JP4443202B2 - Cd4陽性t細胞に認識されるペプチド - Google Patents

Cd4陽性t細胞に認識されるペプチド Download PDF

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本発明は、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチド(ペプチドA)と、当該蛋白質の部分ペプチドであってペプチドAのアミノ酸配列を含むペプチド(ペプチドB)とを少なくとも含む癌の予防剤および/または治療剤に関する。より詳しくは、ペプチドAとCD4陽性T細胞に認識されるペプチドBとを少なくとも含む癌の予防剤および/または治療剤に関する。また、CD4陽性T細胞に認識されるペプチドB、ペプチドBを含む医薬、ペプチドBを含むCD4陽性T細胞の誘導剤並びにペプチドBに対する抗体に関する。さらに、ペプチドAとペプチドBとを併用することを特徴とする癌の防止方法および/または治療方法、並びに前記癌の予防剤および/または治療剤を用いることを特徴とする癌の防止方法および/または治療方法に関する。また、ペプチドBを用いることを特徴とするCD4陽性T細胞の誘導方法に関する。さらに、ペプチドBの同定方法に関する。
生体における癌の排除には免疫系、特にT細胞が重要な役割を果たしている。T細胞には、細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte)やヘルパーT細胞等の種類があり、それらは細胞表面抗原により区別できる。すなわち、細胞傷害性T細胞は細胞表面抗原CD8を有し、ヘルパーT細胞はCD4を有する。以下、CD8を有するT細胞をCD8陽性T細胞、CD4を有するT細胞をCD4陽性T細胞と称することがある。
CD8陽性細胞傷害性T細胞は、腫瘍免疫において主要な役割を担っている。癌患者の腫瘍局所には腫瘍細胞に対して特異的に傷害活性を示す細胞傷害性T細胞の浸潤が認められている(非特許文献1)。腫瘍細胞内で生成された腫瘍抗原由来の8個乃至11個のアミノ酸からなるペプチド、いわゆる腫瘍抗原ペプチドは、主要組織適合性抗原(以下、MHCと略称する)であるヒト白血球抗原(以下、HLAと略称する)のクラスI分子と結合して腫瘍細胞表面上に提示される。細胞傷害性T細胞は、HLAクラスI分子と腫瘍抗原ペプチドとからなる複合体を認識し、腫瘍細胞特異的に細胞傷害活性を示す。すなわち、細胞傷害性T細胞はHLAクラスI抗原拘束性に腫瘍細胞を認識する。
一方、CD4陽性ヘルパーT細胞は、通常12個乃至25個のアミノ酸からなるペプチドとHLAクラスII分子とからなる複合体を認識して(非特許文献2)、種々のサイトカインを産生することにより、細胞性免疫の増強や液性免疫に寄与する。腫瘍免疫においても腫瘍特異的細胞傷害性T細胞の誘導や維持に関わると考えられている(非特許文献3)。
HLAクラスI抗原およびHLAクラスII抗原はいずれも細胞膜抗原である。HLAクラスI抗原はほとんど全ての有核細胞上に発現している。一方、HLAクラスII抗原は樹状細胞、B細胞、マクロファージの細胞表面上に発現しており、ヒトでは活性化したCD4陽性T細胞においても発現が認められている。
HLA遺伝子は多型性に富むことが報告されている。HLAクラスI抗原には、例えば、HLA−A2、HLA−A24、HLA−B8、HLA−B46、HLA−Cw3およびHLA−Cw6等の多様性がある。HLAクラスII抗原には、例えば、HLA−DRB1(HLA−DRB104051、HLA−DRB10901、HLA−DRB108032およびHLA−DRB11302等)、HLA−DQw1およびHLA−DPw1等の多様性がある。
HLA遺伝子が多型性に富むため、それぞれの個体が有するHLAの型は必ずしも同一ではない。例えば、HLA−A亜領域の多型の1つであるHLA−A2対立遺伝子(allele)は、日本人の約40%、中国人の約53%、北アメリカ白人の約49%、南アメリカ白人の約38%、アフリカ黒人の約23%でみられる(非特許文献2)。また、HLA−A24対立遺伝子は日本人の人口の約60%(多くは、その95%の遺伝型がA2402である)、白人の約20%、アフリカ人の約12%で見られる。HLA−DRB11302対立遺伝子は、日本人の人口の約9%で認められる。欧米人に関しては、DR13(HLA−DRB11302およびHLA−DRB11301等を含む)の発現頻度が、血清学的に人口の約20−25%であることが知られている。
近年、腫瘍抗原遺伝子や腫瘍抗原由来ペプチドが、メラノーマ、食道癌、およびその他の癌で多数同定され、進行癌または転移性癌においてペプチドによる特異的免疫療法が検討されてきている(非特許文献4−9)。欧米では、腫瘍抗原投与により癌患者の体内の細胞傷害性T細胞を活性化させる癌ワクチン療法の開発がなされており、メラノーマ特異的腫瘍抗原については臨床試験における成果が報告されている(非特許文献10)。例えば、メラノーマ抗原gp100ペプチドをメラノーマ患者に皮下投与し、インターロイキン−2を静脈内投与することにより、42%の患者で腫瘍の縮小が認められている。このように腫瘍抗原は、癌ワクチンとして利用することにより、有効な癌治療効果を期待できる。
国際公開第03/050140号パンフレット 「アーカイブス オブ サージェリー(Archives of Surgery)」、1990年、第126巻、p.200−205。 「イムノジェネティクス(Immunogenetics)」、1995年、第41巻、p.178−228。 「カレント オピニオン イン イムノロジー(Current Opinion in Immunology」、1998年、第10巻、p.588−594。 「サイエンス(Science)」、1991年、第254巻、p.1643−1647。 「ジャーナル オブ エクスペリメンタル メディシン(Journal of Experimental Medicine)」、1996年、第183巻、p.1185−1192。 「ジャーナル オブ イムノロジー(Journal of immunology)」、1999年、第163巻、p.4994−5004。 「プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」、1995年、第92巻、p.432−436。 「サイエンス(Science)」、1995年、第269巻、p.1281−1284。 「ジャーナル オブ エクスペリメンタル メディシン(Journal of Experimental Medicine)」、1997年、第186巻、p.785−793。 「ネイチャー メディシン(Nature Medicine)」、1998年、第4巻、p.321−327。 「アニュアル レビュー オブ イムノロジー(Annual Review of Immunology)」、1993年、第11巻、p.331−360。 「プロステート(Prostate)」、2003年、第57巻、p.152−159。 「キャンサー サイエンス(Cancer Science)」、2003年、第94巻、p.622−627。 「ジャーナル オブ イムノロジー(Journal of Immunology)」、2000年、第164巻、p.2565−2574。 「キャンサー リサーチ(Cancer Research)」、2001年、第61巻、p.2038−2046。
本発明が解決しようとする課題は、腫瘍抗原ペプチドの癌の予防剤および/または治療剤としての効果を増強する手段を提供し利用することである。
