JP4446636B2 - 短繊維製造装置 - Google Patents

短繊維製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4446636B2
JP4446636B2 JP2001292115A JP2001292115A JP4446636B2 JP 4446636 B2 JP4446636 B2 JP 4446636B2 JP 2001292115 A JP2001292115 A JP 2001292115A JP 2001292115 A JP2001292115 A JP 2001292115A JP 4446636 B2 JP4446636 B2 JP 4446636B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotating body
plastic
short fiber
manufacturing apparatus
side wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001292115A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002173820A (ja
Inventor
正夫 小西
Original Assignee
正夫 小西
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 正夫 小西 filed Critical 正夫 小西
Priority to JP2001292115A priority Critical patent/JP4446636B2/ja
Priority to US10/078,257 priority patent/US6783708B2/en
Publication of JP2002173820A publication Critical patent/JP2002173820A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4446636B2 publication Critical patent/JP4446636B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心力を利用して熱可塑性プラスチックを短繊維となす短繊維製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維毛を得るための処理技術としては押出し成形法が一般的であり、押出し機等に内蔵された混練スクリューによって機械的かつ強制的にプラスチック粒子の分散または細分化を求めるとともに、スクリューの押出し圧力によって先端ノズルからプラスチックを溶出させることによって繊維毛を得ていた。しかし、このような溶融紡糸法で非相溶な関係にある種々雑多なプラスチックに溶融混練を施した場合、スクリューの強制的な分散粒子の剪断とポリマーの細分化が繰り返されるため、非相溶なポリマー同士の混練によって得られるポリマーは低分子化したポリマーであり、延伸性を備えた繊維毛を得ることができなかった。
【0003】
特開昭59−179811号公報または特開平6−322606号公報等において遠心力を利用した繊維化装置が提案されているが、いずれもフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を繊維化するための装置である。すなわち、フェノールの溶液を回転を施すことで触媒反応を求めるための繊維化装置であって、吐出後における固形化および冷却作用における触媒反応に要点を置くものである。
【0004】
従来、熱可塑性プラスチックから繊維毛を得るための繊維化技術は、押出し紡糸法が一般的であった。押出し紡糸法ではシリンダー外部からの放熱と合わせ、押出し機に内蔵された混錬スクリューによってプラスチックを溶融し、機械的かつ強制的にプラスチックを押し出し、吐出ノズルから溶融紡糸させることによってプラスチック繊維を安定的に得ていた。
【0005】
しかし、このような機械的かつ強制的な溶融紡糸方法では、複合素材等から成る種々雑多のプラスチックを同時に溶融させようとした場合、内蔵するスクリューにより機械的かつ強制的に分散または剪断が施されるところとなる。その折、各々のポリマーには細分化と混合が繰り返し施されることとなり、得られるプラスチック繊維は脆化した低分子ポリマーから成るプラスチック繊維であり、本来必要とされる高分子特有の延伸性または粘弾性機能を備えたプラスチック繊維を紡糸することができなかった。
【0006】
