JP4437436B2 - 分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法 - Google Patents

分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4437436B2
JP4437436B2 JP2004325455A JP2004325455A JP4437436B2 JP 4437436 B2 JP4437436 B2 JP 4437436B2 JP 2004325455 A JP2004325455 A JP 2004325455A JP 2004325455 A JP2004325455 A JP 2004325455A JP 4437436 B2 JP4437436 B2 JP 4437436B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dispersion
separation
liquid
flow path
channel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004325455A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005205396A (ja
Inventor
進治 高崎
雅光 佐々木
康平 梅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2004325455A priority Critical patent/JP4437436B2/ja
Publication of JP2005205396A publication Critical patent/JP2005205396A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4437436B2 publication Critical patent/JP4437436B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

本発明は、分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法に関する。より詳しくは、化学プロセス等の分野において、固液混合物から液体分や固体分を分離したり、液体混合物から一部の液体分を分離したりすることができる分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法に関する。
固液混合物や、非相溶性である2種以上の液体混合物を取り扱う化学プロセス等の分野においては、固液混合物や液体混合物等の分散液から分散媒(液体分)を分離する技術が重要であり、例えば、化学工業において、反応槽内で固体触媒と液体分とを混合させて固液反応又は気固液反応を行わせた場合には、反応終了後に固体触媒を分離する必要がある。このような場合に用いられる分離技術としては、重力を利用した方法(沈降分離方式)、遠心力を利用した方法(遠心分離方式)、濾布やスクリーン等の障害物を利用した方法(障害物分離方式)の他、これらが組み合わさった方式による技術が用いられている。
従来では、これらの技術を回分的に行う方法(バッチ法)が広く用いられており、この場合には、例えば、濾過器を使った濾布等による障害物分離を行うことにより、固液分離を行ってきた。しかしながら、これらのバッチ法においては、固液分離時には操作を中断する必要があり、煩雑な操作となることから、生産性を充分に向上させるための工夫の余地があった。
固液混合物から連続的に固液分離する技術に関し、固液混合物から液体分を排出し、固体分を系内に戻す技術について、下記の先行技術が開示されている。
連続的に液体分を排出する固液分離技術としては、遠心力を利用した方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、遠心力を発生させる循環ポンプ等の動力を必要とするため、維持費及びメンテナンス等を低減し、更に循環ポンプによる固体粒子の破損を抑制するための工夫の余地があった。
重力を利用した連続式の沈降分離方式としては、反応槽内部に沈降部を設置して分離する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この装置においては、排出量に制限されることなく設計するための工夫の余地があった。
また、反応槽の側壁に傾斜をもった流路を設け、この流路で連続的に沈降分離を行う反応装置が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この装置においては、特殊な反応槽を必要とせず、更に既存の反応槽等を容易に転用したりするための工夫の余地があった。
一方、固体分と液体分とを別々に連続的に沈降分離する装置としては、下記の先行技術が開示されている。すなわち、原水を上澄み水と汚泥とに分離する固液分離槽において、汚泥の界面の上昇速度に基づき汚泥の界面の高さを調節し汚泥が上澄み液に混じって流出するのを防止する固液分離装置が開示されている(例えば、特許文献4。)。しかしながら、この装置においては、各種の反応、固体粒子の洗浄等に好適に用いるために固体分を効率よく回収して利用出来るようにするための工夫の余地があった。
ところで、沈降分離操作では、沈降分離槽内に傾斜板を設けることにより沈降速度が促進される(沈降促進効果)ことが知られており(例えば、非特許文献1参照。)、傾斜板を有する装置が開示されている(例えば、特許文献5。)。しかしながら、これらの装置においても、各種の反応、固体粒子の洗浄等に好適に用いるために固体分を効率よく回収して利用出来るようにするための工夫の余地があった。
特開平10−113551号公報 特許第2959819号公報 特開平10−94705号公報 特開2003―88707号公報 特公昭55―5961号公報 白神直弘、他2名、「沈降分離における傾斜板の沈降促進効果」、化学工学論文集、1987年、第13巻、第1号、P86−91
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、煩雑な操作やポンプ等の動力及び多大設備費を必要とせず、既存の反応槽等等に容易に設置可能であり、また、分散質を容易に反応槽等に戻しながら、分散媒の排出量に制限されることなく効率的に分離を行うことができる分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、分離装置について種々検討したところ、分散液保有部に接続流路、分離部及び排出流路を有する沈降分離装置を設置することで分散液中から連続又は断続的に分散媒を分離することができることに着目した。そして、接続流路の一部又は全部を分散液保有部内の分散液に浸漬することで分離部を該分散液保有部外に設置することができ、更に、分離部を接続流路との接続部よりも断面積の大きい部位とすることで、分散媒の排出量に制限をなくすことができ、分離流量や分離効率を充分に向上させることが可能であることを見出した。また、このような分離装置は、煩雑な操作や多大な設備費を必要としない合理的なプロセスを構築することができ、既存の分散液保有部にも使用でき容易に脱着可能であることから、分散液保有部及び分離装置が用途に合わせて容易に転用でき、ポンプ等の動力を必要しないため維持費及びメンテナンスを必要とせず、更に、ポンプ摩擦による粒子破損を抑制し、また、分離後の分散質は分散液保有部に戻るため分散質を効率よく利用できることを見出し、上記課題をみごとに解決できることに想到した。
