JP4438143B2 - ろう付け部品及びそのろう付け方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の部品を嵌合してろう付けされるろう付け部品及びそのろう付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の部品をろう付けにて接合する場合、ろう材の酸化防止や濡れ性の向上のため、フラックスを接合面に塗布している。上記フラックスはろう付け加熱時に溶融して部品間の隙間を毛細管現象により浸透し、次にろう材が溶融してフラックスと置換される形で浸透する。よって、フラックスが残留するところはろう材は浸透するが、フラックスが途切れたところでろう材の浸透は止まる。
【0003】
例えば、自動車のマニュアル変速歯車本体とクラッチコーンのような部品をろう付け接合する場合、図10に示したように、予めろう材8及びフラックス9をセットした変速歯車本体1の嵌合軸部3の外周部に、クラッチコーン2の嵌合軸孔6の内周部を嵌合組付けし、加熱してろう付けを行う。これに関して、特開平10−235468号には、嵌合時に、クラッチコーン2の嵌合軸孔6と最初に接触する側の上記嵌合軸部3端部、つまり嵌合始端部に、圧力を以て相手部材(クラッチコーン2)と当接する圧入嵌合部11を形成し、該圧入嵌合部11から座面側端部に至るまでの嵌合部を、上記圧入嵌合部11よりもクリアランスを大きくした緩い嵌合部とすることで、加熱時に上記緩い嵌合部内にフラックス9を満たし、座面側のみならず、嵌合面側もろう付け接合を行う技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記方法によれば、図11に示したように、加熱時に座面側における両部品間の隙間からろう付けに必要なフラックス9が流出、あるいは気化すると、座面側全面にはフラックス9が浸透しない。よって、ろう材8も座面側全面には浸透せず、安定して高い接合強度のろう付け部品が得られない。
【0005】
そこで、座面側に上記緩い嵌合部と連通するようにクリアランスの大きい部位を形成し、その端部はクリアランスを設けない当接部とすることで、フラックスの流出を防止しつつ、上記緩い嵌合部内全面及び座面側の上記クリアランスの大きい部位全面にフラックスを浸透させ、広範囲にろう付けを行う技術が考えられる。
【0006】
しかし、このような構造では、上記緩い嵌合部及び座面側のクリアランスの大きい部位から構成される空間部は、圧入嵌合部及び座面側の当接部によって密閉された状態になるので、上記空間部内に空気が残存すると、上記空気は、ろう付け加熱時に外部に排出されず上記空間部内で膨張して、溶融したフラックスは上記空気の存在する箇所には浸透することができない。さらに、ろう材と置換されて気化したフラックスも外部に排出することができず、上記空間部内で膨張して、溶融したろう材の浸透を妨げる。特に、上記のように両部品を嵌合組付けするときに、上記空間部の緩い嵌合部側は、例えば、フラックス塗布量が不足するといった原因で、上記圧入嵌合部近傍の上記空間部内に空気が残存しやすい。
【0007】
このように嵌合部内に空気や気化したフラックスといった気体が残存すると、該気体の存在する箇所にはフラックス及びろう材が浸透しない。このため、嵌合面全面に確実にろう付けを行うことができず、安定して高い接合強度を有する製品が得られないという問題があった。
【0008】
よって、確実かつ安定したろう付けを行うには、フラックスが外部に多量に流出することなく、空間部に残存した空気や気化したフラックスといった気体を外部に排出させることで、接合すべき箇所、つまり空間部内全面にフラックス及びろう材を浸透させることが重要である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1記載の発明は、軸部及び径方向外方に拡がる座面を有する第1部品と、上記軸部に嵌合する軸孔及び上記第1部品の座面と当接する座面を有する第2部品とを嵌合して組付け、加熱してろう付けされるろう付け部品において、上記第1部品の軸部または第2部品の軸孔のうち少なくとも一方に、相手部品側に突出し、相手部品と圧力を以て当接する圧入嵌合部と、上記圧入嵌合部に隣接する非圧入部とを設け、上記第1部品と第2部品との嵌合時に上記非圧入部及び該非圧入部と相対する相手部品で囲まれ、上記圧入嵌合部と相手部品との当接部及び上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部にて密閉された軸方向の空間部を形成し、上記圧入嵌合部の一部若しくは相手部品における上記圧入嵌合部と当接する面の一部に、軸方向に延びて上記空間部の上記圧入嵌合部側と部品外部における上記座面とは反対側とを連通する連通路を設けたろう付け部品であることを特徴とする。