さらに、遠心紡糸装置としては、特開昭62-104908号公報、特開昭62-17052号公報、特開2000-50511号公報等において遠心力を利用した繊維化装置が開示されている。しかし、いずれの遠心紡糸装置においてもガラスまたは炭素系ピッチ繊維または押出し機を併用した回転遠心紡糸装置等であり、その他開示されている何れの遠心紡糸装置においても溶融または液状化素材としての前処理を求めた後に遠心装置へ供給することを前提条件としており、プラスチックの粉砕片または複合素材のまま、原材料として供給することができなかった。試みに既存の遠心紡糸装置へ複合素材を投入し、具備された熱ヒーター等でプラスチックを溶融・ゲル状と化した後に吐出させてプラスチック繊維を紡糸したところ、回転紡糸皿に具備されたヒーター熱等の外周熱からの放熱作用では、ポリマーの溶融、賦形、固化の過程において熱履歴の影響を受けるため、炭化または酸化等といった劣化現象が発生した。そのため、吐出されたプラスチックは針または棒のように脆化した繊維として紡糸されるに留まり、プラスチック繊維の紡糸を達成することができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
新商品の開発とともにプラスチック素材の複合化が行われており、それら複合化されたプラスチック製品が一旦廃棄物として処分された折には、プラスチック素材の分離・分別が非常に困難となる。
【0008】
たとえば結晶性プラスチックPP(ポリプロピレン)と非結晶性プラスチックPVC(ポリ塩化ビニル)50:50からなる複合プラスチックを粉砕し、機械的混練機(ニ軸押出し機)によって溶融紡糸を試みた場合、混練機に内蔵されたスクリューによって個々のポリマーは分散と結合を繰り返し施されるが、その際PPとPVCのポリマーが反応、低分子化につながり、延伸性の備わった繊維毛を得ることはできなかった。そのため、従来、完全にプラスチックを分離した後、PPのみの溶融紡糸を求めるなど、完全なる分離・分別が廃プラスチック再生利用のための最低処理条件とされている。
【0009】
本発明者は、廃プラスチックの再生利用には、延伸性を備えた短繊維への処理を事前に施すことが有効であるとの認識に基づき、そのためには非相溶系の異種プラスチックあるいは複合化プラスチック製品の廃棄物であっても分離・分別することなく、種々雑多な廃プラスチックが混在した状態のまま処理を施して個々のプラスチックを延伸性を備えた短繊維毛となすことを技術的課題とするものである。
【0010】
PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレ−ト)等雑多種類が混在した状態でプラスチック廃棄物は存在する。これらプラスチック廃棄物に対してプラスチックリサイクルを進めるためには、従来からの再生処理方法では、一旦プラスチック素材を識別した後、厳選された素材のみを溶融し、成形加工を施すに留まり、雑多種類の混在したプラスチック素材をもって、物理的強度が備わった再生品へと処理するのは困難とされていた。従来の溶融成形方法では、仮にPVCをマトリックスとし、異樹脂であるPEの混入を求めたPVC/PE混合樹脂から再生品を得ようとした場合、PVC/PEの境界面に熱歪または剥離または亀裂等が発生し、とても製品としての価値観と物理的強度を求めることができなかった。
【0011】
本発明では、資源の有効利用を目的に雑多種類に混在するプラスチック素材に溶融成形を施した場合、再生品に発生する熱歪または剥離または亀裂の原因となるポリマーの凝集エネルギーを抑制するために、事前にプラスチックを溶融し、分子配向を求める事で、連鎖状高分子から構成される単繊維へと改め、粘弾性・延伸性を備えたプラスチック繊維を紡糸するための短繊維製造装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の短繊維製造装置は、外周に出口を配置した原材料収容室を有する回転体で構成され、複数種類のプラスチック粉砕片を固形物の状態で前記原材料収容室に供給し、前記回転体の回転に伴う遠心力の作用により、プラスチックの流動体を前記出口から吐出させて短繊維となすものであって、前記出口の内側に樹脂溜槽を設け、前記回転体に隣接して加熱装置を設け、前記回転体の半径方向に複数の温度領域を設け、各領域の温度を互いに独立に調節可能としたことを特徴とする。従来の処理方法で粉砕またはポリマーの分散によって溶融混練を求めた場合、成形体に発生するポリマーの凝集エネルギーを処理できなかったものであるところ、本発明は、加熱溶融したプラスチックを遠心力を利用して繊維化することで、非相溶なプラスチックの混合溶融状態においても個々のポリマーに分子配向を求め、連鎖状高分子の短繊維を得るものである。廃棄物たるプラスチック製品は殆どが非相溶な関係にあるプラスチック素材からなる複合化したプラスチック製品として構成されているため、プラスチックの再生処理を図るには、これら非相溶の関係にある異種プラスチックの混合状態においては、相互のプラスチックに溶融を求めるため、プラスチック同士の反応により低分子化へと発生させることなく、延伸性を確保した繊維としての構成を確保することが必要である。