なお、分離流量とは、分離した分散媒の排出流量を示し、また、分離効率とは、分散液保有部内の分散液中の分散質濃度における分離した分散媒中の分散質濃度の割合を示す。
また上記分離装置において、接続流路を、分散液保有部内の分散液を分離部へ導くための導入流路と、該分離部内の分散液を該分散液保有部へ戻すための導出流路との少なくとも2本の流路にすることで、該分離部と該分散液保有部との間で、密度差による循環流が発生し、分散媒を更に効率よく分離することができることを見出し、本発明の作用効果を充分に発揮することが可能となることを見出した。
更に、このような分離装置を備えた分離システムや、分離装置の使用方法が各種の化学工業におけるプロセス等に有用であることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、分散液保有部中の分散液から分散媒を分離する沈降分離装置であって、上記沈降分離装置は、少なくとも接続流路、分離部及び排出流路を有し、該接続流路の一部又は全部が上記分散液保有部内の分散液に浸漬し、上記分離部は、上記接続流路との接続部よりも断面積の大きい部位を有する沈降分離装置である。
以下に本発明を詳述する。
先ず、本発明の分離装置の作用について、図を用いて説明する。
例えば、従来用いられてきたような、分散質及び分散媒を含む分散液を含有し、攪拌を伴う分散液保有部の場合、この分散液保有部内の分散液から分散媒を分離するには、図7に示すように分散液保有部に排出流路を浸漬し、分散媒を排出する。この場合、排出速度を分散質の沈降速度よりも遅くすることで分散媒のみを排出することが可能となる。しかし、分散媒の排出流量(分離流量)は沈降面積(排出流路の水平断面積)に比例することから、図7に示すような装置では、分離流量に限界が生じる。
そこで、図1−1に示されるように、分散液保有部外に分離部を設け、更に分散液保有部内の分散液と分離部との間に接続流路を設けることで、分離部自体を大きくすることができ、分離流量に制限をなくすことが可能となる。なお、分離部内の分散質濃度は分散液保有部内の分散質濃度より濃い状態で安定することとなる。
また、分散質が固体粒子の場合、沈降状態は粒子濃度に大きく依存し、濃度に比例して沈降速度は遅くなることから、この場合には、例えば、図1−2に示されるように、接続流路として少なくとも2本の流路を設けることが好ましく、これにより、分離部と分散液保有部との間で密度差による循環流が発生し、分離部内の分散質濃度の上昇を防ぐことが可能となる。
なお、分散液保有部内の分散液を分離部へ導くためには、分散液保有部と分離部との間に圧力差を付けることが好適である。すなわち、分散液保有部よりも分離部の圧力を低くすることで分散液を分離部へ導くことが可能となる。
次に本発明の分離装置について、更に機能面及び構造面から説明する。
本発明の沈降分離装置は、少なくとも接続流路、分離部及び排出流路を有するものであるが、その構成順序としては、接続流路、分離部、排出流路の順で構成されることが好適である。
上記分離装置を設置することとなる分散液保有部としては、分散媒及び分散質を含む分散液を含有するものであればよく、その形状は特に限定されず、開放形の保有部または密閉形の保有部(例えば反応槽等)のどちらでも構わない。また、分散質が分散媒に分散されていることが好ましく、攪拌装置等が設置されているものがより好ましい。
本発明の分離装置において、分散液保有部への設置位置としては、分離部が分散液保有部外に存在し、接続流路の一部又は全部が分散液保有部内の分散液に浸漬していれば特に限定されない。例えば、分散液保有部の上部又は側壁より接続流路を分散液に浸漬するのが好ましく、密閉式の保有部においては、保有部上部のノズル等から接続流路を差込み分散液に浸漬することがより好ましい。本発明における分散装置は、分散液保有部から容易に脱着することが可能であり、各種の用途に好適に転用することが可能となる。
上記分離装置の分離部においては、分散媒の排出速度が分散質の沈降速度以下になるように、分離部の大きさ(水平断面積)を確保することが好適である。分離部は接続流路の接続部よりも断面積の大きい部位を有するものであればよく、該部位としては、例えば、断面積比で10倍以上であることが好ましい。分離部における断面積の設計は、分散質の沈降速度、分離流量、安全率等から勘案して決定すればよい。また、分離部は、徐々に拡大する形状部分(この形状を「錐体部」ともいう。)を有するものとすることが好ましく、該形状としては、具体的には、円錐状、角錐状が好適であり、例えば、垂直を0°とした場合、10°以上、60°以下の傾斜角(θ)を有する形状であることが好ましい。傾斜角を60°以下にすることで分散質の堆積を防ぎ、また、傾斜角を10°以上にすることで設計上及び工作上等から実用的なものとなる。より好ましくは、15°以上、45°以下である。更に、分離部は錐体部に加えて直胴部を有することが好ましく、直胴部を設けることで付属設備の設置が容易になる。なお、錐体部内の壁面は平滑であり分散質が速やかに流れるものであることが好ましい。
上記分離装置において、排出流路は、分離部で分離された分散媒を排出するための流路である。この排出流路は次工程への移送流路としても好適であり、大きさ、形状については特に限定されず、次工程等の都合を勘案して決定すればよい。また、排出流路の分離部への接続位置については、分離された分散媒中に浸漬することが好ましく、例えば分離部に錐体部しかない場合は分離部の上部、また、直胴部を有するものなら直胴部上面又は側面に接続することが好ましい。
上記分離装置において、接続流路は、分散液保有部内の分散液と分離部とを接続する流路であり、接続流路の一部又は全部が分散液保有部内の分散液に浸漬しているものであればよい。分散液保有部が攪拌等により液面が乱れている場合においては、その影響で分離部内に気泡が多量に混入するおそれがあるので、充分に接続流路が分散液に浸漬されていることが好ましい。
接続流路の大きさ(断面積)については、特に限定されず、分散液保有部側への設置状況等の都合にあわせて大きさを決定すればよい。分離部側への接続位置においては、分離部に分散質が堆積し接続流路が閉塞しないような位置に接続することが好ましく、例えば、分離部の錐体部低端に接続することが好ましい。接続流路の長さとしては、分離部を分散液保有部外に設置できるような長さであれば特に限定されない。
