JP4447155B2 - 電磁波抑制熱伝導シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波抑制熱伝導シートに関するもので、より具体的には電子回路内の熱やノイズを除去するための構造の改良に関する。
【0002】
【発明の背景】
コンピュータ,家電製品,自動車,産業用機器等の各種機器は、その機器の各機能の制御に半導体素子を用いた電子回路が組み込まれている。そして、電子回路をデジタル化することでより一層の高速な処理能力を備えた回路が考案されている。
【0003】
特に、パソコン,ノートブックパソコンその他のコンピュータの場合、情報通信の発達に伴って常に処理速度の高速化が求められている。このCPUの動作周波数の高周波化にともない、消費電力が増大し、CPU表面が高温度になるため、そのままでは熱暴走の問題が生じる。そこで、熱対策が必要となるが、従来、熱対策としては一般に放熱板やヒートパイプなどが使われている。そして、CPUからの熱を効率的に放熱板に伝達するために、CPUの表面と放熱板の間に、シリコーンの熱伝導シートを介在させるようにしている。
【0004】
そこで放熱する必要が生じるが、係る放熱対策として、従来例えば特開平9−111124号に示されるように、平均粒子径が0.1〜50μmである10〜90重量%のシリカ微粉末と、平均粒子径が0.1〜5μm(但し、5μmを除く)である90〜10重量%のアルミナ微粉末からなる熱伝導性充填材を、40〜90重量%含有して形成する熱伝導性シリコーンゴム組成物がある。
【0005】
また、CPUの動作周波数の高周波化及び消費電力の増大は、放射ノイズの電界強度が増大することで、従来のシールド,パターン配置,リングコア,インピーダなどのノイズ対策では、対処しきれなくなった。
【0006】
そして、ノイズ対策としては、例えば、特開平7−212079号に示されるように、導電性支持体の表面に絶縁性軟磁性体層を積層し、さらに、その絶縁性磁性体層の表面に誘電体層を形成した構造の電波吸収体がある。絶縁性軟磁性体層は、有機結合剤で軟磁性体粉末を固めたものである。この電波吸収体を、ノイズ対策の対象となる半導体素子等の上に置くことになる。
【0007】
しかしながら、係る特開平7−212079号に開示された発明では、ノイズ対策は一応できるものの、熱伝導性が充分でない。そのため、CPU等の放熱対策が必要とされる半導体素子への装着は困難である。また、特開平10−106821号公報には、薄いシート状のノイズ対策シートをIC等にかぶせるような構成をとっている。しかし、CPUと放熱板が実装された構成では、実装する箇所が無い。
【0008】
ノートブックでのノイズ対策シートの一例としては、特開平11−335472号公報に示されるように、ノイズ対策シートをCPUと放熱板の間に挟み込んだ例が示されている。しかし、ノイズ対策シートの熱伝導率は1.5W/m・K程度で、ノートブックに要求される放熱シートの熱伝導率には、およばない。
【0009】
さらに、ノイズ対策と放熱対策の両方を実現することのできるものとして、例えば、特開平10−92988号公報に示されたものがある。この公報に開示された発明は、ヒートシンク自身を磁性粉及び熱伝導充填材を樹脂で硬化させた構成のため、アルミ等の放熱板に比べると熱伝導が劣り、ノートブックパソコンの要求する熱伝導率を実現できない。
【0010】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記した問題を解決し、CPU等の高熱と高周波ノイズを発生するようなIC・半導体製品などに対し、ノイズ対策を施すとともに、熱対策(放熱対策)も行うことのできる電磁波抑制熱伝導シートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明に用いられる電磁波抑制シートでは、中央部に矩形状の貫通孔が形成された扁平なシート状に形成される。そして、材質としては、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体を混合して成形された軟質性シートであったり、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体と熱伝導充填剤を混合して形成された軟質性シートであったり、熱可塑性樹脂に軟磁性粉体を混合して成形されたゴム性のシートであったり、フェライト燒結体であったりすることができる。