【0010】
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と併せて、上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部に、径方向外方に上記空間部を延長したろう付け部品であることを特徴とする。
【0011】
この発明の請求項3記載の発明は、軸部及び径方向外方に拡がる座面を有する第1部品と、上記軸部に嵌合する軸孔及び上記第1部品の座面と当接する座面を有する第2部品とを嵌合して組付け、加熱してろう付けされるろう付け部品において、上記第1部品の軸部または第2部品の軸孔のうち少なくとも一方に、相手部品側に突出し、相手部品と圧力を以て当接する圧入嵌合部と、上記圧入嵌合部に隣接する非圧入部とを設け、上記第1部品と第2部品との嵌合時に上記非圧入部及び該非圧入部と相対する相手部品で囲まれ、上記圧入嵌合部と相手部品との当接部及び上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部にて密閉された軸方向の空間部を形成し、上記圧入嵌合部の一部若しくは相手部品における上記圧入嵌合部と当接する面の一部に、軸方向に延びて上記空間部の上記圧入嵌合部側と部品外部における上記座面とは反対側とを連通した連通路を予め設け、上記両部品のうち、少なくとも一方の部品の上記空間部を形成する位置に、ろう材及びフラックスをセットし、上記両部品を嵌合し、加熱して上記連通路から上記空間部内の気体を排出してろう付けを行うろう付け方法であることを特徴とする。
【0012】
【発明の作用及び効果】
この発明の請求項1記載の発明によれば、軸部及び径方向外方に拡がる座面を有する第1部品と、上記軸部に嵌合する軸孔及び上記第1部品の座面と当接する座面を有する第2部品とを嵌合して組付け、加熱してろう付けされるろう付け部品において、上記第1部品の軸部または第2部品の軸孔のうち少なくとも一方に、相手部品側に突出し、相手部品と圧力を以て当接する圧入嵌合部と、上記圧入嵌合部に隣接する非圧入部とを設け、上記非圧入部及び該非圧入部と相対する相手部品で囲まれ、上記圧入嵌合部と相手部品との当接部及び上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部にて密閉された軸方向の空間部を形成し、上記圧入嵌合部の一部若しくは相手部品における上記圧入嵌合部と当接する面の一部に、軸方向に延びて上記空間部のうち、嵌合時に気体が残存しやすい上記圧入嵌合部側と部品外部における上記座面とは反対側とを連通して、上記空間部内の気体が外部に排出される連通路を設けている。
【0013】
上記部品によれば、上記空間部は、周囲が上記非圧入部と、非圧入部に相対する相手部品とで囲まれ、しかも上記圧入嵌合部と相手部品との当接部及び上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部で密閉されているため、セットしたペースト状のフラックスは、加熱時に溶融すると、外部に流出することなく毛細管現象により上記空間部内全体に浸透する。ろう材はフラックスと置換される形で浸透するので、ろう材も確実に上記空間部全体に浸透する。
【0014】
さらに、上記空間部と外部とを連通する連通路を、上記圧入嵌合部側に設けている。嵌合時において、図5に示したようにフラックスに圧縮方向の力がかかる第1部品の座面と第2部品の座面との当接部側は、空間部に隙間なくフラックスが満たされる。しかし、上記圧入嵌合部側、つまり軸方向の空間部は、例えば、フラックスの塗布不足といった原因で、嵌合時に、上記圧入嵌合部とフラックスとの間に空気などの気体が残存した状態で圧入され、空気等の気体が残存しやすい。この軸方向の空間部と部品外部とを連通する連通路を設けたので、嵌合時に上記空間部に空気等の気体が残存しても、加熱時に溶融したフラックスが体積膨張によって上記空間部を満たし、余分となったフラックスが上記連通路から外部に排出されると共に、上記気体も上記連通路から外部に排出される。同様に、ろう材と置換されて気化したフラックスも上記連通路から排出される。そのため、上記空間部内をフラックスで充満でき、ろう材も上記空間部全体に浸透し確実にろう付けを行うことができ、安定した品質のろう付け部品を得ることができる効果がある。