本発明者らは、癌患者において細胞傷害性T細胞を誘導し得る前立腺特異抗原(prostate−specific antigen、以下PSAと略称する)由来腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)をワクチン投与したときに、癌患者の血漿中の該ペプチド特異的な免疫グロブリンG(以下、IgGと略称する)がワクチン投与前と比較して増加したこと、さらにその末梢血リンパ球においてPSA248−257(配列番号1)またはPSA由来の部分ペプチドであってPSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含むペプチドを特異的に認識するCD4陽性T細胞の頻度が増加したことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1.配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含有する、配列番号2、3又は14に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを認識するCD4陽性T細胞の誘導剤、
2.CD4陽性T細胞が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを認識しないT細胞である前項1記載の誘導剤、に関する。
本発明によれば、腫瘍抗原ペプチドの癌の予防剤および/または治療剤としての効果を増強し得るペプチドを提供可能である。本ペプチドは、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドであり、ペプチド特異的CD4陽性T細胞を活性化し得るペプチドである。かかるペプチドとして例えば、腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含む2つのペプチドPSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)を提供可能である。PSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)は、HLA−DRB11302拘束性にCD4陽性ヘルパーT細胞に認識されこれを活性化することができるため、これらペプチドの一方または両方と腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)とを併用することにより、腫瘍抗原ペプチドにより誘導される細胞傷害性T細胞の殺腫瘍細胞活性が増強され、その結果癌の特異的免疫療法において高い効果を得ることができる。
このように、本発明により腫瘍抗原ペプチドの癌の予防剤および/または治療剤としての効果を増強することができ、癌の特異的免疫療法において、腫瘍抗原ペプチドのみを用いたときと比較してより高い治療効果および/または防止効果を得ることができる。
本明細書において用いる用語についてまず説明する。
「腫瘍抗原」とは腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞に認識されるおよび/または細胞傷害性T細胞を誘導し得るものであり、腫瘍細胞が有する蛋白質またはペプチドを意味する。「腫瘍抗原ペプチド」とは、該腫瘍抗原が腫瘍細胞内で分解されて生じるペプチドであり、HLAクラスI分子と結合して細胞表面上に提示されることにより腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞に認識されるおよび/または細胞傷害性T細胞を誘導し得るペプチドを意味する。さらに、腫瘍抗原が有する腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞を誘導および/または活性化し得るアミノ酸配列の部位を腫瘍抗原エピトープ(腫瘍抗原決定基)という。
「認識する(recognize)」とは、認識するものが、認識される対象を他のものと見分けて認知し、例えば認知した対象に結合することを意味する。特に、本明細書において、CD4陽性T細胞がペプチドを認識するとは、CD4陽性T細胞がHLAクラスII分子により提示されたペプチドにT細胞抗原受容体を介して結合することを意味する。また、細胞傷害性T細胞がペプチドを認識するとは、細胞傷害性T細胞がHLAクラスI分子により提示されたペプチドにT細胞抗原受容体を介して結合することを意味する。さらに、ペプチド特異的に認識するとは、あるペプチドを強く認識するが、それ以外のペプチドは認識しないか弱く認識することを意味する。
「活性化する」とは、ある活性若しくは作用を有するものまたは状態を、さらに増強するまたは作動させることを意味する。特に、本明細書において、CD4陽性T細胞が活性化するとは、CD4陽性T細胞がHLAクラスII分子により提示された抗原を認識することにより、例えばインターフェロン−γ(以下、IFN−γと略称する)やインターロイキン2(以下、IL−2と略称する)等のサイトカインを産生することを意味する。また、細胞傷害性T細胞が活性化するとは、細胞傷害性T細胞がHLAクラスI分子により提示された抗原を認識することにより、例えばIFN−γを産生することを意味する。
「誘導する」とは、ある活性若しくは作用をほとんど持たないものまたは状態から、該活性若しくは該作用を発生させることを意味する。特に、本明細書において、抗原特異的なCD4陽性T細胞あるいは細胞傷害性T細胞を誘導するとは、インビトロあるいはインビボにおいて、ある抗原を特異的に認識するCD4陽性T細胞あるいは細胞傷害性T細胞を分化および/または増殖させることを意味する。
本明細書においては、単離された若しくは合成の完全長蛋白質;単離された若しくは合成の完全長ポリペプチド;または単離された若しくは合成の完全長オリゴペプチドを意味する総称的用語として「ペプチド」という用語を使用することがあり、ここで蛋白質、ポリペプチド若しくはオリゴペプチドはペプチド結合または修飾されたペプチド結合により互いに結合している2個以上のアミノ酸を含むものである。以降、アミノ酸配列を表記する場合、1文字にて表記する場合と3文字にて表記する場合がある。
本発明においては、前立腺癌患者においてHLA−A24拘束性に細胞傷害性T細胞を誘導し得るPSA由来腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)をワクチン投与したときに、該癌患者の血漿中の該ペプチド特異的IgGがワクチン投与前と比較して増加したこと、さらにその末梢血リンパ球においてPSA248−257(配列番号1)、PSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)を特異的に認識するCD4陽性T細胞の頻度が増加したことを見出した。PSA244−257(配列番号2)およびPSA246−259(配列番号3)はいずれも、PSA由来の部分ペプチドであり、腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含むペプチドである。このように、PSA248−257(配列番号1)のワクチン投与により、何らかのメカニズムでPSA由来の部分ペプチドであってPSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含むペプチドを認識するCD4陽性T細胞の頻度が増加し、該CD4陽性T細胞の作用により、PSA248−257特異的IgGが増加したと考えられる。
