JP4447555B2 - 不純物導入の制御方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体や液晶パネルなどを製造する際にプラズマを用いて不純物をドーピングするための不純物導入の制御方法関する。
【0002】
半導体素子を形成する際の不純物導入の方法としては、イオン注入が広く用いられてきた。近年、浅い接合形成のために期待されている技術としてプラズマドーピングがある。プラズマドーピングは、不純物(ドーパント)を含んだプラズマに半導体基板等の被処理体の表面を曝すことにより、被処理体表面にドーパントを導入する技術である。
【0003】
イオン注入は、ドーパントを含むプラズマから質量分離を行い、注入すべきイオンだけを取り出して加速し、被処理体に注入する。しかし、プラズマドーピングでは、ドーパントを含む化合物ガスのプラズマに直接被処理体を曝して、ドーパントを比較的浅い表面層に導入する。このプラズマ中には、ドーパントを含む化合物ガス、そのイオンあるいはラジカル、さらに単離したドーパントのイオンあるいはラジカルも含めて存在する。さらに、ドーパントを含まない中性ガスを添加する場合もあるが、その場合にはこれらのイオンあるいはラジカルも含めて存在することになる。
【0004】
イオン注入では、注入すべきドーパントをイオン化しているので、イオン量を直接的にファラデーカップで測定し、この測定量をもとにして不純物の注入量を制御する方法が用いられてきた。一方、プラズマドーピングでは、ドーパントを含む化合物のイオンだけでなく、これらのラジカル等も被処理体表面に導入されてドーパントとして作用するといわれている。なお、ラジカルとは、遊離基と訳されることもあるが、1個またはそれ以上の不対電子を有する原子あるいは分子のことをいう。一般にこのような状態は非常に活性であり、反応も生じやすい。
【0005】
しかしながら、プラズマ中には、ドーパントの化合物を含むガスが、イオン、ラジカルあるいは中性ガスとして存在している。そのため、プラズマドーピングに際し、プラズマからどのような状態で被処理体に導入されるかによってドーパントの導入量が変化する。このため、プラズマドーピングでドーパントの導入量を制御するために種々の方法が開発されている。一般的には、プラズマドーピングのドーパントの導入量の制御のために、被処理体に衝突してくるイオン量をプラズマドーピング中に電荷量として測定し、この電荷量により制御することが行われている。そのために、被処理体に衝突してくるイオンの数を測定できるファラデーカップを用いることが多い。例えば、米国特許US6020592あるいは文献1(Proc. 2000 Int. Conf. on Ion Implant. Tech., Alpbach, Austria, 17-22 September, 2000)には、プラズマドーピング中に不純物であるドーパントの導入量をドーピング中に測定する方法が開示されている。これらはファラデーカップを改良したものである。すなわち、プラズマから被処理体である半導体ウェハに移動したイオンの電荷量を測定して、ドーズ量を求める方法である。具体的には、ファラデーカップを半導体ウエハの近傍に配置してイオンの量を測定し、ファラデーカップにより測定された電流値をリアルタイムでフィードバックすることによって、半導体ウエハに導入する不純物の量を制御している。
【0006】
また、半導体デバイス製造等の工程中にプラズマドーピングを用いる際には、ファラデーカップを用いてイオンの量をドーピング中に測定することで、導入されるドーズ量を制御し、同時に結晶状態を表面光吸収測定やエリプソメータ測定によりその場観察する方法も用いられている。
【0007】
しかしながら、従来の方法でドーズ量を制御するプラズマドーピング方法では、精密にドーズ量を制御することが要求される半導体デバイスに対しては、導入されるドーズ量のばらつきや誤差により半導体特性のばらつきを小さくできないという課題があった。すなわち、従来の方法では、プラズマ中のイオン等を測定して推定したドーズ量と、二次イオン質量分析装置(SIMS)等の測定方法でドーピング後に測定した半導体ウエハ中のドーズ量との相関が不十分である。さらに、SIMSによるドーズ量の測定は、半導体ウエハの一部を破壊して測定するため量産工程で測定するためには抜き取りにより行う必要があった。
【0008】
本発明は、プラズマドーピングにおいて、より高精度にドーズ量の制御を可能とするための不純物導入の制御方法および不純物導入装置を提供することを目的する。
【発明の開示】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の被処理体への不純物導入の制御方法は、プラズマを利用して被処理体に不純物であるドーパントを導入する制御方法であって、ドーピング中に被処理体の温度、被処理体に衝突するプラズマ中の不純物を含むイオンの量およびプラズマ中のガス種を測定し、被処理体の温度に対応してプラズマ中に存在する不純物を含むガス種のうちの中性ガスにより被処理体にドーピングされるドーズ量を算出し、被処理体に衝突する不純物を含むイオンの量からイオンにより被処理体にドーピングされるドーズ量を算出し、算出した中性ガスによるドーズ量とイオンによるドーズ量との和があらかじめ設定したドーズ量となるようにドーピングする方法からなる。
【0010】
