JP2007322211A - がん患者の予後予測方法 - Google Patents

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Shigeki Shichijo
茂樹 七條
Masakazu Komatsu
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Abstract

【課題】特異免疫療法以外のがん治療後の患者の予後を予測するための簡便な方法を提供する。
【解決手段】本発明は、特異免疫療法でないがん治療を受けるがん患者より該がん治療の前および後に採取された血液試料において腫瘍抗原ペプチドまたはウイルス由来ペプチドに対する抗体のレベルを測定することを含む、がん治療後のがん患者の予後を予測する方法、および該方法を実施するためのキットを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、特異免疫療法以外のがん治療後の患者の予後を予測する方法および該方法を実施するためのキットに関する。
がん患者ではがんを抑制しようとする免疫応答が誘導され、その進行が阻害されていると言われている。しかしながら、化学療法や放射線療法のような一般的ながん治療法はこの免疫機能を低下させやすく、またこのような治療による免疫機能の変動は患者の予後に関与していると考えられている。
このような背景から、患者自身が持つがんに対する免疫応答を亢進させる免疫療法が試みられている。例えば、BCGやアガリクスなどの菌体を投与して非特異的な免疫応答を誘導することにより抗腫瘍効果を発揮しうる非特異免疫療法や、特定の腫瘍抗原または患者から摘出した腫瘍組織の構成成分、またはこれらの腫瘍抗原や構成成分を取り込ませた樹状細胞を患者に投与してがんに対する免疫応答を誘導する免疫療法が試みられている。
現在、化学療法、放射線療法、免疫療法等の治療の前後における免疫機能の変動は、T細胞の機能測定、B細胞やヘルパーT細胞の血清学的検査および増殖能検査、T細胞のELISPOTアッセイ、テトラマーアッセイ、サイトカインフローサイトメトリーアッセイ(非特許文献1)、リンパ球のTh1/Th2バランスの測定などにより評価されている。しかしながら、いずれの方法も手技的に複雑であり、また時間や費用もかかる。
特許文献1には、腫瘍に対する特異免疫応答を誘導し得るペプチドを投与し、その投与後の抗ペプチド抗体のレベルを測定することによって、患者の予後を予測する方法が開示されている。特定の腫瘍抗原を利用するいわゆる特異免疫治療法においては、その腫瘍抗原に対する免疫応答を測定することにより免疫機能の変動を評価することができる。しかしながら、化学療法や放射線療法は、がん患者の免疫機能を低下させるが、どのような免疫機能の低下ががんの増悪に影響を与えているか不明であり、予後を予測するための免疫機能の測定は困難である。また、特異免疫療法でない免疫療法、すなわち菌体などを用いて非特異免疫応答を誘導する方法や、特定の腫瘍抗原を同定せずに患者から摘出した腫瘍組織の構成成分を投与して抗腫瘍免疫応答を誘導する方法などは、抗腫瘍効果に関与する抗原が明確でない。そのため、特異免疫療法以外のがん治療においては、治療前後における免疫機能の変動を測定し、予後を予測することは困難である。
国際公開第2005/029083号パンフレット Keilholz et al, Immunologic monitoring of cancer vaccine therapy: results of a workshop sponsored by the Society for Biological Therapy. J Immunother., 2002, 25(2), 97-138)
本発明は、特異免疫療法以外のがん治療後の患者の予後を予測するための簡便な方法を提供することを目的とする。
本発明は、特異免疫療法でないがん治療を受けるがん患者より該がん治療の前および後に採取された血液試料において1種以上の腫瘍抗原ペプチドまたはウイルス由来ペプチドに対する抗体のレベルを測定することを含む、がん治療後のがん患者の予後を予測する方法、および該方法を実施するためのキットを提供する。具体的には、本発明は、配列番号1から8のいずれかの配列を有するペプチドまたはその誘導体に対する抗体のレベルを測定することを含む該方法および該方法を実施するためのキットを提供する。
本発明により、特異免疫療法以外のがん治療後の患者の予後を容易に予測することが可能となる。
1.ペプチドおよびその誘導体
本発明の方法におけるペプチドとは、腫瘍抗原ペプチドまたはウイルス由来ペプチドである。本明細書において、腫瘍抗原ペプチドとは、腫瘍抗原のアミノ酸配列に由来する、アミノ酸残基数4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは8、9、10、または11個のペプチドを意味する。本明細書において、ウイルス由来ペプチドとは、ウイルス抗原のアミノ酸配列に由来する、アミノ酸残基数4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは8、9、10、または11個のペプチドを意味する。本発明の方法に好適に使用される腫瘍抗原ペプチドおよびウイルス由来ペプチドは、配列番号1から7のいずれかの配列を有する腫瘍抗原ペプチド、および配列番号8の配列を有するウイルス由来ペプチドである:SART3-109(配列番号1:VYDYNCHVDL)、MRP3-503(配列番号2:LYAWEPSFL)、Lck-246(配列番号3:KLVERLGAA)、MRP3-1293(配列番号4:NYSVRYRPGL)、PSCA-21(配列番号5:LLCYSCKAQV)、およびSART2-93(配列番号6:DYSARWNEI)、ppMAPkkk-294(配列番号7:GLLFLHTRT)およびK532-74(配列番号8:YLTFYFTNDV)。
