以下、本発明の油圧駆動装置の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の油圧駆動装置の一実施の形態の全体構成を示す図である。
この図1において、本実施の形態の油圧駆動装置は、エンジン1と、このエンジン1により駆動されるメインポンプとしての可変容量型の油圧ポンプ2及びパイロットポンプとしての固定容量型の油圧ポンプ30と、メインの油圧ポンプ2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ3a,3b,…と、複数のメインバルブセクション4a,4b,…及びインレット・アウトレットセクション4xを含むコントロールバルブ4と、油圧ポンプ2の傾転(容量)を制御するポンプ傾転制御機構(レギュレータ)12と、エンジン回転数に依存する圧力を出力するエンジン回転数検出回路13とを備えている。
ここで、本実施の形態の油圧駆動装置は例えば油圧ショベルに搭載されるものであり、アクチュエータ3a,3bは例えばそれぞれ油圧ショベルのブームシリンダ、アームシリンダである。油圧ショベルは下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体に上下方向に回動可能に装備されたブーム、アーム、バケットからなるフロント作業機構を有し、ブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bはそれぞれブーム及びアームを上下方向に回動駆動する。油圧ショベルには、ブームシリンダ3a及びアームシリンダ3b以外のアクチュエータとして、バケットを駆動するバケットシリンダや、旋回モータ、走行モータ、ブームスイングシリンダなどが装備されており、油圧駆動装置はそれらのアクチュエータとその回路部分も備えているが、図1ではそれらの図示は省略している。
コントロールバルブ4において、メインバルブセクション4a,4b,…は、それぞれ、クローズドセンタ型の複数の流量制御弁(メインスプール)6a,6b,…と、これら複数の流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の前後差圧を制御する複数の圧力補償弁7a,7b,…とで構成されている。流量制御弁6a,6b,…はそれぞれ図示しない操作レバーの操作により切り換え操作され、その操作レバーの操作量に応じてメータイン絞り部の開口面積が決まるものである。また、これらの流量制御弁6a,6b,…には、それぞれ、アクチュエータ3a,3b,…の駆動時にそれらの負荷圧を取り出す負荷ポート60a,60b,…が設けられ、これら負荷ポート60a,60b,…に取り出された負荷圧のうちの最高の圧力(以下、最高負荷圧という)が負荷圧油路8a,8b,8c、8d及びシャトル弁9a,9bを介して信号圧油路10に検出される。
複数の圧力補償弁7a,7b,…は、それぞれ、流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の上流に設置された前置きタイプ(ビフォアオリフィスタイプ)であり、圧力補償弁7aは1対の対向する受圧部70a,70bと開方向作動の受圧部70cとを有し、受圧部70a,70bに流量制御弁6aの上流側及び下流側の圧力がそれぞれ導かれ、受圧部70cに導かれる圧力(後述)を目標補償差圧として流量制御弁6aの前後差圧を制御する。圧力補償弁7bも、上記圧力補償弁7aと同様に、1対の対向する受圧部71a,71bと開方向作動の受圧部71cとを有し、受圧部71cに導かれる圧力(後述)を目標補償差圧として流量制御弁6bの前後差圧を制御する。図示しない他の圧力補償弁もこれら圧力補償弁7a,7bと同様に構成されている。これにより流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の前後差圧は全て同じ値になるように制御され、負荷圧の大小に係わらず、流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の開口面積に応じた比率で圧油を供給することができる。
コントロールバルブ4のインレット・アウトレットセクション4xは、油圧ポンプ2の吐出油路2aに接続され、油圧ポンプ2の圧油をメインバルブセクション4a,4b,…に導く圧油供給油路5aと、タンクTに至る配管に接続され、メインバルブセクション4a,4b,…からの戻り油をタンクTに排出する圧油排出油路5bと、圧油供給油路5aに接続され、圧油供給油路5aの最高圧力(油圧ポンプ2の最高吐出圧)を制限するメインリリーフ弁15と、圧油供給油路5aに接続され、油圧ポンプ2の吐出圧と複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧との差圧(LS差圧)がある一定値(目標アンロード差圧;第2の値)を超えたときに圧油供給油路5aの圧油(油圧ポンプ2の吐出油)をタンクに戻し、LS差圧がその一定値を超えないように制御するアンロード弁16と、油圧ポンプ2の吐出圧と複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧との差圧(LS差圧)を絶対圧として出力する差圧減圧弁(第1バルブ手段)11とを備えている。
アンロード弁16は閉方向作用の受圧部16aと、開方向作用の受圧部16bと、閉方向作用のばね16cとを有している。受圧部16aは信号圧油路10と接続され、受圧部16bはアンロード弁16の入口ポートを介して圧油供給油路5aに接続され、受圧部16aには信号圧油路10に検出された最高負荷圧力が導かれ、受圧部16bには圧油供給油路5aの圧力、つまり油圧ポンプ2の吐出圧が導かれる。ばね16cはアンロード弁16の目標制御差圧(目標アンロード差圧)を設定する。
