JP2015213159A - プラズマ処理装置および計測方法 - Google Patents

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勇気 小林
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博一 上田
晃平 山下
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晃平 山下
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Abstract

【課題】プラズマを用いたドーピング処理において、ラジカルを含むドーパントのドーズ量を計測する。【解決手段】プラズマ処理装置10は、処理チャンバを有する処理装置50と、ウォールプローブ30と、OES40と、制御装置20とを備える。処理チャンバは、内部に被処理基板が配置され、ドーパントとなる元素を含有するガスのプラズマにより被処理基板にドーパントを注入する。ウォールプローブ30は、処理チャンバ内に生成されたプラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電圧変化を計測する。OES40は、処理装置50の処理チャンバ内に生成されたプラズマ中のドーパントの発光強度を計測する。制御装置20は、ウォールプローブ30による計測結果と、OES40による計測結果とに基づいて、被処理基板に注入されたドーパントのドーズ量を算出する。【選択図】図1

Description

本発明の種々の側面及び実施形態は、プラズマ処理装置および計測方法に関する。
半導体結晶中にドーパントとして特定の元素を注入することにより、所望の電気特性を有する半導体を製造することができる。半導体の電気特性は、ドーパントのドーズ量に依存するため、半導体中に注入されるドーパントのドーズ量を制御することが重要である。ドーパントのドーズ量を計測する装置としては、例えばファラデーカップが知られている。
また、半導体結晶中にドーパントを注入する技術として、イオン注入技術や、プラズマドーピング技術が知られている。プラズマドーピングでは、プラズマ中に含まれているイオンやラジカルがドーパントとして半導体結晶に作用する。
特表2002−522899号公報
ところで、プラズマドーピングにおいて、ファラデーカップを用いてドーパントのドーズ量を計測する場合、センサとなる筒状の電極が処理チャンバ内に配置される。そして、処理チャンバ内にデポ性のガスを含むプラズマが生成されると、プラズマ中に含まれるイオンやラジカルにより、処理チャンバ内に配置された筒状の電極内に堆積物が付着する。電極内に絶縁性の堆積物が付着した場合、ファラデーカップの計測精度が劣化する。
また、筒状の電極内部に堆積物が付着した場合には、ドライクリーニングでは電極内部に付着した堆積物を除去することが難しい。そのため、チャンバを開けて電極を取り出し、電極内部に付着した堆積物を洗浄等により除去することになる。これにより、複数のウエハに対してドーピング処理を行う場合にスループットが低下する。
また、ファラデーカップの電極が処理チャンバ内に配置されると、処理チャンバ内にプラズマが生成された場合に、ファラデーカップの電極に電界が集中し、異常放電が発生する場合がある。異常放電が発生した場合には、処理チャンバ内に電極の金属元素が飛散し、ドーピング処理後のデバイスの特性が劣化する場合がある。
また、ファラデーカップでは、荷電粒子の計測は可能であるが、ラジカル等の電気的に中性の粒子を計測することはできない。そのため、ファラデーカップでは、プラズマドーピングにおいて、ラジカルを含むドーパントのドーズ量を計測することは困難である。
本発明の一側面におけるプラズマ処理装置は、内部に被処理基板が配置され、ドーパントとなる元素を含有するガスのプラズマにより前記被処理基板にドーパントを注入する処理チャンバと、前記処理チャンバ内に生成された前記プラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電圧の変化を計測するウォールプローブと、前記プラズマ中のドーパントの発光強度を計測するOES(Optical Emission Spectrometer)と、前記ウォールプローブによる計測結果と、前記OESによる計測結果とに基づいて、前記被処理基板に注入されたドーパントのドーズ量を算出する算出部とを備える。
本発明の種々の側面および実施形態によれば、プラズマを用いたドーピング処理において、ラジカルを含むドーパントのドーズ量を計測することが可能となる。
図1は、プラズマ処理装置の一例を示す図である。 図2は、処理装置の一例を示す断面図である。 図3は、スロットアンテナ板の一例を示す図である。 図4は、ウォールプローブの一例を示すブロック図である。 図5は、制御装置の一例を示すブロック図である。 図6は、ドーズ量テーブルの一例を示す図である。 図7は、第1の密度テーブルの一例を示す図である。 図8は、パラメータテーブルの一例を示す図である。 図9は、第1の実施形態におけるプラズマ処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図10は、第2の密度テーブルの一例を示す図である。 図11は、第2の実施形態におけるプラズマ処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図12は、制御装置の機能を実現するコンピュータの一例を示す図である。
開示するプラズマ処理装置は、1つの実施形態において、処理チャンバと、ウォールプローブと、OESと、算出部とを備える。処理チャンバは、内部に被処理基板が配置され、ドーパントとなる元素を含有するガスのプラズマにより被処理基板にドーパントを注入する。ウォールプローブは、処理チャンバ内に生成されたプラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電圧の変化を計測する。OESは、プラズマ中のドーパントの発光強度を計測する。算出部は、ウォールプローブによる計測結果と、OESによる計測結果とに基づいて、被処理基板に注入されたドーパントのドーズ量を算出する。
また、開示するプラズマ処理装置の1つの実施形態において、算出部は、ウォールプローブによって計測された電圧の変化に対応する荷電粒子の密度が所定範囲内である場合に、OESによる計測結果を用いてドーズ量を算出してもよい。
また、開示するプラズマ処理装置は、1つの実施形態において、ウォールプローブによって計測された電圧の変化に対応する荷電粒子の密度が所定範囲内であり、かつ、OESによって計測されたドーパントの発光強度が第1の閾値未満である場合に、処理チャンバのクリーニングを指示するクリーニング指示部をさらに備えてもよい。
また、開示するプラズマ処理装置は、1つの実施形態において、プラズマ中のドーパントに含まれる粒子の種別毎にOESによって計測された発光強度に基づいてプラズマ中の荷電粒子の密度を算出し、算出した荷電粒子の密度と、ウォールプローブによって計測された電圧の変化に対応する荷電粒子の密度との差が、第2の閾値以上である場合に、処理チャンバのクリーニングを指示するクリーニング指示部をさらに備えてもよい。