この方法により、プラズマドーピングによって被処理体に不純物を導入する際に、被処理体に衝突するイオンだけでなく、プラズマ中のガスの種類をも測定し、かつ、被処理体の温度から不純物を含むガス種のうちの中性ガスにより被処理体にドーピングされるドーズ量を求めることで、従来のプラズマドーピングに比べてさらに高精度に不純物の導入量を制御することができる。なお、ガスの種類の中には、複数のラジカル、中性ガスが含まれる。
【0011】
また、本発明の被処理体への不純物導入の制御方法は、被処理体に衝突するイオンの量と不純物を含むガス種と量をドーピング中に測定し、測定したイオンの量とガス種と量に基づき、測定時点における中性ガスによるドーズ量とイオンによるドーズ量とを算出し、これらの和とあらかじめ設定したドーズ量との差分を求め、算出された差分のデータに基づき以降のドーピング条件を設定する方法としてもよい。
【0012】
また、本発明の被処理体への不純物導入の制御方法は、ドーピング条件の設定がプラズマ発生のための電力、バイアス電力、真空室内の圧力、真空室内へ導入するガス流量および被処理体へのプラズマ照射時間のいずれかもしくはその組み合わせにより行う方法としてもよい。
【0013】
さらに、プラズマ中のガス種は、プラズマを発光分光法もしくは質量分析法もしくはその両方で測定して分析する方法としてもよい。さらに、被処理体の温度を250℃以下の任意の設定温度で制御する方法としてもよい。
【0014】
この方法により、プラズマドーピング中に必要なデータを測定して、以降のドーピング条件にフィードバックすることができるので、さらに高精度に不純物の導入量を制御できる。
【0015】
また、本発明の被処理体への不純物導入の制御方法は、不純物を含むドーパントガスを照射して被処理体に不純物であるドーパントを導入する方法であって、ドーパントガスに被処理体を曝してドーピングする場合に、被処理体の温度を測定し、測定温度に対応して不純物を含むガスにより被処理体にドーピングされるドーズ量を算出し、算出したガスによるドーズ量があらかじめ設定したドーズ量となるようにドーピングする方法からなる。この方法により、ガスドーピングによる高精度のドーズ量制御が可能となる。
【0016】
また、上記の方法において、被処理体の温度を20℃未満の任意の設定温度で制御する方法としてもよい。さらに、被処理体の温度を0℃以下の任意の設定温度で制御する方法としてもよい。あるいは、被処理体の温度を−170℃以下の任意の設定温度で制御する方法としてもよい。このように温度制御することにより、ガスドーピングによるドーズ量を高精度で、かつ低ドーズ量とすることができる。
【0017】
また、本発明の被処理体への不純物導入装置は、プラズマを利用して被処理体へ不純物であるドーパントを導入するためのドーピング機構と、プラズマ発生状態を制御するためのプラズマコントローラと、ドーピング中にプラズマ中のイオンおよびガス種を測定するガス分析手段と、被処理体の温度を測定する温度測定手段と、ガス分析手段および温度測定手段のデータとあらかじめ設定したドーズ量とをもとに解析してドーピング条件を設定するドーズ量制御手段とを有し、ドーズ量制御手段により設定したドーピング条件をプラズマコントローラにより制御しながらドーピングを行う構成からなる。
【0018】
さらに、ドーピング条件の制御は、プラズマ発生のための電力、バイアス電力、真空室内の圧力、真空室内へ導入するガス流量および被処理体へのプラズマ照射時間のいずれかもしくはその組み合わせにより行う構成としてもよい。
【0019】
この構成により、プラズマドーピングによって被処理体に不純物を導入する際に、被処理体に衝突するイオンだけでなく、プラズマ中のガスの種類をも測定し、かつ、被処理体の温度から不純物を含むガス種のうちの中性ガスにより被処理体にドーピングされるドーズ量を求めてドーピングの制御を行うことができる。したがって、従来のプラズマを用いた不純物導入装置に比べてさらに高精度に不純物の導入量を制御する装置を実現できる。
【0020】
また、上記構成の装置において、被処理体または被処理体を設置する電極の温度を0℃以下に冷却できる冷却機構をさらに設けた構成としてもよい。あるいは、被処理体または被処理体を設置する電極の温度を−170℃以下に冷却できる冷却機構をさらに設けた構成としてもよい。このような構成とすることにより、ガスドーピングにより低ドーズ量を非常に高精度にドーピングできる装置を実現できる。
【0021】
また、本発明の被処理体への不純物導入装置は、プラズマを発生させて被処理体へ照射するプラズマ照射機構と、被処理体の温度を制御するための温度制御手段と、被処理体の温度を測定する温度測定手段と、プラズマ照射後に被処理体に導入すべき不純物を含むドーパントガスを被処理体表面に導入するドーパントガス導入機構と、温度測定手段で測定した被処理体の温度に基づくドーパントガスによるドーズ量を算出するドーズ量算出手段とを有し、被処理体に導入すべきドーズ量に対応して被処理体の温度を制御してガスドーピングを行う構成からなる。なお、ドーズ量算出手段にはドーパントガスに応じて被処理体の温度とこの温度に基づき被処理体にドーピングされるドーズ量との相関データを記憶する記憶手段も含む。さらに、プラズマ照射機構にはイオン照射する場合も含むものとする。
【0022】
上記構成において、温度制御手段は被処理体または被処理体を設置する電極の温度を0℃以下に冷却できる冷却機構を有するようにしてもよい。あるいは、温度制御手段は被処理体または被処理体を設置する電極の温度を−170℃以下に冷却できる冷却機構を有するようにしてもよい。
【0023】
このような構成とすることにより、あらかじめドーパントを含まないガスによりアモルファス化するためのプラズマ処理をした後、ドーパントガスを導入してガスドーピングすることができる。したがって、被処理体に対して、低ドーズ量を高精度に制御しながらドーピングすることが可能となる。
