び板幅方向における温度分布が極力平坦になるように、仕上圧延温度を制御する必要がある。
仕上圧延温度は、通常、鋼板の板幅方向で変化し、特に中央部で温度が低下する傾向に有る。このために、圧延中、板幅方向に温度差が生じ、この温度差が、仕上圧延温度が上記圧延温度範囲に維持されていても、再結晶の一様な進行を阻害する要因となり得る。
そこで、本発明では、板幅方向における仕上圧延温度の最高温度と最低温度の差を20℃以下、好ましくは10℃以下に制御する。仕上圧延温度の制御は、仕上圧延機の前面に設けた加熱装置によって行う。
即ち、仕上圧延機の前面に、鋼板を板幅方向に加熱する加熱装置を設け、板幅方向における仕上圧延温度の最高温度と最低温度の差が20℃以下、好ましくは10℃以下になるように、仕上圧延機に供する粗圧延鋼板を板幅方向に加熱して、仕上圧延温度を制御する。
通常、上記加熱装置として、トランスバース型加熱装置や、ソレノイド型加熱装置を使用できるが、板幅方向の温度分布は、長手方向に沿って必ずしも一様でなく、しかも、本発明のように、板幅方向における仕上圧延温度の最高温度と最低温度の差を20℃以下の範囲に抑制する場合には、上記加熱装置としては、板幅方向の温度分布の変化に応じ、板幅方向で加熱量を適宜調整できる加熱装置が好ましい。
本発明においては、板幅方向に加熱量を変えることができるトランスバース型加熱装置を仕上げ圧延機の前に設置して、板幅方向温度を調整している。
なお、本発明において、板幅方向の結晶粒径を細粒化するとともに均一化するための最適な仕上圧延温度は、(Ar3+50)℃〜(Ar3+60)℃、数値的には、920℃〜930℃である。
このように、本発明においては、(i)板幅方向における仕上圧延温度の最高温度と最低温度の差20℃以下、好ましくは10℃以下にすることと、(ii)仕上圧延終了後の強冷却(膜沸騰冷却)の相乗作用により、鋼板の板幅方向における結晶粒径の標準偏差を極力小さくすることができる。この点も、本発明の特徴である。
本発明において熱延の対象とする極低炭素鋼材としては、質量%で、C:0超〜0.01%、Mn:0.05〜0.65%、Ti:0超〜0.1%を含む鋼材が好ましい。また、上記鋼材として、質量%で、C:0超〜0.01%、Mn:0.05〜0.65%、Ti:0超〜0.1%を含み、残部鉄及び不可避的不純物からなる鋼材がより好ましい。上記鋼材には、必要に応じ、Nbを0.1質量%まで添加してもよい。
上記成分組成の限定理由を説明する。なお、%は質量%を意味する。
Cは、強度を高める元素であるので、所要量添加するが、本発明では、高伸びと低降伏点を所要レベルに維持するため、0.01%を上限とする。特に、プレス成形時の加工性を高める場合には、0.005%以下に低減する。
Mnは、固溶強化作用で強度を高めるので、0.05%以上添加するが、高伸びと低降伏点を所要レベルに維持するため、0.65%を上限とする。
Tiは、固溶Cや固溶Nを、炭化物や窒化物として固定して伸びの向上に寄与するので、所要量添加するが、0.1%を超えて添加すると、加工性が悪くなるので、0.1%を上限とする。
Nbは、めっき性を改善したい時に、0.1%まで添加する。
なお、上記極低炭素鋼材は、極低炭素IF鋼本来の優れた成形性を損なわない範囲で、他の元素(Si、Al、Ni、Cr、V、Mo、Cu、Mg、Ca、REM等)を含んでいてもよい。
本発明は、極低炭素IF鋼の結晶組織を細粒化するとともに均一化し、本来的に優れた上記IF鋼の成形性を、更に向上せしめるものである。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例で採用した温度その他の条件に限定されるものではない。実施例で採用する諸条件は、本発明の実施可能性及び効果を立証するために採用した一条件例であり、本発明においては、発明の要旨を逸脱せず、発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用できる。
(実施例1)
表1に示す成分組成の極低炭素IF鋼材(A、B)を用いて、表2に示す条件で熱延鋼板を製造した。熱延鋼板の1/4w(板幅1/4の部位)、2/4w、及び、3/4wの各部位から試験片を採取し、結晶粒径を測定した。測定結果とその平均値を表2に併せて示す。
Figure 0004452084
Figure 0004452084
仕上圧延の終了後、通常の冷却(ラミナー冷却)を採用する従来例1及び5では、結晶粒径が40μmを超えている。図5に、従来例1の結晶組織を示す。
強冷却を採用する比較例2、4及び9では、強冷却を採用するが故、結晶粒径が従来例以上に細粒化されかつ均一化されている。図6に、比較例4の結晶組織を示す。
発明例においては、結晶粒径が、比較例以上に細粒化されかつ均一化されている。図7に、発明例6の結晶組織を示す。
本発明において結晶粒は細粒化され、その粒径は20〜35μmである。通常、粒径がこの程度であると加工性が良い。したがって、本発明により、加工性が、長手方向とともに幅方向においても均質でかつ良好な熱延鋼板を得ることができる。
なお、本発明で得られた熱延鋼板を用いて製造した冷延焼鈍後の鋼板においても、r値の向上とともに、r値の異方性(△r値)の改善が認められた。
本発明によれば、本来的に優れた極低炭素IF鋼の成形性を更に改善し、成形性の極めて優れた極低炭素IF細粒鋼を提供することができる。したがって、本発明は、IF鋼の用途を格段に拡大し、鋼板加工技術と産業の発展に大きく貢献する。
通常冷却と強冷却のそれぞれの場合において、仕上圧延速度と結晶粒径との相関を示す図である。 通常冷却と強冷却のそれぞれの場合において、仕上圧延速度と、板幅方向(1/4幅部、中央部と3/4幅部)における結晶粒径の標準偏差との相関を示す図である。 通常冷却と強冷却のそれぞれの場合において、仕上圧延温度と結晶粒径の関係を示す図である。 通常冷却と強冷却のそれぞれの場合において、仕上圧延温度と、板幅方向(1/4幅部、中央部と3/4幅部)における結晶粒径の標準偏差との相関を示す図である。 従来例1の結晶組織を示す図である。 比較例4の結晶組織を示す図である。 発明例6の結晶組織を示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0超〜0.01%、Mn:0.05〜0.65%、Ti:0超〜0.1%、残部Fe及び不可避不純物からなる極低炭素鋼材を熱延し細粒の鋼板を製造する方法において、
    (i)1300m/分以上の圧延速度、及び、(Ar3+40)℃以上(Ar3+65)℃未満の圧延温度で仕上圧延を終了し、次いで、
    (ii)膜沸騰冷却域にて、冷却速度100℃/秒以上200℃/秒未満の強冷却により、仕上圧延鋼板を800〜700℃の温度域まで冷却する
    ことを特徴とする極低炭素細粒鋼板の製造方法。
  2. 前記圧延温度が、910℃以上935℃未満であることを特徴とする請求項に記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
  3. 前記圧延温度の板幅方向最高温度と最低温度の差が20℃以下であることを特徴とする請求項又はに記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
  4. 前記圧延温度の板幅方向最高温度と最低温度の差を、仕上圧延機の前面に設けた鋼板加熱装置で、仕上圧延機に供する粗圧延鋼板を幅方向に加熱することにより、20℃以下に調整することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
  5. 前記膜沸騰冷却域での冷却を、仕上圧延終了後、0.7秒以内に開始することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の極低炭素細粒鋼板の製造方法。
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