JP4436477B2 - 濾過膜モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流入口と、流出口と、束状の毛管濾過膜を収容した膜区分室とを設けたフィルタハウジングを有する毛管濾過膜モジュールであって、前記濾過膜は膜モジュールの両端部において膜ホルダーに収容され、前記膜区分室は膜透過液を送り出す為に流出口と連結された排出導管が設けられていることを特徴とする濾過膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる濾過膜モジュールは、出願人のオランダ特許出願NL-A-1、004、489に開示されている。同出願に記載の排出パイプという形式の排出導管は、膜壁を透過した液体(膜透過液)の膜モジュールの流出口への移送を大幅に改善している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの管は、毛管膜に損傷を与えたり締め付けたりすることのある、極めて強いローカルフローを、完全にではないが、大幅に抑制する。モジュールの横断方向において、膜モジュールに嵌入される毛管膜の数を減らして、排出パイプの占有面積を大きくしている。毛管膜の数が減る結果として、膜モジュールの濾過能力が低下する。
【0004】
本発明の目的は、上記の問題を解消することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する為に、本発明は、排出導管が、膜区分室に設けられると共に、毛管濾過膜の長手方向略全長に渡って延びる少なくとも一つの排出薄膜により構成されることを特徴とする濾過膜モジュールを提供することである。
この排出薄膜は、同等の排出容量でありながら、従来の排出パイプの幅より遥かに薄く作ることができるため、より多くの毛管濾過膜を膜モジュールに収容することができる。本発明による膜モジュールは更に、排出パイプを使う時よりも、膜透過液が排出薄膜を通って流出口へ一層均一に流れるという利点がある。このようにして、毛管濾過膜にかかる力が、うまく分散される。更に、定期的に液体を逆流させることにより行われる膜壁から汚濁を除去する為の流水洗浄の際、濾過膜全長に渡って、洗浄流水がより効果的且つ均一に流れる。これにより、毛管濾過膜の膜壁の洗浄が強化され、寿命が延びると共に、濾過能力の維持がより確実となる。多くの場合、洗浄効率を高める為に、洗浄流水に化学薬品が添加される。排出薄膜を適用した結果、化学薬品の膜モジュールからの除去が明らかに改善される。
【0006】
最大排出容量を得る為に、排出薄膜の長さは膜区分室と略同等にしてある。これは又、膜区分室内における膜透過液と洗浄液の均一な流れを助長する。
好適な実施の形態において、排出薄膜は波形になっており、その波形部は、毛管濾過膜の長手方向に対して略垂直に延びる。この波形部は、膜透過液の排出と洗浄液の供給に役立つ。毛管濾過膜は、前記波形部の空間には詰められていないので、波形部の内部は、流出口まで障害の無い膜透過液や洗浄液の流路となる。
【0007】
毛管濾過膜に向かう、排出薄膜の波形部の頂部は、略平面状にするのが好適である。こうすることにより、毛管濾過膜は、排出薄膜の略平坦部に当接する。使用時に、排出薄膜から毛管濾過膜に加わる力は、このようにより大きな面領域に分散されることにより、毛管濾過膜が損傷を受けたり締め付けられるのを抑止することができる。
【0008】
別の可能な態様において、排出薄膜は二重壁構造になっており、壁部には膜区分室に開口する流出口が少なくとも一つ設けられている。こうすると、膜透過液は、流出口から排出薄膜の壁の間の空間に流れ込んだ後、前記空間を通って流出口へと送られる。壁は実質的に平坦なので、壁から毛管濾過膜に加わる力は大きな面領域に分散されて、好適に分散される。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について添付図を参照しながら説明する。図中の同一又は類似の構成部分は同じ参照番号で示す。
図1は、濾過膜モジュールの縦断面図であり、
図2及び図3はそれぞれ、波形の排出薄膜と二重壁構造の薄膜を有する本発明の濾過膜モジュールの横断面図であり、
