JP4446222B2 - ガラスロービングパッケージ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直接巻き取り法により製造されるガラスロービングパッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、直接巻き取り法により製造されるガラスロービング(DWR:Direct Wound Roving)のパッケージ(巻回体)は、数百〜数千のノズルを有する白金製ブッシングより引き出された溶融ガラスを、数ミクロンから二十数ミクロンのガラスフィラメントに引き伸ばし、それぞれのガラスフィラメントの表面に集束剤を塗布した後、ガラスフィラメントを数百〜数千本引き揃え、ガラスストランドとし、回転するコレットに綾を掛けながら巻き取ることにより製造される。綾を掛ける方法としては、トラバースを用いガラスストランドの導糸ガイドをコレット近傍において左右に往復移動させる方法が一般的である。ガラスストランドがコレットと成す角、綾角度は、コレットの回転数とトラバースの往復運動の速度比により決定される。巻き取られたガラスストランドは、集束剤に含まれる水分を蒸発させ、集束剤の皮膜を形成させるために乾燥し、内外層部分を除去した後、製品とされる。
【0003】
また、ガラスロービングパッケージには、DWRパッケージ以外に、溶融ガラスを一旦ケーキに巻き取り、乾燥後、数個〜数十個のケーキを引き揃え、再度円筒状に巻き取ることにより製造する方法もある。このようにケーキから再度巻き取る方法により製造されるガラスロービングパッケージは、DWRパッケージと区別して合糸ロービングパッケージと呼ばれている。合糸ロービングパッケージは、比較的細いガラスストランドを数本から数十本束ねた事を特徴とし、1本の太いガラスストランドからなるDWRパッケージとこの点において大きく異なっている。
【0004】
これらのガラスロービングパッケージは、フィラメントワインディング法(FW法)、引抜法、シートモールディングコンパウンド法(SMC法)、スプレーアップ法、プリフォーム法などの成形法により、FRP成形品の強化材として広く使用されているが、一般に細いガラスストランドを束ねた合糸ロービングパッケージはSMC法、スプレーアップ法、プリフォーム法などの切断して使用する製法に多く用いられ、一方、1本のガラスストランドからなるDWRパッケージは、FW法や引抜法といった連続して用いる製法に多く用いられる。特に、ガラス繊維のイーブネス(ガラスロービングの製造時に巻き取られたガラスフィラメント1本1本の等長性)を要求される分野において、DWRパッケージは大きな優位性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、DWRパッケージは、通常20kg程度の重量があり、その形状は、高さ(軸方向長さ)約250mm、直径(巻径)約300mmの円筒状であり、その中心部には、直径約150mmの円筒状のコレットを有し、図1のような肉厚のあるパイプ形状を成している。
【0006】
DWRパッケージは、紡糸工程においてガラスストランドに集束剤を塗布するため、巻き上がり直後には約10%の水を含有する。この約10%の水の除去と集束剤の皮膜形成を目的としてDWRパッケージを乾燥する。乾燥方法は、120℃〜140℃の乾燥炉内に数〜数十時間DWRパッケージを滞留させ乾燥する熱風乾燥法と、マイクロ波、高周波を利用し数時間程度で乾燥する誘電乾燥法がある。何れの方法にせよ、DWRパッケージ内部の水は、外部からのエネルギー補給により温度上昇し、DWRパッケージ表面より空気中に蒸発・拡散する。
【0007】
一般に、水は大気圧下において熱せられた場合には、温度の上昇に伴い蒸発速度を速め100℃において沸騰し、それ以上温度上昇しないが、圧力釜のような閉鎖空間においては、圧力の上昇に伴い100℃以上に温度が上がってしまう。ガラスストランドが密に巻かれたDWRパッケージの中層部においては、水の蒸発がガラスストランドにより妨げられるため、いわば圧力釜の様になる。この結果、水温は蒸発する水の気化熱と、外部からのエネルギー補給熱が釣り合う点まで上昇し、DWRパッケージ内部の蒸気圧もそれに伴って上昇する。DWRパッケージがこの蒸気圧上昇に耐えられない場合には、その圧力によりDWRパッケージが高さ方向に広がり、極端な場合には、パンクと呼ばれるDWRパッケージの破裂が起こる。
【0008】