また、開示するプラズマ処理装置の1つの実施形態において、算出部は、ウォールプローブによる計測結果を用いて、OESによる計測結果を補正してもよい。
また、開示する計測方法は、1つの実施形態において、処理チャンバの内部に被処理基板を配置し、ドーパントとなる元素を含有するガスのプラズマにより被処理基板にドーパントを注入する工程と、処理チャンバ内に生成されたプラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電圧の変化を、ウォールプローブを用いて計測する工程と、プラズマ中のドーパントの発光強度を、OESを用いて計測する工程と、ウォールプローブによる計測結果と、OESによる計測結果とに基づいて、被処理基板に注入されたドーパントのドーズ量を算出する工程とを含む。
以下に、開示するプラズマ処理装置および計測方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により開示される発明が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[第1の実施形態]
図1は、プラズマ処理装置10の一例を示す図である。プラズマ処理装置10は、例えば図1に示すように、制御装置20、ウォールプローブ30、OES40、および処理装置50を備える。
処理装置50は、処理チャンバを有し、処理チャンバの内部に被処理基板であるウエハが配置される。そして、処理装置50は、制御装置20からの制御信号に応じて、ドーパントとなる元素を含有するガスのプラズマによりウエハにドーパントを注入する。また、処理装置50は、制御装置20からの制御信号に応じて、処理チャンバ内のクリーニングを実行する。
ウォールプローブ30は、処理チャンバ内に設けられた電極に接続されている。ウォールプローブ30は、制御装置20からの制御信号に応じて、処理装置50の処理チャンバ内に生成されたプラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電極の電圧の変化を所定のタイミング毎に逐次計測する。本実施形態において、電圧の変化とは、処理チャンバ内に設けられた電極の電圧の単位時間当たりの変化量である。そして、ウォールプローブ30は、計測結果を制御装置20へ送る。
OES40は、制御装置20からの制御信号に応じて、処理装置50の処理チャンバ内に生成されたプラズマ中の元素毎に、元素が発する光の強度を所定のタイミング毎に逐次計測する。プラズマを用いたドーピング処理では、プラズマ中にドーパントの元素が含まれており、OES40によって、プラズマ中のドーパントの元素の発光強度が計測される。そして、OES40は、計測結果を制御装置20へ送る。
制御装置20は、処理装置50を制御して、処理チャンバ内のウエハにドーパントを注入するドーピング処理を実行させる。また、制御装置20は、ウォールプローブ30を制御して、処理装置50の処理チャンバ内に生成されたプラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電圧の変化を計測させる。また、制御装置20は、OES40を制御して、処理装置50の処理チャンバ内に生成されたプラズマ中の元素の発光強度を計測させる。そして、制御装置20は、ウォールプローブ30による計測結果と、OES40による計測結果とに基づいて、ウエハに注入されたドーパントのドーズ量を算出する。
また、制御装置20は、ウォールプローブ30による計測結果と、OES40による計測結果とに基づいて、クリーニングを行うか否かを判定する。クリーニングを行うと判定した場合、制御装置20は、処理装置50にクリーニングの実行を指示する。
[処理装置50の構成]
図2は、処理装置50の一例を示す断面図である。また、図3は、図2に示した処理装置50が有するスロットアンテナ板65の一例を示す図である。なお、図2では、理解を容易にするために、部材の一部のハッチングを省略している。また、以下では、図2の上下方向を、処理装置50における上下方向として説明する。
図2に示すように、処理装置50は、内部に搬入されたウエハWに対してプラズマを用いたドーピング処理が行われる処理チャンバ81を有する。処理チャンバ81の周囲および上方には、プラズマ励起用の不活性ガス、ウエハWに注入されるドーパントの基となるドーピングガス、および処理チャンバ81内のクリーニングに用いられるガス等を処理チャンバ81内に供給するガス供給口72およびガス供給口73が設けられている。また、処理チャンバ81内には、ウエハWが載置される保持台74が設けられている。また、処理チャンバ81の上方には、マイクロ波を用いて処理チャンバ81内にプラズマを発生させるプラズマ発生機構67が設けられている。また、処理チャンバ81の下方には、処理チャンバ81内の圧力を調整する圧力調整機構が設けられている。
また、処理装置50は、処理装置50全体の動作を制御する制御部61を有する。制御部61は、制御装置20と通信し、制御装置20から受信した各種パラメータに基づいて処理装置50を制御する。具体的には、制御部61は、ガス供給口72およびガス供給口73から処理チャンバ81内に供給されるガスの流量制御、処理チャンバ81内の圧力制御、プラズマ発生機構67の制御等の制御を行う。
処理チャンバ81は、保持台74の下方側に位置する底部82と、底部82の外周から上方向に延びる略円筒状の側壁80とを含む。側壁80および底部82は、例えば表面が陽極酸化被膜で覆われたアルミニウム等により形成され、接地されている。処理チャンバ81の底部82には、底部82の一部を貫通するように排気口83が設けられている。処理チャンバ81の上部側は開口しており、処理チャンバ81の上部側に配置される蓋部68、後述する誘電体窓66、および誘電体窓66と蓋部68との間に介在するOリング等のシール部材によって、処理チャンバ81は密封可能に構成されている。
ガス供給口72は、処理チャンバ81の上方から、保持台74上に載置されたウエハWに向かってガスを噴射する。ガス供給口72は、誘電体窓66の径方向略中央であって、保持台74と対向する面となる誘電体窓66の下面70よりも誘電体窓66の内方側に後退した位置に設けられている。また、ガス供給口73は、処理チャンバ81の側壁80に複数設けられており、側壁80から保持台74上に載置されたウエハWに向かって横方向にガスを噴射する。
ガス供給口72には、ガス供給路59、バルブ531、および流量制御部521を介して、プラズマ励起用の不活性ガス、ドーピングガス、およびクリーニングガス等を供給するガス供給源51が接続される。ガス供給源51から供給されたガスは、流量制御部521によって流量が調整され、バルブ531およびガス供給路59を介してガス供給口72から処理チャンバ81内に噴射される。
それぞれのガス供給口73には、ガス供給路60、バルブ530、および流量制御部520を介して、ガス供給源51が接続される。ガス供給源51から供給されたガスは、流量制御部520によって流量が調整され、バルブ530およびガス供給路60を介して処理チャンバ81の側壁80に設けられたそれぞれのガス供給口73から処理チャンバ81内に噴射される。なお、ガス供給口72から噴射されるガスの流量は、ガス供給口73から噴射されるガスの流量と等しくてもよく、異なっていてもよい。また、ガス供給口72からは、ガス供給口73から噴射されるガスとは異なる種類または流量比のガスが噴射されてもよい。
