JP3905419B2 - 超音波画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査対象物に超音波を送受して超音波画像を得るための画像処理を行う超音波画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、超音波診断装置は、医療用分野及び工業用分野において、広く用いられる。超音波診断装置は、超音波を検査対象物に送受信することにより、検査対象物内を非侵襲的に診断するものである。
【0003】
超音波診断装置は、超音波の走査により得られる画像が2次元画像となる。このため、超音波診断装置は、ユーザに対してより診断し易い画像を提供するために、2次元画像から3次元画像を構築する超音波画像処理装置と組み合わせて使用される場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の超音波画像処理装置は、超音波プローブ内外で発生する多重エコー部分が2次元画像上に現われ、更にこの2次元画像で構築される3次元画像(立体画像)上に表示されて観察視野の妨げになる場合がある。
【0005】
上記従来の超音波画像処理装置は、3次元画像を構築する複数の2次元画像に対して、ユーザが1枚々マウス等で上記多重エコー部分をドラッグして指定し、この多重エコー部分を削除するようにしていた。このため、上記従来の超音波画像処理装置は、上記多重エコー部分の削除を行う操作が煩雑であり、時間が掛かっていた。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、簡単な操作で多重エコー部分を削除可能な超音波画像処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の超音波画像処理装置は、超音波を送受波する超音波振動子において得られた超音波エコー信号を用いて検査対象物の超音波画像を生成する超音波画像処理装置において、前記超音波エコー信号の分布状態を検出する分布状態検出手段と、前記分布状態検出手段において検出した前記超音波エコー信号の分布状態に基づいて、前記超音波振動子の超音波放射位置である音線中心からの距離であって所定の音線の輝度値が所定の条件を満たす場合の距離を決定すると共に、当該距離以内を多重エコー部分を削除するためのマスク範囲として設定するマスク範囲設定手段と、を具備し、前記所定の音線の輝度値が所定の条件を満たす場合の距離とは、当該所定の音線が輝度値が極小値をとる際の距離であり、前記マスク範囲設定手段は、当該極小値の距離以内を多重エコー部分を削除するためのマスク範囲として設定することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図13は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は第1の実施の形態を備えた超音波診断装置の全体構成を示し、図2は図1の超音波診断装置における3D表示処理のフローチャートを示し、図3は2次元画像と3次元画像を得るための超音波走査の様子を示し、図4は図3の動作からラジアル画像等が得られる様子を示し、図5は多重エコーが除去される前後のラジアル画像及び垂直リニア画像の画像例を示し、図5(A)は多重エコーが表示されているラジアル画像及び垂直リニア画像の画像例を示し、図5(B)は多重エコーが除去された後のラジアル画像及び垂直リニア画像の画像例を示し、図6はラジアル画像上のハンドルをドラッグして画像を回転させて表示した画像例を示し、図7は4つの表示エリアに2次元画像と立体画像を同時に表示した表示例を示し、図8はマウスの操作により表示角度を変更して立体画像を表示する動作説明図を示し、図9は多重エコーマスク処理のフローチャートを示し、図10は図5(A)に示すラジアル画像の1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図11はラジアル画像を構成する全ての音線データに対して、音線中心から半径rの円をマスク範囲として設定する際の概略図を示し、図12は図9の変形例を示す多重エコーマスク処理のフローチャートを示し、図13はラジアル画像を構成する全ての音線データに対して、音線中心からr〔n〕で形成される多角形をマスク範囲として設定する際の概略図を示す。
【0009】
図1に示すように本発明の第1の実施の形態を備えた超音波診断装置1は、超音波の送受波を行う超音波プローブ2と、この超音波プローブ2と接続され、超音波プローブ2により得られるエコー信号に対して信号処理して超音波断層像の表示を行う超音波観測装置3と、この超音波観測装置3で得られたエコーデータを基に各種画像処理を行う超音波画像処理装置本体(以下、画像処理装置本体と略記))4と、この画像処理装置本体4と接続され、超音波断層像及び立体画像を表示するモニタ5とを有している。