図4a及び図4bはそれぞれ、波形の排出薄膜の側面と横断面を表す部分図であり、
図5a及び図5bはそれぞれ、二重壁構造の排出薄膜の側面と横断面を表す部分図である。
【0010】
図1に示す毛管濾過膜モジュールの実施の形態は、束状の毛管濾過膜21を収容した膜区分室20が設けられたフィルタハウジング10を有して成る。実際には、前記毛管濾過膜は通常、精密濾過膜や限外濾過膜が使用される。膜区分室20の中央には、排出区分室40が設けられる。更に、パイプを設けて送り導管50を形成し、濾過対象液を膜モジュールのもう一方の側に供給する。これは、異なる膜モジュールを圧力容器内に直列に配列する際に有利である。膜モジュールの両端部において、毛管濾過膜21は、膜ホルダー30に収容される。膜ホルダは、毛管濾過膜21、フィルタハウジング10、排出区分室40及び送り導管50内の空間を遮断する。図に示す実施の形態において、膜ホルダ30は膜モジュールに充填された樹脂で構成され、その樹脂の中に毛管濾過膜21が埋め込まれている。毛管濾過膜の少なくとも一方の端部は、開口しなければならない。
【0011】
図2及び図3は、図1の膜モジュールの可能な横断面を表す。図はそれぞれ、排出薄膜61、62を示す。4つの送り導管50で囲まれた空間が、排出区分室40を形成する。図から分かるように、排出薄膜は、排出区分室40で形成される流出口に向かうと共に、毛管濾過膜21と略並行に延びる。排出薄膜の長さは、同図には示されていないが、膜区分室20と略同じである。
【0012】
図2の排出薄膜61を、それぞれ図4a及び図4bの側面図と断面図に示す。排出薄膜61は、波形に形成されており、一つの波が毛管濾過膜21の長手方向に対して略垂直に延びている。断面図では、波形部は略方形波のパターンを有する。波形部の、毛管濾過膜との接触部は、平坦になっている。使用時に、排出薄膜が毛管濾過膜に加える力は、排出薄膜の大半の面積に分散される。その為、毛管濾過膜が損傷を受けたり、締め付けられたりする恐れは非常に少なくなる。この危険性を更に低くする為に、波形の角を丸めている。
【0013】
図3に示す排出薄膜62を、それぞれ図5a及び図5bの側面図と断面図に示す。前記排出薄膜は二重壁構造であり、壁には膜区分室に開口した流出口が設けられている。この排出薄膜62において、膜区分室内の毛管濾過膜21も又、毛管濾過膜21が損傷したり締め付けられるのを防ぐ為に、排出薄膜62の略平坦部に当接している。排出薄膜62の壁の間には、この壁を合体させる為の連結部材(図示せず)が設けられる。
【0014】
流出口の分布と形状は、図5に示すものと異なってもよい。図示した実施の形態において、流出口で構成される排出薄膜の排出面積を増大する為に、例えば膜モジュールの外側に向かって流出口を大きくしたり、その数を増やしたりすることができる。毛管濾過膜の数は、膜モジュールの外側程多くなるので、それぞれの側の排出薄膜の排出面積を大きくとるのが有効であろう。
【0015】
本実施の形態に示す送り導管・排出薄膜装置全体は、例えば複数のリングの周りに従来の固定手段を使って、個々の導管の間に溝が形成されるように導管を形成するパイプを固定する等により、製造時に組み立てることができる。そうすれば、排出薄膜は、上記の溝の中に挟み込むように挿入することができる。しかし、膜区分室から排出区分室へ溝を介して連通する開口を形成することが必要である。波形状の排出薄膜61の場合、連通口は波形部の内面によって形成される。二重壁構造の排出薄膜62の場合、連通口は排出薄膜の二つの壁の間の空間と壁内の流出口とにより形成される。
【0016】
尚、溝を通る連通口ができさえすれば、完全に平坦な排出薄膜1枚を使用することも可能である。平板状の薄膜の場合、排出薄膜上か、或はパイプの溝の内側における送り導管の上の要所にスペーサをうまく配置することにより、この連通口が形成される。
中央排出区分室を設ける必要はない。前記排出区分室は、例えば膜区分室内に分散させた複数のパイプで構成してもよいし、或は環状に配置したり、膜区分室の外側に配置してもよい。同様に、送り導管を設ける必要もない。
【0017】
