JP4438111B2 - 計測装置及び計測方法 - Google Patents

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    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/16Microscopes adapted for ultraviolet illumination ; Fluorescence microscopes

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を用いたヘテロダイン検出又はホモダイン検出により計測対象物の構造を計測する計測装置及び計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、計測対象物の構造を計測するのには、光学顕微鏡が広く使用されている。通常の光学顕微鏡では、計測対象物に観察光を照射し、当該観察光が計測対象物を透過してきた光の強度分布、或いは当該観察光が計測対象物によって反射された光の強度分布を観察する。このような光学顕微鏡の解像限界は、光学的な回折限界によって決まる。すなわち、観察光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとしたとき、光の強度分布だけを観察する光学顕微鏡において、解像限界の空間波長はλ/2×NAで表される。そして、このような光学顕微鏡では、解像限界近くでは、観察光が非常に微弱になり、観察が難しくなるという問題があった。
【0003】
これに対して、微弱な光でも微細な構造の計測を可能とする手法として、ヘテロダイン検出又はホモダイン検出により計測対象物の構造を計測する手法が考案されている。ヘテロダイン検出やホモダイン検出では、可干渉性に優れたレーザー光を観察光として用い、当該レーザー光の位相情報を利用することで、微弱光での微細な構造の計測が可能となる。
【0004】
このように光の位相情報を用いる手法の原理は、例えば、The antenna properties of optical heterodyne receivers, Appl.Opt.,vol.5 (1966) 1588-1594 に示されている。また、Probing of Acoustic Perturbations by Coherent Light, Appl.Opt.,vol.8 (1969) 1572-1573 には、キャリア信号f1の音響光学素子による波長シフトを用い、周波数f1のビート信号を同期検波することにより、計測対象物からの反射光の強度と位相を測定する手法が示されている。
【0005】
また、米国特許USP3796495「Apparatus and Methods for Scanning Phase Profilometry」には、横方向にシフトさせた2つのビームで微分ヘテロダイン検出を行う手法が開示されている。また、米国特許USP4171159「Optical Homodyne Microscope」には、ピエゾ素子によるメカニカルな位相変調でホモダイン検出を行う手法が開示されている。また、米国特許USP4353650「Laser Heterodyne Surface Profiler」には、参照光と検出光の双方を計測対象物に照射して、参照光を中心に計測対象物を回転させ位相検出を行う手法が開示が示されている。また、米国特許USP4627730や米国特許USP4848908には、参照光と検出光の双方を計測対象物に照射して光路のコモンパス化を行い、耐振動性を改善する手法が開示が示されている。また、特開平7-248203号公報には、ヘテロダイン検出を利用したレーザー走査顕微鏡が開示されている。
【0006】
また、光学 Vol27,1 (1998) 40-47 には、「光ヘテロダイン検出法を用いた模擬生体試料(イントラリピッド10%)の可視部から近赤外域における分光透過特性の測定」として、可視光領域でのヘテロダイン検出によって模擬生体試料を観察した結果が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ヘテロダイン検出又はホモダイン検出を利用することで、微弱光で微細な構造を計測することが可能となる。しかしながら、より微細な構造を計測できた方が有用であることは言うまでもない。また、計測対象物の構造を計測するにあたって、計測対象物の面内方向の構造だけでなく、計測対象物の深さ方向の構造についても計測できれば更に有用である。
【0008】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ヘテロダイン検出又はホモダイン検出を利用して計測対象物の構造を計測する計測装置及び計測方法として、より微細な構造を計測することが可能な計測装置及び計測方法、並びに、計測対象物の深さ方向の構造についても計測することが可能な計測装置及び計測方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る計測装置は、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させる紫外線レーザー光発生手段と、上記紫外線レーザー光を用いたヘテロダイン検出により計測対象物の構造を計測する計測手段とを備え上記計測手段は、上記紫外線レーザー光を、計測対象物に照射される検出光と、ヘテロダイン検出を行うための参照光とに分割し、上記参照光のパワーが上記検出光のパワーよりも大きくなるように分割する光分割手段と、上記参照光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施すとともに、上記検出光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施す周波数シフト手段と、上記周波数シフトが施された検出光が計測対象物によって反射されて戻ってきた戻り光と、上記周波数シフトが施された参照光との干渉によって得られる、上記参照光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f と上記検出光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f との差の周波数のヘテロダイン信号を検出する光検出器とを備えることを特徴とする。具体的には例えば、検出光のパワーを1としたとき、参照光のパワーが100以上となるように、上記紫外線レーザー光を分割すると良い。また、特に計測対象物が紫外線によってダメージを受けるような恐れがある場合には、参照光のパワーが検出光のパワーよりも大きくなるようにして、計測対象物に照射される検出光のパワーが1μW程度以下となるようにすると良い。なお、紫外線レーザー光とは、具体的には、180〜360nm程度の波長のレーザー光のことである。
【0010】
上記計測装置において、固体レーザー光源は、単一縦モード発振するものであることが好ましい。
【0011】
また、上記計測装置において、固体レーザー光源としては、例えば、半導体レーザーからのレーザー光によって励起されてレーザー光を出射する半導体レーザー励起型固体レーザーが好適である。そして、半導体レーザー励起型固体レーザーとしては、例えば、モノリシックリング型光共振器を備え、当該モノリシックリング型光共振器に半導体レーザーからのレーザー光が入射されることにより、レーザー媒質が励起されてレーザー光を出射するようなものが好適である。ここで、モノリシックリング型光共振器内の光路は非同一面となるようになされていることが好ましい。
【0012】
また、上記計測装置において、固体レーザー光源としては、例えば、半導体レーザーと波長選択素子とを備え、半導体レーザーからのレーザー光を波長選択素子を介して出射することにより、単一周波数のレーザー光を出射するようになされているようなものも好適である。
【0013】
また、上記計測装置において、紫外線レーザー光発生手段は、複数段階の波長変換を行うことにより、紫外線レーザー光を発生させるようになされていても良い。
【0014】
また、上記計測装置において、上記波長変換を行う手段としては、リング型光共振器とされた非線形光学素子が好適である。このときは、固体レーザー光源からのレーザー光を上記非線形光学素子内で共振させるとともに、当該非線形光学素子により高調波発生又は和周波発生を行うことにより、上記波長変換を行う。
【0015】
また、上記計測装置は、上記波長変換を行う手段として、複数のミラーから構成される光共振器と、当該光共振器内に配された非線形光学素子とを備えていても良い。このときは、上記固体レーザー光源からのレーザー光を上記光共振器内で共振させるとともに、上記非線形光学素子による高調波発生又は和周波発生を行うことにより、上記波長変換を行う。なお、このときは、上記光共振器を構成するミラーの位置を、位置制御手段によって精密に制御するするようにした方が良い。
【0016】
また、上記計測装置は、計測対象物を移動操作する移動手段を備えていても良い。ここで、移動手段は、例えば、計測対象物の構造を計測する際に、上記紫外線レーザー光の光スポットが計測対象物上を走査するように、計測対象物を移動操作する。
【0017】
また、計測装置は、上記紫外線レーザー光を偏向させて当該紫外線レーザー光の進行方向を制御する偏向手段を備えていても良い。ここで、偏向手段は、例えば、計測対象物の構造を計測する際に、上記紫外線レーザー光が計測対象物上の所定位置に入射するように当該紫外線レーザー光を偏向させる。或いは、偏向手段は、例えば、計測対象物の構造を計測する際に、上記紫外線レーザー光の光スポットが計測対象物上を走査するように当該紫外線レーザー光を偏向させる。
【0019】
そして、ヘテロダイン検出を行う場合、上記計測装置の計測手段には、検出光と参照光の少なくともいずれか一方を周波数シフトさせる周波数シフト手段が設けられる。ここで、周波数シフト手段としては、音響光学変調器が好適である。
【0020】
また、ホモダイン検出を行う場合、上記計測装置の計測手段には、検出光と参照光の少なくともいずれか一方を位相シフトさせる位相シフト手段が設けられる。ここで、位相シフト手段としては、電気光学位相変調器が好適である。また、位相シフト手段としては、検出光及び/又は参照光の光路中に配されたミラーと、当該ミラーの位置を制御するミラー位置制御手段とを備え、ミラー位置制御手段によってミラーの位置を制御することにより、検出光及び/又は参照光の位相をシフトさせるようなものも好適である。
【0022】
また、上記計測装置において、上記計測手段は、例えば、検出光が計測対象物によって反射されて戻ってきた戻り光と、ヘテロダイン検出又はホモダイン検出を行うための参照光とを受光し検出する光検出器を備え、上記光検出器によって、戻り光と参照光の干渉によって得られるヘテロダイン信号又はホモダイン信号を検出する。ここで、光検出器としては、例えば、Si−PINフォトダイオード、Si−APDフォトダイオード又はGaNフォトダイオード等が好適である。
【0023】
また、上記計測装置において、上記計測手段は、計測対象物上に複数の検出光スポットを形成し、それらの戻り光を複数の光検出器によって検出するようになされていても良い。ここで、複数の光検出器は、例えば、Si−PINフォトダイオードアレー、Si−APDフォトダイオードアレー又はGaNフォトダイオードアレーによって構成する。
【0024】
また、上記計測装置において、上記計測手段は、上記紫外線レーザー光を計測対象物上に集光する集光手段として、石英又は螢石からなる対物レンズを備えていることが好ましい。また、上記計測手段は、上記紫外線レーザー光を計測対象物上に集光する集光手段として対物レンズを備えるとともに、当該対物レンズの表面を保護する交換可能な保護カバーを備えていても良い。
【0025】
また、上記計測装置は、上記紫外線レーザー光発生手段として、出射する紫外線レーザー光の波長が異なる2つの紫外線レーザー光発生手段を備えていても良い。このとき、上記計測手段は、例えば、一方の紫外線レーザー光発生手段から出射された第1の紫外線レーザー光を計測対象物に照射するとともに、他方の紫外線レーザー光発生手段から出射された第2の紫外線レーザー光を、上記第1の紫外線レーザー光が計測対象物によって反射されて戻ってきた戻り光と干渉させることにより、ヘテロダイン検出を行う。
【0026】
また、本発明に係る計測方法は、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させ、上記紫外線レーザー光を、計測対象物に照射される検出光と、ヘテロダイン検出を行うための参照光とに分割し、上記参照光のパワーが上記検出光のパワーよりも大きくなるように分割し、上記参照光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施すとともに、上記検出光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施し、上記周波数シフトが施された検出光が計測対象物によって反射されて戻ってきた戻り光と、上記周波数シフトが施された参照光との干渉によって得られる、上記参照光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f と上記検出光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f との差の周波数のヘテロダイン信号を検出することを特徴とする。
【0027】
上記計測方法において、ヘテロダイン検出又はホモダイン検出を行う際に、上記紫外線レーザー光を対物レンズによって計測対象物上に集光するとともに、対物レンズと計測対象物との間に液体を配するようにしても良い。このとき、上記液体として、計測対象物と化学反応を起こす液体を用いるようにしても良い。また、対物レンズと計測対象物との間に液体を配する場合には、上記対物レンズに、交換可能な保護カバーを取り付けておくと良い。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
1.ヘテロダイン検出により計測対象物の構造を計測する計測装置
本発明を適用し、ヘテロダイン検出により計測対象物の構造を計測するようにした計測装置の一例を図1に示す。この計測装置1は、ヘテロダイン検出により、非常に微弱な光で微細な構造を計測することが可能な計測装置であり、例えば、半導体素子、液晶素子、光メモリ又は磁気メモリ等のように微細な構造を有する素子を検査するような用途において特に有用である。また、この計測装置1は、非接触型の計測装置であり、計測対象物2にダメージを与えるようなことがないので、比較的にダメージを受けやすい生体等の観察用としても有用である。