このパンクは、DWRパッケージの巻き密度の増加だけでなくDWRパッケージの持込み水分量の増加、効率化のための乾燥時間短縮による乾燥温度の上昇等により著しく増加する。また、パンクは、DWRパッケージに塗布する集束剤の滑性(滑り易さ)や、コレットとガラスストランドの角度(綾角度)等の様々な要因にも影響を受ける。
【0009】
DWRパッケージの巻き密度や綾角度を決定する因子としてワインド数がある。ワインド数は、往復運動するトラバースの半往復間におけるコレットの回転数を表し、例えば、ワインド数3とは、トラバースが右端から左端(或いはその逆)まで移動する間に、コレットが3回転したことを意味し、トラバースが1往復する間に、コレットが6回転したことになる。従って、ワインド数が小さい値であれば綾角度が大きくなり、トラバースの往復運動が比較的速い速度で行われていることになり、逆にワインド数が大きい値であれば綾角度が小さくなり、トラバースの往復運動が比較的遅い速度で行われており、コレットの回転軸に対してより直角に近い綾角度でガラスストランドが巻かれていることになる。
【0010】
通常、DWRパッケージにおいては、ワインド数が1.5〜6であるが、これは、ワインド数が1.5より小さいと、綾角度が大きくなり過ぎるためガラスストランドが定められた位置に巻き取られず生産できず、6より大きいと、ガラスストランドがコレットの回転軸に対して垂直に近い綾角度で巻かれ、毛羽や持ち上がり等の品質問題が多く発生するためである。なお、このようにして巻き上げられた円筒形状のDWRパッケージの高さは、トラバースによって往復運動される距離であり、その直径は巻き取られるガラスストランドの量により決定される。
【0011】
一般に、ワインド数が、3や3.333・・・(10/3)、或いは、3.25(13/4)のように、整数や、それ以上約分できず、分子が比較的小さい分数であると、DWRパッケージは、巻き密度が高くならない。トラバースがワインド数の分母と等しい回数往復する間に、分子の2倍の回数、ガラスストランドがコレット上に巻かれた後、再び最初に巻かれた位置に戻る。例えば、ワインド数が、10/3(3.333・・・)のように分子が小さい場合には、トラバースが3往復する間に、ガラスストランドは10×2=20回巻かれ、再び最初に巻かれた位置に戻り、DWRパッケージガラスストランドがこの工程を繰り返して巻き上げられたものとなるため、その形状は、図3に示すような大きな菱形の穴の開いた開口部6を持つ円筒形状となるが、DWRの形状が崩れて円筒形状が維持できなくなるため、ロービングの解舒性が悪化し、また、DWRパッケージの輸送効率が低下するため好ましくない。なお、ガラスストランドが最初に巻かれた位置に再び戻るまでのコレットの回転数(この場合10×2=20回)は回帰回転数と呼ばれている。
【0012】
ワインド数は、機械式の場合、DWRパッケージを巻き取るワインダーに用いられる歯車の歯数により決定される。例として、図4にA〜F合計6個の歯車を用いたワインダーを示す。コレット9及びトラバース11は、ワインダー駆動用モータ8とそれぞれ3個の歯車12〜14、15〜17を介して動力が伝達され回転運動する。
【0013】
各歯車A〜Fの歯数を、それぞれa〜fとしたとき、ワインド数はa×c×e/(b×d×f)により与えられ、例えば、各歯車A〜Fの歯数を、a=30、b=29、c=28、d=17、e=25、f=13としたとき、ワインド数は、30×28×25/(29×17×13)、即ち、3.27664・・・となり、回帰回転数は30×28×25×2=21000×2=42000となる。
【0014】
この例のように、ワインド数を計算するに当たり、分母に用いられる歯車B、D及びFとして、素数の歯数を持つ歯車を用いることが多い。これは、分母に素数を用いることにより、ワインド数がそれ以上約分できない分数となり、回帰回転数が小さくならず、DWRパッケージは、大きな菱形の穴の開いた開口部を有することなく、ガラスストランドを密に巻いたものにできるからである。
【0015】
尚、最近では、更に多くの歯車を用いて望ましいワインド数を設定できる機械式ワインダーや、電気信号を用い小数点以下五桁以上のワインド数を制御するワインダーも開発され、変更時間の短縮等が図られている。
【0016】
このように、DWRパッケージのワインド数は、DWRパッケージの形状や巻き密度を決定する重要な要因であり、これまでは生産性や輸送効率の向上のため、高い巻き密度のDWRパッケージを生産することが一般的であった。
【0017】
しかしながら、乾燥時において、DWRパッケージに含まれる水が熱せられると、ガラスストランドを密に巻いてできたDWRパッケージからは、水の蒸発が抑制され、水の蒸気圧上昇を伴い、特に生産効率アップを目的として乾燥時間を短縮し、乾燥温度を上げると、ついにはDWRパッケージがパンクしやすくなる。