本明細書において、ペプチドの誘導体とは、抗体による認識を損なわない範囲で、ペプチドのアミノ酸配列に対して1または2個のアミノ酸を欠失、置換、または挿入した配列を有するペプチドを意味する。アミノ酸の置換は、好ましくは保守的アミノ酸置換である。
ペプチドおよびその誘導体は、天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸によって構成されていてよく、また、抗体による認識を損なわない範囲で、そのアミノ基やカルボキシル基が修飾されていてもよい。ペプチドまたはその誘導体は、通常のペプチド合成方法により製造することができる(Peptide Synthesis, Interscience, New York,1966; The Proteins, Vol2, Academic Press Inc.,New York, 1976;ペプチド合成、丸善(株)、1975;ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)、1985;医薬品の開発続 第十四巻・ペプチド合成、広川書店、1991)。
2.がん治療法
本発明の方法は、特異免疫療法以外のがん治療に用いられる。本明細書において特異免疫療法とは、がん細胞に対してCTLを誘導しうる、またはがんに対する臨床効果が明らかとなっている特定の腫瘍抗原またはウイルス抗原(タンパク質やペプチド分子)を利用し、そのがんに特異的な免疫応答を誘導する方法を意味する。これに対して、本発明の方法が好適に用いられる特異免疫療法以外のがん治療とは、特定の腫瘍抗原やウイルス抗原に対する特異免疫応答の誘導を目的としていない治療法を意味し、例えば、非特異免疫療法、化学療法、または放射線療法である。これら治療法は、互いに組み合わされていてもよい。すなわち、本発明の予後予測方法は腫瘍抗原ペプチドまたはウイルス由来ペプチドを使用するものの、その腫瘍抗原またはウイルス抗原を標的とする特異免疫療法は対象としていない。
本明細書において非特異免疫療法とは、特定の腫瘍抗原またはウイルス抗原に対する特異免疫応答の誘導を目的としていない免疫療法を意味する。非特異免疫療法には、例えば、生体応答調節剤(BRM)療法、および特定の腫瘍抗原またはウイルス抗原を標的としない細胞免疫療法が含まれる。BRM療法とは、サイトカインや菌体等により腫瘍細胞に対する患者の免疫機能を賦活化し治療効果をもたらす方法である(IL-2(Culine S, et al., Am J Clin Oncol. 2006 Apr;29(2):148-52.);IFNα(Oosterling SJ, et al., Histol Histopathol. 2006 Jul;21(7):753-60.);BCG(Tishler M, et al., Expert Opin Drug Saf. 2006 Mar;5(2):225-9.))。細胞免疫療法は、例えば、リンフォカイン活性化キラー細胞(LAK)療法(Kuppen PJ, et al., Histochem Cell Biol. 2001 Jan;115(1):67-72.;Yasumura S, et al., Cancer Res. 1994 Jul 15;54(14):3808-16.)や腫瘍組織浸潤リンパ球(TIL)療法のような養子免疫療法(Cooper L, et al., Cytotherapy. 2006;8(2):105-17.; Zhong RK, et al., Cytotherapy. 2006;8(1):3-12.: Somasundaram R, et al., Cancer Res. 2006 Mar 15;66(6):3287-93.; Duval L, et al., Clin Cancer Res. 2006 Feb 15;12(4):1229-36.)、および樹状細胞療法(Tsiatas ML, et al., Anticancer Res. 2001 Mar-Apr;21(2A):1199-206.; Yoshida S, et al., Cancer Immunol Immunother. 2001 Aug;50(6):321-7.)である。細胞免疫療法について「特定の腫瘍抗原またはウイルス抗原を標的としない」とは、特定の腫瘍抗原またはウイルス抗原を特異的に認識するT細胞、あるいは特定の腫瘍抗原またはウイルス抗原のペプチド断片を提示する樹状細胞を投与する方法でないことを意味する。
