JP4445744B2 - 超音波画像生成装置の作動方法及び超音波画像生成プログラム - Google Patents

超音波画像生成装置の作動方法及び超音波画像生成プログラム Download PDF

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Description

本発明は、被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成装置の作動方法及び超音波画像生成プログラムに関する。
近年、超音波診断装置は、医療用分野及び工業用分野において、広く用いられる。超音波診断装置は、超音波を被検体に対して送受信することにより、被検体内を非侵襲的に診断するものである。
上記従来の超音波診断装置は、被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、ラジアル画像(超音波振動子の走査軸に対して垂直断面)やリニア画像(超音波振動子の走査軸に対して水平断面)等の2次元断層像から構築される3次元(立体)の超音波画像を生成する超音波画像生成方法を備えている。
このような従来の超音波画像生成方法は、例えば、特開平10−192号公報や特開2001−212147号公報に記載されているように体腔表面を設定する方法が提案されている。
上記特開平10−192号公報に記載の超音波画像生成方法は、得られた超音波エコーデータに対してスキャンライン開始点からスキャンライン上を遠方側にスキャンした場合、表面抽出のための輝度値以上のエコーデータをつないだランに対し、ノイズ等によるランの長さに応じて設定されるランの閾値以上で、最もスキャンライン開始点に近い点を表面位置と設定するようになっている。
一方、上記特開2001−212147号公報に記載の超音波画像生成方法は、得られた超音波エコーデータから組織断面像(テクスチャ)を張り合わせて構築した斜視画像を生成し、視点から延びるベクトルの上記斜視画像の断面上の交点と、上記ベクトルの延長上で上記斜視画像内部に上記超音波データが存在する点との距離に基づいて上記体腔内の内壁を抽出するようになっている。
特開平10−192号公報 特開2001−212147号公報
上記特開平10−192号公報に記載の超音波画像生成方法は、予めノイズ等によるランの長さに応じてランの閾値を設定し、且つ最もスキャンライン開始点に近い点を表面位置と設定しているので、体腔内の浮遊物などのノイズを表面位置として設定してしまう虞れが生じる。
一方、上記特開2001−212147号公報に記載の超音波画像生成方法は、得られた超音波エコーデータから組織断面像(テクスチャ)を張り合わせて斜視画像を構築しているので、上記構築した斜視画像にノイズが含まれてしまい、このノイズが含まれた斜視画像に基づき、上記体腔内の内壁を抽出してしまう問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、得られた超音波エコーデータから着実にノイズを除去し、正確で滑らかな体腔表面の超音波画像を得ることができる超音波画像生成装置の作動方法及び超音波画像生成プログラムを提供することを目的とする。
本発明による第1の超音波画像生成装置の作動方法は、被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成方法において、前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出ステップを有し、前記算出ステップは、前記所定の音線及びこの所定の音線の前後の音線に対して音線の長さと、前記前後の音線との差分とに基づき、前記予想抽出点を算出することを特徴とする。
また、本発明による第2の超音波画像生成装置の作動方法は、被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成方法において、前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出ステップと、前記算出ステップにより算出された前記体腔表面の予想抽出点と前記体腔表面の実抽出点とを比較する比較ステップと、前記比較ステップの比較結果に基づき、前記体腔表面の表面抽出点を決定する決定ステップと、を有することを特徴とする。
本発明による第1の超音波画像生成プログラムは、被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像処理装置におけるコンピュータに、前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出手順を実行させ、前記算出手順は、前記所定の音線及びこの所定の音線の前後の音線に対して音線の長さと、前記前後の音線との差分とに基づき、前記予想抽出点を算出することを特徴とする。
また、本発明による第2の超音波画像生成プログラムは、被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像処理装置におけるコンピュータに、前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出手順と、前記算出手順により算出された前記体腔表面の予想抽出点と前記体腔表面の実抽出点とを比較する比較手順と、前記比較手順の比較結果に基づき、前記体腔表面の表面抽出点を決定する決定手順と、を実行させることを特徴とする。