本発明の分離装置において、上記接続流路は、分散液を分離部へ導くための導入流路と、分散液が分散液保有部中に戻るための導出流路との少なくとも2本の流路を有することが好適である。
上記分散液導入流路は、接続流路を少なくとも2本の流路とした場合、分散液保有部内の分散液を分離部へ導入することを優先とする流路である。分散液導入流路の本数については、1本から複数本まで可能であり、より好ましくは1本である。分離部側への接続位置としては、分離部錐体部であれば、どこの部分に接続しても特に問題はない。また、分散液導出流路内に分散液導入流路を入れた、いわゆる多重管構造にしてもよい。この多重管構造にした場合の分散液導入流路の長さは、分散液導出流路の長さよりも同等以上にすることがよく、いわゆる、分散液保有部側及び分離部側の両端において、分散液導入流路の長さが同等以上に長くすることが好ましい。これにより分散液の密度差による循環流を円滑に行うことが可能となる。
上記分散液導出流路は、接続流路を少なくとも2本の流路とした場合、分離部内の分散液を分散液保有部へ導出することを優先とする流路である。分散液導出流路の本数については、1本から複数本まで可能であり、より好ましくは1本である。分離部への接続位置としては、分離部に分散質が堆積しないように接続することが好ましく、例えば、分離部の錐体部低端に接続することが好ましい。分散液導入流路と分散液導出流路との断面積比としては、安定した循環流が得られることから水平断面積比(分散液導出流路の断面積と分散液導入流路の断面積との比)を1対20〜20対1にすることが好ましく、より好ましくは1対10〜10対1である。
本発明の分離装置における接続流路としては、少なくとも2本以上の流路にすることにより、密度差による循環流を発生させ、分離部内の分散質濃度の上昇を抑制することができる。例えば、分散質が固体粒子の場合、分離部内の粒子濃度の上昇を抑制することにより、粒子濃度の上昇を起因とした沈降速度の低下を抑制し分離流量を向上させることが可能となる。
この密度差による循環流が発生する場合の形態について、更に詳しく説明する。分散液導出流路内に分散液導入流路を入れた、いわゆる多重管構造にした接続流路を例として、図5を用いて説明する。
密度差による循環流の流れ方向は、図5(D)に示すように、接続流路7−aが分散液導入流路となり、接続流路7−bが分散液導出流路となる。
この循環流は密度差で発生し、密度差は分散質濃度差に由来するものである。この循環流を発生させる切っ掛けは、以下に述べるディフューザ流れを利用した「高さヘッド差」に起因するものと考えている。
まず、図5(A)に示すように、分散液保有部内に分散液(分散媒9及び分散質10)が存在する状態から、図5(B)に示すように、分離部の圧力を分散液保有部より低くすることにより分散液は、接続流路7−a及び7−bを通って分離部へ移送される。更に図5(C)に示すように、分離部に分散液が導入されたとき、接続流路7−aと接続流路7−bとの間に速度ヘッド(ΔH)が生じ、図5(D)に示すように、接続流路7−aが先に溢れ出し、優先されて分散液導入流路となり、また、分離により分散質濃度の高まった分散液が接続流路7−b側へと優先される。そして、接続流路7−aと接続流路7−bとの間に分散質の濃度差が生じ、接続流路7−bの流れ方向は逆転し分散液導出流路となる。
以上のように、高さヘッドを切っ掛けとして接続流路7−aと接続流路7−bとの間に分散質濃度差が生じ、分散液の循環流が発生する。なお、分離部の排出流路から分離した分散媒を排出し続けることで上述した分散質の濃度差は保たれ、循環流は保持されることとなる。
また、上記に述べた速度ヘッド差よりも大きな切っ掛けをつくると、循環流の流れ方向はそれに従うこととなる。この切っ掛けとしては、例えば、分散液保有部内での攪拌等による旋回流を利用したものが挙げられる。例えば、図6の(B)〜(E)のように、分散液保有部に浸漬している分散液導入流路及び分散液導出流路の先端方向を旋回流の影響を受ける方向にすることで速度ヘッド差よりも大きな切っ掛けをつくることも可能である。詳しくは、分散液導入流路の先端方向のみを変えた場合を例に、図6を用いて説明する。
まず、図6(A)で示されるように、分散液導入流路の先端部が旋回流の影響を受けにくい垂直とした場合には、循環流の流れ方向は速度ヘッド差により接続流路7−aが分散液導入流路となり、接続流路7−bが分散液導出流路となる。
これに加えて、図6(B)、(C)で示されるように、分散液導入流路の先端部を旋回流の影響を受けるように対向させた場合には、該先端部には正圧がかかり、循環流は図6(A)と同じ流れ方向となる。このとき、循環流の流れは、旋回流の影響により、図6(A)のときより速くなる。
また、これに対して、図6(D)、(E)で示されるように、分散液導入流路の先端部を旋回流の影響を受けるように並行させた場合には、該先端部には負圧がかかり、循環流は図6(A)と逆方向になり、いわゆる接続流路7−bが分散液導入流路となり、接続流路7−aが分散液導出流路となる。このように速度ヘッド差よりも大きな力で逆方向に切っ掛けをつくると、循環流の流れ方向は逆方向にすることが可能となる。なお、この状態でも、分離部の排出流路から分離した分散媒を排出し続けることで分散質の濃度差はこの状態で保たれ、逆向きの循環流が保持されることとなる。このような形態も本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の分離装置に用いられる分散液としては、例えば、固体粒子が液体中に分散した固液混合物や、互いに混合しない2種類以上の液体混合物が挙げられ、更にこれら混合物には気体を含んだものであってもよい。なお、分散質、分散媒としては、それぞれの形態において適宜設定されることとなり、例えば、固液混合物の場合には、固体粒子が分散質となり、液体分が分散媒となる。また、互いに混合しない2種類以上の液体混合物の場合には、密度の高い液体が分散質となり、密度の低い液体が分散媒となる。
また、分散質の濃度としては、例えば分散質が固体粒子の場合、沈降状態が粒子濃度により大きく3タイプに分けられることが知られている。まず、粒子濃度がごく希薄な濃度域の場合には固々の粒子が独立して沈降する自由沈降が、より濃くなった中程度の濃度域では粒子が相互に影響を及ぼしあう干渉沈降が、更に濃くなった粒子同士が接触するほどの高濃度域になると粒子層が圧縮を受ける圧縮沈降が生じる。
本発明の分離装置は、粒子濃度差による密度流が充分に発生できるよう中程度以上の濃度域をもった分散液を使うことが好ましい。より好ましくは中濃度域である。
