JP4444451B2 - 高温下で使用されるセラミック応用電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば排気ガスのセラミック酸素センサ、NOxセンサ、セラミックヒータ、グロープラグ、その他高温下で使用されるセラミック応用電子機器ならびにその製造方法に関し、特にセラミック素子の電極端子部と導線部材とを耐熱接合する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両用の酸素センサ素子のように、排気管に取付けられて高温状態に晒されるセラミック素子が知られている。このような、高温に晒されるセラミック素子と導線部材とを電気的に接続する手段として、本件出願人は、特開平10−253579号公報にて以下のような接続構造を提案した。すなわち、この接続構造では、セラミック素子及び導線部材を有する結合ユニットに対し、例えば圧入、焼嵌め、冷嵌め、その他公知の方法によって機械的に直接締まりばめで嵌合される例えば金属製のリング部材にて、結合ユニットを締め付け保持する。これによれば、導線部材がリング部材による締まりばめで電極端子部に強固に圧着させられるので、専用の部品点数が少なく構造がきわめて簡単になり、また従来のようなカシメ工程が不要で工程も簡単になる利点を有する。しかも、バネ材を介する場合と異なり、リング部材の締まりばめ嵌合により結合ユニットを直接強固に締め付けて保持するため、高温下で使用されてもセラミック素子と導線部材との間に空気が進入して酸化皮膜が生じるといった不都合が起こりにくい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の酸素センサをはじめとする多くの電子機器では、電極端子部は一般には複数形成されることが多い。例えばジルコニア板型濃淡電池素子に板型セラミックヒータを積層した積層型酸素検出素子においては、積層方向の片面に濃淡電池素子の出力取出し用端子が、他方の面にヒータ通電用の端子が、それぞれ幅方向に並ぶ形で2ケ所づつ、計4ケ所に形成されることとなる。これら4ケ所の電極端子部に対する導線部材の導通状態を確実なものとするためには、その締まりばめによる各導線部材の保持力をなるべく均等化することが必要である。
【0004】
ここで、周知の通り、セラミック素子は窯業的手法、すなわちセラミック原料粉末の成形体を焼成する方法により製造されるが、このような方法で製造される積層構造のセラミック素子は厚さが不均一になりやすく、導線部材の保持力のばらつきを誘発しやすくなる。例えば図12(a)に示すように、素子50の厚さが各位置において均等な場合には、全ての導線部材には一様な荷重が働き、安定した導線保持強度が得られる。しかしながら、同図(b)のように素子50の厚さが不均一になると、厚さの大きい側(A)では導線部材に過剰な締付け力が作用し、他方厚さの小さい側(B)では、逆に締付け力が不足しがちとなる。この傾向が極端になると、A側では素子割れや断線等の不具合につながり、他方B側では導線部材の抜け落ちといった問題が発生しやすくなる。他方、素子厚さが均一であっても、リング部材の内寸法がばらついていれば当然に同じ問題が発生する。
【0005】
本発明の課題は、セラミック素子の厚さが不均一となった場合においても、素子割れや断線、あるいは導線部材の抜け落ちといった不具合を生じにくい構造を有するセラミック応用電子機器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明の高温下で使用されるセラミック応用電子機器は、
自身が有する電気的な回路との接続のための電極端子部が外面に露出する形態で形成されたセラミック素子と、
電極端子部を電気的に外部とつなげるために、各電極端子部に重ねられてそれに接触する導線部材と、
環状をなし、それらセラミック素子及び導線部材を含むユニット(以下、結合ユニットという)を外側から包囲するように、かつセラミック素子の電極端子部と導線部材との圧着方向における結合ユニットの外寸法合計を結合寸法としたとき、圧着方向においてこの結合寸法より小さい内寸法である保持寸法を有して、結合ユニットに外側から締まりばめで嵌合され、その締まりばめ嵌合の緊束力によって導線部材をセラミック素子の電極端子部に機械的に圧着させた状態に維持するリング金具(リング部材)を備える。
【0007】
そして、上記したセラミック応用電子機器は、以下のごとき構成を有する場合がある。まず、電極端子部とこれに重ねられる導線部材の組(以下、導通ペアという)は、リング部材の軸線方向と直交する第一方向に互いに隔てられた状態にて2ケ所に配置される第一導通ペア及び第二導通ペアの、少なくとも2組が形成される。それら2組の導通ペアの各電極端子部と導線部材とは、軸線方向及び第一方向のいずれとも直交する第二方向を圧着方向として互いに圧着される。
【0008】
また、結合ユニットからリング部材を取り外した後における結合ユニット及びリング部材の各部の寸法を以下のように定義する:
・分解後第一結合寸法a1:第一導通ペアの形成位置に対応する圧着方向の外寸法合計である。
・分解後第二結合寸法a2:同じく第二導通ペアの形成位置に対応する外寸法合計である。