本発明の超音波画像生成装置の作動方法及び超音波画像生成プログラムは、得られた超音波エコーデータから着実にノイズを除去し、正確で滑らかな体腔表面の超音波画像を得ることができるという効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1ないし図16は本発明の一実施例に係わり、図1は超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムを備えた超音波診断システムの全体構成図、図2は体腔の表面位置を走査している際の音線を表す模式図、図3は全音線に対して所定の本数をサンプリングして作成した輝度に対する頻度を表すヒストグラム、図4は音線のスキャンラインに対して対象物を生体組織と判定する際の第1の模式図、図5は音線のスキャンラインに対して対象物を生体組織と判定する際の第2の模式図、図6は誤抽出の補正処理を説明するための模式図、図7は基準位置として体腔中心(X,Y)を求める具体例を示す第1の説明図、図8は基準位置として体腔中心(X,Y)を求める具体例を示す第2の説明図、図9は前後の画像を用いて体腔表面の位置を平滑化する処理を説明するための模式図、図10は音線データをラジアル画像に変換し、平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)が、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)に一致するように距離補正処理を行う際の模式図、図11は超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムを示すフローチャート、図12は図11の表面抽出点を決定するためのサブフローチャート、図13は従来得られる第1の超音波画像例、図14は図11のフローチャートにより処理された第1の超音波画像例、図15は従来得られる第2の超音波画像例、図16は図11のフローチャートにより処理された第2の超音波画像例である。
図1に示すように超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムを備えた超音波診断システム1Bは、超音波振動子2aを内蔵した超音波プローブ2Bと、この超音波プローブ2Bで受信した超音波エコー信号を信号処理して超音波画像を生成する装置本体(超音波画像処理装置)3Bと、この装置本体3Bから出力される出力画像信号を入力してリアルタイムの超音波画像を表示するモニタ4とから主に構成されている。
超音波プローブ2Bは、体腔内に挿入可能な細長で可撓性を有する挿入部11と、この挿入部11の基端側が着脱自在に連設される駆動部12とから構成される。挿入部11は、この先端部11aに超音波を送受信する超音波振動子2aが内蔵されている。
超音波振動子2aは、フレキシブルシャフト21の先端に取り付けられている。尚、超音波プローブ2Bは、超音波を透過する音響キャップで先端部11aが覆われている。そして、超音波振動子2aの周囲は、超音波を伝達(伝播)する図示しない超音波伝播媒体で満たされている。また、超音波振動子2aは、図示しない信号線が延出しており、この信号線が駆動部12経由で装置本体3B内の超音波観測部31に接続されている。
そして、超音波プローブ2Bは、駆動部12に内蔵した図示しない第1モータを駆動することで、超音波振動子2aが回動駆動されてラジアル走査するようになっている。更に、超音波プローブ2Bは、駆動部12に内蔵した図示しない第2モータを駆動することで、フレキシブルシャフト21が挿入部11の軸方向(長手方向で例えばZ軸方向とする)に進退動されることで超音波振動子2aが進退動してリニア走査することができる。
即ち、超音波プローブ2Bは、駆動部12の第1モータと第2モータとを同期させて同時に回動駆動させることで、超音波振動子2aがスパイラル状に超音波を送受信して被検体内の3次元領域をヘリカル走査することができるようになっている。そして、装置本体3Bは、Z軸方向の座標位置が少しづつ異なる2次元断層像を多数得ることができ、これらの2次元断層像から超音波画像(3次元画像)を構築することができるようになっている。また、超音波プローブ2Bは、ケーブル12aにより駆動部12が装置本体3Bに接続されている。
装置本体3Bは、超音波振動子2aに対して超音波信号を送受信し、3次元領域の超音波エコーデータを得る超音波観測部31と、この超音波観測部31により得た超音波エコーデータをもとに超音波画像データを得るもので、後述する超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムに基づき超音波画像(3次元画像)を生成するCPUを有する画像処理部33Bとを備えて構成されている。
