JP4437436B2 - 分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法 - Google Patents
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Description
連続的に液体分を排出する固液分離技術としては、遠心力を利用した方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、遠心力を発生させる循環ポンプ等の動力を必要とするため、維持費及びメンテナンス等を低減し、更に循環ポンプによる固体粒子の破損を抑制するための工夫の余地があった。
なお、分離流量とは、分離した分散媒の排出流量を示し、また、分離効率とは、分散液保有部内の分散液中の分散質濃度における分離した分散媒中の分散質濃度の割合を示す。
更に、このような分離装置を備えた分離システムや、分離装置の使用方法が各種の化学工業におけるプロセス等に有用であることを見出し、本発明に到達したものである。
以下に本発明を詳述する。
例えば、従来用いられてきたような、分散質及び分散媒を含む分散液を含有し、攪拌を伴う分散液保有部の場合、この分散液保有部内の分散液から分散媒を分離するには、図7に示すように分散液保有部に排出流路を浸漬し、分散媒を排出する。この場合、排出速度を分散質の沈降速度よりも遅くすることで分散媒のみを排出することが可能となる。しかし、分散媒の排出流量(分離流量)は沈降面積(排出流路の水平断面積)に比例することから、図7に示すような装置では、分離流量に限界が生じる。
そこで、図1−1に示されるように、分散液保有部外に分離部を設け、更に分散液保有部内の分散液と分離部との間に接続流路を設けることで、分離部自体を大きくすることができ、分離流量に制限をなくすことが可能となる。なお、分離部内の分散質濃度は分散液保有部内の分散質濃度より濃い状態で安定することとなる。
また、分散質が固体粒子の場合、沈降状態は粒子濃度に大きく依存し、濃度に比例して沈降速度は遅くなることから、この場合には、例えば、図1−2に示されるように、接続流路として少なくとも2本の流路を設けることが好ましく、これにより、分離部と分散液保有部との間で密度差による循環流が発生し、分離部内の分散質濃度の上昇を防ぐことが可能となる。
なお、分散液保有部内の分散液を分離部へ導くためには、分散液保有部と分離部との間に圧力差を付けることが好適である。すなわち、分散液保有部よりも分離部の圧力を低くすることで分散液を分離部へ導くことが可能となる。
本発明の沈降分離装置は、少なくとも接続流路、分離部及び排出流路を有するものであるが、その構成順序としては、接続流路、分離部、排出流路の順で構成されることが好適である。
上記分離装置を設置することとなる分散液保有部としては、分散媒及び分散質を含む分散液を含有するものであればよく、その形状は特に限定されず、開放形の保有部または密閉形の保有部(例えば反応槽等)のどちらでも構わない。また、分散質が分散媒に分散されていることが好ましく、攪拌装置等が設置されているものがより好ましい。
接続流路の大きさ(断面積)については、特に限定されず、分散液保有部側への設置状況等の都合にあわせて大きさを決定すればよい。分離部側への接続位置においては、分離部に分散質が堆積し接続流路が閉塞しないような位置に接続することが好ましく、例えば、分離部の錐体部低端に接続することが好ましい。接続流路の長さとしては、分離部を分散液保有部外に設置できるような長さであれば特に限定されない。
上記分散液導入流路は、接続流路を少なくとも2本の流路とした場合、分散液保有部内の分散液を分離部へ導入することを優先とする流路である。分散液導入流路の本数については、1本から複数本まで可能であり、より好ましくは1本である。分離部側への接続位置としては、分離部錐体部であれば、どこの部分に接続しても特に問題はない。また、分散液導出流路内に分散液導入流路を入れた、いわゆる多重管構造にしてもよい。この多重管構造にした場合の分散液導入流路の長さは、分散液導出流路の長さよりも同等以上にすることがよく、いわゆる、分散液保有部側及び分離部側の両端において、分散液導入流路の長さが同等以上に長くすることが好ましい。これにより分散液の密度差による循環流を円滑に行うことが可能となる。
この密度差による循環流が発生する場合の形態について、更に詳しく説明する。分散液導出流路内に分散液導入流路を入れた、いわゆる多重管構造にした接続流路を例として、図5を用いて説明する。
密度差による循環流の流れ方向は、図5(D)に示すように、接続流路7−aが分散液導入流路となり、接続流路7−bが分散液導出流路となる。
この循環流は密度差で発生し、密度差は分散質濃度差に由来するものである。この循環流を発生させる切っ掛けは、以下に述べるディフューザ流れを利用した「高さヘッド差」に起因するものと考えている。