【0010】
超音波プローブ2は、細長のプローブ挿入部6を有して構成されている。プローブ挿入部6は、この先端側に超音波を送受波する超音波振動子7が内蔵されている。この超音波振動子7は、プローブ挿入部6内に挿通されたフレキシブルシャフト8の先端に取り付けられている。また、超音波プローブ2は、プローブ挿入部6の後端の把持部内に駆動部9が内蔵されている。超音波プローブ2は、駆動部9を構成する図示しない第1モータを回転することで、超音波振動子7が回転駆動され、この超音波振動子7からの超音波を放射状に順次出射するようになっている。更に、超音波プローブ2は、駆動部9を構成する図示しない第2モータを回転することで、フレキシブルシャフト8がプローブ挿入部6の軸方向(長手方向で例えばZ軸方向とする)に進退動され、従って超音波振動子7により出射される超音波をZ軸方向にリニア走査することができる。
【0011】
また、画像処理装置本体4は、超音波観測装置3とケーブル11により接続されている。画像処理装置本体4は、ケーブル11と接続されるネットワークインタフェース(I/Fと略記)12と、断層像(2次元画像)及び立体画像(3次元画像)を生成する画像処理や、画像を回転して表示する等の画像処理を行うCPU13と、CPU13により画像処理のワークエリアとして使用されたり、画像処理に必要なデータの一時格納などに利用されるメモリ14と、CPU13が行う画像処理のプログラムデータや画像データが記録されるハードディスク装置(HDDと略記)15と、モニタ5に表示される画像データが一時格納されるフレームメモリ16と、画像データ等を記録する大容量の記録手段としてのDVD−RAM)17及び光磁気ディスク装置(MODと略記)18とのI/FとしてのスカジI/S(SCSII/Fと略記)19と、モニタ5に表示される立体画像の視野角を変えて表示させる指示入力を行うポインティングデバイスとしてのマウス21及び患者データの入力等を行うキーボード22とのI/Fとしての入力デバイスI/F23とを内蔵して構成されている。これらネットワークI/F12、CPU13、メモリ14、HDD15、フレームメモリ16、SCSII/F18、入力デバイスI/F21は、バス24により接続され、データを転送可能になっている。尚、DVD−RAM17及びMOD18は、USBやイーサネット(登録商標)を介して接続しても良い。
また、画像処理装置本体4と、モニタ5と、DVD−RAM17と、MOD18と、マウス21及びキーボード22とは、画像処理装置を構成される。
尚、本実施の形態では、HDD15に格納されるプログラムは、例えばMOD18に着脱される光磁気ディスク(MOと略記)25に格納された状態で販売されるようになっている。このMO25は、MOD18に挿入され、格納されたプログラムをインストールする作業により、HDD15にそのプログラムが実行形式で格納されるようになる。
【0012】
また、HDD15に格納されるプログラムは、MO25の代わりに、CD−ROM等の他の記録媒体にプログラムを格納して販売しても良い。これらプログラムをインストールした後、CPU13は、HDD15からプログラムを読み出してそのプログラムに沿った処理を行うようになっている。
【0013】
上述のように駆動部9は、第1モータと第2モータとを設けてある。従って、超音波診断装置1は、図2のフローチャートに示すように第1モータと第2モータとを同期させて同時に回転駆動させることで、超音波プローブ2が超音波をスパイラル状に出射して3次元領域を走査(ヘリカルスキャン)し、超音波観測装置3がZ軸方向の座標位置が少しづつ異なる断層像を多数得ることができ、これらの断層像から画像処理装置本体4のCPU13が立体画像を構築することができる。
【0014】
図2に示すように超音波診断装置1は、先ず、ヘリカルデータを取り込む(ステップS1)。図3はその概略の動作を示す。超音波プローブ2は、プローブ挿入部6内の(フレキシブルシャフト8の先端の)超音波振動子7をZ方向に移動させながら回転駆動して超音波を送受波することで、プローブ挿入部6の軸方向(つまりZ軸方向)にほぼ垂直な断面の2次元超音波画像(以下、ラジアル画像と記す)Grを得る。
【0015】
超音波振動子7は、Z方向にPaからPbの位置まで、所定のピッチ単位でリニア状に移動される。その結果、画像処理装置本体4は、超音波観測装置3を経てHDD15に番号N1からNn番目までの、所定のピッチ毎のラジアル画像Grが格納される。
得られたラジアル画像Grは、メモリ14に転送され、そのメモリ空間に図4の如く格納される。これら所定ピッチで連続して得た複数枚のラジアル画像Grは、擬似的な立体画像Gsを生成するのに用いられる。
【0016】
ユーザは、View切替ボタン(図7の符号Bb)のDPR(Dual Plane Reconstruction :2画面構築)ボタンを操作して、ラジアル画像Grと、このラジアル画像を縦方向に割った垂直リニア画像Gvlとから構成されるDPR画像を選択表示させる(ステップS2)。