【0024】
また、本発明の半導体デバイスは、被処理体として半導体基板および不純物として3族元素または5族元素を用いて、上記の被処理体への不純物導入方法により半導体基板のあらかじめ設定した領域に不純物を導入してなる構成である。
【0025】
この構成により、半導体デバイスの浅い接合部を含めて高精度に不純物を導入できるので、ばらつきの少ない半導体デバイスを実現できる。
【0026】
本発明によれば、従来よりも非常に高精度でドーズ量を制御できる。そのため従来では困難とされた高精度の不純物制御を必要とする半導体デバイスを実現できる。この半導体デバイスとしては、一般的なシリコン単結晶を用いる集積回路素子だけでなく、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板、歪シリコン基板、化合物半導体、液晶を駆動するための薄膜トランジスタやバイオチップなどの能動素子にも適用可能である。さらに、抵抗等の受動素子や金属等の表面改質等にも応用できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は不純物の導入量をプラズマドーピング中に制御できるので、高精度の不純物制御が可能になるとともに、ドーピング工程の量産性を改善することができ、高精度で不純物の導入の制御が必要な浅い接合が要求されるシリコン半導体デバイスや液晶の薄膜トランジスタ(TFT)等を作製する分野において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の一実施の形態の不純物導入方法および不純物導入装置について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
最初に、プラズマドーピングのドーズ量に対する活性化あるいはイオン化していないガスの効果を求めた結果について説明する。
【0030】
図1は、プラズマドーピングのドーズ量に対する不純物を含むガスの効果を求めた結果を示す図である。横軸はドーピングに使用した被処理体である単結晶シリコン基板(以下、シリコン基板とよぶ)の表面温度である。また、縦軸はボロンのドーズ量である。チャンバー内に設置したシリコン基板をアルゴン(Ar)プラズマに5秒間〜70秒間、バイアス電圧70V〜200Vの範囲で曝した後、Arプラズマの照射を停止してチャンバー内にヘリウム(He)で5%に希釈したジボラン(B26)ガスを0.1Pa〜2.6Paの圧力で、5秒間〜70秒間供給した。このB26ガスを供給するとき、シリコン基板の表面の温度を60℃から500℃まで変化させた。
【0031】
なお、シリコン基板にプラズマドーピングを行う場合、B26プラズマをシリコン基板に照射すると、シリコン基板の表面は単結晶状態から結晶の乱れが生じてアモルファス状態に変質することがすでに知られている。そのため、図1に示すドーピングにおいては、プラズマ用のガスとしてArを用いることで、シリコン基板表面の変質のみを生じさせた。すなわち、B26プラズマを基板に照射すると、シリコン基板の変質の発生と同時にボロンのドーピングが起きる。しかし、Arプラズマを使用すれば、シリコン基板の変質は生じるが、このときにボロンは存在しないのでボロンのドーピングは起こらない。したがって、この方法により、イオンによるドーピングおよび基板の結晶の乱れにより生じるガスからのドーピングをそれぞれ判別することができる。
【0032】
図1からわかるように、Arプラズマを照射してシリコン基板の表面をアモルファス化した後、Arプラズマの照射を停止してチャンバー内にB26ガスを供給すると、基板温度に応じてドーズ量が増加することが見出された。また、種々の条件を変更してドーズ量を測定した結果、B26ガス導入時の圧力やシリコン基板をB26ガスに曝す時間によらず、ドーズ量は基板の温度のみに影響されることが見出された。すなわち、この結果は従来のドーピング現象とは異なり、アモルファス状態の表面層へB26ガスが吸着され、内部に浸透していくことによりドーピングが生じるものと推測される。
【0033】
図1に示すように、シリコン基板の表面温度が上昇するに伴ってB26ガスによるドーズ量は増加する。シリコン基板の表面温度を60℃にしたときには、ドーズ量が3.5×1013cm-2であった。これに対して、表面温度を500℃にすると、ドーズ量は4.5×1014cm-2となった。この結果から、シリコン基板を設置する基台を冷却してシリコン基板を室温程度に保持した場合でも、活性化もイオン化もしていないB26ガスにより、3×1013cm-2程度のボロンがシリコン基板中へドーピングされることが見出された。
【0034】
なお、図1において、範囲Aはソース/ドレインエクステンションへドーピングするために要求されるボロンのドーズ量である。これは、SEAJ 2001年度半導体製造装置技術ロードマップの図表3−5−3に記載されているデータである。この範囲は、概ね1×1014cm-2〜1×1015cm-2である。上記データだけでなく、ITRS2002 Updateを参照してデバイスに要求されるシート抵抗を満足するために、より範囲を広げて見積もった場合でも1×1014cm-2〜1×1016cm-2程度であろうと推測できる。したがって、シリコン基板を室温程度に保持しても、従来のプラズマドーピングではB26ガスにより3×1013cm-2程度ドーピングされることから、このドーズ量は、1×1014cm-2〜1×1016cm-2に対して0.3〜30%となる。このように、ラジカルやイオンでもないガスによりドーピングが生じることは、高精度にドーズ量を制御するためには大きな障害となる。