【0035】
そして、この計測装置1は、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させる紫外線レーザー光発生手段3と、紫外線レーザー光発生手段3から出射された紫外線レーザー光を用いたヘテロダイン検出により計測対象物2の構造を計測するヘテロダイン計測手段4とを備えている。
【0036】
1−1 紫外線レーザー光発生手段
上記紫外線レーザー光発生手段3は、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより、直線偏光の紫外線レーザー光を発生させ出射する。このような紫外線レーザー光発生手段の一例を図2に示す。
【0037】
図2に示す紫外線レーザー光発生手段3は、グリーンレーザー光を発生させるグリーンレーザー光発生部11と、グリーンレーザー光発生部11からのグリーンレーザー光に波長変換を施して紫外線レーザー光を発生させる紫外線レーザー光発生部12とを備える。
【0038】
グリーンレーザー光発生部11では、先ず、半導体レーザー13から波長λ=808nmの高出力レーザー光が出射される。この高出力レーザー光は、集光レンズ14によって集光された上で、ノンプレーナ・モノリシックリング型のNd:YAGレーザー15に、当該Nd:YAGレーザー15を励起させる励起光として入射する。これにより、Nd:YAGレーザー15は励起され、波長λ=1064nmの赤外線レーザー光を発振する。このとき、Nd:YAGレーザー15には、外部磁場を印加しておく。これにより、Nd:YAGレーザー15は一方向のみに縦単一モードで発振する。このような発振の原理は、例えば米国特許USP4749842に開示されている。
【0039】
なお、ここでは、Nd:YAGレーザー15として、モノリシックリング型のものを採用している。モノリシックリング型の光共振器は、発振安定性が高く、T.Kane et.al.Opt Lett Vol. 10 (1985) pp65 に示されているように、優れた時間コヒーレンス特性を示す。したがって、モノリシックリング型のNd:YAGレーザー15は、ヘテロダイン検出やホモダイン検出での計測を行うための光源として非常に好適である。また、このNd:YAGレーザー15において、共振器内の光路は、非同一面となるようになされていることが好ましい。共振器内の光路を非同一面とすることにより、赤外線レーザー光の発振をより安定なものとすることができる。
【0040】
Nd:YAGレーザー15から出射された赤外線レーザー光は、モードマッチングレンズ16を介して、モノリシックリング型のMgO:LN結晶17に入射する。そして、波長λ=1064nmの赤外線レーザー光が入射されたMgO:LN結晶17は、波長λ=532nmの第二高調波を発生させる。ここで、MgO:LN結晶17は、波長λ=1064nmの赤外線レーザー光に対して光共振器を構成するようにしておく。光共振器内部での高いパワー密度を利用すれば、高効率な波長変換を連続波で実現できる。具体的には、赤外線レーザー光の波長と、MgO:LN結晶17の内部における共振波長とを一致させて光共振器を構成することにより、65%程度の高効率にて第二高調波を発生させることができる。
【0041】
そして、MgO:LN結晶17での第二高調波発生により、波長λ=1064nmの赤外線レーザー光に対して波長変換が施されてなる波長λ=532nmのグリーンレーザー光は、光反射ミラー18によって反射され、レンズ19によって所定のビーム径に整形された上で、グリーンレーザー光発生部11から出射される。
【0042】
以上のような構成を有するグリーンレーザー光発生部11では、時間コヒーレンス特性に優れたグリーンレーザー光を、非常に高効率にて発生させることができる。なお、上記グリーンレーザー光発生部11において、半導体レーザー13から1Wのレーザー光を出射するようにした場合には、Nd:YAGレーザー15により500mW程度の赤外線レーザー光が発生し、MgO:LN結晶17により200mW程度のグリーンレーザー光が発生する。このように、上記グリーンレーザー光発生部11は非常に効率が良い。しかも、半導体レーザー13の電気効率は、ガスレーザー等に比べて遥かに高く、およそ30%程度である。したがって、制御回路等での消費電力を含めたとしても、グリーンレーザー光発生部11での消費電力は非常に少なくて済む。
【0043】
以上のようにグリーンレーザー光発生部11によって生成されたグリーンレーザー光は、紫外線レーザー光発生部12に入射する。紫外線レーザー光発生部12では、非線形光学素子であるBBO21を用いて、グリーンレーザー光の第二高調波を発生させることで、波長λ=266nmの紫外線レーザー光を発生させる。すなわち、紫外線レーザー光発生部12では、グリーンレーザー光を基本波とし、BBO21によって第二高調波として紫外線レーザー光を発生させる。
【0044】
BBO21は、波長λ=190nmの遠紫外域まで光を透過し、レーザーダメージにも強く、複屈折が大きいため、広い波長範囲で第二高調波発生が可能であり、遠紫外域における第二高調波発生用素子として非常に好適である。しかし、BBO21で波長λ=266nmの第二高調波を発生させるときには角度位相整合が必要であり、MgO:LN結晶17のように温度位相整合ができないため、グリーンレーザー光発生部11のようにモノリシックリング型の結晶を用いて第二高調波を発生させるようなことは困難である。そこで、紫外線レーザー光発生部12では、4つの独立したミラー22,23,24,25を備えたリング型の光共振器26を用い、外部共振型にて第二高調波発生を行う。
【0045】
紫外線レーザー光発生部12に入射した基本波(すなわちグリーンレーザー光)は、位相変調器27及びモードマッチングレンズ18を介して、光共振器26に入射する。ここで、光共振器26は、第1乃至第4のミラー22,23,24,25によって構成されており、第1のミラー22と第2のミラー23との間にBBO21が配される。
【0046】
そして、基本波は、第1のミラー22を介して光共振器26の中に導入される。このとき、基本波の一部は、第1のミラー22によって反射され、更にミラー29によって光検出器30に向けて反射され、当該光検出器30によって検出される。一方、第1のミラー22を透過して光共振器26の内部に導入された光は、先ず、BBO21を介して第2のミラー23に向かい、次に、第2のミラー23によって第3のミラー24へ向けて反射され、次に、第3のミラー24によって第4のミラー25へ向けて反射され、次に、第4のミラー25によって第1のミラー22へ向けて反射され、その後、第1のミラー22によって反射されて、再びBBO21を介して第2のミラー23に向かう。なお、このような光共振器26を構成する各ミラー21,22,23,24には、例えば、表1に示すような仕様のものを用いる。
【0047】
【表1】
Figure 0004438111
【0048】
上記光共振器26の第1のミラー22によって反射された基本波は、上述したように、光検出器30によって検出される。そして、光共振器26の第1のミラー22によって反射された基本波を光検出器30で検出することにより得られた検出信号は、制御回路31に送られる。また、上記紫外線レーザー光発生部12において、位相変調器27は、位相変調器駆動回路28からの変調信号により、光共振器26に入射する基本波を位相変調する。そして、制御回路31は、上記検出信号を上記変調信号で同期検波することにより、光共振器26の光路位相差の誤差信号を検出し、当該誤差信号に基づいて、光共振器26の共振器長が常に共振条件を満たすように、電磁アクチュエータ32を駆動して、第3のミラー24の位置を連続的に精密に制御する。
【0049】
以上のようにして第3のミラー24の位置を連続的に精密に制御することで、光共振器26が独立した複数のミラー22,23,24,25から構成されていても、当該光共振器26の共振器長を、光の波長の数100分の1という非常に高い精度で制御することができる。そして、このように光共振器26の共振器長を精密に制御して、共振条件を常に満たすようにすることで、BBO21による第二高調波発生をより効率良く行うことが可能となる。
【0050】
また、上記光共振器26では、共振器ロスを低減するため、BBO21に反射防止膜を施しておく。また、共振器ロスを低減するため、表1に示したように、光共振器26を構成する第2乃至第4のミラー23,24,25として、反射率99.9%の高反射率ミラーを用いる。BBO21に反射防止膜を施し、且つ、第2乃至第4のミラー23,24,25として反射率99.9%の高反射率ミラーを用いることで、光共振器26の共振器ロスを0.5%程度以下に抑えることができる。
【0051】
以上のような構成を有する紫外線レーザー光発生部12では、時間コヒーレンス特性に優れた紫外線レーザー光を、非常に高効率にて発生させることができる。実際に、グリーンレーザー光発生部11から紫外線レーザー光発生部12に入射されるグリーンレーザー光の出力を200mWとして、紫外線レーザー光発生部12により紫外線レーザー光を発生させたところ、50mW程度の紫外線レーザー光が得られることが確認された。この50mWという出力は、ヘテロダイン検出やホモダイン検出を行うための光源としては、十分な出力である。
【0052】
なお、グリーンレーザー光発生部11から出射されるグリーンレーザー光の出力が200mWとなるのは、上述したように、半導体レーザー13からの出力をおよそ1Wとした場合である。したがって、上記紫外線レーザー光発生手段3では、半導体レーザー13から出射されるレーザー光の出力が1Wとなるように半導体レーザー13に対して駆動電流を供給することで、およそ50mWの紫外線レーザー光が得られる。50mWという出力は、ヘテロダイン検出やホモダイン検出を行うための光源としては、十分過ぎるほどの出力であり、実際には、半導体レーザー13に対する駆動電流を更に下げて低消費電力化しても、ヘテロダイン検出やホモダイン検出を行うのに十分な出力が得られる。
【0053】
なお、紫外光はフォトンエネルギーが高いため、光共振器内に配したBBOでの第二高調波発生により紫外線レーザー光を発生させるようにすると、光共振器を構成するミラーやBBOなどを劣化させてしまう恐れがある。そのため、従来、光共振器内に配したBBOでの第二高調波発生により紫外線レーザー光を発生させるようにした光源は、寿命が短く信頼性が低いという問題があり、計測装置用の光源として実用化することは難しかった。
【0054】
しかしながら、本発明者は、BBO結晶育成の改善、BBOに施す反射防止膜の改善、BBOに入射する光のスポットサイズの最適化、光共振器内の洗浄及び雰囲気の最適化などを図ることにより、図2に示したように光共振器26の内部に配したBBO21で第二高調波発生を行うようにしても、十分な信頼性及び寿命が得られることを確認した。具体的には、上述のような改善及び最適化を図ることにより、100mWの紫外線レーザー光を発生させた場合に、1000時間以上安定に動作することが確認され、また、30mWの紫外線レーザー光を発生させた場合に、5000時間以上安定に動作することが確認された。これらの結果から、例えば、20mWの紫外線レーザー光を発生させたときの寿命は、10000時間程度にも達すると推定される。これだけの寿命があれば、実質的にメンテナンスフリーの光源として取り扱うことができ、計測装置用の光源としても十分に実用化が可能である。
【0055】
以上のように紫外線レーザー光発生部12によって生成された紫外線レーザー光は、コリメータレンズ33により平行光とされ、アナモルフィックプリズムペアー34によりビーム整形された上で、紫外線レーザー光発生手段3から出射される。なお、アナモルフィックプリズムペアー34は、紫外線レーザー光発生手段3から出射される紫外線レーザー光のスポット形状が、ほぼ円形のビームとなるようにビーム整形を行う。光共振器26から出射された紫外線レーザー光は、BBO21の複屈折によるウォークオフ効果により楕円ビームとなっている。そこで、この紫外線レーザー光発生手段3では、アナモルフィックプリズムペアー34によって、スポット形状がほぼ円形のビームとなるようにビーム整形した上で、紫外線レーザー光を出射するようにしている。
【0056】
以上のような紫外線レーザー光発生手段3は、固体レーザー光源(Nd:YAGレーザー15)からのレーザー光に対して、非線形光学素子(MgO:LN結晶17,BBO21)を用いた第二高調波発生による波長変換を2段階にわたって行うことにより、紫外線レーザー光を発生させるようにしている。すなわち、この紫外線レーザー光発生手段3は、固体素子だけで紫外線レーザー光を発生させる全固体紫外線レーザー光源となっている。
【0057】
このように固体素子だけで紫外線レーザー光発生手段3を構成することで、小型、高効率、低消費電力、高安定、高ビーム品質の光源を実現することができる。しかも、上記紫外線レーザー光発生手段3では、時間コヒーレンス特性に優れた紫外線レーザー光が得られるので、光の位相情報を利用するヘテロダイン検出及びホモダイン検出用の光源として、非常に好適である。
【0058】
なお、紫外線レーザー光を発振するレーザー光源としては、例えば、エキシマレーザーやアルゴンレーザー等のガスレーザーもあるが、これらのガスレーザーは、装置が大型であり、しかも効率が悪く消費電力が高いという問題がある。例えば、波長351nmで発振するアルゴンレーザーの場合、通常、その効率は0.001%以下である。これに比べると、全て固体素子から構成されている上記紫外線レーザー光発生手段3は、遥かに高い効率が得られ、しかも、装置を非常に小型にすることができる。
【0059】
更に、アルゴンレーザーの場合には、大量の冷却水が必要という問題もある。冷却水を循環させると振動が生じてしまうため、大量の冷却水が必要なアルゴンレーザーは、微細構造の計測には不適当である。しかも、アルゴンレーザーは発振波長安定性が悪く、アルゴンレーザーを用いて、ヘテロダイン検出やホモダイン検出を長期にわたり安定に行うことは不可能であった。また、エキシマレーザーの場合には、危険物である弗化物ガスの供給が必要となるという問題もある。更に、エキシマレーザーはピークパワーの高いパルス発振をするので、ヘテロダイン検出やホモダイン検出によって計測対象物の構造を計測する計測装置には不適当であった。
【0060】