すると、メモリ14は、このメモリ空間からラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlの形式でデータが読み出される。そして、読み出されたデータは、フレームメモリ16に転送されてモニタ5に出力されることで、図5(a)に示すようにラジアル画像Gr及びリニア画像Gvlがモニタ5に表示されるようになっている。
【0017】
ここで、図5(A)に示すラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlは、超音波プローブ2の内外で多重反射される多重エコーが表示されている。そこで、これらラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlは、図5(B)に示すように多重エコー部分を除去する操作が行われる(ステップS3)。
本実施の形態では、後述するように簡単な操作でラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlに表示される多重エコー部分を削除可能に構成している。
【0018】
その後、図5(B)に示すラジアル画像Grは、その画像上のハンドルをドラッグして、45°程度イメージローテーションする操作が行われ、図6に示すように回転される(ステップS4)。上記多重エコー除去及びイメージローテーションの操作は、立体画像Gsを生成するのに必要な一連の画像データセットの画像に適用される。
【0019】
従って、画像処理装置本体4は、一連の画像から多重エコーが除去されると共に、イメージローテーションされた画像が生成され、モニタ5に表示されている画像においても多重エコーが除去されてイメージローテーションされた画像が表示されるようになっている。
次に、ユーザは、View切替ボタン(図7の符号Bb)の立体画像(図面では3D画像と略記)ボタンを操作して、立体画像Gsを選択表示させる(ステップS5)。
すると、画像処理装置本体4は、例えば図7に示すようにモニタ5の表示部に4つの画像表示エリア(具体的には、ラジアル画像表示エリア、垂直リニア画像表示エリア、水平リニア画像表示エリア、立体画像表示エリア)にそれぞれ画像ラジアル画像Gr、垂直リニア画像Gvl、(右側から見た)水平リニア画像Ghl、立体画像Gsとを表示させる(ステップS6)。
【0020】
この場合、画像処理装置本体4は、ラジアル画像Gr上に設定したカットラインY1、X1をマウスでドラッグして移動されると、それに対応して垂直リニア画像Gvlと、水平リニア画像Ghlとを更新してモニタ5のそれぞれのエリアに表示するようになっている。つまり、モニタ5は、ラジアル画像Grに表示されたカットラインY1の位置に対応した垂直リニア画像Gvlが垂直リニア画像表示エリアに表示され、カットラインX1の位置に対応した水平リニア画像Ghlが水平リニア画像表示エリアに表示される。
【0021】
また、立体画像表示エリアは、カットラインY1、X1に対応した切断面M1,M2で立体画像Gsが表示される。
ここで、画像処理装置本体4は、垂直リニア画像Gvl上で、或いは水平リニア画像Ghl上で、カットラインZ1をドラッグして移動されると、ラジアル画像Gr及び立体画像Gsの手前側のラジアル画像部分を更新し、ラジアル画像Grをラジアル画像表示エリアに表示すると共に、立体画像Gsを立体画像表示エリアに表示させる。
【0022】
一方、画像処理装置本体4は、垂直リニア画像Gvl上で、或いは水平リニア画像Ghl上で、カットラインZ2をドラッグして移動されると、立体画像Gsの奥側のラジアル画像部分を更新し、ラジアル画像Grをラジアル画像表示エリアに表示すると共に、立体画像Gsを立体画像表示エリアに表示させる。
【0023】
このように処理装置本体4は、カットラインY1,X1や切断面M1、M2は、ユーザの操作で位置を変更することが可能であり、変更された位置に対応したラジアル画像Gr、リニア画像Gvl、Ghl、立体画像Gsが表示される。
尚、選択されている画像、図7の場合、ラジアル画像の縮小画像(サムネイル画像)は、右上の操作ウィンドウに表示されるようになっている。また、立体画像Gsは、立体の頂点を視野角変更の指示手段としてのマウス21でドラッグすることにより、画像表示の視野角を変更して表示できるようにしている。
【0024】
図7の立体画像Gsは、立体画像を構成する3つの頂点位置のいずれかにユーザがマウスカーソルを近づけると、図8に示すように丸印で表されるハンドルが選択されて自動的に表示される。また、図8に示す立体画像Gsは、選択された場合、例えば左上には表示操作ボタンBが表示される。
【0025】
