JP4441032B2 - 二官能性有機リン化合物、重合体、及び用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な二官能性有機リン化合物、その中間体、該新規な二官能性有機リン化合物および/または中間体の重合体、製造方法及び用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、生体内には多種のリン脂質が含まれており、これらのリン脂質は、生体が生命を維持するために重要な役割を演じていることが明らかとなっている。たとえばリン脂質は細胞膜等の細胞質の構成要素であって、生体の種々な代謝過程と密接な関係があり、また脳組織のエネルギー源、脂肪の運搬および吸収、血液の凝固、食物の味の知覚等にも非常に重要な役割を果たしている。このように、リン脂質は生体全体の生命維持に関わる多くの機能を持つため、人工臓器用等の医用材料やバイオセンサー等のセンサー類などへ応用する試みが数多くなされている。しかし、一般にこれらの試み用いられているリン脂質はレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン等いずれも生体から抽出した低分子量の天然物であり、均一で強固な膜や繊維等の成形体を構成するのは困難である。
上述したセンサー、医用材料等の分野に利用するためには、前記のリン脂質の類似の誘導体は、比較的高分子量のものが得られ、かつ強固なフィルムや繊維などの成形体として得ること、ならびに容易に製造できることなどが要望されている。
【0003】
このような背景の中で、従来、リン脂質類似構造を有するポリマーとしてホスホリルコリン類似基を有するアクリレートポリマーが報告されている(特開昭54−63025号公報等)。しかしながら、アクリレートポリマーは重合時に空気中の酸素の影響を受けやすく、未反応のモノマーが残り、その未反応モノマーの量を除去したりコントロールするのが困難であるという問題点があった。
さらに、特開昭63−96200号公報には、リン脂質化ポリペプチドが開示されている。リン脂質化ポリペプチドはポリ−γ−ジメチルヘキシルグルタミン酸を用いており、入手しにくいという問題点があった。
また、前記の両者とも、成形体として用いるには強度が十分でないという問題点があった。
【0004】
また、リン脂質類似構造を有するジオール化合物とジフェニルメタンジイソシアネート、ジカルボン酸クロライド化合物からリン脂質類似構造を有するポリウレタン、ポリエステル等の重合体を得る方法が知られている(特開昭61−207395号公報、特開平10−28687号公報、特表昭62−500726号公報、特表平1−500440号公報)。しかし、これらのポリウレタン、ポリエステル等は、フィルムなどの成形体などにしたときの強度が必ずしも十分ではないという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、強固なフィルム等の成形体を容易に形成することができ、かつ生体適合性に優れたポリカーボネート、ポリスルフィド、ポリエーテル等の重合体を容易に製造する上で重要な原料となる、ホスホリルコリン類似基とジハロゲン基を併せ有する新規な二官能性有機リン化合物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記の中間体を提供することにある。
本発明の第3の目的は、強固なフィルム等の成形体を容易に形成することができ、かつ生体適合性に優れた、新規なホスホリルコリン類似基を有する重合体を提供することにある。
本発明の第4の目的は、新規な二官能性有機リン化合物の中間体の製造方法を提供することである。
本発明の第5の目的は、新規な二官能性有機リン化合物の製造方法を提供することにある。
本発明の第6の目的は、前記の新規な二官能性有機リン化合物を構成単位とするホスホリルコリン類似基を含有する重合体の製造方法を提供することにある。および本発明の第7の目的は、これらの新規なホスホリルコリン類似基を含有する重合体の用途を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、環状リン化合物と、1〜2個の水酸基とジハロゲン基を併せ有する化合物を反応させて、新規な環状リン化合物の中間体を経て、さらにアミンと反応させるとホスホリリルコリン類似基とジハロゲン基を併せ有する新規な二官能性有機リン化合物が得られることの知見を得て、またさらに、前記の新規な二官能性有機リン化合物を重合して得られたホスホリルコリン類似基を含有する重合体は、製膜性に優れ、優れた抗血栓性を有することの知見を得て、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)である。
【0007】
(1) 下記式[1]
【0008】
【化9】
【0009】