【0018】
DWRパッケージのパンクを防止するためには、DWRパッケージの持込み水分量の減少、蒸気圧低下のための乾燥時間の延長、或いは、高い蒸気圧に耐え得る集束剤や綾角度の選定などが考えられるが、水分量の低下、集束剤の制限や綾角度の増大は、紡糸性の低下や毛羽の増大、また、乾燥時間の延長は生産効率の低下や巨大設備の設置等、何れも大きな問題が残る。また、これらの対策では、パンクまで至らないが、数ミリから1cm程度のDWRパッケージの膨張、いわゆる微小破裂は完全に防止できない。微小破裂したDWRパッケージは、検査工程において異常品として見分けることが難しく、顧客での使用時において毛羽の発生や持ち上がりといった作業性の問題を引き起こす。
【0019】
本発明の目的は、これらの問題に鑑み、従来同様の乾燥条件・集束剤を用い、DWRパッケージの品質低下や生産性の低下といった問題を招くことなく、DWRパッケージのパンクや微小破裂を防止し得るガラスロービングパッケージを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決すべく種々の実験を行った結果、DWRパッケージの内表面から外表面に貫通する小さい開口部(綾積みされたガラスストランドの間に形成される小さい空隙部)を多数設けることにより、水蒸気がこの開口部から容易に蒸発するため、DWRパッケージ内部における蒸気圧が低下し、DWRパッケージのパンクや微小破裂を防止できる事を見出し、本発明を提案するに至った。
【0021】
すなわち本発明は、ガラスストランドが直接巻き取り法により円筒状に綾巻きされて製造されるガラスロービングパッケージにおいて、ガラスロービングパッケージの内表面から外表面に貫通して形成される開口部(綾積みされたガラスストランドの間に形成される空隙部)を備え、端面部を除くガラスロービングパッケージの表面積に対する前記開口部の総面積の割合(開口率)が0.25〜12.5%であることを特徴とする。
【0022】
上記構成とすることによって、直接巻き取り法により円筒状に綾巻きされて製造されるガラスロービングパッケージ(DWRパッケージ)を熱風乾燥法や誘電乾燥法を用いて乾燥する際、DWRパッケージの中心部で蒸発した水を開口部から外部に逃がすことができ、DWRパッケージの中心部の蒸気圧を低下させてDWRパッケージのパンクや微小破裂を防止することができる。蒸気圧低下は、DWRパッケージに形成する開口部の数と大きさに依存するが、端面部を除くDWRパッケージの表面積に対する開口部の総面積の割合(開口率)が0.25%より低いと、蒸気を逃がす効果に乏しく、また、12.5%より高いと、蒸気を逃がす効果には優れるものの、巻き密度の大幅な低下によって、DWRパッケージの形状が崩れて円筒形状が維持できなくなるためロービングの解舒性が悪化しやすく、また輸送効率が低下するため好ましくない。
【0023】
また、本発明は、前記開口部の総数Nが、ガラスロービングパッケージの高さをh(mm)、ガラスロービングパッケージのストランド番手をW(g/1000m)とするとき、
96.1×h/√W < N < 250.0×h/√W
により規定される範囲内にあることを特徴とする。
【0024】
上記構成とすることによって、DWRパッケージに形成する開口部の総数を望ましい範囲とすることができる。即ち、開口部の総数は開口部1つ当たり面積に反比例し、開口部の総数が増加すれば、開口部1つ当たりの面積が減少し、開口部の総数がある一定数を超えると開口部はガラスストランドの滑りにより消滅しやすいので、開口部の総数が250.0×h/√Wより多いと、開口部1つ当たりの面積が小さくなり過ぎ、DWRパッケージの中心部の蒸気圧低下が阻害され好ましくない。また、開口部の総数が96.1×h/√Wより少ないと、DWRパッケージの巻き密度が低下し、形状が崩れて、円筒形状が維持できなくなるため好ましくない。
【0025】
更に本発明は、ガラスロービングパッケージの内表面から外表面に貫通して形成される前記開口部が、ガラスロービングパッケージの端面上部よりの投影図においてスパイラル状であると、DWRパッケージの何れの位置からも開口部迄の距離が縮められ、蒸気圧低下の効果を一層向上させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はDWRパッケージの概略斜視図、図2は図1のDWRパッケージにおける開口部の部分拡大図、図3はワインド数が3.3333・・・のDWRパッケージを横から観察した図、図4は機械式ワインダーの模式図、図5はDWRパッケージ端面部から見た開口部の投影模式図、図6はスパイラル状に形成された開口部を持つDWRパッケージ端面部から見た開口部の投影模式図である。