尚、画像処理部33Bには、後述の図13や図14に示すような画像を対話的に操作可能な画面操作手段であるマウス34が図示しないインターフェースを介して接続されている。このマウス34は、モニタ4の表示画面に表示される画像情報に対してマウスカーソルを用いて画面操作を行うための機能を有するものである。
また、画像処理部33Bは、マウス34による画面操作の操作対象の選択に基づき、該選択された操作対象をマウス34の移動に伴い、相対的に移動させる制御手段の機能を有している。尚、画像処理部33Bには、図示しないインターフェースを介して画像データ等を記録する大容量の外部記憶装置(不図示)が接続されても良い。
そして、画像処理部33Bは、超音波振動子2aを所定のピッチ単位でヘリカル走査して超音波観測部31で得た超音波エコーデータを座標変換し、挿入部11の軸方向(つまりZ軸方向)にほぼ垂直な断面の、例えば、図13の左側下図に示すような2次元断層画像(以下、ラジアル画像と記す)Grを複数生成するようになっている。これら生成されたラジアル画像Grは、例えば、図1で示した胃20内の超音波断層面20Aに相当する。
そして、画像処理部33Bは、所定のピッチ単位で連続して得た複数のラジアル画像Grを、例えば、図13の右側上図に示すような擬似的な超音波画像(3次元画像)Gsを生成するようになっている。尚、図13において、ラジアル画像Grの上側及び超音波画像(3次元画像)Gsの下側に表示される画像は、上記ラジアル画像Grをもとに生成される挿入部11の軸方向(つまりZ軸方向)にほぼ水平な断面の、リニア画像である。
ここで、拍動の影響で臓器が動くと、図13に示したラジアル画像Grは、スキャン開始時と終了時とで関心領域の位置が一定せず、図13に示したリニア画像において、臓器にぎざぎざのような画像ゆれが生じてしまい、明瞭な画像とならなくなってしまう。このため、図13に示したように超音波画像(3次元画像)Gsは、歪んでしまう。
そこで、本実施例では、以下に記載するように拍動の影響を除去するように構成している。
先ず、表面抽出処理について説明する。
表面抽出処理は、超音波伝達媒体や体液等の水と生体組織との識別を行う処理である。ここで、上記ラジアル画像Grは、例えば、数百本の音線と呼ばれる線データで構成され、これら音線のエコー輝度により表されている。図2に示すように各音線をプローブ中心(超音波振動子)から周縁方向に探索し、水から生体組織に変化する部分を探索する。この探索の精度を上げるため、次の処理を用いている。
全音線512又は1024本中、所定の本数をサンプリングし、ヒストグラムを作成する。また、ヒストグラムは、平滑化する。
この平滑化は、例えば、全音線が512本の場合、表1に示すようにエコー輝度の階調により行っている。
Figure 0004445744
ここで、元の階調0(低反射)〜255(強反射)を0(低反射)〜15(強反射)にに分割して平滑化している。
そして、図3に示すようにヒストグラムが得られる。
次に、上記ヒストグラムのピークを判定する。
ピークの判定は、グラフ上各点の微分値(傾き)と絶対値(高さ)とから、判断する。 通常、ヒストグラム上のピークは次の2パターンとなる。
(1)2つのピークが出現する。
2つのピークは、水部分と組織部分である。このため、閾値は、これら2つのピークの中間値とする。
(2)1つのピークが出現する。
コントラストの低い画像の場合、ピークが一つ(組織分)のみ、現れる場合が多い。この場合、ピークと最大輝度との中間値を閾値とする。
ここで、元の階調0〜255における閾値80(平滑化した階調0〜15における閾値は略5)を越えると、水と生体組織との良好な判定ができない場合が多い。そこで、閾値の上限を80とし、それを越えた場合には80に丸めるようにしている。
ここで、単純に閾値以下を水、閾値以上を生体組織と判断すると、体腔内浮遊物を始めとする様々なノイズ源を、生体組織として誤認してしまう虞れが生じる。
上記ノイズを除去する最も一般的な方法は、フレーム相関であるが、極力画像自体の平滑化を避けるために、本実施例では、対象物の厚みを測定して判断するようになっている。
ここで、実際に誤認識されるノイズは、その対象物の厚みが0.2mm以下である。
そこで、ある一定の厚みを設定し、対象物がその設定値以上の場合、生体組織と判定する。設定値が小さいと、誤抽出が増え、大きすぎると生体組織の層構造をノイズと判定してしまう。
本実施例では、図4に示すように対象物の厚みが0.5mm程度である場合、この対象物を生体組織と判定するようになっている。上記方法は、極小さなノイズに対して有効である。
しかしながら、広義の意味でのノイズ、即ち、体腔内の浮遊物など、実際にある程度の厚みを有するノイズには無効である。
そこで、図5に示すように生体組織の層構造の存在を想定して判定する。
その方法は、対象物のある一定の厚みの輝度平均を求め、この求めた輝度平均が閾値以上の場合、生体組織と判定することにしている。
本実施例では、輝度平均を求める対象物の厚みを2mm程度とし、この2mm程度の厚みの輝度平均が閾値以上の場合、生体組織と判定するようになっている。
上記表面抽出処理により体腔表面を抽出しても、誤抽出は完全に排除できない。そのため、誤抽出と思われる点を検出し、補正する必要がある。
