JP4446123B2 - 心・血管の、炎症性の、及び免疫性の疾患の治療のための化合物及び方法 - Google Patents

心・血管の、炎症性の、及び免疫性の疾患の治療のための化合物及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、2,5-二置換テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリジンおよび1,3-二置換シクロペンタンの分野におけるものである。これら化合物は、PAFレセプター拮抗薬として作用する酵素である5-リポキシゲナーゼを抑制することにより、または二重活性を示すことにより、すなわちPAFレセプター拮抗薬および5-リポキシゲナーゼの抑制剤の両方として作用することにより、生物学的活性を示す。
リューコトリエンは、関節炎、喘息、乾癬および血栓病を含む炎症性およびアレルギー性反応において主要な役割を果たす効力のある局所的メディエイタである。リューコトリエンは、リポキシゲナーゼによるアラキドン酸の酸化により製造される直鎖状エイコサノイドである。アラキドン酸は5-リポキシゲナーゼにより酸化されてヒドロペルオキシドである5-ヒドロペルオキシ-エイコサテトラエン酸(5-HPETE)になり、それは、リューコトリエンB4、C4またはD4に転化され得るリューコトリエンA4に転化される。現在、全て効力のある気管支収縮剤であるリューコトリエンC4、D4およびE4の混合物がアナフィラキシーの遅反応性物質であることが知られている。特定のレセプター拮抗薬またはリューコトリエン生合成抑制剤を開発する研究努力が、これら化合物に媒介される病原性炎症性反応を防止または最少限にするために成されてきた。
欧州特許出願Nos. 90117171.0および901170171.0は、インドール、ベンゾフランおよびベンゾチオフェンリポキシゲナーゼ抑制化合物を開示している。
近年、L-652、731のテトラヒドロチオフェン誘導体であるトランス-2,5-ビス-(3,4,5-トリメトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン(L-653、150)が効力のあるPAF拮抗薬であり5-リポキシゲナーゼの穏やかな抑制剤であることが報告された。特定の2, 5-ジアリールテトラヒドロチオフェンがPAF拮抗薬でありリューコトリエン合成抑制剤であることが開示された。BiftuらのAbstr. of 6th Int. Conf. on Prostaglandins and Related Compounds, 6月3〜6日、1986年、フローレンス、イタリア;Biftuの米国特許第4,757,084号);WO 92/15294;WO 94/01430;WO 94/04537;およびWO 94/06790。
WO 92/13848は、ある種のラセミリポキシゲナーゼ抑制ヒドロキサミン酸および構造:
Figure 0004446123
(ここで、R1は水素、アルキル、アルケニル、アミノまたは置換アミノ、R4は 水素、薬学的に許容できるカチオン、アロイルまたはアルコイル、Aはアルキレンまたはアルケニレン、Xは酸素またはイオウ、各Yは水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルケニル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリール、アリーロキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルコキシまたは置換アリール、Zは酸素またはイオウ、mは0または1、nは1〜5およびpは2〜6を表す。)
を有するN-ヒドロキシ尿素誘導体であって酵素リポキシゲナーゼを抑制するものを開示している。
5-リポキシゲナーゼに媒介される病原性の免疫性および炎症性反応が非常に多いことを考慮すると、この酵素を抑制する新規化合物および組成物を確認する必要性が残っている。
血小板活性化因子(PAF、1-O-アルキル-2-アセチル-sn-グリセロール-3-ホスホリルコリン)は、広く種々の生物学的活性を有する効力のある炎症性リン脂質媒介物である。PAFは最初に、イムノグロブリンE(IgE)−感作ウサギ好塩基球により放出される水溶性化合物であると確認された。PAFは、適当な免疫学的および非免疫学的刺激を受けた単核球、マクロファージ、多形核白血球(PMNs)、好酸球、好中球、天然殺菌剤のリンパ球、血小板および内皮細胞、ならびに腎臓および心臓組織によっても生み出されおよび放出されることが知られている。Hwangの「血小板活性化因子の特異的レセプター、レセプター不均質性および信号導入機構(Specific receptors of platelet-activating factor, receptor heterogeneity, and signal transduction mechanism) 」,Journal of Lipid Mediators、第2巻,123(1990年))。PAFは、非常に低い濃度の血小板の凝集および脱加硫を引き起こす。PAFの効力(10-12〜10-9Mにおいて活性)、組織水準(ピコモル)および短い血漿半減期(2〜4分)は、トロンボキサンA2、プロスタグランジンおよびリューコトリエンのような他の脂質メディエイタのそれらに類似している。
PAFは、広く種々の細胞および組織において見つけられる特定のPAFレセプターに結合することにより生物学的反応を媒介する。PAFおよびその類縁体についての構造活性の研究は、PAFがこれらのレセプターに結合する性能は構造特異的で立体特異的であることを示している。Shenらの「The Chemical and Biological Properties of PAF Agonists, Antagonists, and Biosynthetic Inhibitors」、Platelet-Activating Factor and Related Lipid Mediators、F. Synder、Plenum Press編集、ニューヨーク、ニューヨーク州153(1987年))。
PAFは本質的生物学的反応を媒介するが、病原性の免疫性および炎症性反応においても役割を果たすようである。多くの公表された研究が、関節炎、急性炎、喘息、内毒素性ショック、痛み、乾癬、眼炎、虚血、胃腸潰瘍化、心筋梗塞、炎症性腸疾患および急性呼吸窮迫症候群を含む人の病気においてPAFが関与していることの証拠を提供している。動物モデルも、PAFがある病原性状態において生成または増加されることを示している。
病原性の炎症性および免疫性状態におけるPAFの関与は、PAFレセプター拮抗薬を確認する実質的研究努力を刺激した。1983年において、CV-3988(rac-3-(N-n-オクタデシル-カルバモイロキシ-ω-メトキシプロピル-2-チアゾリオエチルホスフェート)と呼ばれるリン脂質類縁体がPAFレセプター拮抗薬特性を有することが報告されたTerashitaらのLife Sciences、第32巻、1975(1983年))。この分野の別の初期の研究において、Shenらは(Proc. Natl. Acad. Sci.(U.S.A.)、第82巻、672(1985年))において、カドゥスレノン(kadsurenone)すなわちコショウフトカズラ(Piper futokadsura Sieb et Zucc)(中国薬草)から単離されたネオリグナン誘導体が、レセプター水準におけるPAF活性の効力のある特異性で競合的な抑制剤であることを報告した。
Hwangらは、含トリチウムPAFのPAFレセプター部位への結合を、トランス-2,5-ビス-(3,4,5-トリメトキシフェニル)テトラヒドロフラン(L-652、731)が抑制することを1985年に開示した(Hwangらの「トランス-2,5-ビス-(3,4,5-トリメトキシフェニル)テトラヒドロフラン」、Journal of Bioloical Chemistry、第260巻,15639(1985年))。L-652、731は口内活性で、体重1kg当たり30mgの投与量でPAF誘発のラット皮膚血管浸透性を抑制することがわかった。この化合物は酵素5-リポキシゲナーゼに効果がないことがわかった。Hwangらは、トランス-L-652、731(2および5位におけるアリール基がテトラヒドロフラン環の平面の反対側にある)がシス-L-652, 731(2および5位におけるアリール置換基がテトラヒドロフラン環の平面の同じ側にある)より約1000倍効力があることも報告した。
1988年に、Hwangらは、L-659、989(トランス-2-(3-メトキシ-4-プロポキシフェニル-5-メチルスルホニル)-5-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)テトラヒドロフラン)が口内活性で、効力のある競合的PAFレセプター拮抗薬であり、トランス-L-652、731より10倍大きい平衡抑制定数を有することを報告した(HwangらのJ. Pharmacol. Ther.、第246巻、534(1988年))。 Biftsuらの米国特許第4,996,203号,同第5,001,123号および同第4,539,332号明細書および欧州特許出願Nos.89202593.3, 90306235.4および90306234.7は、特定のクラスの2,5-ジアリールテトラヒドロフランがPAFレセプター拮抗薬であることを開示している。
BlowlesらのSynlett、1993、111頁には、PAFレセプター拮抗を有し得る限定された数の置換テトラヒドロフランが開示されている。
DanyoshiらのChem. Pharm. Bull.、1989年、1969頁には、PAF誘発ウサギ血小板凝集を抑制する2-置換-N-アルコキシカルボニルピロリジンが開示されている。
従って、本発明の目的は、炎症性または免疫性反応中に有害な酸素ラジカルを形成することにつながる走化性およびレスピラトリーバーストを低下させる化合物を提供することにある。 本発明のもう一つの目的は、5-リポキシゲナーゼの生成物により媒介される病原性の免疫性または炎症性疾患の治療のための薬剤組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、5-リポキシゲナーゼの生成物により媒介される病原性の免疫性または炎症性疾患の治療のための方法を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、PAFにより媒介される病原性の免疫性または炎症性疾患の治療のための薬剤組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、PAFにより媒介される病原性の免疫性または炎症性疾患の治療のための方法を提供することにある。
下記式(I)で示される化合物が提供される:
Figure 0004446123
(式中:
Arは、好ましくはハロ(限定されないがフルオロを含む)、低級アルコキシ(メトキシを含む)、低級アリーロキシ(フェノキシを含む)、W、シアノもしくはR3により所望により置換されてよいアリールまたはヘテロアリール基;
mは、0または1;
qは、0または1;
nは、0〜6;
Wは、独立して-AN(OM)C(O)N(R3)R4、-N(OM)C(O)N(R3)R4、-AN(R3)C(O)N(OM)R4、-N(R3)C(O)N(OM)R4、-AN(OM)C(O)R4、-N(OM)C(O)R4-, AC(O)N(OM)R4、-C(O)N(OM)R4、-C(O)NHAまたは-A-B;
Aは、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル基、ここで一以上の炭素をO、NまたはS(価数は必要に応じて水素または酸素で完全となる)で所望により置換されていてよいが、-Y-A-、-A-または-AW-は二つの隣接するヘテロ原子(すなわち-O-O-、-S-S-、-O-S-、等)を含んではならない(一つの態様において、低級アルキルは-(CH2)nC(低級アルキル)H-(ここでnは1〜5)、特に-(CH2)2C(CH3)-のような分岐アルキル基、または-C≡C-CH(CH3)-を含む式-C≡C-CH(低級アルキル)-で示される低級アルキニルである。);
Bは、ピリジルイミダゾールおよびベンズイミダゾールからなる群より選択されそれらはいずれもR3で所望により置換されており、ピリジルイミダゾールまたはベンズイミダゾールは好ましくは窒素原子を介してAに結合している;
Mは、水素、薬学的に許容できるカチオンまたは代謝的に開裂可能な離脱基;
Xは、O、S、S(O)、S(O)2、NR3またはCHR5
Yは、O、S、S(O)、S(O)2、NR3またはCHR5
Zは、O、S、S(O)、S(O)2、NR3
R1およびR2は、独立して水素;メチル、シクロプロピルメチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびC3-8シクロアルキル(例えばシクロペンチル)を含む低級アルキル;ハロ低級アルキル、例えばトリフルオロメチル;ハロ、例えばフルオロ;および-COOH ;
R3およびR4は、独立して水素またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、C1-6アルコキシ-C1-10アルキル、C1-6アルキルチオ-C1-10アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル;
R5は、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリールアルキル、アルキルアリール、-AN(OM)C(O)N(R3)R4、-AN(R3)C(O)N(OM)R4、-AN(OM)C(O)R4、AC(O)N(OM)R4、-AS(O)xR3、-AS(O)nCH2C(O)R3、-AS(O)nCH2CH(OH)R3または-AC(O)NHR3、ここでxは0〜2を表す。)。
一つの態様において、Ar基は、フェニル、トリメトキシフェニル、ジメトキシフェニル、フルオロフェニル(特に4-フルオロフェニル)、ジフルオロフェニル、ピリジル、ジメトキシピリジル、キノリニル、フリル、イミダゾリルおよびチエニル基からなる群より選択される。
一つの態様において、-A-Bは、
Figure 0004446123
であり、Arは、所望により置換されていてよいアリールまたはヘテロアリール基であり、さらなる詳細は以下のセクションI.A.に記載されている。
好ましい化合物の限定しない例は:
Figure 0004446123
(式中、R10は、ハロゲン、-CN、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシまたは低級アリーロキシである。)
である。
これらの化合物は、通常、炎症性または免疫性反応中に有害な多形核リューコサイトの酸素ラジカルを形成することにつながる走化性およびレスピラトリーバーストを低下させる。これら化合物は、PAFレセプター拮抗薬として作用する5-リポキシゲナーゼを抑制することにより、または、二重活性を示すことにより、すなわちPAFレセプター拮抗薬および5-リポキシゲナーゼの抑制剤の両方として作用することにより、この生物学的活性を示す。
本発明のもう一つの態様は、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容できる塩もしくは誘導体の有効量を薬学的に許容できるキャリヤーを組み合わせて含んでなる、ここに記載の任意の疾患のための薬剤組成物である。
好ましい態様において、前記化合物またはその薬学的に許容できる塩もしくは誘導体の一またはそれ以上の有効量を要すれば薬学的に許容できるキャリヤーに含ませて投与することにより、5-リポキシゲナーゼにより媒介される疾患を治療するためにそれら化合物が用いられる。
驚くべきことに、化合物の活性、例えば、5-リポキシゲナーゼ活性、口内利用性および生体内安定性(例えばグルクロニド化速度)が開示された化合物の光学異性体間で大きく変わり得ることが決定された。従って、本発明の一つの態様において、化合物はエナンチオマーを多く含む状態で投与される。
免疫性、アレルギー性の心臓血管の疾患は、通常の炎症、高血圧を含む心臓血管疾患、骨格筋疾患、変形性関節炎、通風、喘息、肺水腫、成人呼吸促進症候群、痛み、血小板凝集、ショック、リューマチ性関節炎、若年性リューマチ性関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、自己免疫性ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、全身性紅斑性狼瘡、急性壊死性出血性脳障害、突発性血小板減少、多発性軟骨炎、慢性活動性肝炎、突発性スプルー、クローン病、グレーブス眼障害、原発性胆汁性肝硬変、後部ブドウ膜炎、間隙性肺線維症;アレルギー性喘息;アトピー性皮膚炎および接触皮膚炎を含む、ツタウルシ、花粉、昆虫刺毛および特定の食物のような環境的刺激に対する不適当なアレエルギー性反応。
ここに開示された化合物は、適当なものとしてリューコトリエンまたはPAFを含む生物学的経路を研究するための研究用具としても用いることができる。
以下のものは、式(I)で定義される化合物の限定しない例である。これらの例は単に例示するものであり、本発明の範囲の制限を意図するものではない。
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(3, 4, 5-トリメトキシフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロフラン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブチル]テトラヒドロチオフェン、
トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-[4-N'-ブチル-N-ヒドロキシウレイジル)ブト-1-イニル]テトラヒドロチオフェン、
2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-[3-(N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン、
2-(4-フルオロフェニル)-5-[3-(N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン、
2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-[3-(N'-n-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン、
2-(4-フルオロフェニル)-5-[3-(N'-n-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン、
2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-ブチル-N-ヒドロキシウレイジル)]プロポキシテトラヒドロフラン、
2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)]プロポキシテトラヒドロフラン、
2-(2, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン、
2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン、 2-(4-フルオロフェニル)-5-[3-(N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロチオフェン、および
2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロチオフェン。
式(I)で定義される他の化合物の更なる限定しない例を、次の表1、2および3および図1aおよび1bに示す。
Figure 0004446123
Figure 0004446123
Figure 0004446123
I.化合物の説明および合成
A. 化合物
ここで用いる「エナンチオマーに富んだ」という用語は、その化合物の単一のエナンチオマーの少なくとも約95%、好ましくは約97%、98%、99%または100%の状態の化合物を意味する。
ここで用いるアルキルという用語は、特記しない限り、飽和した直鎖状、分岐状または環式C1〜C10炭化水素を意味し、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3-メチルペンチル、2, 2-ジメチルブチルおよび2, 3-ジメチルブチルを含む。アルキル基は、R3を含む(限定されない)任意の適当な基、またはハロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリーロキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、ホスフェートまたはホスホネートであって例えばGreeneらの「Protective Groups in Organic Synthesis」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、第2版、1991に教示されるように当業者に知られているように必要に応じて保護されている又は保護されていないものから選択される一またはそれ以上の基により所望により置換されていてよい。
ここで用いる「ハロ」という用語は、クロロ、フルオロ、ヨードまたはブロモを意味する。 ここで用いる「ハロ」という用語は、特記しない限り、C1〜C6の飽和した直鎖状、分岐状または環式(C5-6の場合)炭化水素を意味し、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3-メチルペンチル、2, 2-ジメチルブチルおよび2, 3-ジメチルブチルであって所望により前述のようにアルキル基により置換されているものを含む。
ここで用いる「アルケニル」という用語は、特記しない限り、少なくとも一つの二重結合を有し、所望により前述のように置換されているC2〜C10の直鎖状、分岐状または環式(C5-6の場合)炭化水素を意味する。
ここで用いる「低級アルケニル」という用語は、特記しない限り、C2〜C6のアルケニル基を意味し、特にビニルおよびアリルを含む。
「低級アルキルアミノ」という用語は、一または二の低級アルキル置換基を有するアミノ基を意味する。
ここで用いる「アルキニル」という用語は、特記しない限り、少なくとも一つの三重結合を有し所望により前述のように置換されているC2〜C10の直鎖状または分岐状炭化水素を意味する。ここで用いる「低級アルキニル」という用語は、特記しない限り、C2〜C6アルキニル基を意味し、特にアセチレニル、プロピニルおよび-C≡C-CH(CH3)-を含む-C≡C-CH(アルキル)-を含む。
ここで用いる「アリール」という用語は、特記しない限り、フェニル、ビフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルを意味する。アリール基は、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリーロキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、ホスフェートまたはホスホネートであって例えばGreeneらの「Protective Groups in Organic Synthesis」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、第2版、1991に教示されるように当業者に知られているように必要に応じて保護されている又は保護されていないものからなる群より選択される一またはそれ以上の基を含む(限定はされない)任意の適当な基で所望により置換されていてよく、好ましくは、ハロ(限定されないがフルオロを含む)、低級アルコキシ(メトキシを含む)、低級アリーロキシ(フェノキシを含む)、W、シアノまたはR3で置換することができる。
「ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニル」という用語は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基であって、基中の水素原子の少なくとも一つがハロゲン原子で置換されているものを意味する。
ここで用いられる「ヘテロアリール、ヘテロ環式またはヘテロ芳香族」という用語は、芳香環に少なくとも一つのイオウ、酸素または窒素を含む芳香族基であってアリール基が所望により前述のように置換され得るものを意味する。限定されない例は、ピリル、フリル、ピリジル、1, 2, 4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリルおよびイソキサゾリルを含む。
「アラールキル」という用語は、アルキル置換基を有するアリール基を意味する。
「アルカリール」という用語は、アリール置換基を有するアルキル基を意味する。
「有機または無機アニオン」という用語は、負の電荷を有し塩の負帯電部分として用いることのできる有機または無機基を意味する。
「薬学的に許容できるカチオン」という用語は、陽電荷を有し薬剤と共に投与することができる、例えば塩中の対カチオンとしての有機または無機基を意味する。薬学的に許容できるカチオンは当業者に知られており、限定されないがナトリウム、カリウムおよび4級アミンを含む。
「代謝的に開裂可能な離脱基」という用語は、結合している分子から生体内で開裂することができる基を意味し、限定されないが、有機または無機アニオン、薬学的に許容できるカチオン、アシル(例えばアセチル、プロピオニルおよびブチリルを含む(アルキル)C(O))、アルキル、ホスフェート、スルフェートおよびスルホネートを含む。
「PAFレセプター拮抗薬」という用語は、30μM以下の結合定数でPAFレセプターに結合する化合物を意味する。
「5-リポキシゲナーゼ抑制剤」という用語は、破壊された細胞系において30μM以下で酵素を抑制する化合物を意味する。
「薬学的活性誘導体」という用語は、患者に投与する際に、ここに開示の化合物を直接または間接的に提供することのできる任意の化合物を意味する。
2, 5-二置換テトラヒドロオフェン、テトラヒドロフランおよびピロリジン、ならびにここに開示の1, 3-二置換シクロペンタンは、PAFレセプター拮抗薬活性を示すか酵素5-リポキシゲナーゼを抑制する、または二重の活性を有し、PAFまたは5-リポキシゲナーゼ生成物により媒介される免疫性アレルギー性または心臓血管疾患を有する人の治療に有用である。
B. 立体化学
驚くべきことに、5-リポキシゲナーゼ活性、口内利用性および生体内安定性(例えばグルクロニド化速度)を含む活性化合物の活性および特性は、開示された化合物の光学異性体間で大きく変化し得ることが決定された。従って、好ましい態様において、活性化合物またはその前駆体はエナンチオマーに富んだ状態で、すなわち実質的に単一の異性体の状態で投与される。好ましいエナンチオマーは、選択された生物学的アッセイ、例えばここに詳細に記載されたアッセイにおいて種々の可能なエナンチオマーを評価することにより容易に決められる。
2, 5-二置換テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェンおよびピロリジンは多くの立体化学構造を示す。中心環における炭素原子2と5とがキラルであり、すなわちその中心環は最低でも一つのジアステレオマー対として存在する。各ジアステレオマーは一組のエネンチオマーとして存在する。従って、キラルC2およびC5原子単独を基準にして、化合物は4つのエナンチオマーの混合物である。
中心環の炭素原子3および4の位置に非水素置換基が存在するとき、C3およびC4原子もキラルであり、4つのエナンチオマーの混合物でもあるジアステレオマー対として存在することもできる。
ここに開示の1, 3-シクロペンタンは、多くの立体化学構造も示す。中心環の炭素原子1および3はキラルであり、すなわちその中心環は最低でも一つのジアステレオマー対として存在する。各ジアステレオマーは一組のエネンチオマーとして存在する。従って、キラルC1およびC3原子単独を基準にして、化合物は4つのエナンチオマーの混合物である。
中心環の炭素原子4および5の位置に非水素置換基が存在するとき、C4およびC5原子もキラルであり、4つのエナンチオマーの混合物でもあるジアステレオマー対として存在することもできる。
通常の当業者の一人は、キラル試薬および既知の手順を用いることにより開示された化合物のエネンチオマーを容易に合成および分離することができ、ここに開示の技術または他の既知の技術を用いることにより単離されたエネンチオマーの生物学的活性を評価することができる。キラルNMRシフト試薬、旋光計またはキラルHPLCを用いることにより、化合物の光学的偏りを決定することができる。
古典的分解法は、種々の物理的および化学的技術を含む。多くの場合、最も単純で最も効率的な技術は繰返再結晶である。再結晶は、化合物または最終的エネンチオマー生成物の調製の任意の段階において実施することができる。うまく行く場合、この単純な技術は選択される方法を代表する。
再結晶が許容できる光学純度の物質を提供できない場合、他の方法を評価することができる。化合物が塩基性の場合、大きく異なる溶解特性を有し得るジアステレオマー誘導体を形成するキラル酸を用いることができる。キラル酸の限定しない例は、リンゴ酸、マンデリン酸、ジベンゾイル酒石酸、3-ブロモカンファー-8-スルホン酸、10-カンファースルホン酸およびジ-p-トルオイル酒石酸を含む。同様に、キラル酸による遊離水酸基のアシル化は、また、物理特性が分離できる程度の充分に異なり得るジアステレオマー誘導体を形成する。
エナンチオマー的に純粋なまたはエナンチオマー富含化合物は、ラセミ混合物を、キラル分離のために設計されたクロマトグラフィーカラムを通過させることにより、または適当に変性された物質の酵素的分解により得ることができる。
C. 活性化合物の合成
ここに開示された2, 5-二置換テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェンおよびピロリジンは、WhittakerらのSynlet、1993年、111頁、Biorg. Med. Lett.、1993年、1499頁;AchiwaらのChem. Pharm. Bull., 1989年、1969頁を含む当業者に既知の種々の方法により調製することができる。
例えば、エナンチオマー富含物質を合成するための一つの方法を以下の図式Iに示す。この方法において、エネンチオマーの合成は、ケトンのキラル還元から始まる。環の閉鎖および-OH基の反応後に、ジアステレオマー分解に影響を与える当業者に知られている標準的方法によりシスとトランス異性体を分離することができる。更なるキラル中心を、以下の例に示されるものを含む、当業者に知られている技術を用いて分解することができる。
Figure 0004446123
Grahamらの手順(1, 3-ジアリーシクロペンタン: A New Class of Potent PAF Receptor Antagonists、197th ACSナショナル・ミーティング,ダラス,テキサス州、4月9〜14日、1989年、Division of Medicinal Chemistry、ポスターNo. 25(要約))または他の既知の方法を用いて1, 3-二置換シクロペンタンを調製することができる。
ヒドロキシ尿素を調製するための一般的手順を以下の図式1に示す。
Figure 0004446123
図式1 ヒドロキシ尿素の調製
逆ヒドロキシ尿素を調製するための一般的手順を以下の図式2に示す。
Figure 0004446123
図式2 逆ヒドロキシ尿素の調製
ヒドロキサミン酸を調製するための一般的手順を以下の図式3に示す。
Figure 0004446123
図式3 ヒドロキサミン酸の調製
逆ヒドロキサミン酸を調製するための一般的手順を以下の図式4に示す。
Figure 0004446123
図式4 逆ヒドロキサミン酸の調製
図式5は、2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-[3-(N'-置換-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(1-4)および2-(4-フルオロフェニル)-5-[3-(N'-置換-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(9-12)の合成を示す。
Figure 0004446123
Figure 0004446123
図式6は、2-(2, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン(13)および2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン(14, 15)の合成を示す。
Figure 0004446123
図式7は、2-(3, 4-ジメトキシフェニル)-5-[3-N'-置換-N'-ヒドロキシウレイジルプロポキシ]テトラヒドロフラン(5-8)の合成を示す。
Figure 0004446123
以下の実施例は単に説明するものであって、本発明の範囲の制限を意図するものではない。
実施例1
2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-[3-(N'-置換-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(1-4)および2-(4-フルオロフェニル)-5-[3-(N'-置換-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(9-12)の調整
(a) : 4-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-4-ケトン-酪酸 tert-ブチルエテル(化合物101)の調製
3, 4, 5トリメトキシベンズアルデヒド(8.0g、0.77mmol)、t-アクリル酸ブチル(5.29g、41.29mmol)および触媒3-エチル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムブロミド(3.52g、13.95mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)50mLに溶解した。この溶液に、トリエチルアミン5.86mLを添加した。反応混合物を60℃で16時間攪拌し、室温まで冷却し、10%HCl(pH1〜2)を添加することにより急冷し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水および飽和NaCl溶液で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に蒸発させて油状物を得た。生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、3:1ヘキサン/酢酸エチル)で精製した(4.5g、34%)。1H NMR(CDCl3):1.46 (2, 9H); 2.70 (t, 2H); 3.24 (t, 2H); 3.92 (s, 9H); 7.25 (s, 2H).
(b) : 4-(4-フルオロフェニル)-4-ケトン-酪酸 t-ブチルエテル(化合物119)の調製
この化合物を、3, 4, 5-トリメトキシ-ベンズアルデヒドを4-フルオロベンズアルデヒドに替えて実施例1(a)に記載の方法に類似する方法を用いて調製した。1H NMR(CDCl3):1.45 (s, 9H); 2.70 (t, 2H); 3.23 (t, 2H); 7.12(m, 2H); 8.02(m, 2H).
(c) :4-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-4-ヒドロキシ-酪酸 t-ブチルエテル(化合物102)の調製
ケトンエステル101(1.09g、3.36mmol) をTHF 10mLおよびメタノール20mLに溶解した。この混合物に、NaBH4の水溶液(127.3mg、水5ml中に3.36mmol)を0℃で滴下して加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和NaCl溶液で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に蒸発させて生成物(1.13g、103%)を得た。1H NMR(CDCl3):1.46 (s, 9H); 2.02 (m, 2H); 2.37 (t, 2H); 3.84 (s, 3H); 3.88 (s, 6H); 4.70 (m, 1H); 6.58 (s, 2H).
(d) :4-(4-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-酪酸 t-ブチルエテル(化合物120)の調製
この化合物を、化合物101を化合物119に替えて実施例1(c)に記載の手順に類似する手順を用いて119から調製した。1H NMR(CDCl3):1.44 (s, 9H); 2.00 (m, 2H); 2.32 (m, 2H); 4.72 (m, 1H); 7.01 (m, 2H); 7.30 (m, 2H).
(e) :4-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-δ-ラクトン(化合物104)の調製
ヒドロキシエステル102(1.13g、1.47mmol)をメタノール4mL、水1.5mLおよび5M水酸化ナトリウム水溶液4.5mLに添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次に飽和NaHCO3水溶液12mLを添加した。水相をエーテルで洗い、濃HClを添加することによりpH1〜2に酸性化し、ベンゼン(2×30mL)で抽出した。ベンゼン層をTLCで調べると、少量のラクトンが形成されたことが示された。ベンゼン抽出液にPPTS(10mg)を添加し、混合物を1時間還流して水を除去した。反応混合物を飽和NaHCO3溶液で洗い、減圧下に蒸発させて所望のラクトンを固形物(700mg、80%)を得た。1H NMR(CDCl3); 2.20 (m, 1H); 2.68 (m, 3H); 3.85 (s, 3H); 3.88 (s, 6H); 5.46 (m, 1H); 6.55(s, 2H).
(f) :4-(4-フルオロフェニル)-δ-ラクトン(化合物122)の調製
この化合物を、化合物102を化合物120に替えて実施例1(e)に記載の手順に類似する手順を用いて120から調製した。1H NMR(CDCl3): 2.20 (m, 1H); 2.68 (m, 3H); 5.50 (m, 1H); 7.10 (t, 2H); 7.32(m, 2H).
(g) :2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-ヒドロキシテトラヒドロフラン(化合物105)の調製
ラクトン104(6.86g、27.22mmol)を乾燥トルエン100mLに溶解し、溶液を-70℃に冷却した。DIBALHの1.5Mトルエン溶液28mLをこの溶液に滴下して加えた。反応混合物を-70℃で1時間攪拌した。反応液を、-60℃より低い温度に維持しつつメタノール11mLを添加することにより急冷した。混合物を-20℃に温め、続いて反応温度を-10℃〜0℃に維持しつつ飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液96mlを添加した。反応混合物を0℃で3時間攪拌し、次に二つの相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。併せた有機層を水および飽和NaCl溶液で洗い、次に減圧下に濃縮して生成物(6.51g、94%)を得た。1H NMR(CDCl3): 1.82〜2.48 (m, 4H); 3.84 (s, 3H); 3.88 (s, 6H); 4.97, 5.20 (m, 1H); 5.65, 5.79 (m, 1H); 6.56, 6.70 (s, 2H).
(h) :2-(4-フルオロフェニル)-5-ヒドロキシテトラヒドロフラン(化合物123)の調製 この化合物を、化合物104を化合物122に替えて実施例1(g)に記載の手順に類似する手順を用いて122から調製した。1H NMR(CDCl3): 1.79 (m, 1H); 1.95〜2.10 (m, 1H); 2.20〜2.32 (m, 1H); 2.48 (m, 1H);5.00および5.22 (m, 1H) ;5.63および5.78 (m, 1H); 7.04(m, 2H); 7.30および7.41 (m, 2H).
(i) : トランスおよびシス2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-フタルイミジルプロピル)テトラヒドロフラン(化合物107, 108)の調製
化合物105(1.14g、4.49mmol)をジクロロメタン4mlに溶解した。この溶液にトリエチルアミン(681.4mg、6.73mmol)を添加した。反応混合物を氷浴で冷却し、トリフルオロ無水酢酸(1.41g、6.73mmol)を滴下して加えた。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、次に3-フタルイミジルプロパノール(106)(2.4g、13.26mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め室温で2時間攪拌した。反応液を、飽和NaHCO3水溶液で急冷し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和NaCl溶液で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に蒸発させて油状物を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカ,2:1ヘキサン/酢酸エチル)で精製した(107:522mg(トランス);108:271mg(シス);107と108との1:1混合物:110mg;合計収率46%)。1H NMR(CDCl3:107:1070 (m, 1H); 1.82 (m, 1H); 2.00 (m, 2H); 2.02 (m, 1H); 2.28 (m, 1H); 3.46 (m, 1H); 3.83 (s, 3H); 3.84 (m, 3H); 3.88 (s, 6H); 4.99 (t, 1H); 5.30 (dd, 1H); 6.56 (s, 2H); 7.72 (m, 2H); 7.85 (m, 2H). 108:1.95 (m, 3H); 2.00 (m, 2H); 2.20 (m, 1H); 3.51 (m, 1H); 3.83 (s, 3H); 3.85 (m, 2H); 3.88 (s, 6H); 3.92 (m, 1H); 4.90 (m, 1H); 5.16 (dd, 1H); 6.60 (s, 2H); 7.72 (m, 2H); 7.84 (m, 2H).
この分子の立体化学を決めるために、NOE相違実験を行った。
トランス異性体(107):この実験において、4.99ppmにおけるトリプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在のみを測定するためにデータの採取を行った。これは、正のNOE効果を表し、これらプロトンの密接な空間的関係を表す。この実験において、フラン環プロトンである2.25〜2.39ppm のマルチプレットについてNOEが発見された。芳香族のプロトンについてもう一つのNOEも見られ、それはこのトリプレットがベンジルのプロトンを表すことを示している。5.30ppmにおける二重のダブレットについてはNOEが観察されず、それはこれがトランス異性体であることを示している。
シス異性体(108):この分子の立体化学を決めるために、NOE相違実験を行った。この実験において、4.88〜4.93ppmにおけるマルチプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在のみを測定するためにデータの採取を行った。これは、正のNOE効果を表し、これらプロトンの密接な空間的関係を表す。この実験において、別のメチンフランプロトンである5.16ppmのダブレットについてNOEが発見された。芳香族のプロトンについてもう一つのNOEも見られ、それはこのトリプレットがベンジルのプロトンを表すことを示している。別のフランメチレンプロトンについて1.93〜2.90ppmにおけるマルチプレットについてもNOEが観察された。
(j) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-フタルイミジルプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物124、125 )の調製
これらの化合物を、化合物105を化合物123に替えて実施例1(i)に記載の手順に類似する手順を用いて123から調製した。1H NMR(CDC13): 124(トランス):1.65 (m, 1H); 1.80 (m, 1H); 2.00 (m, 2H); 2.12 (m, 1H); 2.31 (m, 1H); 3.48 (m, 1H); 3.82 (m, 3H); 5.02 (t, 1H); 5.28 (dd, 1H); 7.00 (t, 2H); 7.29 (m, 2H); 7.71 (m, 2H); 7.82 (m, 2H). 125(シス): 1.90 (m, 2H); 1.99 (m, 4H); 2.19 (m, 1H); 3.48 (m, 1H); 3.82 (m, 2H); 3.88 (m, 1H); 4.94 (m, 1H); 5.15 (dd, 1H); 7.00 (t, 2H); 7.30 (m, 2H); 7.71 (m, 2H); 7.84 (m, 2H).
(k) : 3-フタルイミジルプロパノール(化合物106)の調製
3-ブロモプロパノール(4.0g、 28.78mmol)、カリウムフタルイミド(8.0g、43.17mmol)および炭酸カリウム(4.0g、28.78mmol)をDMF 20mLに添加した。この反応混合物を70℃で4時間攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和NaCl溶液で洗い、減圧下に蒸発させて固形物を得、それを酢酸エチルで結晶化した(3.5g、67%)。
(l) : シス2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-アミノプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物109、110)の調製
化合物107(455mg、1.03mmol)およびヒドラジン一水和物(165.3mg、5.16mmol)をエタノール2mLに添加した。反応混合物を2時間還流し、水で急冷し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水および飽和NaCl溶液で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に蒸発させてトランス生成物109(225mg、70%)を得た。1H NMR(CDCl3): 1.75 (m, 2H); 1.78 (m, 1H); 1.96 (m, 1H); 2.20 (m, 1H); 2.40 (m, 1H); 2.82 (t, 2H); 3.55 (m, 1H); 3.81 (m, 1H); 3.83 (s, 3H); 3.87 (s, 6H); 5.00 (t, 1H); 5.34 (dd, 1H); 6.56 (S, 2H).