まず、図5(A)に示すように、分散液保有部内に分散液(分散媒9及び分散質10)が存在する状態から、図5(B)に示すように、分離部の圧力を分散液保有部より低くすることにより分散液は、接続流路7−a及び7−bを通って分離部へ移送される。更に図5(C)に示すように、分離部に分散液が導入されたとき、接続流路7−aと接続流路7−bとの間に速度ヘッド(ΔH)が生じ、図5(D)に示すように、接続流路7−aが先に溢れ出し、優先されて分散液導入流路となり、また、分離により分散質濃度の高まった分散液が接続流路7−b側へと優先される。そして、接続流路7−aと接続流路7−bとの間に分散質の濃度差が生じ、接続流路7−bの流れ方向は逆転し分散液導出流路となる。
以上のように、高さヘッドを切っ掛けとして接続流路7−aと接続流路7−bとの間に分散質濃度差が生じ、分散液の循環流が発生する。なお、分離部の排出流路から分離した分散媒を排出し続けることで上述した分散質の濃度差は保たれ、循環流は保持されることとなる。
これに加えて、図6(B)、(C)で示されるように、分散液導入流路の先端部を旋回流の影響を受けるように対向させた場合には、該先端部には正圧がかかり、循環流は図6(A)と同じ流れ方向となる。このとき、循環流の流れは、旋回流の影響により、図6(A)のときより速くなる。
また、これに対して、図6(D)、(E)で示されるように、分散液導入流路の先端部を旋回流の影響を受けるように並行させた場合には、該先端部には負圧がかかり、循環流は図6(A)と逆方向になり、いわゆる接続流路7−bが分散液導入流路となり、接続流路7−aが分散液導出流路となる。このように速度ヘッド差よりも大きな力で逆方向に切っ掛けをつくると、循環流の流れ方向は逆方向にすることが可能となる。なお、この状態でも、分離部の排出流路から分離した分散媒を排出し続けることで分散質の濃度差はこの状態で保たれ、逆向きの循環流が保持されることとなる。このような形態も本発明の好ましい形態の一つである。
また、分散質の濃度としては、例えば分散質が固体粒子の場合、沈降状態が粒子濃度により大きく3タイプに分けられることが知られている。まず、粒子濃度がごく希薄な濃度域の場合には固々の粒子が独立して沈降する自由沈降が、より濃くなった中程度の濃度域では粒子が相互に影響を及ぼしあう干渉沈降が、更に濃くなった粒子同士が接触するほどの高濃度域になると粒子層が圧縮を受ける圧縮沈降が生じる。
本発明の分離装置は、粒子濃度差による密度流が充分に発生できるよう中程度以上の濃度域をもった分散液を使うことが好ましい。より好ましくは中濃度域である。
また上記分散媒としては、分散質の密度よりも低く、実施条件下で分散質を沈降させる液体であれば特に限定されない。
例えば、図3(A)に例示するような分散液導入流路7−aに気泡除去流路15−aを接続することで、分離部内に入ってきた気泡を分離し除去することが可能となる。また、図3(B)に例示するような分散液導入流路7−aや分散液導出流路7−bに気泡捕集板14と気泡排出口15−bとを設けることで、分離部に入り込む気泡を低減することが可能となる。これらの方法を用いることで分離装置の気泡による分離効率の低下を抑制することが可能となる。
なお、本発明の分離装置としては、これらの図に示した形態のみに限定されるものではない。
上記傾斜板の間隔としては、分散質が詰まらないように距離をとることが好適であり、分散質の大きさ及び分散質濃度を考慮して適宜に決定すればよく、例えば、分散質の粒子径が500ミクロン(μm)以下のものであれば、傾斜板間隔は、5mm以上とすることが好ましい。より好ましくは5mm以上、100mm以下である。
上記傾斜板の材質としては特に限定されないが、例えば、平滑面を有し、分散質が速やかに流れるものであることが好適であり、また、このような傾斜板の形状としても特に限定されず、分離部の形状や、上述した傾斜板の投影面積等を考慮して適宜決定すればよい。
図2(A)は、本発明の好適な分離装置において、接続流路に2重管に用いた形態を示し、図2(B)は、本発明の好適な分離装置において、接続流路に2本の流路を使用した形態を示す。
図2の分離装置を例に以下のようにして立ち上げることができる。
分散媒供給流路1から分散媒9を、スラリー投入口8から分散質10を分散液保有部2に仕込み、所定の液面に達したら攪拌機3を稼動し攪拌を行い、所定の圧力及び温度まで設定する。分離部内に分散液を導入する場合においては、分離装置の接続流路が分散液保有部内の分散液に浸漬すればいつでも開始してよく、攪拌前後を問わない。また、例えば、分散液保有部が加圧の場合には、排出流路5より徐々にガスを抜き分散液を分離部へ導入する。分散液保有部が大気圧又は負圧の場合には、排出流路5よりガスを吸引し分散液を分離部へ導入する。このときの分離部への分散液の導入流量については、運転中に行う所定の排出流量であることが好ましいが、所定排出流量より多い場合(分離部で分離しないほど速く排出する場合)でも、分離部に分散液を導入した後、一時、排出を停止すれば、分離部内の分散質は沈降し、その後、所定の排出流量で再開すればよい。なお、上記操作中は接続流路(7−a及び7−b)が分散液に浸漬しているように分散液供給流路1より分散媒を追加しておくことが好適である。