差圧減圧弁11は、出力圧を増やす側に位置する受圧部11aと出力圧を減らす側に位置する受圧部11b,11cを有し、受圧部11aに油圧ポンプ2の吐出圧が導かれ、受圧部11b,11cにそれぞれ信号圧油路10に検出された最高負荷圧と自己の出力圧が導かれ、これらの圧力のバランスで作動して油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧(LS差圧)を絶対圧として生成し出力する。この差圧減圧弁11の出力圧は信号圧油路15aを介して圧力補償弁7a,7b,…の受圧部70c,71c,…に目標補償差圧として導かれる。これにより流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の前後差圧はLS差圧になるように制御されるため、油圧ポンプ2の吐出流量が要求流量に満たないサチュレーション状態になっても、流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の開口面積に応じた比率で圧油を供給することができる。また、差圧減圧弁11の出力圧はポンプ傾転制御機構12にも信号圧油路15bを介して制御差圧として導かれる。
ポンプ傾転制御機構12は馬力制御傾転アクチュエータ12aと、LS制御弁12b及びLS制御傾転アクチュエータ12cとを備えている。
馬力制御傾転アクチュエータ12aは油圧ポンプ2の吐出圧が高くなると油圧ポンプ2の傾転を減らして、油圧ポンプ2の入力トルクが予め設定した最大トルクを超えないように制限するものであり、これにより油圧ポンプ2の消費馬力を制限し、過負荷によるエンジン1の停止(エンジンストール)を防止する。
制御弁12b及びLS制御傾転アクチュエータ12cは、油圧ポンプ2の吐出圧が複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧よりもロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧;第1の値)の分だけ高くなるよう油圧ポンプ2の傾転を制御するものである。
LS制御弁12bは、アクチュエータ12cを増圧し油圧ポンプ2の傾転を減らす側に位置する受圧部12dと、アクチュエータ12cを減圧し油圧ポンプ2の傾転を増やす側に位置する受圧部12eとを有し、受圧部12dには差圧減圧弁11の出力圧(油圧ポンプ2の吐出圧とアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧との差圧の絶対圧)が導かれ、受圧部12eにはエンジン回転数検出回路13の出力圧がロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧)として導かれ、LS制御弁12bの出力圧がLS制御傾転アクチュエータ12cに与えられる。LS制御傾転アクチュエータ12cはLS制御弁12bの出力圧により作動し、油圧ポンプ2の傾転を制御する。
エンジン回転数検出回路13は、流量検出弁50と差圧減圧弁(第2バルブ手段)51とを有し、流量検出弁50は可変の絞り部50aを有しかつその絞り部50aがパイロットポンプ30の吐出油路30aに接続された油路31a,31bに配置されている。油路31aは流量検出弁50の上流側に位置し、油路31bは流量検出弁50の下流側に位置し、下流側の油路31bはパイロット油路32に接続されている。
流量検出弁50は、吐出油路30a及び油路31a,31bを流れる圧油の流量を絞り部50aの前後差圧に変換して出力し、差圧減圧弁51は、その前後差圧を絶対圧として出力する。吐出油路30a及び油路31a,31bを流れる圧油の流量はパイロットポンプ30の吐出流量であり、この吐出流量はエンジン1の回転数によって変化するため、その流量(絞り部50aの前後差圧)を検出することによりエンジン1の回転数を検出することができる。
差圧減圧弁51は、可変絞り部50aの前後差圧を絶対圧として出力するエンジン回転数検出弁であり、出力圧を増やす側に位置する受圧部51aと出力圧を減らす側に位置する受圧部51b,51cを有し、受圧部51aに可変絞り部50aの上流側圧力(油路31aの圧力)が導かれ、受圧部51b,51cにそれぞれ可変絞り部50aの下流側圧力(油路31bの圧力)と自己の出力圧が導かれ、これらの圧力のバランスで作動して可変絞り部50aの前後差圧を絶対圧として出力する。差圧減圧弁51の出力ポートは信号圧油路53を介してLS制御弁12bの受圧部12eに接続され、差圧減圧弁51の出力圧が目標LS差圧として受圧部12eに導かれ、これによりエンジン回転数に応じたアクチュエータスピードの設定が可能となる。
また、流量検出弁50の絞り部50aは開口面積が連続的に変化する可変絞り部として構成されており、流量検出弁50は開方向作動の受圧部50bと絞り方向作動の受圧部50c及びバネ50dを有し、受圧部50bに可変絞り部50aの上流側圧力(油路31aの圧力)が導かれ、受圧部50cに可変絞り部50aの下流側圧力(油路31bの圧力)が導かれ、可変絞り部50a自身の前後差圧に依存してその開口面積を変化させる構成となっている。この可変絞り部50aの前後差圧を目標LS差圧として用いることにより、エンジン回転数に応じたサチュレーション現象の改善が図れ、エンジン回転数を低く設定した場合に良好な微操作性が得られる。なお、この点は特開平10−196604号公報に詳しい。
