JP4448578B2 - ボトム付き袋状容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、柔軟性シートによって形成された袋状の胴部材と、この胴部材の下端開口部を閉塞する底部材とを備えたボトム付き袋状容器、特に自立安定性に優れたボトム付き袋状容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体飲料や流動食等の飲食物を収容する容器としては、例えば、特開平11−171203号公報に開示されたボトム付き袋状容器がある。このボトム付き袋状容器は、図8(a)、(b)に示すように、円筒状に形成された柔軟性シートの両側部を内側に折り込むことによって形成される一対のガセット部51aを有し、このガセット部51aを含む上端開口部が相互に熱溶着されている袋状の胴部材51と、この胴部材51の下端開口部を閉塞する底部材52とから構成されている。
【0003】
前記底部材52は、フラットな円盤状の底板52aと、この底板52aの周縁から垂下する環状の周壁52bとから構成されており、底部材52に胴部材51の下端開口部を被せた状態で、底部材52の周壁52bが、その全周にわたって胴部材51の下端部に熱溶着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなボトム付き袋状容器50では、胴部材51の下端部より高い位置に内容物を受けるフラットな底板52aが設けられているために、内容物が充填されたボトム付き袋状容器50を起立させた状態で陳列等を行う場合、容器全体の重心が高くなり、十分な自立安定性を確保することができないという問題があった。
【0005】
また、こういったボトム付き袋状容器50は、内容物を充填する前段階においては、袋状の胴部材51を扁平に折り畳んだ状態で輸送、保管することが望ましいが、環状の周壁52bの上端縁にフラットな底板52aが連設されたある程度の保形性を有する底部材52が袋状の胴部材51の下端部に取り付けられているため、容器全体を扁平状態に折り畳みにくく、輸送時及び保管時における取扱性が悪いといった問題があった。
【0006】
そこで、この発明の課題は、自立安定性に優れ、扁平状態に折り畳みやすいボトム付き袋状容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、柔軟性シートによって形成された袋状の胴部材と、前記胴部材の下端開口部を閉塞する底部材とを備えるボトム付き袋状容器であって、前記底部材は、中央部が下方側に膨出した底板と、この底板の周縁から垂下する環状の周壁とを有する成形体であり、内容物が充填された前記ボトム付き袋状容器を起立させたときに下方側に膨出した前記底板の中央部によって容器が支持されるように、前記底板の中央部の最下面が前記周壁の下端に略一致しており、前記底部材に前記胴部材の下端開口部を被せた状態で、前記底部材の前記周壁がその全周にわたって前記胴部材の下端部に熱溶着されているボトム付き袋状容器を提供するものである。
【0008】
以上のように構成されたボトム付き袋状容器は、底部材を構成する底板の中央部が下方側に膨出しており、しかも、内容物が充填された前記ボトム付き袋状容器を起立させたときに下方側に膨出した前記底板の中央部によって容器が支持されるように、前記底板の中央部の最下面が周壁の下端に略一致しているので、内容物が充填された状態では、フラットな底板を有する従来のボトム付き袋状容器に比べて重心が下方側に下がり、しかも、下方側に膨出した底板の中央部によって容器が支持されるので、自立安定性が向上する。
【0009】
また、請求項2に記載のボトム付き袋状容器のように、前記底板が上方側に膨出可能に形成されているものにあっては、内容物を充填する前の輸送、保管時には、底板を上方側に膨出させることによって、底部材が二つ折りされやすくなるので、フラットな底板を有する従来のボトム付き袋状容器に比べて、容器全体を扁平状態に折り畳み易くなるといった効果がある。
【0010】
特に、請求項3に記載のボトム付き袋状容器のように、前記底板に、径方向に伸びる折曲溝を形成しておくと、その折曲溝に沿って底部材がさらに二つ折りされ易くなり、容器全体をさらに扁平状態に折り畳み易くなるといった効果がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1(a)、(b)、(c)に示すように、このボトム付き袋状容器1は、下端開口部を有する袋状の胴部材10と、この胴部材10に熱溶着されることによって、胴部材10の下端開口部を閉塞する底部材20とから構成されており、前記胴部材10及び底部材20は共に柔軟性を有する合成樹脂シートによって形成されている。
【0012】
前記胴部材10を形成する合成樹脂シートとしては、内面側に熱融着性樹脂層を有するラミネートシート、例えば、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステルまたは二軸延伸ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムによって形成された外層フィルムに、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる熱融着性樹脂層が積層された厚さ100〜150μm程度のラミネートシート等が使用されている。なお、外層フィルムの内側にはガスバリア層を積層することも可能である。
【0013】
前記胴部材10は、同図(a)、(b)に示すように、所定形状に打ち抜かれた前記合成樹脂シートを円筒状に形成した後、その上部側縁11及び上縁12を相互に熱溶着することで上端側開口部を閉塞したものであり、上縁12は、スクリューキャップ13aによって開閉可能な注口となるスパウト13が挟み込まれた状態で相互に熱溶着されている。なお、同図(a)において、交斜線で示す領域が熱溶着領域である。
【0014】
また、胴部材10の製造過程において、合成樹脂シートを筒状に形成する方法としては、1枚の合成樹脂シートの端縁同士を相互に突き合わせ、その突き合せ部分に内面側から熱融着性テープを貼り付けたり、両面に同種の熱融着性樹脂層を有する合成樹脂シートの端縁同士を相互に重ね合わせ、その重ね合わせ部分を熱溶着したり、内面側に熱融着性樹脂層を有する2枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、その側縁部分を熱溶着するといった種々の方法を採用することができ、シームレスのチューブを使用することも可能である。
【0015】
前記底部材20は、柔軟性を有する合成樹脂シートを圧空成形したものであり、同図(a)、(b)、(c)に示すように、中央部が下方側に膨出した円盤状の底板21と、この底板21の周縁から下方に垂下した環状の周壁22とから構成されており、底板21は、その中央部を押し上げて反転させることにより、図2(a)に示すように、上方側に膨出させた状態に保持することができるようになっている。
【0016】
また、底板21は、図2(b)に示すように、中央部を下方側に膨出させた状態で、その最下面が周壁22の下端に略一致するように設定されており、内容物が充填されたボトム付き袋状容器1を起立させたときに、周壁22によって胴部材10の外周部が、底板21によって胴部材10の中央部がそれぞれ支持されるようになっている。
【0017】
この底部材20の成形に使用される合成樹脂シートとしては、周壁22の外周面側に、胴部材10を形成する合成樹脂シートの内面と融着する熱融着性樹脂層を備えた単層または複層構造の可撓性シート、例えば、無延伸ポリプロピレン、非晶質ポリエステルまたは無延伸ポリアミド等の伸びやすい合成樹脂フィルムによって形成された外層フィルムに、直鎖状低密度ポリエチレン等からなる熱融着性樹脂層が積層された厚さ200〜500μm程度の厚手のラミネートシート等が使用される。
【0018】
図1(a)、(b)に示すボトム付き袋状容器1は、別工程によって予め胴部材10及び底部材20を製造し、その底部材20に胴部材10の下端開口部を被せた後、底部材20の周壁22を径方向外側に押し広げて周壁22の外周面を胴部材10の内周面に密着させた状態で、胴部材10の下端部と底部材20の周壁22とを熱溶着することにより製造される。なお、底部材20の拡径作業は、図3(a)、(b)に示すように、底部材20を拡開爪Cに嵌め込んだ後、同図(c)、(d)に示すように、拡開爪Cを開成することによって行われるので、こういった底部材20の拡径作業の支障とならないように、容器の製造段階では、図3に示すように、底部材20の底板21は、その中央部を上方側に膨出させておくことが望ましい。
【0019】
このような方法でボトム付き袋状容器1を製造すると、胴部材10の下端開口部を底部材20にスムースに被せることができるように、胴部材10の下端開口部の内径が底部材20の外径よりある程度大きくなるように設定されている場合でも、熱溶着の際には、胴部材10の下端開口部と底部材20の周壁22との間で周長の差がほとんどなくなり、胴部材10側に皺が発生することなく綺麗な溶着状態に仕上げることができる。
【0020】
以上のようにして製造されたボトム付き袋状容器1は、図2(a)に示すように、底部材20の底板21が上方側に膨出した状態となっているが、図4(a)に示すように、底板21の中央部が上方側に膨出した底部材20は、図4(b)、(c)に示すように、容易に二つ折りすることができる。従って、製造されたボトム付き袋状容器1は、図5(a)、(b)に示すように、その下部を、上部側縁11及び上縁12に沿うように、扁平状態に折り畳むことが可能となり、輸送時及び保管時におけるボトム付き袋状容器1の取扱性が向上する。
【0021】
また、内容物を充填する際には、図2(b)に示すように、その充填圧力及び充填された内容物の自重等によって、底板21の中央部が押し下げられて下方側に膨出した状態となる。これによって、内容物が充填された容器全体の重心が下方側に下がり、しかも、下方側に膨出した底板21の中央部によって容器が支持されることになるので、その結果、容器全体の自立安定性が向上する。
【0022】
また、上述した実施形態では、上下方向に膨出可能な底板21が環状の周壁22の上端に連設された底部材20を採用しているが、図6(a)、(b)に示すように、胴部材10の上部側縁11及び上縁12に沿って、底板21を分断する折曲溝21aを形成しておくと、その折曲溝21aの存在によって底部材20がさらに二つ折りされ易くなるといった効果がある。
【0023】
また、底板21に形成する折曲溝は、図6に示すような1本の凹条によって構成されるものに限定されず、例えば、図7に示すように、平行な2本以上の凹条によって構成される折曲溝21bを採用してもよい。
【0024】
また、上述した実施形態では、スパウト13を有するボトム付き袋状容器1の製造について説明したが、本発明のボトム付き袋状容器は、スパウト付きに限定されるものではなく、チャックによって胴部材の上部を開閉するもの等、種々の形態のボトム付き袋状容器について適用することができ、胴部材10にはガセット部が形成されていてもよい。
【0025】
また、上述した実施形態では、合成樹脂シートを圧空成形することによって底部材20を形成したが、合成樹脂の射出成形や他の成形法によって底部材20を形成することも可能である。ただし、上述したような複層のラミネートシートを圧空成形等のシート成形法を用いて成形した底部材20が適度な柔軟性と強度を有するため好ましい。
【0026】
また、上述した実施形態では、下方側に膨出した底板21の最下面が周壁22の下端に略一致するような底部材20を採用することで、周壁22のみならず底板21によっても容器を起立状態に支持するようにしているが、こういったものに限定されるものではなく、内容物が充填された状態で、中央部が下方側に膨出した底板を有するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明にかかるボトム付き袋状容器の一実施形態を示す斜視図、(b)は同上のボトム付き袋状容器を示す側面図、(c)は同上のボトム付き袋状容器を示す分解断面図である。
【図2】同上のボトム付き袋状容器における底部材の底板を押し上げた状態を示す断面図、(b)は底板を押し下げた状態を示す断面図である。
【図3】(a)、(b)は底部材の拡径前の状態を示す断面図及び平面図、(c)、(d)は底部材の拡径後の状態を示す断面図及び平面図である。
【図4】(a)は同上の底部材を示す側面図、(b)、(c)は同上の底部材を折り曲げた状態を示す側面図である。
【図5】(a)は同上のボトム付き袋状容器を扁平に折り畳んだ状態を示す正面図、(b)は同上のボトム付き袋状容器を扁平に折り畳んだ状態を示す側面図である。
【図6】(a)は底部材の他の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のX−X線に沿った断面図である。
【図7】底部材の他の実施形態を示す平面図である。
【図8】(a)は従来のボトム付き袋状容器の一例を示す断面図、(b)は同上のボトム付き袋状容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ボトム付き袋状容器
10 胴部材
13 スパウト
13a スクリューキャップ
20 底部材
21 底板
21a、21b 折曲溝
22 周壁
Claims (3)
- 柔軟性シートによって形成された袋状の胴部材と、
前記胴部材の下端開口部を閉塞する底部材とを備えるボトム付き袋状容器であって、
前記底部材は、中央部が下方側に膨出した底板と、この底板の周縁から垂下する環状の周壁とを有する成形体であり、
内容物が充填された前記ボトム付き袋状容器を起立させたときに下方側に膨出した前記底板の中央部によって容器が支持されるように、前記底板の中央部の最下面が前記周壁の下端に略一致しており、
前記底部材に前記胴部材の下端開口部を被せた状態で、前記底部材の前記周壁がその全周にわたって前記胴部材の下端部に熱溶着されているボトム付き袋状容器。 - 前記底部材は、前記底板が上方側に膨出可能に形成されている請求項1に記載のボトム付き袋状容器。
- 前記底部材は、前記底板に、径方向に伸びる折曲溝が形成されている請求項2に記載のボトム付き袋状容器。
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