(式中Yは炭素数2〜30の2価の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基。p、q及びrはそれぞれ繰り返し数で、pは1〜200、qは0〜200、rは1〜1000の整数である。)で表される重合体。
【0018】
(2)下記式[4]
【0019】
【化12】
【0020】
(式中Yは炭素数2〜30の2価の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基。p、q及びrはそれぞれ繰り返し数で、pは1〜200、qは0〜200、rは1〜1000の整数である。)で表される重合体。
【0032】
(3) 前記の(2)に記載の重合体を用いてなる生体適合性材料。
【0033】
【発明の実施の形態】
第1の発明の二官能性リン化合物は、下記式[1]
【0034】
【化17】
【0035】
で表される二官能性有機リン化合物である。
ここで、X1はハロゲン原子、Zは1または2個の水酸基を有する炭素数1〜30のジハロゲン化合物の残基を示す。mは2〜4の整数を示す。R1、R2およびR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。また、nは1または2の整数を示す。ここで、「二官能性化合物」とはジハロゲン化化合物を指す。
【0036】
第2の発明の二官能性リン化合物の中間体は、
下記式[2]
【0037】
【化18】
【0038】
で表される前記式[1]の二官能性有機リン化合物の中間体である。
ここで、式中、X1はハロゲン原子、Zは1または2個の水酸基を有する炭素数2〜30のジハロゲン化合物の残基を示す。また、mは2〜4の整数を示す。nは1または2の整数を示す。
【0039】
前記の中間体の製造方法は、次の方法に容易に製造することができる。すなわち、下記式[5]
【0040】
【化19】
【0041】
(式中、X1はハロゲン原子、Zは1または2個の水酸基を有する炭素数1〜30のジハロゲン化合物の残基、nは1または2の整数を示す。)
で表されるジハロゲン化合物と下記式[6]
【0042】
【化20】
【0043】
(式中、X2はハロゲン原子であり、mは2〜4の整数である。)
で表される環状リン化合物とを有機塩基の存在下で反応させること特徴とする下記式[2]
【0044】
【化21】
【0045】
(式中、Z、X1、m、nは前記と同じである。)
で表される中間体化合物の製造方法である。
【0046】
また、前記の式[1]の製造方法は、次のようにして容易に製造することができる。すなわち、その後、前記式[2]の中間体と下記式[7]
【0047】
【化22】
【0048】
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で表されるアミンを反応させることを特徴とする前記の式[1]で表される二官能性有機リン化合物の製造方法である。
【0049】
第3の発明は、前記式[1]で表される二官能性有機リン化合物または式[2]の中間体の残基を構成成分として含有する重合体である。
好ましくは、下記式[3]
【0050】
【化23】
【0051】
(式中、Zは1または2個の水酸基を有する炭素数1〜30のジハロゲン化合物の残基。mは2〜4の整数を示す。nは1または2の整数を示す。R1、R2、R3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。また、Yは炭素数2〜30の2価の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基。p、q及びrはそれぞれ繰り返し数で、pは1〜200、qは0〜200、rは1〜1000の整数である。R4、R5は同一であっても異なっていてもよく2価の有機基である。)
で表される前記の重合体である。
【0052】
さらに好ましくは、式[3]において、R4、R5が、−O−C(=O)−O−、−O−、−S−、−SO2−および−N(−H)−C(=O)−からなる群より選択される二価の有機基である前記の重合体である。
【0053】
またさらにより好ましくは、式[3]において、R4=R5=−O−C(=O)−O−基であり、下記式[4]
【0054】
【化24】
【0055】
(式中、Zは1または2個の水酸基を有する炭素数1〜30のジハロゲン化合物の残基を示す。mは2〜4の整数を示す。nは1または2の整数を示す。R1、R2、R3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。また、Yは炭素数2〜30の2価の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基。p、q及びrはそれぞれ繰り返し数で、pは1〜200、qは0〜200、rは1〜1000の整数である。)
で表される前記の重合体である。
前記式[3]で表される重合体の製造方法は、次の製造方法により容易に製造することができる。すなわち、例えば、前記の式[4]で表される重合体の製造方法の例としては、次の製造方法が挙げられる。