【0012】
この構成では、シリコーン系樹脂や熱可塑性樹脂中に充填された軟磁性粉体や、フェライト燒結体によって、DC〜20GHzまでの広い周波数帯域で高い複素透磁率(μ´−jμ″)が得られるようになる。特に、100MHz〜数GHzにおいては複素透磁率の虚数項(μ″)が大きくなる。
【0013】
この複素透磁率の虚数項(μ″)は、高周波インピーダンスの抵抗成分(R)と比例関係にあり、虚数項(μ″)が増加するにつれ電磁エネルギーは熱に変換されやすくなる。このように熱に変換することにより、電波ノイズが吸収される。
【0014】
この複素透磁率の虚数項(μ″)は、高周波インピーダンスの抵抗成分(R)と比例関係にあり、虚数項(μ″)が増加するにつれ電磁エネルギーは熱に変換されやすくなる。このようにノイズとなる電磁波を熱に変換することにより、放射ノイズが抑制される。
【0015】
そして、CPU等のノイズは、主に中心部のチップ部からソケットピンに至る線路から放射され、放熱板を介してシールドに結合されるコモンモードのノイズである。従って、ノイズの原因である線路がチップの周囲に配置されているために、電磁波抑制シートを、中心部を除いた枠状にしてもノイズ抑制効果が充分に得られる。
【0016】
これに加えて、一般に放熱シートの誘電率(ε′)が約5程度に比べて、フェライト系の電磁波抑制シートでは誘電率(ε′)が30程度、金属系の電磁波抑制シートでは誘電率(ε′)が100程度あり、電界結合のノイズを励振させる可能性がある。電界の結合分布は、シートの中心に集中するため、中央部に貫通孔を形成した構造にすることによって、電磁波抑制シートの電界結合を防止する作用効果も同時に有する。
【0017】
また、シリコーン系樹脂は他の樹脂と比較して高い熱伝導性と耐熱性を持つが、有機物に比べ高い熱伝導性を有する軟磁性粉体と混合することで、シリコーン系樹脂をベースにした本発明のシートは、シリコーン系樹脂単体の熱伝導率より高くなる。また、フェライト燒結体の熱伝導性も良好となる。
【0018】
従って、熱可塑性樹脂をベースにしたものを除く本発明の電磁波抑制シートを半導体素子等の対象物品の表面に接触させると、対象物品から発生する熱は、電磁波抑制シートにより吸熱され、シート内を熱伝導し、熱が外部に放出される。そして、例えばヒートシンク等の放熱部品と対象物品の間に本発明の電磁波抑制シートを介在させると、対象物品から発生する熱を効率良く放熱部品に伝達させることができ、放熱効果が向上する。
【0019】
さらに、シリコーン系樹脂をベースにしたものの場合、軟質性シートとなり、本発明の電磁波抑制シートを対象物品の表面に対し、相対的に押し付けるようにして接触させた場合、その表面形状に沿って軟質シートの表面(接着面)も変形し、隙間なく密着する。従って、接触面での熱抵抗が少なく上記した熱吸収に伴う放熱対策がより顕著に発揮する。このことは、電波ノイズの吸収においても同様のことが言える。
【0020】
さらに、シリコーン系樹脂自身の粘着性により粘着材を使わずに対象物品の表面へ実装できるようになる。また、粘着材を使う必要がなくなると、回路基板上のノイズ発信源となる対象物品に電磁波抑制シートを直に接触させることができるので、ノイズの吸収性が向上する。
【0021】
一方、軟磁性粉体としては、例えばフェライト系軟磁性粉体,金属系軟磁性粉体の少なくとも一方とすることができる。また、金属系軟磁性粉体としては、パーマロイ,センダスト,ケイ素鋼,パーメンジュール,純鉄,磁性ステンレス鋼のいずれか1つ以上とすることができる。このように構成すると、熱伝導率が向上する。
【0022】
そして、フェライト系軟磁性粉体を用いた場合には、体積抵抗率が1011Ω・cm以上と高く、絶縁特性を必要とする場合有効であり、また、誘電率が小さいため電波の反射が小さくなる。金属系軟磁性粉体の場合は、フェライト系軟磁性粉体と比べ体積抵抗率が低く、電波の反射は大きくなる。よって、要求される仕様等に応じて適宜の材質を選択することになる。
【0023】