本発明の方法が好適に使用される非特異免疫療法として、樹状細胞と腫瘍細胞との融合細胞を免疫することにより腫瘍特異的CD8陽性細胞傷害性T細胞を誘導する、融合細胞ワクチン療法があげられる (Wang J, et al., J Immunol, 161(10), 5516-24, 1998.; Celluzzi CM, et al., Immunol, 160(7), 3081-5, 1998; Clin Exp Immunol. 2006 Apr;144(1):41-7)。この融合細胞ワクチン療法は、腫瘍抗原が不明な患者も対象とできることから、ワクチン療法の適応拡大の点で期待されている。これまで本方法の免疫モニタリングにはリンパ球のTh1/Th2バランスが用いられてきたが、操作が煩雑で再現性が低いという問題があった(Iinuma H, et al., Gan To Kagaku Ryoho, 31(11), 1640-2, 2004)。
本発明の方法が好適に使用される別の非特異免疫療法として、MLTC(mixed autologous lymphocytes and tumor cell culture)法により増殖させたリンパ球を腫瘍局所へ局注するか、あるいは動注または静注する細胞免疫療法方法が挙げられる (Toh U, et al., Int J Clin Oncol, 7, 372-375, 2002)。
本明細書において化学療法とは、抗がん剤による治療を意味する。抗がん剤の種類は、特に限定されない。抗がん剤としては、例えば、アルキル化剤(Busulfan(Lesurtel M, et al., Science 2006 Apr 7;312(5770):104-7.))、白金製剤(シスプラチン(Rosenberg B, et al., Nature 1965;205:698-9.))、代謝拮抗物質(5-フルオロウラシル(Sun Y, et al., Cancer Res. 2002 Nov 1;62(21):6323-8.))、抗腫瘍性抗生物質(ロキシスロマイシン(Aoki D, et al., Anticancer Res. 2005 Jan-Feb;25(1A):133-8.;ラパマイシン(Romano MF, et al., Eur J Cancer. 2004 Dec;40(18):2829-36))、植物成分由来薬(ビンクリスチン(Martinez-Campa C, et al., Breast Cancer Res Treat. 2006 Mar 23))、分子標的薬(ゲフィチニブ(Leggas M, et al., Cancer Res. 2006 May 1;66(9):4802-7.))などが挙げられる。抗がん剤の投与量および投与経路は、患者の年齢、体重、性別、病状等により、担当医により適宜変更される。放射線療法とは、γ線やX線の照射により細胞のDNAに障害を与え、がん細胞の増殖を抑制する方法である。
3.患者
本発明の方法は、様々ながんに広く使用可能である。本発明の方法が特に好適な患者は、限定はされないが、大腸癌、胃癌、肝癌、乳癌、卵巣癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、舌癌、中皮腫、または類上皮肉腫の患者である。
4.血液試料
本発明の方法において、患者の血液試料は、がん治療の開始前および一定期間の治療を施した後(以降、単に治療前および治療後という)に採取されたものである。治療後の血液試料は、選択されたがん治療法において、一定の効果が得られるとされる治療を施した後に採取されたものである。したがって、そのがん治療の終了後に採取されたものであっても、治療継続中のある時点において採取されたものであってもよく、がん治療の種類や患者の状態に基づき担当医により適宜決定される。本明細書における血液試料には、全血、血清および血漿が含まれ、好ましくは血清である。血液試料は、当業界にて知られる常套的方法によって調製することができる。
5.抗体の測定
患者血液試料中の抗ペプチド抗体は、当業界に知られるいずれの方法により測定してもよい。測定方法としては、例えばELISA法(Pedersen MK, et al., J Immunol Methods. 2006 Apr 20;311(1-2):198-206. Epub 2006 Mar 6.)、ルミネックス法(Komatsu N, et al., Scand J Clin Lab Invest 64, 535-546, 2004)、RIA法(Maruta T, et al., Immunol Invest. 2006;35(2):137-48.)が挙げられる。なかでも、ルミネックス法により測定することが好ましい。測定する抗ペプチド抗体のクラスはペプチドの種類にしたがい適宜決定されるが、通常IgGまたはIgMである。
6.予後予測
本発明は、特異免疫療法でないがん治療により血液中のある種の抗ペプチド抗体のレベルが上昇または低下し、その変動が患者の予後と相関するという事実に基づく。抗体レベルの変動の評価方法は、使用した抗体測定法にしたがい適宜変更されうる。例えば、抗体の測定をルミネックス法で行う場合、治療による抗体レベルの変動は以下の式により計算する:抗体レベルの変動値=治療後の抗体レベル(蛍光強度)−治療前の抗体レベル(蛍光強度)。抗体レベルが上昇するとは、抗体レベルの変動値が正の値となることを意味し、低下するとは負の値となることを意味する。抗体レベルの変動値の絶対値が大きければ大きいほど、予後がより良好または不良であると予測することができる。配列番号1から8のいずれかの配列を有するペプチドまたはその誘導体を用いる場合、抗体レベルが以下のように変動したときに予後が良好であると予測することができる。
Figure 2007322211