使用時には、濾過対象液は、毛管濾過膜21内に流れ込む。排出薄膜61又は62を介して、濾過対象液は膜壁を透過して膜透過液となり、排出区分室40に流れ込んで、そこから更に送られる。排出薄膜61の場合、膜透過液は波形部を通って送られる。排出薄膜62の場合、膜透過液は流出口と二重の薄膜壁の間の空間を通って送られる。こうして、膜透過液は、強いローカルフローを起こす事無く、毛管濾過膜21から排出薄膜の方へと非常に均一に流れてゆく。
【0018】
膜壁の定期洗浄は、液体を逆流させて行なう。今度は洗浄流水を、排出区分室から送り込んで、排出薄膜を介して膜区分室へと送り込む。洗浄液は、毛管濾過膜の膜壁の外側から内側へと透過して、膜壁内及び/又は上に残留する汚濁を運び去る。排出薄膜を使用する場合、毛管濾過膜の全長に渡って均一に洗浄流水が供給され、強いローカルフローは生じない。
【0019】
フィルタハウジング、排出区分室、送り導管、薄膜等は、濾過対象液に対して不活性な材料で作るべきである。例えば、PVCやナイロン等のプラスチックが例として挙げられるが、金属やその他の材料を使うこともできる。しかし一般には、適切なプラスチックを使用するのが好適である。と言うのは、この材料は、加工が楽で価格も低いからである。
【0020】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。濾過膜モジュールは、本発明の範囲及び請求項の範囲内において、様々な実施の形態で実施することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上詳述したように、排出管を膜区分室に設けると共に、毛管濾過膜の長手方向略全長に渡って延びる少なくとも一つの排出薄膜で構成することによって、本発明の濾過膜モジュールでは、より多くの毛管濾過膜を膜モジュールに収容でき、膜透過液が流出口へ向かって排出薄膜を均一に流れて、毛管濾過膜にかかる力が均一となる。この結果、膜モジュールの濾過能力が向上し、且つ寿命が延びると共に濾過能力の維持が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濾過膜モジュールの縦断面図である。
【図2】波形の排出薄膜を有する本発明の濾過膜モジュールの横断面図である。
【図3】二重壁構造の薄膜を有する本発明の濾過膜モジュールの横断面図である。
【図4】図4a及び図4bはそれぞれ、波形の排出薄膜の側面と横断面を表す部分図である。
【図5】図5a及び図5bはそれぞれ、二重壁構造の排出薄膜の側面と横断面を表す部分図である。
【符号の説明】
10 フィルタハウジング
20 膜区分室
21 毛管濾過膜
30 膜ホルダ
40 排出区分室
50 送り導管
61 排出薄膜
62 排出薄膜
Claims (5)
- 流入口と、流出口と、束状の毛管濾過膜を収容した膜区分室とが設けられたフィルタハウジングを含んで成る毛管濾過膜モジュールであって、前記濾過膜は膜モジュールの両端部で膜ホルダに収容され、上記膜区分室は流出口と連結して膜透過液を送る排出通路が設けられた膜モジュールにおいて、
前記膜区分室内に、少なくとも一つの排出薄膜が毛管濾過膜の長手方向に沿って設けられ、この排出薄膜により前記排出通路が構成されていることを特徴とする毛管濾過膜モジュール。 - 請求項1に記載の毛管濾過膜モジュールにおいて、排出薄膜の長さは、膜区分室の長さと略等しいことを特徴とする。
- 請求項1又は2に記載の毛管濾過膜モジュールにおいて、排出薄膜は波形状に設けられ、波形部は毛管濾過膜の長手方向に対して略垂直に延びることを特徴とする。
- 請求項3に記載の毛管濾過膜モジュールにおいて、毛管濾過膜の方に向かう排出薄膜の波形部の上部は、平坦であることを特徴とする。
- 請求項1又は2に記載の毛管濾過膜モジュールにおいて、排出薄膜は二重壁構造であり、壁には膜区分室に向かって開口する流出開口部が少なくとも一つ設けられていることを特徴とする。
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1999
- 1999-02-24 JP JP09531999A patent/JP4436477B2/ja not_active Expired - Lifetime
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