シス異性体110を、化合物109について記載した手順に類似する手順を用いて108から調製した。1H NMR (CDC13): 1.76 (M, 2H); 2.08 (M, 3H); 2.27 (M, 1H); 2.82 (t, 2H); 3.55 (m, 1H); 3.84 (s, 3H); 3.88 (s, 6H); 3.92 (m, 1H); 4.95 (m, 1H); 5.20 (m, 1H0; 6.64 (s, 2H).
(m) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-アミノプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物126, 127)の調製
これらの化合物を、化合物107および108を化合物124および125に替えて実施例1(l)に記載の手順に類似する手順を用いて124および125から調製した。1H NMR(CDCl3): 124(トランス): 1.75 (m, 31H); 1.96 (m, 1H); 2.20 (m, 1H); 2.40 (m, 1H); 2.82 (t, 2H); 3.54 (m, 1H); 3.83 (m, 1H); 5.05 (t, 1H); 5.32 (dd, 1H); 7.01 (t, 2H); 7.30 (m, 2H). 125(シス): 1.74 (m, 2H); 1.97 (m, 1H); 2.05 (m, 2H); 2.25 (m, 1H); 2.77 (t, 2H); 3.47 (m, 1H); 3.85 (m, 1H); 4.95 (m, 1H); 5.15 (dd, 1H); 7.00 (t, 2H); 7.34 (m, 2H).
(n) : トランスおよびシス2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-5-[3-(N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(化合物1、3)の調製
化合物109(60mg、0.19mmol)およびトリホスゲン(23mg、0.078mmol)をジクロロメタン3mLに溶解した。この溶液にトリエチルアミン(29.3mg、0.29mmol)を添加した。反応混合物を2時間還流し、氷浴で冷却した。冷却溶液に、トリエチルアミン(34.0mg、0.34mmol)およびメチルヒドロキシアミン塩酸塩(32.2mg、0.39mmol)を添加した。反応液を室温で16時間攪拌し、水で急冷し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和NaCl溶液で洗い、減圧下に蒸発させて油状物を得、それを分取TLC(シリカ、酢酸エチル)で精製してトランス生成物1(51mg、69%)を得た。1H NNR(CDCl3): 1.82 (m, 3H); 1.95 (m, 1H); 2.22 (m, 1H); 2.40 (m, 1H); 3.15 (s, 3H); 3.40 (m, 2H); 3.58 (m, 1H); 3.84 (s, 3H); 3.85 (m, 1H); 3.88 (s, 6H); 5.00(t, 1H); 5.33 (m, 1H); 6.32 (m, 1H); 6.56 (s, 2H); 7.37 (s, 1H).
シス異性体3を、化合物1について記載した手順に類似する手順を用いて110から調製した。1H NMR(CDCl3): 1.83 (m, 2H); 2.07 (m, 3H); 2.28 (m, 1H); 3.13 (s, 3H); 3.35 (m, 2H); 3.55 (m, 1H); 3.84 (s, 3H); 3.87 (s, 6H); 3.88 (m, 1H); 4.97 (m, 1H); 5.20 (m, 1H); 6.22 (m, 1H); 6.63 (s, 2H); 7.37 (s, 1H).
(o) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-[3-(N'-メチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(化合物9、11)の調製
これらの化合物を、化合物109および110を化合物126および127に替えて実施例1(n)に記載の手順に類似する手順を用いて126および127から調製した。1H NMR(CDCl3) : 9(トランス): 1.70 (m, 1H); 1.78 (m, 2H); 1.96 (m, 1H); 2.19 (m, 1H) ; 2.40 (m, 1H); 3.10 (s, 3H); 3.31 (m, 2H); 3.51 (m, 1H); 3.83 (m, 1H); 5.05 (t, 1H); 5.30 (dd, 1H); 6.38 (t, 1H); 7.01(t, 2H); 7.28 (m, 2H). 11(シス): 1.80 (m, 2H);2.05 (m, 3H); 2.24 (m, 1H);3.06 (s, 3H); 3.30 (m, 2H); 3.48 (m, 1H); 3.86 (m, 1H); 4.98 (m, 1H); 5.16 (dd, 1H); 6.30 (t, 1H); 7.02 (t, 2H); 7.31 (m, 2H); 8.08 (bs, 1H).
(p) : トランスおよびシス2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-5-[3-(N'-n-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(化合物2、4)の調製
化合物109(60mg、0.19mmol)およびトリホスゲン(23mg、0.078mmol)をジクロロメタン3mLに溶解した。この溶液にトリエチルアミン(29.3mg、0.29mmol) を添加した。反応混合物を2時間還流し、氷浴で冷却した。冷却溶液に、ブチルヒドロキシアミン(51.4mg、0.29mmol)を添加した。反応液を室温で16時間攪拌し、水で急冷し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和NaCl溶液で洗い、減圧下に蒸発させて油状物を得た。トランス生成物2を、分取TLC(シリカ、酢酸エチル)で分離した(46.9mg、54.7%)。1H NMR(CDCl3): 0.93 (t, 3H); 1.35 (m, 2H); 1.58 (m, 2H);1.81 (m, 3H); 1.96 (m, 1H); 2.21 (m, 1H); 2.40 (m, 1H); 3.38 (m, 2H); 3.50 (m, 2H); 3.57 (m, 1H); 3.83 (s, 3H); 3.85(m, 1H); 3.88 (s, 6H);5.00 (t, 1H); 5.32 (m, 1H); 6.32 (m, 1H); 6.56 (s, 2H).
シス異性体4を、化合物2について記載した手順に類似する手順を用いて110から調製した。1H NMR(CDCl3): 0.92 (t, 3H); 1.32 (m, 2H); 1.58 (m, 2H); 1.81 (m, 2H); 2.08 (m, 3H); 2.28 (m, 1H); 3.35 (m, 2H); 3.47 (m, 2H); 3.54 (m, 1H); 3.84 (s, 3H); 3.87 (s, 6H); 3.88 (m, 1H); 4.97 (m, 1H); 5.20 (m, 1H); 6.22 (m, 1H);6.63 (s, 2H).
(q) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-[3-(N'-n-ブチル-N'-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(化合物10、12)の調製
これらの化合物を、化合物109および110を化合物126および127に替えて実施例1(p)4 記載の手順に類似する手順を用いて126および127から調製した。1H NMR(CDCl3): 10(トランス): 0.90 (t, 3H); 1.30 (m, 2H); 1.55 (m, 2H); 1.70 (m, 1H);1.78 (m, 2H); 1.96 (m, 1H); 2.19 (m, 1H); 2.40 (m, 1H); 3.31 (m, 2H);3.44 (m, 2H); 3.52 (m, 1H); 3.82 (m, 1H); 5.05(t, 1H); 5.30 (dd, 1H);6.32 (t, 1H); 7.00 (t, 2H); 7.28 (m, 2H); 7.55 (bs, 1H). 12 (シス): 0.90 (t, 3H); 1.30 (m, 2H); 1.52 (m, 2H);1.80(m, 2H); 2.04 (m, 3H); 2.24 (m, 1H); 3.30 (m, 2H); 3.40 (m, 2H); 3.48 (m, 1H); 3.85 (m, 1H); 4.98 (t, 1H); 5.16 (dd, 1H); 6.27 (t, 1H); 7.03 (t, 2H); 7.32 (m, 2H); 7.53 (bs, 1H).
実施例2
2-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-[3-N'-置換-N'-ヒドロキシウレイジルプロポキシ]テトラヒドロフラン(5-8)の調製
(a) : 4-(3',4'-ジメトキシフェニル)-4-オキソブチロニトリル(111)の調製 純物アクリロニトリル(3.2ml、0.048mol)とトリエチルアミン(5ml、0.11mol)との単一部分を、アルゴン雰囲気中、攪拌下に、3, 4-ジメトキシベンズアルデヒド(7.8g、0.047mol)および3-ベンジル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムクロライド(5.3g、0.02mol)の乾燥ジメチルホルムアミド(25ml)中混合物に添加した。混合物を室温で一晩放置した。反応液を水で希釈し酢酸エチル(3×100 ml)で抽出した。有機層を水(3×100 ml)、ブライン(3×100 ml)で抽出し、溶媒を減圧下に除去して琥珀色の油を得た。TLC(シリカゲル;酢酸エチル: ヘキサン=1:1)による分析により、Rf0.80(出発アルデヒド)、0.50(化合物1)および0.30(未知の副産物)の三つのスポットの混合物が示された。サンプルを、シリカゲル60(230〜400メッシュ)上でのカラム(フラッシュ)クロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル: ヘキサン(=1: 1)で溶離して所望の化合物(2.26 g, 22%)を黄色固形物として得た。1H NMR(CDCl3): 2.78 (t, 2H, J=8 Hz), 3.33 (t, 2H, J=8 Nz), 3.96 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 6.90 (d, 1H, J=8.5 Hz), 7.52 (d, J=2Hz, 2H), 7.58 (dd, J=2および8 Hz, 2H).
(b) : 4-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-4-オキソ酪酸(112)の調製
4-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-4-オキソブチロニトリル(111)(2.26g、0.01mol)の酢酸(15ml)および塩酸(12N、40ml)中溶液を攪拌下に1.5時間加熱還流し、室温まで冷却した。溶媒を減圧下に除去して褐色固形物を得た。水から再結晶させることにより112を明淡褐色結晶(1.57g、66%)として得た。1H HMR(CDCl3): 2.80 (t, J=7.5Hz, 2H), 3.30 (t, J=7.5Hz, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 6.89 (d, 1H, J=9Hz), 7.55 (d, 1H, J=1Hz)
および7.64 (dd, 1H, 1および9Hz).
(c) : 4-(3’,4’-ジメトキシフェニル)ブチロラクトン(113)の調製
ホウ水素化ナトリウム(0.89g、0.023mol)の水(4ml)中溶液を、アルゴン雰囲気中、攪拌下に、112(2.8g、0.012mol)の新しく蒸留した乾燥テトラヒドロフラン(40ml)およびメタノール(20ml)中溶液に、5分間で滴下することにより加えた。反応液を室温で一晩放置した。TLC(シリカゲル;酢酸エチル:メタノール:酢酸=9.5:0.5:数滴)による分析により、出発材料の存在が示された。さらなるホウ水素化ナトリウム(0.5g、0.013mol)の水(2ml)中溶液を滴下することにより加え、反応液を室温で3時間放置した。TLC(前述と同じシステム)による分析により、出発材料の不存在が示された。反応液を塩酸(6N、25ml)で急冷し、室温で15分間放置した。混合物を酢酸エチル(3×75ml)で抽出した。有機抽出液を水(3×75ml)、ブライン(3×75ml)で洗い、溶媒を減圧下に除去して淡褐色の固形物(2.0g、75%)として得た。1H NMR(CDCl3): 2.18〜2.25 (m, 1H), 2.59〜2.70 (m, 3H), 3.89 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 5.44〜5.49 (m, 1H)および6.82〜6.87 (m, 3H).
(d) : 4-(3', 4'-ジメトキシフェニル)ブチロラクトール(114)の調製
水素化ジイソブチルアルミニウム(1.5M、9ml、13.5mmol)の溶液を、ドライアイス−アセトン浴により冷却されたアルゴン雰囲気中の113(2.0g、9mmol)の乾燥トルエン(40ml)中溶液に、攪拌下、30分間で滴下することにより加えた。反応液を-78℃で1時間攪拌した。TLC(シリカゲル;酢酸エチル: ヘキサン=1:1)による分析により、出発材料の不存在およびRf0.38における新しいスポットが示された。反応液をメタノール(20ml)で急冷し、ゆっくりと0℃まで温めた。酒石酸ナトリウムカリウムの飽和溶液(50ml)を添加し、0℃で45分間攪拌した。混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、有機抽出液を水(3×75ml)、ブライン(3×75ml)で洗った。溶媒を減圧下に除去して暗色の琥珀色の油(1.7g、84%)を得た。1H NMR(CDCl3)(シス異性体とトランス異性体との混合物)1.71〜2.49(m, 8H), 2.91 (br s, 1H), 3.09 (br s, 1H), 3.89 (s, 6H), 3.90 (s, 6H), 4.97 (m, 1H), 5.19 (t, J=7Hz, 1H), 5.62 (m, 1H), 5.77 (m, 1H)および6.82〜7.28(m, 6H).
(e) : N-(3-ヒドロキシプロピル)フタルイミド(106)調製
3-ブロモプロパノール(4g、0.029mmol)、フタル酸カリウム(8g、0.043mmol)および炭酸カリウム(4g、0.029mmol)の乾燥DMF(50ml)中混合物を攪拌し、70℃で4時間加熱した。混合物を水(100ml)で希釈し、酢酸エチル(3×75ml)で抽出した。有機層を水(3×100 ml)で洗い、乾燥(Na2SO4)した。溶媒を減圧下に除去して白色固形物を得、それをベンゼンで抽出した。ベンゼン抽出液を蒸発させて白色固形物を得、それを酢酸エチル-ヘキサンから再結晶させて白色結晶(1.27g、24%)を得た。
(f) : トランスおよびシス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-フタロイル)]プロポキシテトラヒドロフラン(115および116)の調製
無水トリフリン酸(triflic an Hydride)(0.68ml、4.8mmol)を単一部分として、氷浴を用いて冷却されたアルゴン雰囲気中の114(0.72g、3.2mmol)の乾燥ジクロロメタン(20ml)およびトリエチルアミン(0.68ml、4.9mmol)中溶液に、攪拌下に加えた。反応液を0℃で30分間攪拌した。N-(3-ヒドロキシプロピル)フタルイミド(106)(1.27g、7mmol)を反応混合物に添加し、溶液が室温まで温まるまで放置し、この温度で2時間放置した。溶液を、重炭酸ナトリウム水溶液(飽和、25ml)で急冷し、酢酸エチル(3×50ml)、ブライン(3×50ml)で抽出し、乾燥(硫酸ナトリウム)した。溶媒を減圧下に除去すると、琥珀色の油(2.02g)が残った。TLC(シリカゲル;酢酸エチル:ヘキサン=1:1)による油の分析により、Rf0.80、0.60、0.50および0.35における4つのスポットの存在が示された。Rf0.60と0.50とにおけるスポットの比は2:1であった。サンプルを、シリカゲル(230〜400メッシュ)上のカラムクロマトグラフィー(フラッシュ)により精製し、酢酸エチル:ヘキサン(=3:7)により溶離して最初にRf0.60に透明で無色の油状物(0.40g、30%)としての物質を得、それはトランス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-フタロイル)]プロポキシテトラヒドロフラン(115)(0.40g、30%)と同定された。1H NMR(CDCl3) 1.34〜1.94 (m, 2H), 1.96〜2.05 (m, 2H), 2.09〜2.20(m, 1H), 2.25〜2.36 (m, 1H), 3.46〜3.53 (m, 1H), 3.84 (t, 9Hz, 2H)、ここに隠れた一つのプロトンマルチプレットもある、3.88 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 5.01 (t, 7.3Hz, 1H), 5.30 (dd, J=2および5Hz, 1Hz), 6.82〜6.90 (m, 3H),7.71〜7.74 (m, 2H)および7.84〜7.88 (m, 2H).
この分子の立体化学を決めるために、NOE相違実験を行った。この実験において、5.01 ppmにおけるトリプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在のみを測定するためにデータの採取を行った。これは、正のNOE効果を表し、これらプロトンの密接な空間的関係を表す。この実験において、フラン環プロトンである2.25〜2.36ppmにおけるマルチプレットについてNOEが発見された。芳香族のプロトンについてもう一つのNOEも見られ、それはこのトリプレットがベンジルのプロトンを表すことを示している。5.30ppmにおける二重のダブレットについてはNOEが観察されず、そのことはこれがトランス異性体であることを示している。
同じ溶媒系で連続して溶離することにより、無色油状物(0.21g、15%)としてRf0.50にスポットを与え、それはシス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-フタロイル)]プロポキシテトラヒドロフラン(116)と同定された。1H NMR(CDCl3) 1.92〜2.12 (m, 6H), 3.44〜3.52 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.76 〜3.93 (m, 3H), 4.89〜4.94 (m, 1H), 5.35 (d, J=4Hz), 6.89 (d, J=8Hz), 6.87 (dd, J=2および8Hz), 6.92 (d, J=2Hz), 7.69〜7.72 (m, 2H)および7.82〜7.85 (m, 2H).
この分子の立体化学を決めるために、NOE相違実験を行った。この実験において、4.89〜4.94 ppmにおけるマルチプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在のみを測定するためにデータの採取を行った。これは、正のNOE効果を表し、これらプロトンの密接な空間的関係を表す。この実験において、他のメチンフランプロトンである5.35ppmにおけるダブレットについてNOEが発見された。このことは、この分子がシス異性体であることを示している。芳香族のプロトンについてもう一つのNOEも見られ、それはこのトリプレットがベンジルのプロトンを表すことを示している。他のフランメチレンプロトンを含む1.92〜2.12ppmにおけるマルチプレットについてもNOEが存在していた。
クロマトグラフィーは、また、115と116との混合物(0.342g、26%) を産出した。
(g) : トランス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-(3-アミノプロポキシ)テトラヒドロフラン(117)の調製
純物のヒドラジン水和物(150μL、3.2mmol)を、攪拌下に、115(253mg、0.62mmol)の無水エタノール(1.5ml)中溶液に添加した。溶液を5分間加熱還流すると、溶液から白色固形物が析出した。混合物を2時間加熱還流した。TLC(シリカゲル;酢酸エチル: ヘキサン=1: 1)による分析により、出発材料の不存在および最初の部分におけるスポットが示された。反応液を水(10ml)で急冷し、ジクロロメタン(5×10ml)で抽出した。有機相を水(2×10ml)、ブライン(2×10ml)で洗い、乾燥(硫酸ナトリウム)した。減圧下に溶媒を除去すると無色油状物(150mg、86%)が残った。1H NMR(CDCl3) 1.25 (brs, 2H), 1.68〜1.78 (m, 3H), 1.81〜1.98 (m, 1H), 2.14〜2.2 (m, 1H), 2.3〜2.36 (m, 1H), 2.80 (t, J=6.5Hz, 2H), 3.47〜3.55 (m, 1H), 3.78〜3.87 (m, 部分的に隠れている,1H), 3.86 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 4.99 (t, J=7Hz, 1H), 5.31 (dd, J=2および6Hz, 1H), 6.80〜6.88 (m, 3H).
(h) : シス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-(3-アミノプロポキシ)テトラヒドロフラン(118)の調製
純物のヒドラジン水和物(125μl、2.57mmol)を、攪拌下に、116(210mg、0.51mmol)の無水エタノール(3.0ml)中溶液に添加した。溶液を5分間加熱還流すると、溶液から白色固形物が析出した。混合物を2時間加熱還流した。TLC(シリカゲル;酢酸エチル: ヘキサン=1:1)による分析により、出発材料の不存在および最初の部分におけるスポットが示された。反応液を水(10ml)で急冷し、ジクロロメタン(5×10ml)で抽出した。有機相を水(2×10ml)、ブライン(1×10ml)で洗い、乾燥(硫酸ナトリウム)した。減圧下に溶媒を除去すると堅い油状物(105mg、73%)が残った。1H NMR(CDCl3) 1.45 (b r s, 2H), 1.73〜1.78 (m, 2H), 2.01〜2.12 (m, 3H), 2.19〜2.29 (m, 1H), 2.81 (t, J=7Hz, 2H), 3.48〜3.53 (m, 1H), 3.85〜3.93 (m, 部分的に隠れている,1H), 3.88 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 4.96〜5.01 (m, 1H), 5.17 (dd, J=3および6Hz, 1H), 6.83 (d, J= 8Hz, 1H), 6.89 (dd, J=2 および8Hz, 1H)および6.96 (d, J=2Hz, 1H).
(i) : トランス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-ブチル-N-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(5)の調製
117(53mg、0.19mmol)の乾燥ジクロロメタン(3ml)中溶液にアルゴン雰囲気中、攪拌下に、トリエチルアミン(32μl,0.22 mmol)および次にトリホスゲン(19mg、0.06mmol)を添加した。溶液を30分間加熱還流し、室温に冷却した。この溶液に、固体n-ブチルヒドロキシルアミン(34mg、0.38mmol)を一度に添加し、それを室温で一晩放置した。反応液を水(10ml)で急冷し、ジクロロメタン(3×10ml)で抽出した。併せた有機相を重炭酸ナトリウム水溶液(飽和、3×10ml)で洗い、乾燥(硫酸ナトリウム)した。TLC(シリカゲル;酢酸エチル)による分析により、Rf0.90、0.50、0.25および0.00の錯体混合物が示された。サンプルを、シリカゲル60(230〜400メッシュ)上のカラム(フラッシュ)クロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチルにより溶離してRf0.50に乳白色の油状物(8mg、11%)としてのスポットを得た。1H NMR(CDCl3) 0.92 (t, J=7Hz, 3H), 1.27〜1.39 (m, 2H), 1.51〜1.61 (m, 2H), 1.71〜1.86 (m, 3H), 1.88〜2.15 (m, 1H), 2.17〜2.29 (m, 1H), 2.32〜2.42 (m, 1H), 3.28〜3.58 (m, 4H), 3.81〜3.94 (m, 部分的に隠れている,2H), 3.87 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 5.49〜5.05 (m, 1H), 5.31〜5.38 (m, 1H), 6.28〜6.34 (m, 1H)および 6.81〜6.86 (m, 3H), IR(フィルム)3407, 3193, 2933, 1640, 1516, 1263, 1029 cm-1.
(j) : トランス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(6)の調製
117(32mg、0.11mmol)の乾燥ジクロロメタン(3ml)中溶液にアルゴン雰囲気中、攪拌下に、トリホスゲン(12mg、0.04mmol)、続いて直ちにトリエチルアミン(17μl、0.12mmol)を添加した。溶液を2時間加熱還流し、室温に冷却し、氷浴中に置いた。この反応混合物に、純物トリエチルアミン(32μl、0.23mmol)、続いてメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(19mg、0.23mmol)を添加した。反応液を室温で一晩放置した。反応液を水(10ml)で急冷し、ジクロロメタン(3×10ml)で抽出した。有機抽出液を水(3×10ml)、ブライン(3×10ml)で洗い、溶媒を減圧下に除去して琥珀色の油を得た。TLC(シリカゲル;酢酸エチル)による分析により、Rf0.30における一つの新しいスポットのみが示された。サンプルを、シリカゲル60(230〜400メッシュ)上のカラム(フラッシュ)クロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチルにより溶離して所望の化合物を琥珀色の油状物(12mg、30%)として得た。1H NMR(CDCl3) 1.73〜1.84 (m, 2H), 1.90〜2.01 (m, 1H), 2.03〜2.13 (m, 1H), 2.18〜2.29(m, 1H), 2.32〜2.43 (m, 1H), 3.13 (s, 3H), 3.30〜3.44 (m, 2H), 3.49〜3.59 (m, 1H), 3.82〜3.92(m, 部分的に隠れている,3H), 3.88(s, 3H), 3.91 (m, 3H), 4.96〜5.04(m, 1H), 5.34 (dd, J=2 および5Hz, 1H), 6.34 (br t, 5Hz, 1H)および6.82〜6.68 (m, 3H), IR(フィルム)3407, 3229, 2935, 1636, 1516, 1263および1029cm-1.
(k) : シス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-ブチル-N-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(7)の調製
118(50 mg, 0.18 mmol)の乾燥ジクロロメタン(3ml)中溶液にアルゴン雰囲気中、攪拌下に、トリホスゲン(18mg、0.06 mmol)、続いて直ちにトリエチルアミン(80μl、0.57mmol)を添加した。溶液を2時間加熱還流し、室温に冷却し、氷浴中に置いた。この反応混合物に、純物トリエチルアミン(50μl、0.35mmol)、続いて固体n-ブチルヒドロキシルアミン(32mg, 0.36mmol)を添加した。反応液を室温で一晩放置した。反応液を水(10ml)で急冷し、ジクロロメタン(3×10ml)で抽出した。有機抽出液を水(3×10ml)、ブライン(3×10ml)で洗い、溶媒を減圧下に除去して琥珀色の油を得た。TLC(シリカゲル;酢酸エチル)による分析により、Rf0.85および0.45における略当量の二つの新しいスポットが示された。サンプルを、シリカゲル60(230〜400メッシュ)上のカラム(フラッシュ)クロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチルにより溶離して最初にRf0.85におけるスポットを琥珀色の油状物(26mg)として得た。同じ溶媒系で連続的に溶離することにより表記化合物を琥珀色の油状物(25mg、35%)として得た。1H NMR(CDCl3 1.1 (t, J=7Hz, 3H), 1.25 〜1.37 (m, 2H), 1.49〜1.59 (m, 2H), 1.76〜1.84 (m, 2H), 1.99〜2.1 (m, 3H), 2.19〜2.26 (m, 1H), 3.26〜3.54 (m, 5H), 3.84〜3.92 (m, 部分的に隠れている,1H), 3.87 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 4.96 〜5.02 (m, 1H), 5.17 (d, J=4Hz, 1H), 6.24 (t, J=4Hz, 1H), 6.52 (br s, 1H), 6.83 (d, J= 8Hz, 1H) および6.89〜95 (m, 2H), IR (フィルム)2913, 1640, 1570,1463, 1262, 1139および1031cm-1.
(l) : シス2-(3', 4'-ジメトキシフェニル)-5-[3-(N-メチル-N-ヒドロキシウレイジル)プロポキシ]テトラヒドロフラン(8)の調製
118(56mg, 0.2mmol)の乾燥ジクロロメタン(3ml)中溶液にアルゴン雰囲気中、攪拌下に、トリホスゲン(20mg、0.07mmol)、続いて直ちにトリエチルアミン(80μl、0.57mmol)を添加した。溶液を2時間加熱還流し、室温に冷却し、氷浴中に置いた。この反応混合物に、純物トリエチルアミン(80μl、0.57mmol)、続いて固体メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(32mg、0.39mmol)を添加した。反応液を室温で一晩放置した。反応液を水(10ml)で急冷し、ジクロロメタン(3×10ml)で抽出した。有機抽出液を水(3×10ml)、ブライン(3×10ml)で洗い、溶媒を減圧下に除去して琥珀色の油を得た。TLC(シリカゲル;酢酸エチル)による分析により、Rf0.30における一つのスポットおよび最初の位置における少しの物質が示された。サンプルを、シリカゲル60(230〜400メッシュ)上のカラム(フラッシュ)クロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチルにより溶離して表記化合物を琥珀色の油状物(30mg、42%)として得た。1H NMR(CDCl3) 1.76 (m, 2H), 1.98〜2.10 (m, 3H), 2.18〜2.26 (m, 1H), 3.07 (s, 3H), 3.25〜3.37 (m, 2H), 3.46〜3.54 (m, 1H), 3.85〜3.90 (m, 部分的に隠されている,1H), 3.87 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 4.93〜5.00 (m, 1H), 5.16 (d, J=4Hz, 1H), 6.27 (t, J= 5Hz, 1H), 6.83 (d, J= 8Hz, 1H)および6.88〜6.93 (m, 2H), IR(純物)2933, 1643, 1518, 1261および1029cm-1.
実施例3
2-(2, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン (13) および2-(4-フルオロフェニル)5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン (14, 15) の調製
(a) : 2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-ブロモプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物128)の調製
化合物105(1.0g、3.94mmol)をジクロロメタン4mlの溶解した。この溶液にトリエチルアミン(597mg、5.90mmol)を添加した。反応混合物を氷浴で冷却し、トリフルオロ無水酢酸(1.24g、5.90mmol)を滴下することにより加えた。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、次に3-ブロモプロパノール(1.84g、13.27mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め、室温で2時間攪拌した。反応液を飽和NaHCO3水溶液で急冷し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和NaCl溶液で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に蒸発させて油状物を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカ,4:1ヘキサン/酢酸エチル)で精製した(128:430 mgおよびそのシス異性体250mg;合計収率46%)。1H NMR(CDCl3): 128(トランス):1.77 (m, 1H); 1.98 (m, 1H); 2.15 (m, 2H); 2.20 (m, 1H); 2.40 (m, 1H); 3.53 (t, 2H); 3.60 (m, 1H); 3.83 (s, 3H); 3.87 (m, 1H); 3.89 (s, 6H); 5.01 (t, 1H); 5.35 (dd, 1H); 6.57 (s, 2H).
(b) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-ブロモプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物129、130)の調製
これらの化合物は、化合物105を化合物123に替えて、実施例3 (a) に記載の手順に類似の手順を用いて123から調製した。1H NMR(CDCl3): 129(トランス):1.72 (m, 1H); 1.98 (m, 1H); 2.14 (m, 2H); 2.20 (m, 1H); 2.40 (m, 1H); 3.53 (t, 2H); 3.60 (m, 1H); 3.89 (m, 1H); 5.06 (t, 1H); 5.34 (m, 1H); 7.02 (t, 2H); 7.30 (m, 2H). 130(シス):1.98 (m, 1H); 2.07 (m, 2H); 2.14 (m, 2H); 2.26 (m, 1H); 3.52 (t, 2H); 3.58 (m, 1H); 3.93 (m, 1H); 5.00 (m, 1H); 5.20 (dd, 1H); 7.03 (t, 2H); 7.35 (m, 2H).
(c) : 2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-O-ベンジルヒドロキシルアミノプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物131)の調製
化合物128(260mg、0.69mmol)を1, 3-ジメチル-3, 4, 5, 6-テトラヒドロ-2-(1H)-ピリミジノン(DMPU)2mlに溶解した。この溶液に炭酸ナトリウム(220.4mg、2.08mmol)およびベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(166mg、1.04mmol)を添加した。反応液を80℃で16時間攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発させて油状物を得、酢酸エチル(114mg、40%)を溶媒として用いてカラム(フラッシュ)クロマトグラフィーにより精製した。1H NMR(CDCl3): 1.72 (m, 1H); 1.82 (m, 2H); 1.92 (m, 1H); 2.18 (m, 1H); 2.36 (m, 1H); 3.06 (t, 2H); 3.52 (m, 1H); 3.81 (m, 1H); 3.83 (s, 3H); 3.87 (s, 6H); 4.71 (s, 2H); 4.98 (t, 1H). 530 (dd, 1H); 6.55 (s, 2H); 7.35 (m, 5H).
(d) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-O-ベンジルヒドロキシルアミノプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物132、133)の調製
これらの化合物は、化合物128を化合物129および130に替えて、実施例3(c)に記載の手順に類似の手順を用いて129および130から調製した。1H NMR(CDCl3): 132(トランス):1.70 (m, 1H); 1.83 (m, 2H); 1.94 (m, 1H); 2.17 (m, 1H); 2.38 (m, 1H); 3.07 (t, 2H); 3.52 (m, 1H); 3.82 (m, 2H); 4.71 (s, 2H); 5.02 (t, 1H); 5.30 (ss, 1H); 7.02 (t, 2H); 7.30 (m, 2H); 7.36 (m, 5H). 133(シス):1.85 (m, 2H); 1.96 (m, 1H); 2.05 (m, 2H); 2.26 (m, 1H); 3.05 (t, 2H); 3.50 (m, 1H); 3.88 (m, 2H); 4.70 (s, 2H); 4.99 (m, 1H); 5.17 (dd, 1H); 5.50 (bs, 1H); 7.00 (t, 2H); 7.35 (m, 7H).
(e) : 2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-O-ベンジルヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物134)の調製
化合物131(114mg、0.27 mmol)をジクロロメタン3 mlに溶解した。この溶液にトリメチルシリルイソシアネート(47.6mg、0.41 mmol)を添加した。反応液を室温で16時間攪拌し、次に4時間還流させた。反応液を飽和塩化アンモニウム溶液で急冷し、酢酸エチルで抽出し、蒸発させて油状物を得た。生成物は酢酸エチルを溶媒として用いて分取TLCにより単離した。1H NMR(CDCl3): 1.72 (m, 1H); 1.94 (m, 3H); 2.16 (m, 1H); 2.38 (m, 1H); 3.50 (m, 1H); 3.62 (m, 2H); 3.80 (m, 1H); 3.82 (s, 3H); 3.84 (s, 6H); 4.81 (s, 2H); 4.99 (t, 1H); 5.30 (m, 3H); 6.54 (s, 2H); 7.37 (s, 5H).
(f) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-O-ベンジルヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物135、136)の調製
これらの化合物は、化合物131を化合物132および133に替えて、実施例3(e) に記載の手順に類似の手順を用いて132および133から調製した。1H NMR (CDCl3): 135(トランス):1.70 (m, 1H); 1.93 (m, 3H); 2.16 (m, 1H); 2.39 (m, 1H); 3.50 (m, 1H); 3.62 (m, 2H); 3.80 (m, 1H); 4.82 (s, 2H); 5.04 (t, 1H); 5.30 (dd, 1H); 5.35 (bs, 2H); 7.00 (t, 2H); 7.29 (m, 2H); 7.38 (s, 5H). 136(シス):1.98 (m, 4H); 2.08 (m, 1H); 2.25 (m, 1H); 3.48 (m, 1H); 3.62 (m, 2H); 3.83 (m, 1H); 4.81 (s, 2H); 4.98 (m, 1H); 5.17 (dd, 1H); 5.42 (bs, 1H); 7.00 (t, 2H); 7.33 (m, 2H); 7.38 (s, 5H).
(g) : 2-(3, 4, 5-トリメトキシフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物13)の調製
化合物134(90mg、0.19mmol)を酢酸エチル2 mlに溶解し、次にPd/C(10%)(18mg)を添加した。反応混合物をバルーン圧で16時間水素化した。反応液を濾過し、濾過液を濃縮した。生成物を酢酸エチルを溶媒として用いて分取TLCにより単離した(68mg)。1H NMR(CDCl3): 1.75 (m, 1H); 1.91 (m, 2H); 1.95 (m, 1H); 2.20 (m, 1H); 2.37 (m, 1H); 3.58 (m, 1H); 3.66 (m, 2H); 3.81 (s, 3H); 3.85 (m, 1H); 3.87 (s, 6H); 5.00 (t, 1H); 5.35 (dd, 1H); 5.41 (bs, 2H); 6.35 (s, 2H); 8.39 (s, 1H).
(h) : 2-(4-フルオロフェニル)-5-(3-ヒドロキシウレイジルプロポキシ)テトラヒドロフラン(化合物14、15)の調製
化合物14および15を、化合物134を化合物135および136に替えて、実施例3(g) に記載の手順に類似の手順を用いて135および136から調製した。1H NMR (CDCl3): 14(トランス):1.72 (m, 1H); 1.93 (m, 3H); 2.20 (m, 1H); 2.38 (m, 1H); 3.58 (m, 1H); 3.67 (m, 2H); 3.85 (m, 1H); 5.05 (t, 1H); 5.33 (dd, 1H); 5.48 (bs, 2H); 7.00 (t, 2H); 7.28 (m, 2H); 8.48 (bs, 1H). 15(シス):1.92 (m, 2H); 2.01 (m, 1H); 2.10 (m, 2H); 2.26 (m, 1H); 3.53 (m, 1H); 3.64 (m, 2H); 3.87 (m, 1H); 4.98 (m, 1H); 5.20 (dd, 1H); 5.43 (bs, 2H); 7.01 (m, 2H); 7.31 (m, 2H); 8.43 (bs, 1H).