【0015】
上記部品によれば、連通路は、上記圧入嵌合部若しくは相手部品の上記圧入嵌合部に相対する面の一部に設けているので、圧入強さに影響を与えることなく、かつ、空気などの気体が残存しやすい上記圧入嵌合部近傍の上記空間部内から、効率よく上記気体やろう付け加熱時に気化したフラックスを外部に排出することができる効果がある。
【0016】
この発明の請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果と併せて、上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部に、径方向外方に上記空間部を延長している。
【0017】
上記部品によれば、両部品の軸方向側から座面側まで、より広範囲を接合できるので、両部品の接合強度をより高くすることができ、安定した品質のろう付け部品を得ることができる効果がある。
【0018】
この発明の請求項3記載の発明によれば、軸部及び径方向外方に拡がる座面を有する第1部品と、上記軸部に嵌合する軸孔及び上記第1部品の座面と当接する座面を有する第2部品とを嵌合して組付け、加熱してろう付けされるろう付け部品において、上記第1部品の軸部または第2部品の軸孔のうち少なくとも一方に、相手部品側に突出し、相手部品と圧力を以て当接する圧入嵌合部と、上記圧入嵌合部に隣接する非圧入部とを設け、上記非圧入部及び該非圧入部と相対する相手部品で囲まれ、上記圧入嵌合部と相手部品との当接部及び上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部にて密閉された軸方向の空間部を形成し、上記圧入嵌合部の一部若しくは相手部品における上記圧入嵌合部と当接する面の一部に、軸方向に延びて上記空間部のうち、嵌合時に気体が残存しやすい上記圧入嵌合部側と部品外部における上記座面とは反対側とを連通した連通路を予め設け、上記両部品のうち、少なくとも一方の部品の上記空間部を形成する位置に、ろう材及びフラックスをセットし、上記両部品を嵌合し、加熱して上記連通路から上記空間部内の気体を排出してろう付けしている。
【0019】
上記方法によれば、上記空間部は、周囲が密閉されているため、セットしたペースト状のフラックスは、加熱時に溶融すると、外部に流出することなく上記空間部内全体に浸透する。ろう材はフラックスと置換される形で浸透するので、フラックスを上記空間部全体に浸透することができれば、ろう材も確実に上記空間部全体に浸透する。
【0020】
さらに、上記空間部と外部とを連通する連通路を、上記圧入嵌合部側に設けているので、例えば、フラックスの塗布不足といった原因で、嵌合時に、上記圧入嵌合部とフラックスとの間に空気などの気体が残存した状態で圧入され、空気等の気体が残存しやすい上記圧入嵌合部側、つまり、軸方向の空間部から、残存した上記気体を効率よく排出することができる効果がある。さらに、ろう付け時に、ろう材と置換されて気化したフラックスも上記連通路から排出される。そのため、上記空間部内をフラックスで充満でき、ろう材も空間部全体に浸透し確実にろう付けを行うことができる効果がある。
【0021】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0022】
図面はろう付け部品を示し、図1に、軸部及び径方向に拡がる座面を有する第1部品としての鋼製の変速歯車本体1と、上記軸部に嵌合する軸孔及び上記第1部品の座面と当接する座面を有する第2部品としての鋼製のクラッチコーン2を示す。
【0023】
上記変速歯車本体1は嵌合軸部3とギア部4とを有し、該ギア部4における上記嵌合軸部3側の径方向外方に拡がる面が、上記クラッチコーン2と当接する座面となっている。上記のクラッチコーン2はギア歯5と嵌合軸孔6とを有する。この実施例では変速歯車本体1の嵌合軸部3に対してクラッチコーン2の嵌合軸孔6をスライドさせて圧入嵌合し、両部品1,2の座面が当接した状態で上記両部品をろう付けするものである。
【0024】
