JP4445907B2 - ラッシェルレース地 - Google Patents
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Description
多様な柄で、しかも薄手で透過効果があり、併せて自在な伸縮性を有する、装飾性と機能性を併せ持つ素材として多様化されている。
従来は、高級感を出すための装飾用として用いられることが多く、縫製によりトリコット地や丸編地等との組み合わせ、張り合わせがなされ使用されていた。
こういった事情と消費者のファッション指向もあって、昨今は、ラッシェルレース地そのものを単独で本体部材として用いることが主流となっている。
この結果、ラッシェルレース地が着用者の肌に直接触れることとなった。
そして、このラッシェルレース地に要求される特性は、その穴目や柄がすっきりと鮮明で、しかも薄地で伸縮性を有することである。
このことで編目が締まり、穴目のすっきりしたグランドが得られる。ここに言う生糸とはウーリー加工等によるクリンプ形状の付与がなされていない直線状の糸を言う。
ところが、合成繊維のように細くて強い連続長繊維生糸を用いて編目を締めて編成することにより、視覚的に美的な編地が得られるものの、これが肌に触れるとザラザラと硬い刺激感があり、着心地や触り心地が極めて悪くなる。
例えば、特許文献1では地組織を形成している鎖編に別糸を挿入配置して、鎖編を弾性糸により収縮させて、別糸を鎖編間に表出させて着用感を高める工夫や起毛加工を施す等の提案がなされている。
また、起毛手段や張り付け手段においても折角すっきりした編地を形成したとしても起毛加工による毛羽立ちや他の素材張り付けによる厚みの増加問題等があって、問題を解決する手段とはなり得なかったのである。
従来の柄入りのラッシェルレース地は、図5(A)、図5(B)(図5(B)はグランドGの拡大説明図であり、理解を容易にするために地連結糸C3と弾性糸C4の一部を太線で示している)の説明図に示すように、一定の間隔をもって一面に配された地鎖編C1とこれらを多様に連結する地連結糸C3とで構成されるグランドGと、このグランドG上に形成される柄部Pと、地鎖編C1に挿入係止される弾性糸C4とで構成されている。
よって、このニードルループN1がポリエステル糸やナイロン糸等の連続長繊維生糸で形成されれば、編目が締まり、硬い着用感の悪いラッシェルレース地となってしまう。
また、合繊連続長繊維生糸にウーリー加工等を施してクリンプと、嵩高性を付与した加工糸を採用したとしても、加工糸自体はソフトであるが、これを鎖編に編み上げた時点で編目が硬く締まり、ウーリー加工糸のソフト感は消失して解決策にはならない。
本発明は、従来のラッシェルレース地が有していた上記のごとき問題点を解決するためになされたものであり、着用者の肌に優しいソフトな感触を有するラッシェルレース地の提供を目的とする。
このことで、編地の美観を維持しつつ、同時に着用感の向上を確実に図ることを可能にした。
また、この連結部S2は、その間にある適宜選択された地鎖編C1のシンカーループS1に挿入係止されるので、連結部S2が編地表面Fに浮き出てしまうことによる品質の低下や問題の発生が見られない。
本発明はラッシェルレース機により編成される。
本発明の実施に使用されるラッシェルレース機は、図2の断面説明図に示すように編機前方から後方に向けて第1群から第5群のオサを擁する。
具体的には、第1群地オサL1、第2群地オサL2、第3群ジャカードオサL3、第4群柄用多枚オサL4、第5群弾性糸用オサL5の5群のオサである。
第1群地オサL1では地鎖編C1を編成する。
そして第2群地オサL2でカバー組織部C2を地鎖編C1のニードルループN1をカバーするように編成し、第3群ジャカードオサL3で地鎖編C1を地連結糸C3で多様に連結してグランドGを形成する。
第4群柄用多枚オサL4により柄部Pを地鎖編C1に挿入係止して形成し、第5群弾性糸用オサL5でポリウレタン糸を地鎖編C1に挿入係止して伸縮性を付与する。
本ラッシェルレース地Rにおいては、図6に示すように、地連結糸C3と柄部Pと弾性糸C4とは、地鎖編C1のニードルループN1とシンカーループS1の間に挿入係止されて維持され、同時に、図1(B)の断面模式図に示すように、これらに加えてカバー組織部C2が地鎖編C1に編込まれて、地鎖編C1のニードル・ループN1とカバー組織部C2のカバーニードルループN2とで2重ループ構造Wが形成される。
本実施の形態においてはカバー組織部C2が第2群地オサL2で形成されるので、経編の編成原理上、地連結糸C3と柄部Pと弾性糸C4は、地鎖編C1と同様、カバー組織部C2のカバーニードルループN2と連結部S2の間に挿入係止されることとなる。
図5(A)、図5(B)に示すように、地鎖編C1を一定の間隔で配列編成し、これらを地連結糸C3で連結する。
この際、地連結糸C3は第3群ジャカードオサL3により制御され、図5(A)にその一例を示すように多様なネット状のグランドGを形成する。