・分解後第一保持寸法b1:リング部材の第一導通ペアの形成位置に対応する圧着方向の内寸法である。
・分解後第二保持寸法b2:同じく第二導通ペアの形成位置に対応する圧着方向の内寸法である。
・分解後第一締め代δ1:分解後第一結合寸法a1と分解後第一保持寸法b1との差である。
・分解後第二締め代δ2:分解後第二結合寸法a2と分解後第二保持寸法b2との差である。
なお、第一及び第二導通ペアのうち、分解後締め代の大きくなる側を第一導通ペアとする。理解を容易にするために、上記a1、a2、b1及びb2が具体的にどの部分の寸法を意味するかについて、その一例を図7に示しているが、これに限定されるものではない。また、上記a1,a2,b1,b2,δ1,δ2について、図7、図8、及び表1〜表6では、算用数字部分を丸囲み数字で表してあるが、意味は同じである。
【0009】
上記定義を数式にて整理すれば、以下のごとくになる。
a1>b1 ‥‥(1)
a2>b2 ‥‥(2)
δ1≡a1−b1 ‥‥(3)
δ2≡a2−b2 ‥‥(4)
δ1≧δ2 ‥‥(5)
【0010】
以上を前提として、その締め代条件が、室温にて以下の第一〜第五条件のいずれかを満足する:
第一条件:
0.00286≦δ1/b1<0.00714、
0.9≦δ2/δ1≦1 ‥‥(6);
第二条件:
0.00714≦δ1/b1<0.01429、
0.4≦δ2/δ1≦1 ‥‥(7);
第三条件:
0.01429≦δ1/b1<0.05714、
0.3≦δ2/δ1≦1 ‥‥(8);
第四条件:
0.05714≦δ1/b1<0.08904、
0.4≦δ2/δ1≦1 ‥‥(9);
第五条件:
0.08904≦δ1/b1、
0.90506≦δ2/δ1≦1 ‥‥(10)。
【0011】
リング部材は、セラミック素子とは別体に製造され、別途組み立てられた結合ユニット(セラミック素子に導線部材を重ね合わせたもの)に外側から嵌め込まれることにより、導線部材をセラミック素子との間で緊束保持する。緊束保持力の大小を支配するのは、主にリング部材の締付け方向の弾性変形量であり、これは前記した分解後締め代、すなわちセラミック素子及び導線部材を含む結合ユニットからリング部材を取り外した後における、結合ユニットの外寸法とリング部材の内寸法との差で表される分解後締め代の大小に反映される。
【0012】
本発明者らは鋭意検討した結果、電極端子部とこれに重ねられる導線部材の組である導通ペアが、リング部材の軸線方向と直交する第一方向に互いに隔てられた状態にて2ケ所に配置される場合に、それら第一導通ペア及び第二導通ペアに対応する位置において、分解後締め代を規定するリング部材の内寸法b1及びb2、あるいは結合ユニットの外寸法a1及びa2を、上記の締め代条件を満足するように選択することで、セラミック素子の厚さが不均一となった場合においても、素子割れや断線、あるいは導線部材の抜け落ちといった不具合を生じにくい構造が達成されることを見出した。
【0013】
前記したように2つの導通ペアに対する分解後締め代δ1及びδ2については、結合ユニットに含まれるセラミック素子の厚さばらつきや、リング部材の内寸法ばらつきにより、片方が他方よりも大きくなることを想定している(前記(5)式)。この場合、(6)〜(10)式に表れるδ1/b1は、室温において、分解後締め代の大きい側においてリング部材の内寸法がどの程度弾性的に拡張するか、言い換えれば、変形の度合いが最も大きくなる部位において弾性緊束力がどの程度のものになるかを反映したパラメータであると言える(以下、δ1/b1を緊束力パラメータという)。この数値が大きいほど、リング部材による設定緊束力が高いことを意味する。
【0014】
また、δ2/δ1の値は、大きい側の締め代δ1に対する小さい側の締め代δ2の比率であり、いわば2つの導通ペアに対し確保される締め代の均一性を反映したパラメータであるといえる(以下、δ2/δ1を締め代均一性パラメータという)。この値が小さくなるほど2つの導通ペアに対し確保される締め代の差、換言すれば導線部材の緊束保持力の、程度の差が大きくなることを意味する。
【0015】
ここで、昇温環境下ではリング部材も結合ユニットもそれぞれ膨張を起こし、特にリング部材が金属で構成される場合には、結合ユニットが主に、金属よりも線膨張係数の小さいセラミックで構成されることから、電子機器の使用温度が高くなるほどリング部材による緊束力は小さくなる。従って、高温での使用を前提とする場合には、その減少分を見込んで室温での締め代を予め大きく設定しておく必要がある。すなわち、緊束力パラメータδ1/b1の値は、例えば電子機器の使用温度に応じて異なる値が設定される。また、焼結により製造されるセラミック素子の厚さばらつきや、リング部材の内寸法ばらつきの影響を受けて、同じ仕様の電子機器においても、標準的なδ1/b1の値に対し、個体間でこれがばらつくこともある。
【0016】
本発明者らが検討した結果、上記のごとく電子機器の温度仕様や個体間ばらつきにより変動する緊束力パラメータδ1/b1の値を、式(6)〜(10)に示す数値範囲区間ごとに分けて捉えた場合に、それらδ1/b1の数値範囲毎に、素子割れや導線部材の保持力低下等を生じないための、締め代均一性パラメータδ2/δ1の最適数値範囲が個別に存在することがわかった。