保持台74内には電極が設けられており、当該電極は、マッチング回路85を介して、RF(Radio Frequency)バイアス用の高周波電源86が接続されている。高周波電源86は、例えば13.56MHzの高周波電力を出力する。マッチング回路85は、高周波電源86側のインピーダンスと、主に電極、プラズマ、処理チャンバ81といった負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合器を収容している。整合器には、自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサが含まれている。なお、ドーピング処理時において、保持台74へのバイアス電圧の供給は、必要に応じて行ってもよいし、行わなくてもよい。
保持台74は、載置されたウエハWを静電チャック(図示せず)により吸着保持する。また、保持台74内部には、ヒータ75が設けられており、ヒータ75によりウエハWを加熱することができる。保持台74は、底部82の下方側から垂直上方に延びる筒状の支持部材84によって支持されている。支持部材84は、例えば絶縁性の材料により形成される。排気口83は、処理チャンバ81の底部82の一部を貫通するように支持部材84の外周に沿って環状に形成される。排気口83の下方側には排気管(図示せず)を介して排気装置(図示せず)が接続されている。排気装置は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有している。排気装置により、処理チャンバ81内を所定の圧力まで減圧することができる。制御部61は、圧力調整機構として、排気装置による排気の制御等により、処理チャンバ81内の圧力を調整する。
プラズマ発生機構67は、マイクロ波発生器56、冷却ジャケット63、誘電体部材64、スロットアンテナ板65、および誘電体窓66を有する。マイクロ波発生器56は、処理チャンバ81の外部に設けられており、プラズマ励起用のマイクロ波を発生させる。マイクロ波発生器56が発生させるマイクロ波の周波数は、例えば2.45GHzである。マイクロ波発生器56が発生させたマイクロ波は、マッチング55および導波管54を介してモード変換器57へ伝搬する。モード変換器57は、マイクロ波発生器56が発生させた、例えばTEモードのマイクロ波を、TEMモードに変換する。同軸導波管58は、モード変換器57によってモード変換されたマイクロ波を、誘電体部材64へ伝搬させる。同軸導波管58を介して誘電体部材64に伝搬したマイクロ波は、誘電体部材64の径方向外側に向かって伝搬すると共に、誘電体部材64の下に設けられたスロットアンテナ板65に伝搬する。
スロットアンテナ板65は、金属等により略円板状に形成される。スロットアンテナ板65には、例えば図3に示すように、複数のスロット孔650が形成されている。それぞれのスロット孔650は、例えば図3に示すように、所定の間隔を開けて直交する2つのスロット孔650が一対となって配置されている。一対のスロット孔650は、スロットアンテナ板65の周方向に所定の間隔を開けて配置されている。また、スロットアンテナ板65の径方向においても、半径の異なる複数の同心円に沿って、複数の一対のスロット孔650が所定の間隔を開けて設けられている。
誘電体部材64からスロットアンテナ板65に伝搬したマイクロ波は、スロットアンテナ板65に設けられたスロット孔650から、スロットアンテナ板65の下方に設けられた誘電体窓66に伝搬する。スロットアンテナ板65から誘電体窓66に伝搬したマイクロ波は、誘電体窓66の下面70から処理チャンバ81内に放射される。誘電体窓66は、例えば石英やアルミナ等の誘電体により略円板状に形成される。
誘電体部材64の上面には、冷却ジャケット63が設けられる。冷却ジャケット63の内部には、冷媒等を循環させるための循環路62が形成されている。循環路62に冷媒等が流れることにより、冷却ジャケット63は、誘電体部材64、スロットアンテナ板65、および誘電体窓66を冷却することができる。
処理チャンバ81の側壁80には、電極76が設けられている。電極76は、ウォールプローブ30に接続されている。電極76の表面は、例えば酸化イットリウム(Y2O3)等によりコーティングされている。電極76と側壁80との間には、絶縁性の部材が設けられており、当該部材により、電極76と側壁80とは電気的に絶縁されている。
また、処理チャンバ81の側壁80には開口87が形成され、当該開口87には、石英等により形成された窓77が設けられる。処理チャンバ81内で生成されたプラズマ中のイオンやラジカルの元素が発する光は、窓77を介してOES40によって受光される。
また、処理チャンバ81の側壁80には開口79が形成され、当該開口79には、ゲートバルブ78が設けられている。処理チャンバ81内にウエハWが搬入される場合、制御部61の制御により、支持部材84が保持台74を開口79の高さまで下降させる。そして、ゲートバルブ78が開放され、ロボットアーム等の搬送装置により、開口79を介してウエハWが搬入され、保持台74上に載置される。そして、制御部61の制御により、ゲートバルブ78が閉じられ、支持部材84が保持台74を所定の高さまで上昇させ、保持台74上のウエハWに対してドーピング処理が実行される。
また、保持台74上に載置されたウエハWに対するドーピング処理が終了した場合、制御部61の制御により、支持部材84が保持台74を開口79の高さまで下降させる。そして、ゲートバルブ78が開放され、ロボットアーム等の搬送装置により、保持台74上のウエハWが搬出される。
上記のような構成により、処理装置50は、ガス供給口72およびガス供給口73から処理チャンバ81内にプラズマ励起用の不活性ガスやドーピングガス等を供給し、処理チャンバ81内を所定の圧力に制御した後に、プラズマ発生機構67により、誘電体窓66の下面から処理チャンバ81内にマイクロ波を放射する。これにより、処理装置50は、処理チャンバ81内にプラズマを生成する。そして、処理装置50は、生成されたプラズマを用いて、ドーピング処理やクリーニング等を実行する。
なお、処理チャンバ81内に生成されたプラズマは、誘電体窓66の下面70の直下、具体的には、誘電体窓66の下面70の数cm程度下方の領域において、電子温度が比較的高いいわゆるプラズマ生成領域を形成する。そして、さらにその下側に位置する領域には、プラズマ生成領域で生成されたプラズマが拡散するいわゆるプラズマ拡散領域が形成される。このプラズマ拡散領域は、プラズマの電子温度が比較的低い領域であり、この領域でプラズマを用いたドーピング処理が行われる。これにより、ドーピング処理において、プラズマによってウエハWが受けるタメージを軽減することができる。また、プラズマ拡散領域では、プラズマの電子密度が比較的高いので、プラズマを用いた効率的なドーピング処理、具体的には、例えばドーピングの処理時間の短縮を図ることができる。
[ウォールプローブ30の構成]