前記の式[1]で表される二官能性有機リン化合物と、下記式[8]
X3−Y−X3・・・[8]
(式中、X3はハロゲン原子であり、Yは炭素数2〜30の2価の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である。)
で表される化合物とを、下記式[9]
M2CO3・・・[9]
(式中、Mアルカリ金属である。)
で表される化合物と反応させる前記の式[4]の重合体の製造方法である。
【0056】
前記の式[3]で表される重合体のうち、R4、R5が−O−の構造のものの製造方法としては、例えば、前記の式[1]の二官能性有機リン化合物と下記式[10]
MO−Y−OM ・・・[10]
(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属、Yは炭素数2〜30の2価の炭化水素基または芳香族炭化水素基である。)
で表される化合物とを反応させる。
反応に際しては、例えば有機溶媒/水の混合溶媒中、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化セチルトリエチルアンモニウム、クラウンエーテル、臭化トリブチルアンモニウム、臭化セチルトリブチルスルホニウム等の相間移動触媒を使用してもよい。
【0057】
前記式[3]で表される重合体のうち、R4、R5が−S−の構造であるポリスルフィドのものの製造方法としては、例えば、前記の式[1]の二官能性有機リン化合物と下記式[11]
MS−Y−SM ・・・[11]
(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属、Yは炭素数2〜30の2価の炭化水素基または芳香族炭化水素基である。)
で表される化合物とを反応させる。反応に際しては、前記と同様の相間移動触媒を使用してもよい。
【0058】
またさらに、前記式[3]で表される重合体のうち、R4、R5が−O−(C=O)−の構造であるポリエステルのものの製造方法としては、例えば、前記の式[1]の二官能性有機リン化合物と下記式[12]
【0059】
【化25】
【0060】
(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属、Yは炭素数2〜30の2価の炭化水素基または芳香族炭化水素基である。)
で表される化合物とを反応する。反応に際しては、前記と同様の相間移動触媒を使用してもよい。
【0061】
またさらに、前記式[3]で表される重合体のうち、R4、R5が−N(−H)C(=O)−の構造であるポリアミドのものの製造方法としては、例えば、前記の式[1]の二官能性有機リン化合物と下記式[13]
H2N−Y−NH2 ・・・[13]
(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属、Yは炭素数2〜30の2価の炭化水素基または芳香族炭化水素基である。)
で表される化合物とを反応させる。反応に際しては、一酸化炭素とパラジウム触媒、塩基の存在下に反応させる。反応に際して用いる塩基としては、1,8−ジアザシクロ[5,5,0]−7−ウンデセン等が挙げられる。
【0062】
またさらに、本発明の重合体は、前記式[1]で表される二官能性有機リン化合物および式[2]で表される中間体の両方の残基を構成単位として含有してもよい。また重合体は、予め前記の式[2]で表される中間体を用いて環状リン化合物の重合体を合成し、ついでアミンと反応させて、二官能性有機リン化合物である式[1]のように環を開環させてもよい。
【0063】
また、本発明の重合体は、前記式[3]で表される二官能性有機リン化合物または式[4]で表される二官能性有機リン化合物の残基を構成単位として含有する重合体であって、生体適合性材料として好適である。
【0064】
さらに、本発明を詳細に説明する。式[1]において、Zは式[5]で表される1個または2個の水酸基を有するジハロゲン化合物の残基である。式[1]および式[5]のX1はCl、Br、I等のハロゲン原子であリ、好ましくはClである。
式[5]で表されるZを残基とする1個の水酸基を持つジハロゲン化合物としては、2,2−ジクロロエタノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール、2,2−ビス(クロロメチル)−1−プロパノール、1,5−ジクロロ−3−ペンタノール、2,2−ジブロモエタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、2,2−ビス(ブロモメチル)−1−プロパノール、1,5−ジブロモ−3−ペンタノール、2,2−ジヨードエタノール、1,3−ジヨード−2−プロパノール、1,4−ジヨード−2−ブタノール、2,2−ビス(ヨードメチル)−1−プロパノール、1,5−ジヨード−3−ペンタノール等のジハロゲン化脂肪族アルコール;2,4−ジクロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1−プロパノール、2,4−ジブロモフェノール、3,5−ジブロモフェノール、2,2−ビス(4−ブロモフェニル)−1−プロパノール、2,4−ジヨードフェノール、3,5−ジヨードフェノール、2,2−ビス(4−ヨードフェニル)−1−プロパノール等のジハロゲン化芳香族アルコールが挙られる。