細胞傷害性T細胞前駆体が細胞傷害性T細胞に分化・誘導されるメカニズムとして、樹状細胞のように補助刺激活性の強い抗原提示細胞により直接活性化されるメカニズムが知られている。細胞傷害性T細胞前駆体は、細胞表面上に発現しているT細胞受容体により、樹状細胞の細胞表面上にHLAクラスI分子により提示された抗原を認識する。さらに、細胞傷害性T細胞前駆体は、細胞表面上に発現しているCD28分子により、樹状細胞の細胞表面上の補助刺激分子であるB7分子を認識する。かかる抗原の認識と補助刺激分子の認識により、細胞傷害性T細胞は活性化され、それ自体がIL−2等のT細胞増殖因子を産生し、このIL−2により増殖、分化する。
一方、ある種のウイルスや移植組織片等に対する細胞性免疫においては、細胞傷害性T細胞が分化・誘導されるメカニズムとして、CD4陽性T細胞が関与すると考えられている。このとき、細胞傷害性T細胞の前駆体とCD4陽性T細胞は、同一の抗原提示細胞上の抗原を認識する必要がある。CD4陽性T細胞により、細胞傷害性T細胞の分化・誘導に必要な補助刺激活性が補われるため、細胞傷害性T細胞が分化・誘導されると考えられる。例えば、CD4陽性T細胞は、補助刺激活性の弱い抗原提示細胞、例えばB7分子の発現が少ないか発現していない抗原提示細胞の細胞表面上にHLAクラスII分子により提示された抗原を認識し、それにより抗原提示細胞を活性化してB7分子の発現を促進させることにより、抗原提示細胞の補助刺激活性を増強させる。その結果、CD4陽性T細胞が認識した同一の抗原提示細胞上にHLAクラスI分子により提示された抗原を認識した細胞傷害性T細胞前駆体は、B7分子を認識し、活性化することができる。あるいは、CD4陽性T細胞は、補助刺激活性が強い抗原提示細胞、例えばB7分子の発現が高い抗原提示細胞を認識し、IL−2を産生することにより、CD4陽性T細胞が認識した同一の抗原提示細胞を認識した細胞傷害性T細胞前駆体を増殖、分化させ得ると考えられる。
CD4陽性T細胞はさらに、抗体が関与する液性免疫にも寄与することが知られている。すなわち、生体内で抗原特異的IgGが誘導されるためには抗原特異的IgGを発現するB細胞と該抗原と同一抗原を認識するCD4陽性T細胞との相互作用が必要と考えられている(非特許文献11)。
腫瘍抗原ペプチドによる細胞傷害性T細胞の誘導において、該腫瘍抗原ペプチドが由来した腫瘍抗原の部分ペプチドであって該腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含むペプチドを特異的に認識するCD4陽性T細胞が誘導されたことは、本発明において初めて見出した。かかるCD4陽性T細胞は、抗原提示細胞の補助刺激活性を増加させること、あるいは該CD4陽性T細胞からのIL−2産生を促進することにより、細胞傷害性T細胞の増殖、分化を促進することができると考える。さらに、かかるCD4陽性T細胞は、腫瘍により提示されている抗原を認識する抗体の産生を促進することが可能である。
このように、腫瘍抗原ペプチドによる細胞傷害性T細胞の誘導において、腫瘍抗原ペプチドが由来した腫瘍抗原の部分ペプチドであって該腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含むペプチドを用いて該ペプチド特異的CD4陽性T細胞を活性化することにより、腫瘍抗原ペプチドによる細胞傷害性T細胞の増殖、分化の促進およびペプチド特異的抗体の産生の促進が可能になり、その結果、腫瘍抗原ペプチドを用いた癌の特異的免疫療法において高い効果を得ることができる。
かかるCD4陽性T細胞は、腫瘍抗原ペプチドにより誘導されることが明らかになった。その他、腫瘍抗原ペプチドが由来した腫瘍抗原の部分ペプチドであって該腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含むペプチドを投与することにより誘導可能である。例えば、腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)をワクチン投与したときに、PSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)を特異的に認識するCD4陽性T細胞が誘導された。PSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)を特異的に認識するCD4陽性T細胞は、PSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)を用いて、例えば癌患者に投与することにより、誘導可能である。
本発明の一態様は、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドに関する。本ペプチドは、CD4陽性T細胞により認識され、CD4陽性T細胞を活性化することを特徴とする。
本ペプチドの具体例として好ましくは、PSA244−257(配列番号2)およびPSA246−259(配列番号3)が例示できる。PSA244−257(配列番号2)およびPSA246−259(配列番号3)は、CD4陽性T細胞によりHLA−DRB11302拘束性に且つペプチド特異的に認識される。したがって、これらペプチドはいずれもCD4陽性T細胞をHLA−DRB11302拘束性に且つペプチド特異的に活性化することができる。さらに、これらペプチドはいずれも、CD4陽性T細胞を活性化することにより、腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)により誘導された細胞傷害性T細胞の殺腫瘍細胞活性を増強することができる。
別の具体例としては、前立腺特異的膜抗原(prostate−specific membrane antigen、以下PSMと略称する)または前立腺幹細胞抗原(prostate stem cell antigen、以下PSCAと略称する)の部分ペプチドであって腫瘍抗原ペプチドとして既に同定したPSM624−632(配列番号4)、PSCA76−84(配列番号5)、PSCA82−91(配列番号6)またはPSCA21−30(配列番号7)のアミノ酸配列を含む、PSMまたはPSCAの部分ペプチドが挙げられる。PSM624−632(配列番号4)、PSCA76−84(配列番号5)およびPSCA82−91(配列番号6)はいずれも、前立腺癌患者においてHLA−A24拘束性に細胞傷害性T細胞を誘導した(特許文献1および非特許文献12、13)。また、PSCA21−30(配列番号7)は、前立腺癌患者においてHLA−A2拘束性に細胞傷害性T細胞を誘導した。さらに、PSM624−632(配列番号4)、PSCA76−84(配列番号5)、PSCA82−91(配列番号6)またはPSCA21−30(配列番号7)に対する特異的IgGが、PSA248−257(配列番号1)に対する特異的IgGと同様にワクチン投与前の前立腺癌患者の血中で検出され、また腫瘍抗原ペプチドに対するIgGの存在と該ペプチドの癌ワクチン効果とに関連性があることが認められた(特許文献1および非特許文献12、13)。したがって、PSMまたはPSCAの部分ペプチドであって、上記各腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含むペプチドが、PSA248−257(配列番号1)の場合と同様、CD4陽性T細胞により認識される可能性が高いと考えられる。かかるペプチドは、該ペプチドを特異的に認識するCD4陽性T細胞の誘導に用いることができる。