ここで、前述したアンロード弁16の目標制御差圧(目標アンロード差圧;ばね16cのばね力)はエンジン回転数の全範囲にわたって差圧減圧弁51の出力圧である可変絞り部50aの前後差圧の絶対圧(目標LS差圧)よりも大きめに設定されている。これにより、エンジン回転数の全範囲にわたってアンロード弁16の制御差圧(アンロード圧力)はロードセンシング制御の制御差圧(LS差圧)よりも大となり、その結果、全アクチュエータが停止状態にある非操作時は、油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧力の差圧(油圧ポンプの吐出圧)はアンロード弁16の制御差圧(アンロード圧力)に制御され、アクチュエータのいずれかを駆動する操作時は、油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧力の差圧はロードセンシング制御の制御差圧(LS差圧)に制御される。
パイロット油路32には圧力を一定に保つためのパイロットリリーフ弁33が設けられており、パイロット油路32は流量制御弁6a,6b,…を切換操作するためのリモコン弁(図示せず)等の機器や差圧減圧弁11及びLS制御弁12b、差圧減圧弁51のパイロット油圧源を形成している。
エンジン1はディーゼルエンジンであり、エンジン回転数制御機構21によりエンジン回転数が制御される。エンジン回転数制御機構21は例えば電子ガバナであり、コントローラ22からの制御信号により作動し、エンジン1に供給される燃料噴射量を制御する。コントローラ22はエンジン回転数設定器23からの指令信号を入力し、その指令信号に応じて目標回転数を設定し、通常は、その目標回転数に応じた目標燃料噴射量を演算し、対応する制御信号を電子ガバナ21に出力する。
また、油圧駆動装置はオートアイドル制御機構25を備えている。このオートアイドル制御機構25は、パイロット切換弁26と、圧力センサ(圧力検出手段)27と、コントローラ22の後述する機能とで構成されている。
パイロット切換弁26は、パイロット油路32(パイロット油圧源)に接続された入力ポートと、タンクに接続されたタンクポートと、圧力センサ27に接続された出力ポートを有する2位置切換弁であり、位置Aでは出力ポートをタンクに接続して出力圧をタンク圧(低圧)とし、位置Bでは出力ポートを入力ポートに接続して出力圧をパイロット油圧源の圧力(高圧)とする。また、パイロット切換弁26は、位置A側(出力圧を低圧にする側)に位置する受圧部26aと、位置B側(出力圧を高圧にする側)に位置する受圧部26b及びばね26cとを有し、受圧部26aは信号圧油路28を介して信号圧油路15に接続され、信号油路26bは信号圧油路29を介して信号圧油路53に接続され、受圧部26aには差圧減圧弁11の出力圧(油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧の絶対圧)が導かれ、受圧部26bには差圧減圧弁51の出力圧(目標LS差圧)が導かれる。ばね26cは、パイロット切換弁26を位置Aから位置B又はその逆方向に切り換えるときのしきい値をばね力により与えている。
また、パイロット切換弁26の受圧部26a,26bは受圧面積に差を付けられて、受圧部26aの受圧面積より受圧部26bの受圧面積の方が小さく設定されている。後述する如く、受圧部26aに導かれる流量制御弁6a,6b,…の中立時(アクチュエータ3a,3b,…の停止時)における差圧減圧弁11の出力圧(油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧の絶対圧;後述する非操作時のPLS圧)と、受圧部26bに導かれる差圧減圧弁51の出力圧(目標LS差圧;後述するPGR圧)とは、エンジン回転数変化時の変化割合が異ななる。受圧部26a,26bに上記のように受圧面積差を持たせた構成はそのような非操作時のPLS圧とPGR圧との変化割合の相違に対して、ばね26cのばね力が設定するしきい値を調整する役割を有しており、これにより非操作時のPLS圧とPGR圧のエンジン回転数の変化による影響の相違を補正し、エンジン回転数の全範囲にわたってばね26cのしきい値により決まる適切なタイミングでパイロット切換弁26を切り換えることができる(後述)。
圧力センサ27はパイロット切換弁26の圧力(出力圧)を検出し、その検出信号をコントローラ22に送る。
コントローラ22は、圧力センサ27の出力(検出値)に基づいて、エンジン1の回転数を、エンジン回転数設定器23からの指令信号により設定した目標回転数に基づく所定の定常回転数(通常動作)から所定の低速回転数(オートアイドル動作)或いは所定の低速回転数(オートアイドル動作)から所定の定常回転数(通常動作)へと切り換え制御する。
図2は、コントローラ22のオートアイドル制御機構25に係わる制御機能部分を示すフローチャートである。
コントローラ22は、まず、現在のエンジン1の制御状態がオートアイドル動作中であるかどうかを判断し(ステップS100)、オートアイドル動作中でなければ(通常動作中であれば)、圧力センサ27の検出値を入力し(ステップS110)、その値がしきい値以下かどうか(パイロット切換弁26の出力圧が低圧(タンク圧;以下同)であるかどうか)を判断し(ステップS120)、その値がしきい値以下でなければ(パイロット切換弁26の出力圧が高圧(パイロットリリーフ弁33が油路32に形成するパイロット油圧源の圧力;以下同)であれば)、現在の動作(通常動作)を維持し、しきい値以下であれば(パイロット切換弁26の出力圧が低圧であれば)オートアイドル動作に切り換える(ステップS130)。また、ステップS100で、オートアイドル動作中であると判断されると、圧力センサ27の検出値を入力し(ステップS140)、その値がしきい値以上かどうか(パイロット切換弁26の出力圧が高圧であるかどうか)を判断し(ステップS150)、その値がしきい値以上でなければ(パイロット切換弁26の出力圧が低圧であれば)、現在の動作(オートアイドル動作)を維持し、しきい値以上であれば(パイロット切換弁26の出力圧が高圧であれば)オートアイドル動作に切り換える(ステップS130)。