そのためには、機械的混練等によってポリマーの分散化およびプラスチック粒子の切断を発生させるのではなく、熱源を外部に求めることによってプラスチックを高分子の構成のまま溶融状態へと導くとともに、スクリューの押出し圧力に相当する押圧力を回転体の回転に伴う遠心力と樹脂溜槽による流動圧力の変化(増圧)とによって溶融ポリマー自体に作用させることで、延伸性を備えた短繊維を得ることができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の短繊維製造装置において、前記樹脂溜槽の断面積が前記回転体の外径側にゆくほど減少していることを特徴とする。この断面積の減少は吐出圧力の増加を意味する。たとえば、請求項3の発明のように、前記樹脂溜槽が、前記回転体の回転方向で見て進み側に位置する側壁と遅れ側に位置する側壁を有し、進み側の側壁と遅れ側の側壁とが角度をなしている。この場合、進み側の側壁と遅れ側の側壁を対称とするほか、請求項4の発明のように、遅れ側の側壁が前記回転体の半径方向に沿い、進み側の側壁が前記遅れ側の側壁に対して角度をなした構成とすることにより、回転体の半径方向に沿った遅れ側の側壁が回転方向に対して垂直な圧力壁として作用し、増圧効果を高める。また、この場合、進み側の側壁は回転方向に対して傾斜しているため、溶融プラスチックを樹脂溜槽内に導入する役割を果たす。このときの進み側の側壁の傾斜角をプラスチックの流入角と呼ぶことができる。
【0014】
このように、溶融プラスチックを一旦樹脂溜槽に貯えつつ、プラスチックの流入角によって急激に樹脂溜槽の断面積または容積が減少することで、プラスチックの流動圧力を増幅することが可能となる。加えて、回転体の遠心作用を出口に集中させることで、プラスチックの流動方向に対して分子の配向を求めることができるとともに、遠心力によってさらに延伸性が備わった繊維を得ることができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1の短繊維製造装置において、前記原材料収容室の断面積が、前記回転体の外径側にゆくほど減少していることを特徴とする。言い換えれば、原材料プラスチックの流動方向で見て先細りの断面形状である。先細りの態様はテーパまたは勾配のいずれであってもよい。このような構成とすることによって、回転体の外径側すなわち出口に近づくほど原材料プラスチックに対する圧力が増幅される。
【0016】
記回転体に隣接して設た加熱装置は原材料収容室内の原材料プラスチックを加熱して溶融させる。機械的混練ではなく外部熱源によって加熱溶融したプラスチックは、ポリマーが分散されることなく、連鎖状高分子の形態のまま遠心力の作用で樹脂溜槽へと流動する。加熱装置は回転体の上面側もしくは下面側または両側に配置する。加熱装置としては電気式、赤外線式、熱媒体式その他の適当なヒータを選択して、あるいは組み合わせて、採用することができる。高周波加熱を採用することもできる(請求項8、9)。
【0017】
記回転体の半径方向に複数の温度領域を設け、各領域の温度を互いに独立に調節可能としたことにより、原材料収容室に供給された異種プラスチックが、その融点に応じて別々の位置で溶融する。
【0018】
請求項の発明は、請求項1の短繊維製造装置において、前記回転体を分離可能な上半体と下半体とで構成したことを特徴とする。このような構成とすることにより、出口や樹脂溜槽の加工が容易となるばかりでなく、洗浄その他の保守・点検も容易となる。たとえば、上半体と下半体のそれぞれの合わせ面に半円形断面の溝を設けておくことにより、両者を合わせた状態で円形断面の孔の形態をした出口が形成される。あるいは、上下の半体間に外周リングを介在させ、その外周リングに吐出口を設けることもできる。吐出口を備えた吐出金具を外周リングに取り外し可能に取り付けるようにしてもよい。さらに、吐出口の内壁に断面凹または凸の形状を付与してプラスチックの流動を抑制するようにしてもよい。
【0019】
請求項の発明は、請求項の短繊維製造装置において、前記上半体の中心部に原材料供給のための中空円筒部を設けたことを特徴とする。これにより、連続的な原材料供給が可能となる。たとえば、投入ホッパの排出口を、あるいは、予熱、乾燥その他の前処理装置を設置した場合にはその排出口を、前記中空円筒部内に挿入することによって、回転体の回転を停止させることなく、原材料を供給することができる。
【0020】
本発明では、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の雑多種類が混在したプラスチック複合素材を原料とし、粘弾性・延伸性を備えたプラスチック繊維を得るための短繊維の製造を提供するものである。従来の溶融紡糸法または遠心紡糸法等によって、雑多種類からな複合合素材を基に、紡糸を試みた場合、得られるプラスチック繊維は、針または棒のように脆化または劣化した繊維しか得ることができず、プラスチックの特徴である粘弾性および延伸性を備えたプラスチック繊維を紡糸することができなかった。その理由と原因について調査・研究を進めた結果、以下のような要因を探求することができた。