本実施例では、対象となる抽出点について、プローブ中心(超音波振動子)からの距離を、その前後の音線の距離と比較し、誤抽出の補正処理を行うようになっている。
具体的には、図6に示すように前後4点について距離の差分を計算し、その傾向から対象点の正当性を評価する。
ここで、音線Nの実際の抽出点をLtとする。
音線Nは、誤抽出により、実際の体腔表面よりも手前の体腔表面を判定している。
そこで、この音線Nの前後4点の音線N−2,N−1,N+1,N+2に基づき、音線Nの予想抽出点Lxを算出する。
Lを音線の長さ,Dを次の音線Nとの差分とした場合、
音線Nの予想抽出点Lxは、
Lx=(L1+L2+Lt+L3+L4)/5+(D12+D2t+Dt3+D34)/4
但し、L1=音線N−2の長さ,L2=音線N−1の長さ,
L3=音線N+1の長さ,L4=音線N+2の長さ,
D12=音線N−2と音線N−1との差分,D2t=音線N−1と音線Nとの差分,
Dt3=音線Nと音線N+1との差分,D34=音線N+1と音線N+2との差分
ここで、上記D12とD34の平均が、プローブ中心(超音波振動子)から体腔表面までの距離の増減傾向となる。
この傾向を平均表面距離に加えた値が、対象点の予想抽出点となる。
誤抽出点は、体腔表面位置より手前もしくは、後ろにある。そこで、予想抽出点Lxと実抽出点Ltとを比較し、実抽出点Ltが上記算出した予想抽出点Lxより3mm以上離れている場合、実抽出点Ltを上記算出した予想抽出点Lxに置き換えることにより、誤抽出を補正するようにしている。尚、上記誤抽出の補正処理は、図示しないが、音線Nの前後6点の音線N−3,N−2,N−1,N+1,N+2,N+3に基づき、音線Nの予想抽出点Lxを算出するようにしても良い。
これにより、本実施例では、得られた超音波エコーデータから着実にノイズを除去し、正確で滑らかな体腔表面の超音波画像を得ることができるようになっている。
次に、上記誤抽出の補正処理で求められた体腔表面から、基準位置として体腔中心を算出する体腔中心算出処理を行う。
本実施例では、抽出された体腔表面を極座標(音線番号と距離)から直交座標に変換し、この直交座標上において時計回りに3、6、9、12時の位置に配置される音線の表面距離(プローブ中心(超音波振動子)から抽出点までの距離)から、体腔中心を求める。具体的には、体腔中心(X,Y)は、
X=(|3時方向の表面抽出点のX座標|+|9時方向の表面抽出点のX座標|)/2
Y=(|12時方向の表面抽出点のY座標|+|6時方向の表面抽出点のY座標|)/2
となる。
ここで、例えば、図7に示すような略円状の体腔表面の場合、この体腔中心(X,Y)は、略円の中心である×印の位置となる。また、図8に示すような略菱形状の体腔表面の場合、この体腔中心(X,Y)は、略菱形の中心である×印の位置となる。尚、図示しないが算出された体腔中心(X,Y)は、生体組織外に存在する場合もある。
上記体腔中心算出処理の後、複数のラジアル画像Grをそれぞれ移動させてこれら画像の位置を調整し、各画像毎に上記体腔中心処理で求めた体腔中心(X,Y)を一致させる(体腔中心を揃える)処理を行う。
次に、前後の画像を用いてこれら画像に挟まれる所定のラジアル画像Grの表面抽出点を(直行座標値に変換済み)Z軸方向(長手方向)に平滑化し、体腔表面の位置を平滑化する処理を行う。
ここで、本実施例では、図9に示すようにラジアル画像Grの第n面と第n−1面との表面抽出点を用いて平滑化(平均化)している。
尚、例えば、平滑化するのに参照するラジアル画像Gr(データ)の枚数は、Z軸方向(長手方向)の2mmの間にある面(0.25ミリピッチの場合、8面であり、0.5mmミリピッチの場合4面)を平均して、体腔表面の表面位置を平滑化している。
これにより、3Dモデル表示(サーフェイス表示)の場合、平滑化された座標値を利用することで、より自然で滑らかな体腔表面の構築が可能となる。
上記平滑化後、平滑化前の体腔表面の表面位置(抽出された体腔表面の位置)と、平滑化した体腔表面の表面位置とが一致するように、平滑化前の体腔表面の表面位置(抽出された体腔表面)と、平滑化した体腔表面の表面位置との差分を算出し、この算出した差分に基づいて所定のラジアル画像Grを伸縮する処理を行う。
本実施例では、図10に示すように音線データをラジアル画像に変換し、平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)が、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)に一致するように距離補正処理を行うようになっている。
距離補正処理は、以下に記載する手順により行う。
先ず、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)と平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)との距離差分を算出する。そして、平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)と、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)との距離Dを算出する。