これに対して、上記紫外線レーザー光発生手段3では、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させるようにすることで、エキシマレーザーやアルゴンレーザー等のガスレーザーを用いたときの問題点を全て解決している。
【0061】
1−2 ヘテロダイン計測手段
上記紫外線レーザー光発生手段3から出射された紫外線レーザー光は、図1に示すように、当該紫外線レーザー光を用いたヘテロダイン検出により計測対象物2の構造を計測するヘテロダイン計測手段4に入射される。
【0062】
紫外線レーザー光発生手段3から出射されヘテロダイン計測手段4に入射した紫外線レーザー光は、先ず、光分割手段41に入射する。光分割手段41は、紫外線レーザー光を、計測対象物2に照射する光(以下、検出光と称する。)と、ヘテロダイン検出を行うための光(以下、参照光と称する。)とに分割するためのものである。ここで、光分割手段41は、紫外線レーザー光発生手段3から出射された紫外線レーザー光のうち、一部を透過するとともに、残りを反射する。そして、光分割手段41を透過した光が検出光となり、光分割手段41によって反射された光が参照光となる。なお、ヘテロダイン検出は、以下の詳細に説明するように、検出光が計測対象物2によって反射されて戻ってきた戻り光と、参照光とを干渉させることにより行われる。
【0063】
ここで、光分割手段41の実効的な分割比は、参照光への分岐比率が、検出光への分岐比率よりも大きくなるようにする。具体的には、検出光を1としたとき、参照光をおよそ100以上となるように分割する。これにより、後述するように、計測対象物2の計測によって得られるヘテロダイン信号のSN比を高めることができる。また、光分割手段41によって紫外線レーザー光を分割するにあたっては、検出光のパワーが1μW程度以下となるようにする。これにより、後述するように、紫外線レーザー光の照射によって計測対象物2にダメージを与えてしまうようなことを回避できる。
【0064】
ここで、光分割手段41としては、例えば、基板上に誘電体多層膜が形成されてなり、紫外光を45度入射させたときに、S偏光入射の場合には99.5%以上反射するが、P偏光入射の場合には1%程度透過するような光反射ミラーを用いる。この場合、当該光反射ミラーに対して、紫外線レーザー光発生手段3からの紫外線レーザー光を、P偏光入射させる。これにより、紫外線レーザー光発生手段3から出射された紫外線レーザー光は、参照光と検出光とに、およそ100対1に分割されることとなる。
【0065】
光分割手段41によって反射されてなる参照光は、周波数シフター駆動装置42によって駆動される周波数シフター43に入射し、周波数シフトが施される。ここで、周波数シフター駆動装置42は、ヘテロダイン信号処理装置44からの制御信号に基づいて、所定のキャリア周波数f1にて周波数シフター43を駆動する。そして、所定のキャリア周波数f1にて駆動される周波数シフター43に、光分割手段41によって紫外線レーザー光が分割されてなる参照光が入射することにより、当該参照光に対してキャリア周波数f1の分だけ周波数シフトが施される。
【0066】
具体的には、例えば、周波数シフター43として、石英、水晶、BBO又はLBO等を用いた音響光学変調器を用い、当該音響光学変調器を周波数シフター駆動装置42により、キャリア周波数f1=200MHzにて駆動する。このとき、音響光学変調器でのブラッグ回折の1次回折光が、200MHzの周波数シフトが施された参照光として出力される。
【0067】
周波数シフター43によって周波数シフトが施された参照光は、光反射ミラー45によって反射されて1/2波長板46に入射し、当該1/2波長板46を透過した後、合波ミラー47に入射する。なお、1/2波長板46は、合波ミラー47上において参照光の偏光方位が検出光の偏光方位と同一になるようにするためのものである。
【0068】
一方、光分割手段41を透過してなる検出光は、周波数シフター駆動装置48によって駆動される周波数シフター49に入射し、周波数シフトが施される。ここで、周波数シフター駆動装置48は、ヘテロダイン信号処理装置44からの制御信号に基づいて、所定のキャリア周波数f2にて周波数シフター49を駆動する。そして、所定のキャリア周波数f2にて駆動される周波数シフター49に、光分割手段41によって紫外線レーザー光が分割されてなる検出光が入射することにより、当該検出光に対してキャリア周波数f2の分だけ周波数シフトが施される。
【0069】
具体的には、例えば、周波数シフター49として、石英、水晶、BBO又はLBO等を用いた音響光学変調器を用い、当該音響光学変調器を周波数シフター駆動装置48により、キャリア周波数f2=212MHzにて駆動する。このとき、音響光学変調器でのブラッグ回折の1次回折光が、212MHzの周波数シフトが施された検出光として出力される。
【0070】
なお、ヘテロダイン検出において、検出光の側の周波数シフトは必須ではなく、行わなくてもよい。しかし、上述のように、検出光の側の周波数シフトも行うようにすることで、参照光と検出光の周波数差を精度良く制御でき、ヘテロダイン検出をより高精度に行うことが可能となる。また、検出光の側の周波数シフター49として、音響光学変調器を用いた場合には、当該音響光学変調器の駆動電圧を調整することにより、計測対象物2に照射する検出光の光強度を制御するようなことも可能となる。
【0071】
周波数シフター49によって周波数シフトが施された検出光は、偏光ビームスプリッタ50に入射し、当該偏光ビームスプリッタ50によって反射される。そして、偏光ビームスプリッタ50によって反射された検出光は、ビーム偏向装置51に入射し、当該ビーム偏向装置51により光軸の角度偏向がなされる。このビーム偏向装置51は、計測対象物2に照射される検出光のスポット位置を調整するためのものである。すなわち、ビーム偏向装置51は、この計測装置1で計測対象物2の構造を計測することで、計測対象物2の所望する部位の画像が得られるように、画像コントローラ52からの制御信号に基づいて、検出光の光軸の角度偏向を行い、計測対象物2に照射される検出光のスポット位置を調整する。なお、ビーム偏向装置51に搭載される偏向手段としては、具体的には例えば、ガルバノミラー、ポリゴンミラー又は音響光学偏向器などが挙げられる。
【0072】
ビーム偏向装置51により光軸の角度偏向が施された検出光は、1/4波長板53に入射し、当該1/4波長板53を透過した後、対物レンズ54に入射する。なお、1/4波長板53は、検出光が計測対象物2によって反射されて戻ってきた戻り光が、偏光ビームスプリッタ50を透過するようにするためのものである。
【0073】
ここで、対物レンズ54は、開口数NAが大きい方が好ましく、具体的には、開口数NAが0.4程度以上であることが好ましい。対物レンズ54の開口数NAが大きい方が、当該対物レンズ54によって集光され形成される光スポットの径を小さくできるので、計測装置1の分解能をより高めることができる。
【0074】
また、対物レンズ54は、紫外域における光透過率が十分に高い光学材料からなるものであることが好ましい。紫外域における光透過率が十分に高い光学材料としては、石英や螢石等が挙げられる。なお、このような特定の光学材料だけで対物レンズ54を構成する場合には、一般に色収差の補正が困難である。しかし、上記計測装置1では、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより得られる、発光線幅の狭い紫外線レーザー光を検出光として用いるので、対物レンズ54の色収差の問題を回避することができる。具体的には、対物レンズ54を、検出光と同一波長の光源を用いた干渉計で、予め評価最適化しておく。これにより、対物レンズ54の色収差の問題を解決することができる。
【0075】
対物レンズ54に入射した検出光は、対物レンズ54によって計測対象物上に集光され、計測対象物上において微小な光スポットを形成する。ここで、計測対象物2は、ステージコントローラ55によって動作が制御される移動ステージ56の上にマウントされ、所望する計測領域を検出光スポットが走査するように、移動ステージ56によって移動操作される。すなわち、計測対象物2の構造を計測する際は、画像コントローラ52からの制御信号に基づいてステージコントローラ55によって移動ステージ56が移動操作され、これにより、対物レンズ51によって集光されてなる検出光スポットが、計測対象物2を走査することとなる。
【0076】
ここで、検出光スポットの走査は、上記のように移動ステージ56によって計測対象物2を移動させることにより行うのではなく、例えば、ビーム偏向装置51によって検出光照射位置を移動させることにより行うようにしても良いし、或いは、移動ステージ56による計測対象物2の移動と、ビーム偏向装置51による検出光照射位置の移動とを組み合わせて行うようにしても良い。
【0077】
なお、計測対象物2を繰り返し交換して、計測対象物2の検査を行うような場合には、計測対象物2を移動ステージ56の上に自動的に搬送する搬送手段を設けておくと好ましい。すなわち、例えば、この計測装置1を、ウエハ上に形成された半導体素子、液晶素子、光メモリ又は磁気メモリ等を検査するような場合には、検査対象となるウエハを自動的に移動ステージ56の上に搬送する搬送手段を設けておくと好ましい。
【0078】
対物レンズ54によって集光された検出光は、計測対象物2によって反射されて、計測対象物2の構造についての情報を含んだ光となり、対物レンズ54に戻ってくる。そして、この戻り光は、対物レンズ54、1/4波長板53、ビーム偏向装置51及び偏光ビームスプリッタを透過して、合波ミラー50に入射する。
【0079】
合波ミラー50は、計測対象物2からの戻り光と参照光とを重ね合わせるためのもであり、ハーフミラーからなる。この合波ミラー50の一方の面には、周波数シフトが施された参照光が入射し、他方の面には、検出光が計測対象物2によって反射されて戻ってきた戻り光が入射する。そして、合波ミラー50によって反射された参照光と、合波ミラー50を透過した戻り光とが、重ね合わさって光検出器57に入射し、当該光検出器57によって検出される。また、合波ミラー50を透過した参照光と、合波ミラー50によって反射された戻り光とが、重ね合わさって光検出器58に入射し、当該光検出器58によって検出される。なお、光検出器57,58としては、具体的には、Si−PINフォトダイオード、Si−APDフォトダイオード又はGaNフォトダイオード等が好適である。
【0080】
そして、一方の光検出器57からの出力は、増幅器59によって増幅された上で比較器60に入力され、同様に、他方の光検出器58からの出力も、増幅器61によって増幅された上で比較器60に入力される。そして、比較器60によって、それらの光検出器57,58からの出力の差動がとられ差信号が生成され、当該差信号がヘテロダイン信号処理装置44に入力され、位相情報を含むヘテロダイン信号が検出される。
【0081】
なお、一方の光検出器57に入射する参照光及び戻り光と、他方の光検出器58に入射する参照光及び戻り光とは、合波ミラー50を介することにより、互いに位相が反転した光となっている。したがって、一方の光検出器57からの出力と、他方の光検出器58からの出力とは、極性が反転した出力となる。したがって、上述のように、一方の光検出器57からの出力と、他方の光検出器58からの出力との差動をとることで、単独の光検出器だけを用いるよりも、より大きな出力を得ることが可能となる。また、差動をとることにより、不要な直流バイアス成分が取り除かれるという利点もある。
【0082】
ヘテロダイン信号処理装置44に入力された差信号は、当該ヘテロダイン信号処理装置44によって同期検波などの信号処理が施されて、光の強度情報と位相情報とが取り出される。そして、これらの情報は、画像コントローラ52に送られる。ここで、画像コントローラ52は、上述したように、ビーム偏向装置51やステージコントローラ55に制御信号を送ることで、計測対象物2上に集光される検出光スポットの位置を制御している。したがって、画像コントローラ52は、計測対象物2上に集光される検出光スポットの位置情報を有している。そこで、画像コントローラ52は、この位置情報と、ヘテロダイン信号処理装置44から送られてきた強度情報及び位相情報とに基づいて画像処理を行い、計測対象物2の構造を計測した結果を示す画像を画像表示装置62に表示させる。
【0083】
なお、上述したように、計測対象物2を移動ステージ56の上に自動的に搬送する搬送手段を設けて、計測対象物2を繰り返し交換して、計測対象物2の検査を行うような場合には、そのような検査プロセスをコントロールするコントローラを設けておくと好ましい。この場合は、計測対象物2の構造を計測した結果をコントローラにも送り、当該コントローラによって全体の検査プロセスを制御するようにする。
【0084】
1−3 変形例
上記計測装置1では、ヘテロダイン信号を得るために参照光や検出光を変調する手段として、音響光学変調器からなる周波数シフター41,43を例に挙げたが、ヘテロダイン信号を得るために参照光や検出光を変調する手段としては、例えば、BBOを用いた電気光学位相変調器等も使用可能である。
【0085】
また、上記計測装置1では、ヘテロダイン信号を得るために、光分割手段41によって、紫外線レーザー光を参照光と検出光とに分割したが、参照光及び検出光を得るにあたっては、発振波長の僅かに異なる2つの紫外線レーザー光発生手段を設けておくようにしても良い。すなわち、発振波長の僅かに異なる2つの紫外線レーザー光発生手段を設けておき、それらの紫外線レーザー光発生手段からの紫外線レーザー光を、それぞれ参照光と検出光とに用いるようにしても良い。
【0086】
また、上記計測装置1では、計測対象物2の上に1つの検出光スポットを形成し、その戻り光を光検出器57,58によって検出する、いわば1ビームの共焦点顕微鏡のような構成となっていたが、計測対象物2の上に複数の検出光スポットを形成し、それらの戻り光を複数の光検出器によって検出するようにしても良い。これにより、計測対象物2の構造の計測を、同時に複数箇所において行うことが可能となる。なお、このように戻り光を複数の光検出器によって検出する場合、光検出器には、例えば、Si−PINフォトダイオードアレー、Si−APDフォトダイオードアレー又はGaNフォトダイオードアレー等を用いる。
【0087】
1−4 計測結果
上記計測装置1で、実際に計測対象物2の構造の計測を行った。ここで、レーザー光のパワーは、合波ミラー50による合波後に光検出器57,58に入射するそれぞれの参照光パワーが約1mW、戻り光パワーが約600nWとなるようした。また、参照光側の周波数シフター43のキャリア周波数f1を200MHzと、検出光側の周波数シフター49のキャリア周波数f2を212MHzとした。