(1)複合素材の溶融混合に対しては、ポリマーの粒子の細分化および分散と同時に施した場合、得られるプラスチック繊維は、棒のように脆化した繊維へと変化する。
(2)溶融過程に対する、溶融・賦形・固化といった進化する時間過程を必要以上に長く求めた場合、得られるプラスチック繊維は、熱履歴の影響から炭のように劣化した繊維へと変化する。
(3)複合素材の溶融混合に対しては、各々のポリマーの凝集エネルギーに抑制を求めないかぎり、混合物には熱歪の発生または相分離等への影響を抑えることができない。
【0021】
本発明では、プラスチック複合素材に要因するとする脆化または劣化原因に対して、プラスチック粉砕片または複合素材等とした固形物の素材状態から素早く各々のポリマーに分子配向を求め、溶融紡糸を施すことで、粘弾性・延伸性の備えたプラスチック繊維を紡糸することが可能であるとの知見を得た。
【0022】
そのため本発明では、高周波誘導加熱を起用して、プラスチックの溶融温度を的確に制御・管理するとともに、高速回転に伴う遠心力を併用することで、敏速に各々のポリマーに対して分子配向を求めることで粘弾性を兼ね備えた繊維を紡糸することを特徴とするものである。
【0023】
本発明では、原材料の供給を求める原材料収容室を回転体と成し、回転体の近傍に誘導体を設置する。誘導体に高周波電流を流すことで、回転体自身に交番磁束を発生させる。その際、誘導体に流れる高周波電流の抵抗と周波数等を変化させることで、非接触と成す回転体の表面から、交番磁束の発生に伴うジュール熱の発生を求め、局部的に回転体自身の発熱作用が得られる。
【0024】
これは、既に開示されている特開昭62-238807号公報特開昭62-104908号公報、特開2000-505511号公報等に開示されている、ヒーター熱または熱風などといった外部からの放熱が施される外部加熱作用と異なり、回転体自身を放熱体と成すことが可能となるとともに、交番磁束を発生させ、電磁誘導による発熱を局部的な部分とする樹脂溜り槽に施すことで、熱履歴の影響を極力少なく留め、高速回転に伴う遠心力で、素早く紡糸させることで、複合素材とする各々のポリマーに分子配向を求めることが可能となり、延伸性・粘弾性を兼ね備えたプラスチック短繊維の溶融紡糸を可能としたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1に示す実施の形態では、原材料投入部10と、前処理部20と、紡糸部30とで短繊維製造装置が構成されている。
【0026】
原材料投入部10は投入ホッパ12からなり、投入ホッパ12の下部に形成された円筒形の排出口14を、前処理部20を構成するスクリュー機構の原材料供給口に接続してある。
【0027】
前処理部20はここではスクリュー機構で構成され、スクリュー機構はケーシング22内にスクリュー24を収容し、電動機等の駆動装置26によりスクリュー24を回転駆動するようになっている。ケーシング22の先端に円筒形の排出管28を備えている。
【0028】
紡糸部30は上下一対の半体32,34からなる回転体と、回転体(32,34)を回転駆動するための駆動装置36と、回転体(32,34)に隣接して配置された加熱装置38とを備える。ここでは上半体32の上面側および下半体34の下面側にそれぞれ加熱装置38を設けてある。また、図示する実施の形態では、回転体(32,34)の半径方向に複数、ここでは3基の熱媒体38a,38b,38cを配設し、互いに独立に任意の温度設定が可能とした場合を例示してある。
【0029】
回転体を構成する上半体32と下半体34は分離可能である。上半体32の中央部には垂直にたち上がった中空円筒部32aが形成され、この中空円筒部32aにスクリュー機構の排出管28を挿入してある。下半体34はカップリング34aを介して駆動装置36の出力軸と連結している。駆動装置36としては電動機を例示することができる。
【0030】
上半体32と下半体34は相互間に原材料収容室40を形成し、この収容室40は断面形状が図示するようにテーパ状あるいは楔状で、外径側にゆくほど断面積が小さくなっている。収容室40の外周部には樹脂溜槽42が形成されている。この樹脂溜槽42は、図3に示すように、符号rで示す回転体(32,34)の半径方向に延びる半径方向側壁44と、半径方向rに対して角度をなす傾斜側壁46とで囲まれた、略三角形の平面形状を呈している。樹脂溜槽42の三角形の頂点部分に、半径方向の出口48が位置する。
【0031】
図3は、上半体32と下半体34に半円形断面の溝を形成し、図1および図2のように両者32,34を突き合わせた状態で円形断面の細孔の形態をした出口48が形成されるようにした場合を示している。回転体を下半体34のみで構成した開放型の場合などには出口48は溝の形態をとることができる。上半体32の外周面に出口48の上部に突出したオーバーハング部32bを設けてある。このオーバーハング部32bは、出口48から溶出する短繊維の舞い上がりを抑制し、また、出口48付近に空気流を発生させて冷却効果を発揮する。
【0032】
ここで、回転体(32,34)は図3に符号Rで示す矢印の向きに回転するものとする。上述のような形状であるため、樹脂溜槽42の断面積は、回転体(32,34)の外径側に至るほど小さくなっている。周知のとおり、回転体(32,34)の回転に伴って発生する遠心力は、回転中心からの距離が長くなるほど大きくなる。樹脂溜槽42に溜まった溶融プラスチックは、遠心力の作用で、出口48から流出しようとする。その際、樹脂溜槽42の断面積が回転体(32,34)の外径側に至るほど小さくなっていることから、溶融プラスチックはいわゆる押せ押せの状態で出口48に殺到することとなる。
【0033】
次に、上記装置における処理方法を説明する。
【0034】
原材料プラスチックとして種々雑多な廃プラスチック粉砕片を分離・分別することなくホッパ12に投入する。たとえば、PPとPVC(50:50)をそれぞれ3mm角〜5mm角程度に粉砕してホッパ12に投入する。
【0035】
続いてこの原材料プラスチックをホッパ12の排出口14から前処理部20に導入する。スクリュー機構によって搬送される間にプラスチック片に付着または混在している水分を除去するとともに、事前に十分予熱調整を行う。たとえば、回転体(32,34)に投入される以前に原材料プラスチックを60℃〜150℃程度に加熱して予備軟化処理を施す。
【0036】
その後、スクリュー機構の排出管28から上半体32の円筒部32aを経由して、紡糸部30の原材料収容室40に供給する。このとき回転体は既に回転しており、原材料収容室40に落下投入されたプラスチック片は、遠心力の作用で、原材料収容室40の外周に位置する樹脂溜槽42に搬送される。
【0037】
その間にプラスチック片は、回転体(32,34)の上下に配置した熱媒体38a,38b,38cによって加熱され、溶融あるいは流動化する。熱媒体38a,38b,38cは、たとえば回転体の内周側から外周側に向かって低温域、中温域、高温域といった温度変化を構成させることで、低融点プラスチックは回転体の内部から溶融状態となり、流動状となった溶融プラスチックは遠心力の作用で樹脂溜槽42へと流動することとなる。同様に高融点プラスチックは、高温域に至って溶融状態となり、流動状となって樹脂溜槽42へと一旦蓄積される。
【0038】
流動化したプラスチックは、樹脂溜槽42に設けられた圧力壁によってさらに増圧されることで、出口48から噴出する。その際、個々のプラスチックに流動化を求めるとともに、回転体32,34の回転に伴う遠心力によってプラスチックの分子配向を整えつつ、延伸性を備えた短繊維毛を得ることができる。高速回転中に溶融したプラスチックは、遠心力の作用によってプラスチックの延伸性の機能を求めることができるとともに、小径の出口48から溶出することによってポリマーに配向性を与えることができる。さらに、高速回転に伴いオーバーハング部32bにより出口48周辺に冷風を発生させることでポリマーが冷却されるため、繊維に延伸性の機能を求めることができる。
【0039】
図4に示す実施の形態では、上・下に分割可能で、内部に原材料収容室50を形成した回転体(51,52)が、軸継手54を介して電動機55の出力軸と連結されている。回転体(51,52)は原材料収容室50に原材料を投入するための投入口56を備えている。投入口56は図示しない静止部材に支持され、回転体(51,52)とは縁が切れている。回転体(51,52)の回転に伴う遠心力の作用で、原材料収容室50に投入された原材料は外周側に移動する。
【0040】
原材料収容室50の外周には、図5に示すように、樹脂溜り槽57が画成される。図示のとおり、樹脂溜り槽57は回転体の外径側にゆくほど断面積が減少している。樹脂溜り槽57の先端は吐出口61に連通している。吐出口61は吐出金具60を貫通している。符号53は回転体(51,52)を構成する上下半体間に介在させたリングを指している。このリング53の円周方向複数箇所に吐出金具60を分離可能に取り付けてある。吐出口61の内径をD、長さをLで示してある。吐出口61の内周壁面にはらせん状の耐圧溝62を形成してある。
【0041】
ここでは加熱装置として高周波加熱装置70(図4)を採用している。回転体周囲の、原材料収容室50とりわけ樹脂溜り槽57に隣接する領域に、高周波電流を流すための誘導体(コイル)71を配設してある。
【0042】