【0017】
式(6)〜(10)を見てもわかるとおり、第一条件にて緊束力パラメータδ1/b1は最も小さく、以下第五条件側に向けて緊束力パラメータの値は段階的に大きくなっている。すなわち、第一条件では結合ユニットに対する緊束力のレベルが最も小さく、結果、第一及び第二導通ペア間に生ずる締め代の差が比較的僅かであっても、締め代の小さくなる側では導線部材の保持力不足が生じやすくなる。従って、(6)式において締め代均一性パラメータδ2/δ1の値が0.8未満になると、締め代の小さくなる側で導線部材の抜け落ち等の不具合が発生しやすくなる。なお、δ2≦δ1と定義しているから、δ2=δ1のときにのみδ2/δ1=1となり、δ2/δ1がこれより大きな値をとることは数学的にありえない。
【0018】
そして、式(7)及び(8)に示すように、第二条件及び第三条件では緊束力パラメータδ1/b1が大きくなる、すなわち緊束力レベルが高まる分だけ、第一及び第二導通ペア間に生ずる締め代の差が多少大きくなっても、導線部材の保持力不足が生じにくくなる。従って、締め代均一性パラメータδ2/δ1の好ましい範囲は、それぞれ0.4及び0.3と下限側が拡がっているのである。各条件とも、これらよりも締め代均一性パラメータの小さい領域においては、第一条件と同様、導線部材の抜け落ち等の不具合が発生しやすくなる。
【0019】
次に、式(9)及び(10)に示すように、第四条件及び第五条件では緊束力パラメータδ1/b1がさらに大きくなる、すなわち緊束力レベルが一層高くなるのであるが、締め代均一性パラメータδ2/δ1の好ましい範囲の下限値は、0.4及び0.905と逆に大きくなっている。これは、締め代の小さい側での導線部材の保持力低下は問題とならないが、他方、締め代の大きい側にて緊束保持力が過剰となり、例えば結合ユニットに含まれるセラミック素子に割れ等の不具合が発生しやすくなるためである。
【0020】
ここで、第五条件においては、δ1/b1の値は0.093以下であることが、緊束力の過度な上昇を防ぐ上で望ましい。
【0021】
締まりばめ嵌合に際しては、金属製のリング部材(リング金具)を用いることがその強度及び強固な圧着力を得る上で好ましく、その場合、絶縁部材(例えば板状の)によりリング金具と導線部材との間で電気的な絶縁状態が保たれ、またその絶縁部材の厚さ寸法が、前記結合ユニットの外寸法の一部を構成することとなる。
【0022】
前記リング部材は、方形リング状のもの等、少なくとも相対向する2内面(挟圧面)を有するものを採用することができる。その対向する内面間に前記結合ユニットを挟圧する。方形状のリング部材の場合、相対向する2方向のうちの1方向を導線部材の圧着方向とすることができるが、それらの2方向(一般には互いに直交する2方向)を共に圧着方向として、電極の端子数が多い場合に対応させることもできる。また、セラミック素子の圧着方向の、両側の面にそれぞれ1又は2以上の電極端子部を形成して、各面にそれぞれ導線部材を配置し、かつ金属製のリング部材の場合は各導線部材の外側に絶縁部材を配置して、さらにその外側からリング部材を締まりばめ嵌合することもできる。その場合、複数のセラミック素子を積層形態で配置すれば、電極の端子数を増やす上で有効である。
【0023】
前記セラミック素子が円柱状をなす態様では、前記リング部材は少なくとも内周面が円筒状をなしてその内面で前記結合ユニットを挟圧することができる。すなわち、セラミックヒータ素子等、円柱棒状のセラミック素子が用いられる場合、互いに円形断面のセラミック素子とリング部材との間の円環状の隙間に絶縁部材を介して、又は介さないで導線部材が挟み込まれ、導線部材がセラミック素子の外周面に形成された電極端子部に圧着される。この際、複数の導線部材はセラミック素子の外周に所定の間隔(好ましくは等角度間隔)で配置され、また絶縁部材が必要な場合は、セラミック素子とリング部材間の前記円環状の隙間にほぼ対応する円弧状断面を有するものが望ましい。また、絶縁部材を導電部材の外側面又はリング部材の内側面に被覆形成してもよい。
【0024】
例えば、セラミック素子は横長板状に形成でき、その長手方向一方の端部において、その第一板面に各々電極端子部とこれに重ねられる導線部材の組からなる、第一及び第二導通ペアを形成できる。一方、第二板面には第一導通ペアに対応する位置に第三導通ペアと、第二導通ペアに対応する位置に第四導通ペアとを形成できる。この場合、絶縁部材は、第一板面側に積層される板状の第一絶縁板と、同じく第二板面側に積層される第二絶縁板とを含み、それらセラミック素子と第一及び第二絶縁板の積層方向を圧着方向として、リング部材は、第一絶縁板と接する内面と第二絶縁板と接する内面とが、ほぼ平行に対向する挾圧面として形成されたものとすることができる。これは、例えば板型の酸素濃淡電池素子と、同じく板型のセラミックヒータとを積層したセラミック素子の構造として好適に使用できる。
【0025】