【0088】
その結果、図3に示すように、参照光側の周波数シフター43のキャリア周波数f1と、検出光側の周波数シフター49のキャリア周波数f2との差の周波数(f2−f1=12MHz)のヘテロダイン信号が検出された。しかも、光検出器57,58に入射する戻り光のパワーがそれぞれ約600nWと非常に微弱であるにもかかわらず、図3にも示すように、CN比が約66dB(バンド幅30kHz)の良好なヘテロダイン信号が得られた。また、図4に、ピーク出力が約600nWの戻り光がAM変調されたときのヘテロダイン信号のエンベロープを示す。ヘテロダインの原理により微弱な戻り光が良好なSN比で検出されていることが分かる。
【0089】
また、合波ミラー50による合波後に光検出器57,58に入射する参照光のパワーをそれぞれの0.98mWで一定として、光検出器57,58に入射する戻り光のパワーを変化させた。そして、このときに検出されるヘテロダイン信号のSN比の変化を測定した。なお、光検出器57,58には、0.1A/Wの感度を有するものを使用し、光検出器57,58からの出力は、5kΩの負荷抵抗を用いて電流電圧変換し、それぞれ18dBの増幅を行う増幅器59,61に通した。
【0090】
上記測定の結果を図5に示す。ビデオレート(1/30秒)で画像表示するためには約5MHzの帯域が必要であり、図5では、この帯域でのキャリアやノイズについて、実験値並びに理論値を示している。すなわち、図5において、点線A1は、ヘテロダイン検出を行って検出される、5MHzの帯域でのキャリアの理論値を示しており、また、実線A2は、ヘテロダイン検出を行って検出された、5MHzの帯域でのキャリアの実験値を示している。また、点線B1は、ヘテロダイン検出を行わずに、戻り光を直接検出したときに得られる、5MHzの帯域でのキャリアの理論値を示している。また、実線C1は、帯域5MHzにおけるショットノイズの理論値を示しており、実線C2は、帯域5MHzにおけるノイズの実験値を示している。
【0091】
図5から分かるように、ヘテロダイン検出を行わずに、戻り光を直接検出した場合、10μW以下の光量では、十分なSN比が得られない。これに対して、ヘテロダイン検出を行った場合には、非常に微弱な光量で、高いSN比が得られている。
【0092】
例えば、ビデオレートで画像表示するにあたって、良好な画像を得るためには、SN比が40dB程度以上であることが望まれる。そして、図5から分かるように、ヘテロダイン検出を行った場合、SN比が40dBとなるのは、戻り光のパワーがおよそ150nWのときである。すなわち、ヘテロダイン検出を行った場合には、良好な画像が得られる40dBのSN比を、150nW程度の非常に微弱なパワーにて得ることができる。
【0093】
また、図5から分かるように、ヘテロダイン検出を行った場合、ショットノイズとキャリアとが等価になる限界検出パワーは、およそ20pW程度と非常に小さくなっている。
【0094】
また、図5から分かるように、ノイズの実験値は、計算で求められたショットノイズにほぼ一致している。このことから、光検出器57,58として、フォトマルチプライヤーやアバランシェフォトダイオードなどのように高電圧を必要とするようなものを用いることなく、Si−PINフォトダイオード、Si−APDフォトダイオード又はGaNフォトダイオードなどを用いたとしても、ショットノイズ限界検出が十分に可能であることが分かる。
【0095】
なお、参照光のパワーと検出光のパワーとが同じ場合、SN比は、ヘテロダイン検出を行わずに、戻り光を直接検出した場合と同様なものとなってしまう。したがって、ヘテロダイン検出を行うにあたっては、参照光のパワーを検出光のパワーよりも十分に大きくすることが好ましい。そして、上記計測装置1では、光分割手段41により、例えば、紫外線レーザー光を参照光と検出光とにおよそ100対1に分割するようにしている。したがって、上記計測装置1では、非常に高いSN比を得ることができる。なお、ヘテロダイン検出で微弱光を高いSN比で検出する条件(検出光<<参照光)については、A.. Yariv: Optical Electronics 3rd ed. (Holt, Rinehart and Winston, New York, 1985) Chap.11:多田邦雄 訳、光エレクトロニクスの基礎(丸善、東京、1988) pp383 に示されている。
【0096】
1−5 上記計測装置の利点
上記計測装置1では、紫外線レーザー光を使用するとともに、ヘテロダイン検出を採用することで、サブミクロンオーダーの微細な構造を計測することができる。すなわち、上記計測装置1では、波長の短い光を使用することで高い分解能が得られるとともに、ヘテロダイン検出により光の位相情報も検出することで、計測対象物2の高さの変化や屈折率の変化などの位相変化の検出も可能となり、計測対象物2の表面形状の計測や微小な欠陥検出などを、サブミクロンのオーダーにて行うことができる。しかも、計測対象物2の構造を光学的に計測するため、非接触且つ非破壊にて、大気雰囲気下で計測対象物2の構造を計測することができる。
【0097】
なお、ミクロンオーダーやサブミクロンオーダーの微細構造計測を行う装置としては、従来より、走査型電子顕微鏡(SEM)が広く使用されている。しかし、走査型電子顕微鏡では、電子ビームを用いるために、真空容器内で計測を行う必要があり、装置が大掛かりになり、しかも計測を行うまでに時間がかかるという問題があった。また、計測対象物が絶縁物の場合には、電子ビームの飛来による表面電荷蓄積を防ぐために、計測対象物の表面に伝導膜を形成する必要があるという問題もあった。また、電子ビームはエネルギーが高いため、電子ビームの照射により計測対象物がダメージを受けるという問題もあった。
【0098】
また、より微細な構造を計測する手段として、微小針先の原子間力を用いた原子間力顕微鏡(AFM)や、微小開口からの漏れ光を用いて計測対象物の構造を計測する走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)などもある。原子間力顕微鏡や走査型近接場光学顕微鏡を用いると、ナノメーターオーダーの微細構造計測も可能である。しかしながら、原子間力顕微鏡や走査型近接場光学顕微鏡では、微小針先や微小開口の機械的な走査が必要なため、測定時間が非常に長くかかるという問題があった。また、微小針先や微小開口の形状次第で計測結果が変化してしまう場合があり、測定再現性が悪いという問題もあった。
【0099】
これに対して、上記計測装置1では、計測対象物2の構造を光学的に計測するため、非接触且つ非破壊にて、大気雰囲気下で速やかに計測対象物2の構造を計測することができる。しかも、この計測装置1では、紫外線レーザー光を使用するとともに、ヘテロダイン検出を採用することで、従来の光学顕微鏡に比べて、遥かに高い分解能が得られる。
【0100】
そして、このような計測装置1を用いることで、例えば、半導体素子、液晶素子、光メモリ又は磁気メモリ等のように微細な構造を有する素子(以下、これらを総称して微細構造素子と称する。)の製造時に、製造過程の途中でそれらの微細構造素子を検査するようなことも可能である。走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡及び走査型近接場光学顕微鏡などは、上述したような問題のため、微細構造素子の不良解析を行う場合や、微細構造素子の抜き取り検査を破壊検査で行うような場合にしか使用できなかった。しかし、上記計測装置1では、非接触且つ非破壊にて大気雰囲気下で速やかに計測対象物2の構造を計測することが可能なので、微細構造素子の製造過程において、それらの構造を計測するようなことも可能である。微細構造素子の製造過程において、上記計測装置1を用いて、それらの構造を計測し検査するようにすることで、微細構造素子の製造歩留まりを高めることが可能となる。すなわち、例えば、上記計測装置1と微細構造素子の製造装置とを一体化して、微細構造素子の製造品質を製造過程において随時検査する、いわゆるインライン検査を行うことで、微細構造素子の製造歩留まりを高めることができる。
【0101】
例えば、近年、半導体素子のデザインルールは0.25μm程度にまで微細化が進んでおり、更に次世代の半導体素子では、デザインルールが0.1μm程度にまで微細化が進むと予想される。このような半導体素子を検査しようとしたとき、可視光を用いた従来の光学顕微鏡では分解能が不十分である。しかし、上記計測装置1では、紫外線レーザー光を使用するとともにヘテロダイン検出を採用することで、上述のような半導体素子の検査に必要な分解能を得ることが可能となっている。そこで、上記計測装置1を、半導体素子のインライン検査に用いることで、半導体素子の製造品質を製造過程において検査することが可能となり、半導体素子の製造歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
【0102】
また、上記計測装置1は、非接触且つ非破壊にて大気雰囲気下で計測対象物2の構造を計測することができる。したがって、比較的にダメージを受けやすい生体等を観察するような場合や、構造が時間的に変化する計測対象物について、その構造の変化を観察したいような場合にも、非常に有用である。
【0103】
1−6 計測対象物に与えるダメージについて
上記計測装置1は、非接触型の計測装置ではあるが、検出光に紫外線レーザー光を用いるため、当該紫外線レーザー光によって計測対象物2にダメージを与えてしまう可能性はある。すなわち、波長λ=200〜400nmの遠紫外域の光のフォトンのエネルギーは、光化学反応を起こしやすく、そのため、例えば、計測対象物2が生体の場合に紫外線レーザー光のパワーがあまりに大きいと、計測対象物2にダメージを与えてしまう可能性がある。また、例えば、計測対象物2がポリマー材料からなる場合に紫外線レーザー光のパワーがあまりに大きいと、炭素水素間の結合エネルギーを超えて、アブレーション現象を引き起こしてしまう可能性がある。
【0104】
しかし、上記計測装置1において、計測対象物2に照射する紫外線レーザー光は非常に微弱なもので良いので、検出光に紫外線レーザー光を用いても当該紫外線レーザー光によって計測対象物2にダメージを与えてしまうことは、ほぼ無いと言える。以下、この点について説明する。
【0105】
「エキシマレーザー最先端応用技術 第3章 1986 (株)シーエムシー 監修 豊田浩一」に記載されているように、波長λが266nmのとき、フォトンエネルギーは4.7eV(=107kcal/mol)になり、C−C結合、C−H結合の解離を引き起こす。そして、例えば、波長λが266nmの1mWの光を、開口数NAが0.9の対物レンズで絞って、ポリマー材料に照射すると、およそ1MW/cm2のパワー密度に達し、アブレーション現象が生じる。
【0106】
なお、波長=266nmの紫外線によるポリマー材料のアブレーション現象については、例えば、"All Solid-State Continuous-Wave Frequency-Quadrupled Nd:YAG Laser," IEEE J.Select.Top.In Quantum Electron. Vol. 1 (1995), 859や、"Progress in all-solid-state deep-ultraviolet coherent light sources," SPIE PROC. Vol. 2700, (1996), 302-310 などに示されている。
【0107】
このように、検出光として用いる紫外線レーザー光のパワーが大きいと、計測対象物2にダメージを与えてしまう可能性がある。したがって、上記計測装置1において、計測対象物2に照射する紫外線レーザー光は微弱なものとしたほうが好ましい。
【0108】
例えば、上記計測装置1を、半導体素子のインライン検査に適用する場合には、検出光として用いる紫外線レーザー光を、半導体素子形成時のマスクパターンに使用されるフォトレジストを感光させてしまわない程度の微弱光とすることが望まれる。
【0109】
例えば、デザインルールが0.25μmの半導体素子において、その微細パターンの形成には、KrFエキシマレーザーを用いたステッパー型露光装置が用いられており、その微細パターンの形成に用いるフォトレジストの感度は、"NA/sigma optimization strategies for an advanced DUV stepper applied to 0.25 micron and sub 0.25 micron critical levels," SPIE PROC. Vol. 3051, (1997) pp 320-332 に示されているように、およそ15〜25mJ/cm2である。
【0110】
そして、例えば、波長λが266nmの1mWの光を、50μm×50μmの領域において、ビデオレートにて走査したとすると、そのときのエネルギー密度は1.3J/cm2となり、フォトレジストの感度を大幅に上回る。一方、例えば、波長λが266nmの1μWの光を、50μm×50μmの領域において、ビデオレートにて走査したとすると、そのときのエネルギー密度は1.3mJ/cm2となり、フォトレジストの感度を大幅に下回る。
【0111】
そして、図5からも分かるように、上記計測装置1において、計測対象物2に照射する紫外線レーザー光は非常に微弱なものでよい。そして、上記計測装置1で使用する程度のパワーの紫外線レーザー光であれば、上述の説明からも明らかなように、フォトレジストを感光させてしまようなことはない。すなわち、本発明を適用した上記計測装置1では、紫外線レーザー光を用いてはいるが、そのパワーは非常に微弱で良く、例えば、計測対象物2にフォトレジストが含まれているような場合であっても、フォトレジストを感光させてしまうことなく(換言すれば、計測対象物2にダメージを与えることなく)、計測対象物2の構造を計測することができる。
【0112】
すなわち、本発明を適用した上記計測装置1では、計測対象物2に照射する検出光のパワーを1μW以下としても、計測対象物2の構造の計測を行うことは十分に可能であり、上述の説明からも分かるように、計測対象物2に照射する検出光のパワーが1μW以下であれば、計測対象物2にフォトレジストが含まれているような場合でも、フォトレジストを感光させてしまうようなことなく、計測対象物2の構造を計測することができる。
【0113】