図4は、ウォールプローブ30の一例を示すブロック図である。ウォールプローブ30は、信号発生器31、コンデンサ32、および電圧計測部33を有する。コンデンサ32の一端は、信号発生器31に接続され、コンデンサ32の他端は、処理チャンバ81の側壁80および絶縁部材760を介して電極76に接続されている。また、コンデンサ32の他端は、電圧計測部33に接続されている。
信号発生器31は、制御装置20から計測開始を示す制御信号を受信した場合に、所定周波数の交流信号をコンデンサ32へ出力する。また、信号発生器31は、制御装置20から計測停止を示す制御信号を受信した場合に、交流信号の出力を停止する。
電圧計測部33は、制御装置20から計測開始を示す制御信号を受信した場合に、電極76の電圧の単位時間当たりの変化量の計測を開始し、逐次計測した電圧の変化量の値を制御装置20へ出力する。また、電圧計測部33は、制御装置20から計測停止を示す制御信号を受信した場合に、電極76の電圧の変化量の計測を停止する。
ここで、処理チャンバ81内に生成されたプラズマ中のイオン流束Γionは、例えば以下の(1)式から算出することができる。
Figure 2015213159
ここで、Cはコンデンサ32の容量、eは電荷素量、Sは電極76の表面積、dV/dtは電極76の電圧の単位時間当たりの変化量である。
コンデンサ32の容量、電荷素量、電極76の表面積は既知の値であるため、電圧計測部33によって電極76の電圧の単位時間当たりの変化量を計測することにより、上記(1)式を用いて、処理チャンバ81内に生成されたプラズマ中のイオン流束Γionを算出することができる。また、プラズマ中のイオン流束Γionと、プラズマ中の荷電粒子の密度との間には相関関係がある。そのため、プラズマ中のイオン流束Γionの計算結果から、プラズマ中の荷電粒子の密度を求めることができる。
[制御装置20の構成]
図5は、制御装置20の一例を示すブロック図である。制御装置20は、例えば図5に示すように、データベース21、パラメータ決定支援部22、および制御部23を有する。データベース21には、ドーズ量テーブル、第1の密度テーブル、およびパラメータテーブルが格納されている。
図6は、ドーズ量テーブル210の一例を示す図である。ドーズ量テーブル210には、それぞれのドーパントの種別2100毎に、個別テーブル2101が格納されている。図6に例示したドーパントの種別2100において、「B0」は例えば電気的に中性のボロンを示しており、「B1」は例えば1価のボロンイオンを示しており、「B2」は例えば2価のボロンイオンを示している。
それぞれの個別テーブル2101には、ドーズ量2102に対応付けて、OES40において計測されるドーパントの元素の発光強度2103が格納されている。それぞれの個別テーブル2101内のデータは、実験等により予め計測されてそれぞれの個別テーブル2101内に格納される。それぞれのドーパントの種別2100に対応付けられた個別テーブル2101を参照することにより、OES40によって発光強度が計測されたドーパントのドーズ量を求めることができる。
図7は、第1の密度テーブル211の一例を示す図である。第1の密度テーブル211には、プラズマ中の荷電粒子の密度2110に対応付けて、ウォールプローブ30によって計測される電圧の変化量2111が格納されている。第1の密度テーブル211内のデータは、実験等により予め計測されて第1の密度テーブル211内に格納される。第1の密度テーブル211を参照することにより、ウォールプローブ30によって計測された電圧の単位時間当たりの変化量から、プラズマ中の荷電粒子の密度を求めることができる。
図8は、パラメータテーブル212の一例を示す図である。パラメータテーブル212には、ドーズ量の算出に用いられる物理モデルに含まれるパラメータ2120に対応付けて、パラメータ2120の値2121が格納されている。パラメータテーブル212内のデータは予め格納される。パラメータテーブル212を参照することにより、物理モデルを用いてドーズ量を算出することができる。
図5に戻って説明を続ける。パラメータ決定支援部22は、マウスやキーボード等の入力装置27を介してプラズマ処理装置10のオペレータから入力された各種パラメータを用いて、ドーズ量を算出する。パラメータ決定支援部22は、例えば下記の(2)式に示す物理モデルに基づいて、ドーズ量を算出する。
Figure 2015213159
ここで、上記(2)式において、Qは処理ガスの流量、Pは処理チャンバ81内の圧力、PMWはマイクロ波の電力、PRFは高周波バイアスの電力、TはそれぞれのウエハWについてのドーピング処理の処理時間を示す。また、上記(2)式において、a、b、c、d、およびeは、予め定められた係数を示す。
パラメータ決定支援部22は、入力装置27を介してオペレータから、Q、P、PMW、PRF、およびTの値の入力を受け付け、受け付けた値を用いて、上記(2)式からドーズ量を算出し、ディスプレイ等の出力装置28へ出力する。オペレータは、出力装置28に出力されたドーズ量を見ながら、入力装置27を介して、Q、P、PMW、PRF、およびTの値を調整し、所望のドーズ量となるQ、P、PMW、PRF、およびTの値を決定する。そして、Q、P、PMW、PRF、およびTの値がオペレータによって決定された場合、パラメータ決定支援部22は、決定されたQ、P、PMW、PRF、およびTの値と共に、ドーピング処理の開始を処理装置50に指示する。
制御部23は、処理装置50からウエハWに対するドーピング処理の開始を通知された場合に、ウォールプローブ30およびOES40に計測開始を指示する。そして、制御部23は、ウォールプローブ30から逐次送信される電圧の変化量の計測結果を受信する。また、制御部23は、OES40から逐次送信される元素毎の発光強度の値を受信し、受信した値を、ウエハWに対するドーピング処理の終了が処理装置50から通知されるまで保持する。
そして、制御部23は、処理装置50によるドーピング処理の実行中に、データベース21内の第1の密度テーブル211を参照して、ウォールプローブ30から受信した電圧の変化量の計測結果に対応する荷電粒子の密度を算出する。制御部23は、第1の密度テーブル211に含まれている荷電粒子の密度および電圧の変化量のデータを、例えば直線または曲線でそれぞれ補間することにより、ウォールプローブ30から受信した電圧の変化量の計測結果に対応する荷電粒子の密度を算出する。そして、制御部23は、算出した荷電粒子の密度が所定範囲内にあるか否かを判定する。所定範囲とは、ドーピング処理のレシピに基づいてプラズマが正常に生成された場合に、生成されたプラズマ中に含まれる荷電粒子の密度の範囲である。
算出された荷電粒子の密度が所定範囲内にない場合、処理チャンバ81内のプラズマは正常に生成されておらず、処理装置50に何らかの異常が発生していると考えられる。そのため、この場合、制御部23は、処理装置50にドーピング処理の停止を指示する。そして、制御部23は、出力装置28を介してアラームを出力することにより、オペレータにドーピング処理の異常を通知する。
算出された荷電粒子の密度が所定範囲内にある場合、制御部23は、OES40から受信した元素毎の発光強度の計測結果に基づいて、発光強度の計測値が予め定められた第1の閾値以上か否かを判定する。