通常動作では、エンジン1の回転数がエンジン回転数設定器23からの指令信号により設定した目標回転数に基づく所定の定常回転数となるように電子ガバナ21を制御し、オートアイドル動作では、エンジン回転数設定器23からの指令信号による目標回転数に係わらず、エンジン1の回転数が所定の低速回転数となるように電子ガバナ21を制御する。ここで、所定の定常回転数とは、その目標回転数が定格の最高回転数である場合、例えば2200rpm程度であり、所定の低速回転数とは、例えば、アイドリング回転数(例えば1000rpm程度)である。所定の低速回転数は中間の例えば1500rpm程度であってもよい。
また、図2のステップS130において、通常動作からオートアイドル制御に切り換える場合、圧力センサ27の検出値がしきい値以下となったら(パイロット切換弁26の出力圧が低圧となったら)直ちに切り換えるのではなく、一定の時間遅れをもって切り換える。これによりオペレータの意志を反映した確実なオートアイドル動作への切り換えが可能となる。
以上において、コントローラ22の図2にフローチャートで示した機能とエンジン回転数制御機構21は、圧力検出手段である圧力センサ27で検出した検出値に基づいて、エンジン1の回転数を所定の定常回転数から所定の低速回転数或いは所定の低速回転数から所定の定常回転数へと制御するエンジン回転数制御手段を構成する。
また、パイロット切換弁26、圧力センサ27と、コントローラ22の図2のフローチャートにおけるステップS100〜S120,S140,S150の機能は、差圧減圧弁11(第1バルブ手段)の出力圧と差圧減圧弁51(第2バルブ手段)の出力圧との差圧に基づいて複数のアクチュエータ3a,3b,…が全て停止状態にあるかどうかとそれらアクチュエータ3a,3b,…のいずれかが駆動されたかどうかを検出する操作検出手段を構成し、コントローラ22の図2のフローチャートにおけるステップS130,S160の機能とエンジン回転数制御機構21は、前記操作検出手段により複数のアクチュエータ3a,3b,…が全て停止状態にあることが検出されると、エンジン1の回転数を所定の定常回転数から所定の低速回転数へと制御し、複数のアクチュエータ3a,3b,…のいずれかが駆動されたことが検出されると、エンジン1の回転数を所定の低速回転数から所定の定常回転数へと制御するエンジン回転数制御手段を構成する。
次に、図3〜図7を用いてパイロット切換弁26の動作原理を説明する。以下の説明では、差圧減圧弁11の出力圧(油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧の絶対圧)を「PLS圧」といい、差圧減圧弁51の出力圧(絶対圧としての目標LS差圧)を「PGR圧」という。
図3は、パイロット切換弁26における力の関係を示す図である。前述したように、パイロット切換弁26aの受圧部26aにはPLS圧(油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧の絶対圧)が導かれ、受圧部26bにはPGR圧(差圧減圧弁51の出力圧である絶対圧としての目標LS差圧)が導かれている。また、受圧部26bの受圧面積は受圧部26aの受圧面積より小さく設定されている。パイロット切換弁26の位置A側(出力圧を低圧にする側)では、受圧部26aに導かれたPLS圧による油圧力FRが図示右方向に作用し、位置B側(出力圧を高圧にする側)では、受圧部26bに導かれたPGR圧による油圧力Fhとばね26cのばね力との和である押圧力FLが図示左方向に作用している。
図4は、エンジン回転数と非操作時のPLS圧との関係を示す図である。非操作時とは、図示しない全ての操作レバーが中立にあって、全ての流量制御弁6a,6b,…が中立で全てのアクチュエータ3a,3b,…が停止した状態にあるときを意味する。非操作時のPLS圧はアンロード弁6の制御差圧(アンロード圧力)に等しくなる。
つまり、非操作時は、全ての流量制御弁6a,6b,…は図1に示される中立位置にあるため、油圧ポンプ2の圧油の吐出により油圧ポンプ2の吐出圧は上昇しようとする。このとき、各アクチュエータ3a,3b,…の負荷圧を取り出す流量制御弁6a,6b,…の負荷ポート60a,60b,…は各流量制御弁内部を経由してタンクに接続されており、信号圧油路10に検出される最高負荷圧はタンク圧に等しくなるため、アンロード弁16は、図1で左方向に切換わって、圧油供給油路5aの圧油(油圧ポンプ2の吐出油)をタンクに戻すように作動する。この動作は、油圧ポンプ2の吐出圧とタンク圧との差圧がアンロード弁16のばね16cのばね力と釣り合うまで継続され、油圧ポンプ2の吐出圧とタンク圧との差圧がばね16cで設定されるある一定の値(目標アンロード差圧)に保たれるよう制御される。
このように非操作時は、アンロード弁16は低圧のリリーフ弁と同様の働きをし、非操作時の差圧検出弁11の出力圧であるPLS圧はアンロード弁の制御差圧であるアンロード圧力に等しくなる。
ここで、非操作時に上記のように動作するアンロード弁16は流量に対するオーバーライド特性を持ち、油圧ポンプ2の吐出流量が増えるとアンロード圧力も高くなる傾向にある。油圧ポンプ2の吐出流量はエンジン回転数の上昇に応じて増加するため、非操作時のPLS圧(アンロード圧力)は、アンロード弁16のオーバーライド特性により、図4に示すように、エンジン回転数が増えるとそれに応じてほぼ直線的に高くなる傾向にある。