以上のように、本発明を適用した上記計測装置1では、検出光として紫外線レーザー光を用いてはいるが、そのパワーは非常に微弱で良く、計測対象物2にダメージを与えることなく、計測対象物2の構造を計測することができる。
【0114】
1−7 従来技術との比較
上記計測装置1では、光分割手段41により、紫外線レーザー光を参照光パワーが大きく且つ検出光パワーが小さくなるように分割するようにしており、これにより、計測対象物2に照射する紫外線レーザー光を非常に微弱なものとし、計測対象物2にダメージを与えることなく、計測対象物2の構造を計測することが可能となっているとともに、上述したように、非常に高いSN比を得ることが可能となっている。
【0115】
従来技術では、このように検出光のパワーを小さくし効率良くヘテロダイン検出を行うことは困難であった。例えば、米国特許USP3796495では、図6に示すようなセットアップでヘテロダイン検出を行う手法が開示されている。この場合、音響光学変調器100の検出光への分岐比をTとすれば、0次光の参照光への分岐比は1−Tとなる。そして、光検出器101へ戻る光量は、計測対象物102の反射率を1としたとき、検出光も参照光もT×(1−T)となる。したがって、例えば、T=1%で検出光が10μWのとき、光検出器101に戻る参照光も10μWとなり、ヘテロダイン検出で微弱光を高いSN比で検出する条件(検出光<<参照光)を満たすことはできない。
【0116】
また、ヘテロダイン検出については、例えば、米国特許USP4353650,USP4627730,USP4848908などにも記載がある。しかし、これらの例では、いずれも参照光と検出光の両方が計測対象物に向かっており、計測対象物に照射する光を微弱光とするには、検出光と参照光の両方を微弱光にする必要がある。そのため、高いSN比で検出する条件(検出光<<参照光)を満たすことはできない。
【0117】
このように、従来技術では、検出光のパワーを小さくし効率良くヘテロダイン検出を行うことは困難であった。これは、参照光光路と検出光光路とをコモンパス化してヘテロダイン検出を行うからである。これに対して、上記計測装置1では、参照光と検出光とを光分割手段41で分割するようにしているので、参照光パワーを大きくし、検出光パワーを小さくすることが可能となっている。
【0118】
なお、上記計測装置1のように、参照光光路と検出光光路とをコモンパス化しない場合には、検出光と参照光とで光路差が生じるため、使用するレーザー光の波長安定性や時間コヒーレンス特性について、非常に厳しい条件が加わる。一般的に、紫外線レーザー光源としては、エキシマレーザーやアルゴンレーザー等のガスレーザーが主に使用されているが、エキシマレーザーやアルゴンレーザー等のガスレーザーは、波長安定性や時間コヒーレンス特性が悪く、ヘテロダイン検出やホモダイン検出に要求される条件を満足することは難しい。そのため、従来、紫外線レーザー光を用いて、検出光と参照光とで光路差が生じるような条件にて、ヘテロダイン検出やホモダイン検出を行うということは実現されていなかった。これに対して本発明では、紫外線レーザー光源として、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させる紫外線レーザー光発生手段を用いている。これにより、波長安定性に優れた、時間コヒーレンス特性の良好な紫外線レーザー光の使用が可能となり、その結果、紫外線レーザー光を用いて、検出光と参照光とで光路差が生じるような条件にて、ヘテロダイン検出やホモダイン検出を行うことを可能となっている。
【0119】
1−8 紫外線レーザー光発生手段の他の例
上記計測装置1に使用される紫外線レーザー光発生手段3は、固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させるものであれば良く、上述した構成に限定されるものではない。すなわち、固体レーザー光源や非線形光学素子を適宜組み合わせて高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより、様々な波長の紫外線レーザー光を発生させることが可能であり、本発明に係る計測装置に使用される紫外線レーザー光発生手段は、図2に示したような構成のものに限定されるものではない。
【0120】
具体的には、波長変換を行い紫外線レーザー光を発生させるにあたって使用する固体レーザー光源としては、例えば、AlGaAs,GaInAsP,GaN,GaInNなどを用いた半導体レーザーや、Nd:YAG,Nd:YVO4,Nd:YLF,Nd:YAP,Nd:SFAP,Yb:YAG,Yb:YLF等の希土類添加固体レーザー媒質を用いた固体レーザーや、Cr:LiSAF,Cr:LiCAF,Ti:Al23等の遷移金属添加固体レーザー媒質を用いた固体レーザーなどが挙げられる。
【0121】
なお、半導体レーザーを用いる場合は、回折格子等からなる波長選択素子を用いて、単一周波数で発振するようにした方が良い。ここで波長選択素子は、半導体レーザー自体に組み込んでしまって良いし、或いは、半導体レーザーの外部に波長選択素子を配して、単一周波数のレーザー光を得るようにしても良い。
【0122】
また、波長変換を行い紫外線レーザー光を発生させるにあたって使用する非線形光学素子としては、例えば、β−BaB24(BBO)、CsLiB610(CLBO)、KTiOPO4(KTP)、MgO:LiNbO3(MgO:LN)、LiB35(LBO)、KNbO3(KN)、周期分極反転LiNbO3(PPLN)、周期分極反転LiTaO3(PPLT)などが挙げられる。
【0123】
以上のようなレーザー光源や非線形光学素子を組み合わせて、高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより、紫外線レーザー光を得る手法について、以下に具体的な例を挙げて説明する。なお、以下の説明では省略するが、波長変換を行い紫外線レーザー光を発生させるにあたって、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーを使用する場合には、半導体レーザーからのレーザー光によって、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーを励起させる。
【0124】
第1の例を図7に示す。本例では、先ず、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光から、MgO:LN,KTP,PPLN,PPLT又はLBOを用いて、波長λ=532nmの第二高調波を発生させる。次に、この波長λ=532nmの光を、BBO,LBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、第二高調波を発生させる。これにより、波長λ=266nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。なお、上記紫外線レーザー光発生手段3はこの例に含まれる。
【0125】
第2の例を図8に示す。本例では、先ず、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光から、MgO:LN,KTP,PPLN,PPLT又はLBOを用いて、波長λ=532nmの第二高調波を発生させる。次に、この波長λ=532nmの光と、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光とを、BBO,LBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=355nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。
【0126】
第3の例を図9に示す。本例では、先ず、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光から、MgO:LN,KTP,PPLN,PPLT又はLBOを用いて、波長λ=532nmの第二高調波を発生させる。次に、この波長λ=532nmの光と、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光とを、BBO,LBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=355nmの紫外線レーザー光が発生する。次に、この波長λ=355nmの紫外線レーザー光と、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光とを、BBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=213nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。
【0127】
第4の例を図10に示す。本例では、先ず、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光から、MgO:LN,KTP,PPLN,PPLT又はLBOを用いて、波長λ=532nmの第二高調波を発生させる。次に、この波長λ=532nmの光を、BBO,LBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、第二高調波を発生させる。これにより、波長λ=266nmの紫外線レーザー光が発生する。次に、この波長λ=266nmの紫外線レーザー光と、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光とを、BBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=213nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。
【0128】
第5の例を図11に示す。本例では、先ず、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光から、MgO:LN,KTP,PPLN,PPLT又はLBOを用いて、波長λ=532nmの第二高調波を発生させる。次に、この波長λ=532nmの光を、BBO,LBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、第二高調波を発生させる。これにより、波長λ=266nmの紫外線レーザー光が発生する。次に、この波長λ=532nmの光と、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光とを、BBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=213nmの紫外線レーザー光が発生する。次に、この波長λ=213nmの紫外線レーザー光と、Nd:YAGレーザーからの波長λ=1320nmの発振光とを、CLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=183nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。
【0129】
第6の例を図12に示す。本例では、先ず、Nd:YAGレーザー又はNd:YVO4レーザーからの波長λ=1064nmの発振光から、MgO:LN,KTP,PPLN,PPLT又はLBOを用いて、波長λ=532nmの第二高調波を発生させる。次に、この波長λ=532nmの光を、BBO,LBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、第二高調波を発生させる。これにより、波長λ=266nmの紫外線レーザー光が発生する。次に、この波長λ=532nmの光と、Ti:Al23レーザー等のような波長可変レーザーからのおよそ700〜900nmの発振光とを、BBO又はCLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=193〜205nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。
【0130】
第7の例を図13に示す。本例では、先ず、Ti:Al23レーザー、Cr:LiSAFレーザー、Cr:LiCAFレーザー、AlGaAsレーザー又はGaInAsPレーザーにより、波長λ=650〜1000nmのレーザー光を発振させる。次に、このレーザー光を、BBO又はLBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、第二高調波を発生させる。これにより、波長λ=325〜500nmのレーザー光が発生する。次に、このレーザー光と、Ti:Al23レーザー、Cr:LiSAFレーザー、Cr:LiCAFレーザー、AlGaAsレーザー又はGaInAsPレーザーからの波長λ=650〜1000nmのレーザー光とを、BBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、和週波を発生させる。これにより、波長λ=216〜333nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。
【0131】
第8の例を図14に示す。本例では、先ず、GaNレーザーにより、波長λ=400〜450nmのレーザー光を発振させる。次に、このレーザー光を、BBOを用いた外部共振型の光共振器に導入して、第二高調波を発生させる。これにより、波長λ=200〜225nmの紫外線レーザー光を発生させることができる。
【0132】
2.ホモダイン検出により計測対象物の構造を計測する計測装置
本発明を適用し、ホモダイン検出により計測対象物の構造を計測するようにした計測装置の一例を図15に示す。この計測装置70は、上記計測装置1と同様、非常に微細な構造を計測することが可能な計測装置であり、微細構造素子を検査するような用途において特に有用である。また、この計測装置70は、上記計測装置1と同様、非接触型の計測装置であり、計測対象物2にダメージを与えるようなことがないので、比較的にダメージを受けやすい生体等の観察用としても有用である。
【0133】
この計測装置70は、紫外線レーザー光を周波数シフトさせてヘテロダイン検出を行うのではなく、紫外線レーザー光を位相シフトさせてホモダイン検出を行う点が、上記計測装置1とは異なるが、その他については、上記計測装置1と同様である。そこで、以下の説明では、上記計測装置1と同様に構成される部分については、上記計測装置1と同じ符号を付して説明を省略し、上記計測装置1とは構成が異なる部分に付いてだけ詳細に説明する。