【0027】
図1において、1はDWRパッケージ、2は端面部、3は内表面、4は外表面、5はガラスストランド、6は開口部を示している。この開口部6は、図2に拡大して示している。
【0028】
上記開口部6を形成するには、ガラスストランド5を図4に示すワインダーのコレット9上に巻き取る際に、コレット9上に軸方向の隙間を残して巻き上げることにより、この隙間がDWRパッケージ1における開口部6となる。この開口部6をDWR1の内表面3から外表面4まで貫通させて形成するものである。この開口部6を適した開口率で形成させておくことにより、DWRパッケージ1の乾燥時、中心部において蒸発した水を外部に逃がすことができ、これにより中心部の蒸気圧を低下させDWRパッケージ1のパンクや微小破裂を防止することができるものである。すなわち、蒸気圧低下は、DWRパッケージ1に形成する開口部6の数と大きさに依存するが、端面部2を除くDWRパッケージ1の表面積に対する開口部6の総面積の割合(開口率)が0.25%より低いと、蒸気を逃がす効果に乏しく、また、12.5%より高いと、蒸気を逃がす効果には優れるものの、巻き密度の大幅な低下によってDWRパッケージ1の形状が崩れて円筒形状が維持できなくなるためロービングの解舒性が悪化しやすく、また、輸送効率が低下する。
【0029】
尚、上記開口率は、以下の式(1)を用いて求めた。
【0030】
開口率=(h−Xt)2/h2×100・・・(1)
ここで、hは、ロービング高さ(mm)、Xは、回帰回転数、tはストランド幅(mm)を示す。
【0031】
一般に、開口部6の総数は、開口部6の1個の面積に反比例し、開口部6の数が増加すれば開口部6の1個の面積が減少し、ある一定数を超えると開口部6はガラスストランド5の滑りにより消滅する。また、開口部6の総数が少ないと、DRWの巻き密度が低下し、形状が崩れて円筒形状が維持できなくなるという問題が発生する。従って、DWRパッケージ1に形成する開口部6の総数Nには望ましい範囲があり、次式で規定される。
【0032】
96.1×h/√W < N < 250.0×h/√W
但し、ここでhはDWRパッケージ1の高さ(mm)を、また、Wはガラスストランド5の番手(g/1000m)を表す。
【0033】
開口部の総数Nが96.1×h/√Wより少ないと、開口部6の1個の面積が大きくなり、巻き密度が低下し、また、250.0×h/√Wよりも多いと、開口部6の1個の面積が小さくなりすぎ、乾燥時にDWRパッケージ内部の水の蒸気圧が低下しにくいため好ましくない。
【0034】
一般的なDWRパッケージ1、即ち、高さ250mm、番手2310texにおいて、望ましい開口部の総数Nは、500〜1300である。番手2310texとは、ガラスストランド5の1000m当たりの重量が2310gであることを表す。
【0035】
望ましい開口部6の総数Nは、当然ながら、DWRパッケージ1の高さhに比例し、例えば、高さhが2倍の500mmの場合には1000〜2600となる。一方、DWR巻回体1の直径に関しては、望ましい開口部6の総数Nは変わらない。これは、開口部6が内表面3から外表面4まで貫通した1つの穴であり、開口部6の形状が、DWRパッケージ1の径の増大に伴い、コレットの回転軸方向に広げられた菱形となり、開口部6の面積も増大するため、外周表面に占める開口率が、DWRパッケージ1の端面部2を除く何れの部位においても等しいからである。
【0036】
ガラスストランド5の番手Wも、望ましい開口部6の総数に影響を及ぼす。ガラスストランド5の番手が大きくなると、ガラスストランド5の巻き幅(ストランド幅)が増大するため、開口部6が形成されるためには、コレット9に巻かれるガラスストランド5の本数の減少、即ち、回帰回転数の減少が必要となる。回帰回転数の減少に伴い、開口部6の総数が減少する。従って、望ましい開口部6の総数Nは、ガラスストランド5の幅に反比例し、また、ガラスストランド5は番手に関わらず断面形状が相似形であるため、望ましい開口部6の数は番手の二分の一乗に反比例する。即ち、番手2310texに対し、ほぼ4分の1となる575texのDWRパッケージ1において、望ましい開口部6の総数Nは2倍の1000〜2600となる。
【0037】