そして、ユーザは、マウス21にてマウスカーソルをハンドルに重ねる。すると、マウスカーソルが重なったハンドルは、|から●等に選択された選択状態に変化する。そして、ユーザは、画像を回転させるためにマウス21を左クリックしてドラッグし、ハンドルを回転させる。
すると、立体画像Gsは、このハンドルで回転される操作量に応じて、逐次回転するようになっている。尚、立体画像Gsは、表示操作ボタンBのいずれかのステップボタンをマウス21によりクリックして回転させることもできる。
【0026】
このように画像処理装置本体4は、マウス21の操作で簡単に立体画像Gsを所望とする方向に回転させることができる。
上述した処理は、ユーザの入力指示に従って、画像処理装置本体4のCPU13が行っているものである。
【0027】
また、CPU13は、判別手段及びマスク範囲設定手段とを兼ね、超音波エコー信号の分布状態を判別すると共に、この判別結果に基づき、超音波画像上に表示される多重エコー部分を削除するためのマスク範囲を設定するように構成されている。この場合の作用を図9のフローチャートを参照して説明する。
図9は、多重エコーマスク処理のフローチャートを示している。
【0028】
先ず、最初のステップS11で、CPU13は、平滑化の処理を行う。このステップS11では、CPU13は、メモリ14から読み出されたラジアル画像Grを構成するエコーデータに対し、ノイズを低減するために公知の方法で平滑化する処理を行う。
次に、平滑化されたエコーデータに対し、ステップS12では、CPU13は、1音線データを取り出す処理を行う。
【0029】
ここで、ラジアル画像Grは、例えば、数百本の音線と呼ばれる線データで構成され、これら音線のエコー輝度により表される(図11参照)。
上述した図5(A)に示すラジアル画像Grは、例えば、図10に示すように1音線データでのエコー輝度分布で見ると、音線中心から所定距離(r)内に多重エコー部分が現れる。
【0030】
そこで、本実施の形態では、CPU13は、超音波振動子7の超音波放射位置である音線中心から1音線の輝度値が閾値未満の距離(r)以内を、多重エコー部分を削除するためのマスク範囲として設定するように構成している。
即ち、ステップS13では、CPU13は、取り出した1音線データの音線中心から輝度値が閾値(スレショルド値)未満の距離(r)を探す処理を行う。
【0031】
そして、ステップS14では、CPU13は、探し出した距離(r)を決定する。次に、ステップS15では、CPU13は、決定した距離(r)を用いて、図11に示すようにラジアル画像Grを構成する全ての音線データに対して、音線中心から半径rの円をマスク範囲として設定する。
【0032】
これにより、ステップS16では、CPU13は、設定したマスク範囲内の多重エコー部分を黒で塗りつぶす処理を行い削除することができる。
そして、ステップS17では、CPU13は、立体画像Gsを生成するのに必要なラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlを含む一連の画像データセットの全てに上記処理を適用する。
【0033】
これにより、本実施の形態の画像処理装置本体4は、簡単な操作で自動的に多重エコー部分を削除することが可能である。
【0034】
尚、上記図9に示すフローチャートの処理は、例えば、ユーザがView切替ボタンのDPRボタンを操作してDPR画像を選択表示させた際に、自動的に行われるようにしても良いし、また、メモリ14にラジアル画像Grのデータを転送される際に、自動的に行われるようにしても良い。
【0035】
また、上記図9に示すフローチャートの処理は、取り出した1音線データの音線中心から輝度値が閾値(スレショルド値)未満の距離(r)を探す処理を行うように構成しているが、音線中心から輝度値が曲線上で谷(極小点)となる距離(r)を探す処理を行うように構成しても良い。
【0036】
また、多重エコーマスク処理は、図12のフローチャートに示すように構成しても良い。
先ず、最初のステップS11’では、CPU13は、図9のフローチャートと同様に平滑化の処理を行う。
次に、ステップS21では、CPU13は、第1番目の音線としてパラメータnに1を代入し、ステップS22では第n〔=1〕番目の音線データを取り出す。次に、ステップS23では、CPU13は、取り出した第n〔=1〕番目の音線データの音線中心から輝度値が閾値(スレショルド値)未満の距離(r〔n=1〕)を探す処理を行う。そして、ステップS24では、CPU13は、探し出した距離(r〔n=1〕)を決定する。
【0037】
次に、ステップS25では、CPU13は、パラメータnをn+1に置き換え、ステップS26では、n>Nを比較することで、上記処理(S22〜S26)を繰り返し、全ての音線データNに対して距離(r〔n〕)を決定する。そして、ステップS25では、CPU13は、図13に示すように全ての音線データに対して、音線中心からr〔n〕で形成される多角形を生成し、これをマスク範囲として設定する。