細かく粉砕されたプラスチック片は、原材料投入口56から供給される。この場合、粉砕片の大きさは特に細かく定める必要性もなく、複合化したプラスチック片を3mm〜10mm程度に粉砕し、投入口56より供給する。既述のとおり、投入口56は回転体(51,52)とは縁が切れているため、投入されたプラスチック片は、遠心力の作用を受けることなく、原材料収容室50へと落下する。原材料収容室に落下した粉砕片は、毎分500〜2000回転する回転体の遠心力により、外周に設けられた樹脂溜り槽57へと流れ込み、一旦樹脂溜り槽に貯蔵されることとなる。樹脂溜り槽57付近の回転板の上・下には、高周波電流を流すための誘導体71が装備されており、周波数30KHz〜300MHz、高周波出力0.5Kw〜100Kwの高周波電流を供給すると、回転体の表面には交番磁束に伴う電磁誘導が発生する。電磁誘導の発生する加熱材の表面では、電流密度が高くなり、電気エネルギーを熱エネルギーに変換させることで、磁界の集中した樹脂溜り槽57の表面から発熱を求めることで安定的なプラスチックの溶融が可能となる。ヒーター熱および熱風等の熱媒体等による外部加熱方法では、温度上昇の分布範囲が広範囲に広がることと、高速回転する回転板との間で発生する空気摩擦による放熱を抑制することが困難であることから、溶融・賦形・固化といった一連の温度条件の設定を非常に細かく定める溶融条件に対しては適さない。高周波加熱を採用することにより、樹脂溜り槽を局部的に、内面より加熱することができる。
【0043】
誘導体71に高周波電流を供給することにより、樹脂溜り槽が局部的に内部より加熱され、プラスチックが溶融する。樹脂溜り槽では、遠心力の作用により、プラスチックは常に圧密状態に押されている。そのため局部的な誘導加熱現象により溶融したプラスチックは、ゲル状と化した後、遠心力の作用により、劣化または酸化反応へと変化することなく、吐出口61へ流動する。
【0044】
ゲル状と化したプラスチックは吐出口61から溶け出て、高速回転に伴う空気摩擦によりさらに延伸されることで、各々のポリマーに分子配向を求め、弾性・延伸性を備えた高分子特有なプラスチック繊維を紡糸することが可能となるが、雑多種類から成る高分子ポリマーを同時に溶融し、吐出を試みた場合、新たな高分子結合を回転体内で求めることは困難となる。そのため、吐出されるポリマーは、一定量に定まった短繊維として吐出され、回転に伴う遠心力と空気摩擦抵抗に耐え切れずに吐出口61から抜け落ちてしまう。そこで、こういった短繊維の吐出条件に合わせ、吐出口の内壁面に十分な側壁面を確保するとともに、吐出口の内壁面に凹凸形の耐圧溝62を設けることで、高速回転に伴う遠心力と吐出され延伸される繊維の空気摩擦抵抗に対抗できるだけの流動耐圧面を吐出口に設け、安定的に溶融物の流動状態を制御する。
【0045】
高周波加熱によって溶融されたプラスチックは、遠心力の作用により外周壁に押し付けられる。樹脂溜り槽57は、回転体の外径側に至るほど断面積が小さくなっている。したがって、樹脂溜り槽の容積は外径側に至るほど徐々に小さくなる。この樹脂溜り槽の体積変化による増圧作用と遠心力の作用とが相俟って、溶融プラスチックを吐出口に向かって流動させる。
【0046】
さらに、プラスチックは高分子溶融体として極めて高い粘弾性を保持しており、複合素材を基に短繊維を曳糸する場合、従来の遠心紡糸装置とは逆に回転板の遠心力と延伸される繊維の空気摩擦抵抗に対抗できるだけの流動耐圧が吐出口に求められる。そこで、回転体(51,52)とは別の、特殊な材料で構成した吐出金具60で吐出口61を形成し、高い粘弾性を保持したプラスチック繊維の吐出または紡糸に伴う摩擦抵抗に対抗できるだけの流動耐圧面を確保するとともに、耐圧溝62を設けることで、遠心紡糸に耐えうるだけの流動耐圧性を吐出口に付与した。素材に依存する剪断粘度によっても対応が必要されるため、吐出金具60は交換可能な分離構造としてある。
【0047】
従来の遠心紡糸装置における吐出口は、回転板の外周側壁面に多数の孔を設けることで、液状または溶融物を多量に吐き出させるようにしてあった。たとえば、特開昭57-154416号公報によれば、溶融粘度10〜100ポイズ以内で、温度280〜400℃の気体を合わせて吐出させて紡糸するとあって、吐出口に対する流動性を低粘度・高温の熱媒体と合わせることで吐出量を高める方法を開示しており、吐出口には流動性を増加または抑制するための機能を備えていなかった。
【0048】
具体的には、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)の複合素材における吐出条件に対応する吐出口の構造を例示するならば表1のとおりである。
【0049】
【表1】
Figure 0004446636
【0050】
また、素材条件に伴って、回転数・高周波加熱等の諸条件は適宜調整することとする。
【0051】
【実施例】
具体的実施例として、PP(ポリプロピレン)比重0.95とPVC(ポリ塩化ビニル)比重1.20の複合素材を3〜10mm程度に細かく粉砕し、高速回転する材料収容室へ供給し、回転板の回転数を毎分600回転とし、同時に周波数150MHz、出力5Kw、溝内温度180〜190℃になるように高周波を供給し、遠心紡糸を試みたところ、繊維径0.1〜0.3mm、引張り降状点応力20〜30MPa、破断点伸び率300〜650%のプラスチック短繊維を得た。詳細は表2のとおりである。
【0052】
【表2】
Figure 0004446636
【0053】
【発明の効果】