上記変速歯車本体1における嵌合軸部3の座面側端部には、環状かつ凹状のろう材セット部7を形成し、このろう材セット部7に図3に示すようにろう材8をセットすべく構成している。
【0025】
変速歯車本体1において、嵌合時にクラッチコーン2の嵌合軸孔6と最初に接触する側の嵌合軸部3端部を嵌合始端とすると、嵌合完了時に、上記嵌合始端に相対するクラッチコーン2の嵌合軸孔6の内周面に、所定小幅で径方向内方へ突出する環状の圧入嵌合部11を一体成形し、この圧入嵌合部11が変速歯車本体1の嵌合軸部3の外周部に対して充分な圧入代(例えばそのクリアランスが10〜80μm程度、具体的には45μm)を以て圧入されるように構成されている。
【0026】
上記嵌合軸孔6における上記圧入嵌合部11から座面側端部の間は、嵌合時における嵌合軸部3とのクリアランスが、上記圧入嵌合部11と嵌合軸部3とのクリアランスよりも大きく設定された非圧入部である第1段差部10aを形成している。例えばそのクリアランスは20〜150μm、具体的には90μmである。
【0027】
さらに、クラッチコーン2の座面には、径方向外方に上記第1段差部10aと連通するように延長した第2段差部10bを形成している。この段差部10bの、嵌合時における変速歯車本体1の座面とのクリアランスは、例えば20〜150μm程度、具体的には75μmである。上記第2段差部10bの外周部は変速歯車本体1の座面と当接している。
【0028】
この連通した第1段差部10a、第2段差部10b及びそれぞれ相対する相手部品とで囲まれて成る断面略L字型の空間部12は、周囲を上記圧入嵌合部11と相手部品の座面との当接部、及び上記変速歯車本体1の座面と上記クラッチコーン2の座面との当接部により密閉されている。
【0029】
上記ろう材セット部7は、この空間部12内に形成されている。
【0030】
図2に示したように、軸方向に延びて空間部のうち上記段差部10a側と外部とを連通する略U字型の連通路13を圧入嵌合部11に設けている。また、図1に示したように、部品外部側の開口部が空間部側よりも大きく設定されている。上記連通路13は、圧入の強さに影響を及ぼさない大きさに設定する。
【0031】
本発明のろう付けは、浸炭処理と同時に行うものでも可能である。上記の両部品1,2を浸炭処理と並行してろう付けし、その後焼入れするので、前述のろう材として浸炭処理温度約930℃では液相状態、焼入れ直前温度約850℃では固相状態となる条件を満たすろう材を用いる。
【0032】
このため、上記のろう材としてMnを約25〜40wt%有し、残部をCuとしたCu−Mn合金ろう材を用いる。このCu−Mn合金ろう材は酸化しやすく、浸炭ガス雰囲気で行う浸炭処理と同時にろう付けを行うには、フラックスでろう材を覆い、ろう材の酸化を防ぎ、かつ上記空間部全面にフラックスを浸透させることが必要である。
【0033】
変速歯車本体1とクラッチコーン2の組み付け手順について説明する。
【0034】
まず、変速歯車本体1のろう材セット部7(環状溝)に上記組成の開リング状のろう材8をセットし、フラックス9を圧入嵌合前に空間部内に充満するように塗布する。
【0035】
次に、変速歯車本体1の嵌合軸部3に対してクラッチコーン2の嵌合軸孔6を圧入嵌合する。このとき、圧入嵌合部11が嵌合軸部3に圧入される。
【0036】
次に、両部品を浸炭炉内部に挿入し、図6に示したように、浸炭炉内の両部品を約930℃まで加熱し、この加熱状態において約86分間浸炭処理すると同時に、ろう材を融解させてろう付け処理を実行する。
【0037】
次に、焼入れ時の熱変形を抑制し、フェライトの析出を阻止する目的で約850℃まで降温させて、約84分間保持する。この状態でろう材は完全に凝固状態となり、ろう付けが完了する。
【0038】
次に、ろう付け完了後の両部品を浸炭炉から取り出し、酸化及び脱炭防止を図るために、約230℃のソルトバスの溶融ソルト中に焼入れ処理し、その後、約230℃から大気中において徐冷する。
【0039】
このように、図1に示すろう付け部品を用いると、ろう材8及びフラックス9をセットした状態で変速歯車本体1にクラッチコーン2を圧入嵌合したとき、クラッチコーン2の一部に形成した圧入嵌合部11により両部品1,2が充分な圧入代を以て圧入される。
【0040】