所望のペプチドは、腫瘍抗原ペプチドが由来した蛋白質のアミノ酸配列において、腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含むペプチドを設計して自体公知の方法で合成し、CD4陽性T細胞の活性化を測定することにより選択することができる。CD4陽性T細胞の活性化の測定は、末梢血単核細胞から調製したCD4陽性T細胞を、ペプチドをパルスした抗原提示細胞で刺激することにより確立したCD4陽性T細胞クローンあるいはCD4陽性T細胞株を用い、該細胞クローンあるいは細胞株と調べようとするペプチド(以下、被検ペプチドと称する)をパルスした抗原提示細胞を培養し、該細胞クローンあるいは細胞株から産生されるサイトカイン、例えばIFN−γ量を測定することにより行なうことができる。このとき、IFN−γ産生量が促進した場合、該細胞クローンあるいは細胞株が、当該ペプチドを認識したと判定できる。
本ペプチドは、上記具体例に限定されず、腫瘍抗原ペプチドが由来した腫瘍抗原の部分ペプチドであって該腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含むペプチドであり、CD4陽性T細胞により認識され、CD4陽性T細胞を活性化し得るペプチドである限り、いずれのペプチドであることもできる。CD4陽性T細胞が通常12個乃至25個のアミノ酸残基からなるペプチドとHLAクラスII分子からなる複合体を認識して活性化すること、ペプチド特異的IgG産生およびCD4陽性T細胞の頻度を促進したPSA248−257(配列番号1)が10個のアミノ酸残基からなるペプチドであること、PSA248−257(配列番号1)と同様に癌患者血中でペプチド特異的IgGの存在が認められたSM624−632(配列番号4)、PSCA76−84(配列番号5)、PSCA82−91(配列番号6)およびPSCA21−30(配列番号7)がいずれも9個乃至10個のアミノ酸残基からなるペプチドであることから、本ペプチドは好ましくは、9個乃至25個のアミノ酸残基からなるペプチドである。より好ましくは、10個乃至25個、さらに好ましくは12個乃至25個のアミノ酸残基からなるペプチドである。さらにより好ましくは、腫瘍抗原ペプチドをワクチン投与したときに、患者の血漿中に誘導されたペプチド特異的IgGにより認識されるペプチドであることが望ましい。
腫瘍抗原ペプチドが由来した腫瘍抗原の部分ペプチドであって該腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含むペプチドであり、CD4陽性T細胞により認識され、CD4陽性T細胞を活性化し得るペプチドは、腫瘍抗原ペプチドにより誘導された細胞傷害性T細胞の殺腫瘍細胞活性を増強することができるため、癌の特異的免疫療法を増強するための医薬として用いることができる。
ペプチドの製造は、一般的なアミノ酸の化学合成法により可能である。化学合成法には、通常の液相法および固相法によるペプチド合成法、例えばFmoc法が包含される。または市販のアミノ酸合成装置を用いて製造可能である。あるいは遺伝子工学的手法により取得することもできる。例えば目的とするペプチドをコードする遺伝子を宿主細胞中で発現できる組換えDNA(発現ベクター)を作成し、これを適当な宿主細胞、例えば大腸菌にトランスフェクションして形質転換した後に該形質転換体を培養し、次いで得られる培養物から目的とするペプチドを回収することにより製造可能である。
本発明の一態様はまた、PSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)を免疫学的に認識する抗体に関する。本発明に係る抗体は、これら各ペプチドを認識するまたは結合する抗体である。抗体は免疫学的にこれら各ペプチドを認識するまたは結合するものである限り特に限定されない。抗体は、自然抗体であってよく、また抗原を用いて作製された抗体であってもよい。抗体の製造は、抗原として好ましくは上記ペプチドを用いて、自体公知の抗体作製法を利用して実施できる。抗体による各ペプチドの認識または結合の有無は、公知の抗原抗体結合反応により測定できる。
本発明の一態様はさらに、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドを少なくとも1つ含むCD4陽性T細胞の誘導剤に関する。
本発明においてCD4陽性T細胞の誘導剤とは、例えば、ある抗原を特異的に認識するCD4陽性T細胞が存在しないあるいは非常に低い割合でしか存在しない状態から、該抗原を認識するCD4陽性T細胞が非常に多い割合で存在するような状態へと変化させる作用を示す薬剤を意味する。
本発明の一態様はさらに、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドを少なくとも1つ用いることを特徴とするCD4陽性T細胞の誘導方法に関する。
本発明の一態様はさらに、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドのCD4陽性T細胞を誘導するための使用に関する。
本発明に係るCD4陽性T細胞の誘導剤に含まれるペプチド、またはCD4陽性T細胞の誘導に用いるペプチドは、好ましくは前立腺特異的抗原由来のペプチドであるがこれに制限されず、細胞傷害性T細胞を誘導し得る腫瘍抗原由来のペプチドであってCD4陽性T細胞に認識され、これを活性化し得るペプチドであればいずれであることもできる。例えば、PSA248−257(配列番号1)は、ワクチン投与により癌患者末梢血中において該ペプチドを認識するCD4陽性T細胞の頻度を増加させた。したがって、PSA248−257(配列番号1)は、CD4陽性T細胞の誘導剤の有効成分として用いることができる。また、PSA248−257(配列番号1)のワクチン投与により、PSA244−257(配列番号2)あるいはPSA246−259(配列番号3)を認識するCD4陽性T細胞の頻度が増加したことから、PSA244−257(配列番号2)あるいはPSA246−259(配列番号3)によりかかるCD4陽性T細胞を誘導し得ると考える。PSA244−257(配列番号2)あるいはPSA246−259(配列番号3)も、CD4陽性T細胞の誘導剤の有効成分として有用である。
より具体的には、PSA248−257(配列番号1)、PSA244−257(配列番号2)およびPSA246−259(配列番号3)から選ばれるペプチドを少なくとも1つ含むCD4陽性T細胞の誘導剤が好ましい。またこれらペプチドのCD4陽性T細胞を誘導するための使用、これらペプチドを用いることを特徴とするCD4陽性T細胞の誘導方法が好適である。
本発明の一態様はさらに、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドと、当該細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドとを少なくとも含む癌の予防剤および/または治療剤に関する。
本発明において癌の予防剤および/または治療剤とは、例えば、癌の発生を予防する作用を有する医薬、癌の進行・増悪を抑制する作用を有する医薬、癌の病態を改善する効果を示す医薬を意味する。
本発明に係る癌の予防剤および/または治療剤は、その使用の一態様として癌ワクチンとして用いることができる。ここでいう癌ワクチンとは、腫瘍細胞に対する特異的免疫応答の誘導および/または増強により、癌患者の体内の細胞傷害性T細胞を活性化させて腫瘍細胞を選択的に傷害する薬物を意味する。