プラスチック廃棄物のほとんどは再資源化を施すための素材の分離・分別を求めることが困難とされるため、その結果として焼却または埋立処分としての単純処分に委ねられ、資源の有効活用を求めることができなかったが、本発明によって種々雑多なプラスチック廃棄物に分離・分別を求めることなく、短繊維へと再生処理を施すことが可能となることで、プラスチック廃棄物の有効活用材とする原材料に置換することが可能となり、そのため新たな再生品市場の構成を求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す、装置の一部を断面にした立面図である。
【図2】図1の装置の部分拡大図である。
【図3】図2におけるIII矢視図である。
【図4】本発明の別の実施の形態を示す、図1と類似の一部破断立面図である。
【図5】図4における吐出口部分を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
10 原材料投入部
12 ホッパ
14 排出口
20 前処理部
22 ケーシング
24 スクリュー
26 駆動装置
28 排出管
30 紡糸部
32 上半体(回転体)
32a 中空円筒部
32b オーバーハング部
34 下半体(回転体)
34a カップリング
36 駆動装置
38a 加熱装置
38b 加熱装置
38c 加熱装置
40 原材料収容室
42 樹脂溜槽
44 側壁
46 側壁
48 出口
50 原材料収容室
51,52 回転体
53 リング
54 軸継手
55 電動機
56 原材料投入口
57 樹脂溜り槽
60 吐出金具
61 吐出口
62 耐圧溝
70 高周波加熱装置
71 誘導体(コイル)

Claims (9)

  1. 外周に出口を配置した原材料収容室を有する回転体で構成され、複数種類のプラスチック粉砕片を固形物の状態で前記原材料収容室に供給し、前記回転体の回転に伴う遠心力の作用により、プラスチックの流動体を前記出口から吐出させて短繊維となすものであって、前記出口の内側に樹脂溜槽を設け、前記回転体に隣接して加熱装置を設け、前記回転体の半径方向に複数の温度領域を設け、各領域の温度を互いに独立に調節可能としたことを特徴とする短繊維製造装置。
  2. 前記樹脂溜槽の断面積が前記回転体の外径側にゆくほど減少していることを特徴とする請求項1の短繊維製造装置。
  3. 前記樹脂溜槽が、前記回転体の回転方向で見て進み側に位置する側壁と遅れ側に位置する側壁を有し、進み側の側壁と遅れ側の側壁とが角度をなしていることを特徴とする請求項2の短繊維製造装置。
  4. 遅れ側の側壁が前記回転体の半径方向に沿い、進み側の側壁が前記遅れ側の側壁に対して角度をなしている請求項3の短繊維製造装置。
  5. 前記原材料収容室の断面積が前記回転体の外径側にゆくほど減少していることを特徴とする請求項1の短繊維製造装置。
  6. 前記回転体を分離可能な上半体と下半体とで構成したことを特徴とする請求項1の短繊維製造装置。
  7. 前記上半体の中心部に原材料供給のための中空円筒部を設けたことを特徴とする請求項6の短繊維製造装置。
  8. 前記加熱装置が高周波誘導加熱装置である請求項の短繊維製造装置。
  9. 原材料収容室に隣接して誘導加熱を発生させるための誘導体を具備し、高周波加熱の作用により、プラスチックを溶融・流動させた後、回転体の遠心力によってプラスチックを吐出させて短繊維となすことを特徴とする請求項の短繊維製造装置。
JP2001292115A 2000-09-25 2001-09-25 短繊維製造装置 Expired - Fee Related JP4446636B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001292115A JP4446636B2 (ja) 2000-09-25 2001-09-25 短繊維製造装置
US10/078,257 US6783708B2 (en) 2001-09-25 2002-02-20 Method and device for producing short fibers

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-290799 2000-09-25
JP2000290799 2000-09-25
JP2001292115A JP4446636B2 (ja) 2000-09-25 2001-09-25 短繊維製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002173820A JP2002173820A (ja) 2002-06-21
JP4446636B2 true JP4446636B2 (ja) 2010-04-07

Family