上記の圧入嵌合後に加熱してろう付けを行うが、この圧入嵌合部11をクラッチコーン2の一部のみに形成したので、接触面積が小さく、圧入嵌合による残留応力が小さいので、加熱時の応力除去に伴う寸法変化を防止することができる。従って、例えば、両部品の座面側当接面に隙間が発生するのを阻止することができ、この結果、良好なろう付けを行うことができる効果がある。
【0041】
また、上記クラッチコーン2の圧入嵌合部11に隣接した第1段差部10a及び座面側の第2段差部10bを設けたので、図4に示したように、ろう付けに必要なフラックス9は外部に流出することなく第1段差部10a及び第2段差部10bで形成される空間部12内全面に浸透し、続いてろう材も空間部12内全面に浸透し、確実なろう付けが可能となる。
【0042】
さらに、上記の空間部12と部品外部とを連通する連通路13を設けたので、図5に示したように、圧入嵌合時に空間部12内に空気等の気体が残存しても、加熱時に溶融したフラックス9が体積膨張によって空間部12を満たし、余分となったフラックス9が連通路13から外部に排出されると共に、上記気体も上記連通路13から外部に排出される。さらに、ろう材8との置換により気化したフラックス9も上記連通路13から排出できるので、空間部12内、つまり接合面全面にフラックス9及びろう材8が浸透し、確実にろう付けでき、高品質の製品が安定して得られる効果がある。なお、連通路13は、図1〜図3に示したように圧入嵌合部11に設けているが、必要な圧入の強さには影響を及ぼさない程度の大きさに設定しているので、上記連通路13には必ずしもフラックス及びろう材が浸透しなくても接合強度が落ちることはない。
【0043】
さらに、上記連通路13を上記圧入嵌合部11に設けたので、嵌合時に空気等の気体が残存しやすい軸方向、つまり上記圧入嵌合部側の空間部から、加熱時に、残存した空気等の気体をより確実に排出できる効果がある。
【0044】
加えて、上記の圧入嵌合部11を、クラッチコーン2における、変速歯車本体1の嵌合始端部に対峙する位置に環状に形成したので、嵌合時において、上記圧入嵌合部11は、クラッチコーン2の圧入が容易となる効果がある。
【0045】
また、上記のように圧入嵌合部11を形成すると、上記空間部12を圧入嵌合部11から座面側に至るまでの広い範囲に形成できる。従って、フラックス及びろう材をより広い空間部全面に浸透でき、さらなるろう付け強度の向上を図ることができる効果がある。
【0046】
図7及び図8にろう付け方法及びそのろう付け部品の他の実施例を示した。変速歯車本体1における嵌合軸部3の圧入嵌合始端部に、径方向外方へ突出する環状の圧入嵌合部11を形成したので、上記変速歯車本体1の嵌合軸部3側の第1段差部10a及び座面側の第2段差部10bを連通して設けることができる。従って、より広い範囲にフラックス及びろう材を浸透でき、さらなるろう付け強度の向上を図ることができる効果がある。
【0047】
また、上記クラッチコーン2における、上記圧入嵌合部11と当接する位置に、図8に示したような略V字型の連通路13を設けたので、圧入嵌合時に空間部12内に空気が残存しても、加熱時に上記の連通路13より部品外部に排出されるので、空間部12内の内圧が上昇することなく、フラックスの浸透不足を防止できる。
【0048】
さらに、ろう材との置換により気化したフラックスも上記連通路13から排出できるので、空間部12全面、つまり接合面全面にフラックス及びろう材が浸透し、確実にろう付けでき、高品質の製品が安定して得られる効果がある。
【0049】
この発明の構成と、上記の実施例との対応において、この発明の第1部品及び第2部品は、実施例の変速歯車本体及びクラッチコーンに対応しているものの、この発明は、上記例の構成のみに限定されるものではない。
【0050】
例えば上記実施例においては、上記圧入嵌合部を、第1部品である変速歯車本体1の嵌合始端に径方向外方に向けて設けたもの、または第2部品であるクラッチコーン2における、変速歯車本体1の嵌合始端部に相対する位置に、径方向内方に向けて設けたものについて例示したが、本発明はこの位置に限定されるものではなく、例えば、変速歯車本体1における嵌合軸部3の座面側端部外周面や、クラッチコーン2における変速歯車本体1の座面側端部に相対した位置の嵌合軸孔6内周面に設けてもよい。
【0051】
また、座面側の第2段差部10bは、図1に示した実施例ではクラッチコーン2側に設けているが、図7に示した実施例のように変速歯車本体1側に設けたものでもよい。
【0052】