さらに、特にフェライト系軟磁性粉体は、金属系に比べて安価であるとともに、主に100MHz〜数GHzの範囲で効果的に電磁波抑制が機能する。一方、金属系軟磁性粉体は、偏平状にすることでフェライト系に比べて高い透磁率が得られるため、特に低周波数領域でフェライト系以上の効果が得られる。これらの軟磁性粉体を使い分けることで、ユーザーの製品に応じた特性の電磁波抑制効果を与えることができる。また、必要に応じては、2種類以上の軟磁性粉体を組み合わせて混合することも可能である。
【0024】
さらにまた、シリコーン系樹脂に軟磁性体と熱伝導充填剤を混合した場合には、熱伝導充填剤によって電磁波抑制シートの熱伝導率がさらに向上する。そして、熱伝導充填剤としては、例えば、Al,ZnO,MnO等の非磁性無機物粉体を用いることができる。
【0025】
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、塩素化ポリエチレンや脱塩素系樹脂などを用いることができる。さらに、フェライト燒結体は、MnZn系,MgZn系,NiZn系,六方晶系のいずれかから構成するとよい。
【0026】
一方、CPU等の中心部に発熱源があるものの場合、上記した電磁波抑制シートでは、中央に貫通孔があるので、上記発熱源の上方に貫通孔を位置させることができる。すると、主に熱伝導を目的とした軟質性放熱シートを直接発熱源の上面に直接配置することができる。ノイズ対策と熱対策が同時に可能となる。また、この場合に中央部で発生した熱は、熱拡散・熱伝導等によりその周囲に伝わるが、係る伝わった熱は、電磁波抑制シートにより放熱することができる。
【0027】
本発明に係る電磁波抑制熱伝導シートでは、上記の電磁波抑制シートと、その電磁波抑制シートに形成された貫通孔内に配置される軟質性放熱シートとを備え、前記軟質性放熱シートは、シリコーン系樹脂に熱伝導充填剤を混合して形成することができる。
【0028】
また、別の解決手段としては、上記の電磁波抑制シートと、その電磁波抑制シートに形成された貫通孔を塞ぐようにして、前記電磁波抑制シートの上に支持される軟質性放熱シートとを備え、前記軟質性放熱シートは、シリコーン系樹脂に熱伝導充填剤を混合して形成することができる。
【0029】
本発明によれば、軟質性放熱シートが、発熱源と放熱板等の間を熱的に接続することで、効率良く放熱板及びヒートパイプ等に熱が伝達される。以上の効果を両立する構成により、ノイズ対策と熱対策が同時に可能となる。
【0030】
従って、口の字状に成形された軟質性シートの熱伝導率は高いほうが好ましい。また、軟質性放熱シートに混合される熱伝導充填剤は、非磁性無機物粉体として、例えば高純度のAl,ZnO,MnO,窒化硼素(BN)等の非磁性無機物粉体を用いることができる。この場合に、1種類若しくは異種材質を組み合わせることができる。そして、係る非磁性無機物粉体を高充填することで熱伝導率は10W/m・K程度が得られ、ノートブックパソコンで充分な熱伝導性能が得られる。
※用語の定義
「軟質性シート」とは、対象物品の表面に押し付けた際に弾性変形し、シート表面が対象物品の表面形状に沿った形状に変形するような軟らかさを持つシートである。そして、対象物品から離した場合に、元のシート形状に戻るような弾性復元力は必ずしも有している必要はない。そして、一例としては、ゴム硬度で評価すると50以下のものが該当する。もちろん、このゴム硬度は目安であり、それ以上のものでも上記の特性を有していればよい。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1,図2は、本発明の第1の実施の形態を示している。本形態において、ノイズ対策,熱対策を施す対象となるCPU1は、平面略矩形の扁平形状を有し、中央は演算処理を行うチップ部本体1aは、肉厚に形成されている。また、周縁部1bの底面には、多数のソケットピン1cが取り付けられ、CPU1をボードに実装した際には、このソケットピン1cを介して回路に接続され、信号の送受が行われる。従って、高速に演算処理をしている稼動時は、主にチップ部1aの表面が高熱に発熱し、また、ノイズは、信号の送受を行うソケットピン1cさらにはチップ部1aとソケットピン1cを結ぶリードパターンが存在するCPU1の周縁部1bから発生する。
【0032】