ここで、処理チャンバ81内に生成されたプラズマによって発生した堆積物が窓77の表面に付着すると、窓77の透過率が低下し、OES40によって計測される発光強度が低下する。第1の閾値は、窓77の透過率の低下によってOES40による発光強度の計測値が低下する場合に、誤差として許容される計測値の範囲の下限値である。本実施形態において、第1の閾値は、例えばクリーニング後のドーピング処理の開始時にOES40によって計測された発光強度の例えば95%程度の発光強度である。
また、発光強度の計測値が第1の閾値以上か否かの判断に用いられる元素は、発光量が大きい特定の元素を対象としてもよく、プラズマ中に含まれる複数の元素を対象としてもよい。OES40によって計測された元素毎の発光強度が第1の閾値未満となった場合には、処理チャンバ81内のクリーニングが行われ、窓77の表面に付着した堆積物が除去される。
ウォールプローブ30から受信した電圧の変化量の計測結果に基づいて算出した荷電粒子の密度が所定範囲内にあり、かつ、OES40によって計測された元素毎の発光強度が第1の閾値以上である場合、処理チャンバ81内のプラズマは正常に生成されており、堆積物による窓77の透過率の低下も許容範囲内と考えられる。そのため、この場合、制御部23は、引き続き荷電粒子の密度および元素毎の発光強度の監視を続け、処理装置50は、ウエハWに対するドーピング処理を継続する。そして、パラメータ決定支援部22から指示されたパラメータTが示す処理時間が経過した場合、処理装置50は、ウエハWに対するドーピング処理を終了する。そして、処理装置50は、ドーピング処理の終了を制御部23に通知する。
制御部23は、処理装置50からウエハWに対するドーピング処理の終了が通知された場合、ウォールプローブ30およびOES40に計測停止を指示する。そして、制御部23は、ドーピング処理の実行中にOES40から受信した元素毎の発光強度の計測結果を用いて、ドーパントの元素毎に、発光強度の平均値を算出する。そして、制御部23は、データベース21内のドーズ量テーブル210を参照して、ドーパントの元素毎に個別テーブルを特定する。
そして、制御部23は、特定した個別テーブルを参照して、算出した発光強度の平均値に対応するドーズ量をドーパントの元素毎に算出する。そして、制御部23は、例えば下記の(3)式を用いて、ドーパントの元素毎に算出したドーズ量を合計して、ウエハWに注入されたドーパントのドーズ量を算出する。そして、制御部23は、算出したドーズ量の情報を、ドーピング処理を行ったウエハWを識別する情報と共に、出力装置28や外部のサーバ等へ出力する。
Figure 2015213159
ここで、nはドーパントとなる元素の種類の数を示し、Dkはk番目の種類のドーパントのドーズ量を示す。
一方、ウォールプローブ30から受信した電圧の変化量の計測結果に基づいて算出した荷電粒子の密度が所定範囲内にあるが、OES40によって計測された元素毎の発光強度が第1の閾値未満である場合、処理チャンバ81内のプラズマは正常に生成されているものの、堆積物による窓77の透過率の低下が許容範囲を超えていると考えられる。そのため、この場合、制御部23は、処理装置50にドーピング処理の停止を指示する。処理装置50は、処理中のウエハWを処理チャンバ81から搬出する。そして、制御部23は、クリーニングの実行を処理装置50に指示する。制御部23は、クリーニング指示部の一例である。処理装置50は、制御部23からの指示に応じて、クリーニングを実行する。これにより、窓77の表面に付着した堆積物が除去され、窓77の透過率が許容範囲内まで回復する。
ここで、処理装置50によって実行されるクリーニングでは、処理チャンバ81内にウエハWが搬入されていない状態で、処理チャンバ81内にクリーニング用の所定のガスが供給され、処理チャンバ81内が所定の圧力に調整される。そして、プラズマ発生機構67から所定の電力のマイクロ波が処理チャンバ81内に放射されて処理チャンバ81内にプラズマが所定時間生成される。そして、処理チャンバ81内のガスが排気される。これにより、処理チャンバ81の内壁や窓77の表面に付着した堆積物等が除去される。
具体的には、処理チャンバ81内にO2ガスが供給され、処理チャンバ81内が所定の圧力に調整される。そして、プラズマ発生機構67から所定の電力のマイクロ波が処理チャンバ81内に放射され、処理チャンバ81内にO2ガスのプラズマが数十秒間生成された後に、処理チャンバ81内のガスが排気される。次に、処理チャンバ81内にHeガスが供給され、処理チャンバ81内が所定の圧力に調整される。そして、プラズマ発生機構67から所定の電力のマイクロ波が処理チャンバ81内に放射され、処理チャンバ81内にHeガスのプラズマが数十秒間生成された後に、処理チャンバ81内のガスが排気される。これにより、処理チャンバ81内のクリーニングが終了する。
また、制御部61は、クリーニングを実行した後に、処理チャンバ81内にウエハWが搬入されていない状態で、ドーピング処理と同一のレシピで、処理チャンバ81内にプラズマを所定時間生成するプリコート処理を実行する。これにより、処理チャンバ81の内壁が薄い堆積物でコーティングされる。そのため、クリーニングによって新たに処理チャンバ81内に生成された堆積物が、ドーピング処理の実行中に処理チャンバ81内に飛散することを防止することができる。プリコート処理が終了した後、制御部61は、新たなウエハWを処理チャンバ81内に搬入して、ドーピング処理を再開する。
[プラズマ処理装置10の動作]
図9は、第1の実施形態におけるプラズマ処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。プラズマ処理装置10は、例えばプラズマ処理装置10のオペレータからドーピング処理の実行指示を受け付けた場合に、本フローチャートに示す動作を開始する。
まず、制御装置20のパラメータ決定支援部22は、プラズマを用いたドーピング処理における各種パラメータの決定を支援する(S100)。具体的には、パラメータ決定支援部22は、入力装置27を介してオペレータから入力された各種パラメータを用いて、前述の(2)式に基づいてドーズ量を算出し、算出したドーズ量の値を出力装置28へ出力する。オペレータは、出力装置28に出力されたドーズ量を見ながら、入力装置27を介して、Q、P、PMW、PRF、およびTの値を調整し、所望のドーズ量となるQ、P、PMW、PRF、およびTの値を決定する。そして、オペレータによって、Q、P、PMW、PRF、およびTの値が決定された場合、パラメータ決定支援部22は、決定されたQ、P、PMW、PRF、およびTの値と共に、ドーピング処理の開始を処理装置50に指示する。
次に、処理装置50は、処理チャンバ81内にクリーニング用のガスを供給し、処理チャンバ81内を所定の圧力に調整する。そして、処理装置50は、処理チャンバ81内にマイクロ波を供給することにより処理チャンバ81内にプラズマを所定時間生成することによりクリーニングを実行する。そして、処理装置50は、制御装置20から通知された各種パラメータに基づいて、ドーピング処理と同一のレシピで、処理チャンバ81内にプラズマを所定時間生成するプリコート処理を実行する(S101)。
