JP4446419B2 - ウレタンローラの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタンローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関し、特には、トナー供給が良好であり、電子写真装置や静電記録装置における各種ローラとして好適に使用することのできるウレタンローラを簡略な工程により得ることができる、ウレタンローラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置や静電気録装置等においては、電子写真プロセスにおける帯電、トナー層形成、現像、クリーニング、給紙、搬送等の各工程で、トナー供給ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、搬送ローラ等の、弾性材料や樹脂材料からなるローラが多様な役割を果たしている。
【0003】
これらの各種ローラ部材、特にはトナー供給ローラに多く使用されているのが、ローラ軸の外周にウレタン材料を主成分とするウレタンフォーム層が形成されてなるウレタンローラである。かかる各種ローラ部材としてのウレタンローラにおいては、表面が平滑で接触対象物を傷つけないこと、トナー供給性に優れていること、部材に要求される適正な硬度を備えていることが要求される。
【0004】
これら各種ローラ部材として用いるウレタンローラの製造方法としては、ローラ軸の表面にウレタンブロックを担持させ、このウレタンブロックの外面を加工して円筒状のローラ形状に成形する方法がある。しかし、この方法では、得られるローラ表面に研磨等の後加工による毛羽立ちが残って不良の原因となったり、製造工程が煩雑になるために生産性が低下してしまうなどの問題があった。
【0005】
これに対し、外形形成のための後加工を必要としないウレタンローラの製造方法として、筒型内において、ウレタンフォームと金軸とを一体的に発泡成形する方法が提案されている(特開平9−274373号、特開平5−188774号公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法において得られるローラ表面は平滑な薄膜のスキン層により覆われているため、特に、トナー供給ローラとして使用する場合には、表面からのトナーの出入りが行われず、スムーズなトナーの供給を妨げることとなる。また、ウレタンフォーム内部のセルが閉じているために、セル内のガスが収縮してウレタンブロックの収縮を引き起こすという問題点もあった。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記の問題を解消して、平滑で欠陥のない表面性、特には、良好なトナー供給性を有するウレタンローラを、従来になく簡略化された工程により得ることができるウレタンローラの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のとおりである。
(1)軸の外周に一体的にウレタンフォーム層が成形されたウレタンローラを金型内に導入する導入工程と、該金型内を減圧して前記ウレタンフォーム層表面のスキン層を破泡させる破泡工程と、を含み、前記金型として、内壁表面に微細な凹凸を有する金型を用いることを特徴とするウレタンローラの製造方法である。
【0010】
(2)前記(1)の製造方法において、前記破泡工程において、前記金型内を1×10〜1×10Paまで減圧する製造方法である。
【0011】
(3)前記(1)または(2)の製造方法において、前記金型として、前記ウレタンローラの外径よりも1〜10mm大きい内径を有する金型を用いる製造方法である。
【0012】
(4)前記(1)〜(3)のうちいずれかの製造方法において、前記ウレタンフォーム層の比重が0.01〜0.6g/cmの範囲である製造方法である。
【0013】
前述の、後加工を必要とする従来のウレタンローラの製造方法においては、ウレタンブロックの収縮を防止する等の目的のために、セル膜を圧搾空気により破泡させる技術は知られているが、この方法は、その後のローラ形状形成のための後加工との組み合わせにより所望のローラを得るためのものであり、ウレタンブロックの作製と、その後のセル膜の破泡と、所望のローラ形状への加工処理との各段階を必要とするために、製造工程が非常に煩雑となっていた。本発明の製造方法においては、型内において、ローラ形状の成形を行い、次いで、セル膜の破泡を行うことができることから、良好なローラ性能の実現と製造工程の簡略化とを同時に図ることを可能としたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき具体的に説明する。
本発明のウレタンローラの製造方法においては、図1に示すように、真空ポンプ4と、リーク管5とを備えた金型2を用い、まず、この金型2内に、表面にスキン層を有するウレタンローラ1を導入した後、気密にする。
【0015】
即ち、導入工程として、金型2内にウレタンローラ1を導入して、密封した後、破泡工程として、金型2内を真空ポンプ4を用いて減圧する。本発明においては、かかる破泡工程における減圧により、金型2内のローラ1のウレタンフォーム層の内部セルを急激に膨張させることで、空気圧によりスキン層を容易に破泡させることができる。ここで、ウレタンフォーム層の内部セルを急激に膨張させるには、金型2内の減圧を瞬時に行うことが好ましい。そのためには、図1に示すように金型2と真空ポンプ4との間に空気室6を設け、先ず、バルブ3aを閉じバルブ3cを開いた状態で空気室6を減圧にし、しかる後、バルブ3cを閉じ、バルブ3aを一気に開くことにより金型2内を瞬時に減圧することができる。このようにしてスキン層を破泡させることにより、特にはトナー供給ローラとして用いた際に表面のトナーの出入り性が良く、良好な表面性能を有するウレタンローラを容易に得ることが可能となる。
【0016】
この際の金型2内の圧力としては、好ましくは1×102〜1×104Pa、より好ましくは5×102〜4×103Paまで減圧する。金型2内の圧力が1×102Pa未満であると減圧に時間がかかり、効率が悪くなるため好ましくなく、一方、1×104Paを超えると破泡状態が不均一となる場合があるため、好ましくない。
【0017】
本発明においては、スキン層の破泡をより確実に行うために、金型2の内壁表面に、微細な凹凸を設けておくことが好ましい。これにより、膨張したウレタンフォーム層表面の薄いセル膜部分の破泡をより容易に導くことができる。かかる凹凸としては、例えば、内壁表面に多孔層を設けるものであってもよく、特に制限はされないが、セル膜部分以外のローラ表面に引っ掻き等の傷を生じさせないものであることが重要となる。凹凸の形成は、例えば、内壁表面に放電加工、エッチング加工、ブローチ加工、電鋳めっき等を施すか、または、フィルム等にあらかじめ所望の凹みをつけたものを型内に密着させ、若しくは貼り付ける等の方法により行うことができる。あるいはまた、金型2の内壁表面を、例えば、米粒大の粒が互いに接着することにより形成されるようなポーラス状とし、これにより金型2内の減圧を良好に行わしめるようにしてもよい。