図5はエンジン回転数とPGR圧との関係を示す図である。PGR圧はエンジン回転数検出回路13の流量検出弁50における絞り部50aの前後差圧の絶対圧であり、図5に示すように、エンジン回転数が増えるとそれに応じてPGR圧も高くなる。ただし、その増加割合は非操作時のPLS圧と同じでなく、PLS圧の増加割合よりもPGR圧の増加割合の方が大きい。つまり、図示の如くPLS圧とPGR圧の増加割合を直線で表した場合、PLS圧よりもPGR圧の方が直線の傾きが大きい。
また、非操作時のPLS圧(アンロード圧力)はアンロード弁16のばね16cのばね力で決まる目標制御差圧(目標アンロード差圧)により制御される圧力であり、PGR圧は目標LS差圧である。前述したように、目標アンロード差圧はエンジン回転数の全範囲にわたって目標LS差圧(PGR圧)よりも大きめに設定されており、アンロード弁16の制御差圧であるアンロード圧力(非操作時のPLS圧)も、エンジン回転数の全範囲にわたって目標LS差圧(PGR圧)よりも大きくなる(非操作時のPLS圧>PGR圧)ように制御される。
図6は、エンジン回転数と非操作時の油圧力FRとの関係、エンジン回転数と押圧力FLとの関係を、図4に示したエンジン回転数と非操作時のPLS圧との関係、図5に示したエンジン回転数とPGR圧との関係と対比して示す図である。
図6において、非操作時の油圧力FRは受圧部26aの受圧面積に非操作時のPLS圧を乗じた値であり、非操作時のPLS圧と同様、エンジン回転数が増えるとそれに応じて油圧力FRも増大する。
押圧力FLは油圧力Fhとばね26cのばね力Fsとの和であり、油圧力Fhに対してばね力Fsの分、上方にシフトした関係にある。油圧力Fhは受圧部26bの受圧面積にPGR圧を乗じた値であり、油圧力Fhは、PGR圧と同様、エンジン回転数が増えるとそれに応じて増大する。上述したようにエンジン回転数に対するPGRの増加割合はPLS圧の増加割合よりも大きい。本実施の形態では、前述したように、受圧部26aより受圧部26bの方が受圧面積を小さくしている。この受圧面積差を適切に設定することにより、エンジン回転数に対する油圧力Fhの増加割合は非操作時の油圧力FRの増加割合とほぼ等しくしなる。
押圧力FLは油圧力Fhにばね力Fsを加算した値であり、押圧力FLも、油圧力Fhと同様に、油圧力FRと同様の増加割合でエンジン回転数の上昇に応じて増大する。また、押圧力FLは、ばね力Fsを適切に設定することにより、エンジン回転数の全範囲にわたって非操作時の油圧力FRより小さめ(FL<FR)となっている。例えば、図6中、FL1,FR1はエンジン回転数低速時のFRであり、FR2,FL2はエンジン回転数高速時のFLであり、FL1<FR1、FL2<FR2である。
図7は、操作レバーの操作量に対する油圧力FRの変化を、エンジン回転数低速のときと高速のときとで対比して示す図である。この図では、説明の便宜上、オートアイドル制御によるエンジン回転数の変化はないものと仮定している。
<エンジン回転数低速時>
エンジン1の回転数がアイドル回転数等の低速回転にあるとき、操作レバーが操作されない非操作時は、FR>FL(FR=FR1、FL=FL1)であり、パイロット切換弁26は図1に示す位置Aにあり、低圧(タンク圧)を出力する。
操作レバーが操作され、いずれかの流量制御弁が動作すると、ロードセンシング制御によりPLS圧=PGR圧となるように制御されるため、FR=Fh(FR=Fh=Fh1)となる。FRがFR1からFh1へと低下する間、FRがFL1より低くなるとパイロット切換弁26は位置Aから位置Bに切り換わり、高圧(パイロットリリーフ弁33が油路32に形成するパイロット油圧源の圧力)を出力する。
操作レバーを中立に戻し、流量制御弁が中立に戻ると、再び、FR>FL(FR=FR1、FL=FL1)となる。FRがFh1からFR1へと上昇する間、FRがFL1より高くなるとパイロット切換弁26は位置Bから位置Aに切り換わり、低圧(タンク圧)を出力する。
<エンジン回転数高速時>
エンジン1の回転数が定格回転数等の高速回転にあるとき、操作レバーが操作されない非操作時は、FR>FL(FR=FR2、FL=FL2)であり、パイロット切換弁26は図1に示す位置Aにあり、低圧(タンク圧)を出力する。
操作レバーが操作され、いずれかの流量制御弁が動作すると、ロードセンシング制御によりPLS圧=PGR圧となるように制御されるため、FR=Fh(FR=Fh=Fh2)となる。FRがFR2からFh2へと低下する間、FRがFL2より低くなるとパイロット切換弁26は位置Aから位置Bに切り換わり、高圧(パイロットリリーフ弁33が油路32に形成するパイロット油圧源の圧力)を出力する。
操作レバーを中立に戻し、流量制御弁が中立に戻ると、再び、FR>FL(FR=FR2、FL=FL2)となる。FRがFh2からFR2へと上昇する間、FRがFL2より高くなるとパイロット切換弁26は位置Bから位置Aに切り換わり、低圧(タンク圧)を出力する。
以上のように、パイロット切換弁26の受圧部26bの受圧面積を受圧部26aの受圧面積より小さく設定し、その面積差を適切に設定することにより、エンジン回転数が変化するときの非操作時のPLS圧とPGR圧との変化割合の相違を補正し、全アクチュエータが停止している状態からアクチュエータのいずれかが駆動されたとき、あるいはアクチュエータのいずれかが駆動されている状態から全アクチュエータが停止する状態に移行したとき、エンジン回転数の全範囲にわたってばね26cのしきい値により決まる適切なタイミングでパイロット切換弁26を切り換えることができる。これによりエンジン回転数の全範囲にわたって、全アクチュエータが停止状態にあるときか、アクチュエータのいずれかが駆動された状態かを確実に検出することができる。また、オートアイドル制御によりエンジン回転数が変化しても、パイロット切換弁26の切り換え状態が変化することはなく(よってコントローラ22におけるステップS120,S150における全アクチュエータが停止状態にあるかどうか、或いはアクチュエータのいずれかが駆動されたかどうかについての判断結果も変化せず)、安定したオートアイドル制御が可能となる。