本発明の方法においては、2種類以上のペプチドに対する抗体レベルの変動を評価してもよい。
7.キット
本発明のキットは、前述の腫瘍抗原ペプチド、ウイルス由来ペプチド、またはそれらの誘導体を含む。配列番号1から8のいずれかの配列を有するペプチドまたはその誘導体が、本発明のキットに特に好適である。キットはさらに、適当な緩衝液、希釈液、コントロールの抗体などを含んでも良い。キットは、例えば、ELISA法、ルミネックス法、またはRIA法などを実施するためのキットであり、特にルミネックス法を実施するためのキットが好ましい。
本発明を以下の実施例により説明するが、本発明はいかなる意味においてもこれら実施例に限定されない。
(実施例1)
本実施例では、患者由来の樹状細胞と腫瘍細胞とを用いる融合細胞ワクチン療法をうけたがん患者において、ペプチドSART3-109(配列番号1)、MRP3-503(配列番号2)、およびLck-246(配列番号3)に対する抗体のレベルと予後との相関について検討した。
試験に先立ち、参加する患者から書面による同意を得た。
患者より摘出したがん病変組織由来の細胞と同じ患者由来の樹状細胞(DC)とを融合し、得られた細胞を元の患者へ投与した(Clin Exp Immunol. 2006 Apr;144(1):41-7)。DCは、白血球搬出法(leukapheresis)により採取した末梢血単核球にGM-CSFおよびIL-4を添加して培養し、さらにTNFα、IL-1β、およびPGE2を添加することで誘導した。DCまたはDC+IL-12(30 ng/kg)は、2週間間隔で計4回、両側の鼠蹊部に接種した。各患者のがん、治療法、および生存期間を表1に示す。
Figure 2007322211
がん患者から採取された治療前(融合細胞ワクチン療法による細胞投与開始1週間前)および治療後(融合細胞ワクチン療法による4回目の細胞投与の一週間後)の血清をブロックエース(商品名、乳タンパク質から調製した免疫実験用ブロッキング剤、大日本住友製薬販売)で100倍希釈し、血清中の抗ペプチド抗体のレベルをルミネックス法により測定した。詳細には、各ペプチドを固相化した蛍光色素を含有するマイクロビーズ(ルミネックス Corp (Austin, TX, USA)をフィルタープレート(MABVN1250, Millipore Corp., Bedford, MA, USA)に加え、そこに希釈した100μLの血清を添加して2時間37℃で反応させ、その後減圧吸引法でビーズを洗浄し、100μLのビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(ガンマ鎖特異的)(BA-3080(Vector Laboratories Inc., Burlingame, CA, USA)またはビオチン化ヤギ抗ヒトIgM(ミュー鎖特異的)(BA-3020(Vector Laboratories Inc., Burlingame, CA, USA)を加え1時間37℃で反応させた。プレートを洗浄し、100μLのストレプトアビジン標識PE(S-866,Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)を加え、30分間37℃反応させた。プレートを洗浄した後、100μLのTween-20-PBS(リン酸緩衝液)を加え測定に用いた。それぞれの試料につき、少なくとも100個のビーズの蛍光強度を二重に測定した。各ペプチドについて、治療前の血清における蛍光強度(A)および治療後の血清における蛍光強度(B)から、以下の式にしたがい蛍光強度の差(IgGまたはIgMレベルの変動値)を算出した:抗体レベルの変動値=B−A。
SART3-109(配列番号1)およびMRP3-503(配列番号2)について、IgGまたはIgMレベルの変動値と各患者の生存期間をプロットし、変動値と生存期間との相関を解析した。相関は、ピアソンの相関係数により表した。その結果、SART3-109(配列番号1)に対するIgG抗体レベルの変動値およびMRP3-503(配列番号2)に対するIgM抗体レベルの変動値と患者の生存期間は、負の相関を示した(SART3-109:ピアソンの相関係数:-0.461、有意確率:P=0.035(図1);MRP3-503:ピアソンの相関係数:-0.568、有意確率:P=0.007(図2))。この結果は、がん治療の前後にこれらペプチドに対する抗体を測定することにより、患者の予後が予測できることを示す。
例えば、本実施例の範囲においては、SART3-109(配列番号1)に対するIgG抗体レベルが負の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に正の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。また、MRP3-503(配列番号2)に対するIgM抗体レベルの変動値が負の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に正の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。
また、先の患者から4例(肉腫1例、中皮腫1例、および乳癌2例)の患者を除いた17人の患者を生存期間が10ヶ月以上の群(予後良好群)と10ヶ月未満の群(予後不良群)に分けたところ、Lck-246(配列番号3)に対するIgMレベルの変動値は、予後不良群では10人中8人の患者において正の値であったのに対し、予後良好群では7人中7人で負の値であった(表2)。この結果は、治療による本ペプチドに対するIgMレベルの変動を調べることよって、患者の予後を予測できることを示す。本実施例の範囲においては、Lck-246(配列番号3)に対するIgMレベルの変動値が正の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に負の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。
Figure 2007322211
(実施例2)
試験に先立ち、参加する患者から書面による同意を得た。
実施例1と同様にして、13名のがん患者において、融合細胞ワクチン療法による治療後の予後とペプチドK532-74(配列番号8)、MRP3-1293(配列番号4)、PSCA-21(配列番号5)、およびSART2-93(配列番号6)に対する抗体レベルとの相関を検討した。
Figure 2007322211
その結果、K532-74(配列番号8)に対するIgGレベルの変動値と生存期間の間に、有意な正の相関が認められた(ピアソンの相関係数:0.868、有意確率:P=0.000(図3))。また、SART2-93(配列番号6)に対するIgMレベルの変動値と生存期間の間には、有意な負の相関が認められた(ピアソンの相関係数:-0.235、有意確率:P=0.008(図4))。
また、MRP3-1293(配列番号4)について、臨床効果(部分寛解(PR)、病状安定(SD)、病状増悪(PD))とIgMレベルとの相関を検討した。統計処理は、ピアソンの相関係数の検定により行った。その結果、MRP3-1293に対するIgMレベルの変動値は、PD群と比較してSD群において有意に上昇していることがわかった(P=0.048、図5)。
さらに、K532-74(配列番号8)およびPSCA-21(配列番号5)に関して、IgMレベルが上昇した患者において、抗体レベルの変動値と生存期間との間に有意な相関が認められることがわかった(K532-74:ピアソンの相関係数:0.793、危険率P<0.05;PSCA-21:ピアソンの相関係数:0.552、危険率P<0.05、図6および7)。
以上の結果は、K532-74(配列番号8)、MRP3-1293(配列番号4)、PSCA-21(配列番号5)、およびSART2-93(配列番号6)に対する抗体レベルをがん治療の前後に測定することにより、がん患者の予後予測が可能であることを示す。本実施例の範囲においては、K532-74(配列番号8)に対するIgGレベルの変動値が正の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に負の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。また、K532-74(配列番号8)に対するIgMレベルの変動値は、正の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に負の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。MRP3-1293(配列番号4)に対するIgMレベルの変動値は、正の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に負の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。PSCA-21(配列番号5)に対するIgMレベルの変動値は、正の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に負の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。さらに、SART2-93(配列番号6)に対するIgMレベルの変動値は、負の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に正の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。
(実施例3)
試験に先だって、試験に参加する患者から書面による同意を得た。
MLTC法により増殖させたリンパ球用いる細胞免疫療法方法(Toh U, et al., Int J Clin Oncol, 7, 372-375, 2002)を受けた患者において、実施例1と同様にして、ppMAPkkk-294(配列番号7)に対するIgGまたはIgMのレベルと患者予後との相関を検討した(表3)。
Figure 2007322211
その結果、ppMAPkkk-294(配列番号7)に対するIgGレベルの変動値と生存期間との間に有意な負の相関が認められた(ピアソンの相関係数:-0.352、有意確率:P=0.002(図8)。この結果は、ppMAPkkk-294(配列番号7)ががん患者の予後予測に使用可能であることを示す。本実施例の範囲においては、ppMAPkkk-294(配列番号7)に対するIgGレベルの変動値が負の値で絶対値が大きいほど良好な予後が期待でき、逆に正の値で絶対値が大きいほど予後不良であると予測できる。
抗SART3-109IgG抗体のレベルと患者の生存期間の相関。縦軸は、抗体レベルの変動値(fluorescent intensity unit: FIU)を表す。 抗MRP3-503IgM抗体のレベルと患者の生存期間の相関。縦軸は、抗体レベルの変動値(FIU)を表す。ル(縦軸)は、蛍光強度により表す。 抗K532-74IgG抗体のレベルと患者の生存期間の相関。縦軸は、抗体レベルの変動値(FIU)を表す。 抗SART2-93IgM抗体のレベルと患者の生存期間の相関。縦軸は、抗体レベルの変動値(FIU)を表す。 抗MRP3-1293IgM抗体のレベルと臨床効果の相関。縦軸は、抗体レベルの変動値(FIU)を表す。 抗K532-74IgM抗体のレベルと患者の生存期間の相関。縦軸は抗体レベルの変動値(FIU)、横軸は生存期間(月)を表す。R2は相関計数の二乗を意味する。 抗PSCA-21IgM抗体のレベルと患者の生存期間の相関。縦軸は抗体レベルの変動値(FIU)、横軸は生存期間(月)を表す。R2は相関計数の二乗を意味する。 抗ppMAPkkk-294IgG抗体のレベルと患者の生存期間の相関。縦軸は、抗体レベルの変動値(FIU)を表す。

Claims (15)

  1. 特異免疫療法でないがん治療を受けるがん患者より該がん治療の前および後に採取された血液試料において配列番号1から8のいずれかの配列を有するペプチドまたはその誘導体に対する抗体のレベルを測定することを含む、がん治療後のがん患者の予後を予測する方法。
  2. 配列番号1から8のいずれかの配列を有するペプチドに対する抗体のレベルを測定する、請求項1記載の方法。
  3. がん治療が、非特異免疫療法、化学療法、もしくは放射線療法またはそれらの組み合わせである、請求項1または2記載の方法。
  4. がん患者が、大腸癌、胃癌、肝癌、乳癌、卵巣癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、舌癌、中皮腫、または類上皮肉腫の患者である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. ペプチドが配列番号1の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgG抗体のレベルが該がん治療後に低下している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. ペプチドが配列番号2の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgM抗体のレベルが該がん治療後に低下している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  7. ペプチドが配列番号3の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgM抗体のレベルが該がん治療後に低下している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  8. ペプチドが配列番号4の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgM抗体のレベルが該がん治療後に上昇している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  9. ペプチドが配列番号5の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgM抗体のレベルが該がん治療後に上昇している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  10. ペプチドが配列番号6の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgM抗体のレベルが該がん治療後に低下している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  11. ペプチドが配列番号7の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgG抗体のレベルが該がん治療後に低下している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  12. ペプチドが配列番号8の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgG抗体のレベルが該がん治療後に上昇している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  13. ペプチドが配列番号8の配列を有するペプチドであり、該ペプチドに対するIgM抗体のレベルが該がん治療後に上昇している場合に予後が良好であると予測する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  14. 配列番号1から8のいずれかの配列を有するペプチドまたはその誘導体を含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法を実施するためのキット。
  15. ルミネックス法に使用するための、請求項14記載のキット。
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