この距離Dは、第n音線と平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)との交点Rと、第n音線と平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)との交点Qとから求められる。
ここで、プローブ中心(超音波振動子)の原点をOとし、直線OPnとの交点Qを含む平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)の線分をP1P2とすると、交点Q(x,y)は次の式から求めることができる。
(1)前提条件
a1 = Pn.y / Pn.x
b1 = 0
a2 = ( P2.y −P1.y ) / ( P2.x −P1.x )
b2 = ( P1.y −( P2.y −P1.y ) / ( P2.x −P1.x ) × P1.x )
(2)交点Qの座標
Q.x = ( b2 −b1 ) / ( a1 −a2 )
Q.y = a1 × ( b2 −b1 ) / ( a1 −a2 ) + b1
但し、R=Pnとする。
そして、上記交点Qと上記交点Rとからこれら交点QPの差分Dが算出できる。
次に、算出した差分Dに基づいて、所定のラジアル画像Grを伸縮する処理を行う。
ここで、ラジアル画像上の任意の1点P(x,y)を決定する音線データ上の点は、次の式で求まる。
(1)前提条件
T=2π/512×音線番号(N=0〜512)
L=原点Oから体腔表面までの距離,D=差分
(2)Pの座標
P.x=cosT×(L+D)
P.y=sinT×(L+D)
これにより、L(原点Oから体腔表面までの距離)に、上記算出した平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)と、平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)との距離の差分Dを加味することで、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)が平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)に合わせ込む(一致させる)ことができる。即ち、所定のラジアル画像Grを伸縮する処理が可能となる。
そして、距離補正処理されたラジアル画像Grを用いることにより、拍動を軽減したリニア画像が構築されるようになっている。
このように構成されている超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムを図11及び図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、図1で説明したように超音波プローブ2Bは、駆動部12の第1モータと第2モータとを同期させて同時に回動駆動させることで、超音波振動子2aが所定のピッチ単位でヘリカル走査する。
すると、装置本体3Bは、超音波振動子2aで受信した3次元領域の超音波エコー信号が超音波観測部31へ入力される。超音波観測部31は、超音波振動子2aからの3次元領域の超音波エコー信号を受信してこれら超音波エコー信号を座標変換して連続したラジアル画像Grを複数生成する。そして、画像処理部33Bは、超音波観測部31からラジアル画像Grの画像データを順次入力されることで、連続した複数のラジアル画像Grを取得する(ステップS11)。このとき、画像処理部33Bは、図3ないし図5で説明した表面抽出処理により超音波伝達媒体や体液等の水と生体組織との識別を行い、ラジアル画像Grを生成する。
そして、画像処理部33Bは、連続した複数のラジアル画像Grに対して各画像上の基準位置を求める基準位置設定ステップとして以下のステップS12及びS13の処理を行う。
先ず、画像処理部33Bは、連続した複数のラジアル画像Grに対して各画像の表面座標を抽出し、表面抽出点を決定する(ステップS12)。
ここで、画像処理部33Bは、図12に示すフローチャートに基づき、図6で説明した誤抽出の補正処理により表面抽出点を決定する。
先ず、対象とする音線Nの前後の2本ずつ(N−2,N−1,N+1,N+2)を指定する(ステップS21)。
次に、算出ステップとして音線N−2と音線N−1との差分D12及び音線N−1と音線Nとの差分D2tを算出すると共に、音線N+1と音線N+2との差分D34及び音線Nと音線N+1との差分Dt3を算出し(ステップS22)、対象とする音線Nの長さ(予想抽出点)Lxを算出する(ステップS23)。
ここで、比較ステップとして実抽出点Ltが上記算出した予想抽出点Lxより3mm以上離れているか否かを判定し、離れていると判断した場合、決定ステップとして算出した予想抽出点Lxの値を対象とする音線Nの長さとして置き換えて表面抽出点を決定する(ステップS24)。
そして、上記補正処理を全音線512本又は1024本において、実行する。
これにより、画像処理部33Bは、連続した複数のラジアル画像Grに対して各画像の表面座標を抽出できる。