DWRパッケージ1の表面に望ましい開口部6を形成するには、回帰回転数とガラスストランド5の幅の積が、DWRパッケージ1の巻き高さhより小さくなるように、図4に示すコレット9及びトラバース11の往復運動用カム10のそれぞれの歯車12〜17の歯数を設定する必要がある。例えば、図4に示すワインダーにおいては、A、B、C、D、E、Fの歯車12〜17の歯数をそれぞれ30、30、30、30、41、15とすれば、ワインド数はa・c・e/b・d・fより、41/15、即ち、2.73333・・・となる。この値は、トラバース11が15往復する間にコレット9が41×2=82回転することになり、15往復後には、ガラスストランド5は最初に巻かれた位置(図3の符号7参照)の真上に巻かれることを意味する。即ち、このDWRパッケージ1は、その高さ250mmの間にDWRパッケージ1の軸方向に対して同じ傾きを持つ41本のガラスストランド5が巻き付けられ、ガラスストランド5の幅が5mmの場合には、DWRパッケージ1の高さh方向に対し45mmの隙間が残されることとなる。従って、菱形を成す開口部6軸方向の幅は、約1.1mm、即ち、(250mm−41×mm)÷41≒1.1mmとなる。また、開口部6の総数は、交差する41×15×2=1230個に形成される。この結果、このDWRパッケージ1の開口率は約3.3%となる。
【0038】
このように、歯車12〜17の歯数を適した歯数に設定することにより、回帰回転数だけコレットが回転した後、ガラスストランド5が最初に巻き取られた位置7の上に巻き取られ、その後においてもガラスストランド5が開口部6の上に巻かれることはなく、言い換えれば、図2に示すように、一度形成された開口部6の上に次々に開口部6が形成され、最終的には内表面3から外表面4まで貫通するように直線的に開口部6が形成される。この開口部6の様子を図式化すると図5のようになり、開口部6は中心から放射状に伸びることとなる。
【0039】
また、本発明のガラスロービングパッケージは、前記ワインド数に極めて近いワインド数に設定することによっても達成できる。例えば、ワインド数を2.73333・・・に近い2.73320に設定すれば、ガラスストランド5は2.73333・・・の場合、最初に巻かれた位置7の真上にくるのに対し、2.73320ではその差0.00013ずれて巻かれる。すなわち、トラバースが15往復する間に、ガラスストランドがコレット9上を41×2=82回転し、最初の巻かれた位置7よりコレットの回転軸に対して垂直方向に約0.36mmずれて巻かれ、更に15往復後には、また約0.36mmずれる。この結果、開口部6は、15往復毎にコレットの回転軸に対して垂直に約0.36mmづつ、ずれることに加え、DWRパッケージ1の径が増大するに伴い、次第に面積が大きくなる。従って、約11000周巻かれたDWRパッケージ1では、開口部6は、図6に示すようにガラスロービングの端面上部よりの投影図においてスパイラル状に形成され、外表面4における開口部6の位置は、内表面3の開口部6の位置より約400mmずれることとなる。このようにDWRパッケージ1内部にスパイラル状に形成された開口部6は、DWRパッケージ1の何れの位置からも開口部6迄の距離が小さくなるため、図5に示す放射状の開口部6に比較し、蒸気圧低下の効果はさらに向上する。
【0040】
本発明のガラスロービングパッケージ(DWRパッケージ)は、特に、ガラスロービングパッケージ内の水がほぼ同時に温度上昇し蒸発する誘電加熱乾燥法において有効である。すなわち、本発明のガラスロービングパッケージを用いると、開口部より蒸発した水が抜け出しやすく、パンクしにくいからである。
【0041】
【実施例】
表1に本発明の実施例1〜6を、表2に比較例7、8を示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004446222
【0043】
【表2】
Figure 0004446222
【0044】
実施例1は、まず、単繊維直径23μm、2000本のガラスフィラメントに、集束剤(固形分50質量%のポリエステルエマルジョンを10.0質量%、メタクリルシランカップリング剤を0.6質量%、カチオン系潤滑剤を0.1質量%、イオン交換水を89.3質量%)を塗布し、ギャザリングシューを用いて集束させ番手2310texのガラスストランドとし、図4に示すように、ガラスストランドを、ワインダーの駆動用モータ8と連動するカム10により往復運動するトラバース11を経由してコレット9上に巻き取り、水分を約10%含有した高さ250mmのDWRパッケージを作製した。なお、このときのワインド数は、2.73333であった。次いで、水分を除去するため、135℃×24時間の乾燥工程を経て、集束剤付着量0.4質量%、水分率0.03質量%のDWRパッケージ1を得た。