本発明に係る癌の予防剤および/または治療剤に含まれるペプチドは、好ましくは前立腺特異的抗原由来のペプチドであるがこれに制限されず、細胞傷害性T細胞を誘導し得る腫瘍抗原ペプチド、および該腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列を含む、該腫瘍抗原由来のペプチドであればいずれであることもできる。
より具体的には、PSA244−257(配列番号2)および/またはPSA246−259(配列番号3)と、腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)とを少なくとも含む癌の予防剤および/または治療剤が好ましい。
本発明に係る癌の予防剤および/または治療剤を適用し得る癌疾患は、特に制限されないが、好ましくは、本剤に含まれる腫瘍抗原ペプチドのHLAクラスI拘束性、およびCD4陽性T細胞を誘導し得るペプチドのHLAクラスII拘束性に応じて、適用する癌疾患を選択することができる。すなわち、癌あるいは癌患者のHLA表現型が、腫瘍抗原ペプチドおよびCD4陽性T細胞のHLA拘束性と同じであることが好ましい。例えば、PSA244−257(配列番号2)および/またはPSA246−259(配列番号3)と、腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)とを少なくとも含む癌の予防剤および/または治療剤は、腫瘍抗原ペプチドPSA248−257がHLA−A24拘束性に細胞傷害性T細胞を誘導すること、またPSA244−257(配列番号2)およびPSA246−259(配列番号3)がいずれもHLA−DRB11302拘束性にCD4陽性T細胞に認識されることから、HLAクラスI表現型がHLA−A24であり、HLAクラスII表現型がHLA−DRB11302である癌患者に適用されることが好ましい。HLA表現型の決定は、癌患者から採取した末梢血単核細胞または腫瘍の一部等を用いて、自体公知の方法に従って行うことができる(非特許文献14)。あるいは簡便には、癌患者から採取した血液を用いて、慣用の血清学的方法により判定することも可能である(非特許文献15)。
本発明に係る癌の予防剤および/または治療剤は、さらに別の腫瘍抗原ペプチドをその有効量含むことも可能である。添加する別の腫瘍抗原ペプチドは、癌の予防剤および/または治療剤を適用する患者の末梢血単核細胞からペプチド特異的細胞傷害性T細胞を誘導し得るものが好ましい。ペプチドによる末梢血単核細胞からの特異的細胞傷害性T細胞の誘導は、末梢血単核細胞とペプチドとを適当な期間培養し、対応するペプチドをパルスしたHLAクラスI分子を細胞表面に有する細胞と反応させて、産生されるIFN−γ量を測定することにより評価できる。例えば、IFN−γ産生量が、ペプチド非存在下で培養した末梢血単核細胞と比較して多ければ、細胞傷害性T細胞が誘導されたと判定できる。
本発明に係る癌の予防剤および/または治療剤はまた、抗腫瘍応答を増強可能な補助剤を含むことが可能である。かかる補助剤として例えば、細胞傷害性T細胞の増殖に有効なIL−2等が挙げられる。また、癌の予防剤および/または治療剤を癌ワクチンとして製造するときは、例えばアジュバントや担体等を補助剤として含むことにより高い抗腫瘍効果が得られる。アジュバントは1種または2種以上を組合せて用いることができる。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、ミョウバン、リピドA、モノホスホリルリピドA、BCG(Bacillus−Calmette−Guerrin)等の細菌製剤、ツベルクリン等の細菌成分製剤、キーホールリンペットヘモシアニンや酵母マンナン等の天然高分子物質、ムラミルトリペプチドまたはムラミルジペプチドまたはそれらの誘導体、アラム(alum)、非イオン性ブロックコポリマー等を挙げることができる。担体は、それ自体が人体に対して有害な作用を及ぼさず且つ抗原性を増強させ得るものであれば特に限定されず、例えばセルロース、重合アミノ酸、アルブミン等が例示される。
本発明に係る癌の予防剤および/または治療剤は、さらに1種または2種以上の医薬担体を含有することもできる。利用できる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される、安定化剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、無痛化剤、希釈剤あるいは賦形剤等を例示でき、これらは得られる製剤の投与形態に応じて適宜選択使用される。
製剤形態は投与形態に応じて選択することができる。代表的な製剤形態としては、溶液剤、乳剤、リポソーム製剤、脂肪乳剤、シクロデキストリン等の包接体、けん濁剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤丸剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤等の作製も可能であるが、これらに限定されない。これらはさらに投与経路に応じて経口剤、非経口剤、経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、吸入剤、点眼剤、点耳剤等に分類され、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形乃至調製することができる。また、溶液製剤として使用できる他に、凍結乾燥化し保存し得る状態にした後、用時、水や生埋的食塩水等を含む緩衝液等で溶解して適当な濃度に調製した後に使用することも可能である。
注射用の溶液は、塩溶液、グルコース溶液、または塩水とグルコース溶液の混合物からなる担体を用いて調製可能である。
リポソーム製剤は、例えばリン脂質を有機溶媒(クロロホルム等)に溶解した溶液に、有効成分および/または補助剤や医薬担体等を溶媒(エタノール等)に溶解した溶液を加えた後、溶媒を留去し、これにリン酸緩衝液を加え、振とう、超音波処理および遠心処理した後、上清をろ過処理して回収することにより調製できる。
脂肪乳剤化は、例えば当該物質、油成分(大豆油、ゴマ油、オリーブ油等の植物油、MCT等)、乳化剤(リン脂質等)等を混合、加熱して溶液とした後に、必要量の水を加え、乳化機(ホモジナイザー、例えば高圧噴射型や超音波型等)を用いて、乳化・均質化処理して行い得る。また、これを凍結乾燥化することも可能である。なお、脂肪乳剤化するとき、乳化助剤を添加してもよく、乳化助剤としては、例えばグリセリンや糖類(例えばブドウ糖、ソルビトール、果糖等)が例示される。
シクロデキストリン包接化は、例えば当該物質を溶媒(エタノール等)に溶解した溶液に、シクロデキストリンを水等に加温溶解した溶液を加えた後、冷却して析出した沈殿をろ過し、滅菌乾燥することにより行い得る。このとき、使用されるシクロデキストリンは、当該物質の大きさに応じて、空隙直径の異なるシクロデキストリン(α、β、γ型)を適宜選択すればよい。
懸濁剤は、水、シュークロース、ソルビトール、フラクトース等の糖類、ポリエチレングリコール等のグリコール類、油類を使用して製造できる。
その他の剤形についても、通常用いられる方法により調製可能である。
製剤中に含有されるべき有効成分の量およびその用量範囲は、特に限定されないが、ペプチドの有効性、投与形態、疾病の種類、対象の性質(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無等)、および担当医師の判断により適宜選択することが望ましい。一般的には、適当な用量範囲は、例えば一用量当り約0.01μg〜100mg程度、好ましくは約0.1μg〜10mg程度、さらに好ましくは1μg〜1mg程度とするのが望ましい。しかしながら、当該分野においてよく知られた最適化のための一般的な常套的実験を用いてこれら用量の変更を行うことができる。