そして、このグランドG上に第4群柄用多枚オサL4よって柄部Pが形成される。第4群柄用多枚オサL4は約30枚から70枚に及ぶ。
そして、地鎖編C1に弾性糸C4が挿入係止されて伸縮性を得る。
カバー組織部C2は、カバーニードルループN2とこれを互いに連結する連結部S2で構成されていて、カバーニードルループN2は、該カバーニードルループN2が地鎖編C1のニードルループN1をカバ−するように所要の間隔もって、2重ループ構造W状に地鎖編C1に編み込まれる。
ここにいう所要の間隔とは、2コースから5コースの間隔をいうが、必要に応じて適宜変化させ得るもので、このコース数を限定するものではない。
この間にあるニードル・ループN1のすべてのシンカーループS1に挿入するのではなく適宜、選択されたニードル・ループN1のシンカーループS1にのみ挿入係止する。間隔が大きい時には、複数の挿入係止箇所を設けても良い。
地鎖編C1、地連結糸C3には合成繊維生糸を用いる。
合成繊維の種類には、ナイロン、ポリエステル、アクリルなどが挙げられる。
そして、カバー組織部C2には合成繊維加工糸を用いる。
合成繊維加工糸にはナイロンウーリー糸、ポリエステルウーリー糸等が挙げられるが、ここにおける合成繊維加工糸の特徴は、生糸が直線状であるのに対し、何らかの手段でクリンプ形状の付与がなされていて、ソフトで嵩高性を有することを特徴とする。
また、カバー組織部C2に用いる合成繊維加工糸は、必要に応じて数種類の糸で構成されることも当然可能である。
これらは撚糸によって合糸されていたり、或いはカバーリング糸構造となっている場合などがある。
また、糸の紡糸段階で複数の機能の異なる繊維を混繊させて、これにより、ソフトで嵩高な性能や他の機能を発揮させる種類の糸等も、ここでの合成繊維加工糸の範疇に含む。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
実施例1においてはラッシェル機として、カール・マイヤー製の超多枚オサラッシェル機(24ゲージ)を使用する。
グランドGの地鎖編C1にナイロンフィラメント生糸(33dtex)、地連結糸C3にナイロンフィラメント生糸(44dtex)、柄部Pの縁取り糸P1にナイロンウーリー糸(310dtex)、柄糸P2にナイロンウーリー糸(122dtex)とレーヨンフィラメント糸(167dtex)を用いる。
柄糸P2にナイロンウーリー糸とレーヨンフィラメント糸を使用することで柄部Pの異色染めが可能となり多様な柄部P形成を可能とする。
弾性糸C4としてポリウレタン糸(235dtex)を用いる。
図3の組織図に示すように地鎖編C1の組織(0−1/1−0)に対し、カバー組織部C2の組織をC21(1−0/0−0/0−0/1−1)とする。
これを図1(A)に示す実体模式図と図1(B)に示す断面模式図とを用いて更に詳細に説明する。
地鎖編C1のニードル・ループN12にカバーニードルループN21を編み込んで2重ループ構造W1を形成した後、次に位置する地鎖編C1の3個のニードル・ループN13、N14、N15を飛び越えて、同様にニードル・ループN16に、カバーニードルループN22を編み込んで2重ループ構造W2を形成し、また3個あけるといったように、これを順次繰り返す。
そして、飛び越える3個のニードル・ループN13、N14、N15の内、中間に位置するニードル・ループN14のシンカーループS14に、カバー組織部C2の連結部S2を挿入係止する。
この結果、編地裏面のカバーニードルループN2の配列は、図4(A)の編地裏面説明図に示すように3個のニードル・ループN1を挟んでコース方向に1列に配列された状態となる。
そして、本実施例のようにカバーニードルループN2を連続して形成するのではなく、間隔をおいて形成することにより、カバーニードルループN2は、強く締まることがなく、ニードル・ループに比較してやや大きめの緩んだ状態の編目となり、一層、肌にソフトで優しい感触を発現するのである。
このことを図1(A)の実体模式図を用いて更に説明すると連結部S2は小さな二つの連結部S21、S21となり浮かび上がりが小さくなる。
このことは次の繰り返しでも同様で、連結部S2は、小さな二つの連結部S22、S22となり同様の状態が得られる。
また、編地表面Fにおける連結部S2の存在は、使用者の手触りにソフト感を与え、使い勝手が向上する。
本実施例においては、他の条件は実施例1と同様にして、カバー組織部C2の組織を変化させる。
実施例1のカバー組織部C2の組織はC21(1−0/0−0/0−0/1−1)で、3個のニードルループN1を飛び越えてカバーニードルループN2が形成されたが、本実施例では図3の組織図におけるC22(1−0/0−0/0−0/1−1/0−0/0−1/1−1/1−1/0−0/1−1)として、4個のニードルループN1を飛び越えてカバーニードルループN2を形成させる。