ID=26600668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001292115A Expired - Fee Related JP4446636B2 (ja) 2000-09-25 2001-09-25 短繊維製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4446636B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101884696B1 (ko) * 2016-01-15 2018-08-03 나필찬 나노섬유 방사 장치
KR101823995B1 (ko) * 2016-01-18 2018-02-01 경북대학교 산학협력단 나노섬유 방사장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002173820A (ja) 2002-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9821492B2 (en) Process for recycling plastic materials
US5942170A (en) Process of and apparatus for preparing thermosetting polymer pellets
US5009586A (en) Agglomerating apparatus for the continuous regranulation of thermoplastic wastes
TWI517959B (zh) 用於製備塑料材料的裝置
US10465059B2 (en) Single and twin screw extruders with ultrasound horns for decrosslinking and devulcanization
US6783708B2 (en) Method and device for producing short fibers
JPH05508122A (ja) 少なくとも二つの異なる熱可塑請材料を含む出発原料を新たな均質な熱可塑性材料に変換する方法及び装置
US6513737B2 (en) Apparatus and process for pulverization of a polymeric material
JP4446636B2 (ja) 短繊維製造装置
CN107627608A (zh) 一种fdm打印废料的回收再生装置
KR20190115605A (ko) 고주파히팅부를 구비한 이종수지 재생장치와 이를 이용한 재생방법
WO2014123432A1 (en) Small-scale thermoplastic recycling apparatus and method for producing fiber strands for insulation
US3748074A (en) Apparatus for plasticizing thermoplastic synthetic resin
CN201900692U (zh) 一种生产无机物微粒包覆塑料粒子的设备
WO2009051027A1 (en) Resin molding apparatus
CN102363333A (zh) 一种生产无机物微粒包覆塑料粒子的设备
KR100866308B1 (ko) 폐필름 재생기
JP2000153170A (ja) 樹脂組成物の製粉装置
CN100415489C (zh) 离心式挤出机
WO2005065829A1 (en) Mixing chamber improvements
JP3695683B2 (ja) 樹脂組成物の製粉装置
CN212446203U (zh) 一种用于熔喷熔融聚合物的挤出机
JP2004025734A (ja) プラスチックの再生処理方法及びその装置
RU2160332C1 (ru) Установка для получения волокнистого материала из утиля и отходов термопластов
US4050874A (en) Centrifugal extrusion apparatus which heat plastifies material by mechanical shearing action

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091021

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20091111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100105

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100119

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130129

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees