JP4446119B2 - 圧電型アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧電素子が取り付けられた振動板をケース内に設けるようにした圧電型アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の圧電型アクチュエータは、センサ本体に角速度が作用したときのガス通路におけるガス流の偏向状態を、そのガス通路に左,右一対に設けられた感熱抵抗素子の抵抗の変化として電気的に検出してそのときの角速度の大きさおよび向きを求めるようにした、センサ本体がマイクロマシニング加工によって形成された超小型のガス式角速度センサにあって、ガス通路内に一定したガス流を供給するためのポンプとして用いられている。
【0003】
しかして、このような用途の圧電型アクチュエータにあっては、その動作特性が安定するべく、非常な加工精度が要求されるものになっている。
【0004】
従来の圧電型アクチュエータは、図4に示すように、圧電素子1が取り付けられた振動板2の周縁を上ケース17と下ケース18との間に挟持させ、かつそのケース間にガス室19が形成されるように、上ケース17と下ケース18とを接着などによって結合させるようにしている。図中、19はガスの吸入口、20はガスの吐出口である。
【0005】
このような構成による圧電型アクチュエータでは、上ケース17と下ケース18の結合の状態によって振動板2の振動特性が微妙に変化してしまうので、各ケース17,18を金属によって精密加工するようにしているが、加工性が悪くなっている。
【0006】
加工性を良くするために上ケース17と下ケース18とを合成樹脂によって成形したものでは、振動板2を挟持する面の加工精度が悪くなって特性がばらついてしまうとともに、振動板2の振動による挟持面の摩耗によって特性が変化してしまう。また、その樹脂の熱膨張係数が振動板2の材質とはかけ離れたものとなって、温度によって振動板2の挟持状態が変わって特性が変化してしまうという問題がある。
【0007】
また、上ケース17と下ケース18とを接着などによって結合させるようにするのでは、手間がかかって組付時の作業性が悪くなってしまう。特に接着の場合には、接着剤が乾燥するまでに時間を要するものとなってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、圧電素子が取り付けられた振動板の周縁を挟持する上ケースと下ケースとを特性のばらつきがないように金属によって精密加工するのでは加工性が悪くなり、加工性を良くするために合成樹脂によって上ケースと下ケースとを成形するのでは、振動板の挟持面の加工精度が悪かったり摩耗したりなどして特性が変化してしまうことである。また、上ケースと下ケースとを接着などによって接合するのでは、作業性が悪くなってしまうことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による圧電型アクチュエータは、圧電素子が取り付けられた振動板をケース内に設置するに際して、振動特性が安定したものを加工性良く容易に製造することができるようにするべく、圧電素子が取り付けられた振動板と、その振動板の周縁を固定的に担持する金属製のロアプレートと、金属製のリング状部材またはインナーリングとを有し、その振動板およびロアプレートをリング状部材内に入れて、リング状部材の上端をかしめることによって振動板の周縁をロアプレート上に保持させることによって一体化されたユニットまたはロアケース内に振動板の周縁を担持させ、前記インナーリングを介してロアケースの上端をかしめることによって形成されたユニットに、ガスの吸入口および吐出口が設けられた合成樹脂製のアッパーケースをそのユニットの抱持部分の弾力性を利用して嵌め込んで、振動板との間にガス室が形成されるように構成している。
【0010】
【実施例】
本発明による圧電型アクチュエータにあっては、図1に示すように、圧電素子1が貼り付けられた振動板2と、その振動板2を振動可能なように担持する金属製のロアプレート3と、振動板2の周縁をロアプレート3にかしめ付ける同じ金属材料からなる保持用リング4と、ガスの吸入口7および吐出口8が設けられた合成樹脂製のアッパーケース6とからなっている。また、そのアッパーケース6には、圧電素子1のプラス側のリード10の外部引出し口11が形成されている。
【0011】
そして、その圧電型アクチュエータは、振動板2およびロアプレート3を保持用のリング4内に入れて、そのリング4の上端をかしめることによって振動板2の周縁をロアプレート3上に保持させることによって一体化されたユニット5に、アッパーケース6を、振動板2との間にガス室9が形成されるように組み付けることによって構成されることになる。図中、41はかしめ部分を示している。
【0012】
また、ロアプレート3をアース体として利用して、アッパーケース6の外部に露出したロアプレート3の下面にマイナス側のリード端子12が取り付けられている。
【0013】
しかして、本発明によれば、予め振動板2を振動可能なように保持したユニット5を形成したうえで、それをアッパーケース6に組み込むようにしているので、組付け時の作業性が向上する。そして、事前に振動特性の一定したユニット5を製造することができ、特性の揃った圧電アクチュエータを容易に得ることができるようになる。
【0014】
そして、ガス室9を形成するためのアッパーケース6を合成樹脂製のものとしても、熱膨張係数の違いにより振動板2の保持状態が変わって特性が変化したり、保持面の摩耗によって特性が変化したりするようなことなく、振動板2を最適な状態で設置することができるようになる。
【0015】
また、アッパーケース6の外部に露出したロアプレート3の下面からマイナス側のリードの引出しを自在に行わせることができるようになる。
【0016】