上記した構成のCPU1に対し、本形態では、チップ部1aの上面に、平面形状が略同一の矩形状の軟質性放熱シート2を配置する。この軟質性放熱シート2は、後述するように熱伝導率が良好な材質で構成されている。そして、この軟質性放熱シート2の外周囲を囲むようにして配置される電磁波抑制シート3を、CPU1の周縁部1bの上面に配置する。つまり、電磁波抑制シート3は、矩形状で、中央部に貫通孔3aが形成されている。この貫通孔3aは、チップ部1a、つまり軟質性放熱シート2の平面形状と同一或いは一回り大きい矩形状からなる。
【0033】
さらに、軟質性放熱シート2の肉厚に比べ、電磁波抑制シート3の肉厚を厚くしている。そして、その肉厚の差は、周縁部1bの上面からチップ部1aの上面までの高さに一致させるか、若干小さくする。これにより、軟質性放熱シート2と電磁波抑制シート3を、それぞれCPU1の上面所定位置に配置した状態では、両シートの上面が、ほぼ一致するか、或いは、電磁波抑制シート3の方がやや低くなるようになる。
【0034】
そして、これら両シート2,3の上を覆うようにして、放熱板4を置く。この放熱板4の側面にはヒートパイプ5が接続されている。これにより、少なくとも放熱板4と軟質性放熱シート2が密着する。これにより、CPU1のチップ部1aで発生した熱は、軟質性放熱シート2を介して放熱板4に至り、ヒートパイプ5から放熱される。
【0035】
さらに、CPU1のチップ部1aと、放熱板4を熱的に接続するために、高熱伝導の軟質性放熱シート2をCPU1と放熱板4の間に挟み、軟質性放熱シート2に放熱板4の荷重が加わるような構造とするのが好ましい。係る構成を採ると、軟質性放熱シート2の両面が、それぞれチップ部1aと放熱板4の表面に密着し、断熱層となる空気層が存在せず、効率良く熱を伝えることができる。
【0036】
一方、CPU1のノイズは、主に中心部のチップ部1aからソケットピン1cに至る線路から放射され、放熱板4を介してシールドに結合されるコモンモードのノイズである。従って、ノイズの原因である線路が周縁部1bに配置されているために、電磁波抑制シート3を、中心部を除いた口の字状にしても充分なノイズ抑制効果が得られる。
【0037】
つまり、本形態では、ノイズ発生源となるCPU1の周縁部1bの上を覆うようにして電磁波抑制シート3を配置することにより、ノイズの漏れを抑制する。そして、電磁波抑制シート3は、中央部に貫通孔3aを設けており、その貫通孔3aは、CPU1の発熱源となるチップ部1aの上方に位置する。従って、係る貫通孔3a内に熱伝導性の良好な軟質性放熱シート2を配置することにより、CPU1で発生した熱を、効率良く放熱板4に伝達することができ、熱対策が行える。
【0038】
そして、係る構成を採るためには、例えば、軟質性放熱シート2の方が上方に突出するようにしたり、軟質性放熱シート2に比べて電磁波抑制シート3の方がゴム硬度が低く、充分に柔軟性のある構造とするとよい。
【0039】
次に、各シートの材質について説明する。まず、軟質性放熱シート2は、シリコーン系樹脂に熱伝導充填剤を混合し、シート状に成形することにより構成される。熱伝導充填剤としては、例えば、Al等の非磁性無機物粉体を用いることができる。また、非磁性無機物粉体は、Alに限られることはなく、熱導電性の高い酸化亜鉛、酸化銅等の酸化物粉体や金属粉体を用いてもよい。
【0040】
また、電磁波抑制シート3は、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体を混合して、所定形状に成形される。これにより、本形態では、電磁波抑制シート3も軟質性シートとなる。そして、軟磁性粉体としては、フェライト系軟磁性粉体や金属系軟磁性粉体などがあり、いずれでもよいし、両者を混合してもよい。そして、フェライト系軟磁性粉体としては、Mn−Zn系フェライト,Ni系フェライト,Mg−Zn系フェライトなど各種のものを用いることができる。そして、Ni系フェライトを用いると熱伝導が最もよくなるので、好ましい。
【0041】
また、軟磁性電磁波抑制シート3は、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体と熱伝導充填剤を混合して、形成しても良い。熱伝導充填剤としては、Al等の非磁性無機物粉体を用いることができる。これにより、軟磁性電磁波抑制シート3においても熱伝導性が高くなる。すると、チップ部1aからの熱の一部は、周縁部1bにも伝達するが、係る周縁部1bに伝達された熱も、軟磁性電磁波抑制シート3を介して放熱板4側に伝達させ、放熱することができる。なお、非磁性無機物粉体は、Alに限られることはなく、酸化亜鉛,酸化銅等の酸化物粉体や金属粉体を用いてもよい。