【0018】
また、金型2の内径は、内部でローラを膨張させることを考慮して、ローラの外径よりも1〜10mm大きくしておくことが好ましい。ローラの外径との差が1mm未満であるとローラが膨張しきれず破泡しにくいため好ましくなく、一方、10mmを超えると減圧に時間がかかり効率が悪くなるため好ましくない。
【0019】
上記工程により破泡を行った後、バルブ3aを閉じ、リーク管5によりリークを行い、減圧された金型2内を常圧に戻す。尚、真空ポンプ4およびリーク管5と金型2との接続は、図1に示すように、パイプの途中に夫々バルブ3a,3bを設けて、また空気室6を設けるときにはさらにバルブ3cを設けて、これを操作することにより行うことができる。
【0020】
金型2に導入するウレタンローラ1は、軸の外周に一体成形によりウレタンフォーム層を設けたローラであり、特に制限はないが、本発明の上記工程に供し、良好に破泡させるためには、ローラのウレタンフォーム層の比重が、0.1〜0.6g/cm3の範囲であることが好ましい。0.1g/cm3未満であると急減圧時にフォームが柔らかすぎて不均一な破泡状態となるため好ましくなく、一方、0.6g/cm3を超えると急減圧時、フォームが硬いために膜だけでなく骨格も破壊するおそれがあるため好ましくない。
【0021】
ウレタンフォーム層の材料としては、樹脂中にウレタン結合を含むものであれば、特に制限はない。ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、THF−アルキレンオキサイド共重合体ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物、フォスフェート系ポリオール、ハロゲン含有ポリオール等を好適に用いることができる。
【0022】
また、イソシアネート成分についても特に制限はなく、汎用であるTDI、MDI、粗製−MDI(ポリメリックMDI)、および変性MDIだけでなく、特殊なイソシアネートを用いても差し支えない。特殊なイソシアネートしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添−XDI、水添−MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオフェスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロへプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらも好適に用いることができる。
【0023】
ウレタンフォーム層には、これらポリウレタン原料に加え、架橋剤、発泡剤(水、低沸点物等)、界面活性剤、触媒等を添加することができ、これにより所望に応じた特性とすることができる。また、難焼剤や充填材、イオン導電剤や電子導電剤等の導電剤、公知の充填剤や架橋剤等を適宜使用することも可能である。イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩などが挙げられる。
【0024】
また、電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属などを挙げることができる。
【0025】
本発明に係る工程に供するウレタンローラ1は、公知の手法により作製できる。例えば、図2に示すような円筒状の成形型7を用いた場合には、内壁に所望に応じシリコーン系等の離型剤を塗布した型内に、図2(イ)に示すようにして軸8をセットし、上述のポリウレタン原料に適宜添加剤を加えた混合液を、常法に従い注入、発泡させることにより、(ロ)に示す形状のローラ1を得ることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
まず、比重0.1g/cm3のウレタンフォーム層を有するウレタンローラを、型内発泡により、常法に従い作製した。このローラを図1に示す金型2内に導入し、密封後、バルブ3aを閉じかつバルブ3cを開放して、真空ポンプ4を用いて空気室6を減圧した。空気室6内を減圧後、バルブ3cを閉じ、しかる後、バルブ3aを一気に開放し、金型2内を瞬時に9.3×102Paまで減圧した。尚、使用した金型2の内径はローラの外径よりも2mm大きく、内壁は平滑であった。
【0027】
次いで、バルブ3aを閉じてから、バルブ3bを開放して、リーク管5により、金型2内の圧力を常圧に戻した。金型2内からローラを取り出したところ、ローラ表面のスキン層は全体に良好に破泡していた。
【0028】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、良好なローラ性能の実現と製造工程の簡略化とを同時に図ることができ、平滑で欠陥のない表面性、特には、良好なトナー供給性を有し、各種ローラ部材として好適に用いることのできるウレタンローラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一実施の形態を表す説明図である。
【図2】本発明に係る工程に供するウレタンローラおよびその成形型の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ウレタンローラ
2 金型
3a,3b,3c バルブ
4 真空ポンプ
5 リーク管
6 空気室
7 成形型
8 軸

Claims (4)

  1. 軸の外周に一体的にウレタンフォーム層が成形されたウレタンローラを金型内に導入する導入工程と、該金型内を減圧して前記ウレタンフォーム層表面のスキン層を破泡させる破泡工程と、を含み、前記金型として、内壁表面に微細な凹凸を有する金型を用いることを特徴とするウレタンローラの製造方法。
  2. 前記破泡工程において、前記金型内を1×10〜1×10Paまで減圧する請求項記載の製造方法。
  3. 前記金型として、前記ウレタンローラの外径よりも1〜10mm大きい内径を有する金型を用いる請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記ウレタンフォーム層の比重が0.01〜0.6g/cmの範囲である請求項1〜のうちいずれか一項記載の製造方法。
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