投与形態は、局所投与または全身投与のいずれも選択することができる。いずれにおいても、疾患、症状等に応じた適当な投与形態を選択する。全身投与は例えば、経口、静脈内、動脈内等への投与により実施できる。局所投与は例えば、皮下、皮内、筋肉内等に投与することができる。
その他、患者の末梢血より単核細胞画分を採取して、本発明に係る癌の予防剤および/または治療剤とともに培養した後に、細胞傷害性T細胞の誘導および/または活性化が認められた該単核細胞画分を患者の血液中に戻すことによっても、有効な抗腫瘍効果効果が得られる。培養するときの単核細胞濃度、癌の予防剤および/または治療剤の濃度、培養期間等の培養条件は、簡単な繰り返し実験により決定できる。培養時に、IL−2等のリンパ球増殖能を有する物質を添加してもよい。
ワクチン投与を行う場合、皮内、皮下および筋肉内等に注射により局所投与することが好ましい。投与は上記用量を1日1回〜数回に分けて行うことができる。ワクチン投与は単回のみ行ってもよいが、同一局所あるいは別の局所に投与を繰り返し行うことが好ましい。例えば、週に1回の割合、あるいは1ヶ月〜数ヶ月に1回の割合での間欠的な投与が可能である。より具体的には、2ヶ月に1回の割合で1年以上の長期に亘って投与することができる。腫瘍抗原ペプチドと、CD4陽性T細胞に認識されるペプチドは、混合して投与してもよく、それぞれ別個の製剤として製造し、同一局所あるいは別の局所に投与することもできる。また、異なった時間または日に投与を行なうこともできる。癌ワクチンがアジュバントを含まないものである場合、癌ワクチンのみを投与してもよいが、アジュバントを同一局所に投与することが可能である。癌ワクチンがアジュバントを含むものであれば、そのまま局所投与に用いることができる。ワクチン投与のプロトコルは、被検体の症状に応じてワクチン投与の効果を確認しつつ適切な投与量と投与期間を勘案して、個々に適したプロトコルを実施し得る。
本発明の一態様はさらにまた、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドと、当該細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドとを併用することを特徴とする癌の防止方法および/または治療方法に関する。
腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、当該蛋白質の部分ペプチドと、当該細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドとの併用は、両ペプチドを同一の製剤として製造して用いることにより実施することが可能である。また、両ペプチドを別個の製剤として製造し、同時あるいはそれぞれ別の時間または日に、同一局所あるいは別の局所に投与することにより実施可能である。
本発明の一態様はまた、CD4陽性T細胞に認識されるペプチドの同定方法に関する。本発明の同定方法は、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチド(ペプチドA)をワクチン投与された癌患者から回収された末梢リンパ球から、ペプチドAを認識しないが、当該蛋白質の部分ペプチドであってペプチドAのアミノ酸配列を含むペプチド(ペプチドB)を認識するCD4陽性T細胞クローンを調製し、該CD4陽性T細胞クローンによる被検ペプチドの認識を測定することを特徴とする。
また本発明の同定方法は、腫瘍細胞において発現している蛋白質の部分ペプチドであって細胞傷害性T細胞を誘導する作用を有するペプチドをワクチン投与された癌患者の血漿中のIgGのペプチド特異性を測定し、ワクチン投与前と比較して増加したペプチド特異的免疫グロブリンGが認識するペプチドを、ワクチン投与により増加したCD4陽性T細胞が認識するペプチドであると判定する同定方法であり得る。
血漿中IgGのペプチド特異性の測定方法は、自体公知の方法がいずれも利用できるが、例えば、マルチウエルプレートを用いて種々のペプチドを固相化し、血漿を添加して反応させた後に、ペプチドに結合したIgGを標識化抗ヒトIgG抗体を用いて検出する方法等が例示できる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例において行なったペプチドワクチン療法の臨床検討は、久留米大学倫理委員会の承認を受けた臨床プロトコールに従って行い、全ての検討は患者のインフォームドコンセントを得て実施した。
(腫瘍抗原ペプチドPSA248−257の投与による該ペプチド特異的IgGの増加)
前立腺癌患者1例(HLA−DRB10901/1302)について、癌ワクチン療法として、腫瘍抗原ペプチドをワクチン投与した。初回から7回目までのワクチンでは、PSA248−257(配列番号1)、SART1 690−698(配列番号8)、SART3 109−118(配列番号9)およびPAP213−221(配列番号10)の4種のペプチドをそれぞれ3mgずつ、2週間間隔で不完全アジュバントとともに大腿部にワクチン投与した。また、8回から14回目までは、PSA248−257(配列番号1)、PSA152−160(配列番号11)、SART3 109−118(配列番号9)、PAP213−221(配列番号10)の4種のペプチドを同様の方法でワクチン投与した。ワクチン投与前およびワクチン投与後に、患者血漿中のPSA248−257(配列番号1)に対するIgGを次に記す酵素免疫固相法(ELISA)にて測定した。
PSA248−257(配列番号1)(20μl/well)を固相化したプレートに、0.05% Tween 20−BlockAceで希釈した血漿試料(ワクチン前、ワクチン7回後とワクチン13回後)を100μl/well添加し、2時間インキュベーションした。プレートを洗浄後、ウサギ抗ヒトIgG抗体、ウサギ抗ヒトIgG1抗体またはウサギ抗ヒトIgG2抗体を1:1000希釈して各wellに添加し、さらにインキュベーションした。プレートを洗浄後、ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体結合ホースラディシュパーオキシダーゼ(En Vision、DAKO社)を1:100希釈して100μlずつ各wellに添加した。さらに、プレートを洗浄後、テトラメチルベンジジン基質溶液(KPL社)を100μl/well加え、反応を1M リン酸を用いて止めた。ペプチド特異的IgG量は吸光度(OD)で示した。
図1に示すように、PSA248−257(配列番号1)に対するIgGは、ワクチン前においても同定されたが、ワクチン投与により明らかに増加した。ワクチン投与前とワクチン7回後の患者血漿中のPSA248−257(配列番号1)に対するIgGのサブタイプを検出したところ、IgG1とIgG2の両サブタイプが増加していた。
腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)のワクチン投与により、前立腺癌患者血漿中の該ペプチド特異的IgGが増加することが明らかになった。生体内で抗原特異的IgGが誘導されるためには、抗原特異的IgGを発現するB細胞と、該B細胞が認識する抗原と同一の抗原を認識するCD4陽性ヘルパーT細胞の細胞間相互作用が必要である(非特許文献11)。腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)をワクチン投与後に該ペプチドに対するIgGが増加したことから、PSA248−257(配列番号1)の投与により該ペプチドを認識するCD4陽性T細胞が誘導されたおよび/または活性化された可能性がある。
(PSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含むPSA由来ペプチドをHLA−DRB11302拘束性に認識するCD4陽性T細胞クローンOT−3.10の確立)
PSA248−257(配列番号1)の投与による該ペプチド特異的CD4陽性T細胞の誘導および/または活性化について検討した。
7回ワクチン投与後の上記前立腺癌患者の末梢血から、自体公知の方法で調製したCD4陽性T細胞を、PSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含む2つのペプチド、PSA244−257(配列番号2)およびPSA248−261(配列番号3)で刺激することによりCD4陽性T細胞クローン(OT−3.10)を確立した。まず、前立腺癌患者末梢血から調製したCD4陽性T細胞を、PSA244−257(配列番号2)およびPSA248−261(配列番号3)をパルスした健常人由来樹状細胞と共にIL−2存在下で培養した。培養後のCD4陽性T細胞は、リンパ腫細胞であるBALL−1(DRB10901)およびDaudi(DRB11302)の混合細胞を抗原提示細胞として用い、PSA244−257(配列番号2)およびPSA248−261(配列番号3)をパルスした該混合細胞と共に培養し、これら抗原提示細胞に反応してIFN−γを産生したCD4陽性T細胞を選択することにより、OT−3.10を確立した。
OT−3.10のペプチド特異性およびHLA−DRB1拘束性を確認するために、PSA244−257(配列番号2)およびPSA248−261(配列番号3)をパルスした抗原提示細胞とOT−3.10とを混合培養し、OT−3.10から産生されるIFN−γ量を測定した。抗原提示細胞として、腎上皮細胞株である293T細胞にHLA−DRB11302分子、HLA−DRB10901分子またはHLA−DRB40103分子を選択的に発現させた細胞株である293T−DRB11302、293T−DRB10901、293T−DRB40103を用いた。これら細胞株の調製は、各HLA−DR分子のcDNAを自体公知の遺伝子工学的手法で293T細胞にトランスフェクションすることにより行なった。PSA244−257(配列番号2)およびPSA248−261(配列番号3)のパルスは、これら両ペプチドそれぞれ10μg/mlを、抗原提示細胞(細胞数5×10/well)と前もって培養することにより行なった。得られた細胞とOT−3.10(細胞数2×10/well)とを18時間混合培養し、培養上清中のIFN−γ量をELISA法で測定した。また、陰性コントロールとして、PSA由来ペプチドの代わりにHIVペプチド(20μg/ml)を用いて同様の検討を行なった。
図2に示すように、OT−3.10は、PSA244−257(配列番号2)およびPSA248−261(配列番号3)をパルスした293T−DRB11302細胞に対してのみ反応してIFN−γを産生した。
また、PSAのアミノ酸配列においてPSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含む部分ペプチドを数種類調製し、該ペプチドに対するOT−3.10の反応性を上記同様に検討した。すなわち、調製した各ペプチド(10μg/ml)をパルスした293T−DRB11302(細胞数5×10/well)をOT−3.10(細胞数2×10/well)とともに18時間混合培養して、培養上清中のIFN−γ量を測定した。
図3に示すように、OT−3.10は、PSA244−257(配列番号2)をパルスした293T−DRB11302細胞に対してのみ反応しIFN−γを産生した。しかしながら、PSA246−259(配列番号3)あるいはワクチン投与したPSA248−257(配列番号1)をパルスした293T−DRB11302細胞には反応しなかった。また、PSAの部分ペプチドであってPSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含むペプチドであるPSA236−249(配列番号12)、PSA240−253(配列番号13)またはPSA248−261(配列番号14)でパルスした293T−DRB11302細胞に対しても反応しなかった。
以上の結果から、OT−3.10は、ワクチン投与に用いたPSA248−257(配列番号1)を認識しないが、PSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含むPSA244−257(配列番号2)をHLA−DRB11302拘束性に認識することが判明した。また、PSA248−257(配列番号1)のワクチン投与により、癌患者血漿中で、PSA244−257(配列番号2)に特異的なCD4陽性T細胞が誘導および/または活性化されたことが明らかになった。
(ペプチド特異的CD4陽性T細胞の頻度の経時的変化の解析)
上記前立腺癌患者の末梢血リンパ球中のペプチド特異的CD4陽性T細胞の頻度の経時的変化を解析した。解析は、PSA244−257(配列番号2)、PSA248−257(配列番号1)またはPSA246−259(配列番号3)の各ペプチドについて行なった。まず、上記前立腺癌患者末梢血(ワクチン投与前、ワクチン7回投与後およびワクチン13回投与後)から自体公知の方法で調製した末梢血リンパ球からCD8陽性T細胞を選択的に除去し、残りの細胞をそれぞれのPSA由来ペプチド(20μg/ml)で、インターロイキン2(IL−2)10U/mlの存在下に培養した。培養培地は、5%ヒト血清を含むRPMI1640培地を用いた。培養は96−well丸底プレートを用いて行い、各ペプチドにつきそれぞれ24wellを用いて培養した。2週間後に、1well中の培養細胞を4wellに分割し、そのうち2wellは刺激に用いたPSAペプチドをパルスした293T−DRB11302細胞(細胞数5×10/well)と、残りの2wellは陰性コントロールであるHIVペプチドをパルスした293T−DRB11302細胞と18時間混合培養し、培養上清中のIFN−γ量をELISAで測定した。その結果を図4に示す。各PSA由来ペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量(図4中、黒いカラム)が、HIVペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量(図4中、白いカラム)より有意に高いときに、各PSA由来ペプチド特異的CD4陽性T細胞が誘導されたと判定した。図4の横軸は、各ウエルの番号を示す。図中に示す分数は、24well中で、PSA由来ペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量がHIVペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量より有意に高いwell数を意味し、その数値が高いとき、ペプチド特異的CD4陽性T細胞の頻度が増加したと判定した。
図4に示すように、3種類の各PSAペプチド特異的HLA−DRB11302拘束性CD4陽性T細胞は、ワクチン投与前には認められなかったが、7回目のワクチン投与後には誘導されていたことが判明した。特に、13回目のワクチン後には、PSA246−259(配列番号3)をHLA−DRB11302拘束性に認識するCD4陽性T細胞の頻度が、PSA244−257(配列番号2)またはPSA248−257(配列番号1)を認識するCD4陽性T細胞の頻度と比較して明らかに増加していた。
この結果から、PSA248−257(配列番号1)のワクチン投与により、癌患者血漿中で、PSA244−257(配列番号2)またはPSA246−259(配列番号3)に特異的なCD4陽性T細胞が誘導および/または活性化されたことが明らかになった。
(PSA248−257のアミノ酸配列を含むPSA由来ペプチドをHLA−DRB1*1302拘束性に認識するCD4陽性T細胞株OT−W10の確立)
13回目のワクチン後に誘導されたPSA246−259(配列番号3)を認識するCD4陽性T細胞を含むwell(図4の13回投与後のwell#10)中の細胞をさらに培養し、PSA246−259(配列番号3)を認識するCD4陽性T細胞株(OT−W10)を確立した。
図5に示すように、OT−W10は、PSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含む3種のPSAペプチド〔PSA244−257(配列番号2)、PSA246−259(配列番号3)またはPSA248−261(配列番号14)〕をそれぞれパルスした293T−DRB11302細胞に対して反応し、IFN−γを産生した。しかしながら、ワクチン投与されたPSA248−257をパルスした293T−DRB11302細胞には反応性を示さなかった。また、PSA236−249(配列番号12)またはPSA240−253(配列番号13)でパルスした293T−DRB11302細胞に対しても反応しなかった。
このことから、PSA248−257(配列番号1)のワクチン投与により、癌患者血漿中で、PSA244−257(配列番号2)、PSA246−259(配列番号3)またはPSA248−261(配列番号14)に特異的なCD4陽性T細胞が誘導および/または活性化されたことが明らかになった。
本発明は、例えば癌の特異的免疫療法に使用することができ、医薬分野における利用可能性が非常に高く有用である。また、本発明は、T細胞による腫瘍の認識に関する分子の基礎的研究にも多大に寄与するものである。
各図において、「*」は、スチューデントtテストにおいて有意差(P<0.05)があったことを示す。
腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)のワクチン投与により、前立腺癌患者の血漿中において、該ペプチド特異的IgG(総IgG、IgG1およびIgG2)が増加したことを説明する図である。 腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)をワクチン投与した前立腺癌患者の末梢血から確立したCD4陽性T細胞クローンOT−3.10が、HLA−DRB11302を発現させた後にPSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含む2つのPSA由来ペプチド、PSA244−257(配列番号2)またはPSA248−261(配列番号3)をパルスした293T細胞に反応してIFN−γを産生したことを説明する図である。 腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)をワクチン投与した前立腺癌患者の末梢血から確立したCD4陽性T細胞クローンOT−3.10が、HLA−DRB11302を発現させた293T細胞にPSA248−257(配列番号1)をパルスしたときには該細胞に反応しなかったが、PSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含むペプチドPSA244−257(配列番号2)をパルスしたときには反応してIFN−γを産生したことを説明する図である。 前立腺癌患者の末梢血リンパ球中のペプチド特異的CD4陽性T細胞の頻度が、ペプチドのワクチン投与回数に従って増加したことを説明する図である。ペプチド特異的CD4陽性T細胞の検出は、抗原ペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量の測定により行なった。黒いカラムは、各PSA由来ペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量を示す。白いカラムは、陰性コントロールであるHIVペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量を示す。各PSA由来ペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量が、HIVペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量より有意に高いときに、各PSA由来ペプチド特異的CD4陽性T細胞が誘導されたと判定した。図中に示す分数は、24well中で、PSA由来ペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量がHIVペプチドを認識したCD4陽性T細胞から産生されたIFN−γ量より有意に高いwell数を意味し、その数値が高いとき、ペプチド特異的CD4陽性T細胞の頻度が増加したと判定した。 腫瘍抗原ペプチドPSA248−257(配列番号1)をワクチン投与した前立腺癌患者の末梢血から確立したCD4陽性T細胞株OT−W10が、HLA−DRB11302を発現させた293T細胞にPSA248−257(配列番号1)をパルスしたときには該細胞に反応しなかったが、PSA248−257(配列番号1)のアミノ酸配列を含む3つのペプチド、PSA244−257(配列番号2)、PSA246−259(配列番号3)またはPSA248−261(配列番号14)をパルスしたときには反応してIFN−γを産生したことを説明する図である。
配列番号1:前立腺特異抗原の部分ペプチド。
配列番号2:前立腺特異抗原の部分ペプチド。
配列番号3:前立腺特異抗原の部分ペプチド。
配列番号4:前立腺特異膜抗原の部分ペプチド。
配列番号5:前立腺幹細胞抗原の部分ペプチド。
配列番号6:前立腺幹細胞抗原の部分ペプチド。
配列番号7:前立腺幹細胞抗原の部分ペプチド。
配列番号8:SART1の部分ペプチド。
配列番号9:SART3の部分ペプチド。
配列番号10:前立腺酸性ホスファターゼの部分ペプチド。
配列番号11:前立腺特異抗原の部分ペプチド。
配列番号12:前立腺特異抗原の部分ペプチド。
配列番号13:前立腺特異抗原の部分ペプチド。
配列番号14:前立腺特異抗原の部分ペプチド。

Claims (2)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含有する、配列番号2、3又は14に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを認識するCD4陽性T細胞の誘導剤。
  2. CD4陽性T細胞が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを認識しないT細胞である請求項1記載の誘導剤。
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