上記分散質としては、実施条件下の分散液中で沈降速度を有するものであればよく、例えば、固体粒子としては、イオン交換樹脂、金属酸化物(シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア等)、複合金属酸化物(シリカ・アルミナ、チタニア・ジルコニア、シリカ・マグネシア等)、ゼオライト(ZSM−5等)、メソポーラスシリケート(MCM−41等)、天然鉱物(粘土、けいそう土、活性炭等)や、これらを担体として、パラジウム、金、銀、白金等の活性成分を担持させた触媒等が挙げられる。これらは、固液反応や気固液反応等の反応に好適なものであるが、本発明の分離装置により、反応中に効率的に固体粒子を回収しながら反応液を分離することができる。また、上記以外にも、樹脂、ガラス、金属の粒子等が挙げられ、これらは、粒子の洗浄等に好適なものであり、本発明の分散装置により、洗浄等の操作においても効率的に固液分離することができる。また、例えば酵素や微生物、動・植物細胞等の生体触媒を固定化したものを使用することもでき、本発明の分離装置により各種の生化学反応において好適に分離精製することが可能となる。
上記分散質の大きさとしては、流体の乱れによる影響を受けにくい大きさであることが好ましく、例えば、10ミクロン(μm)以上であることが好ましい。なお、大きさの上限としては、固液反応や気固液反応等の反応に使用する金属酸化物に活性成分を担持させた触媒等の場合については分散効率や反応効率から2000ミクロン(μm)以下であることが好ましい。より好ましくは1000ミクロン(μm)以下である。また、イオン交換樹脂等の比較的密度の低いものについては、沈降速度を充分に持たせるため、5000ミクロン(μm)以下であることが好ましい。より好ましくは3000ミクロン(μm)以下である。
また上記分散媒としては、分散質の密度よりも低く、実施条件下で分散質を沈降させる液体であれば特に限定されない。
本発明の分散装置の設計を行う場合においては、あらかじめ分散質の沈降速度を測定しておくことが好ましく、沈降速度の簡易的な方法としては、例えば、メスシリンダー等の透明容器に所定濃度の分散液を入れ、均一状態にした後、分離界面の下降する速度を測定する方法が挙げられる。なお、できる限り実施条件に近い状態で測定することが好ましく、必要に応じてストークスの式に基づき補正を行うことが好ましい。更に、実機又は実機に合わせた模擬実験等を行い、分離状態等を確認することがより好ましい。
本発明の分離装置においては、分散液保有部に設置された攪拌機等による攪拌や、気固液反応等のように気体を分散液中に吹き込むこと等で、多量の気泡が分離部に入ることで分離効率を低下するおそれがある。この場合、分離装置を、気泡を除去するための構造にしておくことが好適である。すなわち、本発明の分離装置は、更に気泡除去するための構造を有することが好ましい。
例えば、図3(A)に例示するような分散液導入流路7−aに気泡除去流路15−aを接続することで、分離部内に入ってきた気泡を分離し除去することが可能となる。また、図3(B)に例示するような分散液導入流路7−aや分散液導出流路7−bに気泡捕集板14と気泡排出口15−bとを設けることで、分離部に入り込む気泡を低減することが可能となる。これらの方法を用いることで分離装置の気泡による分離効率の低下を抑制することが可能となる。
なお、本発明の分離装置としては、これらの図に示した形態のみに限定されるものではない。
本発明の分離装置としては更に、分離部内に傾斜板を有することがより好ましい。複数の傾斜板を分離部内に設置することにより、分散質が通常の沈降速度よりも速く沈降する効果(この現象を沈降促進効果ともいう。)が発揮され、分離流量及び分離効率をより向上させることが可能となる。傾斜板は、図9に例示するように分離部直胴部に設置するのが好ましく、これにより、直胴部においても分離作用を発揮することが可能となる。このように上記分離装置が分離部内に傾斜板を設置してなる形態もまた、本発明の好適な形態の一つである。
上記傾斜板の沈降促進効果は、傾斜板の投影面積が大きいほど高い効果を得ることができる、すなわち分離流量及び分離効率が更に向上することとなる。1枚の傾斜板の投影面積は、図8に示すように、Lcosγで表され(Lは、傾斜板の面積を表し、γは、水平を0°としたときの傾斜板の角度を表す。)、複数のときは各傾斜板の投影面積の合計となる。なお、傾斜角度(γ)としては、傾斜板に分散質の堆積を抑制し、また、沈降促進効果を充分に発揮できる範囲として、45°以上、80°以下が好ましい。
上記傾斜板の間隔としては、分散質が詰まらないように距離をとることが好適であり、分散質の大きさ及び分散質濃度を考慮して適宜に決定すればよく、例えば、分散質の粒子径が500ミクロン(μm)以下のものであれば、傾斜板間隔は、5mm以上とすることが好ましい。より好ましくは5mm以上、100mm以下である。
上記傾斜板の材質としては特に限定されないが、例えば、平滑面を有し、分散質が速やかに流れるものであることが好適であり、また、このような傾斜板の形状としても特に限定されず、分離部の形状や、上述した傾斜板の投影面積等を考慮して適宜決定すればよい。
本発明の分離装置において、操作する圧力及び温度としは、特に限定されず、例えば、圧力は、減圧から高圧まで幅広く適用することができ、また、温度においても低温から高温まで幅広く適用することができる。なお、操作温度が高温等外部温度とに温度差が生じる場合、分離部内で熱対流が発生し分離効率を低下させるおそれがあるため、この場合には、保温材やスチームトレース等の保温対策をすることで分離効率の低下を抑制することが可能となる。
本発明において、上記分離装置を備えてなる分離システムとしては、分散液保有部中の分散液から連続又は断続的に分散媒を分離する工程を有する分離方法、製造方法、精製方法等を用いるシステムであればよく、例えば、工業的な生産工程において分離を必要とする工程に有用なものである。このような分離装置を備えてなる分離システムもまた、本発明の1つである。
次に、本発明の分散装置の好ましい形態における立ち上げ方法(操作方法)について説明する。
図2(A)は、本発明の好適な分離装置において、接続流路に2重管に用いた形態を示し、図2(B)は、本発明の好適な分離装置において、接続流路に2本の流路を使用した形態を示す。
図2の分離装置を例に以下のようにして立ち上げることができる。
分散媒供給流路1から分散媒9を、スラリー投入口8から分散質10を分散液保有部2に仕込み、所定の液面に達したら攪拌機3を稼動し攪拌を行い、所定の圧力及び温度まで設定する。分離部内に分散液を導入する場合においては、分離装置の接続流路が分散液保有部内の分散液に浸漬すればいつでも開始してよく、攪拌前後を問わない。また、例えば、分散液保有部が加圧の場合には、排出流路5より徐々にガスを抜き分散液を分離部へ導入する。分散液保有部が大気圧又は負圧の場合には、排出流路5よりガスを吸引し分散液を分離部へ導入する。このときの分離部への分散液の導入流量については、運転中に行う所定の排出流量であることが好ましいが、所定排出流量より多い場合(分離部で分離しないほど速く排出する場合)でも、分離部に分散液を導入した後、一時、排出を停止すれば、分離部内の分散質は沈降し、その後、所定の排出流量で再開すればよい。なお、上記操作中は接続流路(7−a及び7−b)が分散液に浸漬しているように分散液供給流路1より分散媒を追加しておくことが好適である。