次に、処理装置50は、ゲートバルブ78を開放する。そして、ロボットアーム等の搬送装置により、ウエハWが処理チャンバ81内に搬入され、保持台74上に載置される(S102)。そして、処理装置50は、ゲートバルブ78を閉じ、支持部材84を駆動して保持台74を所定の高さまで上昇させる。そして、処理装置50は、処理チャンバ81内にプラズマ励起用の不活性ガスおよびドーピングガスを供給し、処理チャンバ81内を所定の圧力に制御する。そして、処理装置50は、処理チャンバ81内にマイクロ波を放射し、処理チャンバ81内にプラズマを生成することにより、保持台74上のウエハWに対してドーピング処理を開始する(S103)。そして、処理装置50は、ドーピング処理の開始を制御装置20に通知する。
次に、制御装置20の制御部23は、ウォールプローブ30およびOES40に計測開始を指示する(S104)。そして、制御部23は、ウォールプローブ30から逐次送信される電圧の変化量の計測結果を受信する。また、制御部23は、OES40から逐次送信される元素毎の発光強度の計測結果を受信し、受信した計測結果を保持する。
そして、制御部23は、データベース21内の第1の密度テーブル211を参照して、ウォールプローブ30から受信した電圧の変化量の計測結果に対応する荷電粒子の密度を算出する。そして、制御部23は、算出した荷電粒子の密度が所定範囲内にあるか否かを判定する(S105)。
荷電粒子の密度が所定範囲内にない場合(S105:No)、制御部23は、ウォールプローブ30およびOES40に計測停止を指示し、処理装置50にドーピング処理の停止を指示する。これにより、ウォールプローブ30およびOES40は計測を停止し、処理装置50はドーピング処理を停止する(S112)。そして、制御部23は、出力装置28を介してアラームを出力することによりオペレータにプラズマの異常を通知し(S113)、プラズマ処理装置10は、本フローチャートに示した動作を終了する。
一方、荷電粒子の密度が所定範囲内にある場合(S105:Yes)、制御部23は、OES40から受信した元素毎の発光強度の計測結果に基づいて、発光強度の計測値が第1の閾値以上か否かを判定する(S106)。発光強度の計測値が第1の閾値以上である場合(S106:Yes)、制御部23は、プラズマ中の元素毎の発光強度および荷電粒子の密度の監視を継続する。そして、処理装置50は、ドーピング処理の処理時間が経過したか否かを判定する(S107)。処理時間が経過していない場合(S107:No)、制御部23は、再びステップS105に示した処理を実行する。
一方、処理時間が経過した場合(S107:Yes)、処理装置50は、ドーピング処理を停止し、ドーピング処理の終了を制御装置20に通知する。制御装置20の制御部23は、ウォールプローブ30およびOES40に計測停止を指示する。これにより、ウォールプローブ30およびOES40は、計測を停止する(S108)。そして、制御部23は、ドーピング処理の実行中に、OES40から受信した元素毎の発光強度の計測結果に基づいて、ドーパントの元素毎に、発光強度の平均値を算出する。そして、制御部23は、データベース21内のドーズ量テーブル210を参照して、ドーパントの元素毎にドーズ量を算出する。そして、制御部23は、ドーパントの元素毎に求めたドーズ量を合計して、ウエハWに注入されたドーパントのドーズ量を算出する(S109)。そして、制御部23は、ドーズ量の算出結果を出力装置28等に出力する(S110)。
次に、処理装置50は、支持部材84を駆動して保持台74を開口79の高さまで下降させ、ゲートバルブ78を開放する。そして、ロボットアーム等の搬送装置により、保持台74上のウエハWが搬出される(S111)。そして、処理装置50は、再びステップS102に示した処理を実行する。
また、OES40から受信した元素毎の発光強度の計測値が第1の閾値未満である場合(S106:No)、制御部23は、ウォールプローブ30およびOES40に計測停止を指示し、処理装置50にドーピング処理の停止を指示する。これにより、ウォールプローブ30およびOES40は計測を停止し、処理装置50はドーピング処理を停止する(S114)。そして、制御部23は、出力装置28を介してオペレータにクリーニングの実行開始を通知する(S115)。そして、制御部23は、処理装置50にクリーニングの実行を指示する。処理装置50は、支持部材84を駆動して保持台74を下降させ、ゲートバルブ78を開放する。そして、ロボットアーム等の搬送装置により、保持台74上のウエハWが搬出される(S116)。そして、処理装置50は、再びステップS101に示した処理を実行する。
以上、第1の実施形態について説明した。上記説明から明らかなように、本実施形態のプラズマ処理装置10によれば、プラズマを用いたドーピング処理において、ラジカルを含むドーパントのドーズ量を計測することが可能となる。
[第2の実施形態]
本実施形態におけるプラズマ処理装置10は、OES40の計測結果から算出したプラズマ中の荷電粒子の密度と、ウォールプローブ30の計測結果から算出したプラズマ中の荷電粒子の密度との差が所定値以上となった場合に、処理チャンバ81のクリーニングを行う点が第1の実施形態におけるプラズマ処理装置10とは異なる。また、本実施形態におけるプラズマ処理装置10は、OES40の計測結果を、ウォールプローブ30の計測結果に基づいて補正する点が第1の実施形態におけるプラズマ処理装置10とは異なる。
なお、本実施形態におけるプラズマ処理装置10、制御装置20、ウォールプローブ30、OES40、および処理装置50の構成は、以下に説明する点を除き、図1から図8を用いて説明した第1の実施形態におけるプラズマ処理装置10、制御装置20、ウォールプローブ30、OES40、および処理装置50と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態におけるデータベース21には、ドーズ量テーブル、第1の密度テーブル、パラメータテーブル、および第2の密度テーブルが格納されている。図10は、第2の密度テーブル213の一例を示す図である。第2の密度テーブル213には、プラズマ中の荷電粒子の密度2130に対応付けて、OES40によって計測されるプラズマ中の荷電粒子の発光強度2131が格納されている。第2の密度テーブル213内のデータは、実験等により予め計測されて第2の密度テーブル213内に格納される。第2の密度テーブル213を参照することにより、OES40によって計測された荷電粒子の発光強度の計測結果から、プラズマ中の荷電粒子の密度を算出することができる。
制御部23は、処理装置50によるドーピング処理の実行中に、OES40から受信した元素毎の発光強度の計測結果を用いて、プラズマ中の荷電粒子について発光強度を算出する。プラズマ中に複数の種類の荷電粒子が含まれている場合、制御部23は、例えば、それぞれの荷電粒子の発光強度を合計した値を発光強度として算出する。そして、制御部23は、データベース21内の第2の密度テーブル213を参照して、算出した発光強度に対応する荷電粒子の密度を算出する。
また、制御部23は、データベース21内の第1の密度テーブル211を参照して、ウォールプローブ30から受信した電圧の変化量の計測結果に対応する荷電粒子の密度を算出する。そして、制御部23は、例えば下記の(4)式を用いて、OES40の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DOと、ウォールプローブ30の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DWとの差分ΔDを算出する。
Figure 2015213159
そして、制御部23は、上記(4)式を用いて算出した差分ΔDの値が、予め定められた第2の閾値未満か否かを判定する。第2の閾値は、窓77の透過率の低下によってOES40による発光強度の計測値が低下した場合に、OES40の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度が誤差として許容される範囲に相当する。本実施形態において、第2の閾値は、ウォールプローブ30の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DWの例えば10%である。
ここで、OES40は、窓77の表面に堆積物が付着した場合、窓77の透過率が低下し、発光強度の計測精度が劣化する。そのため、OES40の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DOは、堆積物が多くなると、実際の密度よりも低く算出されてしまう。一方、ウォールプローブ30は、計測の原理上、電極76の表面に付着した堆積物の影響を受けにくい。そのため、処理チャンバ81の内壁に付着する堆積物が多くなると、OES40の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DOと、ウォールプローブ30の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DWとの間の差が大きくなる。本実施形態では、OES40の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DOと、ウォールプローブ30の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DWとの差分ΔDが第2の閾値以上となった場合に、処理チャンバ81内のクリーニングが行われ、窓77の表面に付着した堆積物が除去される。
また、差分ΔDが第2の閾値未満であっても、ドーピング処理が実行されることにより、窓77の表面に付着する堆積物は増加する。そのため、ドーピング処理の実行時間が経過するに従って、OES40によって計測される元素毎の発光強度は、ドーピング処理の開始時点よりも低くなる。一方で、ウォールプローブ30は、計測の原理上、電極76の表面に付着した堆積物の影響を受けにくい。そのため、制御部23は、差分ΔDが第2の閾値未満の場合に、OES40の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DOと、ウォールプローブ30の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DWとを用いて、OES40の計測結果を補正する。
例えば、制御部23は、下記の(5)式を用いて、OES40の計測結果を補正する。
Figure 2015213159
ここで、Iiは、OES40によって計測されたi番目の種類のドーパントの発光強度の計測値であり、Ii'は、補正後のi番目の種類のドーパントの発光強度である。
そして、制御部23は、ドーパントの元素毎に、データベース21内のドーズ量テーブル210を参照して、補正後の発光強度に対応するドーズ量を算出する。そして、制御部23は、前述の(3)式を用いてウエハWに注入されたドーパントのドーズ量を算出する。
[プラズマ処理装置10の動作]
図11は、第2の実施形態におけるプラズマ処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する点を除き、図11において、図9と同じ符号を付した処理は、図9において説明した処理と同様の処理であるため説明を省略する。
ステップS105において、荷電粒子の密度が所定範囲内にある場合(S105:Yes)、制御部23は、OES40から受信した元素毎の発光強度の計測結果を用いて、プラズマ中の荷電粒子について発光強度を算出する。そして、制御部23は、データベース21内の第2の密度テーブル213を参照して、算出した発光強度に対応する荷電粒子の密度を算出する。
また、制御部23は、データベース21内の第1の密度テーブル211を参照して、ウォールプローブ30から受信した電圧の変化量の計測結果に対応する荷電粒子の密度を算出する。そして、制御部23は、前述の(4)式を用いて、OES40の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DOと、ウォールプローブ30の計測結果に基づいて算出された荷電粒子の密度DWとの差分ΔDを算出する。そして、制御部23は、差分ΔDの値が第2の閾値未満か否かを判定する(S200)。
差分ΔDの値が第2の閾値未満である場合(S200:Yes)、処理装置50は、ステップS107に示した処理を実行する。一方、差分ΔDの値が第2の閾値以上である場合(S200:No)、制御部23は、ステップS114に示した処理を実行する。
また、ステップS108において、処理装置50によるドーピング処理が停止し、ウォールプローブ30およびOES40による計測が停止した後、制御部23は、ドーピング処理の実行中に、OES40から受信した計測結果を用いて、ドーパントの元素毎に、発光強度の平均値を算出する。そして、制御部23は、ドーパントの元素毎に、前述の(5)式を用いて、発光強度の計測結果を補正する(S201)。
そして、制御部23は、ドーパントの元素毎に、データベース21内のドーズ量テーブル210を参照して、補正後の発光強度に対応するドーズ量を算出する(S202)。そして、制御部23は、ステップS110に示した処理を実行する。
以上、第2の実施形態について説明した。本実施形態のプラズマ処理装置10によれば、プラズマを用いたドーピング処理において、ラジカルを含むドーパントのドーズ量の計測精度を向上させることが可能となる。
[制御装置20のハードウェア]
なお、上記第1の実施形態または第2の実施形態における制御装置20は、例えば図12に示すようなコンピュータ90によって実現される。図12は、制御装置20の機能を実現するコンピュータ90の一例を示す図である。コンピュータ90は、例えば図12に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、補助記憶装置94、通信インターフェイス(I/F)95、入出力インターフェイス(I/F)96、およびメディアインターフェイス(I/F)97を備える。
CPU91は、ROM93または補助記憶装置94に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM93は、コンピュータ90の起動時にCPU91によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ90のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