次に、以上のように構成した本実施の形態の動作を、全てのアクチュェータが停止している場合と、アクチュエータが動作する場合としてブーム上げ操作を行った場合と、アクチュエータが動作する場合としてとブーム下げ操作を行った場合とに分けて説明する。
<全てのアクチュエータの停止時>
全てのアクチュエータの停止時は、図示しない全ての操作レバーが中立にあるときであって、全ての流量制御弁6a,6b,…は図1に示される中立位置にある。このときは、前述したように、アンロード弁16が低圧リリーフ弁として動作するため、油圧ポンプ2の吐出圧(油圧ポンプ2の吐出圧とタンク圧との差圧)はアンロード弁16の制御差圧(アンロード圧力)に保たれ、差圧減圧弁11は、油圧ポンプ2の吐出圧と各アクチュエータの最高負荷圧との差圧であるそのアンロード圧力を絶対圧(非操作時のPLS圧)として出力する。
また、エンジン回転数検出回路13においては、差圧減圧弁51は可変絞り部50aの前後差圧を絶対圧(PGR圧)として出力する。
差圧減圧弁11の出力圧(非操作時のPLS圧)と差圧減圧弁51の出力圧(PGR圧)はポンプ傾転制御機構12のLS制御弁12bの受圧部12d,12eに導かれるが、このとき、前述したように、全てのエンジン回転数において非操作時のPLS圧はPGR圧よりも高くなるので、ロードセンシング制御用のアクチュエータ12cにLS制御弁12bを通ってパイロット油圧源の圧力が印加されて、油圧ポンプ2の傾転角は小さくなるように制御され、油圧ポンプ2の斜板の傾転角は最小となって、油圧ポンプ2の吐出流量も最少流量となる。
また、差圧減圧弁11の出力圧(非操作時のPLS圧)と差圧減圧弁51の出力圧(PGR圧)はパイロット切換弁26の受圧部26a,26bに導かれ、パイロット切換弁26には図3に示した図示右方向の油圧力FRと図示左方向の押圧力FLが作用する。このときの油圧力FRと押圧力FLの関係は、例えば図7の時刻T0〜T1で示すように、FL<FRである。その結果、パイロット切換弁26は図1の左側の位置Aに切り換わっており、圧力センサ27には低圧(タンク圧)が作用する。
コントローラは22は、その圧力センサ27の検出値を入力し、この検出値により全アクチュエータが停止状態にあることを検出することで、図2に示すフローチャートに従い、エンジン回転数をある低速回転数に制御する(ステップS100→S140→S150→S100)。
<ブーム上げ操作時>
全ての操作レバーが中立であって全てのアクチュエータの停止時は、前述したように、油圧ポンプ2の吐出流量は最少流量であり、油圧ポンプ2の吐出圧(非操作時のPLS圧)はアンロード弁16によってPGR圧より高い圧力に保たれている。
この状態からブーム上げ操作を行うと、ブームシリンダ3aの流量制御弁6aが図1中で右方向に切換わり、油圧ポンプ2の吐出油が圧力補償弁7a及び流量制御弁6aを通じてブームシリンダ3aのボトム側に供給される。
また、操作レバーを操作し始めて、流量制御弁6aを切り換え始めると、ブームシリンダ3aの負荷圧が流量制御弁6aの負荷ポート60aからシャトル弁9a,9bを経由して信号圧油路10に最高負荷圧として検出され、差圧減圧弁11に導かれる。
アンロード弁16には、アンロード弁16を閉じる方向に最高負荷圧が作用するため、油圧ポンプ2の吐出圧が最高負荷圧+アンロード圧力になるよう、アンロード弁16が油圧ポンプの吐出圧を制御する。このとき、アンロード弁16が瞬時に動作することにより、操作レバーの操作し始め(流量制御弁6aの作動し始め)には、差圧減圧弁11によって出力される油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧との差圧の絶対圧であるPLS圧は、殆ど変化しない。
レバー操作量をそのまま徐々に増加して流量制御弁6aを作動していくと、油圧ポンプ2からブームシリンダ3aヘと供給される流量が徐々に増えていくので、圧油供給油路5aへ流入する流量とそれとは逆に流出する流量とのバランスにより、油圧ポンプ2の吐出圧が徐々に減少してくる。このとき、最高負荷圧は変化しないが、油圧ポンプ2の吐出圧が減少してくることにより、油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧であるPLS圧もレバー操作量に応じて徐々に減少し、従って、パイロット切換弁26に図3右方向に作用する油圧力FRもレバー操作量に応じて徐々に減少する。
レバー操作量を更に増加していき、PLS圧がPGR圧よりも小さくなると(PLS圧<PGR圧)、ポンプ傾転制御機構12のLS制御弁12bが図1で右方向に切換わり、ロードセンシング制御用のアクチュエータ12cの圧油をタンクに戻すことにより、油圧ポンプ2の傾転角を増加し、油圧ポンプ2の吐出流量を増加させる。油圧ポンプ2吐出流量が増加すると、油圧ポンプ2の吐出圧が増加するので、PLS圧も増加する。このようにポンプ傾転制御機構12のLS制御弁12bが作動することにより、PLS圧がPGR圧と同じくなるように油圧ポンプ2の吐出流量を制御し、PLS圧はPGR圧と同じ圧力に保たれる。
このようにPLS圧がPGR圧まで低下する間、パイロット切換弁26に作用する油圧力FRと押圧力FLは、例えば図7の時刻T1〜T2で示すように変化し、油圧力FRが押圧力FLよりも小さくなると(FR<FL)、パイロット切換弁26は図示左側の位置Aから位置Bに切り換わり、圧力センサ27に高圧(パイロットリリーフ弁33が油路32に形成するパイロット油圧源の圧力)が作用する。
コントローラは22は、その圧力センサ27の検出値を入力し、その検出値によりブームシリンダ3aが駆動されたことを検出することで、図2に示すフローチャートに従い、エンジン回転数を低速回転数からエンジン回転数設定器23で設定された所定の定常回転数へと切り換え制御する(ステップS100→S140→S150→S160)。
また、エンジン回転数が低速回転数から所定の定常回転数へと切り換わり、非操作時のPLS圧とPGR圧との変化割合の関係が変化しても、その変化がパイロット切換弁26の受圧部26a,26bの受圧面積差により補正されるため、パイロット切換弁26の切り換え状態が変化することはなく、コントローラ22におけるステップS150における判断結果も変化せず、安定したオートアイドル制御が可能となる。
操作レバーを中立に戻すと、流量制御弁6aが中立に戻り、最高負荷圧はタンク圧に戻るので、油圧ポンプ2の吐出圧はアンロード圧力に戻り、PLS圧はアンロード圧力(>PGR圧)へと増加する。このようにPLS圧がアンロード圧力へと増加する間、油圧力FRと押圧力FLは、例えば図7の時刻T2〜T3で示すように変化し、FR>FLとなって、パイロット切換弁26は図示右側の位置Bから位置Aに切り換わり、圧力センサ27に低圧(タンク圧)が作用する。
コントローラは22は、圧力センサ27の検出値を入力し、その検出値によりブームシリンダ3aが停止状態に戻ったことを検出することで、図2に示すフローチャートに従い、エンジン回転数を定常回転数から低速回転数へと切り換え制御する(ステップS100→S110→S120→S130)。
この場合も、エンジン回転数が所定の定常回転数から低速回転数へと切り換わり、非操作時のPLS圧とPGR圧との変化割合の関係が変化しても、その変化がパイロット切換弁26の受圧部26a,26bの受圧面積差により補正されるため、パイロット切換弁26の切り換え状態が変化することはなく、コントローラ22におけるステップS120における判断結果も変化せず、安定したオートアイドル制御が可能となる。
<ブーム下げ操作時>
全ての操作レバーが中立である状態からブーム上げ操作を行うと、ブームシリンダ3aの流量制御弁6aが図1中で右方向に切換わり、油圧ポンプ2の吐出油が圧力補償弁7a及び流量制御弁6aを通じてブームシリンダ3aのボトム側に供給される。
また、操作レバーを操作し始めて、流量制御弁6aを切り換え始めると、ブームシリンダ3aの負荷圧が流量制御弁6aの負荷ポート60aからシャトル弁9a,9bを経由して信号圧油路10に最高負荷圧として検出され、差圧減圧弁11に導かれる。
ブーム下げのように、アクチュエータに作用する負荷が自重方向の負荷である場合、負荷圧はタンク圧に限りなく近い場合が多い。そのような場合には、アンロード弁16には、ブーム上げ操作時と同様に、アンロード弁16を閉じる方向に最高負荷圧が作用するため、油圧ポンプ2の吐出圧が最高負荷圧+アンロード圧力になるよう、アンロード弁16が油圧ポンプ2の吐出圧を制御するが、このときの最高負荷圧はタンク圧に限りなく近く、最高負荷圧=0とみなせる場合は、油圧ポンプ2の吐出圧はレバー中立時と同じアンロード圧力のみの圧力(非操作時のPLS圧)となる。
この状態でレバー操作量を徐々に増加して流量制御弁6aを作動していくと、油圧ポンプ2からブームシリンダ3aヘと供給される流量が徐々に増えていくので、圧油供給油路5aへ流入する流量と逆に流出する流量とのバランスにより、油圧ポンプ2の吐出圧がアンロード圧力から徐々に減少してくる。このとき、最高負荷圧は変化しないが、油圧ポンプ2の吐出圧が減少してくることにより、油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧であるPLS圧もレバー操作量に応じて徐々に減少し、パイロット切換弁26に図3右方向に作用する油圧力FRもレバー操作量に応じて徐々に減少する。
レバー操作量を更に増加していき、PLS圧がPGR圧よりも小さくなると(PLS圧<PGR圧)、ポンプ傾転制御機構12のLS制御弁12bが図1で右方向に切換わり、ロードセンシング制御用のアクチュエータ12cの圧油をタンクに戻すことにより、油圧ポンプ2の傾転角を増加し、油圧ポンプ2の吐出流量を増加させる。油圧ポンプ2吐出流量が増加すると、油圧ポンプ2の吐出圧が増加するので、PLS圧も増加する。このようにポンプ傾転制御機構12のLS制御弁12bが作動することにより、PLS圧がPGR圧と同じくなるように油圧ポンプ2の吐出流量を制御し、PLS圧はPGR圧と同じ圧力に保たれる。
このようにPLS圧がPGR圧まで低下する間、パイロット切換弁26に作用する油圧力FRと押圧力FLは、例えば図7の時刻T1〜T2で示すように変化し、油圧力FRが押圧力FLよりも小さくなると(FR<FL)、パイロット切換弁26は図示左側の位置Aから位置Bに切り換わり、圧力センサ27に高圧(パイロットリリーフ弁33が油路32に形成するパイロット油圧源の圧力)が作用する。
コントローラは22は、圧力センサ27の検出値を入力し、その検出値によりブームシリンダ3aが駆動されたことを検出することで、図2に示すフローチャートに従い、エンジン回転数を低速回転数からエンジン回転数設定器23で設定された所定の定常回転数へと切り換え制御する(ステップS100→S140→S150→S160)。
また、エンジン回転数が低速回転数から所定の定常回転数へと切り換わり、非操作時のPLS圧とPGR圧との変化割合の関係が変化しても、その変化がパイロット切換弁26の受圧部26a,26bの受圧面積差により補正されるため、パイロット切換弁26の切り換え状態が変化することはなく、コントローラ22におけるステップS150における判断結果も変化せず、安定したオートアイドル制御が可能となる。