次に、図2を用いて連続運転中における分離装置の内部状態を説明する。分離部錐体部4−aでは分離界面12が発生しており、接続流路7−a及び7−bでは分散液の循環流が発生している。循環流の流れ方向においては、分離部錐体部低端に連接された接続流路7−bが分散液導出流路となり、もう一方の接続流路7−aが分散液導入流路となる。
これらの操作により、分散液保有部内に分散質を戻しながら、連続して分散媒を分離することが可能となる。
本発明の分散装置においては、固液反応、気固液反応、粒子洗浄、液液分離等の形態に好適に用いることができるが、中でも固液反応や気固液反応において固液分離する形態に用いることが好ましい。これらの反応に使用した触媒と反応液とを分離し、触媒を連続的に効率よく戻しながら反応液を分離することが可能となる。このように上記分離装置を使用して、分散液から分散媒を分離する沈降分離装置の使用方法は、本発明の1つである。
上記反応のうち気固液反応、すなわち固体―液体―気体を使用する反応としては、例えば、カルボン酸エステルの製造において、一種又は二種以上のアルコールと酸素との固体触媒下での反応であることが好ましく、本発明の分離装置を用いて、反応で使用した触媒と反応液とを分離し、触媒を連続的に効率よく使用する方法もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。このように、上記沈降分離装置の使用方法は、カルボン酸エステル化反応に使用した固体触媒と反応液とを分離する形態であることが好適である。
本発明の分離装置は、上述のような構成であるので、煩雑な操作や多大な設備費を必要としない合理的なプロセスを構築することができ、既存の分散液保有部にも使用でき容易に脱着可能であることから、分散液保有部及び分離装置が用途に合わせて容易に転用でき、ポンプ等の動力を必要しないため維持費及びメンテナンスを必要とせず、更に、ポンプ摩擦による粒子破損を抑制し、また、分散質は分散液保有部に戻すため効率よく利用することができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例中、分離効率は以下のようにして求めた。
分離効率(質量%)=(Ci−Ce)/Ci×100
Ci:分散液保有部2内の分散質濃度(質量%)
Ce:排出流路5内の分散質濃度(質量%)
参考例
図1−1に示すような装置で、分散液保有部2(攪拌機及び邪魔板が設置された槽径280mmの円筒形混合槽)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ15°、直胴部径94mm、透明プラスチック製)、接続流路6(内径19mm)及び排出流路5からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール)中に、分散質(シリカ担体、粒子径5〜170μm、平均粒径53μm、密度2000kg/m)を前もって6.2質量%含むスラリーとして分散液保有部2に19L仕込み、常温、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。排出流路5から吸引(減圧)を行い分離部4内に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を2.8L/hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積61cm)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で、排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、図1−1に示すような分散装置を使って、連続して分離操作ができたことを示している。
実施例2
図2(A)に示すような装置で、接続流路(2重管構造、分散液導出流路7−b内径19mm、分散液導出流路7−b[外管]/分散液導入流路7−a[内管]の水平断面積比2.2)以外は参考例1と同様の条件及び操作で固液分離を実施した。
排出流路5より分散媒を6.9L/hr排出した結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積52cm)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で、排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、接続流路を2本にすることにより、参考例1に比べ、単位水平断面積当りの分離流量が約2.9倍向上した。
実施例3
図2(B)に示すような装置で、分散液保有部2(参考例1と同じもの)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ15°、直胴部径67mm、透明プラスチック製)、接続流路(分散液導入流路7−a[内径10mm、分離部錐体部測面に接続]、分散液導出流路7−b[内径19mm、分離部錐体部低端に接続])及び排出流路5からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール)中に、分散質(参考例1と同じもの)を前もって6.2質量%含むスラリーとして分散液保有部2に19L仕込み、常温、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。排出流路5から吸引(減圧)を行い分離部4内に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を4.7L/hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積23cm)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で系外に排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、分散液導入流路を分離部錐体部側面に接続しても、連続して分離操作ができたことを示している。
実施例4
図3(A、Bを備えたもの)に示すような装置で、分散液保有部2(攪拌機及び邪魔板が設置された槽径1100mmの円筒形混合槽)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ30°、直胴部径382mm、透明プラスチック製)、接続流路(2重管構造、分散液導出流路7−bサイズ40A−スケジュール40、分散液導出流路7−b[外管]/分散液導入流路7−a[内管]の水平断面積比2.2、分散液導入流路7−a長さ3650mm[液深450mm、液中には気泡捕集板13と気泡排出口14が各4個設置]、分散液導出流路7−b長さ3500mm[液深300mm、液中には気泡捕集板13と気泡排出口14が各4個設置])、排出流路5及び気泡除去流路15からなる分離装置を設置した。
分散媒(水)中に、分散質(シリカ担体、粒子径5〜170μm、平均粒径53μm、密度2000kg/m)を前もって4.8質量%含むスラリーとして分散液保有部2に1000L仕込み、分散液中には窒素ガス(5000L/hr)を吹き込み、分散液温度30℃に保持、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。排出流路5から吸引(減圧)を行い、分離部4に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を60L/hrの速度で連続14時間排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積445cm)で安定して固液分離界面12が生じていた。分離効率は99.96質量%、排出流路5より排出された分散媒中の分散質濃度は19ppmであり、平均分散質径は34μmでその内45μm以下のものが85質量%を占めていた。また、固液分離界面下では循環流が発生していることが確認され、流路7(分散液導出流路)中の分散質濃度は5.8質量%であった。また、分離部内に進入した気泡(窒素ガス)のほとんどは、気泡除去流路15より排出されていた。
これにより、分散液中に気泡が存在しても連続して分離操作ができたことを示している。
実施例5
図3(A、Bを備えたもの)に示すような装置で、分散液保有部2(攪拌機及び邪魔板が設置された槽径750mmの円筒形混合槽)上部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ30°、直胴部径298mm、ステンレス製)、接続流路(2重管構造、分散液導出流路7−bサイズ40A−スケジュール40、分散液導出流路7−b[外管]/分散液導入流路7−a[内管]の水平断面積比2.2)、排出流路5及び気泡除去流路15からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール/モノエチレングリコールを混合した原料液)中に、分散質(触媒粒子[シリカ担体に活性成分を担持させたもの]、粒子径23〜200μm、平均粒径54μm、密度2480kg/m)を前もって4.8質量%含むスラリーとして分散液保有部2に400L仕込み、分散液中にAirを通気させ、温度110℃、圧力10MPaG、攪拌下で気固液反応を行い、固液分離を実施した。排出流路5からガスをパージし、分散液(反応液)を分離部4に導入した後、排出流路5より分散媒を平均60L/hrで連続140hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒(原料液)を供給した。その結果、排出した反応液には僅かしか触媒が含まれていなかった。
これにより、本発明の装置を用いることで連続してグリコール酸エステル化反応等の気固液反応が実施できたことを示している。
参考例
図4に示すような装置で、分散液保有部2(参考例1と同じもの)側部に、分離部4(錐体部4−a傾斜角θ15°、直胴部径67mm、透明プラスチック製)、接続流路(分散液導入流路7−a[内径15mm、分離部側面部より接続、分散液保有部側の先端方向は旋回流に対向している]、分散液導出流路7−b[内径15mm、分離部錐体部低端に接続、分散液保有部側の先端方向は旋回流に並行している])及び排出流路5からなる分離装置を設置した。
分散媒(メタノール)中に、分散質(参考例1と同じもの)を前もって3.2質量%含むスラリーとして分散媒保有部2に21L仕込み、常温、常圧、攪拌下において固液分離を実施した。液ヘッド差を利用して、排出流路5より分散媒を4.9L/hr排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内(水平断面積37cm)で固液分離界面12が生じた。分離効率はほぼ100質量%で系外に排出した分散媒中には粒子がほとんど存在していなかった。
これにより、攪拌(旋回流)を利用した循環流でも、連続して分離操作ができたことを示している。
実施例7
図2(A)に示すような装置で、実施例2と同様の装置を用い、分散媒(食塩水、6L)と分散質(トルエン、9L)とを分散液保有部2に仕込み、攪拌で乳濁させ、常圧、常温下において液液分離を実施した。
排出流路5から吸引(減圧)を行い分離部4内に分散液を導入した後、排出流路5より分散媒を排出した。なお、保有部内液面が一定に保持されるように分散媒供給流路1より分散媒を供給した。その結果、分離部錐体部4−a内で液液分離界面12が生じた。
これにより、非相溶性の混合液の分離(液液分離)も連続して分離操作できたことを示している。
実施例8
図9に示すように、分離部4(直胴部)内に透明硬質塩ビ製の傾斜板(傾斜角γ70°、傾斜板間隔10mm、高さ220mm、枚数35枚)を設置した以外は、実施例4と同様の条件及び操作で固液分離を実施した。
その結果、傾斜板内(分離部直胴部内)で固液分離界面12が発生し、実施例4の3倍の分離流量が得られた。
これにより、分離部内に傾斜板を設置することで、分離流量が向上したことを示している。
実施例9
図9に示すように、分離部4(直胴部)内にステンレス製の傾斜板(傾斜角γ70°、傾斜板間隔10mm、高さ220mm、枚数28枚)を設置した以外は、実施例5と同様の条件で気固液反応を行いながら固液分離を実施した。
その結果、分散媒排出流路5より排出された分散媒中の分散質濃度が実施例5の10分の1程度まで低減された。
これにより、分離部内に傾斜板を設置することで分離効率が向上したことを示している。
本発明の分離装置は、複雑な装置や煩雑な維持管理を必要とせず、反応槽の連続反応等を中断させることなく安定的に液体分(分散媒)を得ることができるものであり、例えば、固液反応、気固液反応、廃液処理、固体粒子の洗浄、粒子の分級、液液分離等の液体中で化学反応を行うプロセス等の化学工業におけるプロセスの他、生物反応プロセス等においても好適に利用することができるものである。