【0134】
この計測装置70において、紫外線レーザー光発生手段3から出射された紫外線レーザー光は、図15に示すように、当該紫外線レーザー光を用いたホモダイン検出により計測対象物2の構造を計測するホモダイン計測手段71に入射される。そして、紫外線レーザー光発生手段3から出射されホモダイン計測手段71に入射した紫外線レーザー光は、光分割手段41によって参照光と検出光とに分割される。
【0135】
参照光は、位相シフター駆動装置72によって駆動される位相シフター73に入射し、位相シフトが施される。ここで、位相シフター駆動装置72は、ホモダイン信号処理装置74からの制御信号に基づいて、位相シフター73を駆動する。そして、位相シフター駆動装置72によって駆動される位相シフター73に参照光が入射することにより、当該参照光に対して所定の位相シフトが施される。そして、位相シフター73によって位相シフトが施された参照光は、1/2波長板46に入射し、当該1/2波長板46を透過した後、合波ミラー47に入射する。
【0136】
ここで、位相シフター73としては、例えば、位相シフター駆動装置72からの駆動信号によって駆動されるアクチュエータに、光反射ミラーを取り付けたようなものが好適である。すなわち、参照光の光路中に光反射ミラーを配するとともに、当該光反射ミラーの位置を、PZT等からなる圧電アクチュエータやボイスコイルメータ等からなる電磁アクチュエータなどによって精密に制御することで、参照光を位相シフトさせることができる。
【0137】
一方、検出光は、偏光ビームスプリッタ50によって反射され、ビーム偏向装置51、1/4波長板53及び対物レンズ54を介して計測対象物2に入射し、その戻り光が、対物レンズ54、1/4波長板53、ビーム偏向装置51及び偏光ビームスプリッタ50を介して、合波ミラー47に入射する。
【0138】
合波ミラー47は、計測対象物2からの戻り光と参照光とを重ね合わせるためのもであり、ハーフミラーからなる。この合波ミラー47の一方の面には、位相シフトが施された参照光が入射し、他方の面には、検出光が計測対象物2によって反射されて戻ってきた戻り光が入射する。そして、合波ミラー47によって反射された参照光と、合波ミラー47を透過した戻り光とが、重ね合わさって光検出器57に入射し、当該光検出器57によって検出される。また、合波ミラー47を透過した参照光と、合波ミラー47によって反射された戻り光とが、重ね合わさって光検出器58に入射し、当該光検出器58によって検出される。
【0139】
そして、一方の光検出器57からの出力は、増幅器59によって増幅された上で比較器60に入力され、同様に、他方の光検出器58からの出力も、増幅器61によって増幅された上で比較器60に入力される。そして、比較器60によって、それらの光検出器57,58からの出力の差動がとられ差信号が生成され、当該差信号がホモダイン信号処理装置74に入力され、位相情報を含むホモダイン信号が検出される。
【0140】
ホモダイン信号処理装置74に入力された信号は、当該ホモダイン信号処理装置74によって同期検波などの信号処理が施されて、光の強度情報と位相情報とが取り出される。そして、これらの情報は、画像コントローラ52に送られて、当該画像コントローラ52で画像処理が施され、その結果、計測対象物2の構造を計測した結果を示す画像が画像表示装置62に表示される。
【0141】
以上のようにホモダイン検出により計測対象物2の構造を計測するようにした計測装置70においても、上記計測装置1と同様に、サブミクロンオーダーの微細な構造を計測することができる。しかも、計測対象物2の構造を光学的に計測するため、非接触且つ非破壊にて、大気雰囲気下で計測対象物の構造を計測することができる。
【0142】
3.異なる焦点位置にレーザー光を結像させてヘテロダイン検出を行う計測装置
本発明を適用し、異なる焦点位置にレーザー光を結像させてヘテロダイン検出により計測対象物の構造を計測するようにした計測装置の一例を図16に示す。この計測装置80は、計測対象物2の構造を面内方向だけでなく、深さ方向についても同時に計測することが可能な計測装置である。なお、この計測装置80も、上記計測装置1と同様、非常に微細な構造を計測することが可能であるので、微細構造素子を検査するような用途において特に有用である。また、上記計測装置1と同様、非接触型の計測装置であり、計測対象物2にダメージを与えるようなことがないので、比較的にダメージを受けやすい生体等の観察用としても有用である。
【0143】
3−1 計測装置の構成
この計測装置80は、紫外線レーザー光をマルチビーム化して、それらのレーザー光を異なる焦点位置に結像させる点が、上記計測装置1とは異なるが、その他については、上記計測装置1とほぼ同様である。そこで、以下の説明では、上記計測装置1と同様に構成される部分については、上記計測装置1と同じ符号を付して説明を省略し、上記計測装置1とは構成が異なる部分に付いてだけ詳細に説明する。
【0144】
この計測装置80において、紫外線レーザー光発生手段3から出射された紫外線レーザー光は、図16に示すように、当該紫外線レーザー光を用いたヘテロダイン検出により計測対象物2の構造を計測するヘテロダイン計測手段81に入射される。そして、紫外線レーザー光発生手段3から出射されヘテロダイン計測手段81に入射した紫外線レーザー光は、光分割手段41によって参照光と検出光とに分割される。
【0145】
参照光は、周波数シフター駆動装置42によって駆動される周波数シフター43に入射し、周波数シフトが施される。そして、周波数シフター43によって位相シフトが施された参照光は、1/2波長板46に入射し、当該1/2波長板46を透過した後、合波ミラー47に入射する。
【0146】
一方、検出光は、マルチビーム化手段駆動回路82によって駆動されるマルチビーム化手段83に入射し、マルチビーム化される。ここで、マルチビーム化手段駆動回路82は、ヘテロダイン信号処理装置84からの制御信号に基づいて、マルチビーム化手段83を駆動する。そして、マルチビーム化手段駆動回路82によって駆動されるマルチビーム化手段83に検出光が入射することにより、当該検出光は、同一光軸上において周波数の異なる複数の光ビームに分割される。そして、周波数の異なる複数の光ビームに分割された検出光は、偏光ビームスプリッタ50に入射し、当該偏光ビームスプリッタ50によって反射され、ビーム偏向装置51、1/4波長板53及び対物レンズ54を介して計測対象物2に入射する。このとき、対物レンズ54は、マルチビーム化手段83によってマルチビーム化されてなる各光ビームを、それぞれ異なる焦点位置に結像させる。具体的には、対物レンズ54は、各光ビームを、光軸方向(すなわち計測対象物に深さ方向)に僅かにずらして結像させる。
【0147】
そして、これら各光ビームが計測対象物2によって反射されて戻ってきた戻り光は、対物レンズ54、1/4波長板53、ビーム偏向装置51及び偏光ビームスプリッタ50を介して、合波ミラー47に入射する。
【0148】
合波ミラー47は、計測対象物2からの戻り光と参照光とを重ね合わせるためのもであり、ハーフミラーからなる。この合波ミラー47の一方の面には、位相シフトが施された参照光が入射し、他方の面には、検出光が計測対象物2によって反射されて戻ってきた戻り光が入射する。そして、合波ミラー47によって反射された参照光と、合波ミラー47を透過した戻り光とが、重ね合わさって光検出器57に入射し、当該光検出器57によって検出される。また、合波ミラー47を透過した参照光と、合波ミラー47によって反射された戻り光とが、重ね合わさって光検出器58に入射し、当該光検出器58によって検出される。
【0149】
そして、一方の光検出器57からの出力は、増幅器59によって増幅された上で比較器60に入力され、同様に、他方の光検出器58からの出力も、増幅器61によって増幅された上で比較器60に入力される。そして、比較器60によって、それらの光検出器57,58からの出力の差動がとられ差信号が生成され、当該差信号がヘテロダイン信号処理装置84に入力され、位相情報を含むヘテロダイン信号が検出される。
【0150】
ヘテロダイン信号処理装置84に入力された信号は、当該ヘテロダイン信号処理装置84によって同期検波などの信号処理が施されて、光の強度情報と位相情報とが取り出される。このとき、ヘテロダイン信号処理装置84は、ヘテロダイン信号を周波数帯域分離することで、マルチビーム化手段83によってマルチビーム化されてなる各光ビームの各結像点に対応した情報をそれぞれ取り出す。そして、これらの情報は、画像コントローラ52に送られて、当該画像コントローラ52で画像処理が施され、その結果、計測対象物2の構造を計測した結果を示す画像が画像表示装置62に表示される。
【0151】
3−2 計測装置の原理
上記計測装置80では、検出光をマルチビーム化し、それらの結像位置を計測対象物2の深さ方向に僅かにずらすことで、計測対象物2の深さ方向の構造についても計測することが可能となっており、例えば、計測対象物2の3次元画像を得るようなことが可能となっている。以下、この原理について、更に詳細に説明する。
【0152】
一般に、共焦点顕微鏡は焦点深度が浅いため、焦点位置を機械的にずらすことにより各焦点位置に対応した異なる画像が得られ、それらを合成することにより3次元画像を得ることができる。しかしながら、焦点位置を機械的に動かすには時間がかかるため、微細構造素子のインライン検査など、高スループットが要求されるような用途において、このような方法は適していない。また、生きた生体の観察など、計測対象物が動くような場合には、焦点位置移動中に計測対象物の位置が変化することがあり、3次元画像を得ることは非常に難しい。
【0153】
一方、光軸方向に焦点位置が僅かに異なる複数の光ビームを用いて同時に走査すれば、計測対象物の3次元画像をリアルタイムで得るようなことが可能となる。しかしながら、各光ビームは同軸上にあり、これらの光ビームを光検出器上で分離することは困難である。なお、光軸方向に対して横方向にもずらして、複数の光検出器で各光ビームを検出するような方法も考えられるが、各光ビーム間のクロストークが無いような配置にするためには、光ビーム間の間隔を十分に大きくとる必要があり、計測のリアルタイム性が失われるという問題や、対物レンズの限られた視野範囲内では光ビームの数を増やすことができないという問題などが生じる。
【0154】
これに対して、上記計測装置80では、ヘテロダイン検出を行っているので、各光ビームで得られた情報を分離することが可能となっている。すなわち、図17に示すように、対物レンズ54によって集光される検出光をマルチビーム化し、光軸方向に焦点位置の僅かに異なる複数の光ビームL1,L2,L3・・・とし、それぞれの光ビームが異なる周波数シフトを受けるようにする。このようにしておけば、光検出器57,58によって検出されるヘテロダイン信号はそれぞれ異なるものとなるので、周波数帯域分離することにより、各光ビーム毎にクロストークの無い再生信号が得られる。
【0155】
例えば、各光ビームL1,L2,L3・・・と参照光との周波数差をそれぞれf1,f2,f3・・・としたとき、f1=12MHz,f2=24MHz,f3=36MHz・・・とする。このとき、各光ビームL1,L2,L3・・・によって検出されるヘテロダイン信号の帯域がそれぞれ5MHzであったとすれば、各光ビームL1,L2,L3・・・を同一の光検出器57,58で受光して検出したとしても、f1,f2,f3・・・をそれぞれ中心とする帯域5MHzの周波数フィルターを用いることで、各ヘテロダイン信号を分離できる。
【0156】
上記計測装置80では、このような原理により、計測対象物2の深さ方向の構造の計測が可能となっており、例えば、計測対象物2の3次元画像をリアルタイムで得るようなことも可能となっている。
【0157】
なお、このような信号分離は、光軸方向に焦点位置をずらした場合だけでなく、焦点位置を光軸に対して直交する方向(以下、横方向と称する。)にずらしたような場合や、焦点位置を光軸方向にずらすとともに横方向にもずらしたような場合などにも有効である。このような場合には、光ビームが隣接することとなるが、上述のような原理により各信号を分離することで、隣接する光ビーム間のクロストークを除去することができる。すなわち、例えば、隣接する光ビームが重なり合うような配置となっていても、上述のような原理により各信号を分離することで、光ビーム間のクロストークを除去することができる。特に、光スポットのエアリー半径(0.6×λ/NA)毎に光ビームを配置すれば、理想的なガウスビームの場合、光スポットの強度が0になる点をサンプリングすることとなるため、サンプリング定理に基づき、光スポット径で決まる空間周波数応答内で像の復元が可能となる。
【0158】
なお、このような信号分離の原理は、微細構造の計測以外の分野においても利用可能である。すなわち、このような信号分離の原理は、例えば、レーザー光を用いた3次元認識や、厚み方向にも情報を持つ光ディスクからの信号再生などにも応用可能である。また、望遠鏡と組み合わせれば空中に浮かぶ飛行機等の3次元認識にも応用可能である。更にまた、3次元認識を利用することで、自動車の衝突防止等への応用も考えられる。
【0159】
3−3 マルチビーム化手段
上記計測装置80において使用されるマルチビーム化手段83について、具体的な例を挙げて更に詳細に説明する。
【0160】
なお、上述したように、ヘテロダイン信号の分離は、焦点位置を光軸方向にずらした場合だけでなく、焦点位置を横方向にずらしたような場合や、焦点位置を光軸方向にずらすとともに横方向にもずらしたような場合などにも有効である。そこで、ここでは、マルチビーム化手段83として、焦点位置を光軸方向にずらすような場合に使用されるものだけではなく、焦点位置を横方向にずらすような場合に使用されるものや、焦点位置を光軸方向にずらすとともに横方向にもずらすような場合に使用されるものなどについても、具体的な例を挙げて説明する。
【0161】
なお、焦点位置を光軸方向にずらすような場合、マルチビーム化手段83は、入射されたレーザー光を、同一光軸上において周波数の異なる複数の光ビームに分割するとともに、それらの仮想的なビーム発光位置を異なるものとする。また、焦点位置を横方向にずらすような場合、マルチビーム化手段83は、入射されたレーザー光を、周波数の異なる複数の光ビームに横方向に分割する。また、焦点位置を光軸方向にずらすとともに横方向にもずらすような場合、マルチビーム化手段83は、入射されたレーザー光を、周波数の異なる複数の光ビームに横方向に分割するとともに、それらの仮想的なビーム発光位置を異なるものとする。以下、これらのマルチビーム化手段83について具体的に説明する。