実施例4
トランス-2-{3-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン (207)
化合物207を製造するための合成図式を図式8に示す。
Figure 0004446123
(a) : 2-(t-ブチルジメチルシリロキシ)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物202)の調製:
2-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(550mg、3.0 mmol)、t-ブチルジメチルシリルクロライド(498mg、3.3mmol)およびイミダゾール(450mg、6.6mmol)を乾燥DMF 2mlに溶解した。この溶液を乾燥アルゴン雰囲気下に一晩攪拌し、水200ml中に注ぎ、酢酸エチルとヘキサンとの2:1混合物(3×100ml)で抽出した。併せた有機抽出液を水(4×200ml)およびブライン(100ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて2-(t-ブチルジメチルシリロキシ)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物202,シス異性体とトランス異性体との混合物)830mg(93%)をいかなる精製も必要としない無色油状物として得た。1H-NMR (CDCl3)δ 7.40〜7.50(2H, m, 微量異性体),7.25〜7.35(2H, m, 主量異性体),7.00〜7.10(2H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),5.71〜5.75(1H, m, 主量異性体),5.59〜5.62(1H, m, 微量異性体),5.12〜5.20(1H, m, 主量異性体),4.90〜4.98(1H, m, 微量異性体),2.40〜2.55(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),2.05〜2.17(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),1.87〜2.00(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),1.67〜1.70(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),0.92(s, 9H, 主量異性体と微量異性体の両方),0.16(s, 6H, 主量異性体と微量異性体の両方)。
(b) : トランス-2-(3-テトラヒドロピラニロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物204)の調製:
2-(t-ブチルジメチルシリロキシ)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(202、593mg、2.0mmol)を乾燥塩化メチレン10mlに混入した(使用前にアルゴンを吹き入れることにより脱気した)。この溶液を-70℃に冷却した。乾燥アルゴン雰囲気中で同じ温度で攪拌しながら、トリメチルシリルブロミド(290μl、2.2mmol)を滴下することにより加えた。攪拌をさらに1.5時間続けて2-ブロモ-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(203)を製造し、それを単離しないで、更に精製することなくその後の化学処理に用いた(下記参照)。
別のフラスコで、3-テトラヒドロピラニロキシ-ブト-1-イン(370mg、2.4 mmol)を乾燥THF(5ml)中に溶解した。溶液を-60℃に冷却し、乾燥アルゴン雰囲気中で同じ温度で攪拌しながら、n-ブチルリチウム(1.0ml、2.4mmol)を滴下することにより加えた。攪拌をさらに0.5時間続けた。得られる溶液を注射器で取り出し、2-ブロモテトラヒドロフラン(先に製造した)の溶液に-70℃で攪拌下に滴下することにより加えた。攪拌を-78℃でさらに1.5時間続けた。反応フラスコを冷蔵庫 (-78℃) 中に一晩貯蔵した(TLCによっていかなる変化も示されなかった)。反応混合物を塩化アンモニウムの2M溶液(50ml)に注ぎ込み、塩化メチレン(3×50ml) で抽出した。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液,ヘキサン中10%酢酸エチル)で精製して二つの成分を得た。プロトンNMR分析により、極性のより小さい成分がトランス-2-(3-テトラヒドロピラニロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物204, 280 mg, 45%)であると同定され、極性のより大きい成分(230mg)が二以上の化合物の混合物であることがわかった。この混合物を廃棄した。1H-NMR (CDCl3) δ 7.27〜7.30 (2H, m), 7.01 (2H, t, J = 8.7Hz), 5.09 (1H, t, J = 7.1Hz), 4.91〜4.95 (2H, m), 4.57〜4.64 (1H, m), 3.78〜3.90 (1H, m), 3.50〜3.60 (1H, m), 2.30〜2.50 (2H, m), 2.05〜2.17 (1H, m), 1.70〜1.90 (3H, m), 1.50〜1.65 (4H, m), 1.48 (3H, d, J = 6.6Hz).
(c) : トランス-2-(3-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物205)の調製:
トランス-2-(3-テトラヒドロピラニロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物204、280mg、0.9mmol)をメタノール(15ml)に溶解した。この溶液にp-トルエンスルホン酸)50mg)を添加し、得られる溶液を45分間攪拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液(10ml)を添加した。5分間の攪拌後、溶液を水10mlに添加し、ブライン15mlで希釈し、塩化メチレン(3×30ml)で抽出した。併せた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を回転式蒸発器で除去してトランス-2-(3-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物205)212mg(100%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ 7.29 (2H, dd, J=8.7, 5.2Hz), 7.01 (2H, t, J=8.7Hz), 5.09 (1H, t, J=7.4Hz), 4.92 (1H, t, J=7.4Hz), 4.59 (1H, q, J=6.6Hz), 2.30〜2.50 (2H, m), 2.05〜2.15 (1H, m), 2.00 (1H, br s), 1.75〜1.88 (1H, m), 1.47 (3H, d, J=6.6Hz).
(d) : トランス-2-{3-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物206)の調製: トランス-2-(3-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物205、210mg、0.89mmol)、トリフェニルホスフィン(288mg、1.1mmol)およびN, O-ビス(フェノキシカルボニル)ヒドロキシルアミン(283mg、1.1mmol)を乾燥THF(5ml)に溶解した。溶液をアルゴン雰囲気下0℃に冷却し、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(216ml、1.1μmol)を滴下することにより加えた。同じ温度で攪拌を1時間続けた。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液,ヘキサン中30%酢酸エチル)で精製してトランス-2-{3-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物206)250mg (57%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ 7.15〜7.45 (12H, m), 7.02 (2H, t, J=8.6Hz), 5.32 (1H, q, J=7.0Hz), 5.07 (1H, t, J=6.8Hz), 4.96 (1H, t, J=5.7Hz), 2.25〜2.50 (2H, m), 2.05〜2.20 (1H, m), 1.70〜1.85 (1H, m), 1.66 (3H, d, J=7.0Hz).
(e) : トランス-2-{3-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物207)の調製:
トランス-2-{3-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(206、200mg、0.41mmol)を塩化メチレン中溶液として高圧管中に溶解した。溶媒をアルゴン流を用いて蒸発させ、残渣を-78℃に冷却した。この管中においてアンモニア(8ml)を濃縮し、t-ブタノール4mlを添加した。管を密封し、室温までゆっくり温まるように放置し、室温で18時間攪拌した。圧力を非常にゆっくりと抜き、管を1時間を開けておいた。残渣をフラスコに移し、添加したトルエンにより2度回転蒸発(rotavapped)させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液,酢酸エチル中3%メタノール)で精製し、さらに分取TLC(溶媒,塩化メチレン中5%メタノール)で精製してトランス-2-{3-(N-ヒロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物207)93mg(78%)を得た。IR(フィルム)3481, 3269, 2985, 2877, 2249, 1662, 1670, 1510, 1444, 1224, 1172, 1037 cm-1; 1H-NMR (CDCl3) δ 8.10 (1H, br s), 7.26 (2H, dd, J=8.6, 5.4Hz), 7.00 (2H, t, J=8.6Hz), 5.80 (1H, br, s), 5.00〜5.20 (2H, m), 4.80〜5.00 (1H, m), 2.20〜2.50 (2H, m), 2.00〜2.20 (1H, m), 1.70〜1.90 (1H, m), 1.37 (3H, dd, J=6.9, 1.9Hz).
実施例5
トランス-2-{3-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物216および217)のS, S, S-およびS, S, R-異性体の調製
トランス-2-{3-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフランのS, S, R-およびS, S, S-異性体を調製するための一つの方法を以下の図式9に示す。
Figure 0004446123
Figure 0004446123
Figure 0004446123
(a) : メチル 3-(4-フルオロベンゾイル)プロピオネート(化合物209)の調製
3-(4-フルオロベンゾイル)プロピオン酸(1.98g、10.0mmol)のメタノール(25ml)中溶液に、濃硫酸0.5mlを添加した。得られる溶液をアルゴン雰囲気下、2時間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウムで中和し、メタノールを回転式蒸発器を用いて除去し、残渣を酢酸エチル50mlに溶解した。得られる溶液を飽和重炭酸ナトリウム(3×50ml)およびブライン(50ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去してメチル 3-(4-フルオロベンゾイル)プロピオネート(2g、94%)を得た。IR(フィルム) 3448, 3111, 3076, 3003, 3958, 1734, 1678, 1601, 1423, 1300, 1240, 1155, 1099 cm-1; 1H-NMR (CDCl3) δ 7.97 (2H, dd, J=9.0, 5.5Hz), 7.10 (2H, T, J=8.9Hz), 3.67 (3H, s), 3.25 (2H, t, J= 6.6Hz), 2.73 (2H, t, J=6.6Hz); 13C-NMR (CDCl3) δ 196.50, 173.34, 167.54, 164.17, 132.98, 130.77, 115.91, 115.62, 51.91, 33.31, 28.00.
(b) : (S)-5-(4-フルオロフェニル)-γ-ブチロラクトン(化合物210)の調製
メチル 3-(4-フルオロベンゾイル)プロピオネート(化合物209、780mg、3.67mmol)の乾燥THF(2ml)中溶液を、アルゴン雰囲気中で攪拌下に、予め冷却(0℃)した (-)-DIP-クロライド(2.02g、6.25mmol)のTHF(2ml)中溶液に滴下することにより加えた。得られる溶液を同じ温度で2時間攪拌し、0〜5℃で一晩放置した。温度を0℃に維持しつつ、攪拌下に水(2ml)、続いてメタノール(5ml)およびNaOHの5M溶液(5ml)を滴下することにより加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌し、冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液15mlを添加した。得られる混合物をエーテル(3×50ml)で洗い、6NのHClで酸性化した。酸性混合物をトルエン(3×50ml)で抽出した。併せたトルエン抽出物をブライオン(50ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。残渣をトルエン50ml中に再懸濁させ、そこにPPTS(10mg)を添加した。得られる溶液をDean-Stark trap(最初に留出液15mlを排出した)で2時間還流した。溶液を冷却し、飽和重炭酸塩溶液(2×50ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去して (S)-5-(4-フルオロフェニル)-γ-ブチロラクトン620mg(94%)を得た。 1H-NMR (CDCl3) δ 7.33 (2H, dd, J=8.8 ,5.3Hz), 7.09 (2H, t, J=8.7Hz), 5.50(1H, dd, J=8.4, 5.9Hz), 2.64〜2.71 (3H, m), 2.17〜2.22 (1H, m).
(c) : (5S)-2-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物211)の調製(S)-5-(4-フルオロフェニル)-γ-ブチロラクトン(化合物210、620mg、3.44mmol)を(ヘキサンで)共沸的に乾燥させ、乾燥塩化メチレン(25ml)中に溶解した。溶液をアルゴン雰囲気中攪拌下に-78℃に冷却し、DIBALH(トルエン中1.5M溶液3.5ml、5.16mmol)を滴下することにより加えた。攪拌を-78℃で2時間続け、次に酒石酸カリウムナトリウムの飽和溶液(25ml)を添加した。冷却浴を除去し、攪拌をさらに2時間続けた。反応混合物を塩化メチレン(25ml)で希釈した。有機層を分離し、水(2×50ml)およびブライン(50ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去して2-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(620mg、100%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ 7.30〜7.41 (m, 2H), 7.04 (m, 2H), 5.63〜5.78 (m, 1H), 5.00〜5.22(m, 1H), 2.48 (m, 1H), 2.20〜2.32 (m, 1H), 1.95〜2.10 (m, 1H), 1.79 (m, 1H).
(d) : (5S)-2-(t-ブチルジメチルシリロキシ)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物212)の調製
(5S)-2-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物211, 620mg, 3.5 mmol)、t-ブチルジメチルシリルクロライド(700mg、5.25mmol)およびイミダゾール(595mg、8.75mmol)を乾燥DMF 2mlに溶解した。得られる溶液を乾燥アルゴン雰囲気中で一晩攪拌し、水200ml中に注ぎ、酢酸エチルとヘキサンとの2:1混合物(3×100ml)で抽出した。併せた有機層を水(4×200ml)およびブライン(100ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去して(5S)-2-(t-ブチルジメチルシリロキシ)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物212、シス異性体とトランス異性体との混合物)1g (96%)をさらなる精製の必要のない無色油状物として得た。1H-NMR (CDCl3) δ 7.40〜7.50(2H, m, 微量異性体), 7.25〜7.35(2H, m, 主量異性体),7.00〜7.10(2H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),5.71〜5.75(1H, m, 主量異性体),5.59〜5.62(1H, m, 微量異性体),5.12〜5.20(1H, m, 主量異性体),4.90〜4.98(1H, m, 微量異性体),2.40〜2.55(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),2.05〜2.17(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),1.87〜2.00(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),1.67〜1.70(1H, m, 主量異性体と微量異性体の両方),0.92(s, 9H, 主量異性体と微量異性体の両方),0.16(s, 6H, 主量異性体と微量異性体の両方)。
(e) : (2S, 5S)-トランス-2-(3-t-ブチルジメチルシリロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物213)の調製
(5S)-2-(t-ブチルジメチルシリロキシ)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物212、1g、3.4mmol)を乾燥塩化メチレン(使用前にアルゴンを吹き入れることにより脱気した。)10mlに溶解した。この溶液を-70℃に冷却し、アルゴン雰囲気中、同じ温度で攪拌下に、トリメチルシリルブロミド(550μl、4.1mmol)を滴下することにより加えた。攪拌をさらに1.5時間続けて(5S)-2-ブロモ-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフランを得、それを単離することなく使用した(以下参照)。別のフラスコで、3-t-ブチルジメチルシリロキシ-ブト-1-イン(840mg、4.5mmol)を乾燥THF(10ml)中に溶解した。溶液を-60℃に冷却し、アルゴン雰囲気中、同じ温度で攪拌下に、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液1.8ml、4.5mmol)を滴下することにより加えた。攪拌をさらに0.5時間続けた。得られる溶液を、カニューレを通して、-70℃で攪拌下に、2-ブロモテトラヒドロフラン(先に製造)の溶液を滴下することにより加えた。攪拌を、-78℃でさらに1.5時間続けた。反応フラスコを冷蔵庫 (-78℃) 中に一晩放置した(TLCはいかなる変化も示さなかった。)。反応混合物を塩化アンモニウムの2M溶液(100ml)に注ぎ込み、塩化メチレン(3×75ml)で抽出した。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液,ヘキサン中10%酢酸エチル)で精製して二つの成分を得た。プロトンNMR分析により、極性のより小さい成分が(2S, 5S)-トランス-2-(3-t-ブチルジメチルシリロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物213,765mg,65%)であると同定された。1H-NMR (CDCl3) δ 7.29 (2H, m), 7.01 (2H, t, J=8.7Hz), 5.09 (1H, t, J=7.1HZ), 4.91〜4.97 (2H, m), 4.55〜4.62 (1H, m), 2.26〜2.50 (2H, m), 2.05〜2.17 (1H, m), 1.75〜1.88 (1H, m), 1.38 (3H, d, J=6.6Hz), 0.90 (9H, s), 0.12 (6H, s).より極性の大きい成分は、(2R,5S)-シス-2-(3-t-ブチルジメチルシリロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物214, 190 mg, 16%)であると確認された。
(f) : (2S, 5S) -トランス-2-(3-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物215)の調製
(2S, 5S)-トランス-2-(3-t-ブチルジメチルシリロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物213、765mg、2.2mmol)をTHF 20mlに溶解した。この溶液を0℃に冷却し、そこにTBAF(THF中1M溶液6.6ml)を添加した。得られる溶液を0℃で2時間攪拌し、溶媒を減圧下に除去した。残渣を酢酸エチル(100ml)に溶媒し、水(3×100ml、それぞれの場合に分離層にブライン5mlを添加)および続いてブライン(50ml)で洗い、硫酸ナトリウムで洗い、溶媒を減圧下に除去して(2S, 5S)-トランス-2-(3-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物215)500 mg (97%)を得た。 1H-NMR (CDCl3) δ 7.29 (2H, dd, J=8.7, 5.2Hz), 7.01 (2H, t, J=8.7 Hz), 5.09 (1H, t, J=7.4Hz), 4.92 (1H, t, J=7.4Hz), 4.59 (1H, q, J=6Hz), 2.30〜2.50 (2H, m), 2.05〜2.15 (1H, m), 1.75〜1.88 (1H, m), 1.72 (1H, br s), 1.47 (3H, d, J=6.6Hz).
(2S, 5S)-トランス-2-(3-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物215、500mg、2.13mmol)、(R)-α-メトキシ-フェニル酢酸 (1.06g, 6.4 mmol) およびDMAP(86mg、0.7mmol)を乾燥塩化メチレン(3ml)に溶解した。DCC(1.5g、7.24mmol)を添加し、得られる溶液を室温でアルゴン雰囲気中、3時間攪拌した(数分間で多くの白色固体が沈殿した)。固体を濾去し、濾液を減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン中8%酢酸エチル)で精製して二つのジアステレオマーエステルを得た。極性のより小さいものが(2S, 5S)-トランス-2-{3-(S)-ヒドロキシ-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物216、250mg、30%、1H-NMRから95%を超える)から確認された。1H-NMR (CDCl3) δ 7.25〜7.50 (7H, m), 7.02 (2H, t, J=8.5Hz), 5.52〜5.60 (1H, m), 5.06 (1H, t, J=6.8Hz), 4.88〜4.94 (1H, m), 4.78 (1H, s), 3.43 (3H,s), 2.25〜2.47 (2H, m), 2.00〜2.13 (1H, m), 1.75〜1.88 (1H, m), 1.37 (3H, d, J=6.7Hz). 極性のより大きいものは(2S, 5S)-トランス-2-{3-(R)-ヒドロキシ-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物217、230mg、29%、1H-NMRから72%)から確認された。1H-NMR (CDCl3) δ 7.22〜7.50 (7H, m) , 7.01 (2H, t, J=8.7Hz), 5.50〜5.60 (1H, m), 4.98 (1H, t, J=7.2Hz), 4.79〜4.85 (1H, m), 4.79 (1H, s), 3.44 (3H, s), 2.20〜2.40 (2H, m), 1.88〜1.98 (1H, m), 1.72〜1.80 (1H, m), 1.51 (3H, d, J=6.7Hz). これらの二つのエステルを塩基性加水分解(KOHの1Mエタノール溶液10ml中で50℃において30分間攪拌してから、通常の処理を行う)することにより、それぞれのアルコール; (2S, 5S) -トランス-2-{3-(S)-ヒドロキシ-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物218、150mg、98%)およびそのジアステレオマー(2S, 5S)-トランス-2-{3-(R)-ヒドロキシ-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物221、50mg、100%)を得た。これらの両方のアルコールの1H-NMRスペクトルは218のものと同一であった。
(g) : (2S, 5S)-トランス-2-{3-(R)-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物219)の調製
(2S, 5S)-トランス-2-{3-(S)-ヒドロキシ-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物218、150mg、0.64mmol)、トリフェニルホスフィン(200mg、0.77mmol)およびN, O-ビス(フェノキシカルボニル)ヒドロキシルアミン(200mg、0.77mmol)を乾燥THF(3ml)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、そこに乾燥アルゴン雰囲気中、攪拌下にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(142μl、0.77mmol)を滴下することにより加えた。攪拌を同じ温度で1時間続けた。溶媒を回転式蒸発器で蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液,ヘキサン中30%酢酸エチル)で精製して(2S, 5S)-トランス-2-{3-(R)-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル)-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(219)225mg(72%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ 7.15〜7.45 (12H,m), 7.02 (2H, t, J=8.6Hz), 5.32 (1H, q J=7.0Hz), 5.07 (1H, t, J=6.8Hz), 4.96 (1H, t, J=5.7Hz), 2.25〜2.50 (2H, m), 2.05〜2.20 (1H, m), 1.70〜1.85 (1H, m), 1.66 (3H, d, J=7.0Hz).