次に、画像処理部33Bは、連続した複数のラジアル画像Grに対して上記誤抽出の補正処理で求められた体腔表面座標から、各画像上の基準位置として体腔中心を求める(ステップS13)。
ここで、画像処理部33Bは、図7及び図8で説明した体腔中心算出処理により基準位置を決定する。
ここで、画像処理部33Bは、上述したように極座標(音線番号と距離)を直交座標に変換した際に、時計回りに3、6、9、12時の位置に配置される音線の表面距離(プローブ中心(超音波振動子)から抽出点までの距離)から、体腔中心を算出する。
従って、上記体腔中心算出処理は、3、6、9、12時の4点の位置のみで体腔中心を算出しているので、表面抽出点を結んだ多角形を生成して基準位置として重心を求めるよりも、計算する工程がはるかに少なくて済むので、算出時間が短く基準位置を速く算出できる。
これにより、本実施例では、基準位置を速く算出でき、スピードアップが図れる。
そして、画像処理部33Bは、上記体腔中心算出処理の後、複数のラジアル画像Grをそれぞれ移動させてこれら画像の位置を調整し、各画像毎に上記処理で求めた体腔中心(X,Y)を一致させる(体腔中心を揃える)処理を行う。
次に、画像処理部33Bは、図9で説明したように前後の画像を用いてこれら画像に挟まれる所定のラジアル画像Grの表面抽出点をZ軸方向(長手方向)に平滑化し、体腔表面の位置を平滑化する処理を行う(ステップS15)。
上記平滑化後、画像処理部33Bは、平滑化前の体腔表面の表面位置(抽出された体腔表面の位置)と、平滑化した体腔表面の表面位置とが一致するように、平滑化前の体腔表面の表面位置(抽出された体腔表面)と、平滑化した体腔表面の表面位置との差分を算出し、この算出した差分に基づいて所定のラジアル画像Grを伸縮する処理を行う。
ここで、画像処理部33Bは、図10で説明した手順により、平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)が、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)に一致するように距離補正処理を行って、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)が平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)に合わせ込む(一致させる)。
これにより、本実施例では、上記距離補正処理されたラジアル画像Grを用いることにより、拍動を軽減したリニア画像が構築できる。
ここで、図14及び図16に示すラジアル画像Gr及びリニア画像は、図13及び図15に示すラジアル画像Gr及びリニア画像に比べて拍動の影響である画像のゆらぎ(体腔表面のぎざぎざ部分)がなくなり、体腔表面が鮮明である。
そして、画像処理部33Bは、補正ステップ(S14〜S17)で補正した連続的なラジアル画像Grを得、これら連続したラジアル画像Grに基づいて超音波画像(3次元画像)Gsを生成する超音波画像生成ステップ(ステップS18)を行う。
そして、画像処理部33Bは、図14及び図16に示す超音波画像(3次元画像)Gsは、図13及び図15に示す超音波画像(3次元画像)Gsに比べてに体腔表面が滑らかな超音波画像(3次元画像)Gsを生成することが可能となる。
尚、図13及び図15は従来得られる超音波画像例であり、図14及び図16は図11のフローチャートにより処理された超音波画像例である。また、図15及び図16は、図13及び図14に対して多重エコー部分を削除した画像である。
尚、本実施例の超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムは、検査中だけでなく、超音波検査後に保存したデータを再生して行う際(今後の治療方針などのための画像レビューや、体積計測時)にも活用できることは言うまでもない。
この結果、本実施例の超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムは、得られた超音波エコーデータから着実にノイズを除去し、正確で滑らかな体腔表面の超音波画像を得ることができる。
また、本発明は、以上述べた実施例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
[付記]
(付記項1)
被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成方法において、
前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出ステップを有することを特徴とする超音波画像生成方法。
(付記項2)
前記算出ステップにより算出された前記体腔表面の予想抽出点と前記体腔表面の実抽出点とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップの比較結果に基づき、前記体腔表面の表面抽出点を決定する決定ステップと、
を更に有することを特徴とする付記項1に記載の超音波画像生成方法。
(付記項3)
前記算出ステップは、前記所定の音線及びこの所定の音線の前後の音線に対して音線の長さと、前記前後の音線との差分とに基づき、前記予想抽出点を算出することを特徴とする付記項1に記載の超音波画像生成方法。