【0065】
式[5]で表されるZを残基とする2個の水酸基を持つジハロゲン化合物としては、1,3−ジクロロ−2,2−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジクロロ−2,3−ブタンジオール、2,3−ジクロロ−1,4−ブタンジオール、2,2−ビス(クロロメチル)−1,3−プロパンジオール、2,3−ビス(クロロメチル)−1,4−ブタンジオール、1,5−ジクロロ−3,3−ジヒドロキシペンタン、1,3−ジブロモ−2,2−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2,3−ビス(ブロモメチル)−1,4−ブタンジオール、1,5−ジブロモ−3,3−ジヒドロキシペンタン、1,3−ジヨード−2,2−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジヨード−2,3−ブタンジオール、2,3−ジヨード−1,4−ブタンジオール、2,2−ビス(ヨードメチル)−1,3−プロパンジオール、2,3−ビス(ヨードメチル)−1,4−ブタンジオール、1,5−ジクロロ−3,3−ジヒドロキシペンタン、1,5−ジブロモ−3,3−ジヒドロキシペンタン、1,5−ジヨード−3,3−ジヒドロキシペンタン等のジハロゲン化脂肪族アルコール;2,2−メチレンビス(4−クロロフェノール)、ビス(4−クロロフェニル)メタノール、6,6’−ジクロロ−1,1’−ビス−2−ナフトール、2,2−メチレンビス(4−ブロモフェノール)、ビス(4−ブロモフェニル)メタノール、6,6’−ジブロモ−1,1’−ビス−2−ナフトール、2,2−メチレンビス(4−ヨードフェノール)、ビス(4−ヨードフェニル)メタノール、6,6’−ジヨード−1,1’−ビス−2−ナフトール等のジハロゲン化芳香族アルコールが挙られる。
【0066】
これらの1個または2個の水酸基を有するジハロゲン化合物と反応させる式[6]の化合物のX2は、Br、Cl、I等のハロゲン原子であり、好ましくはClである。mは2〜4の整数であり、好ましくは2である。
X2がClでmが2の場合、式[6]の化合物は2−クロロ−2−オキソ−1、3、2−ジオキサホスホランであり、公知の方法により製造することができる。
式[5]で表される1個または2個の水酸基を有するジハロゲン化合物と式[6]の化合物との反応の際には、有機塩基を脱ハロゲン化水素剤として用いる。ここで使用される有機塩基は、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ルチジン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。より好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンである。
この反応における式[5]、[6]の化合物の仕込み割合は、式[5]で表されるジハロゲン化合物1モルに対して、式[6]の化合物0.5〜10モルであり、好ましくは1〜4モルである。
【0067】
脱ハロゲン化水素剤として用いる有機塩基の仕込み割合は、式[6]の化合物の1モルに対して1〜10モル、好ましくは1〜2モルである。また、この有機塩基を反応溶媒として用いてもよい。
この反応の際に使用される溶媒は、非プロトン性溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル等が使用できる。
その使用量は特に限定されないが、通常、式[5]で表されるジハロゲン化合物の濃度が0.002〜3g/mlとなるように添加する。
【0068】
反応に際しては、式[6]の化合物と溶媒を冷却しながらかき混ぜ、その中に式[5]で表される1個または2個の水酸基を有するジハロゲン化合物、有機塩基および溶媒を混合した溶液を滴下して反応させる方法でもよいし、あるいは式[5]で表される1個または2個の水酸基を有するジハロゲン化合物と有機塩基と溶媒を冷却しながらかき混ぜ、その中に式[6]の化合物を滴下してもよい。反応の温度は−50℃から100℃、好ましくは−20℃から30℃である。滴下反応が進むにつれて、副生成物である有機塩基のハロゲン化水素塩が沈殿してくる場合もあるが、これは濾過や抽出操作により容易に除去できる。
【0069】
このようにして得られた式[2]の化合物を含む反応溶液は、そのまま次の反応に用いることもできるが、式[2]の化合物を含む反応溶液中に、式[2]の化合物が沈殿している場合は、濾別、精製した後、次の反応に用いてもよい。また、式[2]の化合物が沈殿していない場合は溶媒の留去や抽出精製した後、次の反応に用いてもよい。
【0070】
続いて、得られた式[2]の化合物と、式[7]で表されるアミンとを反応させて最終生成物である式[1]の化合物を得ることができる。式[7]のアミンのR1、R2、R3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
これらの具体例としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等が挙げられるが、好ましくはトリメチルアミンである。
【0071】
式[7]のアミンの仕込み割合は、式[2]の化合物1モルに対して1モル〜100モルであり、好ましくは2〜10モルである。
この反応の際に使用される溶媒は、非プロトン性溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、アセトン、アセトニトリル等が使用できる。その使用濃度は特に限定されないが、通常、式[2]の濃度が0.001〜2g/mlとするのが好ましい。
反応は、通常、ガラスあるいはステンレス等の耐圧容器中に、式[2]の化合物と式[7]のアミンと溶媒を添加した後、反応温度が0℃〜200℃、好ましくは40℃〜90℃で、反応時間が1〜120時間の条件で撹拌しながら行う。
【0072】
このようにして得られた式[1]で表される二官能性有機リン化合物は、ろ過、抽出、溶媒留去等により単離精製した後、必要であればさらに再結晶、再沈、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理、活性白土処理の操作で精製を行ってもよい。
【0073】
式[3]で表されるホスホリルコリン類似基を有する新規な重合体は、式[1]で表されるホスホリルコリン類似基とジハロゲン基を有する二官能性有機リン化合物と、Yを残基として有する他の二官能性化合物との縮重合反応により容易に得ることができる。
【0074】
式[3]で表されるホスホリルコリン類似基を有する新規な重合体のうち、前記の式[4]で表される重合体は、式[1]で表されるホスホリルコリン類似基とジハロゲン基を有する二官能性有機リン化合物と、式[8]で表されるYを残基として有するジハロゲン化合物とを、必要によっては重合触媒の存在下で、式[9]で表される化合物と重縮合反応することにより容易に得ることができる。
【0075】
式[8]のX3はCl、Br、I等のハロゲン原子である。式[8]で表されるYを残基として有するジハロゲン化合物としては、(イ)Yが2価の脂肪族炭化水素基の場合、(ロ)Yが2価の芳香族炭化水素基の場合が挙げられる。
(イ)Yが2価の脂肪族炭化水素基の場合としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロヘプタン、1,6−ジクロロヘキサン、3,4−ジクロロヘキサン、1,7−ジクロロヘプタン、1,12−ジクロロドデカン、1,3−ジクロロブタン、1,4−ジクロロ−2−ブテン、1,3−ジクロロアダマンタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモヘプタン、1,6−ジブロモヘキサン、3,4−ジブロモヘキサン、1,7−ジブロモヘプタン、1,12−ジブロモドデカン、1,3−ジブロモブタン、1,4−ジブロモ−2−ブテン、1,3−ジブロモアダマンタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードヘプタン、1,6−ジヨードヘキサン、3,4−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,12−ジヨードドデカン、1,3−ジヨードブタン、1,4−ジヨード−2−ブテン、1,3−ジヨードアダマンタン等が挙げられる。
【0076】
(ロ)Yが2価の芳香族炭化水素基の場合としては、例えば、1,3−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,7−ジクロロフルオレン、9,10−ジクロロアントラセン、1,3−ジブロモベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、α,α’−ジブロモ−p−キシレン、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジブロモベンゾフェノン、2,7−ジブロモフルオレン、9,10−ジブロモアントラセン、1,3−ジヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、α,α’−ジヨード−p−キシレン、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジヨードベンゾフェノン、2,7−ジヨードフルオレン、9,10−ジヨードアントラセン等が挙られる。
【0077】
式[9]で表される化合物としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等が挙られ、好ましくは炭酸カリウムである。
また用いられる重合触媒としては、18−クラウン−6、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等の相間移動触媒が挙られるが、特にこれに限定されない。
【0078】
重合反応は、式[1]で表されるホスホリルコリン類似基とジハロゲン基を有する二官能性有機リン化合物と、式[8]で表されるYを残基として有するジハロゲン化合物および式[9]で表される化合物を、必要によっては重合触媒を添加し、溶媒中で反応させることにより行う。
【0079】
式[1]の化合物と式[8]の化合物の仕込みの際のモル比は特に限定されないが、通常モル比で100:0 〜0.1:100であり、生体適合性を向上させるためには、式[1]の比率が高い方が好ましい。また、式[8]の化合物の構造や目的物の重合体の物性にもよるが、より好ましくは、モル比で90:10〜10:90である。
【0080】
式[9]の化合物の添加量は、式[1]の化合物と式[8]の化合物の総添加モル量に対して、1〜10倍モル量、好ましくは1〜3モル量である。
また重合触媒の添加濃度は0〜1g/mlが好ましい。
重合反応の際に使用される溶媒は、重合を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、水、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトン、アセトニトリル等が使用できる。これらの溶媒は、単独であるいは2〜数種類を混合して使用することもある。その使用濃度は特に限定されないが、通常、式[1]の濃度が0.001〜2g/mlとするのが好ましい。
【0081】
重合反応は、通常、ガラスの反応容器またはステンレス等のオートクレーブ装置を用いて行い、反応溶媒を還流させながら、あるいは密閉条件下で行う。重合反応条件は、特に限定されないが、通常、反応温度が−20℃〜300℃、好ましくは20℃〜100℃、反応圧力が0〜10kgf/cm2、反応時間が通常1〜240時間とするのが望ましい。
【0082】
このようにして得られた前記の式[4]の重合体を含む反応溶液は、そのまま、あるいは、一旦反応溶媒を一部または完全に留去した後、酢酸エチル、ジエチルエーテル等の重合体が溶解しない液中に反応液を投入することにより、沈殿物として目的とする重合体を単離精製する事ができる。また、カラムクロマトグラムによる方法や、抽出、透析、限外ろ過、吸着処理などの方法によっても単離精製することができる。
【0083】
このようにして得られる式[4]で表される重合体の重量平均分子量は、通常1000〜1000000であり、高強度のフィルム等を成形するには10000以上の高分子量が好ましい。また、ポリマー中の式[1]と式[8]で表される構成成分の残基からなるユニットは、ランダム状であってもブロック状であってもよい。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、ホスホリルコリン類似基とジハロゲン基を併せ有する式[1]で表される二官能性有機リン化合物が得られる。この二官能性有機リン化合物はポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリスルフィド、ポリエーテル等の重合体の原料として有用であり、これによって得られる重合体は強固なフィルム等の成形体を容易に形成することができ、かつ生体適合性に優れた特性を有する。
本発明によれば、式[1]で表される二官能性有機リン化合物の式[2]で表される新規中間体を提供することができる。
本発明によれば、式[1]で表される二官能性有機リン化合物の残基を構成単位とする、式[3]または式[4]で表されるホスホリルコリン類似基を有する重合体が得られる。この重合体は、強固なフィルム等の成形体を容易に形成することができ、かつ生体適合性に優れた材料として有用である。
本発明の製造方法によれば、式[1]で表される二官能性有機リン化合物を、容易に効率よく、しかも選択的に製造できる。
本発明の製造方法によれば、式[2]で表される中間体を、容易に効率よく、しかも選択的に製造できる。
本発明の製造方法によれば、式[1]で表される二官能性有機リン化合物の残基を構成単位とする、ホスホリルコリン類似基を有する式[4]で表される重合体の中のポリカーボネートを、容易に効率よく、しかも選択的に製造できる。
【0085】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。化合物の分析、同定には、1H−NMR、31P−NMR、FT−IR、GPCを用いた。なおまた、GPCはポリエンチレングリコールを標準物質として用いた。
実施例1−1
温度計、滴下漏斗、攪拌機を付した1000ml丸底フラスコに1,3−ジクロロ−2−プロパノール50.0g(0.388mol)、ジイソプロピルアミン(DIPA)39.3g(0.388mol)および、ジエチルエーテル500mlを溶媒として加え、4℃に冷却した後、滴下漏斗に2−クロロ−オキソ−1、3、2−ジオキサホスホラン(COP)55.3g(0.388mol)および溶媒としてジエチルエーテル100mlを加え、この混合溶液を2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、冷却を中止し、反応液の温度を徐々に20℃に上げ、さらに2時間かきまぜ続けた。析出した反応生成物を、副生成物として析出したジイソプロピルアミン塩酸塩とともにを濾別したのち、この析出混合物をクロロフォルム300mlにて洗浄した。このクロロフォルム溶液を減圧留去にて150mlのクロロフォルムを留去した後、0℃に冷却し、析出物をろ過、乾燥した後、1,3−ジクロロ−2−(オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリルオキシ)イソプロパン(DIOP)を77.5g得た(収率85%)。
【0086】
分析結果は次のとおりである。
(1)1H−NMR(δ(ppm)、CD3OD):3.83(4H、m、− OCH 2 CH 2 O−)、4.85(1H、m、−CH<)、
(2)31P−NMR(δ(ppm)、CD3OD):17.7(m,−OP(=O)<)
(3)FT−IR(cm-1):2910(−CH2−),1235(−OP(=O)<),1089(−OPO−CH2−)、
【0087】
以上の結果から式[2]に相当する中間体として次式のものを確認した。
【0088】
【化26】
【0089】
実施例1−2
実施例1−1に続いて、中間体であるDIOP47.2g(0.20mol)およびアセトニトリル300mlを1Lの密栓付き耐圧容器に入れた後、トリメチルアミン20.00g(0.34mol)を加えて密栓し、60℃で15時間かき混ぜた。反応液を冷却し、析出した結晶をドライボックス中で濾別し、減圧乾燥し、49.50gを得た。得られた結晶をアセトニトリルから再結晶し、目的物である1,3−ジクロロイソプロピルホスホリルコリン(DCPC)の白色結晶32.5gを得た(収率55.3%)。
【0090】
分析結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(δ(ppm)、CD3OD):3.13(9H、s、− N(CH 3 )3)、3.55(2H、m、−OPOCH 2 )、3.85(4H、m、−CH 2 Cl)、4.22(2、2H、−CH 2 N(CH3)3)、4.58(m、1H、−CH−)
(2)31P−NMR(δ(ppm)、CD3OD):0.58(m,−OPOCH2CH2N−)
(3)FT−IR(cm-1):2910(−CH2−),1235(−OPO−),1089(−OPOCH2−),970(−N+(CH3)3)
【0091】
以上の結果から、得られた化合物は次式のものであることを確認した。
【0092】
【化27】
【0093】
実施例2−1
温度計、リフラックス還流管、攪拌機を付した300ml丸底フラスコに、実施例1で得られた、DCPC 14.7g(0.05mol)および、1,4−ジブロモブタン(DBB)10.8g(0.05mol)、炭酸カリウム13.8g(0.1mol)に、溶媒としてアセトニトリル95ml、エタノール5mlを加えた後、触媒として18−クラウン−6を加えた。この混合溶液の温度を徐々に還流温度まで上げ、さらに48時間かきまぜ続けた。反応後、この反応溶液を2Lの酢酸エチル中に滴下することによりポリマーを再沈精製して、さらに濾別、乾燥して、目的重合体17.6gを得た(収率88%)。
【0094】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(δ(ppm)、DMSO−d6):
1.7〜1.9(−CH2 CH 2 CH 2 CH2−)、3.13(− N(CH 3 )3 )、3.55(−OPO−CH 2 −)、4.22(−CH 2 N(CH3)3)、4.38(−CH−)
(2)31P−NMR(δ(ppm)、 DMSO−d6):0.58(−OPOCH2CH2−)
(3)FT−IR(cm-1):2910(−CH2−),1790(C=O),1235(−OPO−),1089(−OPOCH2−),970(−N+(CH3)3)
(4)GPC(PEGスタンダード換算)の分析結果:Mw=2.8×104。
【0095】
以上の結果から、得られた化合物は次式のものであることを確認した。
【0096】
【化28】
【0097】
また、1H−NMRおよび分子量の計算より算出した前記の化合物の組成比p/(p+q)および構成単位の平均繰り返し数rを表1に示す。
【0098】
実施例2−2
DCPC14.7g(0.05mol)を8.82g(0.03mol)に代え、DBB 10.8g(0.05mol)を15.1g(0.07mol)に代えた以外は実施例2−1と同様にして、目的物を17.1g得た(収率92%)。
【0099】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(δ(ppm)、DMSO−d6):
1.7〜1.9(−CH2 CH 2 CH 2 CH2−)、3.13(− N(CH 3 )3 )、3.55(−OPO−CH 2 −)、4.22(−CH 2 N(CH3)3)、4.38(−CH−)
(2)31P−NMR(δ(ppm)、 DMSO−d6):0.58(−OPOCH2CH2−)
(3)FT−IR(cm-1):2910(−CH2−),1790(C=O),1235(−OPO−),1089(−OPOCH2−),970(−N+(CH3)3)
(4)GPC(PEGスタンダード換算)の分析結果:Mw=3.5×104。また、1H−NMRおよび分子量の計算より算出した前記の化合物の組成比p/(p+q)および構成単位の平均繰り返し数rを表1に示す。
【0100】
実施例2−3
DCPC14.7g(0.05mol)を2.94g(0.01mol)に代え、DBB 10.8g(0.05mol)を19.4g(0.09mol)に代えた以外は実施例2−1と同様にして、目的物を13.2g得た(収率87%)。
【0101】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(δ(ppm)、DMSO−d6):
1.7〜1.9(−CH2 CH 2 CH 2 CH2−)、3.13(− N(CH 3 )3 )、3.55(−OPO−CH 2 −)、4.22(−CH 2 N(CH3)3)、4.38(−CH−)
(2)31P−NMR(δ(ppm)、DMSO−d6):0.58(−OPOCH2CH2−)
(3)FT−IR(cm-1):2910(−CH2−),1790(C=O),1235(−OPO−),1089(−OPOCH2−),970(−N+(CH3)3)
(4)GPC(PEGスタンダード換算)の分析結果:Mw=3.8×104。また、1H−NMRおよび分子量の計算より算出した前記の化合物の組成比p/(p+q)および構成単位の平均繰り返し数rを表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
実施例3−1;キャスト成形膜の作成
実施例2−1で得られたカーボネートを用いて、10重量%DMF溶液調製し、ガラスプレート(大きさ=25×75×1.0mm)の上に展開した60℃24時間乾燥した後、さらに1mmHg、48時間の真空の条件で乾燥を行って、膜を作成した。製膜の結果を表2に示す。
【0104】
実施例3−2
実施例2−2で得たポリカーボネートを用い実施例3−1と同様にして膜を作成した。結果を表2に示す。
【0105】
実施例3−3
実施例2−3で得たポリカーボネートを用い実施例3−1と同様にして膜を作成した。結果を表2に示す。
【0106】
比較例1
前記に示した特開昭61−207395号公報に記載してあるジフェニルメタンジイソシアナートと、リン脂質類似基を含有するジオールとの反応生成物であるポリウレタンを得た。このポリウレタンを用いて、実施例3−1と同様にして膜を作成した。製膜の結果を表2に示す。なお、評価の基準は次のとおりである。
製膜性;
○;ガラスプレート上できれいな膜となり、フイルムとして得られる。
△;ガラスプレート上でなんとか膜となり、フイルムとして得られる。
×;ガラスプレート上で膜とならず、フイルムとして得られない。
強度;
○;両手で引っ張っても直ぐに切れない。
△;両手で引っ張っると切れる。
×;両手で引っ張っるともろくすぐ切れる。
【0107】
【表2】
【0108】
実施例4−1〜4−3;血小板粘着試験
前記実施例3−1〜3−3を用いて、ウサギのPRP(多血小板血漿)と接触させて走査電子顕微鏡(島津製作所(株)製、電子線アナライザーEPM−810)で観察した。粘着した血小板の数を目視で数えた。結果を表1に示した。
【0109】
比較例2;血小板粘着試験のコントロール
コントロールとして、実施例4−1と同様にして、実施例のポリカーボネートのフイルムの代わりに、市販品のポリウレタン(米国ポリマーテクノロジー社製、Biospan)を用いて、実施例4−1に準じて試験した。
【0110】
【表3】
【0111】
以上の結果から、本発明の実施例4で得られたポリカーボネートのフイルムは比較例2の市販のポリウレタンに較べて、血小板が粘着せず生体適合性があることがわかる。
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