補助記憶装置94は、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等であり、CPU91によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。CPU91は、当該プログラムを、補助記憶装置94から読み出してRAM92上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。通信I/F95は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してウォールプローブ30、OES40、および処理装置50からデータを受信してCPU91へ送る。また、通信I/F95は、CPU91が生成したデータを、通信回線を介して、ウォールプローブ30、OES40、および処理装置50へ送信する。
CPU91は、入出力I/F96を介して、入力装置27および出力装置28を制御する。CPU91は、入出力I/F96を介して、入力装置27から入力された信号を取得してCPU91へ送る。また、CPU91は、生成したデータを、入出力I/F96を介して出力装置28へ出力する。
メディアI/F97は、記録媒体98に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、補助記憶装置94に格納する。記録媒体98は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
コンピュータ90のCPU91は、RAM92上にロードされたプログラムを実行することにより、データベース21、パラメータ決定支援部22、および制御部23の各機能を実現する。また、ROM93または補助記憶装置94には、データベース21内のデータが格納される。
コンピュータ90のCPU91は、RAM92上にロードされるプログラムを、記録媒体98から読み取って補助記憶装置94に格納するが、他の例として、他の装置から、通信回線を介してプログラムを取得して補助記憶装置94に格納してもよい。
なお、開示の技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記した各実施形態において、制御装置20は、オペレータからの操作に応じて各種パラメータの決定を支援し、処理装置50は、オペレータが決定した各種パラメータに従って、プラズマを用いたドーピング処理を実行する。そして、制御装置20は、ウォールプローブ30およびOES40の計測結果に基づいて、各ウエハWのドーズ量を算出する。しかし、開示の技術はこれに限られない。例えば、制御装置20は、ウォールプローブ30およびOES40の計測結果に基づいて算出したドーズ量と、オペレータが決定した各種パラメータに基づいて算出されたドーズ量との差が小さくなるように、ドーピング処理の各種パラメータの値を、オペレータが決定した値から変更するようにしてもよい。
また、上記した各実施形態では、クリーニングを行うか否かは、ドーピング処理の実行中に判定される。そのため、クリーニングが行われる場合には、ドーピング処理が中断され、処理中ウエハWは搬出されて破棄される。しかし、開示の技術はこれに限られない。例えば、制御部23は、所定数以上のウエハWについてドーピング処理が実行された場合に、ウエハW1枚当たりのOES40の計測結果の変化量を算出する。そして、制御部23は、次のウエハWに対するドーピング処理の途中でクリーニングを実行することになるか否かを、次のウエハWに対するドーピング処理を開始する前に判定するようにしてもよい。これにより、次のウエハWに対するドーピング処理の途中でクリーニングを実行することになると判定された場合には、次のウエハWに対するドーピング処理を行う前にクリーニングを実行することができる。これにより、破棄されるウエハWの数を減らすことができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 プラズマ処理装置
20 制御装置
30 ウォールプローブ
40 OES
50 処理装置

Claims (6)

  1. 内部に被処理基板が配置され、ドーパントとなる元素を含有するガスのプラズマにより前記被処理基板にドーパントを注入する処理チャンバと、
    前記処理チャンバ内に生成された前記プラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電圧の変化を計測するウォールプローブと、
    前記プラズマ中のドーパントの発光強度を計測するOES(Optical Emission Spectrometer)と、
    前記ウォールプローブによる計測結果と、前記OESによる計測結果とに基づいて、前記被処理基板に注入されたドーパントのドーズ量を算出する算出部と
    を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記算出部は、
    前記ウォールプローブによって計測された電圧の変化に対応する前記荷電粒子の密度が所定範囲内である場合に、前記OESによる計測結果を用いて前記ドーズ量を算出することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記ウォールプローブによって計測された電圧の変化に対応する前記荷電粒子の密度が所定範囲内であり、かつ、前記OESによって計測された前記ドーパントの発光強度が第1の閾値未満である場合に、前記処理チャンバのクリーニングを指示するクリーニング指示部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記プラズマ中のドーパントに含まれる粒子の種別毎に前記OESによって計測された発光強度に基づいて前記プラズマ中の荷電粒子の密度を算出し、算出した前記荷電粒子の密度と、前記ウォールプローブによって計測された電圧の変化に対応する前記荷電粒子の密度との差が、第2の閾値以上である場合に、前記処理チャンバのクリーニングを指示するクリーニング指示部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記算出部は、
    前記ウォールプローブによる計測結果を用いて、前記OESによる計測結果を補正することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  6. 処理チャンバの内部に被処理基板を配置し、ドーパントとなる元素を含有するガスのプラズマにより前記被処理基板にドーパントを注入する工程と、
    前記処理チャンバ内に生成された前記プラズマ中の荷電粒子の密度に応じた電圧の変化を、ウォールプローブを用いて計測する工程と、
    前記プラズマ中のドーパントの発光強度を、OESを用いて計測する工程と、
    前記ウォールプローブによる計測結果と、前記OESによる計測結果とに基づいて、前記被処理基板に注入されたドーパントのドーズ量を算出する工程と
    を含むことを特徴とする計測方法。
JP2015075530A 2014-05-05 2015-04-02 プラズマ処理装置および計測方法 Pending JP2015213159A (ja)

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