【0038】
これにより、ステップS16’では、CPU13は、設定したマスク範囲内の多重エコー部分を黒で塗りつぶす処理を行い削除することができる。
そして、ステップS17’では、CPU13は、立体画像Gsを生成するのに必要なラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlを含む一連の画像データセットの全てに上記処理を適用する。
【0039】
これにより、本変形例の画像処理装置本体4は、上記第1の実施の形態と同様な効果を得ることに加え、更に、マスク範囲を詳細に設定することが可能であり、多重エコー部分の取りこぼしがなくなる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図14ないし図20は本発明の第2の実施の形態に係り、図14は第2の実施の形態の多重エコーマスク処理のフローチャートを示し、図15は多重エコー部分が生体壁から離れている場合の、1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図16は多重エコー部分が生体壁に近接している場合のラジアル画像の画像例を示し、図17は図16に示すラジアル画像の1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図18は図16の状態からトレース範囲を補正してマスク範囲を設定表示した際のラジアル画像の画像例を示し、図19は図14の変形例を示す多重エコーマスク処理のフローチャートを示し、図20は他の画像データセットのフレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図20(A)は、第1フレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図20(B)は、第2フレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図20(C)は、第3フレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示す。
【0041】
上記第1の実施の形態は、多重エコー部分が生体壁から離れている場合において、多重エコー部分を削除するためのマスク範囲に設定するように構成しているが、本第2の実施の形態は、多重エコー部分が生体壁に近接している場合において、多重エコー部分を削除するためのマスク範囲に設定するように構成する。それ以外の構成は、上記第1の実施の形態と同様なので説明を省略し、同じ構成には同じ符号を付して説明する。
【0042】
即ち、本発明の第2の実施の形態の画像処理装置本体は、図14に示すフローチャートに従って多重エコーマスク処理を行うように構成されている。
図14に示すように先ず、最初のステップS11’では、CPU13は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に平滑化の処理を行う。
【0043】
そして、ステップS31では、ラジアル画像Grに対して、ユーザがマウス等を用いてマスク範囲をトレースする。このとき、ユーザは、マウスをドラッグして多重エコー部分を囲むようにマウスカーソルでトレースし、ドラッグを終了してトレースを確定させる。
【0044】
ここで、多重エコー部分が生体壁から離れている場合、図15に示すように1音線データでのエコー輝度分布で見ると、CPU13は、トレース範囲をマスク範囲に設定しても良い。
しかしながら、図16に示すようにラジアル画像Grは、多重エコー部分が生体壁に近接している場合がある。この場合、上記処理は、設定したマスク範囲から多重エコー部分を取りこぼしてしまい、多重エコー部分を残してしまう。
【0045】
図16に示すラジアル画像Grは、1音線データで見ると、例えば、図17に示すように表される。ここで、多重エコー部分と生体壁との境界は、音線中心から輝度値が曲線上で谷(極小点)となる位置である。
【0046】
そこで、本実施の形態では、CPU13は、音線データの音線中心から輝度値が曲線上で谷(極小点)となる距離を決定することで、トレース近傍において多重エコー部分と生体壁との境界を抽出し、トレースしたマスク範囲を補正するように構成している。
【0047】
ステップS32では、ユーザがモニタ5に表示される図示しない補正ボタンをマウスでクリックして操作し、以降のステップでCPU13が自動的に上記補正処理を行う。
【0048】
ステップS33で、CPU13は、第1番目の音線としてパラメータnに1を代入し、ステップS34では第n〔=1〕番目の音線データを取り出す。
次に、ステップS35では、CPU13は、取り出した第n〔=1〕番目の音線データの音線中心から輝度値が曲線上で谷(極小点)となる距離を探し、トレース近傍において多重エコー部分と生体壁との境界を抽出する処理を行う。