また、本実施例は、空間部12が断面略L字型であるものについて例示したが、本発明はこの形状に限定されるものではなく、部品の大きさ、形状に応じて、例えば、直線状、円弧状など適宜設定すればよい。
【0053】
また、連通路は1箇所に限定されるものではなく、部品の大きさ、形状等を考慮して適宜設ければよい。さらに、連通路の形状も、図3に示した略U字型、図8に示した略V字型のみならず、略四角型、略半円型等特に限定されるものではない。さらに、部品外部側の開口部が空間部側よりも大きく設定されているが、外部側及び空間部側の開口部を同じ大きさに設定しても、空間部側を大きく設定してもよい。
【0054】
また、例えば上記実施例においては浸炭処理とろう付けとを同時に行う場合について例示したが、本発明はこの同時処理に限定されるものではなく、第1部品と第2部品との2部品を、ろう材の融点が450℃以上の硬ろう付け、融点が450℃以下の軟ろう付けによりろう付け接合する方法及び部品に適用することができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のろう付け部品を示す断面図。
【図2】 図1におけるX−X断面図。
【図3】 図1における拡大図。
【図4】 部品組付け時の模式図。
【図5】 部品組付け時の別の模式図。
【図6】 ろう付けと同時に浸炭処理を行う際の温度変化図。
【図7】 本発明のろう付け部品の他の実施例を示す断面図。
【図8】 図7の拡大図。
【図9】 図7におけるX−X断面図。
【図10】 従来のろう付け部品を示す断面図。
【図11】 図10の拡大図。
【符号の説明】
1…変速歯車本体(第1部品)
2…クラッチコーン(第2部品)
7…ろう材セット部
8…ろう材
9…フラックス
10a…第1段差部(非圧入部)
10b…第2段差部
11…圧入嵌合部
12…空間部
13…連通路

Claims (3)

  1. 軸部及び径方向外方に拡がる座面を有する第1部品と、上記軸部に嵌合する軸孔及び上記第1部品の座面と当接する座面を有する第2部品とを嵌合して組付け、加熱してろう付けされるろう付け部品において、
    上記第1部品の軸部または第2部品の軸孔のうち少なくとも一方に、相手部品側に突出し、相手部品と圧力を以て当接する圧入嵌合部と、
    上記圧入嵌合部に隣接する非圧入部とを設け、
    上記第1部品と第2部品との嵌合時に上記非圧入部及び該非圧入部と相対する相手部品で囲まれ、上記圧入嵌合部と相手部品との当接部及び上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部にて密閉された軸方向の空間部を形成し、
    上記圧入嵌合部の一部若しくは相手部品における上記圧入嵌合部と当接する面の一部に、軸方向に延びて上記空間部の上記圧入嵌合部側と部品外部における上記座面とは反対側とを連通する連通路を設けたことを特徴とするろう付け部品。
  2. 上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部に、径方向外方に上記空間部を延長したことを特徴とする請求項1記載のろう付け部品。
  3. 軸部及び径方向外方に拡がる座面を有する第1部品と、上記軸部に嵌合する軸孔及び上記第1部品の座面と当接する座面を有する第2部品とを嵌合して組付け、加熱してろう付けされるろう付け部品において、
    上記第1部品の軸部または第2部品の軸孔のうち少なくとも一方に、相手部品側に突出し、相手部品と圧力を以て当接する圧入嵌合部と、
    上記圧入嵌合部に隣接する非圧入部とを設け、
    上記第1部品と第2部品との嵌合時に上記非圧入部及び該非圧入部と相対する相手部品で囲まれ、上記圧入嵌合部と相手部品との当接部及び上記第1部品の座面と上記第2部品の座面との当接部にて密閉された軸方向の空間部を形成し、
    上記圧入嵌合部の一部若しくは相手部品における上記圧入嵌合部と当接する面の一部に、軸方向に延びて上記空間部の上記圧入嵌合部側と部品外部における上記座面とは反対側とを連通した連通路を予め設け、
    上記両部品のうち、少なくとも一方の部品の上記空間部を形成する位置に、ろう材及びフラックスをセットし、
    上記両部品を嵌合し、
    加熱して上記連通路から上記空間部内の気体を排出してろう付けを行うろう付け方法。
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