操作レバーを中立に戻すと、流量制御弁6aが中立に戻り、最高負荷圧はタンク圧に戻るので、油圧ポンプ2の吐出圧はアンロード圧力に戻り、PLS圧はアンロード圧力(>PGR圧)へと増加する。このようにPLS圧がアンロード圧力へと増加する間、油圧力FRと押圧力FLは、例えば図7の時刻T2〜T3で示すように変化し、FR>FLとなって、パイロット切換弁26は図示右側の位置Bから位置Aに切り換わり、圧力センサ27に低圧(タンク圧)が作用する。
コントローラは22は、圧力センサ27の検出値を入力し、その検出値によりブームシリンダ3aが停止状態に戻ったことを検出することで、図2に示すフローチャートに従い、エンジン回転数を定常回転数から低速回転数へと切り換え制御する(ステップS100→S110→S120→S130)。
この場合も、エンジン回転数が所定の定常回転数から低速回転数へと切り換わり、非操作時のPLS圧とPGR圧との変化割合の関係が変化しても、その変化がパイロット切換弁26の受圧部26a,26bの受圧面積差により補正されるため、パイロット切換弁26の切り換え状態が変化することはなく、コントローラ22におけるステップS120における判断結果も変化せず、安定したオートアイドル制御が可能となる。
以上のように本実施の形態においては、全アクチュエータが停止状態にあるときとアクチュエータのいずれかが駆動されたときとでは差圧減圧弁11の出力圧(PLS圧)がアンロード圧力とLS制御差圧との間で変化することを利用し、パイロット切換弁26の受圧部26a,26bに差圧減圧弁11の出力圧(PLS圧)と差圧減圧弁51の出力圧(PGR圧)とを導き、両者の差圧によりパイロット切換弁26を切り換えるようにしたので、その出力圧を圧力センサ27で検出することにより全アクチュエータが停止状態にあるときか、アクチュエータのいずれかが駆動されたときかを検出することができる。また、差圧減圧弁11の出力圧(PLS圧)と差圧減圧弁51の出力圧(PGR圧)との差圧は負荷圧の高低の影響を受けないため、負荷圧の高低によらずアクチュエータの駆動を確実に検出することができる。
また、本実施の形態では、パイロット切換弁26の受圧部26bの受圧面積を受圧部26aの受圧面積より小さく設定したので、全アクチュエータが停止状態にあるときに受圧部26aに導かれる差圧減圧弁11の出力圧であるアンロード弁16の制御差圧(アンロード圧力)と、受圧部26bに導かれる差圧減圧弁51の出力圧であるロードセンシング制御の目標差圧(エンジン回転数に依存する油圧信号の絶対圧)とのエンジン回転数の変化による影響の相違を補正し、エンジン回転数の全範囲にわたってばねのしきい値により決まる適切なタイミングでパイロット切換弁を切り換え、アクチュエータの駆動状態を検出することができる。
また、オートアイドル制御によりエンジン回転数が変化しても、パイロット切換弁26の切り換え状態が変化することはなく、コントローラ22におけるステップS120,S150における全アクチュエータが停止状態にあるかどうか、或いはアクチュエータのいずれかが駆動されたかどうかについての判断結果も変化せず、安定したオートアイドル制御が可能となる。
更に、本実施の形態においては、圧力センサ27はパイロット切換弁26の出力圧を検出するので、圧力センサ27として低圧用の圧力センサを用いることができ、圧力検出の検出精度を良好にしかつシステム構成を安価に構成することができる。また、パイロット切換弁26自体、差圧減圧弁11の出力圧(PLS圧)と差圧減圧弁51の出力圧(PGR圧)という低圧が導かれ、それらの差圧で動作するので、パイロット切換弁26も低圧対応の構成でよくなり、システム構成を更に安価にすることができる。また、低圧作動であるので、機器寿命も向上する。
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。例えば、上記実施の形態では、差圧減圧弁11,51の出力圧をパイロット切換弁26に導いてパイロット切換弁26を切り換え、そのパイロット切換弁26の出力圧を圧力センサ27で検出するように構成したが、差圧減圧弁11,51の出力圧を直接圧力センサで検出し、その出力圧をコントローラに入力し、コントローラ内でばね26cのばね力に相当するしきい値をエンジン回転数に応じて調整し、そのしきい値と圧力センサの出力圧との比較を行うことによってもアクチュエータの駆動或いは停止状態を検出することができ、上記実施の形態とほぼ同様の効果が得られる。
また、圧力補償弁7a,7b,…は、それぞれ、流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の上流に設置された前置きタイプ(ビフォアオリフィスタイプ)としたが、流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部の下流側に設置され、メータイン絞り部の下流側の圧力を最高負荷圧と同じになるように制御することでメータイン絞り部の前後差圧を同じに制御する後置きタイプ(アフターオリフィスタイプ)であってもよい。また、ポンプ傾転制御機構12はLS制御弁12b及びLS制御傾転アクチュエータ12cにより油圧的に構成したが、圧力センサと、コントローラと、電磁弁とで電気油圧的に構成してもよい。この場合、差圧減圧弁11,51の出力圧を圧力センサで検出し、その検出値をコントローラに入力してコントローラにより電磁弁を制御することにより、油圧ポンプ2の吐出圧と複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧との差圧が目標ロードセンシング差圧に保たれるよう油圧ポンプ2の傾転量を制御することができる。