【0049】
そして、ステップS36では、CPU13は、第n〔=1〕番目の音線データにおいて、抽出した境界位置でトレース範囲を補正する。
次に、ステップS37では、CPU13は、パラメータnをn+1に置き換え、ステップS38では、n>Nを比較することで、上記処理(S34〜S38)を繰り返し、全ての音線データNに対してトレース範囲を補正する。
【0050】
そして、ステップS39では、CPU13は、図18に示すように全ての音線データに対して、トレース範囲を補正したマスク範囲を設定する。
これにより、ステップS16’では、CPU13は、設定したマスク範囲内の多重エコー部分を黒で塗りつぶす処理を行い削除することができる。
【0051】
そして、ステップS17’では、CPU13は、立体画像Gsを生成するのに必要なラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlを含む一連の画像データセットの全てに上記処理を適用する。
【0052】
これにより、本第2の実施の形態の画像処理装置本体4は、上記第1の実施の形態と同様な効果を得ることに加え、多重エコー部分が生体壁に近接している場合もマスク範囲を詳細に設定することが可能であり、多重エコー部分の取りこぼしがなくなる。
【0053】
また、多重エコーマスク処理は、図19のフローチャートに示すように構成しても良い。
図19に示す多重エコーマスク処理は、ステップS35’の取り出した第n〔=1〕番目の音線データによる、トレース近傍において多重エコー部分と生体壁との境界を抽出する処理を行うところまでは上記第2の実施の形態と同様である。
【0054】
そして、ステップS41では、CPU13は、他の(画像データセットの)フレームの同じ第n〔=1〕番目の音線においてもステップS35’と同様に、トレース近傍において多重エコー部分と生体壁との境界を抽出する処理を行う。
【0055】
ここで、ラジアル画像Grは、他の(画像データセットの)フレームを1音線データで見ると、例えば、図20に示すように表される。
図20(A)は、第1フレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図20(B)は、第2フレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示し、図20(C)は、第3フレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示している。
【0056】
本変形例は、これら(立体画像Gsを生成するのに必要なラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlを含む一連の画像データセット)の全てのフレームにおいて、CPU13は、ステップS42で多重エコー部分と生体壁との境界の平均を算出し、この値を第n〔=1〕番目の音線データの補正値とする。
【0057】
次に、ステップS42では、CPU13は、パラメータnをn+1に置き換え、ステップS43では、n>Nを比較することで、上記処理(S34’〜S43)を繰り返し、全ての音線データNに対してトレース範囲を補正する。
そして、ステップS4では、CPU13は、全ての音線データに対して、トレース範囲を補正したマスク範囲を設定する。
【0058】
これにより、ステップS16’では、CPU13は、設定したマスク範囲内の多重エコー部分を黒で塗りつぶす処理を行い削除することができる。
そして、ステップS17’では、CPU13は、立体画像Gsを生成するのに必要なラジアル画像Gr及び垂直リニア画像Gvlを含む一連の画像データセットの全てに上記処理を適用する。
【0059】
これにより、本変形例の画像処理装置本体4は、上記第2の実施の形態と同様な効果を得ることに加え、多重エコー部分と生体壁との境界の平均を取っているので、マスク範囲の設定が一度のトレースで済み、より高速化が可能である。
【0060】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0061】
[付記]
(付記項1) 超音波を送受波し、得られた超音波エコー信号を用いて検査対象物の超音波画像を表示する超音波画像処理装置において、
前記超音波エコー信号の分布状態を判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づき、前記超音波画像上に表示される多重エコー部分を削除するためのマスク範囲を設定するマスク範囲設定手段と、
を設けたことを特徴とする超音波画像処理装置。
【0062】
(付記項2) 前記超音波画像上で前記マスク範囲をトレースするトレース手段を有し、