【0042】
また、混合する軟磁性粉末の種類を選択または組み合わせることで、ユーザーの製品の周波数など、異なる性能条件に合わせて柔軟に対応することが可能となる。また、これらの電磁波抑制シートは容易に付け外しが可能であり、さまざまな複素透磁率の条件のシートを容易に比較検討することが可能である。
【0043】
図3,図4は、本発明の第2の実施の形態を示している。この実施の形態では、上記した第1の実施の形態と相違して、電磁波抑制シート3の貫通孔3aの内形状よりも、軟質性放熱シート2の外形状を一回り大きくしている。これにより、軟質性放熱シート2を電磁波抑制シート3の貫通孔3aを塞ぐように配置すると、軟質性放熱シート2の周縁が電磁波抑制シート3に支持され、一体化する。換言すると、電磁波抑制シート3を枠材として使用する。これにより、CPU1の上に実装する際に、電磁波抑制シート3のみを持った状態で行うことができる。従って、高熱伝導性を有するために、非常に薄く、破れやすいという性質を有し、比較的脆弱で取り扱いが困難な軟質性放熱シート2をピンセット等で直接触れることなく、実装することができる。よって、実装の作業性が向上する。
【0044】
なお、軟質性放熱シート3がCPU1のチップ部1aの上面に密着するようにするため、電磁波抑制シート2の厚さは、チップ部1aの突出量とほぼ同じにしている。また、軟質性放熱シート3は、電磁波抑制シート2の上に乗ることから、電磁波抑制シート2と放熱板4との間に隙間が存在する。従って、放熱板4の荷重は軟質性放熱シート3にかかるので、本実施の形態では、電磁波抑制シート3は、必ずしも柔軟性が無くても良い。
*実験結果
上記した第2の実施の形態のものをノートブックパソコンに実装してノイズ・熱対策を行った場合と、係るノイズ・熱対策を行わない場合のそれぞれについて、放射ノイズの抑制効果を確認した。測定は、10m法の電波暗室で、規格はCISPR Pub.22 Class Bに基づいて行った。その結果、本発明品は図5,図6のような周波数特性が得られ、対策なしのものは図7,図8に示すような周波数特性が得られた。
【0045】
実験に使用したノートブックパソコンは、CPUのクロック周波数が500MHzであり、最も高いノイズレベルは、500MHzに見られる(図7,図8参照)。これに対して本発明品を実装することで、特別な構造変更を加えることなく100MHz〜500MHzの帯域にわたって、6dB〜10dBのノイズ抑制効果を得ることができた(図5,図6参照)。
【0046】
これは、一般に普及しているフェライトのリングコアの対策効果にせまる抑制効果であり、これらの効果を新たに付加することが可能となる。また、実験に使用したシートの寸法形状並びに特性は、以下のようである。なお、電磁波抑制シートは、Alとフェライトを混合し、熱伝導性も良好にしたものを用いている。
【0047】
【表1】
Figure 0004447155
【0048】
また、電磁波抑制シート2の材料定数として、複素透磁率(μ′,μ″)や複素誘電率(ε′,ε″)の周波数特性を調べたところ、図9,図10に示すようになった。図から明らかなように、DC〜20GHzまでの広い周波数帯域で高い複素透磁率(μ´−jμ″)が得られるようになる。特に、100MHz〜数GHzにおいては複素透磁率の虚数項(μ″)が大きくなるので、係る周波数帯域において電磁エネルギーは熱に変換されやすくなる。よって、電波ノイズが吸収されることが確認できる。
【0049】
また、上記した実施の形態では、電磁波抑制シート2として、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体を混合したり、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体と熱伝導充填剤を混合して形成した例について説明したが、本発明ではこれに限ることはなく各種の材料で形成することができる。
【0050】
一例としては、塩素化ポリエチレン若しくは脱塩素系樹脂などの熱可塑性樹脂に軟磁性粉体を混合することにより製造されるゴム性のシートにより、所定の寸法形状からなる電磁波抑制シート2を形成することもできる。ここで用いられる軟磁性粉体は、上記した各実施の形態と同様である。さらに、軟磁性粉末は、1種或いは複数種を混合しても良いのはもちろんである。また、適用可能な構造としては、第1,第2の実施の形態のいずれも可能である。