【0162】
マルチビーム化手段83の第1の例を図18に示す。図18に示すマルチビーム化手段83Aは、入射されたレーザー光を平行な4本の光ビームに分割するものであり、入射されたレーザー光を複数に分割する光分割手段として、互いに対向する面がミラーとされた光学ブロック85を備える。また、このマルチビーム化手段83Aは、光学ブロック85によって分割された各光ビームが異なる周波数となるように、それらの光ビームに対して周波数シフトを施す周波数シフト手段86を備える。
【0163】
上記光学ブロック85において、光入射側ミラー85aのレーザー光入射場所の光透過率Tはほぼ100%とし、光入射側ミラー85aのその他の部分については、反射率Rがほぼ100%となるようにしておく。一方、光出射側ミラー85bについては、光学ブロック85に入射されたレーザー光の光出射側ミラー85bでの1回目の反射時の反射率をR1、2回目の反射時の反射率をR2、3回目の反射時の反射率をR3、4回目の反射時の反射率をR4としたとき、1−R2=(1−R1)/R1,1−R3=(1−R1)/(R1×R2),1−R4=(1−R1)/(R1×R2×R3)となるようにしておく。また、4回目の反射時の反射率R4は、ほぼ0%となるようにしておく。なお、このような光透過率Tや反射率R,R1,R2,R3,R4の設定は、例えば、光学ブロック85をそれぞれの部位毎にコーティングすることにより実現される。
【0164】
上記光学ブロック85を用いてレーザー光を平行な複数の光ビームに分割する際は、光学ブロック85の光入射側ミラー85aに対してレーザー光を斜めに入射させる。このとき、光入射側ミラー85aのレーザー光入射場所の光透過率Tがほぼ100%であるので、当該レーザー光はほぼ100%、光学ブロック85に入射する。
【0165】
光学ブロック85に入射したレーザー光は、先ず、光出射側ミラー85bによって反射される。このとき、レーザー光が入射する部位における光出射側ミラー85bは、所定の反射率R1とされている。したがって、当該レーザー光の一部は、光出射側ミラー85bによって光入射側ミラー85aへ向けて反射され、残りは、光出射側ミラー85bを透過して光学ブロック85から出射する。
【0166】
反射率がR1の部位において反射されたレーザー光は、光入射側ミラー85aに入射し当該光入射側ミラー85aによって反射され、再び光出射側ミラー85bに入射し当該光出射側ミラー85bによって反射される。このときにレーザー光が入射する部位における光出射側ミラー85bは、所定の反射率R2とされている。したがって、当該レーザー光の一部は、光出射側ミラー85bによって光入射側ミラー85aへ向けて反射され、残りは、光出射側ミラー85bを透過して光学ブロック85から出射する。
【0167】
反射率がR2の部位において反射されたレーザー光は、光入射側ミラー85aに入射し当該光入射側ミラー85aによって反射され、再び光出射側ミラー85bに入射し当該光出射側ミラー85bによって反射される。このときにレーザー光が入射する部位における光出射側ミラー85bは、所定の反射率R3とされている。したがって、当該レーザー光の一部は、光出射側ミラー85bによって光入射側ミラー85aへ向けて反射され、残りは、光出射側ミラー85bを透過して光学ブロック85から出射する。
【0168】
反射率がR3の部位において反射されたレーザー光は、光入射側ミラー85aに入射し当該光入射側ミラー85aによって反射され、再び光出射側ミラー85bに入射する。このときにレーザー光が入射する部位における光出射側ミラー85bの反射率R4はほぼ0%である。したがって、当該レーザー光は、光出射側ミラー85bを透過して光学ブロック85から出射する。
【0169】
以上のような反射及び透過の繰り返しにより、光学ブロック85に入射されたレーザー光が分割され、平行で且つ光強度がほぼ同じ4本の光ビームが光出射側ミラー85bから出射することとなる。
【0170】
以上のように光学ブロック85によって分割された各光ビームは、周波数シフト手段86によって、それぞれ異なる周波数となるように周波数シフトが施される。
【0171】
周波数シフト手段86は、光学ブロック85によって分割されてなる第1の光ビームに対応した第1の周波数シフター86aと、光学ブロック85によって分割されてなる第2の光ビームに対応した第2の周波数シフター86bと、光学ブロック85によって分割されてなる第3の光ビームに対応した第3の周波数シフター86cと、光学ブロック85によって分割されてなる第4の光ビームに対応した第4の周波数シフター86dとを備える。なお、これらの周波数シフター86a,86b,86c,86dは、上記計測装置1における周波数シフター49に相当する。
【0172】
そして、各周波数シフター86a,86b,86c,86dをそれぞれ異なるキャリア周波数f1,f2,f3,f4にて駆動し、第1乃至第4の光ビームに対してそれぞれ異なる量の周波数シフトを施す。これにより、周波数の異なる4本の光ビームが得られる。
【0173】
なお、ここでは、入射されたレーザー光を4本の光ビームに均等に分割する例を挙げたが、それらのパワーの割合や分割数については、光学ブロック85の内部での反射回数や光出射側ミラー85bの反射率の分布などを適宜変更することで、任意に設定できることは言うまでもない。また、ここでは、光学ブロック85を用いて光ビームを分割する例を挙げたが、例えば、回折格子やホログラム素子などを用いて分割するようにしても良い。また、上記マルチビーム化手段83Aのように横方向のマルチビーム化を図る他の手段としては、複数のキャリア信号を音響光学変調器に与える方法もある。
【0174】
つぎに、マルチビーム化手段83の第2の例を図19に示す。このマルチビーム化手段83Bは、入射されたレーザー光を、同一光軸上において周波数の異なる複数の光ビームに分割するものであり、入射されたレーザー光を複数に分割する光分割手段として、所定の反射率Raを有する第1のミラー87と、第1のミラー87と対向するように配置された、所定の反射率Rbを有する第2のミラー88とを備える。また、このマルチビーム化手段83Bは、光ビームに対して周波数シフトを施す周波数シフト手段として、第1のミラー87と第2のミラー88との間に配された周波数シフター89を備える。
【0175】
このマルチビーム化手段83Bによって、入射されたレーザー光を同一光軸上において周波数の異なる複数の光ビームに分割する際は、第1のミラー87の側からレーザー光を入射する。このレーザー光は、第1のミラー87を透過してマルチビーム化手段83Bに入射し、先ず、周波数シフター89に入射する。このとき、周波数シフター89は、所定のキャリア周波数f1にて駆動しておく。これにより、レーザー光は、当該キャリア周波数f1の分だけ周波数シフトされる。
【0176】
周波数シフトが施されたレーザー光は、第2のミラー88に入射する。なお、周波数シフター89が音響光学変調器からなる場合には、当該音響光学変調器による一次回折光が、第2のミラー88に入射することとなる。第2のミラー88に入射したレーザー光の一部は透過してマルチビーム化手段83Bから出射し、残りのレーザー光は第1のミラー87に向けて反射される。なお、第1のミラー87及び第2のミラー88は、第2のミラー88による反射光が第1のミラー87に戻ってくるように角度調整しておく。そして、第2のミラー88によって反射され第1のミラー87に戻ってきたレーザー光は、第1のミラー87によって反射され、再び周波数シフター89に入射し、周波数シフトが施される。
【0177】
以上のようにして第1のミラー87と第2のミラー88との間での反射と、周波数シフター89による周波数シフトとが繰り返されることにより、同一光軸上において周波数の異なる複数の光ビームが得られる。すなわち、周波数シフター89を1回通過して、第2のミラー88を透過して出射された光ビームは、周波数シフター89のキャリア周波数f1の分だけ周波数シフトされた光となり、周波数シフター89を2回通過して、第2のミラー88を透過して出射された光ビームは、周波数シフター89のキャリア周波数f1の2倍の分だけ周波数シフトされた光となり、周波数シフター89を3回通過して、第2のミラー88を透過して出射された光ビームは、周波数シフター89のキャリア周波数f1の3倍の分だけ周波数シフトされた光となる。以下同様に、周波数シフター89をn回通過して、第2のミラー88を透過して出射された光ビームは、周波数シフター89のキャリア周波数f1のn倍の分だけ周波数シフトされた光となる。すなわち、上記マルチビーム化手段83Bによれば、同一光軸上において、周波数シフター89のキャリア周波数f1の整数倍だけそれぞれ周波数の異なる複数の光ビームを得ることができる。
【0178】
このようなマルチビーム化手段83Bにおいて、第1のミラー87に入射するレーザー光として、平行光ではなく発散光を用いると、第1のミラー87と第2のミラー88との間で反射を繰り返す毎に、仮想的なビーム発光位置が後方にシフトする。すなわち、第1のミラー87に入射するレーザー光が発散光の場合には、第1のミラー87と第2のミラー88との間で反射を繰り返す毎に、第1のミラー87と第2のミラー88との間の光路長をLとしたとき、仮想的なビーム発光位置が2×Lの分だけ後方にシフトする。
【0179】
そして、このような光ビームを、対物レンズ54によって結像させると、周波数の異なる各光ビームは、同一光軸上において、異なる位置において焦点を結ぶ。すなわち、図20に示すように、仮想的なビーム発光位置が2×Lの分だけ後方にシフトする毎に、Δ=(f2/f12×2×Lの分だけ焦点位置がずれていくので、周波数の異なる各光ビームの結像位置はそれぞれ異なるものとなる。
【0180】
なお、第1のミラー87と第2のミラー88との間で反射を繰り返す毎に生じる仮想的なビーム発光位置のシフトの量は、第1のミラー87や第2のミラー88に適当な曲率を与えたり、第1のミラー87と第2のミラー88との間の光路中にレンズを挿入したりすることで調整することができる。したがって、第1のミラー87や第2のミラー88に適当な曲率を与えたり、第1のミラー87と第2のミラー88との間の光路中にレンズを挿入したりすることで、上記マルチビーム化手段83Bによって分割されてなる各光ビームを対物レンズ54によって結像させたときに生じる焦点位置ずれ量Δを、任意に調整することができる。
【0181】
なお、このような焦点位置ずれは、図18に示したマルチビーム化手段83Aにおいても同様に生じさせることができる。すなわち、図18に示したマルチビーム化手段83Aにおいても、入射レーザー光として平行光ではなく発散光を用いると、光学ブロック85の内部で反射を繰り返す毎に仮想的なビーム発光位置が後方にシフトすることとなり、各光ビームを対物レンズ54によって結像させたときに、対物レンズ54と結像位置との間隔が各光ビーム毎に異なるものとなる。
【0182】
3−4 計測装置におけるマルチビームの検出について
上記計測装置80では、図16に示したように、マルチビーム化手段83が、光分割手段41と偏光ビームスプリッタ50との間に配されており、検出光は、同一光軸上において周波数の異なる複数の光ビームに分割される。そして、これらの光ビームは、対物レンズ54によって、計測対象物2上に集光されるが、これらの各光ビームは、それぞれの焦点位置が計測対象物2の深さ方向に僅かにずれた状態で結像される。そして、これらの光ビームが計測対象物2によって反射されて戻ってきた戻り光が、光検出器57,58によって検出される。
【0183】
このとき、光検出器57,58には同時に参照光も入射するが、当該参照光は、光検出器57,58上において各戻り光の焦点が参照光の焦点範囲に含まれるように、平行光に近い、集光角度の浅い光ビームとしておき、空間的に参照光と戻り光が一致するようにしておく。換言すれば、光検出器57,58上において、参照光のスポット径をやや大きくするとともに、戻り光の集光位置と参照光の集光位置とが一致するようにし、空間的に参照光が戻り光をカバーするようにする。
【0184】
そして、光検出器57,58からの出力は、上述したように、増幅器59,61及び比較器60を介してヘテロダイン信号処理装置84に入力され、当該ヘテロダイン信号処理装置84によって周波数帯域分離されることで、マルチビーム化手段83によってマルチビーム化されてなる各光ビームの各結像点に対応したヘテロダイン信号がそれぞれ取り出される。
【0185】
なお、レーザー光をマルチビーム化するにあたっては、検出光だけでなく、参照光もマルチビーム化するようにしてもよい。参照光もマルチビーム化する場合は、周波数シフター43で周波数シフトを施した後に、周波数シフターを含まないマルチビーム化手段により、参照光を複数の光ビームに分割する。そして、周波数の異なる複数の検出光と、周波数の等しい複数の参照光とにより、ヘテロダイン検出を行う。この場合、光検出器57,58上において、各戻り光の各焦点位置と、各参照光の各焦点位置とがそれぞれ対応するようにする。これにより、より高効率なマルチビーム検出が可能となる。
【0186】
以上のように、周波数分離されたマルチビームを用いて同時に計測対象物2を走査してヘテロダイン検出を行い、その結果得られたヘテロダイン信号を周波数帯域毎に分離することで、各光ビームの結像点毎に同時に計測対象物2の構造を計測することができる。そして、各光ビームの結像点を計測対象物2の深さ方向に異なるものとしておけば、深さ方向についても計測対象物2の構造を計測することが可能となり、例えば、計測対象物2の3次元画像をリアルタイムで得るようなことが可能となる。また、検出光のマルチビーム化を図ることにより、同時に複数箇所の計測が可能となるので、2次元画像を得るような場合においても、計測時間を短縮できるという利点がある。
【0187】
4.液浸レンズでの高解像度検出
上記計測装置1,70,80を用いて、計測対象物2の構造を計測する際には、図21に示すように、対物レンズ54と計測対象物2との間に液体91を配するようにしても良い。
【0188】
このとき、対物レンズ54と計測対象物2との間に配される液体91の屈折率に対して最適になるように対物レンズ54を最適化しておけば、液体91の屈折率の分だけ、対物レンズ54の開口数NAが上がり、解像度を向上することができる。通常、液体の屈折率は1.3〜1.4程度であり、したがって、対物レンズ54と計測対象物2との間に液体91を配することにより、大気中での観察よりも、1.3〜1.4倍程度、解像度が上がる。
【0189】