【0045】
実施例2は、単繊維直径23μm、4000本のガラスフィラメントを集束させた番手4400texのガラスストランドを用い、ワインド数を2.72727にした以外は、実施例1と同様にDWRパッケージ1を得た。
【0046】
実施例3は、単繊維直径17μm、2000本のガラスフィラメントを集束させた番手1150texのガラスストランドを用い、ワインド数を3.53846にした以外は、実施例1と同様にDWRパッケージ1を得た。
【0047】
実施例4は、ワインド数を3.6498にした以外は、実施例3と同様にDWRパッケージ1を得た。
【0048】
実施例5は、ワインド数を3.3498にした以外は、実施例1と同様にDWRパッケージ1を得た。
【0049】
実施例6は、ワインド数を2.8498にした以外は、実施例2と同様にDWRパッケージ1を得た。
【0050】
尚、実施例4〜6は、特に蒸気圧低下に効果のあるスパイラル状に形成された開口部6を有するものである。
【0051】
比較例7は、ワインド数を2.61538にした以外は、実施例2と同様にDWRパッケージ1を得た。
【0052】
比較例8は、ワインド数を3.09091にした以外は、実施例3と同様にDWRパッケージ1を得た。
【0053】
ロービングパッケージの形状は、その形状が崩れずに円筒形状を維持できているものを「○」、その形状が崩れてかけているものを「△」とした。ロービング解舒性は、ロービングを4m/minの速度で引き出し、最外層まで問題なく引き出されたものを「○」、ストランドの引き出しが不安定なものを「×」とした。
【0054】
表1から明らかなように、実施例1〜6は、DWRパッケージの形状が崩れることなく円筒形状を維持できているため、ロービングの解舒性に優れ、また、乾燥工程において、パンクは殆ど発生しなかった。特に、開口部がスパイラル状に形成されている実施例4〜6は、パンクは全く発生しなかった。
【0055】
一方、比較例7は、開口率が0.23%と低いため、乾燥工程で100個中、15個のDWRパッケージでパンクが観察された。また、比較例8は、乾燥工程でのDWRパッケージのパンクは観察されなかったが、開口率が高いため、DWRパッケージの形状が崩れて円筒形状を維持できなくなったため、ロービングの解舒性が悪化した。
【0056】
【発明の効果】
本発明のガラスロービングパッケージは、従来の乾燥条件・集束剤を用いても、DWRパッケージの品質低下や生産性の低下といった問題を招くことがなく、DWRパッケージのパンクや微小破裂を著減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガラスストランドが綾巻きされたDWRパッケージの概略斜視図。
【図2】 図1のDWRパッケージの開口部の部分拡大図。
【図3】 ワインド数が3.3333・・・のDWRパッケージを横から観察した図。
【図4】 機械式ワインダーの模式図。
【図5】 DWRパッケージ端面部から見た開口部の投影模式図。
【図6】 スパイラル状に形成された開口部を持つDWRパッケージ端面部から見た開口部の投影模式図。
【符号の説明】
1 DWRパッケージ(ガラスロービングパッケージ
2 端面部
3 内表面
4 外表面
5 ガラスストランド
6 開口部
7 最初に巻かれた位置
8 ワインダーの駆動用モータ
9 コレット
10 往復運動用カム
11 トラバース
12〜17 歯車

Claims (2)

  1. ガラスストランドが直接巻き取り法により円筒状に綾巻きされて製造されるガラスロービングパッケージにおいて、ガラスロービングパッケージの内表面から外表面に貫通して形成される開口部(綾積みされたガラスストランドの間に形成される空隙部)を備え、端面部を除くガラスロービングパッケージの表面積に対する前記開口部の総面積の割合(開口率)が0.25〜12.5%であることを特徴とするガラスロービングパッケージ
  2. 開口部の総数Nが、ガラスロービングパッケージの高さをh(mm)、ガラスロービングパッケージのストランド番手をW(g/1000m)とするとき、
    96.1×h/√W < N < 250.0×h/√W
    により規定される範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のガラスロービングパッケージ
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