【0035】
活性化あるいはイオン化していないガスによるドーピングの影響を低減するためには、シリコン基板の温度を低温に保持することが有効である。例えば、図には示していないが、−170℃以下にすることでガスによるドーズ量を1×1013cm-2以下にすることができる。したがって、このような基板温度でプラズマドーピングを行えば、ガスによるドーピングの場合にも1×1013cm-2以下の低ドーズ量を実現できる。また、0℃以下にすることでガスによるドーピングを3×1013cm-2以下に低減することができ、この場合には冷却にも負荷を要さないので望ましい。したがって、このような条件ではガスドーピングの場合にも、装置のコストを上昇させることなく、3×1013cm-2以下の低ドーズ量を実現できる。すくなくとも、室温以下である20℃未満にすることでガスによるドーピングを低減することができるし、冷却にもより負荷を要さないので望ましい。
【0036】
さらに、例えばシリコン基板温度をドーピング中からB26ガスの導入を停止するまでの間一定に保持することで、B26ガスそのものによるドーズ量を制御することができる。したがって、シリコン基板温度を制御しながらプラズマドーピング時にイオン種やイオン量を測定して、これらを制御すれば高精度でドーズ量を制御することができる。一方、イオンによるドーズ量を一定に制御しながらシリコン基板温度を変化させることでもドーズ量を制御することができる。さらに、イオンによるドーズ量の制御とシリコン基板温度の両方を制御することによっても、高精度のドーズ量を得られる。
【0037】
以下、B26ガスによりドーピングされる現象についての推測を述べる。プラズマドーピングを行うと、シリコン基板に導入されるドーズ量はシリコン基板に衝突するイオンの量、ガス種およびプラズマ照射により結晶性の乱れたシリコン基板の表面とガスの相互作用によってほぼ決まると考えられる。例えば、シリコン基板を陰極にしてB26をプラズマ化すると、プラズマシース内で分解したボロンを含むイオンが加速してシリコン基板に衝突して、ドーパントとして導入される。このボロンの導入量は衝突するボロンを含むイオンの量と種類により影響される。
【0038】
一方、イオンがシリコン基板に衝突すると、衝突の衝撃によってシリコン基板の結晶は結合が乱される。そのため、結晶の表面がアモルファス化するとともにダングリングボンドも生じる。このダングリングボンドを含むアモルファス化した面にボロンを含む中性ガスが接触することで結合が生じることでドーパントとして導入されると推測される。
【0039】
上記の知見に基づき、本実施の形態の被処理体への不純物導入装置は、プラズマを利用して被処理体へ不純物であるドーパントを導入するためのドーピング機構と、プラズマ発生状態を制御するためのプラズマコントローラと、ドーピング中にプラズマ中のイオンおよびガス種を測定するガス分析手段と、被処理体の温度を測定する温度測定手段と、ガス分析手段および温度測定手段のデータとあらかじめ設定したドーズ量とをもとに解析してドーピング条件を設定するドーズ量制御手段とを有し、ドーズ量制御手段により設定したドーピング条件をプラズマコントローラにより制御しながらドーピングを行う構成からなる。すなわち、ガスの種類を発光分光装置あるいは質量分析装置によって測定し、同時に被処理体の温度を測定する。そして、被処理体の温度に対応して中性ガスによりドーピングされるドーズ量を求める。さらに、非処理体へ衝突するイオンの量から被処理体にドーピングされたドーズ量を求める。これらのドーズ量と予め設定したドーズ量とから、ドーピング条件を設定してプラズマコントローラにより制御を行う。
【0040】
図2は、本実施の形態の不純物導入装置の一例を示す模式図である。真空室10は真空ポンプ3、例えばターボ分子ポンプによって真空に排気される。この真空室10には、不純物、すなわちドーパントを導入するべき被処理体1が基台12の表面上に固定されている。この基台12と被処理体1との間は良好な熱伝達が可能な構成としている。被処理体1の上部には、プラズマコントローラ4から印加される高周波電力によってプラズマ5が発生している。このプラズマ5は、例えばB26プラズマであり、そのためのB26ガスはガスボンベ11から供給される。
【0041】
真空室10の周囲には磁石6が取り付けられ、このプラズマ5を中央に閉じこめ、その密度を向上させている。このプラズマ5中のイオンは、基台12に印加するバイアス電圧による電界で被処理体1に引きつけられ、被処理体1の面上に衝突する。この衝突によって、プラズマ5中のイオンによりドーパント、例えばボロンが被処理体1に導入される。
【0042】
被処理体1の近傍にはイオン分析手段2、例えばファラデーカップが設置されているので、このイオン分析手段2により被処理体1に衝突するイオンを検出し、イオン量に関するデータを電気信号としてドーズ量制御手段8に入力する。ドーズ量制御手段8には、非処理体1に最終的にドーピングすべきドーズ量データも入力されている。また、このドーズ量制御手段8には、温度測定手段である温度センサー9によって被処理体1の温度データも入力される。さらに、ガス分析手段7、例えば質量分析器により被処理体1の近傍のガス分析データも入力される。ドーズ量制御手段8は、温度センサー9からのデータ、ガス分析手段7からのガスに関するデータ、および、イオン分析手段2からのイオン量に関するデータを基にして、その時点でのドーズ量を演算する。演算して求めたドーズ量とあらかじめ設定したドーズ量との差異を計算した後、ドーズ量制御手段8はプラズマコントローラ4へこの差異のデータ信号を送る。プラズマコントローラ4は、この差異のデータに基づき各種パラメータ、例えば真空室10の圧力、ガスの混合比、濃度、プラズマを照射する時間、高周波電力あるいはバイアス電圧等を変化させながらドーピングをさらに行う。このように各種パラメータを変化させることで、イオンの種類やイオンの被処理体1への飛翔量が変化する。その結果、被処理体1に導入するドーズ量を高精度で制御することができる。