(付記項4)
被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像処理装置におけるコンピュータに、
前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出手順を実行させることを特徴とする超音波画像生成プログラム。
(付記項5)
前記算出手順により算出された前記体腔表面の予想抽出点と前記体腔表面の実抽出点とを比較する比較手順と、
前記比較手順の比較結果に基づき、前記体腔表面の表面抽出点を決定する決定手順と、
を更に実行させることを特徴とする付記項4に記載の超音波画像生成プログラム。
(付記項6)
前記算出手順は、前記所定の音線及びこの所定の音線の前後の音線に対して音線の長さと、前記前後の音線との差分とに基づき、前記予想抽出点を算出することを特徴とする付記項4に記載の超音波画像生成プログラム。
超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムを備えた超音波診断システムの全体構成図である。 体腔の表面位置を走査している際の音線を表す模式図である。 全音線に対して所定の本数をサンプリングして作成した輝度に対する頻度を表すヒストグラムである。 音線のスキャンラインに対して対象物を生体組織と判定する際の第1の模式図である。 音線のスキャンラインに対して対象物を生体組織と判定する際の第2の模式図である。 誤抽出の補正処理を説明するための模式図である。 基準位置として体腔中心(X,Y)を求める具体例を示す第1の説明図である。 基準位置として体腔中心(X,Y)を求める具体例を示す第2の説明図である。 前後の画像を用いて体腔表面の位置を平滑化する処理を説明するための模式図である。 音線データをラジアル画像に変換し、平滑化前の体腔表面の表面位置(平滑化前の表面座標)が、平滑化した体腔表面の表面位置(平滑化後の表面座標)に一致するように距離補正処理を行う際の模式図である。 超音波画像生成方法及び超音波画像生成プログラムを示すフローチャートである。 図11の表面抽出点を決定するためのサブフローチャートである。 従来得られる第1の超音波画像例である。 図11のフローチャートにより処理された第1の超音波画像例である。 従来得られる第2の超音波画像例である。 図11のフローチャートにより処理された第2の超音波画像例である。
符号の説明
1B 超音波診断装置
2B 超音波プローブ
2a 超音波振動子
3B 装置本体(超音波画像処理装置)
11 挿入部
12 駆動部
31 超音波観測部
33B 画像処理部
代理人 弁理士 伊藤 進

Claims (4)

  1. 被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成装置の作動方法において、
    前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出ステップを有し、
    前記算出ステップは、前記所定の音線及びこの所定の音線の前後の音線に対して音線の長さと、前記前後の音線との差分とに基づき、前記予想抽出点を算出することを特徴とする超音波画像生成装置の作動方法。
  2. 被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成装置の作動方法において、
    前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出ステップと、
    前記算出ステップにより算出された前記体腔表面の予想抽出点と前記体腔表面の実抽出点とを比較する比較ステップと、
    前記比較ステップの比較結果に基づき、前記体腔表面の表面抽出点を決定する決定ステップと、
    を有することを特徴とする超音波画像生成装置の作動方法。
  3. 被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像処理装置におけるコンピュータに、
    前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出手順を実行させ、
    前記算出手順は、前記所定の音線及びこの所定の音線の前後の音線に対して音線の長さと、前記前後の音線との差分とに基づき、前記予想抽出点を算出することを特徴とする超音波画像生成プログラム。
  4. 被検体に対して超音波を送受信して得られた超音波エコーデータに基づき、超音波画像を生成する超音波画像処理装置におけるコンピュータに、
    前記超音波エコーデータの所定の音線を挟む前後の音線を用いて体腔表面の実抽出点から予想抽出点を算出する算出手順と、
    前記算出手順により算出された前記体腔表面の予想抽出点と前記体腔表面の実抽出点とを比較する比較手順と、
    前記比較手順の比較結果に基づき、前記体腔表面の表面抽出点を決定する決定手順と、
    を実行させることを特徴とする超音波画像生成プログラム。
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