(h) : (2S, 5S)-トランス-2-{3-(S)-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物222)の調製
(2S, 5S)-トランス-2-{3-(R)-ヒドロキシ-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物221、150mg、0.64 mmol )から出発して、218と同様の手順に従って、(2S, 5S)-トランス-2-{3-(S)-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物222)を得た。 1H-NMRは219と同一であった。
(i) : (2S, 5S)-トランス-2-{3-(R)-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン (CMI-947) (化合物220)の調製:
(2S, 5S) -トランス-2-{3-(R)-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物219、225mg)を高圧管中に塩化メチレン中溶液として溶解した。溶媒をアルゴン流で蒸発させて、残渣を-78℃に冷却した。この管内でアンモニア10mlを濃縮し、t-ブタノール2mlを添加した。管を密封し、室温までゆっくり温まるように放置した。それを室温で18時間攪拌させた。圧力を非常にゆっくりと抜き、管を1時間開けておいた。残渣をフラスコに移し、トルエンを添加して減圧下に2回濃縮した。残渣を分取TLC(溶離液,塩化メチレン中5%メタノール)で精製して (2S, 5S)-トランス-2-{3-(R)-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(CMI-947, 220) 120 mg (90%)を得た。IR(フィルム)3209, 2985, 2874, 1653, 1510, 1449, 1336, 1224, 1157, 1037 cm-1, 1H-NMR (CD3 OD) δ 7.34 (2H,dd, J=8.7, 5.4Hz), 7.04 (2H, t, J=8.8Hz), 5.00〜5.10 (2H, m), 4.85〜4.95 (1H, m), 2.25〜2.50 (2H, m), 2.00〜2.15 (1H, m), 1.78〜1.85 (1H, m), 1.38 (3H, d, J=7.0Hz).
(j) : (2S, 5S)-トランス-2-{3-(S)-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン (CMI-948)(化合物223)の調製:
(2S, 5S)-トランス-2-{3-(S)-(N-フェノキシカルボニロキシ-N-フェノキシカルボニル-アミノ)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン(化合物222, 225 mg)から出発して、219と同様の手順に従って、(2S, 5S)-トランス-2-{3-(S)-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフラン (CMI-948, 223) 110 mg (83%) を得た。IR(フィルム)3200, 2985, 2881, 1643, 1510, 1442, 1222, 1035 cm-1; 1H-NMR (CD3 OD) δ 7.34 (2H, dd, J=8.7, 5.5Hz), 7.04 (2H, t, J=8.9Hz), 5.00〜5.10 (2H, m), 4.85〜4.95 (1H, m), 2.25〜2.50 (2H, m), 2.00〜2.15 (1H, m), 1.70〜1.85 (1H, m), 1.38 (3H, d, J=7.0Hz).
実施例6
トランス-2-{3-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフランのR, R, S -およびR, R, R-異性体(化合物234および236)の調製
トランス-2-{3-(N-ヒドロキシウレイジル)-ブト-1-イニル}-5-(4-フルオロフェニル)テトラヒドロフランのS, S, R-およびS, S,. S-異性体を調製するための一つの方法を以下の図式10に示す。
Figure 0004446123
Figure 0004446123
(a) 4-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-メチルブタノエート(化合物209)の調製
3-(4-ベンゾイル)プロピオン酸(208)(5.0g)のメタノール(20ml)中溶液に、攪拌下に、数滴の硫酸を添加した。一晩(19時間)攪拌した後、反応液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、メタノールを減圧下に除去した。残渣を酢酸エチル(50ml)中に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(3×15ml)、水(2×15ml)およびブライン(2×15ml)で洗い、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮して淡色結晶性固形物(5.3g、98%)を得た。1H-NMR: 2.79(t, 2H), 3.30 (T, 2H), 3.71 (S, 3H), 7.14 (T, 2H), 8.02 (m, 2H).
(b) : R-4-(4-フルオロフェニル)-γ-ブチロラクトン(化合物224)の調製
冷却(0℃)された(+)-DIPクロライド(25g、77.9mmol)の乾燥THF(20ml)中溶液に、アルゴン雰囲気中、攪拌下に、ケト−エステル209(10.07g、48.0mmol)の乾燥THF(20ml)中溶液をゆっくりと添加した。反応液を冷蔵庫(4℃)内に30時間置き、次に氷浴に戻し、攪拌下に水(10ml)、メタノール(30ml)および10%NaOH水溶液(60ml)を添加した。氷浴を除去した。エステルの全てを加水分解したとき、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(80ml)を添加した。水溶液をエーテル(2×100ml)で抽出し、次にpH2に酸性化し、ベンゼン(2×180ml)で抽出した。併せたベンゼン層にピリジニウム-p-トルエンスルホネート(60ml)を添加し、次にディーン-シュターク・トラップを用いて加熱還流した。反応が完了した時点で、ベンゼン溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(150ml)およびブライン(2×50ml)で洗い、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮して白色結晶性固形物を得(7.92g、91%)、それは先例の文献に基づきR構造であると確認された。1H-NMR:2.10〜2.25 (m, 1H), 2.68 (m, 3H), 5.50 (m, 1H), 7.08 (t, 2H), 7.30 (m, 2H).
(c) : シスおよびトランス-5R-5-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシテトラヒドロフラン(化合物225)の調製
ドライアイス/アセトン浴中で冷却されたラクトン224(7.25g、40.3mmol)の乾燥トルエン(50ml)中溶液に、攪拌下に、水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1.5M溶液)(1.5当量、40ml)を添加した。反応が完了した時点に、メタノール(10ml)をゆっくりと添加し、次に飽和L-酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(60ml)を添加し、氷浴を除去した。この溶液を一晩(16時間)貯蔵し、層を分離し、水性フラクションを酢酸エチル(2×50ml) で抽出した。併せた有機層を水(3×30ml)およびブライン(3×30ml)で洗い、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。生成物は二つのジアステレオマーの混合物(50/50)である無色油状物(6.32g, 86%) であった。1H-NMR: 1.7 (m, 1H), 1.9〜2.3 (m, 2H), 2.42 (m, 1H), 3.60 (bs, 0.5H), 3.72 (bs, 0.5H), 4.98 (t, 0.5H), 5.20 (t, 0.5H), 5.60 (bs, 0.5H), 5.72 (m, 0.5H), 7.00 (t, 2H), 7.25 (m, 1H), 7.40 (m, 1H).
(d) : シスおよびトランス-5R-5-(4-フルオロフェニル)-2-t-ブチルジメチルシロキシテトラヒドロフラン(化合物226)の調製:
ラクトール225(6.32g、34.7mmol)の塩化メチレン(140ml)中溶液に、攪拌下に、イミダゾール(1.1当量、38.2mmol、2.60g) )およびTBD<Sクロライド(5.77g)を添加した。一晩攪拌した後、反応液を濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカのプラグを通して濾過して、二つのジアステレオマーの混合物 (2:1) である無色油状物(9.61g、93%) であった。1H-NMR: 0.14 (s, 6H), 0.92 (s, 9H), 1.7 (m, 1H), 1.9 〜2.2 (m, 2H), 2.4〜2.5 (m, 1H), 4.9 (m, 0.33H), 5.16 (t, 0.66H), 5.59 (m, 0.33H), 5.71 (dd, 0.66H), 7.00 (m, 2H), 7.25 (m, 1.33H), 7.40 (m, 0.66H).
ラセミ混合体および5位変性を有するこの化合物のサンプルについて、この中心における各構造の存在をキラル溶媒和剤[2, 2, 2-トリフルオロ-1-(9-アンスリル)エタノール,2.2mg基剤,40mgCSA]を用いて検出することができた。これらの条件は、化合物226が検出できる量の5S異性体を有さないことを示した。
対照として、5位がラセミ混合体である化合物226の2:1ジアステレオマー混合物(2.2mg)をCSA(40mg) で処理した。4.86〜4.92 ppm (0.33H) のマルチプレットが、4.64〜4.72および4.78〜4.84 ppmにおける二つのマルチプレットになった。他のジアステレオマー(同じスペクトル)について、5.66〜5.70 ppmにおける二重のダブレットが5.64〜5.68および5.70〜5.74 ppmにおける二組のddになった。キラルが低下した化合物について、4.62〜4.70において小さいマルチプレット (W/CSA) が現れ、二重のダブレットが5.68〜5.70 ppmにおいて現れる。他の異性体の証拠は見られなかった。
(e) : 2R, 5R-トランス-5-(4-フルオロフェニル)-2-(3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物227)の調製:
-78℃に冷却された226(500mg、1.69mmol)の乾燥脱気塩化メチレン(10ml)中溶液に、TMSブロミド(0.25ml、1.86mmol)を添加した。これを4時間攪拌した。3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-ブチン(0.31g、1.68mmol)およびTHF (5ml)を含む別のフラスコに、n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、1.26ml、2.02mmol)を添加した。30分後、溶液をカニューレにより前記溶液に移した。2時間後、反応液を2M塩化アンモニウム水溶液(25ml)に注入し、塩化メチレン(3×25ml)中に抽出し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中5%酢酸エチル)によりトランス生成物を透明油状物(280mg、48%)として得た。1H NMR: 0.17 (d, 6H), 0.91 (s, 9H), 1.42 (d, 3H), 1.8 (m, 1H), 2.25 〜2.50 (m, 2H), 4.58 (m, 1H), 4.91 (m, 1H), 5.09 (m, 1H), 7.0 (t, 2H), 7.30 (m, 2H).
(f) : 2R, 5R-トランス-5-(4-フルオロフェニル)-2-(3-ヒドロキシ-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物228)の調製:
氷浴中で冷却された227(0.38g、1.1mmol)のTHF(5ml)中溶液の攪拌下に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(0.86g、3.3mmol)を添加した。氷浴を除去した。30分後に、溶媒を除去し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により分離した。生成物は無色油状物(170mg、67%)であった。1H NMR: 1.48 (d, 3H), 1.8 (m, 1H), 2.1 (m, 1H), 2.3 〜2.5 (m, 2H), 4.58 (m, 1H), 4.91 (t, 1H), 5.1 (t, 1H), 7.0 (t, 2H), 7.29 (m, 2H).
228のヒドロキシ官能基をR-アルファ-メトキシフェニル酢酸 (DDC, DMAP, CH2Cl2,クロマトグラフィーにかけた後に55%)でエステル化し、得られるジアステレオマー (229+230) を分離(フラッシュクロマトグラフィー)し、カルビトール炭素におけるRおよびS異性体を単離した。エステルを塩基加水分解(KOH、78%)により除去してカルビノール231および232を得た。MosHeRモデルを基に完全な構造を確認した。
(g) : 2R, 5R-トランス-5-(4-フルオロフェニル)-2-(3R-3-N, O-ビスフェノキシカルボニル ヒドロキシルアミノ-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物233)の調製:
冷却(氷浴)された2R, 5R-トランス-5-(4-フルオロフェニル)-2-(3S-3-ヒドロキシ-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(231)(29mg、0.12mmol) 、トリフェニルホスフィン(39mg、0.15mmol) およびN, O-ビスフェノキシカルボニル ヒドロキシルアミン(37mg, 0.14mmol) のTHF (3ml) 中溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.029ml、0.15mmol)をゆっくりと添加した。氷浴を除去し、反応が完了した時点(数分)で、溶媒を除去した。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中15%酢酸エチル)により無色油状物(32mg、53%)として得た。1H NMR: 1.65 (d, 3H), 1.8 (m, 1H), 2.1 (m, 1H), 2.4 (m, 2H), 4.94 (m, 1H), 5.08 (m, 1H), 5.30 (m, 1H), 7.0 (t, 2H), 7.15 〜7.40 (m, 2H).
(h) : 2R, 5R-トランス-5-(フルオロフェニル)-2-(3R-3-N-ヒドロキシウレイジル-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物234)の調製:
化合物233(32mg)を、攪拌棒を備えるスクリューキャップ付き容器内で-78℃で、凝縮アンモニア(約3ml)およびt-ブタノール(約2ml)と併せた。容器を密封し、冷却浴を除去した。室温で一晩攪拌した後、圧力を抜き、溶媒を除去した。生成物を研和(ヘキサン中25%酢酸エチル)して白色固形物 (14mg, 74%) を得た。1H NMR: 1.41 (d, 3H), 1.8 (m, 1H), 2.1 (m, 1H), 2.3〜2.5 (m, 2H), 4.93 (t, 1H), 5.08 (t, 1H), 5.20 (m, 1H), 5.38 (bs, 1H), 7.0 (t, 2H), 7.29 (m, 2H).
電気スプレー MS : M+1=293
エステル230からのRRS異性体 (CMI-957)の合成を、エステル29からのRRR異性体(CMI-954) の合成と同様にして行った。
実施例7
2S, 5S-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-N-ヒドロキシウレイジル-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物1,図4)および2S, 5R-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-N-ヒドロキシウレイジルブチル)テトラヒドロフラン(化合物402,図4)の調製
4S-(4-フルオロフェノキシメチル)-γ-ブチロラクトン(化合物301,図4)の調製(S)-γ-ブチロラクトン(1.0g、8.61mmol)、4-フルオロフェノール (1.16g, 10.35mmol)およびトリフェニルホスフィン(2.49g、9.49mmol)のTHF(10ml)中溶液に、攪拌下、ジイソプロポキシルアゾジカルボキシレート(1.87μ1、9.46mmol)を滴下することにより加えた。添加後に、反応混合物を80℃で16時間攪拌した。溶媒を除去し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、2:1ヘキサン/酢酸エチル)により分離した(1.38g、76.3%)。1H NMR (CDCl3): 2.27 (m, 1H); 2.42 (m, 1H); 2.60 (m, 1H); 4.04 (m, 1H); 4.15 (m, 1H); 4.85 (m, 1H); 6.84 (m, 2H); 6.98 (m, 2H).
2S-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン(化合物302,図4)の調製
ラクトン301(1.38g、27.22mmol)の乾燥トルエン(24ml)中溶液に、攪拌下、-78℃で、DIBALKHの1.5Mトルエン溶液(6.76ml、10.13mmol)を滴下することにより加えた。反応混合物を-78℃で2時間攪拌した。反応液を、温度を-60℃より低く維持しながら、更なるメタノール(1.7ml)の添加により急冷した。混合物を-20℃まで温め、続いて反応温度を-10〜0℃に維持しつつ飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(10ml)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次に二つの相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。併せた有機層を水、飽和NACl溶液で洗い、次に減圧下に濃縮して油状物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、1:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製した (1.41g, 101%)。1H NMR (CDCl3): 1.80 (m, 1H); 2.05 (m, 2H); 2.26 (m, 1H); 3.93 (m, 2H); 4.04 (m, 2H); 4.47 (m, 0.5H); 4.61 (m, 0.5H); 5.57 (m, 0.5H);5.66 (m, 0.5H); 6.88 (m, 2H); 6.98 (m, 2H).
2S-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)テトラヒドロフラン(化合物303,図4)の調製
ラクトール302 (1.41g、6.65mmol)の塩化メチレン(25ml)中溶液に、攪拌下、イミダゾール(498.1mg、7.32mmol)およびTBDMSクロライド(1.10g、7.32mmol)を添加した。反応混合物を、室温で一晩攪拌し、次に反応液を濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物を溶媒として9:1ヘキサン/酢酸エチルを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、二つのジアステレオマー(約2:1)の混合物である無色油状物(1.22g、56.2%)を得た。1H NMR (CDCl3): 0.11 (s, 6H); 0.90 (s, 9H); 1.80〜2.10 (m, 3H); 2.22 (m, 1H); 3.91 (m, 2H); 4.38 (m, 0.33H); 4.50 (m, 0.67H); 5.52 (m, 0.33H); 5.59 (m, 0.67H); 6.86 (m, 2H); 6.96 (m, 2H).
2S, 5S-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-t-ブチルジメチルシロキシ-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物304,図4)および2S, 5R-シス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-t-ブチルジメチルシロキシ-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物305,図4)の調製
-78℃に冷却された303(720mg、2.21mmol)の乾燥塩化メチレン(10ml)中溶液に、攪拌下、TMSブロミド(349.8μl、2.65mmol)を添加した。反応混合物を、-78℃で4時間攪拌した。4-t-ブチルジメチルシロキシ-1-ブチン(812.8mg、4.42mmol)およびTHF(10ml)を含む別のフラスコに、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、2.65ml、6.63mmol)を添加した。30分後、溶液をカニューレにより前記溶液に移した。2時間後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、塩化メチレンで抽出し、mgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、95:5ヘキサン/酢酸エチル)により二つの生成物、すなわちトランス化合物304(210mg)とシス化合物305(160mg)、およびこれら二つの化合物の混合物(50mg)を得た。合計収率は48.5%である。1H NMR (CDCl3): 304: 0.10 (s, 6H); 0.91 (s, 9H); 1.87 (m, 1H); 2.01 (m, 1H); 2.22 (m, 2H); 2.43 (t, 2H); 3.72 (t, 2H); 3.92 (d, 2H); 4.47 (m, 1H); 4.73 (m, 1H); 6.86 (m, 2H); 6.95 (t, 2H).305: 0.09 (s, 6H); 0.90 (s, 9H); 1.92 〜2.20 (m, 4H); 2.42 (m, 2H); 3.70 (t, 2H); 3.92 (m, 1H); 4.07 (m, 1H); 4.29 (m, 1H); 4.62 (m, 1H); 6.86 (m, 2H); 6.96 (t, 2H).