ユニット5にアッパーケース6を組み付けるに際して、アッパーケース6の下部にはユニット5の抱持部61が形成されており、その抱持部61が有する弾力性を利用して、ユニット5にアッパーケース6を嵌め込むようにしている。
【0017】
抱持部61としては、それが例えばユニット5が円盤状のものである場合、その円周全体にわたって形成されていてもよく、また、その円周の複数箇所に部分的に形成されていてもよい。
【0018】
抱持部61をユニット5の円周全体を抱持するように形成する場合には、抱持部61を複数に分割してユニット5への嵌め込みを容易に行わせることができるように、その抱持部61に複数の縦割りのスリットを設けるようにしてもよい。
【0019】
また、ユニット5にアッパーケース6を嵌め込むに際して、ユニット5と抱持部61との間に嵌め込みの位置決めをなすマークまたはノッチなどによる位置合せ手段を設けるようにしてもよい。
【0020】
図2に、ユニット5にアッパーケース6を嵌め込むときの様子を示している。
【0021】
しかして、本発明によれば、何ら接着などの手段をとるようなことなく、ユニット5にアッパーケース6をワンタッチで装着させることができるようになり、組付性が良くなる。また、リード引出しの穴位置ずれなどに対して、再組が可能となり、製品の歩留りが向上する。
【0022】
また、本発明では、ユニット5にアッパーケース6を組み付けるに際して、両者間にOリング13(またはシート状のシール部材)を介挿して、ガス室9の気密性を確保するようにしている。
【0023】
なお、振動板2の周縁をロアプレート3の担持部分に保持させる部材として、かしめ付け用のリング4以外に、ネジ締め用の部材を用いることも可能である。
【0024】
また、ロアプレートと保持用のリング4とを一体的に成形するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0025】
図3は、本発明による圧電型アクチュエータの他の実施例を示している。
【0026】
ここでは、金属製のロアケース14内に圧電素子1が貼り付けられた振動板2が振動可能なようにその周縁を担持させ、金属製のインナーリング15を介してロアケース14の上端をかしめることによって、振動板2をその周縁でロアケース14内に保持させたユニット16を形成するようにしている。そして、そのユニット16上に、ガスの吸入口7および吐出口8が設けられた合成樹脂製のアッパーケース6を接着して、アッパーケース6と振動板2との間にガス室9が形成されるようにしている。
【0027】
このように構成された圧電型アクチュエータにあっても、前述と同様の作用効果を発揮できるものとなっている。
【0028】
【効果】
以上,本発明による圧電型アクチュエータにあっては、圧電素子が取り付けられた振動板をケース内に設置するに際して、振動特性が安定したものを加工性良く容易に製造することができるようにするべく、圧電素子が取り付けられた振動板と、その振動板の周縁を固定的に担持する金属製のロアプレートと、金属製のリング状部材またはインナーリングとを有し、その振動板およびロアプレートをリング状部材内に入れて、リング状部材の上端をかしめることによって振動板の周縁をロアプレート上に保持させることによって一体化されたユニットまたはロアケース内に振動板の周縁を担持させ、前記インナーリングを介してロアケースの上端をかしめることによって形成されたユニットに、ガスの吸入口および吐出口が設けられた合成樹脂製のアッパーケースをそのユニットの抱持部分の弾力性を利用して嵌め込んで、振動板との間にガス室が形成されるように構成したもので、振動特性が安定したものを加工性良く容易に製造することができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧電型アクチュエータの一実施例を示す正断面図である。
【図2】同実施例の圧電型アクチュエータにあってユニットにアッパーケースを嵌め込むときの状態を示す図である。
【図3】本発明による圧電型アクチュエータの他の実施例を示す正断面図である。
【図4】従来の圧電型アクチュエータを示す正断面図である。
【符号の説明】
1 圧電素子
2 振動板
3 ロアプレート
4 保持用リング
5 ユニット
6 アッパーケース
9 ガス室
13 Oリング
14 ロアケース
15 インナーリング
16 ユニット

Claims (4)

  1. 圧電素子が取り付けられた振動板と、その振動板の周縁を固定的に担持する金属製のロアプレートと、金属製のリング状部材とを有し、その振動板およびロアプレートをリング状部材内に入れて、リング状部材の上端をかしめることによって振動板の周縁をロアプレート上に保持させることによって一体化されたユニットに、ガスの吸入口および吐出口が設けられた合成樹脂製のアッパーケースを前記ユニットを抱持する抱持部分の弾力性を利用して嵌め込んで、振動板との間にガス室が形成されるように構成した圧電型アクチュエータ。
  2. 圧電素子が取り付けられた振動板と、その振動板の周縁を固定的に担持する金属製のロアケースと、金属製のインナーリングとを有し、そのロアケース内に振動板の周縁を担持させ、前記インナーリングを介してロアケースの上端をかしめることによってユニットを形成し、そのユニットに、ガスの吸入口および吐出口が設けられた合成樹脂製のアッパーケースを前記ユニットを抱持する抱持部分の弾力性を利用して嵌め込んで、振動板との間にガス室が形成されるように構成した圧電型アクチュエータ。
  3. ユニットとアッパーケースとの間にシール部材を設けたことを特徴とする請求項1の記載による圧電型アクチュエータ。
  4. ロアプレートまたはロアケースをアース体にしたことを特徴とする請求項1または請求項2の記載による圧電型アクチュエータ。
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