JP4445683B2 - 熱エネルギー貯蔵発電方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラで発生した主蒸気を主タービンに供給する一方、蓄熱槽で発生した蒸気を、電力需要ピーク時に、ピークタービンに供給するようにした熱エネルギー貯蔵発電方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、昼間と夜間との電力需要のアンバランスが大きな問題になっている。このような問題を解消するには、例えば、原子力発電所や廃棄物発電所などの負荷変動を嫌う発電所において、夜間に発電した夜間電力を貯蔵し、昼間にその貯蔵電力を送電できれば、昼夜の電力需要アンバランスを解消することができる。
【0003】
ところが、電力そのものを既存技術で大量に貯蔵することは困難である。しかし、ボイラで発生した蒸気を熱水として貯蔵すること、すなわち、ボイラで発生した蒸気をアキュムレータに貯蔵することによって上記の問題を本質的に解決することが可能である。
【0004】
すなわち、図5は、従来の蒸気貯蔵発電設備の一例を示しているが、この設備は、ボイラ1で夜間に発生した蒸気をアキュムレータ30内の飽和水に直接導入して熱水eとして貯蔵する一方、昼間の電力需要ピーク時になると、アキュムレータ30に貯蔵した熱水eを蒸気に変換してピークタービン15に供給するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この蒸気貯蔵発電設備は、夜間発生電力を極力減らし、貯蔵エネルギーを更に増大させる趣旨からすると、未だ改良の余地がある。すなわち、夜間に発生する蒸気エネルギーを地下に建設される熱水槽に直接吹き込む蒸気量には自ずと制約があった。一般に、蓄熱蒸気量は、ボイラが定格出力で運転されるため、通常状態と同一給水量及び温度が確保されなければならない。
【0006】
従って、タービン、即ち、高圧タービン31、中圧タービン32、低圧タービン33が、ある程度の負荷を維持しながらタービン抽気によって給水加熱する手段34を採用することが行なわれ、その分は、少なくとも蓄熱に寄与されないので、蓄熱蒸気量に制約があっても、最も需要の多い昼間に蓄積した蒸気を放出する量が決定され、出力増加が十分でなかった。
【0007】
本発明は、係る従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ボイラで夜間に発生した蒸気の熱エネルギーをほぼ全量蓄熱し、以て、総発電出力の向上を計るようにした熱エネルギー貯蔵発電方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、次のように構成されている。
【0009】
(1) ボイラで発生した主蒸気を主タービンに供する一方、蓄熱槽で発生した蒸気を、電力需要ピーク時に、ピークタービンに供する熱エネルギー貯蔵発電方法において、前記主タービンを夜間停止させ、その間に前記ボイラで発生した主蒸気によって前記蓄熱槽内の飽和水を加熱することを特徴とする熱エネルギー貯蔵発電方法。
【0010】
(2) ピークタービンの排気を復水してタンクに貯蔵し、該ピークタービン系復水と、蓄熱槽内の飽和水と熱交換後のボイラ系復水とを給水予熱器で熱交換し、ボイラ系復水温度を通常の給水温度に抑えることを特徴とする(1)記載の熱エネルギー貯蔵発電方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、図1は、本発明の方法を実施する熱エネルギー貯蔵発電設備の概略図である。昼間(例えば午前8時〜午後10時)においては、図1に示すように、蒸気発生器(以下、ボイラという)1で発生した高圧・高温の主蒸気aは、主蒸気タービン(以下、主タービンという)2に導入され、発電機3を廻して発電するようになっている。
【0012】
そして、主タービン2から排出されたタービン排気a′は、主復水器4で復水された後、復水ポンプ5、低圧給水加熱器6、及び給水ポンプ7を経て、再度、上記ボイラ1に戻されるようになっている。なお、低圧給水加熱器6は、主タービン2の抽気によって加熱されるようになっている。
【0013】
また、電力需要ピーク時には、後で説明する蓄熱槽10内の高圧・高温熱水から得られた飽和蒸気を独立過熱器14で過熱し、その過熱蒸気bをピークタービン15に供給し、前記主タービン2と共同して前記発電機3を駆動するようになっている。ピークタービン15から排出されたタービン排気b′は、復水器16で復水された後、ホットウエルタンク17に貯蔵されるようになっている。独立過熱器14には、例えば、ガスタービンの廃熱を利用する廃熱ボイラ、或いは直焚きボイラなどが挙げられる。
【0014】
一方、夜間(例えば午後10時〜翌朝8時)においては、主タービン2が停止され、ボイラ1で発生した高温・高圧の主蒸気aは、地下岩盤内に構築させた空洞状の蓄熱槽10に向けて導出され、予め、蓄熱槽10内に蓄えた低温・低圧の飽和水b″などを間接的に加熱するようになっている。11は、蓄熱槽10内に設けた熱交換部を示している。蓄熱槽10内の低圧・低温の飽和水と熱交換を果たした主蒸気aは、ブースタポンプ19に吸引された後、給水予熱器18、及び給水ポンプ7を経てボイラ1に戻される。
【0015】
ホットウエルタンク17内の給水は、夜間、蓄熱槽10に戻されるが、その際、給水予熱器18によって予熱される。なお、小規模の場合には、蓄熱槽10を地下岩盤内に設ける代わりに、鋼製貯蔵タンクとして、地上に構築してもよい。
【0016】
次に、この熱エネルギー貯蔵発電設備の運転動作について説明する。
【0017】
図2は、夜間の蓄熱モード(太線部分参照)を示しており、主タービン2は、その間、停止される。ボイラ1で発生した高圧・高温の主蒸気aは、蓄熱槽10内の熱交換部11を通過する間に、蓄熱槽10内に予め蓄えられている低圧・低温の飽和水b″を間接的に加熱する。このとき、ホットウエルタンク17から給水予熱器18を経て蓄熱槽10に注水されるので、蓄熱槽10内の水位が次第に上昇する。と同時に圧力・温度が上昇し、最終的には、一定圧力の飽和熱水として平衡を保つ。
【0018】
蓄熱槽10内に予め蓄えられていた低圧・低温熱水、及びホットウエルタンク17から蓄熱槽10に供給される注水と熱交換を果たした主蒸気aは、ボイラ1の給水温度(160℃程度)にコンデンスしてブースターポンプ19に吸引されてボイラ1に戻される。ボイラ1に戻される還流水は、通常運転時のボイラ給水温度(160℃)に抑えられることによって給水加熱蒸気が不要となる。
【0019】
従って、主タービン2を完全に停止させることが可能となり、夜間発生電力を抑えると共に、ボイラ1で発生した高圧・高温の主蒸気aの熱エネルギーを蓄熱槽10にほぼ全量蓄熱することができる。
【0020】
図3は、昼間の放熱モード(太線部分参照)を示しており、ボイラ1で発生した高圧・高温の主蒸気aは、主タービン2に供給され、通常の発電が行なわれる。主タービン2を出たタービン排気a′は、主復水器4で復水した後、復水ポンプ5、低圧給水加熱器6、及び給水ポンプ7を経てボイラ1に戻される。
【0021】
一方、電力需要ピーク時には、蓄熱槽10の上部気相(槽内圧力に相応する飽和蒸気)を減圧弁13により減圧して独立過熱器14に送る。この独立過熱器14で過熱された過熱蒸気bは、ピークタービン15に供給され、発電機3の並列運転に供される。
【0022】
従って、従来に比べて昼間の出力が大幅に増大する。ここで、蓄熱開始の蓄熱槽10の槽内圧力を初圧、蓄熱終了後の蓄熱槽10の槽内圧力を終圧と称すると、ピークタービン15の供給圧力を初圧に維持すれば、タービン圧力は、変化がなく、一定圧力の下で運転が可能である。
【0023】
ピークタービン15のタービン排気b′は、復水器16によって復水され、夜間に備えてホットウエルタンク17に貯蔵される。この注水は、給水予熱器18において、蓄熱槽10内の低温・低圧飽和水と熱交換した後の主蒸気aのコンデンセートと熱交換される(図4参照)。
【0024】
【実施例】
(実施例)
図1の本発明の熱エネルギー貯蔵発電設備と、図5の従来例とを互いに比較した。その結果を「表1」に示す。この「表1」から本発明の方が従来例よりも並列運転時の総出力が高いことが分かる。
【0025】
【表1】
Figure 0004445683
なお、主タービンの定格条件等は、次の如く設定した。
【0026】
(A)定格条件
ボイラ発生蒸気圧力:101ata
ボイラ発生蒸気温度:500℃
ボイラ発生蒸気量 :78.3t/h
発電出力 :17,131kW
(B)主タービン
蒸気条件:96ata
蒸気温度:495℃
タービン排圧:0.12ata
【0027】
【発明の効果】
上記のように、本発明は、ボイラで発生した主蒸気を主タービンに供する一方、蓄熱槽で発生した蒸気を、電力需要ピーク時に、ピークタービンに供する熱エネルギー貯蔵発電方法において、前記主タービンを夜間停止させ、その間に前記ボイラで発生した主蒸気によって前記蓄熱槽内の飽和水を加熱するようにしたので、ボイラで発生した高圧・高温の主蒸気の熱エネルギーを蓄熱槽にほぼ全量蓄熱することができるようになった。従って、従来に比べて昼間の出力が大幅に増大するようになった。
【0028】
また、従来例では不可能であった夜間の主タービン出力と、昼間の主タービン出力とを自由に変えることも可能である。つまり、廃棄物発電にあっては、廃棄物処理量を夜間に少なく、昼間に多く処理することによって夜間は発電を停止し、専ら廃棄物処理のみを行ない発生蒸気を蓄熱し、昼間の発電出力をより増大することが可能となる。こうすることにより、貯槽容量を極小化すると共に、発電出力が一層増大することが可能となった。但し、蓄熱量に対する出力増加割合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に供する熱エネルギー発電設備の概略図である。
【図2】蓄熱モード説明図である。
【図3】放熱モード説明図である。
【図4】放熱モード時の熱流線図である。
【図5】従来の熱エネルギー発電設備の概略図である。
【符号の説明】
1 ボイラ
2 主タービン
10 蓄熱槽
15 ピークタービン

Claims (2)

  1. ボイラで発生した主蒸気を主タービンに供する一方、蓄熱槽で発生した蒸気を、電力需要ピーク時に、ピークタービンに供する熱エネルギー貯蔵発電方法において、前記主タービンを夜間停止させ、その間に前記ボイラで発生した主蒸気によって前記蓄熱槽内の飽和水を加熱することを特徴とする熱エネルギー貯蔵発電方法。
  2. ピークタービンの排気を復水してタンクに貯蔵し、該ピークタービン系復水と、蓄熱槽内の飽和水と熱交換後のボイラ系復水とを給水予熱器で熱交換し、ボイラ系復水温度を通常の給水温度に抑えることを特徴とする請求項1記載の熱エネルギー貯蔵発電方法。
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