化合物304および305の調製において、4-t-ブチルジメチルシリル以外の当業者に知られている酸素保護基を所望により用いることができる。
この分子の立体化学を決めるために、304と305の両方についてNOE相違実験を行った。304のNOE相違実験において、4.73ppmにおけるマルチプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在を測定するためにのみデータの採取を行った。これは正のNOE効果を表し、これらプロトンの親密な空間的関係を示す。この実験において、フラン環プロトンである2.22ppmにおけるマルチプレットについてNOEが発見された。ここで4.47ppmにおけるマルチプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在を測定するためにのみデータの採取を行った。フラン環プロトンである2.22ppmにおけるマルチプレットについてNOEが発見された。また、このマルチプレットに近接するメチレン上のプロトンである3.92ppmにおけるプロトンについてもう一つのNOEが発見され、そのことはこのマルチプレットがメチレンに近接するプロトンを表すことを示している。
305のNOE相違実験において、4.62ppmにおけるトリプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在を測定するためにのみデータの採取を行った。これは正のNOE効果を表し、これらプロトンの親密な空間的関係を示す。この実験において、他のメチンフランプロトンである4.29 ppm におけるマルチプレットについてNOEが発見された。また、フランプロトンである2.17ppmにおけるマルチプレットについてもう一つのNOEが見られた。ここで4.29ppmにおけるマルチプレットに非常に低い比周波数脱カップリングパルスを照射し、信号の増加の存在を測定するためにのみデータの採取を行った。他のメチンフランプロトンである4.62ppmにおけるトリプレットについてNOEが発見された。また、このマルチプレットに近接するメチレン上のプロトンである3.92および4.07ppmにおけるプロトンについてもう一つのNOEが発見され、そのことはこのマルチプレットがメチレンに近接するプロトンを表すことを示している。また、フランプロトンである2.11ppmにおけるマルチプレットについてもう一つのNOEが見られた。
2S, 5S-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-t-ヒドロキシ-1-ブチル)テトラヒドロフラン(化合物306,図4)の調製
氷浴中で冷却された304(210mg、0.54mmol)のTHF(1.4ml)中溶液に、攪拌下、テトラブチルアンモニウムフルオライド(420.3mg、1.61mmol) を添加した。氷浴を除去し、反応液を室温で1時間攪拌した。溶媒を除去し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、1:1ヘキサン/酢酸エチル)により分離した(124mg、83.2%). 1H NMR (CDCl3): 1.88 (m, 1H); 2.02 (m, 1H); 2.25 (m, 2H); 2.50 (m, 2H); 3.72 (t, 2H); 3.93 (d, 2H); 4.48 (m, 1H); 4.76 (m, 1H); 6.84 (m, 2H); 6.96 (t, 2H).
2S, 5S-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-N, O-ビスフェノキシカルボニルヒドロキシルアミノ-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物307,図4)の調製
冷却(氷浴)された化合物306(124.0mg、0.45mmol)、トリフェニルホスフィン(128.9mg、0.49mmol)およびN, O-ビスフェノキシカルボニル ヒドロキシルアミン (147.3mg、0.54mmol)のTHF(5ml)中溶液に、ジイソプロポキシル-アゾジカルボキシレート(94.1μl、0.48mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応液を室温まで温め、室温で30分間攪拌した。溶媒を除去し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ,4:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製した(195mg、82.0%)。1H NMR (CDCl3): 1.85 (m, 1H); 2.03 (m, 1H); 2.22 (m, 2H); 2.75 (m, 2H); 3.92 (d, 2H); 4.05 (m, 2H); 4.47 (m, 1H); 4.76 (m, 1H); 6.84 (m, 2H); 6.95 (m, 2H); 7.26 (m, 5H); 7.41 (m, 5H).
2S, 5S-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-N-ヒドロキシウレイジル-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物401,図4)の調製
頭部スクリュー付き容器に、-78℃でNH3を仕込んだ(約1〜2ml)。メタノール20ml中に予め溶解しておいた化合物307 (195.0mg, 0.37mmol)を、この冷たい液体窒素に添加した。容器を密封し、ドライアイス浴を除去した。反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を再度ドライアイス浴で冷却し、圧力を抜いた。容器を開け、溶媒を除去した。生成物を溶媒として酢酸エチルを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより単離して固形物(108mg、91.7%)を得た。1H NMR (CDCl3): 1.84 (m, 1H); 2.01 (m, 1H); 2.22 (m, 2H);2.55 (t, 2H); 3.75(t, 2H); 3.94(m, 2H); 4.48 (m, 1H); 4.74(t, 1H); 5.25 (bs, 2H); 6.86 (m, 2H); 6.98 (m, 2H).
2S, 5S-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-N-ヒドロキシウレイジル-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物402)の調製
化合物1(75mg、0.23mmol)を酢酸エチル2mlに溶解し、次にPd/C (10%)(15mg)を添加し、バルーン圧で16時間水素化した。反応液を濾過し、濾液を濃縮した。生成物を溶媒として酢酸エチルを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより単離した(70mg、92.2%)。1H NMR (CDCl3): 1.50〜1.70 (m, 8H); 2.10 (m, 2H); 3.58 (m, 2H); 3.91 (m, 2H); 4.08 (m, 1H); 4.40 (m, 1H); 5.15 (bs, 2H); 6.87 (m, 2H); 6.97 (t, 2H); 7.40 (bs, 1H).
II.薬剤組成物
炎症性疾患、特にPAFまたは5-リポキシゲナーゼ生成物により媒介される病気を患っているヒト、ウマ、イヌ、ウシおよび他の動物、特に哺乳動物を、酸素ラジカルの形成を低下させる薬学的に許容できるキャリヤーまたは希釈剤中に含まれる前記化合物、薬学的に許容できる誘導体またはその塩の一種またはそれ以上の有効量をそれら患者に投与することにより治療することができる。活性材料は、液体、クリーム、ゲルまたは固体状あるいはエアロゾル状で、任意の適当な経路により、例えば、経口、非経口、静脈内、皮内、皮下または局所的に投与することができる。
ここで用いられるように、「薬学的に許容できる塩または錯体」という用語は、前記化合物の所望の生物学的活性を保持し最少の望ましくない毒物学的効果を示す塩または錯体を意味する。そのような塩の非限定的例は、(a) 無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸等)とで形成される酸付加塩、および、酢酸、蓚酸、酒石酸、琥珀酸、林檎酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモイン酸、アルギニン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクトゥロン酸 (polygalacturonic acid) のような有機酸とで形成される塩;(b) 亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウムおよびカリウム等のような金属カチオン、またはアンモニア、N, N-ジベンジルエチレンジアミン、D-グルコサミン、テトラエチルアンモニウムまたはエチレンジアミンから形成されるカチオンとで形成される塩基付加塩;または(c) (a) と(b) との組み合わせ、例えばタンニン酸亜鉛塩等、を含む。化合物は、また、当業者に知られている薬学的に許容できる4級塩、特に、式-NR3 +で(式中、Rはアルキルまたはベンジル、およびZはクロライド、ブロミド、ヨージド、-O-アルキル、トルエンスルホネート、メチルスルホネート、スルホネート、ホスフェートまたはカルボキシレート(例えば、ベンゾエート、スクシネート、アセテート、グリコレート、マレエート、マレート、シトレート、タルタレート、アスコルベート、ベンゾエート、シンナモエート、マンデロエート、ベンジロエートおよびジフェニルアセテート)を含む対イオンを表す。)で示されるものを含む4級アンモニウム塩として投与することもできる。
活性化合物は、治療される患者において重度の毒性効果を引き起こすことなく治療的に有効な量で患者に分与されるのに充分な量で薬学的に許容できるキャリヤーまたは希釈剤中に含まれる。前記症状の全てに対する活性化合物の好ましい投与量は1日当たり約10ng/kg〜300mg/kg、好ましくは0.1〜100mg/kg、より一般的には1日当たり患者の体重1kgに対して0.5〜約25mgである。心臓血管適応症に対する好ましい投与量は10ng/kg〜20mg/kgである。典型的局所投与量は適当なキャリヤー中において0.01〜3重量%/重量である。薬学的に許容できる誘導体の有効な投与量範囲は、投与すべき親化合物の重量を基準に計算することができる。誘導体がそのものが活性を示す場合、有効投与量は誘導体の重量を用いて前述のように見積もる、または当業者に知られている他の手段を用いて見積もることができる。
化合物は、限定されないが、単位投与形態当たり1〜3000mg、好ましくは5〜500mgの活性成分を含むものを含む任意の適当な単位投与形態で都合良く投与される。経口投与量は25〜250mgであることが通常都合が良い。
好ましくは、活性成分は約0.00001〜30mM、好ましくは約0.1〜30μMの活性化合物のピーク血漿濃度を達成するように投与される。これは、例えば、要すれば塩水または水性媒体中に含まれる活性成分の溶液または組成物の静脈内注入により、あるいは活性成分のボーラスとしての投与により達成され得る。
薬剤組成物中の活性化合物の濃度は、薬剤の吸収、分布、不活性化および分泌速度、ならびに当業者に知られている他の因子に依存する。緩和すべき症状の重さによっても投与量が変化することに注目すべきである。さらに、いかなる特別の物質についても、組成物の投与を管理または監督する人の専門的判断および個人の必要に従って特定の投与量を時間に対して調整すべきであること、およびここに開示の濃度範囲は単なる例であり特許請求の範囲の組成物の範囲または実施の制限を意図するものではないことを理解すべきである。活性成分は一度に投与する、または変化する時間間隔で投与すべき多くの少ない投与量に分割することができる。
経口組成物は、通常、不活性希釈剤または可食キャリヤーに含まれる。それらはゲラチンカプセルに封入するまたは圧縮して錠剤にすることができる。経口治療投与の目的のために、活性化合物は賦形剤に組み込み、錠剤、トローチまたはカプセル状で用いることができる。薬学的に相溶性のある結合剤および/またはアジュバント材料を組成物の一部として含むことができる。
錠剤、丸剤、カプセルおよびトローチ等は任意の以下の性質が類似している成分または化合物を含むことができる:微結晶性セルロース、ガムトラガカントまたはゼラチンのような結合剤;澱粉またはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、Primogelまたはコーンスターチのような分散剤;ステアリン酸マグネシムまたはSterotesのような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑剤;スクロースまたはサッカリンのような甘味料;または、ペッパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ風味剤のような風味剤。投与単位形態がカプセルの場合、前述の種類の材料に加えて、脂肪油のような液体キャリヤーを含むことができる。さらに、投与単位形態は、投与単位の物理的形態を改良する種々の他の材料、例えば糖の被膜、シェラックまたは溶腸性剤を含むことができる。
活性化合物または薬学的に許容できる塩あるいはその誘導体は、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハまたはチューインガム等の成分として投与することができる。シロップは、活性成分に加えて、甘味料としてのスクロース、および特定の防腐剤、染料および着色剤ならびに風味料を含み得る。
活性化合物または薬学的に許容できる塩あるいはその誘導体は、所望の作用を損なわない他の活性材料、または抗生物質、抗真菌剤、他の抗炎症剤または抗ウイルス性化合物のような所望の作用を補足する材料と混合して用いることもできる。
非経口、皮内、皮下または局所適用のために用いられる溶液または懸濁液は以下の成分を含むことができる:注入用水、塩水溶液、固定油(fixed oil)、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような殺菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート化剤;アセテート、シトレートまたはホスフェートのような緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張度を調整するための薬剤。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器またはガラスまたはプラスチック製の複投与量バイアル中に封入し得る。
静脈内に投与した場合、好ましいキャリヤーは整理食塩水またはホスフェート緩衝塩水(PBS)である。
一つの様態において、活性化合物は、移植およびマイクロカプセル化投与系を含む放出制御製剤のような体からの迅速な排出に対して化合物を保護するキャリヤーを用いて調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生分解性で生物適合性のポリマーを用いることができる。そのような製剤を調製する方法は当業者に明らかである。それら材料は、Alza社(カリフォルニア州)およびScios Nova社(ボルチモア、メリーランド州)から市販品として得ることもできる。
リポソームの懸濁液も薬学的に許容することのできるキャリヤーであり得る。これらは、例えば米国特許第4,522,811号明細書(その全てをここで参照として組み込む)の開示されているような当業者に知られている方法によって調製することができる。例えば、リポソーム製剤は、適当な脂質(例えばステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリンおよびコレステロール)を無機溶媒に溶解し、次にその無機溶媒を蒸発させて容器の表面に乾燥脂質の薄いフィルムを残すことにより調製することができる。活性化合物またはそのモノホスフェート、ジホスフェートおよび/またはトリホスフェート誘導体を、次に、容器内に導入する。次に容器を手で旋回させて容器の側部から脂質材料を外し、脂質凝集物を分散させ、それによりリポソームの懸濁液を形成する。
III.生物学的活性
化合物がPAFレセプターに結合する性能を含む化合物がPAFレセプター拮抗薬として作用する性能および化合物の種々のPAF媒介経路への効果を評価するために広く種々の生物学的アッセイが用いられてきた。これら既知のアッセイのいかなるものも、ここに開示の化合物がPAFレセプター拮抗薬として作用する性能を評価するために用いることができる。
例えば、PAFは血液濃縮および微小循環の増加した透過性を誘発し、血漿体積の低下を導くことが知られている。PAF媒介急性循環虚脱を、マウスのような動物モデルにおけるPAF誘発の減少血漿体積への化合物の効果を分析することによりその化合物がPAF拮抗薬として作用する性能を評価するためのアッセイの基礎として用いることができる。
熱、低血圧、白血球増加、およびグルコースおよび脂質代謝の妨害を含む種々の生理学的反応を刺激するエイコサノイド、PAFおよび潰瘍壊死因子(TNF)を含む化学メディエイタの放出を、内毒素血症が引き起こす。内毒素血症は激しいショックおよび死に至り得る。エンドトキシン誘発のマウス死亡率は、エンドトキシン性ショックへの化合物の薬理学的効果を評価するための有用な動物モデルである。
化合物がPAFレセプター拮抗薬として作用する性能を評価するために用いられる二つの他の共通のアッセイは、生体外における血小板凝集およびラットにおける低血圧であるShenらの「The Chemical and Biological Properties of PAF Agonists, Antagonists, and Biosynthetic Inhibitors」、Platelet-Activating Factor and Related Lipid Mediators、F.Snyder、Plenum Press編集ニューヨーク州153(1987年)。
また、化合物が酵素5-リポキシゲナーゼを抑制する性能を評価するために広く種々の生物学的アッセイが用いられてきた。例えば、リューコトリエン生合成についての研究において、ラット好塩基球性白血病細胞(RBL)のサイトゾル5-リポキシゲナーゼが広く利用されてきた。5-リポキシゲナーゼを抑制する化合物はリューコトリエンの水準を低下させる。
化合物が酵素5-リポキシゲナーゼを抑制する性能を評価するために用いられるもう一つの生物学的アッセイは、イオノファ刺激ヒト全血からのLTB4を抑制することにより誘発される炎症の古典的薬理学的モデルに基づく。
実施例5
化合物がPAFレセプターに結合する性能
(a) ヒト血小板薄膜の調製
アメリカ赤十字血液サービス(Dedham、マサチューセッツ州)から得られる血小板濃縮物からヒト血小板薄膜を調製する。血小板洗浄溶液(150mM NaCl、10mM Tris、および2mM EDTA、pH7.5)により数回洗浄した後、血小板ペレットを、5mM MgCl2、10mM Tris、および2mM EDTA中にpH7.0で再懸濁させる。次に細胞を液体窒素で迅速に凍結させ、室温でゆっくり解凍する。凍結および解凍手順を少なくとも3回繰り返す。薄膜フラグメントをさらに分離するために、溶解薄膜懸濁液を、10mM MgCl2、10mM Tris、および2mM EDTA(pH7.0)中で調製された0.25、1.03および1.5Mスクロースの不連続スクロース濃度傾斜物の上部で層分離し、63,500×gで2時間遠心分離する。0.25〜1.03Mの薄膜フラクション(薄膜A)および1.03〜1.5Mの薄膜フラクション(薄膜B)を別々に収集した。薄膜製剤のタンパク濃度は、標準としてウシ血清アルブミン(BSA)を用いてローリー法(Lowry's method)により決める。次に薄膜を小さいフラクション(各4ml)に分離し、-80℃で貯蔵し、使用前に解凍する。
(b) [3H]PAF結合抑制
[3H]PAFがヒト血小板薄膜上の特定のレセプターに結合する性能を、10mM MgCl2の存在下にpH7.0の最適条件で評価する。10mM MgCl2、10mM Tris、および0.25%のBAS(pH7.0)中に[3H]PAF0.15pmol(0.3nM濃度)および既知の量の非標識化PAFまたはPAFレセプター拮抗薬を含む最終的に0.5mlの溶液に、薄膜タンパク(100μg)を添加する。0℃で4時間培養した後、結合および非結合[3H]PAFを、減圧下にワットマン(Whatman)GF/Cガラス繊維を通して分離する。このアッセイ条件下において、フィルター結合[3H]PAFの劣化は検出されないはずである。非特異的結合は、高濃度の非標識化PAF、PAF類似体またはPAFレセプター拮抗薬のいずれかによる置き換えが見られない過剰の非標識化PAF(1mM)の存在下における合計結合と定められる。特異的結合は、合計結合と非特異的結合との間の相違と定められる。
