しかしながら、従来の光半導体素子収納用パッケージにおいては、配線導体のうち外部電気回路基板の回路導体と接続される導出部分が、長方形状の絶縁基体の長辺側の中央部に位置することから、外部電気回路基板に接続するときに、接続部分を中心として回転するようにしてずれる位置ずれ(いわゆるθ方向のずれ)を生じ易いという問題があった。
また、上記位置ずれが生じた場合、光半導体素子の外部電気回路基板に対する位置ずれに起因する受光精度の劣化、光半導体素子収納用パッケージと外部電気回路基板の回路導体との間の電気的な接続信頼性の劣化、電気信号の授受の精度の劣化等の不具合を誘発するおそれがあるため、位置ずれが生じているか否かを検査する必要がある。
特に、近年、フォトダイオード,ラインセンサ,イメージセンサ等の光半導体素子は、画像の精細化および光検知の高精度化の要求に応じて大変精細に形成されており、光半導体装置の外部電気回路基板に対するわずかな位置ずれ(とくにθ方向のずれ)によっても大きな影響が現れるようになってきた。
本発明は、上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、外部電気回路基板に接続するときの位置ずれが抑制されるとともに、たとえ位置ずれが生じた場合でも、その位置ずれを容易に検知することが可能で、画像の精細化や光検知の高精度化の要求にも対応することができる高信頼性の光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置を提供することである。
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上面の中央部に光半導体素子の搭載部を有する長方形状の絶縁基体と、前記搭載部の内側から外側に導出された配線導体と、前記絶縁基体の各短辺側の下面の外縁部に、少なくとも一方の短辺側に複数個が配置されるように形成された導体パッドと、前記絶縁基体の短辺側の上面の外周部に、前記導体パッドと対向するように形成された、幅が前記導体パッドの幅よりも狭い導体パターンとを具備していることを特徴とするものである。
また、本発明の光半導体素子収納用パッケージは、好ましくは、前記導体パターンは、前記絶縁基体の上面の端から中央に向かって伸びる線状のパターンであることを特徴とするものである。
またさらに、本発明の光半導体素子収納用パッケージは、好ましくは、前記絶縁基体の上面の外周部に、前記搭載部を取り囲むように長方形状の遮光性の枠体が取着されていることを特徴とするものである。
そして、本発明の光半導体装置は、上記構成の光半導体素子収納用パッケージと、前記搭載部に搭載されて前記配線導体に電気的に接続された光半導体素子と、前記絶縁基体の上面に取着されて前記搭載部を封止する透光性蓋体とを具備しており、前記配線導体は外部電気回路基板の回路導体に電気的に接続されているとともに、前記導体パッドは前記外部電気回路基板の補助導体に接合材を介して接合されていることを特徴とするものである。
また、本発明の光半導体装置は、好ましくは、前記導体パッドは、前記補助導体の一端部に接合されていることを特徴とするものである。
本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、上面の中央部に光半導体素子の搭載部を有する長方形状の絶縁基体と、その搭載部の内側から外側に導出された配線導体と、絶縁基体の各短辺側の下面の外縁部に、少なくとも一方の短辺側に複数個が配置されるように形成された導体パッドと、絶縁基体の短辺側の上面の外周部に、導体パッドと対向するように形成された、幅が導体パッドの幅よりも狭い導体パターンとを具備していることより、外部電気回路基板に接続するときに、導体パッドについても、例えば外部電気回路基板の一部に補助導体を設けて、これにはんだ等を介して接続させるようにすることにより、絶縁基体の外部電気回路基板に対するセルフアライメントの効果(溶融したはんだの表面張力の作用により、導体パッドを対応する接続用の導体に正対させようとする効果)を得ることができ、光半導体素子収納用パッケージの外部電気回路基板に対する位置ずれ、特にθ方向のずれを有効に防止することができる。また、導体パターンの幅を導体パッドの幅よりも狭くしておくことにより、導体パターンの外部電気回路基板(補助導体等)に対する位置ずれを検知し易くすることができる。
また、導体パッドは、少なくとも一方の短辺側に複数個が配置されている(つまり少なくとも3点で外部電気回路基板に接続される)ので、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板に接続したときに、熱応力等の応力が大きく作用する傾向のある短辺側で、光半導体素子収納用パッケージの接続を効果的に補強することができ、外部電気回路基板に対する接続の信頼性を向上させることができる。
さらに、絶縁基体の上面に形成された導体パターンについて、外部電気回路基板の所定位置(例えば上述の補助導体)との位置関係を見ることにより、光半導体素子収納用パッケージが外部電気回路基板に対して位置ずれを生じることなく接続されているか否かを容易に検知することができる。
またさらに、導体パターンと補助導体との相対的な位置ずれ量を測定することにより、光半導体素子収納用パッケージの外部電気回路基板に対する位置ずれの量を容易に検知することができる。これにより、外部電気回路基板に対する実装の作業性を向上させることができる。
この場合、位置ずれ量と電気テスト(画像検査)の良・不良判定とを予め測定、関係付けしておくことにより、電気テスト(画像検査)をしなくとも、導体パターンと補助導体とのずれ量を測定することで、光半導体素子収納用パッケージの外部電気回路基板に対する接続の良品・不良品の判別・検査をすることができる。また、不良品の再生作業におけるずれの修正の基準となり、修正を精度よく確実に行なうことができ、歩留まりを向上させることができる。
さらにまた、本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、好ましくは、導体パターンは、絶縁基体の上面の端から中央に向かって伸びる線状のパターンであることから、絶縁基体(光半導体素子収納用パッケージ)の外部電気回路基板との位置ずれの有無、および位置ずれの量を目視や画像認識においてより明瞭に検知することができる。
例えば、外部電気回路基板の補助導体も線状とし、位置ずれが無い場合には導体パターンと補助導体とが一直線上に並ぶように設定しておくと、位置ずれをより容易に検知することができる。
またさらに、本発明の光半導体素子収納用パッケージは、導体パターンの幅を導体パッドの幅よりも狭くしておくことにより、導体パターンの外部電気回路基板(補助導体等)に対する位置ずれをより検知し易くすることができる。つまり相対的に狭いパターンがずれる(所定位置から移動する)ため、移動(ずれ)が生じたときに移動量(ずれ量)が幅に対して相対的に大きくなり、ずれの有無や量がわかり易くなる。
さらに、例えば、電気テスト(画像検査)の良品規格内で、光半導体装置の外部電気回路基板に対するずれの限界値を算出し、その算出値に相当する分の値を導体パターンと補助導体の寸法関係に当てはめ、導体パターンが外部電気回路基板の補助導体の幅内に位置する場合をずれ規格内と設定することにより、位置ずれについての良・不良の判別を精度よく行うことができる。これにより、実装の作業性を向上させることができる。
また、たとえ位置ずれが生じたとしても、その位置の修正を精度よく行うことができ、さらに歩留まりを向上させることができる。
さらにまた、本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、絶縁基体の上面の外周部に、搭載部を取り囲むように長方形状の遮光性の枠体を取着させておくことにより、絶縁基体への光半導体素子の接着および光半導体素子の電極と絶縁基体の配線導体間の金属ワイヤー等による結線の後に枠体を形成することができ、光半導体装置の小型化を図ることができる。
またさらに、本発明の光半導体装置は、上記構成の光半導体素子収納用パッケージと、搭載部に搭載されて配線導体に電気的に接続された光半導体素子と、絶縁基体の上面に取着されて搭載部を封止する透光性蓋体とを具備しており、配線導体は外部電気回路基板の回路導体に電気的に接続されているとともに、導体パッドを前記外部電気回路基板の補助導体に接合材を介して接合するようにしたものであり、これによって、外部電気回路基板に、θ方向のずれ等の位置ずれを生じるのが有効に防止され、実装信頼性の高い光半導体装置を得ることができる。
また、たとえ位置ずれが生じた場合でも、その位置ずれを容易にかつ確実に検知することができるため、実装の作業性に優れた光半導体装置となる。
また、本発明の光半導体装置によれば、導体パッドを補助導体の一端部に接合することにより、はんだ等の導電性接続材による導体パッドと補助導体との接続の有効な長さ(はんだ等が接合される長さ)を長く取ることができ、セルフアライメント効果をさらに有効に発揮させることができる。そのため、光半導体装置のθ方向のずれに対し特に有効に作用し、外部電気回路基板への接続の位置精度をより優れたものとすることができる。
本発明の光半導体装置について、以下、図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本発明の光半導体装置の実施の形態の一例を示す上面図であり、図1(b)は、その断面図、図1(c)は、その下面図を示す。また、図2(a)は、本発明の光半導体装置が外部回路基板への実装の実施の形態を示す上面図であり、図2(b)はその断面図である。なお、図1および図2において、同じ部位には同じ符号を付している。
本発明の光半導体装置15は、光半導体素子3と、光半導体素子3が搭載された絶縁基体1と、絶縁基体1に形成され光半導体素子3と電気的に接続された配線導体2とを主に備える。
光半導体素子3は、平面視において長方形状の外観を有する。この光半導体素子3は、例えば、ラインセンサ,PD(Photodiode Device),イメージセンサ,CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子や、EPROM(Erasable and Programmable ROM)等の受光部を有する半導体素子等である。この光半導体素子3は、上面に受光部が設けられている。また、光半導体素子3は、上面の受光部の周囲に、電源用や信号用等の電極4が設けられている。
絶縁基体1は、上面に光半導体素子3が搭載される搭載部を有する。図1に示した例おいて、絶縁基体1は、長方形の平板状であり、搭載部を取り囲むように遮光性の枠体1aが取着されている。絶縁基体1は、内側に搭載部を有する凹形状のものでもよい。
この絶縁基体1は、例えば、アルミナ質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウムセラミックス,炭化珪素セラミックス,窒化珪素セラミックス,ガラスセラミックス等のセラミックスや、樹脂等から成る。
絶縁基体1が、アルミナ質焼結体から成り、遮光性の枠体1aと一体的に形成されている場合の絶縁基体1の製造方法について説明する。まず、アルミナ,シリカ等の原料粉末を有機溶剤および上面樹脂バインダーとともにシート状に成形して、複数のセラミックグリーンシートを製造する。そして、一部のセラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施し、枠状のセラミックグリーンシートを製造する。その後、枠状のセラミックグリーンシートが上層に位置するようにセラミックグリーンシートを積層し、原料粉末の組成に応じて約1300℃〜1600℃の温度で焼成する。以上により、絶縁基体1が成形される。なお、枠体1aは、板状のアルミナ質焼結体から成る絶縁基体1の上面の外周部に、枠状のアルミナ質焼結体を接合することにより形成してもよい。
接着剤6は、光半導体素子3を絶縁基体1の上面に接合するために用いられる。
配線導体2は、搭載部の内側から外側(図1の例では、枠体1aの内側から外側)に導出するように形成され、光半導体素子3の電極4とボンディングワイヤ8を介して電気的に接続されている。配線導体2は、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料から成り、メタライズ層,めっき層,蒸着層,金属箔層等の形態で絶縁基体1の所定部位に形成される。配線導体2は、例えばタングステンのメタライズ層からなる場合であれば、タングステンの粉末を有機溶剤,樹脂バインダーとともに混練した金属ペーストを、絶縁基体1となるセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等により印刷することにより形成される。また、配線導体2の露出表面に金めっきや錫めっき等のめっき層を被着させておいてもよい。
なお、ボンディングワイヤ8は、その長さを0.3mm〜3.0mmとすることが好ましい。ボンディングワイヤ8の長さが0.3mm未満では、ボンディングワイヤ8が短すぎて十分なループを形成することが困難となり、光半導体素子3の電極4と配線導体2とを確実に接続することが困難となる。また、ボンディングワイヤ8の長さが3.0mmを超えると、ボンディングワイヤ8が長くなりすぎループが不要に高くなる傾向があり、不要なインダクタンスが発生して高周波信号の伝送特性が劣化するおそれがある。
配線導体2は、搭載部の外側に導出された部分が外部電気回路基板11の回路導体12とはんだ等の接続材14を介して電気的に接続され、光半導体素子3の電極と外部電気回路基板11の回路導体12とを電気的に接続する。
配線導体2のうち外部電気回路基板11に接続される部分は、主に絶縁基体1の長辺の中央部に位置する。これは、絶縁基体1と外部電気回路基板11との間で生じる熱応力等の応力が、長方形状の絶縁基体1の長辺方向の両端部で大きくなる傾向があり、これに対応して、配線導体2と回路導体12との接続部分に大きな熱応力が作用しないようにして光半導体素子収納用パッケージ(光半導体装置)の外部電気回路基板11に対する接続の信頼性を確保するためである。
また、絶縁基体1の各短辺側の下端の外縁部には、少なくとも一方の短辺側に複数個が配置されるように、導体パッド10が形成されている。
この構成により、光半導体素子収納用パッケージについて外部電気回路基板11に接続するときに、導体パッド10についても、例えば外部電気回路基板11の一部に補助導体13を設けて、これにはんだ等を介して接続させるようにすることにより、絶縁基体1の外部電気回路基板11に対するセルフアライメントの効果(溶融したはんだの表面張力の作用で、導体パッド10を接続用の導体(上記補助導体13等)に正対させようとする効果)を得ることができ、光半導体素子収納用パッケージの外部電気回路基板11に対する位置ずれ、特にθ方向のずれを有効に防止することができる。
また、導体パッド10は、少なくとも一方の短辺側に複数個が配置されている(つまり少なくとも3点で外部電気回路基板11に接続される)ので、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板11に接続したときに、熱応力等の応力が大きく作用する傾向のある短辺側で、光半導体素子収納用パッケージの接続を効果的に補強することができ、外部電気回路基板11に対する接続の信頼性を効果的に向上させることができる。
導体パッド10は、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料から成り、メタライズ層,めっき層,蒸着層,金属箔層等の形態で絶縁基体1の所定部位に形成される。導体パッド10は、例えばタングステンのメタライズ層からなる場合であれば、タングステンの粉末を有機溶剤,樹脂バインダーとともに混練した金属ペーストを、絶縁基体1となるセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等により印刷することにより形成される。また、導体パッド10の露出表面に金めっきや錫めっき等のめっき層を被着させておいてもよい。
導体パッド10は、絶縁基体1に対する接合の強度の確保や生産性を考慮すれば、配線導体2と同様の金属材料から成るものとすることが好ましい。また、導体パッド10および配線導体2を、金属ペーストを印刷することにより形成する場合、配線導体2および導体パッド10は、印刷用の製版に両方の印刷用のパターンを形成しておき、その製版を用いて同じ金属ペーストを同時に印刷することにより形成することがより好ましい。
この場合、導体パッド10は、各短辺側に1箇所ずつでは、絶縁基体1の長辺側の長さ(大きさ)によっては、微妙な導体パッド10間の接合のずれにより、θ方向のずれを補正しきれないことがあるため、絶縁基体1の位置ずれ、特にθ方向の位置ずれを効果的に防止することができない。また、絶縁基体1の外部電気回路基板11に対する接続を補強する効果も不十分となるおそれがある。
したがって、導体パッド10は、絶縁基体1の少なくとも一方の短辺側に複数個配置する必要がある。
導体パッド10は、各導体パッド10を結ぶ線で囲まれる領域の中央部に、絶縁基体1の中心部(対角線の交差する点)を位置させることが好ましい。
これにより、絶縁基体1を、中心部を軸とする全方位において、導体パッド10と補助導体13等との間のセルフアライメント効果により、より効果的に拘束することができる。そのため、絶縁基体1のθ方向の位置ずれをさらに確実に防止することができる。
導体パッド10は、特に、光半導体素子3がラインセンサ等の細長い形状で絶縁基体1も細長い形状である場合、一方の短辺側に1個、他方の短辺側に2個の合計3個、または、両端辺側に各2個ずつの合計4個であることが好ましい。
短辺側に3個以上形成すると、個々の導体パッド10の幅が細くなるため、個々の導体パッド10によるセルフアライメントの効果が低下するおそれがある。また、印刷用の製版の作製等で手間が増えるため生産性の低下やコストの増加等を招くおそれもある。
なお、補助導体13とは、導体パッド10との接続を目的として外部電気回路基板11に形成された導体、つまり、配線導体2と回路導体12との接続を補強し補助する導体のことである。補助導体13は、光半導体装置15と電気的に接続する必要はないが、配線導体2と回路導体12とを接続するはんだ等の接続材と同様の接続材を介して導体パッド10と接続されるため、回路導体12を形成する導体と同様の導体(銅、金等)で形成される。
また、絶縁基体1の上面の外周部には、導体パッド10と対向するように導体パターン9が形成されている。
導体パターン9について、外部電気回路基板11の所定位置(例えば上述の補助導体13)との位置関係を見ることにより、光半導体素子収納用パッケージが外部電気回路基板11に対して位置ずれを生じることなく接続されているか否かを容易に検知することができる。
また、導体パターン9と補助導体13との相対的な位置ずれ量を測定することにより、光半導体素子収納用パッケージの外部電気回路基板11に対する位置ずれの量を容易に検知することができる。これにより、外部電気回路基板11に対する実装の作業性を向上させることができる。
また、この場合、位置ずれ量と電気テスト(画像検査)の良・不良判定とを予め測定、関係付けしておくことにより、電気テスト(画像検査)をしなくとも、導体パターン9と補助導体13とのずれ量を測定することにより、光半導体素子収納用パッケージの外部電気回路基板11に対する接続の良品・不良品の判別・検査をすることができる。また、不良品の再生作業におけるずれの修正の基準となり、修正を精度よく確実に行なうことができ、歩留まりを向上させることができる。
導体パターン9は、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料から成り、メタライズ層,めっき層,蒸着層,金属箔層等の形態で絶縁基体1の所定部位に形成される。導体パターン9は、例えばタングステンのメタライズ層からなる場合であれば、タングステンの粉末を有機溶剤,樹脂バインダーとともに混練した金属ペーストを、絶縁基体1となるセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等により印刷することにより形成される。また、導体パターン9の露出表面に金めっきや錫めっき等のめっき層を被着させておいてもよい。めっき層を被着させておくと、光を反射し易くなるため導体パターン9の視認性が向上し、位置ずれの検知やその修正をより容易かつ精度よく行なうことができる。
導体パターン9は、絶縁基体1に対する接合の強度の確保や生産性を考慮すれば、配線導体2や導体パッド10と同様の金属材料により形成することが好ましい。また、導体パターン9、導体パッド10および配線導体2を、金属ペーストを印刷することにより形成する場合、配線導体2、導体パターン9および導体パッド10は、印刷用の製版に両方の印刷用のパターンを形成しておき、その製版を用いて同じ金属ペーストを同時に印刷することにより形成することがより好ましい。
また、導体パターン9は、絶縁基体1の上面の端から中央に向かって伸びる線状のパターンであることが好ましい。
これにより、絶縁基体1(光半導体素子収納用パッケージ)の外部電気回路基板11との位置ずれの有無、および位置ずれの量を目視や画像認識においてより明瞭に検知することができる。
例えば、外部電気回路基板11の補助導体13も線状とし、位置ずれが無い場合には導体パターン9と補助導体13とが一直線上に並ぶように設定しておくと、位置ずれをより容易に検知することができる。
また、導体パターン9の幅は導体パッド10の幅よりも狭くしておく。
これにより、導体パターン9の外部電気回路基板11(補助導体13等)に対する位置ずれを検知し易くすることができる。つまり相対的に狭いパターンがずれる(所定位置から移動する)ため、移動(ずれ)が生じたときに移動量(ずれ量)がパターンの幅に対して相対的に大きくなり、ずれの有無や量がわかり易くなる。
また、例えば、電気テスト(画像検査)の良品規格内で、光半導体装置15の外部電気回路基板11に対するずれの限界値を算出し、その算出値に相当する分の値を導体パターン9と補助導体13の寸法関係に当てはめ、導体パターン9が外部電気回路基板11の補助導体13の幅内に位置する場合をずれ規格内と設定することにより、位置ずれについての良・不良の判別を精度よく行うことができる。そのため、実装の作業性を向上させることができる。
また、たとえ位置ずれが生じたとしても、その位置の修正を精度よく行うことができ、さらに歩留まりを向上させることができる。
また、絶縁基体1の上面の外周部には、搭載部を取り囲むように長方形状の遮光性の枠体1aを取着させておくことが好ましい。
これにより、絶縁基体1への光半導体素子3の接着および光半導体素子3の電極4と絶縁基体1の配線導体2間の金属ワイヤー等による結線ののちに枠体1aを形成することができ、光半導体装置15小型化が図れる。
枠体1aは、例えば、上述のように絶縁基体1と同様の材料で形成し、接合剤で絶縁基体1の上面に接合される。接合剤としてはガラスやろう材等を用いることができる。
また、枠体1aは、遮光性であれば、絶縁基体1と異なる材料で形成されたものでもよい。
上述した光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子3を搭載し、光半導体素子3の電極4を配線導体2と電気的に接続した後、絶縁基体1の上面に透光性蓋体5を取着して搭載部1aを封止することにより光半導体装置15が形成される。
この光半導体装置15について、配線導体2を外部電気回路基板11の回路導体12に電気的に接続し、導体パッド10を外部電気回路基板11の補助導体13に接続することにより、外部電気回路基板11と電気的に接続されて実装される。光半導体装置15が実装された外部電気回路基板11は、例えば光学式読み取り装置(バーコードリーダーやスキャナ等)のセンサ部分、撮像部分等に使用される。
上述したように、補助導体13は、例えば回路導体12と同様の導体により形成され、光半導体装置15が外部電気回路基板11の所定位置に正確に搭載されたときに導体パッド10,導体パターン9と対向する部位となる部位に形成される。これにより、θ方向等にずれようとする絶縁基体1は導体パッド10と補助導体13との間のセルフアライメント作用により所定位置に戻され、位置ずれが防止される。
この場合、導体パッド10と補助導体13との間の相対的な位置関係を見るためには、補助導体13は、少なくともその一部が絶縁基体1の外側に延在するようにして形成されている必要がある。
また、光半導体装置15は、導体パッド10を補助導体13の一端部に接合しておくことが好ましい。
これにより、はんだ等の導電性接続材14による導体パッド10と補助導体13との接続の有効な長さ(はんだ等が接合される長さ)を長く取ることができ、セルフアライメント効果をさらに向上させることができる。そのため、光半導体装置のθ方向のずれに対し特に有効に作用し、外部電気回路基板11への接続の位置精度をより優れたものとすることができる。
この効果を十分に得る上には、補助導体13は、導体パッド10と一直線状に連なるような直線状のパターンで、内端部分が導体パッド10と対向するように形成することが好ましい。
蓋体5は、全体若しくは一部が透光性部材から成る。図1,図2に示した光半導体装置15において、蓋体5は、ガラス,石英,サファイア,透明樹脂等の透光性材料を板状に成形したものである。また、図示しないが、絶縁基体1を平板状のものとする場合には、凹形状の蓋体を用いてもよい。この場合には、凹形状の蓋体の一部が透光性部材から成る。また、蓋体5の上面若しくは下面の少なくとも一方に、紫外線を遮断するための光学膜を形成しておいてもよい。
樹脂層7は、例えば、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂,フェノール系樹脂,クレゾール系樹脂等の樹脂接着剤から成る。なお、樹脂層7には、余計な外光を遮断することを目的として、黒色,茶褐色,暗褐色,暗緑色,濃青色等の暗色系の顔料や染料を混入させてもよい。また、樹脂層7は、ガラス等の無機材料から成るものや、無機材料から成るフィラー粉末を樹脂接着剤に添加してもよい。
また、樹脂層7が透明な樹脂接着剤から成る場合、樹脂層7の屈折率を透明な蓋体5の屈折率と等しく設定しておくことが好ましい。これにより、樹脂層7と蓋体5との界面における光の反射や散乱等を抑制することができ、光半導体素子3に余計な反射光や散乱光が入射することを抑制することが可能となる。また、樹脂層7が透明な樹脂接着剤から成る場合、その内部に含まれる気泡の体積が30体積%以下であることが好ましい。気泡の体積が30体積%を超えると、樹脂層7の接合力が低下するとともに、気泡によって光半導体素子3に余計な反射光や散乱光が入射する可能性がある。樹脂層7に含まれる気泡の割合を小さくするためには、減圧室や真空装置内で樹脂層7を取り扱う方法や、予め樹脂層7に含まれる気泡を真空脱泡する方法等がある。
また、蓋体5の外周部に遮光性の樹脂膜を貼り付けておいてもよい。このような構成により、半導体素子3に余計な外光が入射されることを抑えることができる。