【0043】
なお、このドーピング時に被処理体1の温度を一定温度に制御すると、演算して求めたドーズ量とあらかじめ設定したドーズ量との差異の計算が容易になる。
【0044】
また、本実施の形態では、プラズマ中のガス分析として質量分析器7を用いたが、発光分光装置などでモニターしても良い。また、このドーズコントローラ8を用いて被処理体の温度を制御してもよいし、ドーズコントローラ8とは別の制御部により被処理体の温度を制御してもよい。
【0045】
以上のように本発明は、被処理体の温度をモニターし、この温度に応じてガスによりドーピングされるドーズ量を求め、このドーズ量をあらかじめ設定したドーズ量から差し引きし、差し引かれたドーズ量をもとにしてプラズマドーピングのパラメータを設定することで、非常に高精度に被処理体への不純物のドーズ量を制御することができる。また、基板温度を制御すれば、ガスによるドーピングのみで被処理体へ目標とするドーズ量の不純物をドーピングすることもできる。したがって、浅い不純物領域で、ドーズ量を高精度に制御することが要求されるシリコン基板へのドーピングに大きな効果を奏する。また、本発明は、ドーピング中に種々のパラメータをモニターしながらドーズ量を制御できるために、量産性が改善され、かつ歩留まりも向上できる。
【0046】
なお、ガスドーピングのみを行う場合には、図2に示す装置をさらに変更してもよい。すなわち、ガスドーピングの場合には、ガスドーピングに先立って被処理体へプラズマを照射するプラズマ照射機構と、被処理体の温度を制御するための温度制御手段と、被処理体の温度を測定する温度測定手段と、プラズマ照射後に被処理体に導入すべき不純物を含むドーパントガスを被処理体表面に導入するドーパントガス導入機構と、温度測定手段で測定した被処理体の温度に基づきドーズ量を算出するドーズ量算出手段とを有する構成としてもよい。なお、このドーズ量算出手段には、ドーパントガスに応じて被処理体の温度とこの温度に基づき被処理体にドーピングされるドーズ量との相関データを記憶する記憶手段も含んでいてもよい。さらに、プラズマ照射機構はイオンによる照射を行う機構であってもよい。
【0047】
この装置構成においては、あらかじめプラズマ照射により被処理体の表面をアモルファス化した後、このアモルファス化した表面にドーパントガスを曝すのみで、前記被処理体の温度に対応したドーズ量を高精度にドーピングすることができる。
【0048】
なお、被処理体としては、シリコン基板のみでなく、化合物半導体、液晶を駆動するための薄膜トランジスタやバイオチップなどの能動素子を形成する基板を用いてもよい。
【0049】
以下、具体的な実施例について説明する。
【0050】
(実施例1)
本実施例では、シリコン基板にガスドーピングでボロンを導入した結果について説明する。すなわち、チャンバー内に設置したシリコン基板をヘリウム(He)プラズマに20秒間曝した後、Heプラズマの照射を停止してチャンバー内にヘリウムで5%に希釈したジボラン(B26)ガスを1Paの圧力で、7秒間供給した。このB26ガスを供給するとき、シリコン基板の表面の温度を60℃から500℃まで変化させた。このような工程により、ガスによるドーピングを行った。基板の温度とボロンのドーズ量の関係は、図1に示す結果と同様の関係を得た。ボロンのドーズ量(Dgas)と基板温度(T)の関係は、式(1)で表される。
【0051】
Dgas=D0・exp(a・T) (1)
ここで、Dgasはボロンのドーズ量(cm-2)、D0は基板温度が0℃(273K)のときのボロンのドーズ量(cm-2)、aは基板温度の変化に対するボロンのドーズ量の変化、すなわち図1に示す傾きを示す。また、Tは基板温度(℃)である。
【0052】
ガスドーピングでボロンを導入する方法において、基板温度を制御することで式(1)に従ってドーズ量を制御した。すなわち、所望のDgasを得るために、式(1)でTを変化させた。
【0053】
具体的には図1を参照して、1×1013cm-2のドーズ量を得たい場合には、基板温度を−170℃とした。つまり、チャンバー内に設置したシリコン基板をヘリウム(He)プラズマに20秒間曝してから基板温度を−170℃とする。その後、Heプラズマの照射を停止してチャンバー内にヘリウムで5%に希釈したジボラン(B26)ガスを1Paの圧力で、30秒間供給した。
【0054】
また、3×1013cm-2のドーズ量を得たい場合には、基板温度を0℃とすれば良い。さらに、5×1013cm-2のドーズ量を得たい場合には、基板温度を100℃とすれば良い。あるいは、フォトレジストの種類やその他の工程を含めて基板温度を100℃以上することが可能で、かつ1×1014cm-2のドーズ量を得たい場合には、基板温度を240℃とすれば良い。基板の種類やガス種が異なる場合でも式(1)の形は変わらないので、基板とガス種を変えて実験を行い、式(1)におけるD0とaの値とを求めれば良い。
【0055】
このようにガスドーピングでボロンを導入する方法において、基板温度を制御することでドーズ量を制御できる。
【0056】
一方、比較例として、同様にシリコン基板にガスドーピングでボロンを導入した試料も作製した。チャンバー内に設置したシリコン基板をヘリウム(He)プラズマに20秒間曝した後、Heプラズマの照射を停止してチャンバー内にヘリウムで5%に希釈したジボラン(B26)ガスを1Paの圧力で、7秒間供給した。このときのシリコン基板の表面の温度は0℃とした。
【0057】
このドーピング条件においては、ジボラン(B26)ガスプラズマはシリコン基板に照射されていないので、イオン分析手段2であるファラデーカップから推定されるドーズ量は1×1011cm-2以下である。すなわち、シリコン基板中にボロンがほとんど導入されないはずである。しかし、単純にジボラン(B26)ガスに曝すだけであるガスドーピング後に、シリコン基板をSIMSで測定した結果、ボロンのドーズ量として3×1013cm-2が検出された。すなわち、この結果は推定値より2桁以上も多くボロンが導入されており、本実施例と同様にガスドーピングの影響を考慮しなければ高精度のドーピングができないことがわかった。
【0058】
なお、ガスドーピングとは、真空室10内でシリコン基板1にプラズマ照射をして表面層をアモルファス化(これをプラズマ照射アモルファス化とよぶ)させた後、プラズマ照射を止め、その後ジボランなどのボロンを含むガスを真空室10の内部に導入する不純物導入方法である。プラズマ照射アモルファス化とは、プラズマを固体基体である、例えばシリコン基板の一主面に照射してシリコン基板の表面をアモルファス化させる工程である。ガスドーピングは、アモルファス層にガスが浸透することを利用するものであり、非常に低エネルギーの不純物導入が可能となる。ガスドーピングの本質は、シリコンなどの半導体表面をアモルファス化した後に、B26などの所望の不純物を含むガスをアモルファス層に触れさせることで、アモルファス中に不純物を含む粒子が吸着、浸透して不純物を半導体中に導入する方法である。そこで、本願のガスドーピングでは、アモルファス化する機構と不純物を含むガスをアモルファス層に触れさせる機構を別々に有する装置でもよい。例えば、真空室を2つ(真空室A,B)設けておき、1つの真空室Aでプラズマ照射によるアモルファス化を行った後、シリコン基板をもう1つの真空室B内に輸送し、その後、B26ガスを真空室B内に導入してガスドーピングを行っても良い。もっと厳密に行いたい場合は、真空室Aから真空室Bへの輸送はトランスファーチャンバーなどを通じて真空中で行えば、1つのチャンバーで行う場合と同じ効果を得られる。さらには、アモルファス化の方法は、プラズマ照射以外の方法を用いてもよい。例えば、GeやSiなどのイオン注入でシリコン基板をアモルファス化した後に真空室10にシリコン基板を輸送し、その後、B26ガスを真空室10内に導入してガスドーピングを行っても良い。或いは、電子線、放射線などを照射しても良い。
【0059】
(実施例2)
本実施例では、シリコン基板にプラズマドーピングでボロンをドーズ量として3.5×1014cm-2導入する場合について説明する。チャンバー内にシリコン基板を設置した後、ヘリウム(He)で0.025%に希釈したジボラン(B26)ガスを0.9Paの圧力で供給し、プラズマを発生させて7秒間プラズマに曝した。プラズマを発生させている間、シリコン基板に対してバイアス電圧を100V印加した。ソースパワーは1500Wとした。バイアスは600kHzの高周波電源で印加した。また、シリコン基板の温度は0℃に制御した。
【0060】
この場合、ガス分析手段7と基板温度0℃から推定されるジボランのガスによるドーズ量は3×1013cm-2である。また、イオン分析手段2であるファラデーカップから推定されるドーズ量は3.2×1014 cm-2である。これに対して、実際にプラズマドーピング後のシリコン基板のドーズ量をSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定した結果、ボロンのドーズ量は3.5×1014cm-2であった。これにより、本実施例の方法により高精度にドーズ量を制御できることが確認できた。
【0061】
一方、比較例として、同様にシリコン基板にプラズマドーピングでボロンを導入した。ドーピングすべきドーズ量は同様に3.5×1014cm-2とした。チャンバー内にシリコン基板を設置した後、ヘリウムで0.025%に希釈したジボラン(B26)ガスを0.9Paの圧力で供給し、プラズマを発生させた。プラズマを発生させている間、シリコン基板に対してバイアス電圧を100V印加した。ソースパワーは1500Wとした。バイアスは600kHzの高周波電源で印加した。なお、シリコン基板の温度は0℃に制御した。
【0062】
本比較例では、ガスドーピングの影響を考慮せずにイオン分析手段2であるファラデーカップから推定されるドーズ量が3.5×1014cm-2となった時間でプラズマの照射を止めた。このようにしてドーピングしたシリコン基板中のボロンのドーズ量をSIMSで測定した結果、ボロンのドーズ量として3.8×1014cm-2が検出された。この結果は、目標とするドーズ量に対して約9%大きな値であり、ガスドーピングの影響を考慮しなければ高精度にドーピングすることが困難であることが確認できた。
【0063】
(実施例3)
本実施例でも、シリコン基板にプラズマドーピングでボロンを導入した。設定したドーズ量は3.5×1014cm-2である。チャンバー内にシリコン基板を設置した後、ヘリウム(He)で0.025%に希釈したジボラン(B26)ガスを0.9Paの圧力で供給し、プラズマを発生させて60秒間プラズマに曝した。プラズマを発生させている間、シリコン基板に対してバイアス電圧を100V印加した。ソースパワーは1500Wとした。バイアスは600kHzの高周波電源で印加した。また、シリコン基板の温度は0℃に制御した。すなわち、シリコン基板をプラズマに曝してプラズマドーピングする時間を除き、他の条件は実施例2と同じとした。
【0064】
この場合、ガス分析手段7と基板温度0℃から推定されるガスのジボランからのドーズ量は3×1013cm-2である。なお、上記のようにガスによるドーズ量は、プラズマドーピング時間によらない。一方、イオン分析手段2であるファラデーカップから推定されるドーズ量は9.7×1014cm-2である。これに対して、実際にプラズマドーピング後のシリコン基板をSIMSで測定した結果、ボロンのドーズ量は1.0×1015cm-2であった。これにより、本実施例の方法により高精度にドーズ量を制御できることが確認できた。
【0065】
(実施例4)
本実施例でも、シリコン基板にプラズマドーピングでボロンを導入した。本実施例では、多数枚のシリコン基板を処理するときに基板温度の変動が生じた場合にも高精度にドーピングする方法について説明する。
【0066】
設定したドーズ量は3.5×1014cm-2である。チャンバー内にシリコン基板を設置した後、ヘリウム(He)で0.025%に希釈したジボラン(B26)ガスを0.9Paの圧力で供給し、プラズマを発生させてt秒間プラズマに曝した。プラズマを発生させている間、シリコン基板に対してバイアス電圧を100V印加した。ソースパワーは1500Wとした。バイアスは600kHzの高周波電源で印加した。このような条件のプラズマドーピングを量産工程で500枚繰り返した。
【0067】
1枚目の処理を始める直前のシリコン基板温度はT℃とした場合、冷却水の温度変化やプラズマ照射によるプロセスチャンバー内部の温度変化などの要因によりn枚目の処理を始める直前のシリコン基板温度はT+ΔT(n)℃に変化するときの制御方法について、以下説明する。なお、1枚目の処理を始める直前の基板温度に対して繰り返し処理をした結果、n枚目の処理を始める直前のシリコン基板温度の方が高くなりやすいため、ΔT(n)は正となることが一般的である。しかし、冷却水の最初の温度設定や冷却水自体の温度変化により負の値とすることも可能である。また、ΔTを0℃とすることも可能である。しかしながら、基板温度を一定に保とうとして、ΔTが0℃となるように冷却水の温度などを調節すると、ΔTが0℃になるまでに時間が掛かり、スループットが低下してしまう。そこで、式(1)を用いてガスによるドーズ量の影響分を補正する。すなわち、n枚目のシリコン基板に対しては、ガス分析手段7と基板温度T+ΔT(n)℃から推定されるジボランのガスによるドーズ量は以下のように表される。
【0068】
Dgas(n)=D0・exp(a・T+ΔT(n))
ここで、Dgas(n)はn枚目のシリコン基板に対するジボランのガスによるドーズ量である。また、D0とaはガス分析手段7の測定によりガス、ラジカルの種類やその量により変化する値である。
【0069】
さて、t秒間プラズマドーピングしたときに、イオン分析手段2であるファラデーカップから推定されるドーズ量をDion(t)cm-2とする。これらから、n枚目のシリコン基板に導入されるボロンのトータルドーズ量Dは、ガスによるドーズ量Dgas(n)とイオンの状態から導入されるドーズ量Dion(t)との和で表される。これを下記に示す。
【0070】
D=Dion(t)+Dgas(n)
=Dion(t)+D0・exp(a・T+ΔT(n))
上記の結果から、連続して処理していくときにΔT(n)が変化する場合、ある所望のDを得るためにはΔT(n)の変化に対応して、プラズマドーピング時間tを変化させればよいことがわかる。すなわち、n枚目の処理を始める直前のシリコン基板温度が上昇した場合には、それに対応するようにプラズマドーピング時間tを短くすればよい。こうすることで、基板温度が一定になるまで待つことなく、プロセスを続行できるので、高スループットを維持しながら高精度のドーズ量制御が可能となる。
【0071】
なお、本実施例では、ΔT(n)の変化に対応して、プラズマドーピング時間tを調整したが、これに限定されない。所定のドーズ量を得るために、他のパラメータを変化させても良い。例えば、プラズマドーピング時の圧力やジボランガス濃度、ソースパワーを調整しても良い。さらに具体的には、n枚目の処理を始める直前のシリコン基板温度がn−1枚目の直前よりも高い場合には、ジボランガス濃度をn−1枚目の処理よりも低下させてやればよい。このように毎回のプラズマドーピング前やプラズマドーピング中にΔT(n)の変化に対応してパラメータを変化させることで、高精度のドーズ量制御が可能となる。
【0072】
(実施例5)
本実施例では、シリコン基板に低温に冷却してプラズマドーピングでボロンを導入した場合の特徴について説明する。チャンバー内にシリコン基板を設置した後、ヘリウム(He)で0.001%に希釈したジボラン(B26)ガスを0.9Paの圧力で供給し、プラズマを発生させて7秒間プラズマに曝した。つまり、シボランガス濃度を極端に低濃度で行った。プラズマを発生させている間、シリコン基板に対してバイアス電圧を100V印加した。ソースパワーは1500Wとした。バイアスは600kHzの高周波電源で印加した。また、シリコン基板の温度は−170℃に制御した。
【0073】
この結果、SIMSで測定したドーズ量として1.5×1013cm-2を導入することに成功した。これは、基板温度を室温付近で行ったプラズマドーピングでは困難な低ドーズ量である。すなわち、室温付近ではプラズマドーピングでイオンが注入されると同時にシリコン基板表面へのガスの吸着、浸透も同時に起こる。このため、シリコン基板をプラズマに曝しただけで1×1014cm-2程度のボロンはドーピングされてしまう。そのうちの4×1013cm-2程度のドーズ量はガスの吸着、浸透によるということが図1から了解できる。上記のことから、従来の半導体基板を室温付近として連続プラズマを半導体基板に照射するプラズマドーピングでは、1×1014cm-2程度以下のドーズ量を得ることはできなかった。これに対して、基板温度を冷却することで、低ドーズを実現することができた。
【0074】
なお、本発明の具体的実施例については上記したようにドーピングガスとしてジボラン(B26)を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ジボラン(B26)の代わりに、B410、B59、B511、B610、B1014等のボロンを含む水素化合物のガスを用いてもよい。ボロンを含む水素化合物のガスはシリコン基板に対するエッチングレートが小さいので、プラズマ照射中にシリコン基板がほとんどエッチングされないことから使用するドーピングガスとして最も望ましい。さらに、ボロンを含むガスとしては、BF3やB24などのボロンを含むフッ化物のガスを用いてもよい。また、B2Cl4やBCl3などのボロンを含む塩化物のガスを用いてもよい。また、固体をプラズマ化して用いる場合には、BI3、BBr3、B23、B23あるいはBNの単体またはこれらの混合物をガス化して用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は不純物の導入量をプラズマドーピング中に制御できるので、高精度の不純物制御が可能になるとともに、ドーピング工程の量産性を改善することができ、高精度で不純物の導入の制御が必要な浅い接合が要求されるシリコン半導体デバイスや液晶の薄膜トランジスタ(TFT)等を作製する分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】プラズマドーピングのドーズ量に対する不純物を含むガスの効果を求めた結果を示す図
【図2】本発明の一実施の形態である不純物導入装置の概略構成図
【符号の説明】
【0077】
1 被処理体
2 イオン分析手段(ファラデーカップ)
3 真空ポンプ
4 プラズマコントローラ
5 プラズマ
6 磁石
7 ガス分析手段
8 ドーズ量制御手段
9 温度センサ
10 真空室
11 ガスボンベ
12 基台

Claims (8)

  1. プラズマを利用して被処理体に不純物であるドーパントを導入する不純物導入の制御方法であって、ドーピング中に前記被処理体の温度、前記被処理体に衝突するプラズマ中の前記不純物を含むイオンの量および前記プラズマ中のガス種を測定し、前記被処理体の温度に対応して前記プラズマ中に存在する前記不純物を含むガス種のうちの中性ガスにより前記被処理体にドーピングされるドーズ量を算出し、さらに前記被処理体に衝突する前記不純物を含むイオンの量から前記イオンにより前記被処理体にドーピングされるドーズ量を算出し、算出した前記中性ガスによるドーズ量と前記イオンによるドーズ量との和があらかじめ設定したドーズ量となるようにドーピングすることを特徴とする被処理体への不純物導入の制御方法。
  2. 前記被処理体に衝突するイオンの量と前記不純物を含むガス種とをドーピング中に測定し、測定した前記イオンの量と前記ガス種に基づき、測定時点における前記中性ガスによるドーズ量と前記イオンによるドーズ量とを算出し、これらの和とあらかじめ設定したドーズ量との差分を求め、算出された前記差分のデータに基づき以降のドーピング条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の被処理体への不純物導入の制御方法。
  3. 前記ドーピング条件の設定は、前記プラズマ発生のための電力、バイアス電力、真空室内の圧力、前記真空室内へ導入するガス流量および前記被処理体へのプラズマ照射時間のいずれかもしくはその組み合わせにより行うことを特徴とする請求項2に記載の被処理体への不純物導入の制御方法。
  4. 前記プラズマ中のガス種は、プラズマを発光分光法もしくは質量分析法もしくはその両方で測定して分析することを特徴とする請求項1または請求項2記載の被処理体への不純物導入の制御方法。
  5. 前記被処理体の温度を250℃以下の任意の設定温度で制御することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の被処理体への不純物導入の制御方法。
  6. 前記被処理体の温度を20℃未満の任意の設定温度で制御することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の被処理体への不純物導入の制御方法。
  7. 前記被処理体の温度を0℃以下の任意の設定温度で制御することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の被処理体への不純物導入の制御方法。
  8. 前記被処理体の温度を−170℃以下の任意の設定温度で制御することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の被処理体への不純物導入の制御方法。
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