次に、図2を用いて連続運転中における分離装置の内部状態を説明する。分離部錐体部4−aでは分離界面12が発生しており、接続流路7−a及び7−bでは分散液の循環流が発生している。循環流の流れ方向においては、分離部錐体部低端に連接された接続流路7−bが分散液導出流路となり、もう一方の接続流路7−aが分散液導入流路となる。
これらの操作により、分散液保有部内に分散質を戻しながら、連続して分散媒を分離することが可能となる。
上記反応のうち気固液反応、すなわち固体―液体―気体を使用する反応としては、例えば、カルボン酸エステルの製造において、一種又は二種以上のアルコールと酸素との固体触媒下での反応であることが好ましく、本発明の分離装置を用いて、反応で使用した触媒と反応液とを分離し、触媒を連続的に効率よく使用する方法もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。このように、上記沈降分離装置の使用方法は、カルボン酸エステル化反応に使用した固体触媒と反応液とを分離する形態であることが好適である。
なお、実施例中、分離効率は以下のようにして求めた。
分離効率(質量%)=(Ci−Ce)/Ci×100
Ci:分散液保有部2内の分散質濃度(質量%)
Ce:排出流路5内の分散質濃度(質量%)
図1−1に示すような装置で、分散液保有部2(攪拌機及び邪魔板が設置された槽径280mmの円筒形混合槽)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ15°、直胴部径94mm、透明プラスチック製)、接続流路6(内径19mm)及び排出流路5からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール)中に、分散質(シリカ担体、粒子径5〜170μm、平均粒径53μm、密度2000kg/m3)を前もって6.2質量%含むスラリーとして分散液保有部2に19L仕込み、常温、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。排出流路5から吸引(減圧)を行い分離部4内に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を2.8L/hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積61cm2)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で、排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、図1−1に示すような分散装置を使って、連続して分離操作ができたことを示している。
図2(A)に示すような装置で、接続流路(2重管構造、分散液導出流路7−b内径19mm、分散液導出流路7−b[外管]/分散液導入流路7−a[内管]の水平断面積比2.2)以外は参考例1と同様の条件及び操作で固液分離を実施した。
排出流路5より分散媒を6.9L/hr排出した結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積52cm2)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で、排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、接続流路を2本にすることにより、参考例1に比べ、単位水平断面積当りの分離流量が約2.9倍向上した。
図2(B)に示すような装置で、分散液保有部2(参考例1と同じもの)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ15°、直胴部径67mm、透明プラスチック製)、接続流路(分散液導入流路7−a[内径10mm、分離部錐体部測面に接続]、分散液導出流路7−b[内径19mm、分離部錐体部低端に接続])及び排出流路5からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール)中に、分散質(参考例1と同じもの)を前もって6.2質量%含むスラリーとして分散液保有部2に19L仕込み、常温、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。排出流路5から吸引(減圧)を行い分離部4内に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を4.7L/hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積23cm2)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で系外に排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、分散液導入流路を分離部錐体部側面に接続しても、連続して分離操作ができたことを示している。