さて、本発明のセラミック応用電子機器の構成は、上記の態様のセラミック素子の使用を前提として、室温において、第一及び第三導通ペア側の導線部材と、第二及び第四導通ペア側の導線部材とのそれぞれに作用する締まりばめ状態での応力レベルの観点から発明を捉えたものである。その要旨はセラミック素子及び対応する絶縁板との間に挾圧される領域において、各導線部材の室温における平均的な厚さ方向圧縮応力の値が、3〜600MPaを満足するように、分解後第一締め代δ1及び分解後第二締め代δ2とが調整されていることにある。
【0026】
上記圧縮応力の値を3〜600MPaにて調整することで、第一の構成と同様、セラミック素子の厚さが不均一となった場合においても、素子割れや断線、あるいは導線部材の抜け落ちといった不具合を生じにくい構造が達成される。該圧縮応力が3MPaでは導線部材の緊束保持力が不十分となり、導線部材の抜け落ち等が生じやすくなる。他方、これが600MPaを超えると、素子割れや断線等の不具合が生じやすくなる。
【0027】
なお、未使用状態の金属リング部材を最初に結合ユニットに嵌め込む際には、金属リング部材あるいは絶縁板とセラミック素子との間に挾圧保持される導線部材が、弾性変形のみでなく部分的に塑性変形を起こすことも考えられる。この場合、導線部材の緊束保持力に寄与するのは、変形に伴う全歪のうち弾性歪の部分のみである。しかしながら、その後、金属リング部材を結合ユニットから分解して再び組み立て直したときは、必要な塑性変形はすでに完了しているので、再組立によりほとんど塑性変形することなく、分解時の復帰分だけ再び弾性変形する形で、ほぼもとの緊束状態に戻ると考えられる。従って、各導線部材に生ずる上記圧縮応力の値は実際に測定しなくとも、各部の分解後の寸法ひいては該分解後寸法から見積もられる締め代δ1及びδ2の値、及び各部の構成材質毎に固有に定まる弾性力学的な定数(すなわち、ヤング率E、剪断剛性率G、ポアソン比ν等:異方性弾性体の場合は、弾性定数はテンソルとなる)が知れていれば、公知の弾性理論を用いたコンピュータシミュレーション等により、容易に算出することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に示す実施例を参照して説明する。
図1には、この発明の一実施例である車両排気ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ1が示されている。この酸素センサ1はいわゆる濃淡電池式のもので、小型化されたセラミック素子2を備え、その先端側が排気管内を流れる高温の排気ガスに晒される。
【0029】
セラミック素子2は、筒状の主体金具3内にガラスシール4(あるいはセメント)や、外筒金具5等によって固定されるもので、セラミック素子2の先端側が、排気管に固定される主体金具3の先端より突出した状態で固定されている。主体金具3の先端外周には、セラミック素子2の突出部分を覆う金属製のプロテクトカバー6が抵抗溶接等によって固着されている。このカバー6は、キャップ状を呈するもので、その先端や周囲に、排気管内を流れる高温の排気ガスをカバー6内に導く開口6aが形成されている。
【0030】
セラミック素子2は方形状断面を有する長手のもので、基準電極2aに連通して接する大気に接触する検出電極2bと接触する排気ガスとの間の酸素濃度差に基づいて発生する電圧を取り出すための2極の電極端子部7と、それらの電極2a、2b間を加熱して検出可能状態とするヒータ回路に通電するための2極の電極端子部(上記7の裏側にある)との、都合4極の電極端子部を備える。つまり、セラミック素子2の一端部の、互いに対向する一方の外面に2極の電極端子部7が、また他方(反対側)の外面に2極の電極端子部7が、それぞれよく知られた白金ペースト等によるパターン形成及び焼成等により平面的な形態で外面に露出して形成されている。
【0031】
セラミック素子2の各電極端子部7(4極を総称する)には、導線部材としてそれぞれ裸の導線(長手状金属薄板)8が電気的に接続され、それらの導線8はさらにコネクタ部13を介して、樹脂被覆されたリード線14に電気的に接続されている。都合4本のリード線14はグロメット15を貫通して外部に延び、それらの先端にコネクタプラグ16が連結され、各リード線14の外部に延びる部分には、これらを収束して保護する保護チューブ17が被せられている。主体金具3の端部からグロメット15にかけては、外側から外筒金具18で被われ、外筒金具18は主体金具3及びプロテクトカバー6と共に酸素センサ1のハウジングを構成し、主体金具3とグロメット15とに跨って固定されている。
【0032】
このような酸素センサ1は主体金具3のネジ部3aにおいて、図示しない車両の排気管にシール部材3bを介して気密に固定され、またコネクタプラグ16が図示しないコントローラに接続されて使用に供される。酸素センサ1は、上述したように小型化されたものであるため、排気熱を受けて酸素センサ1の全体が高温になり、セラミック素子2の電極端子部A付近の使用最高温度も高くなる。電極端子部Aはこの高温に耐え得るものであり、そのA部分を図2ないし図4に基づいて説明するが、これらの図はアッセンブリ状態のものである。
【0033】
図2ないし図4に示すように、前述のセラミック素子2は、例えばジルコニア等のセラミックからなる矩形柱状を呈するもので、その端部の両面に平面形態の前記電極端子部7(図4参照)が2個ずつ外面に露出して形成されている。各電極端子部7には、例えばインコネル(インコ社の商品名)、ステンレス等の金属からなる帯状の前記導線8(リードフレームともいう)が重ねられ、さらにその外側に2枚のセラミック製の絶縁板9が配置されている。各絶縁板9はそれぞれ2本の導線8をセラミック素子2との間に挟む。そしてセラミック素子2とその両面に配置された各導線8及び絶縁板9の集合物が結合ユニット10とされる(図2等参照)。
【0034】
これら結合ユニット10の外側に、金属製のリング部材として、矩形筒状のリング金具11が、締まりばめにより嵌合されている(図3参照)。その締まりばめ嵌合の緊束力が両側の絶縁板9を介して各導線8に作用し、各導線8がセラミック素子2の電極端子部7に機械的にほぼ面接触状態で圧着され、これらの集合である前記結合ユニット10はリング金具11により強固に一体化されている。このリング金具11は、鉄基超耐熱合金(例えばインコロイ909(インコ社の商品名))の時効硬化品、Ni基超耐熱合金(例えばワスパロイ(ユナイテッドテクノロジー社の商品名))の時効硬化品、あるいは非時効硬化型のNi基耐熱合金(インコネル625(インコ社の商品名))の加工硬化品等、耐熱性に優れた一定以上の硬度をもつ金属からなるものが望ましい。
【0035】
図5に示すように、リング金具11の矩形内面の、4つの角部は、緊束状態における応力集中を防止するために円弧状その他の曲面状の凹形態にえぐられている。さらに具体的には、リング金具11の4つの角部の外面には、ほぼ90度の角を45度前後に切り落とした形態の斜面11b(面取り部)が形成されている。一方、4つの角部の内面には、挟圧面11aに近接して、比較的大きい曲率(曲率半径は小)を有する大曲率凹部11cと、これに続いて外側の斜面11bにほぼ沿うような比較的小さい曲率(曲率半径は大)を有する小曲率凹部11dとが滑らかな一体的な曲線で形成されている。
【0036】
リング金具11を上述の結合ユニット10に締まりばめ嵌合するためには、例えば圧入、焼嵌め、冷嵌め等の手法がある。上記締まりばめ嵌合の前提として、図6に示すように、嵌合前のリング金具11は、結合ユニット10の結合寸法a(セラミック素子2の厚さ+両側の導線8の厚さ+2枚の絶縁板9の厚さ)より小さい保持寸法b(相対向する挟圧面11a間距離)を有し(すなわち、a>b)、この保持寸法bの内面間において、結合ユニット10に締まりばめで嵌合され(例えば圧入等)ている。それにより、絶縁板9を介して導線8がセラミック素子2の電極端子部7に機械的に強く押し付けられ、圧着されている。
【0037】
また、図5に示すように、リング金具11の最も薄い部分の肉厚(以下、最低肉厚)tは、リング金具11の対角寸法など最大となる寸法(以下、最大外寸法)dの2.3%以上35%以下に設定されている。つまり、a>bと、0.023d≦t≦0.35dとを満足する。
【0038】
上記の酸素センサ1では、図4に示すように、横長に形成されたセラミック素子2の長手方向一方の端部において、図5に示すように、その第一板面に各々電極端子部7,7とこれに重ねられる導線部材8,8の組からなる、第一及び第二導通ペア61,62が形成される。一方、第二板面には第一導通ペア61に対応する位置に第三導通ペア63と、第二導通ペア62に対応する位置に第四導通ペア64とが形成された形となっている。絶縁部材9,9は、第一板面側に積層される板状の第一絶縁板9と、同じく第二板面側に積層される第二絶縁板9とを含み、それらセラミック素子2と第一及び第二絶縁板9,9の積層方向を圧着方向として、リング部材11は、第一絶縁板9と接する内面と第二絶縁板9と接する内面とが、互いに対向する平坦な挾圧面11a,11aを有している。
【0039】
そして、図7に示すように、各部の寸法を定義する。
・分解後第一結合寸法a1:第一及び第三導通ペア61,63の形成位置に対応する圧着方向の外寸法合計である。
・分解後第二結合寸法a2:第二及び第四導通ペア62,64の形成位置に対応する外寸法合計である。
・分解後第一保持寸法b1:リング部材11の第一及び第三導通ペア61,63の形成位置に対応する挾圧面11a,11a間の内寸法である。
・分解後第二保持寸法b2:同じく第二及び第四導通ペア62,64の形成位置に対応する挾圧面11a,11a間の内寸法である。
【0040】
上記a1、a2、b1及びb2を用いて、前記式(3)〜(5)により、分解後第一締め代δ1及び分解後第二締め代δ2を定義する。そして、上記の酸素センサ1においては、その締め代条件が、室温にて、前記した式(6)〜(10)にて定義される、第一〜第五条件のいずれかを満足するものとなっている。また、上記の分解後第一締め代δ1及び分解後第二締め代δ2は、セラミック素子2及び対応する絶縁板9との間に挾圧される領域において、各導線部材8の室温における平均的な厚さ方向圧縮応力の値が、3〜600MPaを満足するように調整される。
【0041】
他方、リング金具11は、分解後第一締め代δ1及び分解後第二締め代δ2の双方について、使用最高温度Tmにおける、結合寸法amと保持寸法bmの差(am−bm)で定義される最高温度時締め代δmが、保持寸法bmの0.1%以上とされるのが望ましい。つまり、δm≧0.001bを満足する。
【0042】
次に、以上のような酸素センサ1の製造方法について、図6に基づき、セラミック素子2、導線8及び絶縁板9(以上が結合ユニット10)とリング金具11との組付工程を中心に説明する。以下の例では、前者の結合ユニット10に後者のリング金具11が圧入により組み付けられる。
【0043】
なお、望ましくは、リング金具11の圧入開始端側に、外側に向かって広がるテーパ状内面11e(テーパ角は例えば5度から30度程度)が形成されるとともに、各絶縁板9の圧入開始端側にも上記テーパ状内面11eに対応する傾斜外面9aがそれぞれ形成される。
【0044】
まず、セラミック素子2、4本の導線8、2枚の絶縁板9よりなる結合ユニット10を、冶具12a、12bで仮止めする。すなわち、セラミック素子2の両側の電極端子部7にそれぞれ帯状の導線8が重ね合わされ、さらにその外側に絶縁板9が配置されて、これらの結合ユニット10が冶具12aで両側からサンドイッチ状に挟まれて一時的に保持される。また、これらの結合ユニット10が冶具12aの下側に位置する冶具12bで支持される。
【0045】
この状態で、リング金具11が図示しないプッシャ等により圧入される。なお、リング金具11が図示しない固定用冶具で保持され、これに冶具12a、12bが接近して圧入を実施してもよい。いずれにしても、圧入に先立ち、リング金具11の圧入開始端部及び圧入面に滑剤(例えばステアリン酸のエマルジョン等)が塗られることが望ましい。そして、リング金具11が自身の中心線方向において結合ユニット10に相対的に接近し、その外側に圧入される。この圧入の開始時には、リング金具11のテーパ状内面11eが各絶縁板9の傾斜外面9aに圧接しつつ滑りを生じて圧入が進行する。
【0046】
圧入の後半では、図6の下段に示すように、上側の冶具12aが開いて結合ユニット10から離間する。その後、リング金具11が冶具12bに当たるまで、またはその付近まで入り込み、圧入が完了する。
【0047】
このような圧入後のアッセンブリ(結合ユニット10+リング金具11)は、例えば350℃程度に加熱される工程により、滑剤が分解して除去され、滑機能がなくなる。これによりリング金具11による高い緊束力で、両側の絶縁板9を介して各導線8がセラミック素子2の各電極端子部7に圧着した状態に維持される。
【0048】
以上のようにして得られたアッセンブリの各導線8には、図1に示すようにコネクタ部13を介して、リード線14が接続され、各リード線14はグロメット15に保持される。また、セラミック素子2が主体金具3内に挿入され、ガラスシール4等によりその主体金具3の中心部に固定される。その後又はこれに先立ち、プロテクトカバー6や外筒金具5が主体金具3に溶接され、さらに外筒金具5が外側からグロメット15等を締め付けるように加締め加工される。概略的には、以上のようにして酸素センサ1が製造される。
【0049】
このようにして得られる酸素センサ1においては、バネ部材を介さないリング金具11の直接の締付けによって、絶縁板9、各導線8及びセラミック素子2がサンドイッチ状に強固に一体化され、その結果、各導線8がセラミック素子2の電極端子部7に機械的に強く圧着させられて電気的な接続が果たされる。これにより次のような効果が得られる。第1に、従来に比較して電極接合部の部品点数が少なく、構造が簡単である。第2に、常温時にリング金具11は結合ユニット10を強固に保持するため、結合ユニット10にリング金具11を組み付けた後の製造工程(酸素センサ1を完成させるまでの工程)で、導線8が抜けたりずれたりする不具合が生じにくい。第3に、高温時においてもリング金具11が結合ユニット10を強固に保持するため、高温の使用状態においても、セラミック素子2と導線8の間の抵抗増加を招く不具合が生じにくく、長期に亘ってセラミック素子2と導線8の間の良好な導電性を確保できる。
【0050】
また、前記した締め代条件を上記式(6)〜(10)のいずれかを満足するように選択することで、セラミック素子2の厚さが不均一となった場合においても、素子割れや断線、あるいは導線部材の抜け落ちといった不具合を生じにくい構造が達成される。
【0051】
例えば、図6に示すように、電極端子部7、各導線部材8が同じ厚さにて形成され、絶縁板9,9も研磨加工等により幅方向においてほぼ均一な厚さ分布を有している場合、研磨加工等による焼成後の寸法調整が実質的に不能であるセラミック素子2が、幅方向の一方の側(a1側)にて厚くなると、当然に結合ユニット10の外寸法a1も、当該側にて大きくなる。このとき、該側での分解後締め代、すなわち分解後第一締め代δ1が、反対側の分解後締め代すなわち分解後第一締め代δ2との関係において、式(6)〜(10)のうちの所期の条件を満たすように、これを縮小する必要がある。その方法としては、図8に示すように、リング部材11の挾圧面11a,11aの間隔を、セラミック素子2の大厚側に対応する位置において、小厚側と比較して相対的に広げておくことが考えられる。
【0052】
この場合、結合ユニット10側の寸法調整は特に行わない形となる。例えば、挾圧面11a,11aの間隔が不均一となったリング部材11が発生した場合は、これを予め選別しておく。そして、同様に選別された厚さが不均一なセラミック素子2を、そのリング部材11に対し、図8に示すように幅方向の寸法差が互いに打ち消し合うように、挾圧面11a,11aの大間隔側に大厚さ側を対応させる形で嵌め込めば、個々には寸法ばらつきの大きいセラミック素子2あるいはリング部材であっても、これを不良選別の運命から救い出すことが可能となる。
【0053】
また、図9(a)に示すように、リング部材11内に圧入べき結合ユニット10側の寸法調整を行う場合には、例えば図9(c)に示すように、絶縁板9,9の少なくとも一方について、セラミック素子2の大厚側に対応する厚さ寸法を、小厚側と比較して相対的に縮小する方法がある。他方、図9(b)の方法では、セラミック素子2の大厚側に対応する電極端子部7の形成厚さを、小厚側と比較して相対的に縮小することにより、締め代が過剰となることを防止している。電極端子部7の形成厚さは、例えば電極端子部形成のための、ペーストの厚膜印刷回数の調整により変更できる。
【0054】
【実験例】
以下、本発明の効果を確認するために以下の実験を行った。使用した試験品は以下の通りである。
(試験品群1〜6)
セラミック素子2は、部分安定化ジルコニア製で、幅3mm、厚さ1.7mmであり、図7において、各導通ペア61〜64の電極端子部7の厚さを、金属ペーストの厚膜印刷回数を各種変更することにより、最終的に結合ユニット11としたときの、前記a1及びa2の寸法が、表1〜表6の各種のものとなるように調整した。導線8は、インコネル750製で、幅1.0mm、厚さ0.2mmのものを使用した。また、絶縁板9は、矩形板状のアルミナ製で、幅3mm、厚さを、表1に記載した各種締め代となるように各種調整したものを使用した。さらに、リング金具11は、インコロイ909製で、最低肉厚tが0.7mm、最大外寸法が7.5mmであり、接合長さL(すなわち、テーパ状内面11eを除く、挾圧面11a,11aの軸線方向長さ)を3mmとした。また、前記したb1及びb2はいずれも3.5mmであり、ほぼ平行となっている。
【0055】
(試験品群7)
試験品群1〜6と材質及び概略形態は同様であるが、下記の点で相違している。セラミック素子2は、各導通ペア61〜64の電極端子部7の厚さを、金属ペーストの厚膜印刷回数を各種変更することにより、最終的に結合ユニット11としたときの、前記a1及びa2の寸法が、ほぼ3.5mmの同一の値となるように調整している。他方、リング金具11は、前記したb1及びb2を、表3及び表6の各種値となるように調整している。
【0056】
なお、各試験品は、いずれも図5に示す方法にて組み立てた後、リング部材11を片側の支持しながら、セラミック素子2をこれと反対側の端面側から軸線方向に押圧することにより抜き取って分解した。そして、その分解後において、a1、a2、b1、b2の各寸法を測定し、δ1及びδ2の値を算出した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
他方、代表的な試験品については、導線部材8に作用する圧縮応力については、公知の弾性理論を用いた有限要素法によるコンピュータシミュレーションにより算出している。シミュレーション条件は以下の通りである(図10参照)。
(a)塑性変形は生じない。
(b)リング部材の軸線方向にx軸、挾圧面11a,11aの対向方向にy軸、それらx軸及びy軸の双方と直交する向きにz軸を設定し、結合ユニット10にリング部材11を嵌め込んだ組立体はx−z面に関して対称な応力分布を有する。
(c)絶縁板9と対応する挾圧面11aは、嵌め込み後も全面に当たって接触状態を維持する。なお、導線部材8及びリング部材11の各材質の弾性力学的な定数は、表10に示すものを採用する(ヤング率Eとポアソン比ν:等方弾性体であると仮定している)。また、シミュレーションソフトウェアは市販品(商品名:ABAQUS(Hibitt, Karlsson & Sorensen, Inc. 製)を使用した。
【0064】
上記の各試験品について、分解前の状態にて、絶縁板9とセラミック素子2との間に挾圧されている各導線部材8を軸線方向に強制的に引き抜き、その最大荷重値にて導線部材保持強度を評価するとともに、4本の導線部材のうち、導線部材保持強度の最も小さいもののレベルが、9.8Nを超えるものを良(○)、ほぼ9.8N程度のものを可(△)、9.8Nに満たないものを不可(×)とした。また、分解後においてセラミック素子2を目視観察したときに、割れ等の損傷が生じていなかったものを良(○)、同じく生じていたものを不可(×)とした。以上の結果を表7〜9に示す。さらに、各導線部材8に作用する圧縮応力の算出値については、導通ペア61,63(締め代の大きい側)における応力値σ1と、導通ペア62,64(締め代の小さい側)における応力値σ2とのそれぞれを示している(導通ペア61,63間、及び同62,64間では、シミュレーション条件の(b)より、その応力算出値は同じとなる)。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
以上の結果から明らかなとおり、前記した式(6)〜(10 )のいずれかの条件に該当しているものは、導線部材保持強度も高く、素子に損傷も生じていないことがわかる。他方、条件該当しないものにおいては、大締め代側にて算出された圧縮応力値が600MPaを上回って素子に損傷を生ずるか、あるいは小締め代側にて算出された圧縮応力値が3MPaを下回って導線部材保持強度が不足するかの、いずれかの不具合が生じていることがわかる。なお、図11は、試験品番号25に対する応力シミュレーション結果を示している。片側の導線部材側にて、圧縮応力レベルが大きくなっていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である酸素センサの断面図。
【図2】図1における電極端子部Aに用いられるアッセンブリ(セラミック素子、導線、絶縁板及びリング金具の一体品)の斜視断面図。
【図3】図2の斜視図。
【図4】図3からリング金具を除いた分解斜視図。
【図5】リング金具の平面図。
【図6】図1の酸素センサの製造方法において、特に図2、図3のアッセンブリの製造工程を示す工程図。
【図7】リング部材及び結合ユニットの各部の寸法と分解後締め代の定義を示す説明図。
【図8】素子幅方向における分解後締め代のばらつきを軽減する1つの方法を説明する断面図。
【図9】同じく別のいくつかの方法を説明する断面図。
【図10】リング部材及び結合ユニット側に生ずる応力分布を解析するための、コンピュータシミュレーションの条件設定例を示す説明図。
【図11】実験例の試験品25についてのコンピュータシミュレーションの結果を示す図。
【図12】分解後締め代が均一な場合と不均一な場合との差異を説明する図。
【符号の説明】
2、2’、20、31、50、60、70 セラミック素子
7、24 電極端子部
8、23、35 導線(導線部材)
10 結合ユニット(図3の実施例では、セラミック素子+導線+絶縁板)
11、11’、25、43 リング金具(リング部材)
Claims (1)
- 高温下で使用されるセラミック応用電子機器であって、自身が有する電気的な回路との接続のための電極端子部が外面に露出する形態で形成されたセラミック素子と、
前記電極端子部を電気的に外部とつなげるために、前記各電極端子部に重ねられてそれに接触する導線部材と、
環状をなし、それらセラミック素子及び導線部材を含むユニットである結合ユニットを外側から包囲するように、かつ前記セラミック素子の電極端子部と前記導線部材との圧着方向における前記結合ユニットの外寸法合計を結合寸法としたとき、前記圧着方向においてこの結合寸法より小さい内寸法である保持寸法を有して、前記結合ユニットに外側から締まりばめで嵌合され、その締まりばめ嵌合の緊束力によって前記導線部材を前記セラミック素子の電極端子部に機械的に圧着させた状態に維持する金属製のリング金具と、
前記結合ユニットの一部をなすとともに、前記導線部材と前記リング金具との間に挟み込まれてそのリング金具の内面と前記導線部材との直接の接触を防止する絶縁部材とを含み、
前記セラミック素子は横長板状に形成され、その長手方向一方の端部において、その第一板面に各々前記電極端子部とこれに重ねられる前記導線部材の組からなる、第一及び第二導通ペアが形成される一方、第二板面には前記第一導通ペアに対応する位置に第三導通ペアと、前記第二導通ペアに対応する位置に第四導通ペアとが形成され、前記絶縁部材は、前記第一板面側に積層される板状の第一絶縁板と、同じく前記第二板面側に積層される第二絶縁板とを含み、
前記セラミック素子と、これを板厚方向にサンドイッチ状に挟む前記第一及び第二絶縁板との積層方向を前記圧着方向として、前記リング部材は、少なくとも内面が方形状のもので、その対向する内面間に前記結合ユニットを挟圧するとともに、前記第一絶縁板と接する内面と前記第二絶縁板と接する内面とが互いに対向する平坦な挾圧面として形成されており、
また、前記導線部材は、それぞれ前記圧着方向を厚さ方向とする板状に形成されており、
前記結合ユニットから前記リング部材を取り外した後における前記結合ユニットの、前記第一導通ペアの形成位置に対応する前記圧着方向の外寸法合計を分解後第一結合寸法a1、同じく第二導通ペアの形成位置に対応する外寸法合計を分解後第二結合寸法a2とし、
前記リング部材の前記第一導通ペアの形成位置に対応する前記圧着方向の内寸法を分解後第一保持寸法b1(a1>b1)、同じく前記第二導通ペアの形成位置に対応する前記圧着方向の内寸法を分解後第二保持寸法b2(a2>b2)とし、
さらに、分解後第一結合寸法a1と分解後第一保持寸法b1との差(a1−b1)を分解後第一締め代δ1とし、また、分解後第二結合寸法a2と分解後第二保持寸法b2との差(a2−b2)を分解後第二締め代δ2として、
前記セラミック素子及び対応する絶縁板との間に挾圧される領域において、各前記導線部材の室温における平均的な厚さ方向圧縮応力の値が、3〜600MPaを満足するように、それら分解後第一締め代δ1及び分解後第二締め代δ2とが調整されていることを特徴とする高温下で使用されるセラミック応用電子機器。
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