なお、対物レンズ54と計測対象物2との間に配する液体91としては、計測対象物2と化学反応を起こす液体を用いるようにしても良い。計測対象物2と化学反応を起こす液体を用いることにより、化学反応による計測対象物2の構造の変化を計測することが可能となる。
【0190】
これを応用することにより、例えば、微細構造素子を製造する際のエッチング工程や現像工程における構造の変化を計測することが可能となる。すなわち、例えば、対物レンズ54と計測対象物2との間に配する液体91として、計測対象物2をエッチングするエッチング液を用いることにより、エッチング工程における計測対象物2の構造の変化を計測することが可能となる。或いは、例えば、対物レンズ54と計測対象物2との間に配する液体91として、フォトレジストに形成された潜像を現像する現像液を用いることにより、現像工程における計測対象物2の構造の変化を計測することが可能となる。
【0191】
このように、対物レンズ54と計測対象物2との間に液体91を配することで、解像度を高めることができ。しかも、当該液体91として現像液やエッチング液などを用いることで、現像液によるフォトレジストの現像の様子や、エッチング液による計測対象物2のエッチングの様子などを観察することが可能となる。これにより、例えば、微細構造素子の製造プロセス中の構造の変化を観察できるようになる。その結果、例えば、微細構造素子の製造プロセスの最適化を図り、その製造歩留まりを更に高めるようなことも可能となる。
【0192】
なお、対物レンズ54と計測対象物2との間に配する液体91として、計測対象物2と化学反応を起こす液体を用いた場合には、対物レンズ54のレンズ表面が汚染されたり劣化してしまったりする場合があり得る。
【0193】
そこで、対物レンズ54と計測対象物2との間に液体91を配する場合には、図21に示すように、交換可能な保護カバー92を対物レンズ54に取り付け、当該保護カバー92により、対物レンズ54を保護するようにしてもよい。ここで、保護カバー92は、検出光の波長領域において透過率が高い部材からなることが好ましい。
【0194】
このような保護カバー92を用いることにより、対物レンズ54と計測対象物2との間に配した液体91による、対物レンズ54の汚染や劣化を回避できる。なお、対物レンズ54と計測対象物2との間に配した液体91によって、保護カバー92が汚染されたり劣化したりすることはあり得るが、その場合は、当該保護カバー92を交換することにより、常に良好な状態での計測が可能となる。
【0195】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ヘテロダイン検出又はホモダイン検出を利用して計測対象物の構造を計測するにあたって、より微細な構造を計測することが可能となる。また、本発明によれば、ヘテロダイン検出を利用して計測対象物の構造を計測するにあたって、計測対象物の深さ方向の構造についても計測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し、ヘテロダイン検出により計測対象物の構造を計測するようにした計測装置の一例を示す図である。
【図2】紫外線レーザー光発生手段の一例を示す図である。
【図3】スペクトラムアナライザーによってヘテロダイン信号の周波数成分を解析した結果を示す図である。
【図4】戻り光がAM変調されたときのヘテロダイン信号のエンベロープを示す図である。
【図5】参照光パワーを一定として、光検出器に入射する戻り光のパワーを変化させたときのキャリア及びノイズの変化を示す図である。
【図6】従来技術によりヘテロダイン検出を行う際のセットアップの一例を示す図である。
【図7】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第1の例を示す図である。
【図8】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第2の例を示す図である。
【図9】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第3の例を示す図である。
【図10】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第4の例を示す図である。
【図11】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第5の例を示す図である。
【図12】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第6の例を示す図である。
【図13】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第7の例を示す図である。
【図14】高調波発生や和周波発生による波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を得る手法の第8の例を示す図である。
【図15】本発明を適用し、ホモダイン検出により計測対象物の構造を計測するようにした計測装置の一例を示す図である。
【図16】本発明を適用し、異なる焦点位置にレーザー光を結像させてヘテロダイン検出により計測対象物の構造を計測するようにした計測装置の一例を示す図である。
【図17】複数の光ビームが対物レンズによって異なる焦点位置に結像する様子を示す図である
【図18】マルチビーム化手段の第1の例を示す図である。
【図19】マルチビーム化手段の第2の例を示す図である。
【図20】仮想的なビーム発光位置のシフト量と、光ビームの結像位置との関係を示す図である。
【図21】対物レンズと計測対象物との間に液体を配した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 計測装置、 2 計測対象物、 3 紫外線レーザー光発生手段、 4 ヘテロダイン計測手段、 11 グリーンレーザー光発生部、 12 紫外線レーザー光発生部、 13 半導体レーザー、 14 集光レンズ、 15 Nd:YAGレーザー、 16 モードマッチングレンズ、 17 MgO:LN結晶、 18 光反射ミラー、 19 レンズ、 21 BBO、 22,23,24,25 ミラー、 26 光共振器、 27 位相変調器、 28 位相変調器駆動回路、 29 ミラー、 30 光検出器、 31 制御回路、 32電磁アクチュエータ、 33 コリメータレンズ、 34 アナモルフィックプリズムペアー、 41 光分割手段、 42 周波数シフター駆動装置、 43 周波数シフター、 44 ヘテロダイン信号処理装置、 45 光反射ミラー、 46 1/2波長板、 47 合波ミラー、 48 周波数シフター駆動装置、 49 周波数シフター、 50 偏光ビームスプリッタ、 51 ビーム偏向装置、 52 画像コントローラ、 53 1/4波長板、 54 対物レンズ、 55 ステージコントローラ、 56 移動ステージ、 57,58光検出器、 59 増幅器、 60 比較器、 61 増幅器、 62 画像表示装置

Claims (28)

  1. 固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させる紫外線レーザー光発生手段と、
    上記紫外線レーザー光を用いたヘテロダイン検出により計測対象物の構造を計測する計測手段とを備え
    上記計測手段は、上記紫外線レーザー光を、計測対象物に照射される検出光と、ヘテロダイン検出を行うための参照光とに分割し、上記参照光のパワーが上記検出光のパワーよりも大きくなるように分割する光分割手段と、上記参照光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施すとともに、上記検出光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施す周波数シフト手段と、上記周波数シフトが施された検出光が計測対象物によって反射されて戻ってきた戻り光と、上記周波数シフトが施された参照光との干渉によって得られる、上記参照光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f と上記検出光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f との差の周波数のヘテロダイン信号を検出する光検出器とを備える計測装置。
  2. 上記光分割手段は、検出光のパワーを1としたとき、参照光のパワーが100以上となるように、上記紫外線レーザー光を分割する請求項1記載の計測装置。
  3. 上記光分割手段は、計測対象物に照射される検出光のパワーが1μW以下となるように、上記紫外線レーザー光を分割する請求項2記載の計測装置。
  4. 上記周波数シフト手段として、音響光学変調器を備える請求項記載の計測装置。
  5. 上記計測手段は、検出光と参照光の少なくともいずれか一方を位相シフトさせる位相シフト手段を備える請求項1記載の計測装置。
  6. 上記位相シフト手段として、電気光学位相変調器を備える請求項記載の計測装置。
  7. 上記位相シフト手段は、検出光及び/又は参照光の光路中に配されたミラーと、当該ミラーの位置を制御するミラー位置制御手段とを備え、ミラー位置制御手段によってミラーの位置を制御することにより、検出光及び/又は参照光の位相をシフトさせる請求項記載の計測装置。
  8. 上記固体レーザー光源は、単一縦モード発振する請求項1記載の計測装置。
  9. 上記固体レーザー光源は、半導体レーザーからのレーザー光によって励起されてレーザー光を出射する半導体レーザー励起型固体レーザーである請求項1記載の計測装置。
  10. 上記半導体レーザー励起型固体レーザーは、モノリシックリング型光共振器を備え、当該モノリシックリング型光共振器に半導体レーザーからのレーザー光が入射されることにより、レーザー媒質が励起されてレーザー光を出射するようになされている請求項記載の計測装置。
  11. 上記半導体レーザー励起型固体レーザーは、モノリシックリング型光共振器内の光路が非同一面となるようになされている請求項10記載の計測装置。
  12. 上記固体レーザー光源は、半導体レーザーと波長選択素子とを備え、
    半導体レーザーからのレーザー光を波長選択素子を介して出射することにより、単一周波数のレーザー光を出射するようになされている請求項1記載の計測装置。
  13. 上記紫外線レーザー光発生手段は、複数段階の波長変換を行うことにより、紫外線レーザー光を発生させる請求項1記載の計測装置。
  14. 上記波長変換を行う手段として、リング型光共振器とされた非線形光学素子を備え、
    上記固体レーザー光源からのレーザー光を上記非線形光学素子内で共振させるとともに、当該非線形光学素子により高調波発生又は和周波発生を行うことにより、上記波長変換を行う請求項1記載の計測装置。
  15. 上記波長変換を行う手段として、複数のミラーから構成される光共振器と、当該光共振器内に配された非線形光学素子とを備え、
    上記固体レーザー光源からのレーザー光を上記光共振器内で共振させるとともに、上記非線形光学素子による高調波発生又は和周波発生を行うことにより、上記波長変換を行う請求項1記載の計測装置。
  16. 上記光共振器を構成するミラーの位置を制御する位置制御手段を備える請求項15記載の計測装置。
  17. 上記計測手段は、計測対象物を移動操作する移動手段を備え、
    上記移動手段は、計測対象物の構造を計測する際に、上記紫外線レーザー光の光スポットが計測対象物上を走査するように、計測対象物を移動操作する請求項1記載の計測装置。
  18. 上記計測手段は、上記紫外線レーザー光を偏向させて当該紫外線レーザー光の進行方向を制御する偏向手段を備え、
    上記偏向手段は、計測対象物の構造を計測する際に、上記紫外線レーザー光が計測対象物上の所定位置に入射するように当該紫外線レーザー光を偏向させる請求項1記載の計測装置。
  19. 上記偏向手段は、計測対象物の構造を計測する際に、上記紫外線レーザー光の光スポットが計測対象物上を走査するように当該紫外線レーザー光を偏向させる請求項18記載の計測装置。
  20. 上記光検出器は、Si−PINフォトダイオード、Si−APDフォトダイオード又はGaNフォトダイオードからなる請求項記載の計測装置。
  21. 上記計測手段は、計測対象物上に複数の検出光スポットを形成し、それらの戻り光を複数の光検出器によって検出する請求項記載の計測装置。
  22. 上記複数の光検出器は、Si−PINフォトダイオードアレー、Si−APDフォトダイオードアレー又はGaNフォトダイオードアレーからなる請求項21記載の計測装置。
  23. 上記計測手段は、上記紫外線レーザー光を計測対象物上に集光する集光手段として、石英又は螢石からなる対物レンズを備える請求項1記載の計測装置。
  24. 上記計測手段は、上記紫外線レーザー光を計測対象物上に集光する集光手段として対物レンズを備えるとともに、当該対物レンズの表面を保護する交換可能な保護カバーを備える請求項1記載の計測装置。
  25. 固体レーザー光源からのレーザー光に対して波長変換を行うことにより紫外線レーザー光を発生させ、
    上記紫外線レーザー光を、計測対象物に照射される検出光と、ヘテロダイン検出を行うための参照光とに分割し、上記参照光のパワーが上記検出光のパワーよりも大きくなるように分割し、
    上記参照光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施すとともに、上記検出光に対して所定のキャリア周波数f の分だけ周波数シフトを施し、
    上記周波数シフトが施された検出光が計測対象物によって反射されて戻ってきた戻り光と、上記周波数シフトが施された参照光との干渉によって得られる、上記参照光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f と上記検出光に対して周波数シフトを施したキャリア周波数f との差の周波数のヘテロダイン信号を検出する計測方法。
  26. ヘテロダイン検出を行う際に、上記紫外線レーザー光を対物レンズによって計測対象物上に集光するとともに、対物レンズと計測対象物との間に液体を配する請求項25記載の計測方法。
  27. 上記液体として、計測対象物と化学反応を起こす液体を用いる請求項26記載の計測方法。
  28. 上記対物レンズに、交換可能な保護カバーを取り付けておく請求項26記載の計測方法。
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