前記マスク範囲設定手段は、前記トレース手段のトレース近傍で前記多重エコー部分と前記検査対象物との境界を抽出する境界抽出手段と、この境界抽出手段で抽出した境界にて前記トレース手段でトレースした前記マスク範囲を補正する補正手段と、を具備したことを特徴とする付記項1に記載の超音波画像処理装置。
【0063】
(付記項3) 前記判別手段は、前記超音波エコー信号の音線中心から輝度値が所定値以下となる所定範囲を判別することを特徴とする付記項1に記載の超音波画像処理装置。
【0064】
(付記項4) 前記判別手段は、前記超音波エコー信号の音線中心から輝度値が極小点となる所定範囲を判別することを特徴とする付記項1に記載の超音波画像処理装置。
【0065】
(付記項5) 前記境界抽出手段は、前記超音波エコー信号の音線中心から輝度値が極小点となる距離を決定することで、前記トレース手段のトレース近傍で多重エコー部分と検査対象物との境界を抽出することを特徴とする付記項2に記載の超音波画像処理装置。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡単な操作で多重エコー部分を削除可能な超音波画像処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態を備えた超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】図1の超音波診断装置における3D表示処理のフローチャート図。
【図3】2次元画像と3次元画像を得るための超音波走査の様子を示す説明図。
【図4】図2の動作からラジアル画像等が得られる様子を示す図。
【図5】多重エコーが除去される前後の画像例を示す図。
【図6】ラジアル画像上のハンドルをドラッグして画像を回転させて表示した画像例を示す図。
【図7】4つの表示エリアに2次元画像と立体画像を同時に表示した表示例を示す図。
【図8】マウスの操作により表示角度を変更して表示する処理を示す動作説明図。
【図9】多重エコーマスク処理のフローチャート図。
【図10】図5(A)に示すラジアル画像の1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示す図。
【図11】ラジアル画像を構成する全ての音線データに対して、音線中心から半径rの円をマスク範囲として設定する際の概略図。
【図12】図9の変形例を示す多重エコーマスク処理のフローチャート図。
【図13】ラジアル画像を構成する全ての音線データに対して、音線中心からr〔n〕で形成される多角形をマスク範囲として設定する際の概略図。
【図14】第2の実施の形態の多重エコーマスク処理のフローチャート図。
【図15】多重エコー部分が生体壁から離れている場合の、1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示す図。
【図16】多重エコー部分が生体壁に近接している場合のラジアル画像の画像例を示す図。
【図17】図16に示すラジアル画像の1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示す図。
【図18】図16の状態からトレース範囲を補正してマスク範囲を設定表示した際のラジアル画像の画像例を示す図。
【図19】図14の変形例を示す多重エコーマスク処理のフローチャート図。
【図20】他の画像データセットのフレームの1音線データにおける、音線中心からの距離に対するエコー輝度分布を表すグラフを示す図。
【符号の説明】
1…超音波診断装置
2…超音波プローブ
3…超音波観測装置
4…画像処理装置本体
5…モニタ
6…プローブ挿入部
7…超音波振動子
8…フレキシブルシャフト
9…駆動部
13…CPU
14…メモリ
15…HDD
16…フレームメモリ
17…DVD−RAM
18…MOD
19…SCSII/F
21…マウス
22…キーボード
25…MO

Claims (1)

  1. 超音波を送受波する超音波振動子において得られた超音波エコー信号を用いて検査対象物の超音波画像を生成する超音波画像処理装置において、
    前記超音波エコー信号の分布状態を検出する分布状態検出手段と、
    前記分布状態検出手段において検出した前記超音波エコー信号の分布状態に基づいて、前記超音波振動子の超音波放射位置である音線中心からの距離であって所定の音線の輝度値が所定の条件を満たす場合の距離を決定すると共に、当該距離以内を多重エコー部分を削除するためのマスク範囲として設定するマスク範囲設定手段と、
    を具備し
    前記所定の音線の輝度値が所定の条件を満たす場合の距離とは、当該所定の音線が輝度値が極小値をとる際の距離であり、前記マスク範囲設定手段は、当該極小値の距離以内を多重エコー部分を削除するためのマスク範囲として設定することを特徴とする超音波画像処理装置。
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