図3(A、Bを備えたもの)に示すような装置で、分散液保有部2(攪拌機及び邪魔板が設置された槽径1100mmの円筒形混合槽)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ30°、直胴部径382mm、透明プラスチック製)、接続流路(2重管構造、分散液導出流路7−bサイズ40A−スケジュール40、分散液導出流路7−b[外管]/分散液導入流路7−a[内管]の水平断面積比2.2、分散液導入流路7−a長さ3650mm[液深450mm、液中には気泡捕集板13と気泡排出口14が各4個設置]、分散液導出流路7−b長さ3500mm[液深300mm、液中には気泡捕集板13と気泡排出口14が各4個設置])、排出流路5及び気泡除去流路15からなる分離装置を設置した。
分散媒(水)中に、分散質(シリカ担体、粒子径5〜170μm、平均粒径53μm、密度2000kg/m3)を前もって4.8質量%含むスラリーとして分散液保有部2に1000L仕込み、分散液中には窒素ガス(5000L/hr)を吹き込み、分散液温度30℃に保持、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。排出流路5から吸引(減圧)を行い、分離部4に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を60L/hrの速度で連続14時間排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積445cm2)で安定して固液分離界面12が生じていた。分離効率は99.96質量%、排出流路5より排出された分散媒中の分散質濃度は19ppmであり、平均分散質径は34μmでその内45μm以下のものが85質量%を占めていた。また、固液分離界面下では循環流が発生していることが確認され、流路7(分散液導出流路)中の分散質濃度は5.8質量%であった。また、分離部内に進入した気泡(窒素ガス)のほとんどは、気泡除去流路15より排出されていた。
これにより、分散液中に気泡が存在しても連続して分離操作ができたことを示している。
図3(A、Bを備えたもの)に示すような装置で、分散液保有部2(攪拌機及び邪魔板が設置された槽径750mmの円筒形混合槽)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ30°、直胴部径298mm、ステンレス製)、接続流路(2重管構造、分散液導出流路7−bサイズ40A−スケジュール40、分散液導出流路7−b[外管]/分散液導入流路7−a[内管]の水平断面積比2.2)、排出流路5及び気泡除去流路15からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール/モノエチレングリコールを混合した原料液)中に、分散質(触媒粒子[シリカ担体に活性成分を担持させたもの]、粒子径23〜200μm、平均粒径54μm、密度2480kg/m3)を前もって4.8質量%含むスラリーとして分散液保有部2に400L仕込み、分散液中にAirを通気させ、温度110℃、圧力10MPaG、攪拌下で気固液反応を行い、固液分離を実施した。排出流路5からガスをパージし、分散液(反応液)を分離部4に導入した後、排出流路5より分散媒を平均60L/hrで連続140hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒(原料液)を供給した。その結果、排出した反応液には僅かしか触媒が含まれていなかった。
これにより、本発明の装置を用いることで連続してグリコール酸エステル化反応等の気固液反応が実施できたことを示している。
図4に示すような装置で、分散液保有部2(参考例1と同じもの)側部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ15°、直胴部径67mm、透明プラスチック製)、接続流路(分散液導入流路7−a[内径15mm、分離部側面部より接続、分散液保有部側の先端方向は旋回流に対向している]、分散液導出流路7−b[内径15mm、分離部錐体部低端に接続、分散液保有部側の先端方向は旋回流に並行している])及び排出流路5からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール)中に、分散質(参考例1と同じもの)を前もって3.2質量%含むスラリーとして分散媒保有部2に21L仕込み、常温、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。液ヘッド差を利用して、排出流路5より分散媒を4.9L/hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積37cm2)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で系外に排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、攪拌(旋回流)を利用した循環流でも、連続して分離操作ができたことを示している。
図2(A)に示すような装置で、実施例2と同様の装置を用い、分散媒(食塩水、6L)と分散質(トルエン、9L)とを分散液保有部2に仕込み、攪拌で乳濁させ、常圧、常温下において液液分離を実施した。
排出流路5から吸引(減圧)を行い分離部4内に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内で液液分離界面12が生じた。
これにより、非相溶性の混合液の分離(液液分離)も連続して分離操作できたことを示している。
図9に示すように、分離部4(直胴部)内に透明硬質塩ビ製の傾斜板(傾斜角γ70°、傾斜板間隔10mm、高さ220mm、枚数35枚)を設置した以外は、実施例4と同様の条件及び操作で固液分離を実施した。
その結果、傾斜板内(分離部直胴部内)で固液分離界面12が発生し、実施例4の3倍の分離流量が得られた。
これにより、分離部内に傾斜板を設置することで、分離流量が向上したことを示している。
図9に示すように、分離部4(直胴部)内にステンレス製の傾斜板(傾斜角γ70°、傾斜板間隔10mm、高さ220mm、枚数28枚)を設置した以外は、実施例5と同様の条件で気固液反応を行いながら固液分離を実施した。
その結果、分散媒排出流路5より排出された分散媒中の分散質濃度が実施例5の10分の1程度まで低減された。
これにより、分離部内に傾斜板を設置することで分離効率が向上したことを示している。
2 :分散液保有部
3 :攪拌機
4 :分離部
4−a :分離部錐体部
5 :排出流路
6 :接続流路
7−a :接続流路(主に分散液導入流路となる)
7−b :接続流路(主に分散液導出流路となる)
8 :スラリー投入口
9 :分散媒
10 :分散質
11 :ガス
12 :分離界面
13 :分離された分散媒
14 :気泡捕集板
15−a:気泡除去流路
15−b:気泡排出口
16 :気泡及び分散液の流れ方向
17 :分散液の流れ方向
18 :気泡の流れ方向
19 :ガス供給流路
20 :ガス排出流路
21 :傾斜板
22 :L(傾斜板面積)
23 :Lcosγ(投影面積)
24 :γ(傾斜板角度)
Claims (6)
- 分散液保有部中の分散液から分散媒を分離する沈降分離装置であって、
該沈降分離装置は、少なくとも接続流路、分離部及び排出流路を有し、該分離部が該分散液保有部外に存在し、該接続流路は、該分散液保有部上部より分散液保有部内に差込まれることにより分散液に浸漬され、
該分離部は、該接続流路との接続部よりも断面積の大きい部位を持つ錐体部を有するものであり、
該接続流路は、分散液を分離部へ導くための分散液導入流路と、分散液が分散液保有部中に戻るための分散液導出流路との少なくとも2本の流路を有し、
該接続流路の分離部への接続位置は、該分離部の錐体部低端であり、
該排出流路の分離部への接続位置は、該分離部に錐体部しかない場合は分離部の上部、又は、該分離部が更に直胴部を有する場合は直胴部上面若しくは側面であることを特徴とする沈降分離装置。 - 前記沈降分離装置は、更に気泡除去するための構造を有し、
該気泡除去するための構造は、前記分散液導入流路に気泡除去流路が接続された構造、又は、前記分散液導入流路及び/若しくは分散液導出流路に気泡捕集板と気泡排出口とが設けられた構造であることを特徴とする請求項1に記載の沈降分離装置。 - 前記沈降分離装置は、分離部内に傾斜板を設置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の沈降分離装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の沈降分離装置を備えてなることを特徴とする分離システム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の沈降分離装置を使用することを特徴とする分散液から分散媒を分離する方法。
- 前記方法は、カルボン酸エステル化反応に使用した固体触媒と反応液とを分離することを特徴とする請求項5に記載の分散液から分散媒を分離する方法。
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