このことで編地面に表出するカバーニードルループN2の密度は低下し、よりラッシェルレース地Rとしての薄さや鮮明度が保たれる。
シンカーループS2は、ほぼ中間をシンカーループS1で押さえられる。
本実施例では、実施例2と同様、他の条件はそのままに、カバー組織部C2の組織(図3)をC23(1−1/1−0/0−0/0−0/0−1/1−1)とし、カバーニードルループN2を二つのニードル・ループN1を空けて繰り返し形成する。
本実施例の場合は、カバーニードルループN2の密度が高くなり、ソフト感が飛躍的に向上する。
これらに類する組織としてはC24(0−0/1−0/0−0/1−1/0−1/1−1)、C25(1−1/1−0/1−1/0−0/0−1/0−0)の組織が挙げられる。
本実施例では、実施例1と同様の設定として、カバー組織部C2の組織C21(1−0/0−0/0−0/1−1)を図4(B)の組織図に示すように、ウエール毎に2コースずらすこととする。
このようにすることで、編地裏面のカバーニードルループN2の配列は、図4(C)の編地裏面説明図に示すように千鳥状の配列となり、実施例1に比べて、カバーニードルループN2の存在が一層目立たなくなり、感触も穏やかになる。
例えば、第1群地オサL1から第5群弾性糸用オサL5に他のオサ群を付加させて編地に変化を付与することは当然可能であるし、それぞれのオサ群内においてオサを増加させることも当然可能である。
例えば、第2群地オサL2のオサを増加させて、実施例4よりも更にカバーニードルループN2の飛び数や配置に変化を持たせることも可能である。
また、地鎖編C1や地連結糸C3に合成繊維生糸の他、トリアセテートやアセテート等の半合性繊維やレーヨン等の再生繊維を用いることも当然可能である。
C2 カバー組織部
C21 カバー組織部の組織
C22 カバー組織部の組織
C23 カバー組織部の組織
C24 カバー組織部の組織
C25 カバー組織部の組織
C3 地連結糸
C4 弾性糸
F 編地表面
G グランド
L1 第1群地オサ
L2 第2群地オサ
L3 3群ジャカードオサ
L4 第4群柄用多枚オサ
L5 第5群弾性糸用オサ
N1 ニードル・ループ
N11 ニードル・ループ
N12 ニードル・ループ
N13 ニードル・ループ
N14 ニードル・ループ
N15 ニードル・ループ
N16 ニードル・ループ
N17 ニードル・ループ
N2 カバーニードルループ
N21 カバーニードルループ
N22 カバーニードルループ
P 柄部
P1 縁取り糸
P2 柄糸
R ラッシェルレース地
S1 シンカーループ
S2 連結部
S21 連結部
S22 連結部
W 2重ループ構造
W1 2重ループ構造
W2 2重ループ構造
Claims (6)
- 一定の間隔に配列された地鎖編を地連結糸で多様に連結して形成されたグランドと、該グランド上の地鎖編に挿入係止されて形成される柄部と、地鎖編に挿入係止される弾性糸と、地鎖編のニードルループをカバ−するように2重ループ構造に所要の間隔をもって形成されるカバーニードルループと該カバーニードルループを互いに連結する連結部とで構成されるカバー組織部とで構成されるラッシェルレース地であって、所要の間隔をもって形成されるカバーニードルループを連結する連結部が、その間にある地鎖編のニードルループの内、適宜選択されたニードルループのシンカーループに挿入係止されていて、しかも、地鎖編のニードルループとシンカーループ間に挟持されている柄部と弾性糸が、カバー組織部の連結部下方に位置していることを特徴とするラッシェルレース地。
- 一定の間隔に配列された地鎖編の内、すべての、又は選択されたウエールの地鎖編にカバー組織部が編み込まれ、そのカバー組織部のカバーニードルループが編地裏面にコース方向に配列されていることを特徴とする請求項1記載のラッシェルレース地。
- 一定の間隔に配列された地鎖編の内、すべての、又は選択されたウエールの地鎖編にカバー組織部が編み込まれ、そのカバー組織部のカバーニードルループが編地裏面に千鳥状に配列されていることを特徴とする請求項1記載のラッシェルレース地。
- 地鎖編の1リピート組織が(0−1/1−0)又は(1−0/0−1)であって、カバー組織部の1リピート組織が(1−0/0−0/0−0/1−1)、又は、(1−0/0−0/0−0/1−1/0−0/0−1/1−1/1−1/0−0/1−1)、又は(1−1/1−0/0−0/0−0/0−1/1−1)、又は(0−0/1−0/0−0/1−1/0−1/1−1)、又は(1−1/1−0/1−1/0−0/0−1/0−0/)であることを特徴とする請求項1記載のラッシェルレース地。
- カバー組織部が、合成繊維加工糸で形成されていることを特徴とする請求項1記載のラッシェルレース地。
- 弾性糸がポリウレタン糸であることを特徴とする請求項1記載のラッシェルレース地。
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