試験化合物の相対的効力を決めるために、抑制剤の不存在下における合計結合を0%抑制とし、1mM非標識化PAFの存在下における合計結合を100%とすることにより、抑制剤の存在下における[3H]PAF結合を抑制%として標準化する。化合物により抑制%は、以下の式により計算することができる。
抑制%=[(合計結合−化合物の存在下における合計結合)/非特異的結合]×100%
IC50は、特異的[3H]PAF結合の50%抑制を得るのに必要な抑制剤の濃度として計算され、非線形回帰コンピューターソフトウェアプログラム、GraphPad Inplot、バージョン3.0(グラフパッドソフトウェア製、サンディエゴ、カリフォルニア州)により計算される。
実施例6
PAF誘発血液濃縮への化合物の効果
(a) 動物
チャールスリバーラボラトリー(ウィルミントン,マサチューセッツ州)から、16〜20gと秤量された雌CD-1マウスを得る。水道水および齧歯目実験室用チャウ(5001、プリナミルズ、セントルイス、ミズーリ州)を任意に提供する。マウスを使用前に平均4日間飼育室に入れておく。
(b) ヘマトクリット測定
PAF(1-O-アルキル-2-アセチル-sn-グリセリル-3-ホスホリルコリン、Sigma Chemical社製)を、0.9%NaCl溶液中の0.25%ウシ血清アルブミン(BAS)中に溶解する。投与量-反応研究を除いては、PAF溶液10μg(10ml/kg)を尾の静脈に注射する。全ての試験化合物を、0.5DMSO塩水溶液に溶解し、PAF試行の15分前に3mg/kg体重の量で静脈内注射する。PAF投与の15分後にヘパリンを加えたマイクロヘマトクリット管(O.D. 1.50mm)に尾端部を切断して入れることにより30〜50μlの血液を採取する。全ての試験化合物は、マウスにおいてPAF(10μg/kg,静脈内)またはAA(0.5mg/耳)の15分前に3mg/kgの量で静脈内に与えられる。
実施例7
ラットの好塩基球白血病細胞のサイトゾル5-リポキシゲナーゼへの化合物の効果
(a) 酵素調製
洗浄ラットRBL細胞(4×108)を、10%エチレングリコール/1mM EDTA(緩衝液A)を含むpH7.4の50Mリン酸カリウム緩衝液20ml中に懸濁させた。細胞懸濁物を20KHzで30秒間音波破砕し、音波破砕物を10,000×gで10分間遠心分離し、続いて更に105,000×gで1時間遠心分離した。5-リポキシゲナーゼを含む上澄み溶液(サイトゾルフラクション)を-70℃で貯蔵した。標準としてウシ血清アルブミンを用いてブラッドフォードの手順(ブラッドフォード染色試薬(Bradford Dye Reagent))に従ってタンパク濃度を決定した。
(b) 酵素アッセイ
5-リポキシゲナーゼの通常のアッセイにおいて、混合物は、pH7.4のリン酸カリウム緩衝液50mM、2mM CaCl2、2mM ATP、25Mララキドン酸(0.1Ci)および酵素(タンパク50〜100mg)を200リッターの最終体積中に含んでいた。反応を24℃で3分間行った。混合物を、エチルエーテル:メタノール:0.2Mクエン酸(=30:4:1)の氷冷混合物0.2mlで抽出した。抽出物を、石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(=15:85:0.1)の溶媒系中において-10℃で薄層クロマトグラフィーに付した。真正アラキドン酸およびその代謝物に相当するシリカゲル領域を削り取り計数のためにシンチレーションバイアル内に入れた。酵素活性は、3分間で酸化されたアラキドン酸の量として表した。このアッセイにおいて、前述した代表的化合物9、11、14および15は活性を示した。
実施例8
RBL-1細胞抽出物中における可溶性5-リポキシゲナーゼの抑制
RBL-1細胞を、ATCCからの仕様により回転フラスコ中において成長させた(2×106/ml)。細胞を採取し、カルシウム非含有およびマグネシウム非含有PBS中で2回洗った。細胞を、50mM K2HPO4 pH7.4,10%PEG-8000、1mM EDTA、1mM PMSF中に2×107/mlの濃度で懸濁させ、次に音波破砕する。溶解物を、100,000×gで4℃において1時間遠心分離し、上澄み液(サイトゾル)を除去し、-70℃で貯蔵する。
RBL-1サイトゾル中における5-L0活性を、以下のように決める:5mM CaCl2、2mM ATP、50mM K2HPO4 pH7.4、変化する濃度の試験化合物(DMSOに溶解した化合物10mlから)、および50%の[14C]アラキドン酸基剤を酸素化生成物(各サイト製剤について実験的に決められる)に転化する濃度のRBL-1サイトゾルからなる反応液0.2mlを、室温で10分間培養する。エタノール貯蔵部からの[14C]アラキドン酸5mlを添加することにより反応を開始(最終濃度=9.5mM)し、3分間進行させる。反応を、冷たいエチルエーテル:メタノール:0.2Mクエン酸(=30:4:1)を添加することにより終了させ、10,000×gで1分間遠心分離させる。有機層50mlを取り出してガラスキャピラリーピペットに入れ、シリカゲル60A TLCプレート(ワットマン製 #LK6D)上に滴下する。プレートを、石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(=15:85:0.1)中、室温で30分間現像する。プレートをコダックXAR-5フィルムに24時間晒す。フィルムを現像し、濃度計を用いてスキャンニングし、アラキドン酸およびその生成物のピーク領域を計算する。抑制%は、対照サンプル(試験化合物でない)に対する、試験化合物を含むサンプル中における酸素化生成物に転化した[14C]アラキドン酸の量から決める。
表5は、ラセミ化合物202、およびそのエナンチオマー、化合物216、217、234および236によるRBL-1細胞抽出物中における可溶性5-リポキシゲナーゼの抑制のデータを提供する。
実施例9
イオノファ刺激ヒト全血中におけるリューコトリエンB4製造の抑制
ヒト血液を取り出しヘパリンを加えた血液収集管中に入れ、その1mlを1.5ml微細(microfuge)管に入れる。DMSOに溶解した濃度の異なる試験化合物5mlを、血液サンプルに添加し、37℃で30分間培養する。DMSO中のカルシウムイオノファ(5ml)(A23187)を最終濃度50mMになるように添加し、サンプルを37℃で15分間培養する。次に、サンプルを1100×g(2500rpm、H1000Bローター、Sorvall遠心分離機)で4℃において10分間遠心分離する。上澄み100mlを1.5ml微細管に移し、冷たいエタノール400mlを加え、タンパクを氷上で30分間沈殿させる。サンプルを110×gで4℃において10分間遠心分離し、上澄みを、市販のEIAキット(Cayman Chemical社製)を用いて製造者に指示に従ってLTB4について検定する。
表5は、ラセミ化合物202、およびそのエナンチオマー、化合物216、217、234および236によるイオノファ刺激ヒト全血中におけるリューコトリエンB4製造の抑制についてのデータを示す。
実施例9
早死(ex-vivo)マウスおよびラット全血5-リポキシゲナーゼ評価
チャールスリバーラボラトリーから、18〜25gと秤量されたCD-1雌マウスおよび150〜230gと秤量されたCD雌ラットを得た。化合物を、マウスに投与(0.5mg/ml)するために0.9%NaCl中0.5%DMSO中に溶解し、ラットに用いる(5mg/ml)ためにアルコール媒体(ベンジルアルコール2%、エタノール1%、PEG300の40%、プロピレングリコール10%、DiH2O中5%デキストロース+3.5%pluronic F-68の47%)中に溶解した。断頭により殺す15分前に動物に化合物(5 mg/ml)または対応するビヒクル(塩水中0.5%DMSO、マウスについて10ml/kg;アルコールビヒクル,ラットについて1.ml/kg)を注射した。ヘパリンを添加した全血(0.3ml)を、2mMカルシウムイオノファA23187(A23187の最終濃度は20mM)の3mlを含む1.5ml Eppendorf遠心分離管中に添加した。サンプルを、37℃の水浴中30分間培養し、次に2分間遠心分離した。血漿を希釈(×120)し、EIAを用いてLTB4について検定した。
表5は、ラセミ化合物202、およびそのエナンチオマー、化合物216、217、234および236の投与についての早死マウスおよびラット全血5-リポキシゲナーゼ値のデータを提供する。
実施例10
グルクロニド化速度
グルクロニド化速度は、ここに開示の化合物の生体内代謝安定性の基準である。
ヒトミクロソームタンパク2mg/ml、5mM塩化マグネシウム、100mM Tris HCl(pH=7.4)、0.1〜1.0mM基剤および3mM UDP-グルクロン酸を含む反応混合物を用いて生体外グルクロニド化反応を実施した。37℃で0(対照)、15、30、45、60、90、120、180、240分培養した後、40μlの反応混合物を80μlのアセトニトリルと混合し、遠心分離して沈殿タンパクを除去した。逆相HPLCにより上澄みのアリコートを分析して親化合物の消滅および代謝物の形成を決めた。
表5は、ラセミ化合物202、およびそのエナンチオマー、化合物216、217、234および236のグルクロニド化速度のデータを提供し、図2はそれを示す。
図3は、示されたエナンチオマーのグルクロニド化速度を示す。
実施例11
ラット好塩基球白血病細胞のサイトゾル5-リポキシゲナーゼへの化合物の効果
RBL-2H3細胞を、Carterらの(J Pharm Exp Ther 256(3);929〜937頁、1991年)による組織培養フラスコ内で成長させた。細胞を採取し、カルシウムおよびマグネシウム非含有D-PBS中で5回洗った。細胞を、10mM BES,10mM PIPES pH6.8、1mM EDTA中に2×107/mlの濃度で懸濁させ、次に音波破砕する。音波破砕物を、20,000×gで4℃において20分間遠心分離した。次に、上澄み液(サイトゾル)を除去し、-70℃で貯蔵する。
RBL-2H3製剤中における5-L0活性を、以下のように決める:0.7mM CaCl2、100mM NaCl、1mM EDTA、10mM BES、10MM PIPES pH7.4、変化する濃度のDMSOに溶解した試験化合物(アッセイにおいて最終的に7.5%DMSO)、および15%のアラキドン酸基剤混合物を酸素化生成物(各RBL-2H3製剤について実験的に決められる)に転化する量のRBL-2H3製剤からなる反応液0.1mlを、室温で20分間培養する。アラキドン酸基剤混合物5μl(検定毎に0.028%NH4OH中[14C]アラキドン酸0.944nmolおよびアラキドン酸6.06nmol)を添加することにより反応を開始し、37℃で5分間進行させる。反応を、(i)エチルエーテル中トリフェニルホスフィン1.66mg/ml;(ii)メタノール;および(iii)0.2M クエン酸の 混合物(=30:4:1)0.12mlを添加することにより終了させ、1000×gで1分間遠心分離させる。有機層50μlを取り出してガラスキャピラリーピペットに入れ、シリカゲル60A TLCプレート(ワットマン製 #6KDF)上に滴下する。プレートを、エチルエーテル:酢酸(=100:0.1)中、室温で25分間現像する。プレートをコダックX-OMAT ARフィルムに40時間晒す。フィルムを現像し、濃度計を用いてスキャンニングし、アラキドン酸およびその生成物のピーク領域を計算する。抑制%は、対照サンプル(試験化合物でない)に対する、試験化合物を含むサンプル中における酸素化生成物に転化した[14C]アラキドン酸の量から決める。
結果を表4に示す。
実施例12
イオノファ刺激ヒト全血中におけるリューコトリエンB4製造の抑制
ヒト血液を取り出しヘパリンを加えた血液収集管中に入れ、その1mlを1.5ml微細管に入れる。DMSOに溶解した濃度の異なる試験化合物(5ml)を、血液サンプルに添加し、37℃で15分間培養する。DMSO中のカルシウムイオノファ(5ml、A23187)を最終濃度50mMになるように添加し、サンプルを37℃で30分間培養する。次に、サンプルを1100×g(2500rpm、H1000Bローター、Sorvall遠心分離機)で40℃において10分間遠心分離する。上澄み(100ml)を1.5ml微細管に移し、冷たいエタノール400mlを加え、タンパクを氷上で30分間沈殿させる。サンプルを110×gで4℃において10分間遠心分離し、上澄みを、市販のEIAキット(Cayman Chemical社製)を用いて製造者の仕様書に指示に従ってLTB4について検定する。
結果を表5に示す。
Figure 0004446123
Figure 0004446123
実施例4
早死マウス全血5-リポキシゲナーゼ評価
チャールスリバーラボラトリーから、18〜25gと秤量されたCD-1雌マウスおよび150〜230gと秤量されたCD雌ラットを得た。化合物を、マウスに投与(0.5mg/ml)するために0.9%NaCl中0.5%DMSO中に溶解し、ラットに用いる(5mg/ml)ためにアルコール媒体(ベンジルアルコール2%、エタノール1%、PEG300の40%、プロピレングリコール10%、DiH2O中5%デキストロース+3.5%プルロニックF-68の47%)中に溶解した。断頭により殺す15分前に動物に化合物(5mg/ml)または対応するビヒクル(塩水中0.5%DMSO、マウスについて10ml/kg;アルコールビヒクル,ラットについて1ml/kg)を注射した。ヘパリンを添加した全血(0.3ml)を、2mMカルシウムイオノファA23187(A23187の最終濃度は20mM)の3mlを含む1.5mlエッペンドルフ遠心分離管中に添加した。サンプルを、37℃の水浴中30分間培養し、次に2分間遠心分離した。血漿を希釈(×120)し、EIAを用いてLTB4について検定した。
結果を表5に示す。
実施例5
グルクロニド化研究
グルクロニド化速度は、ここに開示の化合物の生体内代謝安定性の基準である。
ヒトミクロソームタンパク2mg/ml、5mM塩化マグネシウム、100mM Tris HCl(pH=7.4)、0.1〜1.0mM基剤および3mM UDP-グルクロン酸を含む反応混合物を用いて生体外グルクロニド化反応を実施した。37℃で0(対照)、15、30、45、60、90、120、180、240分培養した後、40μlの反応混合物を80μlのアセトニトリルと混合し、遠心分離して沈殿タンパクを除去した。逆相HPLCにより上澄みのアリコートを分析して親化合物の消滅および代謝物の形成を決めた。
結果を表5に示す。
実施例6
好酸球浸潤アッセイ
肺における炎症性細胞の蓄積は、喘息の病源姓特徴の一つである。患者にアレルゲンが吸引された後、血液および肺洗浄液中における白血球の増加、特に好酸球の増加が観察された。好酸球はアレルギー性炎症において、粒状タンパクの細胞毒特性および炎症性メディエイタを放出する効果を有する重要な効果器細胞のようである。アレルゲン誘発好酸球の肺への流入の防止は、新規抗喘息薬剤のための説得力のある目標であると考えられる。
リューコトリエンはアラキドン酸5-リポキシゲナーゼ(5-LO)経路の生成物である。リポキシゲナーゼ代謝物(LTB4、5-オキソ-15-ヒドロキシ-エイコサテトラエン酸)は、補充好酸球への効力のある活性を有すると確認された。急性の気管支収縮を遮断することができ、アレルゲンの作用の結果として起こる肺細胞への好酸球のその後の蓄積を減少させることができる5-LO抑制剤は、喘息の予防および治療のために有益であり得る。
肺への好酸球の浸潤は、アレルゲン誘発モルモットまたはマウスからの気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞の数を数えることにより測定することができる。
モルモットモデル:体重400〜500gの雌のHartleyモルモットを、0.9%NaCl0.5ml中のOVA20μgおよびAl(OH)3 100mgを1日目および2日目に腹腔内注射することにより卵白アルブミン(OVA)に対して感作した。動物を0.5%OVA(0.9%NaCl中)エアロゾルで15日目および16日目に処理した。化合物を10%PEG200または0.5%カルボキシメチルセルロース中で調製し、3回経口投与した(各処理の1時間前および2回の処理の間)。ヒスタミン放出誘発死を防止するために、各処理の15分前にピリラミン(3mg/kg、腹腔内)を与えた。最初の処理に続いて24時間後(または最後の処理の4時間後)に、麻酔をかけて動物の頸動脈から採血した。DPBS(w/o Ca2+、Mg2+)中0.5mM EDTA2×10mlを用いて、37℃において気管カニューレ挿入によりBALを実施した。BAL液体中の合計細胞数を、Sysmex微小細胞計数器(F-800)により測定し、サイトスピン製剤において差異のある細胞を数えた。全細胞または好酸球蓄積についての抑制%=[(ビヒクル−偽物(sham))−(処理物−偽物)]/(ビヒクル−偽物)×100。
マウスモデル:体重21〜23gの雄のC57 BL/6の雄マウスを、0.9%NaCl 0.2ml中のOVA 10μgおよびAl(OH)3 1mgを1日目に投与することによりOVAに対して感作した。エアロゾル化した1%OVAまたは塩水を14日目〜21日目に毎日30分間吸引した後に過敏症が発現した。化合物を10%PEG200または0.5%カルボキシメチルセルロース中で調製し、18日目〜22日目に1日2回、20mg/kgの量で経口投与した。最後のOVAの吸引の4時間後に、麻酔をかけて動物の頸動脈から採血した。0.5mMナトリウムEDTAを含むDPBS(w/o Ca2+、Mg2+)2×1mlを用いて、37℃において気管カニューレ挿入によりBALを実施した。BAL液体中の合計細胞数を、シスメックス微小細胞計数器(F-800)により測定した。シスメックス微小細胞計数器(F-800)によりBAL液体中の差異のある細胞を数えた。サイトスピン製剤および白色ギームザ染料上において差異のある細胞を数えた。全細胞または好酸球蓄積についての抑制%=[(ビヒクル−偽物)−(処理物−偽物)]/(ビヒクル−偽物)×100。(YeadonらのAgents Actions、第38巻、8〜17頁、1993年;Brusselle G.G.らのALA'94、A754;Schwenk U.らのJ.Biol.Biochem.第267巻:12482〜12488頁、1992年;およびClinic M.らのCur.Poin.Immunol. 第6巻、860〜864頁、1994年)
Figure 0004446123
Figure 0004446123
Figure 0004446123
炎症性または免疫性反応中の酸素ラジカルの形成を低下させる化合物に関する本発明の修正および変化は、前述の本発明の詳細な説明より当業者に明白である。そのような修正および変化は添付の特許請求の範囲内に入るものとされる。
選択された活性化合物の示された立体化 学を有する化学構造を示す。 選択された活性化合物の示された立体化 学を有する化学構造を示す。 ラセミ化合物202、およびそのエナンチオマー、化合物216、217、234および236のグルクロニド化速度を示す。 以下に示すエナンチオマーのグルクロニド化速度を示す。
Figure 0004446123
2S, 5S -トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-N-ヒドロキシウレイジル-1-ブチニル)テトラヒドロフラン(化合物401)および2S, 5R-トランス-2-(4-フルオロフェノキシメチル)-5-(4-N-ヒドロキシウレイジルブチル)テトラヒドロフラン(化合物402)を合成するための一つのプロセスを示す。 時間(時間)に対する代謝物の%で測定した、化合物401、403、404および406(表4に示す)のグルクロニド化速度のグラフである。

Claims (4)

  1. 下記式(I)で示される化合物:
    Figure 0004446123
    式中、Arはフェニル、トリメトキシフェニル、ジメトキシフェニル、フルオロフェニル、またはジフルオロフェニル;
    Wは−AN(OM)C(O)N(R3 )R4
    Aは低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニル;
    XおよびYはO(酸素);
    mはAが低級アルキルまたは低級アルケニルの場合は1、低級アルキニルの場合ゼロ;
    Mは水素または薬学的に許容し得るカチオン;
    R1,R2,R3およびR4は独立して水素または低級アルキルである。
  2. Aがプロピルである請求項1の化合物。
  3. Aがブチニルである請求項1の化合物。
  4. 請求項1または2もしくは3の化合物、またはそれらの薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得るキャリヤーを含んでいる、炎症性疾患の治療または予防のための薬剤組成物。
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