【0051】
そして、シリコーン系樹脂をベースにしたものは、ある程度粘着性を有するので、そのままCPU1の上に置くことにより横ずれなどせずに密着して固定されるが、熱可塑性樹脂をベースとした場合には、係る効果が薄いので、例えば両面テープなどを用いてCPU1及びまたは放熱板4に固定すると良い。
【0052】
本形態では、放熱効果はないものの、ノイズ抑制を確実に行える。その他の構成並びに作用効果は、上記した各実施の形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0053】
さらにまた、電磁波抑制シート2は、中央に矩形状の貫通孔を有する扁平なフェライト燒結体によって構成することもできる。このフェライト燒結体も、両面テープ等を用いてCPU1及びまたは放熱板4に固定することになる。そして、使用するフェライトとしては、MnZn系,MgZn系,NiZn系,六方晶系などいずれのものも用いることができる。さらに、フェライト燒結体の場合、熱伝導性も良好であるので、放熱効果も期待できる。そして、このフェライト燒結体を用いたものにおいても、第1,第2の実施の形態のいずれにも適用可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る電磁波抑制シート及び電磁波抑制熱伝導シートでは、CPU等に対する熱対策構造を損なうことなく、電磁波抑制効果を付加することで、ノートブックPCでの熱対策とノイズ対策を両立することができる。従って、ノイズ対策のために新たに構造設計または回路設計などが不要となり、設計変更に係る時間と費用を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明の効果を立証するための実験結果を示す図である。
【図6】本発明の効果を立証するための実験結果を示す図である。
【図7】本発明の効果を立証するための実験結果(比較例)を示す図である。
【図8】本発明の効果を立証するための実験結果(比較例)を示す図である。
【図9】本発明の効果を立証するための実験結果を示す図である。
【図10】本発明の効果を立証するための実験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 CPU
1a チップ部
1b 周縁部
1c ソケットピン
2 軟質性放熱シート
3 電磁波抑制シート
3a 貫通孔
4 放熱板
5 ヒートパイプ

Claims (2)

  1. 中央部に矩形状の貫通孔が形成された電磁波抑制シートと、
    その電磁波抑制シートに形成された前記貫通孔内に配置される軟質性放熱シートとを備え、
    前記電磁波抑制シートは、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体を混合して成形された軟質性シート、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体と熱伝導充填剤を混合して形成された軟質性シート、熱可塑性樹脂に軟磁性粉体を混合して成形されたゴム性のシート、扁平なフェライト燒結体のいずれかであり、
    前記軟質性放熱シートは、シリコーン系樹脂に熱伝導充填剤を混合して形成されたことを特徴とする電磁波抑制熱伝導シート。
  2. 中央部に矩形状の貫通孔が形成された電磁波抑制シートと、
    その電磁波抑制シートに形成された前記貫通孔を塞ぐようにして、前記電磁波抑制シートの上に支持される軟質性放熱シートとを備え、
    前記電磁波抑制シートは、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体を混合して成形された軟質性シート、シリコーン系樹脂に軟磁性粉体と熱伝導充填剤を混合して形成された軟質性シート、熱可塑性樹脂に軟磁性粉体を混合して成形されたゴム性のシート、扁平なフェライト燒結体のいずれかであり、
    前記軟質性放熱シートは、シリコーン系樹脂に熱伝導充填剤を混合して形成されたことを特徴とする電磁波抑制熱伝導シート。
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