散液保有部と分離部との間に接続流路を設け、分離部を接続流路との接続部よりも断面積の大きい部位にすることにより、分離流量に制限をなくすことができることを示す概念図である。 本発明の好適な分離装置において、少なくとも2本の接続流路を設けることにより、分離部と分散液保有部との間で密度差による循環流が発生し、分離部内の分散質濃度の上昇を抑制することを示す概念図である。 本発明の好適な分離装置を用いた連続反応装置の好ましい形態を示すフローチャートである。 本発明の分離装置において、気泡を除去するための構造にした分離装置の好ましい形態を例示した概念図である。(A)は、分散液導入流路(流路6)に気泡除去流路を設けた形態を示す。(B)は、分散液導入流路及び分散液導出流路(流路6及び7)に、傾斜のついた気泡捕集板14と気泡排出15−bとを複数設けた形態を示す。 分散液保有部内の旋回流で発生させた循環流を利用した分離装置の形態を例示した概念図である。 本発明の好適な分離装置において、密度差による循環流を発生させる原理を経時的に表す概念図である。(A)は、分散液が分散液保有部内にあるときの状態を示す。(B)は、分散液が接続流路に導入されたときの状態を示す。(C)は、分散液が分離部に導入された直後の状態を示す。(D)は、分散液が分離部に導入され、循環流が発生した時の状態を示す。 本発明の好適な分離装置において、分散液保有部内での攪拌等により旋回流が発生した場合の循環流の流れ方向について、接続流路の形態により流れが変化することを説明する際に用いる概念図である。(A)は、分散液導入流路として、直管を用いたときの該流路の形態を示す。(B)及び(C)は、分散液導入流路において、該流路の分散液保有部側先端部が旋回流に対向する形状を有するものを用いたときの該流路の形態を示す。(D)及び(E)は、分散液導入流路において、該流路の分散液保有部側先端部が旋回流と同じ方向に設置された形状を有するものを用いたときの該流路の形態を示す。 重力・浮力を利用した沈降分離方式の分離装置において、分散質の沈降速度以下で分散液を排出すると、分散質は上昇せず、分散媒のみが排出されることを示す概念図である。 本発明の好適な分離装置において、傾斜板による沈降促進効果が傾斜板の投影面積(Lcosγ)に起因することを説明する際に用いる図である。 本発明の好適な分離装置について、分離部の直胴部に複数の傾斜板を設けた形態を示した概念図である。
符号の説明
1 :分散媒供給流路
2 :分散液保有部
3 :攪拌機
4 :分離部
4−a :分離部錐体部
5 :排出流路
6 :接続流路
7−a :接続流路(主に分散液導入流路となる)
7−b :接続流路(主に分散液導出流路となる)
8 :スラリー投入口
9 :分散媒
10 :分散質
11 :ガス
12 :分離界面
13 :分離された分散媒
14 :気泡捕集板
15−a:気泡除去流路
15−b:気泡排出口
16 :気泡及び分散液の流れ方向
17 :分散液の流れ方向
18 :気泡の流れ方向
19 :ガス供給流路
20 :ガス排出流路
21 :傾斜板
22 :L(傾斜板面積)
23 :Lcosγ(投影面積)
24 :γ(傾斜板角度)

Claims (6)

  1. 分散液保有部中の分散液から分散媒を分離する沈降分離装置であって、
    該沈降分離装置は、少なくとも接続流路、分離部及び排出流路を有し、該分離部が該分散液保有部外に存在し、該接続流路は、該分散液保有部上部より分散液保有部内に差込まれることにより分散液に浸漬され
    該分離部は、該接続流路との接続部よりも断面積の大きい部位を持つ錐体部を有するものであり、
    該接続流路は、分散液を分離部へ導くための分散液導入流路と、分散液が分散液保有部中に戻るための分散液導出流路との少なくとも2本の流路を有し、
    該接続流路の分離部への接続位置は、該分離部錐体部低端であり、
    該排出流路の分離部への接続位置は、該分離部に錐体部しかない場合は分離部の上部、又は、該分離部が更に直胴部を有する場合は直胴部上面若しくは側面であることを特徴とする沈降分離装置。
  2. 前記沈降分離装置は、更に気泡除去するための構造を有し、
    該気泡除去するための構造は、前記分散液導入流路に気泡除去流路が接続された構造、又は、前記分散液導入流路及び/若しくは分散液導出流路に気泡捕集板と気泡排出口とが設けられた構造であることを特徴とする請求項に記載の沈降分離装置。
  3. 前記沈降分離装置は、分離部内に傾斜板を設置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の沈降分離装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の沈降分離装置を備えてなることを特徴とする分離システム。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の沈降分離装置を使用することを特徴とする分散液から分散媒を分離する方法。
  6. 前記方法は、カルボン酸エステル化反応に使用した固体触媒と反応液とを分離することを特徴とする請求項5に記載の分散液から分散媒を分離する方法
JP2004325455A 2003-12-22 2004-11-09 分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法 Expired - Fee Related JP4437436B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004325455A JP4437436B2 (ja) 2003-12-22 2004-11-09 分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003425694 2003-12-22
JP2004325455A JP4437436B2 (ja) 2003-12-22 2004-11-09 分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005205396A JP2005205396A (ja) 2005-08-04
JP4437436B2 true JP4437436B2 (ja) 2010-03-24

Family

ID=34913953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004325455A Expired - Fee Related JP4437436B2 (ja) 2003-12-22 2004-11-09 分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4437436B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2010074051A1 (ja) * 2008-12-26 2012-06-21 株式会社日本触媒 粒子分級装置、それを備えた分級システム及び粒子の分級方法
JP5281884B2 (ja) * 2008-12-26 2013-09-04 セイコーエプソン株式会社 電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法
JP5640493B2 (ja) * 2009-07-01 2014-12-17 三菱レイヨン株式会社 分離ユニット、分離装置、分離方法およびα,β−不飽和カルボン酸の製造方法
WO2021199529A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 昭和電工マテリアルズ株式会社 細胞培養装置及び培養方法

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5235903B2 (ja) * 1974-04-13 1977-09-12
JPS517562A (en) * 1974-07-09 1976-01-21 Daikin Ind Ltd Fujuseikotairyushiofukumu ekitainokakuhanyoki
GB1540065A (en) * 1975-07-10 1979-02-07 Ici Ltd Aerobic biological treatment of wastewater
US5733776A (en) * 1993-11-09 1998-03-31 Genzyme Corporation Continuous settling apparatus
JP3090584B2 (ja) * 1994-07-22 2000-09-25 千代田化工建設株式会社 接触反応方法及び装置
JP3708579B2 (ja) * 1995-04-25 2005-10-19 三菱電機株式会社 包括固定化担体の分離装置
JP3765598B2 (ja) * 1995-07-20 2006-04-12 富士写真フイルム株式会社 連続乳化槽及び連続乳化方法
JP3874442B2 (ja) * 1996-03-18 2007-01-31 旭化成エンジニアリング株式会社 液成分の連続分離装置
JP3874470B2 (ja) * 1996-09-24 2007-01-31 旭化成エンジニアリング株式会社 メタクリル酸メチル製造装置
JP3942713B2 (ja) * 1996-12-16 2007-07-11 株式会社日本触媒 カルボン酸エステル類の製造方法および樹脂分離槽
US5821270A (en) * 1997-05-02 1998-10-13 Exxon Research And Engineering Company Slurry hydrocarbon synthesis process with multistage catalyst rejuvenation
KR100374785B1 (ko) * 2000-06-29 2003-03-04 학교법인 포항공과대학교 액상 산화 반응기
JP2002119978A (ja) * 2000-10-13 2002-04-23 Toyobo Co Ltd 連続水処理装置および方法
JP2002301474A (ja) * 2001-04-06 2002-10-15 Toyobo Co Ltd 水処理装置および方法
JP2002336878A (ja) * 2001-05-15 2002-11-26 Toyobo Co Ltd 連続水処理装置および方法
JP2002336879A (ja) * 2001-05-15 2002-11-26 Toyobo Co Ltd 連続水処理装置および方法
JP4165399B2 (ja) * 2001-10-24 2008-10-15 ダイキン工業株式会社 触媒回収方法および触媒回収システム、ならびにパーフルオロアルキルアイオダイドテロマーの製造方法および製造装置
JP2004255291A (ja) * 2003-02-26 2004-09-16 Toray Ind Inc 攪拌装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005205396A (ja) 2005-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8715512B2 (en) Systems and methods for liquid separation
US5462669A (en) Method for dissolved air floatation and similar gas-liquid contacting operations
KR102115106B1 (ko) 중공사막 모듈 및 그 세정 방법
JP5989643B2 (ja) 固体分離装置を含む浄化装置及び廃水浄化方法
TW307693B (ja)
CN105036296A (zh) 一种附加微通道湍流促进器的浸没式平板膜生物反应器
JP2014231033A (ja) 平膜型膜分離装置の膜面洗浄方法、および、平膜型膜分離装置
EP2495033A1 (en) Membrane module, membrane unit, and membrane separation device
JP4437436B2 (ja) 分離装置、それを備えた分離システム及び分離装置の使用方法
CN1630619A (zh) 分离悬浮体特别是污水处理的方法和实施该方法的设备
JP2008246357A (ja) 膜分離方法および装置
JP2003251386A (ja) 膜分離装置
CN106582460B (zh) 一种气升式外循环反应器装置及工艺
CN201529494U (zh) 淹没式平板膜组件
EP0695719A1 (en) Method and apparatus for dissolved air flotation and similar gas-liquid contacting operations
JP3874442B2 (ja) 液成分の連続分離装置
JP4823925B2 (ja) 下水処理装置
JP3874470B2 (ja) メタクリル酸メチル製造装置
JP5605802B2 (ja) 平膜ろ過装置及び平膜ろ過方法
CA2635792A1 (en) Produced water treatment system
CN210367068U (zh) 一种压裂返排液及油田采出水固液分离系统
CN212655505U (zh) 一种用于处理油田采出水的溶气气浮系统
JP2012096125A (ja) 膜分離式活性汚泥処理装置及びその方法
KR100949718B1 (ko) 물질분리제를 이용한 오염수 정화장치 및 이를 이용한정화방법
CN211546178U (zh) 一种油田化学驱驱油采出水用的多级环流浮选柱及处理系统

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080729

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091130

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20091130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091222

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130115

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130115

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140115

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees