JP4434643B2 - 20sおよび26sプロテアソームの阻害剤を識別する方法 - Google Patents

20sおよび26sプロテアソームの阻害剤を識別する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、殺菌・殺カビ剤(fungicides)およびまた20Sおよび26Sプロテアソーム(proteasomes)の阻害剤を識別する方法、20Sプロテアソームを単離する方法、20Sプロテアソームを殺菌・殺カビ剤の識別で用いることそして26Sおよび/または20Sプロテアソームの阻害剤を殺菌・殺カビ剤として用いることに関する。
【0002】
農業分野でかなりの損害を毎年もたらす望まれない菌・カビの増殖は例えば殺菌・殺カビ剤の使用などで防除可能である。殺菌・殺カビ剤が示す作用、これらのコストそしてとりわけこれらが生態学的に健全であることに関連して殺菌・殺カビ剤の需要が絶えず増大して来ている。従って、効力があって生態学的に健全な新規な殺菌・殺カビ剤になり得る新規な物質または新規な種類の物質の要求が存在する。一般的には、そのような新規な先導的構造物の探求は温室試験で行われるのが通常である。しかしながら、そのような試験は労力集約的で高価である。従って、温室で試験可能な物質の数は制限される。そのような試験の代替法は、「高処理選別(high−throughput screening)」(HTS)方法を用いることにある。これは、多数の個々の物質をこれらが細胞、個々の遺伝子産物または遺伝子(gene)に対して示す効果に関して自動化した方法で試験することを伴う。特定の物質がある効果を示すことを確認した時点で、それらを通常の選別方法で試験してもよくそして適宜更に進展させてもよい。
【0003】
理想的な殺菌・殺カビ剤は、例えば、菌・カビが示す病原性(pathogenicity)の発現で決定的な役割を果たす遺伝子産物を阻害する物質である。そのような殺菌・殺カビ剤の一例は、菌・カビのメラニン生合成を抑制することでアプレソリア(appressoria)(接着器官)が完全な状態で形成されることがないようにする活性のある化合物であるカルプロパミド(carpropamid)である。しかしながら、菌・カビの中でそのような役割を果たすことが知られている遺伝子産物の数は非常に僅かのみである。加うるに、対応する生合成経路を抑制する結果として病原性を失わせることにより標的細胞の栄養素要求(auxotrophism)をもたらす殺菌・殺カビ剤も知られている。
【0004】
他の重要な出発点は、必須細胞過程(cellular processes)または必須蛋白質活性で中心的な役割を果たすポリペプチドもしくはポリペプチド複合体である。ここでは、酵素反応の抑制を強調するが、しかしながら、蛋白質の相互作用または複雑な蛋白質機構の機能的相互作用を抑制することも可能である。
【0005】
細胞過程の中心にあるそのような複雑な「蛋白質機構(protein machinery)」の一例は26Sプロテアソームである。26Sプロテアソームの生物学的機能には複数の機能が含まれ、とりわけ、折り畳み不良(misfolded)および組み立て不良(misassembled)蛋白質およびペプチドの分解(degradation)、応力反応の調節(例えば転写因子の分解などによる)、またはシクリン(cyclins)の分解による細胞サイクル制御が含まれる。細胞の免疫反応(immune response)では、ペプチドが処理をそれらが次にMHCI複合体によって他の表面に提示され得るような様式で受ける。26Sプロテアソームの触媒作用中心が20Sプロテアソームである。この20Sプロテアソーム自身はいろいろなペプチダーゼ活性を示し、このようなペプチダーゼ活性が20Sプロテアソームが示す酵素活性の基になっており、その結果として、20Sプロテアソームは前記酵素活性に影響を与える物質の特に興味の持たれる標的になる。
【0006】
プロテアソームがインビボで蛋白質分解活性を示すには標的の蛋白質がユビキチン化(ubiquitination)を受ける必要があり、それによってATPが消費される。これに関連して、ユビキチンが標的蛋白質に伝達されることによって標的蛋白質が分解を受ける。次に、そのユビキチネン化された(ubiquinated)蛋白質がプロテアソームの所に移送され、そこでそれが分解を受けそしてユビキチンが再利用される。
【0007】
S.セレビシエ(S.Cerevisiae)に含まれるそれを除いて、20Sプロテアソームが有する蛋白質の全部が細胞増殖に必要であることが知られている。そのような複合体は複数の異なる蛋白質分解活性(proteolytic activity)、例えばペプチジル−グルタミルペプチド加水分解(PGPH)活性、トリプシン(tryptic)活性およびキモトリプシン(chymotryptic)活性などを含んで成る。変異分析(mutational)により、キモトリプシン活性がそのような複合体の最も重要な活性であることが分かっている。20Sプロテアソームを非相同的に発現させるのは以前には不可能であったが、活性のある20Sプロテアソームを酵母から変性なしに精製したことは既に記述されている。
【0008】
20Sまたは26Sプロテアソームの用語「酵素活性」を本明細書で用いる場合、これは、20Sまたは26Sプロテアソームが示すいろいろな酵素活性の中の少なくとも1つを指す。従って、「酵素活性」を示す20Sまたは26Sプロテアソームは、それでも、天然に存在する酵素反応の中の少なくとも1つを実行し得る。
【0009】
【従来の技術】
真核生物(eukaryotic)の26Sプロテアソームは各場合とも1種類の蛋白質分解(proteolytic)と2種類の調節複合体(regulatory complexes)で構成されている。20Sプロテアソームは、異なる7種類のαサブユニットと異なる7種類のβサブユニットで構成されており、これらのサブユニットは既にいろいろな有機体からクローン化されかつ配列決定されている。パン屋の酵母(S.セレビシエ)に由来する20Sプロテアソームの分子量は約700kDである。真核生物に由来するプロテアソームの精製も同様にいろいろな出版物に既に記述されている(例えば特許文献1;特許文献2)。最後に、また、プロテアソームを可能な最も最良の様式で精製しようとする努力によって、S.セレビシエに由来する20Sプロテアソームの構造の解像ももたらされた(特許文献1、非特許文献1)。
【0010】
20Sプロテアソームが好ましい(preferring)分枝アミノ酸鎖および小型の中性アミノ酸としてキモトリプシン様、トリプシン様、PGPHそして複数の蛋白質分解活性を示すことが非特許文献2に記述されている。そのような蛋白質分解活性はいろいろな誘導条件(induction conditions)によって向上し得る。それらには、例えばプロテアソームを55℃に加熱すること、またはSDSを添加することが含まれる。その上、20Sプロテアソームが示す蛋白質分解活性を検出する時に用いるに適したいろいろな物質、例えばSuc−Leu−Leu−Val−Tyr−AMC、Z−Leu−Leu−Arg−AMCおよびZ−Leu−Leu−Glu−2NA[ここで、SucはN−スクシニルであり、AMCは7−アミノメチルクマリンであり、Zはカルボベンジルオキシでありそして2NAは2−ナフチルアミンである]なども非特許文献3に記述されている。
【0011】
公に入手することができるデータベース、例えばMIPS(「Munich information centre for protein sequences(蛋白質配列に関するMunich情報センター)」)またはSGD(「saccharomyces genome database(サッカロミセスゲノムデータベース)」)に、いくつかの例外を伴って本質的に26Sプロテアソームのあらゆるサブユニットが記述されている。
【0012】
また、プロテアソームの酵素活性をインビトロで可逆的もしくは非可逆的に抑制するいろいろな阻害剤が存在することも公知である。このようにプロテアソーム阻害剤であるカルパイン阻害剤1(calpain inhibitor 1)がβ−アミロイドペプチドの分泌に対して示す作用も試験された(非特許文献4を参照)。
【0013】
ラクタシスチン(lactacystin)がストレプトミセス属の代謝物(metabolite)として非特許文献5に記述されており、それは、マウスの神経芽腫細胞(neuroblastoma)において細胞サイクル阻害剤(cell cycle inhibitor)として働くことでニューライト増殖(neurite growth)の導入をもたらす。このような阻害剤の細胞標的が20Sプロテアソームである。
【0014】
菌・カビの代謝物であるエピポリチオジオキソピペラジン(グリオトキシン)が非特許文献6に記述されており、それはとりわけ哺乳動物細胞における抗原処理を抑制する。その著者が示すことができたように、グリオトキシンは20Sプロテアソームをインビトロで阻害する非競合阻害剤である。
【0015】
いろいろなペプチジル化合物がヒト20Sプロテアソームに対して示す阻害作用が非特許文献7に記述されている。この出版物には、更に、前記物質が200μMの濃度の時には菌・カビ細胞(S.セレビシエ)の増殖に全く効果を示さないことも記述されている。薬理学的に高い効力を示すプロテアソーム阻害剤、例えばMG−132(Z−Leu−Leu−Leu−CHO)などが酵母細胞の増殖速度に対して30℃で示す効果はあるとしても僅かのみであることが非特許文献8に示されており、それは非特許文献8と一致している。
【0016】
プロテアソームの阻害剤を識別する細胞検定システムが非特許文献9に記述されており、そこには、そのような阻害剤をアルツハイマー病またはパーキンソン病の治療で用いることができることが示されている。その場合、標識を付けた蛋白質が不安定になるような様式でユビキチンに修飾を遺伝的に受けさせると蛋白質の半減期が短くなる。レポーター遺伝子(reporter gene)を基にしてある阻害剤(inhibit)が蛋白質の分解を防止するか否かを測定することができる。
【0017】
プロテアソーム阻害剤を人のいろいろな障害を治療する目的で用いることが特許文献3に記述されている。前記阻害剤が示す作用の出発点は26Sプロテアソームが示す免疫調節(immunomodulating)活性であることがそこに述べられている。
【0018】
このように、プロテアソームは、今までは、ヒト有機体のいろいろな障害を治療するための標的蛋白質として記述されてきた。また、活性化合物用のプロテアソームを菌・カビから入手することができるか否かそして活性化合物を用いてプロテアソームを阻害または修飾することができるか否かそしてまたそのような活性化合物をインビボで用いることができるか否か、即ち殺菌・殺カビ剤として用いることができるか否かは、いずれも今までは研究されておらずかつ詳述されていなかった。ヒトプロテアソームの阻害剤を示した文献は非特許文献7のみであるが、そこに記述された阻害剤は濃度が200μMの時には酵母細胞に対して全く阻害作用を示さない。その上、薬理学的に高い効果を示すプロテアソーム阻害剤が酵母細胞の増殖速度に対して効果を示すとしても僅かのみであることも非特許文献8に示されている。
【0019】
従って、従来技術で明らかになった事項は、ヒトプロテアソームの阻害剤が存在するとしてもそのような阻害剤は菌・カビに対しては全く作用を示さないことのみである。このように、菌・カビのプロテアソームはそのような化合物による阻害作用を受けないと思われている。それにも拘らず、例えば作用部位が異なることで公知の殺菌・殺カビ剤に対する耐性の発生が防止されるように作用部位および機構が新しい新規な殺菌・殺カビ剤を提供しかつより有効またはより特異的な殺菌・殺カビ剤、従ってまた環境により適合し得る殺菌・殺カビ剤を開発することができれば、これは望ましいことである。
【0020】
【特許文献1】
WO 98/42829 A1。
【0021】
【特許文献2】
EP 0 345 750 A2。
【0022】
【特許文献3】
WO 00/33654 A1。
【0023】
【非特許文献1】
Groll他(1997)、「Structure of the 20S proteasome from yeast at 2.4Å resolution」、Nature 386、463−471。
【0024】
【非特許文献2】
Coux他(1998)、「Enzymes catalyzing ubiquitination and proteolytic processing of the p105 precursor of nuclear factor kappaB1」、J.Biol.Chem.273(15)、8820−8828。
【0025】
【非特許文献3】
McCormack他(1998)、Biochemistry 37、7792−7800。
【0026】
【非特許文献4】
Klafky他(1995)、Neuroscience Letters 201、29−32。
【0027】
【非特許文献5】
Fenteany他(1995)、Science、268、726−731。
【0028】
【非特許文献6】
Kroll他(1999)、Chem.Biol.6、889−698。
【0029】
【非特許文献7】
Mellgren(1997)、J.Biol.Chem.272(47)、29899−29903。
【0030】
【非特許文献8】
LeeおよびGoldberg(1998)、「Proteasome inihibitors cause induction of Heat shock proteins and trehalose,which together confer thermotolerance in Saccharomyces cerevisiae」、Molecular and Cellular Biology 18、30−38。
【0031】
【非特許文献9】
Stack他(2000)、Nature Biotechnology18、1298−1302。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、菌・カビから得られて殺菌・殺カビ剤を識別する時に用いるに適した新規な標的(target)を提供することにあった。
【0033】
驚くべきことに、Mellgrenが見いだした事項(1997)そしてLeeおよびGoldbergが見いだした事項(1998)が存在するにも拘らず、本発明の範囲内で、今までは新規な殺菌・殺カビ剤の開発に関して不適切であることが知られていた菌・カビの26Sもしくは20Sプロテアソームが特異的阻害剤の有効な標的蛋白質であることをここに見いだした。その上、そのような阻害剤を適切な方法で識別することができそして前記方法で見いだした阻害剤をまた驚くべきことに殺菌・殺カビ剤として用いることができることも見いだした。また、人もしくは動物のプロテアソームの阻害剤であることが既に知られている阻害剤も殺菌・殺カビ剤として使用可能であるか或は人または動物における菌・カビ感染を治療するための薬剤を調製する時に使用可能であることも見いだした。
【0034】
従って、本発明の範囲内で、活性化合物が菌・カビの26Sもしくは20Sプロテアソームをインビトロで阻害し得ることとそのような活性化合物を用いた処理によって前記活性化合物による処理を受けた菌・カビ有機体が損傷を受けて死滅し得ることを見いだした。従って、菌・カビの26S/20Sプロテアソームの阻害剤を植物保護で抗真菌剤(antimycotics)、特にまた殺菌・殺カビ剤として用いることができる。本発明では、例えば、S.セレビシエの20Sプロテアソームの阻害(実施例1)をU.メイジス(U.maydis)およびB.シネレ(B.cinerea)(これらは両方とも植物病原性菌・カビである)の20Sプロテアソームの阻害(実施例2)と同様に有効であるとして示す。本発明に従う検定方法で識別した物質そして公知のプロテアソーム阻害剤を用いて合成媒体(synthetic media)および植物に存在するそのような菌・カビを処理すると結果として前記菌・カビの死亡がもたらされる。
【0035】
従って、本発明は、26Sおよび/または20Sプロテアソーム、好適には菌・カビの20Sプロテアソームを殺菌・殺カビ剤の識別で用いることに関する。
【0036】
用語「殺菌・殺カビ剤1種または2種以上」を本明細書の以下で用いる場合、これに、植物の病原になる菌・カビの防除(作物保護用途)で用いられる物質および人もしくは動物の病原になる菌・カビの防除(抗真菌剤)で用いられる物質の両方を包含させる。
【0037】
「阻害剤」は、20Sまたはより大型の26Sポリペプチド複合体に結合するか或はそれらの活性に影響を与える小型の有機化学的分子、ペプチドまたは抗体であってもよい。その上、阻害剤は、ある分子(これは本発明のポリペプチドと結合することでそれの生物学的活性に影響を与える)と結合している小型の有機化学的分子、ペプチドまたは抗体(antibody)であってもよい。阻害剤は天然の基質および配位子またはそれらの構造的もしくは機能的類似物であってもよい。しかしながら、好適には、本明細書で用いる如き用語「阻害剤」は、天然の基質も配位子も構成しない分子も包含する。本明細書で用いる如き用語「26Sおよび/または20Sプロテアソームの阻害剤」は、当該プロテアソームが有する1種以上の酵素活性を特異的に抑制し得る阻害剤を指す。
【0038】
いろいろな菌・カビ種、例えば以下に挙げる菌・カビ種などに由来する20Sプロテアソームを用いて殺菌・殺カビ剤を識別することができる。従って、例えば、殺菌・殺カビ剤を識別する本発明の検定方法(実施例1、図1)でS.セレビシエの20Sプロテアソームを用いることができるばかりでなく植物病原性菌・カビであるU.メイジス(実施例2、図2)およびB.シネレ(図3)に由来する20Sプロテアソームを用いることも可能である。
【0039】
26S/20Sプロテアソームの阻害剤の識別で用いるに適した方法を用いて識別した化合物は、多種多様な菌・カビ、例えば人病原性菌・カビまたは植物病原性菌・カビなどに作用する。それらには、例えば、植物に損傷を与える下記の菌・カビの範囲に入る菌・カビが含まれるが、しかしながら、このリストは必ずしも完全ではない:
プラスモジオフォロミセテス(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、キトリジオミセテス(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子のう菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)、例えば
ピチウム(Pythium)種、例えば苗立ち枯れ病(Pythium ultimum)など、フイトフトラ(Phytophthora)種、例えば疫病(Phytophthora infestans)など、プソイドペロノスポラ(Pseudoperonospora)種、例えばべと病(Pseudoperonospora humuliまたはPseudoperonospora cubensis)など、プラスモパラ(Plasmopara)種、例えばべと病(Plasmopara viticola)など、ブレミア(Bremia)種、例えばブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)など、ツユカビ(Peronospora)種、例えばべと病(Peronospora pisiまたはP. brassicae)など、エリシフエ(Erysiphe)種、例えばうどんこ病(Erysiphe graminis)など、スファエロテカ(Sphaerotheca)種、例えばうどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)など、ポドスフエラ(Podosphaera)種、例えばうどんこ病(Podosphaera leucotricha)など、ベンチユリア(Venturia)種、例えば黒星病(Venturia inaequalis)など、ピレノホラ(Pyrenophora)種、例えば網斑病(Pyrenophora teresまたはP. graminea);(分生胞子器型: Drechslera、同義: Helminthosporium)など、コクリオボルス(Cochliobolus)種、例えば斑点病(Cochliobolus sativus);(分生胞子器型: Drechslera、同義: Helminthosporium)など、ウロミセス(Uromyces)種、例えばウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)など、プシニア(Puccinia)種、例えば赤さび病(Puccinia recondita)など、スクレロチニア(Sclerotinia)種、例えばスクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)など、ふすべ菌属(Tilletia)種、例えば網なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)など、黒穂病(Ustilago)種、例えば裸黒穂病(Ustilago nudaまたはUstilago avenae)など、ペリキユラリア(Pellicularia)種、例えば紋枯病(Pellicularia sasakii)など、ピリキユラリア(Pyricularia)種、例えばいもち病(Pyricularia oryzae)など、フーザリウム(Fusarium)種、例えばフーザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)など、灰色かび属(Botrytis)種、セプトリア(Septoria)種、例えばふ枯病(Septoria nodorum)など、レプトスフエリア(Leptosphaeria)種、例えばレプトスフエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)など、セルコスポラ(Cercospora)種、例えばセルコスポラ・カネセンス(Cercospora canescens)など、アルテルナリア(Alternaria)種、例えば黒斑病(Alternaria brassicae)など、またはプソイドセルコスポレラ(Pseudocercosporella)種、例えばプソイドセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)など。
【0040】
特に興味の持たれる他の菌・カビは、例えばB.シネレ、マグノポルテ・グリセ(Magnoporthe grisea)、コクリオブルス・ヘテロストロフス(Cochliobulus heterostrophus)、ネクトリア・ヘマトコッカス(Nectria hematococcus)およびフイトフトラ種、プラスモジオフォロミセテス、卵菌類、キトリジオミセテス、接合菌類、子のう菌類、担子菌類および不完全菌類である。
【0041】
菌・カビの20Sプロテアソームの阻害剤は、また、人もしくは動物の病原になる菌・カビに対しても使用可能であり、その例を完全ではないが以下に挙げる:
皮膚糸状菌、例えば白癬菌種、小胞子菌種、有毛表皮糸状菌またはケラトミセス・アジェロイ(Keratomyces ajelloi)など[これらは例えばAthlete’s foot(足白癬)の原因になる]、
酵母、例えばカンジダ・アルビカンス[これはカンジダルオエソファギチス(candidal oesophagitis)および皮膚炎の原因になる]、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)またはクリプトコックス・ネオフォルマンスなど[これらは例えば肺性クリプトコックス症およびまたトルロシス(torulosis)の原因になり得る]、
糸状菌、例えばアスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、黄色アスペルギルス、黒色アスペルギルス[これらは例えば気管支肺アスペルギルス症または菌・カビ敗血症の原因になる]、ケカビ種、アブシジア種またはクモノスカビ種[これらは例えばジゴミコセス(脈管内真菌症)の原因になる]、リノスポリジウム・シーベリ(Rhinosporidium seeberi)[これは例えば慢性肉芽腫性咽頭炎および気管支炎の原因になる]、マズレラ・ミゼトマチス(Madurella myzetomatis)[これは例えば皮下ミゼトマス(myzetomas)の原因になる]、ヒストプラスマ・カプスラツム[これは例えば網内細胞の細胞真菌症(cytomycosis)およびダーリング病の原因になる]、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)[これは例えば肺性コクシジオイデス症および敗血症の原因になる]、パラコクシジオイデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)[これは南アメリカブラストミセス症の原因になる]、ブラストミセス・デルマティティディス[これは例えばギルトクリス病および北アメリカブラストミセス症の原因になる]、ロボ真菌[これは例えばケロイドブラストミセス症およびロボ病の原因になる]、そしてスポロトリックス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)[これは例えばスポロトリックス症(肉芽腫性皮膚真菌症)の原因になる]など。
【0042】
このように、例えばS.セレビシエまたはU.メイジスなどに由来する菌・カビの20Sプロテアソームを用いて確認した殺菌・殺カビ剤活性化合物は、また、他のいろいろな菌・カビ種とも相互作用する可能性があり、そのような菌・カビに存在するいろいろな26Sまたは20Sプロテアソームに対して示す相互作用の強さは必ずしも常に等しいとは限らない。このことは、とりわけ、そのようなポリペプチド複合体に作用する物質が示す選択性を観察することで説明される。
【0043】
プロテアソームの活性を検定する方法は既にいろいろ知られており、そしてまたある程度ではあるが商業的に入手可能(例えばCalbiochemから「20S Proteasome Assay Kit、SDS−Activated」)であり、これは、少量のプロテアソームの活性を試験する目的で使用可能であるが、これは相対的に時間を消費する、即ちピペットで移す工程を数回用いる必要がある。そのような公知の活性検定方法を用いて例えば本発明の殺菌・殺カビ剤を識別してもよい。しかしながら、26Sおよび/または20Sプロテアソームの阻害剤の識別を可能にするHTS可能方法はまだ知られていない。個々の化合物の検定またはそれらが示す阻害作用の検定で使用可能な小規模の公知方法は、それらの複雑さが理由で、HTSまたはUHTSシステムで物質のライブラリー全体を系統的に充分な信頼性を伴わせて試験しようとする時には適切でない。しかしながら、そのようなシステムは他の方法に比べて特に魅力的である、と言うのは、非常に多数の潜在的阻害剤を短時間に良好な再現性を伴わせて試験することができるからである。
【0044】
これは特に20Sプロテアソームの場合に興味が持たれる、と言うのは、その場合には1つの酵素が複数の酵素活性を組み合わせて持つが潜在的阻害剤による阻害をまた各場合とも具体的に観察することができるからである。HTSまたはUHTSシステムを用いるとそれに要する時間を顕著に短縮することができかつ望ましい特性を有する阻害剤を識別する確率が顕著に高くなり得る。そのような種々の酵素活性を分析することができかつそのような個々の活性に特異的な基質を基にしてそれらを互いから区別することができ[McCormack他(1998)、Biochemistry 37、7792−7800]、このことは、阻害剤の特異性および作用に影響を与えようとする時に特に重要であり、従って、また、菌・カビまたは個々の菌・カビ属または種に損傷を与えるが他の有機体、例えば植物、昆虫または哺乳動物などには損傷を与えない阻害剤または殺菌・殺カビ剤を見つけだそうとする時にも特に重要である。ヒト(ヒトプロテアソーム)に関しては既にいろいろな特異的阻害剤が知られている。しかしながら、また、複数のプロテアソーム活性に影響を与える阻害剤も存在する。
【0045】
従って、本発明の目的は、また、プロテアソームの特異的阻害剤を適宜大規模に識別することを可能にしかつ適宜後でポリペプチド複合体の個々の酵素活性に分類分けすることを可能にするHTSおよびUHTS方法になり易いインビトロ方法を提供することにあった。このようにして、適切な蛋白質分解活性を抑制することによって例えば高等真核生物に対する毒性を低くすることが可能になる。加うるに、個々の生物学的活性を分別することが可能になり、それに相応してそれらを具体的に修飾することが可能になる。このことは、例えば、治療の目標でない活性を抑制することなく細胞毒性効果を低くする薬剤にとって重要である。
【0046】
【課題を解決するための手段】
我々は、ここに、HTS可能インビトロ検定(HTS−capable in−vitro assays)を基にして検定を受けさせた多数の化合物、即ち「候補化合物」の中から菌・カビのプロテアソームの阻害剤を選び出し(filter)そして適宜それらを20Sプロテアソームの特異的蛋白質分解活性に関連付けることを可能にする方法を見いだした。
【0047】
これに関連して、本発明の方法は、この方法全体の中の2つの改良が基になっている。1番目として、本発明を用いると、プロテアソーム抽出物の調製を効率良く行うことが可能になると同時にかなり迅速かつ簡潔に行うことが可能になり、そして2番目として、検定用成分の安定性が向上し、その結果として、活性検定の実施に要する工程の数もまた少なくなった。このような迅速かつ効率良いプロテアソーム精製は、高温のインキュベーション工程を導入したことが基になっており、これを以下により詳細に記述する。DMSOの濃度を非常に高い値にまで高くすると、驚くべきことに、背景に対するシグナルの比率が極めて高くなり、それと同時に活性検定で用いる必要がある工程の数を少なくすることができ、それによって、反応成分の安定性を向上させることが可能になった。要するDMSOの最適な濃度を測定した。
【0048】
この上に述べた活性のある20Sプロテアソーム抽出物を調製する方法は以前には記述されていなかった。26S/20Sプロテアソーム、特に菌・カビのプロテアソームの阻害剤を識別する前記HTS可能方法も同様に以前には記述されていなかった。
【0049】
従って、本発明は、また、20Sプロテアソームを真核生物細胞から単離/精製、特に20Sプロテアソームを菌・カビ細胞から単離/精製する方法にも関し、この方法は特に酵母細胞またはU.メイジスまたはB.シネレの細胞からの単離/精製で用いるに適する。
【0050】
本発明は、更に、特別に適合させた阻害検定法を用いて26S/20Sプロテアソーム、例えば哺乳動物、特に人の26S/20Sプロテアソーム、そして特に菌・カビの26S/20Sプロテアソームなどの阻害剤を識別するHTS/UHTS可能方法にも関する。菌・カビの26S/20Sプロテアソームの阻害剤を識別する方法そして殺菌・殺カビ剤を識別する方法の使用が特に好適である。
【0051】
当該阻害剤がまた殺菌・殺カビ剤としても使用可能であるには、その識別した化合物がプロテアソームをインビトロで阻害することに加えてまたインビボでも活性を示す、即ち例えば農業などで殺菌・殺カビ剤として実際に用いることができることが重要である。インビトロ検定で数多くの阻害剤を見つけだしたとしても、いろいろな理由で、それ自身が必ずしも目標有機体に損傷を与えることができるとは限らない。このように、この上に記述した如く、従来の技術では、ヒトプロテアソームの公知阻害剤は菌・カビでは作用を示さないと認められていた。
【0052】
従って、本発明の目的は、また、菌・カビの20Sプロテアソームの阻害剤を殺菌・殺カビ剤として用いることを可能にすることにあった。
【0053】
本発明の範囲内で、例えば、以下に記述する本発明の方法を基にして識別したプロテアソーム阻害剤ばかりでなくまた例えば既に知られているヒトプロテアソーム阻害剤が予測に反して有効な殺菌・殺カビ剤、即ち阻害活性をインビトロで示すばかりでなくまたインビボでも菌・カビのプロテアソームの機能を妨害しかつ当該菌・カビを害するか或は死亡させる目的でも使用可能な物質であることを立証する。
【0054】
これに関連して、菌・カビの20Sプロテアソームの阻害剤を識別する時、以下に記述する本発明の方法を必ずしも用いる必要はない。むしろ、候補化合物が菌・カビの20Sプロテアソームに対して示す阻害作用を評価することができる限り20Sプロテアソームの活性を測定する目的で用いられるあらゆる公知方法が使用可能である。
【0055】
従って、本発明は、また、20Sプロテアソーム、好適には菌・カビの20Sプロテアソームを候補化合物に接触させそして次に20Sプロテアソームの酵素活性を抑制する化合物1種または2種以上を選択することによって殺菌・殺カビ剤を識別する方法にも関する。20Sプロテアソームの酵素活性を候補分子の存在有り無しで測定し、プロテアソームの酵素活性を候補化合物存在なしの対照に比較して低くする候補化合物、即ちプロテアソーム阻害剤である化合物を選択するような様式で本方法を実施するのが好適である。
【0056】
用語「プロテアソーム阻害剤」を本明細書で用いる場合、これは、上述した酵素活性の中の少なくとも1つまたは適宜複数を直接もしくは間接的に抑制する物質を指す。そのような阻害剤は好適には特異的である、即ちそれはプロテアソームの阻害に関連しない異なる作用を引き起こすに要する阻害剤濃度より低い濃度でプロテアソームの活性を抑制する。そのような濃度は、好適には、指定外の作用を引き起こすに要する化合物濃度に比べて2倍低い、特に好適には5倍低い、非常に特に好適には少なくとも10倍または20倍低い濃度である。
【0057】
用語「プロテアソーム活性」を本明細書で用いる場合、上述した20Sもしくは26Sプロテアソームの酵素活性の中の1つ以上を指す。
【0058】
本発明の範囲内で、26Sおよび/または20Sプロテアソームの阻害剤を識別する目的で、S.セレビシエ、U.メイジスおよびB.シネレのそれぞれに由来する20Sプロテアソームを例として用いる。しかしながら、また、S.セレビシエ、U.メイジスおよびB.シネレに由来する20Sプロテアソームの代わりに、他の菌・カビまたは菌・カビでない他の有機体に由来する20Sプロテアソームを用いて阻害剤を識別することも可能である。このことはヒトプロテアソームの阻害剤がまた殺菌・殺カビ剤としても働き得ることから明らかである。
【0059】
本分野の技術者に公知のいろいろな技術を用いて細胞を破裂させ(disrupted)てもよい。また、公知方法[例えばGroll他(1997)、「Structure of the 20S proteasome from yeast at 2.4Å resolution」、Nature 386、463−471;EP 345 750 A2;WO 98/42829;JP 05292964 A; JP 06022759 A]を用いて、その後のプロテアソーム精製/単離を達成することも同様に可能である。用語「単離」、「濃縮」または「精製」を本明細書で用いる場合、これは、20Sプロテアソームを細胞または組織の他の蛋白質もしくは他の巨大分子からそれらが示す酵素活性またはそれの抑制を具体的に測定することが可能な度合で取り出すことを意味する。20Sプロテアソーム含有組成物は、プロテアソームの含有量に関して、宿主細胞から調製した調製物に比較して好適には少なくとも10倍、特に好適には少なくとも100倍濃縮されている組成物である。公知の方法は相対的に複雑であり、数多くの工程を含んで成る(例えばWO 98/42829を参照)。特に本発明の方法でプロテアソームを用いる場合、20Sプロテアソームの酵素活性およびそれの抑制の測定を可能にする従来技術の複雑な方法を用いて調製された20Sプロテアソームが示す活性と少なくとも同じ活性を示す20Sプロテアソームを短時間に回収するのが望ましい。
【0060】
本発明の本方法では、本分野の技術者に公知の方法を用いて、酵母の細胞を後で用いる検定用緩衝液(例えば50mMのTris−HCl、pH7.5、10mMのEDTA)の中で好適には機械的に破裂させる(例えばFrench Pressまたは高圧ホモジェナイザーを用いて)。本発明の方法で用いるに適した酵母の例にはまたベーキングで用いられる如き商業的に入手可能な酵母(パン屋の酵母)も含まれる。次に、そのプロテアソームを可溶画分の状態にして、それを不溶成分および細胞の屑から遠心分離で分離してもよいが、本発明の方法の実施ではそのような工程を必ずしも実施する必要はない。次に、その懸濁液または可溶画分を約50℃から70℃、好適には55℃から65℃で約20から75分間インキュベートする。特に約60℃で約60分間のインキュベーションが適切である。ここでは、そのような温度にすると当該蛋白質がまだ存在する他の蛋白質とは対照的に安定であることを見いだしたことを利用する。従って、温度に不安定な蛋白質が本発明のそのような精製工程中に沈澱を起こし、そしてそれらを温度に安定な20S複合体から遠心分離で除去することができる。従って、細胞の成分がもはや変性を受けなくなりかつ沈澱した時点でインキュベーションを止めてもよい。プロテアソームを他の成分から分離する目的で加熱工程を用いることは従来技術には記述されていない。しかしながら、それによって、プロテアソームの精製をほんの一次段階で迅速かつ簡潔に非常に効率良く行うことが可能になり、そして沈澱した細胞成分を除去した後、そのような方法で精製を受けさせたプロテアソームを活性もしくは阻害検定で直接用いることができる。その後、微生物の増殖が起こらないように例えばアジ化ナトリウムをその上澄み液に添加してもよい。その上、本発明の方法を用いると、完全な26Sプロテアソームに含まれる蛋白分解活性領域は利用不能であることから阻害剤の識別で用いるにはあまり適さない26Sプロテアソームではなく20Sプロテアソームを好適に得ることが確保される。阻害剤を識別するHTS可能方法で用いるに充分な量のプロテアソームをそのような簡潔な様式で30g(湿った状態の重量)の酵母から得ることができる。
【0061】
従って、本発明は20Sプロテアソーム、好適には菌・カビの20Sプロテアソームを真核生物の細胞から精製する方法に関し、この方法は、
a)普通の方法を用いて細胞、好適には菌・カビの細胞を破裂させ、
b)生じた細胞懸濁液を50℃−70℃に温度に敏感な成分が沈澱するまで加熱し、そして
c)不溶成分を遠心分離で除去することでプロテアソームを回収する、
ことを特徴とする。
【0062】
この20Sプロテアソームを精製する方法はいろいろな有機体で使用可能である。このように、本発明の範囲内で、本発明の方法を用いて例えばS.セレビシエ、U.メイジスおよびB.シネレなどの20Sプロテアソームを高い活性を伴わせて得ることができることを立証する。本方法を他の真核生物、特に菌・カビの細胞で用いることも同様に可能である。
【0063】
20Sプロテアソームが示す酵素活性を検定する方法そしてそれの活性の抑制を検定する方法は文献から公知である。そのような検定システムでは、例えば酵素による分解によって結果として蛍光測定または比色測定で測定可能な基の遊離をもたらす個々のプロテアソーム用基質を用いる。その用いる方法は、個々の成分(例えば反応用緩衝液、活性化用緩衝液、20Sプロテアソーム、基質溶液、阻害剤)を段階的に添加した後に蛍光の変化または吸光度の変化を測定することが基になっている[例えば「20S Proteasome Assay Kit,SDS−Activated from Calbiochem」、Cat.No.539158を参照]。これに関連して、そのような基質は実験条件下で安定性が低いことを考慮に入れる必要がある。ペプチド基質、例えばSuc−LLVY−AMCなどは溶解度が低くかつ安定性が低いことから相対的に不安定であり、従って、例えば測定する時に導入して測定する必要があるサンプルの数が極めて多いHTS/UHTSシステムなどでは不可避な如く測定が数時間継続する場合にはほとんど適さない。従って、そのような基質またはこれらが基になった活性検定で用いるペプチド基質が無傷なままであることを確保しようとすると、今までのところ、それに適するとしても短時間の単一実験を行う場合のみであった。従って、基質であるSuc−LLVY−AMCは溶解度が低く(DMSO1ml当たり50mg)かつ光に敏感であると記述される。典型的な実験アプローチ(Calbiochemの「20S Proteasome AssayKit,SDS−Activated」)は下記の基本的工程の実施が基になっている:最初に反応用緩衝液を導入し、2番目の工程でピペットを用いて活性化用緩衝液(例えばSDSを含有する)を添加して両方の成分を混ぜ合わせる。3番目の工程で前記溶液に20Sプロテアソームを加える。4番目の工程で、当該基質を添加して反応を開始させる。5番目の工程で阻害剤を添加するが、この最後の2工程を場合によりまた逆の順で実施することも可能である。
【0064】
そのような種類の活性検定がHTS/UHTS方法として使用可能であるには、ピペットで移す数多くの工程を少なくする必要があるであろう。この目的で、サンプルの調製そして数多くの候補化合物の測定に要する時間が通常は長いことを考慮に入れて、その場合にピペットで移した個々の成分の混合物が比較的長時間に渡って安定なままである必要があるであろう。これに関連して、その必要な背景に対するシグナルの比率を維持するには、プロテアソームの酵素活性ばかりでなく基質のそれも悪化することがないようにすべきである。従って、本発明の目的は、公知の検定システムを更に進展させてそれをHTS/UHTS方法として用いることができるようにすることにあった。
【0065】
このような問題の解決法は、DMSO(ジメチルスルホキサイド)を反応混合物に入れて用いるか或は反応混合物に入れるDMSOの濃度を高くすることを基にした解決法である。例えば、DMSOの濃度を高くするにつれてプロテアソームが示すキモトリプシン活性(chymotryptic activity)が低下する[図5(B)]が、DMSOの濃度を高くすると基質の安定性が向上することを見いだした。最後に、DMSOの濃度を2から10%(体積/体積)にすると最適なキモトリプシン活性を維持しながら基質の最適な安定性が得られ、特に3から7%の濃度にするのが望ましい。特に、DMSOの濃度を4.5から6%にするのが適切である[図5(A)および(B)]。DMSOの濃度を5%にすると、プロテアソームの活性は72時間に渡っても安定なままであるが、従来技術に記述されているようにするとほんの1時間のみである(図6)。
【0066】
その結果として、本発明の方法を用いるとプロテアソームの活性が悪化することなく基質の安定性が顕著に向上する。本発明に従うと、活性検定もしくは阻害検定の実施で利用出来る時間が顕著に長くなることに加えて、また、必要な溶液を前以て既に一緒にしておいてそれらを比較的長時間に渡って貯蔵することも可能になり(図6)、それによって、ピペットで移す必要がある段階の数を公知方法のピペットで移す工程が5工程(この上を参照)ではなく3工程にまで少なくすることが可能になる。例えば、候補化合物を最初に適切な緩衝液の中に入れ、そして2番目の工程で、DMSOを適切な量で入れておきかつ可能ならばまた活性化剤であるSDSも既に入れておいた基質溶液を加える。3番目の工程で、20Sプロテアソームの溶液を添加して反応を開始させる。また、個々の成分を添加する順を変えることも可能である。
【0067】
本発明の方法で用いる温度は非常に幅広い範囲に渡って多様であり得る。15℃から80℃、特に25℃から50℃の温度、または単に室温を用いてもよい。特に37℃の温度の使用が好適である。
【0068】
本発明の方法では、また、20Sプロテアソームの活性化剤を用いることも可能であり、それを反応混合物に入れておく。好適な活性化剤は、Coux他(1995)、Ann.Rev.Biochem.65、801−847に記述されている活性化剤であり、特に活性化剤であるSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)およびPA28α[Knowlton他(1997)、Nature 390、639−643]を強調する。
【0069】
従って、本発明は、また、20Sプロテアソーム阻害検定で候補化合物の検定を2から10%(体積/体積)のDMSOの存在下で行うことで20Sプロテアソーム、特に菌・カビの20Sプロテアソームの阻害剤を識別する方法にも関する。蛍光または吸光度を候補化合物の存在有り無しで比較することで候補化合物が20Sプロテアソームの酵素活性を抑制する度合を監視してもよい。
【0070】
本発明は、また、この上に記述しかつ以下に記述するように殺菌・殺カビ剤を識別した後に殺菌・殺カビ活性を測定するインビボ検定を行ってもよい方法にも関する。このような検定は、好適には、見つけだした阻害剤を少なくとも1種の菌・カビ種に接触させた後に前記菌・カビの損傷を試験することを含んで成る。
【0071】
これに関連して、用語「20Sプロテアソーム阻害検定」を本明細書で用いる場合、これは、特に、20Sプロテアソームの基質から発蛍光基または比色測定可能基が遊離して来る結果として蛍光もしくは吸光が起こることまたは前記遊離を当該活性の阻害剤が抑制することを基にして20Sプロテアソームの酵素活性を測定することを指す。特に、阻害検定が不安定な基質が基になっていて、それがDMSOによって安定になり得る場合に、本発明の方法を適用すべきである。
【0072】
自然な文脈において、20Sプロテアソームは保護されていないペプチドに加水分解を起こさせることから、本発明の方法でまた保護されていない基質を用いることも可能である。しかしながら、保護されている基質に比べて安定性が更に低い可能性があることを考慮に入れる必要がある。蛍光団であるAMCに加えて、また、他の蛍光団または発色団、例えば蛍光団である2−ナフチルアミド(2NA)、4−メトキシ−2−ナフチルアミドまたは6−アミノキノリンなどを用いることも可能である。比色測定可能基の例はp−ニトロアニリド(pNA)、p−フェニルアゾアニリドまたは3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシアニリドである。プロテアソームが有するいろいろな酵素活性のための公知基質は、とりわけ、蛍光測定または比色測定で監視可能な分解を起こす下記のペプチド基質である。そのような基質の例は、キモトリプシン活性測定用のZ−Leu−Leu−Leu−AMC(Z−LLL−AMC)、ペプチジル−グルタミルペプチド加水分解活性測定用のZ−Leu−Leu−Glu−AMC(Z−LLE−AMC)、キモトリプシン活性測定用のZ−Val−Lys−Met−AMC(Z−VKM−AMC)、キモトリプシン活性測定用のSuc−Leu−Tyr−AMC(Suc−LY−AMC)、PGPHもしくはキモトリプシン様活性測定用のZ−Leu−Leu−Glu−2NA(N−(N−カルボベンジルオキシカルボニル−ロイシル−ロイシル−アルギニル)−2−ナフチルアミン)もしくはSuc−Leu−Leu−Val−Tyr−AMC(Suc−LLVY−AMC)であり、これらは全部商業的に入手可能である(またWO 00/23614を参照)。使用可能な基質は、また、いろいろな保護基を持たせた前記基質、特にSuc−LLVY−AMCである。頻繁に用いられる保護基の例はベンジルオキシカルボニル(また「Z」とも呼ぶ、この上を参照)およびN−t−ブトキシカルボニル(t−boc)である。
【0073】
従って、本発明は、特に、上述した群の基質から選択した少なくとも1種の基質を用いる方法にも関し、下記の群の基質:Z−LLL−AMC、Z−LLE−AMC、Z−VKM−AMC、Suc−LY−AMCおよび特にSuc−LLVY−AMCから選択した基質の使用が好適である。
【0074】
加うるに、競合する共有阻害剤(covalent and competitive inhibitors)、例えばクラスト−ラクタシスチンβ−ラクトン、エポキソマイシン(プロテアソームのキモトリプシン様、トリプシン様およびペプチジルグルタミルペプチド加水分解活性を抑制)、Z−Leu−Leu−Leu−B(OH)2、Z−Leu−Leu−Leu−CHO(MG−132、ユビキチン経路による分解を抑制)、Z−Leu−Leu−Nva−CHO(MG−115、カルボベンゾキシ−L−ロイシル−L−ロイシル−L−ノルバリナール、特にプロテアソームのキモトリプシン様活性を抑制)、Z−lleu−Glu(OtBu)Ala−Leu−CHO、Z−Leu−Leu−Phe−CHO(キモトリプシン様活性を抑制)、Ac−Leu−Leu−Nle−CHO(MG−101、Ac−Leu−Leu−ノルロイシナール、キモトリプシン様およびペプチターゼ活性を抑制)またはAc−Leu−Leu−Met−CHO(ペプチダーゼ活性を抑制)なども公知であり、それらも全部同様に商業的に入手可能である[また、Mellgren(1997):「Specificities of Cell Permeant Peptidyl Inhibitors for Proteinase Activities of μ−Calpain and the 20S Proteasome」、J.Biol.Chem.272、29899−29903;Bogyo他(1998):「Substrate binding and sequence preference of the proteasome revealed by active−site−directed affinity probes」、Chem.Biol.5、307−320も参照]。このように、本発明の方法の検定でまたそのような公知の阻害剤を用いることも可能である(実施例3を参照)。菌・カビの細胞を基にしたさらなる検定において、驚くべきことに、そのような公知の阻害剤もまた殺菌・殺カビ活性を示すことを見いだし、従って、それらもまた殺菌・殺カビ剤として使用可能であるか或は菌・カビによる感染を処置する薬剤を調製する時に使用可能である。
【0075】
原則として、上述した公知の基質またはこれらの開裂生成物を基にしてプロテアソームが示す個々の酵素活性または複数の活性を蛍光測定もしくは比色測定で測定することができ、そしてその活性の阻害を上述した公知阻害剤のいずれかを用いて試験することができる。この目的で、目標活性に応じて相当する基質および適宜阻害剤を選択することができる。その後、本発明の方法を用いて見つけだした阻害剤または特定の基質を1種以上の特定の活性を示す阻害剤として直接識別することができる。
【0076】
しかしながら、そのような基質の選択は測定結果の評価を可能にする選択でなければならない、即ち阻害を明瞭に検出することができるべきである。使用可能な統計学的パラメーターの一例は背景に対するシグナルの比率である。また、選別方法または阻害検定の品質を決定する適切なパラメーターはzファクター(zfactor)である。zファクターの計算には、シグナルと背景の間の差に加えて、また、あらゆるデータの散乱も含まれる。このzファクターの計算を下記の如く行う:zファクター=1−[(3x標準偏差posco+3x標準偏差negco)/(平均posco−平均negco)][ここで、「posco」は正の対照でありそして「negco」は負の対照である[Zhang他(1999):「A Simple Statistical Parameterfor Use in Evaluation and Validation of High Throughput Screening Assays」、J.Biomol.Screen.4(2):67−73]。
【0077】
zファクターが0.7より大きい時には優れていると見なし、zファクターが0.15から0.7の時には良好であると見なし、zファクターが0から0.15の時にはそれでも充分であると見なしそしてzファクターが0未満の時にはもはや評価不能であると見なす。
【0078】
本発明の方法を用いると、zファクターが約30分後に0.7を超える。
【0079】
従って、本発明は、また、26Sおよび20Sプロテアソームの阻害剤であって好適には0.7を超えるzファクターを示す阻害剤を識別する方法にも関する。
【0080】
本方法の原理を示す目的で本発明の方法の可能な態様を公知の阻害剤であるMG−132を例として用いて以下に示す。
【0081】
試験を受けさせるべきプロテアソームの酵素活性またはそれの阻害を、本実施例に示すように、公知ペプチド基質であるSuc−LLVY−AMC[Suc−Leu−Leu−Val−Tyr−AMC;Stein他(1996)Biochemistry 35、3899]から遊離して来るAMCの蛍光の増加を通して以下のスキームに示すように検出することができる:
20Sプロテアソーム
ペプチド基質(Suc−LLVY−AMC) → AMC+ペプチド残基
Suc−LLVY−AMCは、20Sプロテアソームが示すキモトリプシン様活性を測定するための発蛍光基質である。開裂によって取り除かれたAMC(7−アミノ−4−メトキシクマリン)は380nmの波長の所に励起最大値を示しかつ460nmの所に発光最大値を示す。この阻害剤のKiは5nMである。
【0082】
しかしながら、原則として、また、ここに例として挙げた基質であるSuc−LLVY−AMCに加えてプロテアソームの他の基質、例えばこの上に示した公知基質を用いることも可能である。
【0083】
そのようにして測定可能な蛋白質分解活性は阻害剤、例えばMG−132などによる影響を受け、その結果として、観察される相対的蛍光がより低くなり得る(図1および2)。MG−132は、細胞壁を透過し得る公知の可逆的プロテアソーム阻害剤である[Lee,D.H.、Goldberg,A.(1989)、J.Biol.Chem. 271、27280]。前記公知阻害剤を用いてプロテアソームの活性を抑制すると相対的蛍光が顕著に低くなる。負の対照として、前記反応をプロテアソームなしに実施する。前記反応を本発明の方法に従って起こさせると、プロテアソーム活性の阻害を全く問題なく識別することが可能になり、従って、プロテアソームの阻害剤を識別することが可能になる。
【0084】
また、本方法の試験で他の阻害剤、例えばプロテアソームの活性を抑制する上述した公知阻害剤などを用いることも可能である。
【0085】
プロテアソームの阻害剤を識別する方法またはポリペプチド複合体の活性を測定する方法に最適な条件を決定しようとする時には、用いる基質が示す個々のKM値を測定するのが有利である。この値は好適に用いる基質1種または2種以上の濃度を示す値である。例として、用いる基質であるSuc−LLVY−AMCが示した測定KM値は5μMであった(図4参照)。
【0086】
本発明の方法を用いてまた他の有機体に由来する26S/26Sプロテアソーム例えば人または動物の26S/20Sプロテアソームの阻害剤、即ち例えば細胞の活性化、細胞サイクルの制御、細胞の分化および成熟または人における細胞消滅の誘発などで用いられる化合物を識別することも可能である。このことは、病気、例えば癌、HIV、アレルギー、自己免疫病、感染病、発作、炎症過程および移植用薬(これに関してはWO 00/33654参照)などに関して重要であり、その場合には、プロテアソームが有する個々の酵素活性が決定的な役割を果たす。このように、本方法を菌・カビのプロテアソームの阻害剤を識別することに限定するものでなく、原則として、本方法は多種多様な有機体に由来するそのようなポリペプチド複合体の阻害剤を探求する時にも使用可能である。
【0087】
菌・カビの20Sプロテアソームの阻害剤および殺菌・殺カビ剤を識別する本発明に従う特に好適な前記方法に加えて、また、本分野の技術者に公知の通常の方法の全部、例えばWO 00/23614、Groll他(1997)、Nature 386、463、Mellgren(1997):J.Biol.Chem.272、29899、Meng他(1999)、PNAS 96、10403、McCormack他(1998)、Biochemistry 37、7792、Driscoll and Goldberg(1990)、J.Biol.Chem.265、4789またはOrlowski他(993):Biochemistry 32、1563に記述されている方法または商業的に利用可能な方法(例えばCalbiochemの)などを用いることも可能であることは明らかである。ここで用いるプロテアソームの基質の例は、この上に既に記述した基質以外に、また、リゾチーム、アルファ−ラクトアルブミン、ベータ−ラクトグロブリン、β−インシュリンおよびオルニチンデカルボキシラーゼである。26Sプロテアソーム全体が示す活性を測定することを意図する場合には、そのような基質に好適にはユビキチネーションを受けさせるか、或は反応混合物に追加的にユビキチンとユビキチネーション用酵素(ubiquitinating enzymes)を含有させる。
【0088】
この上に例として記述した方法を用いて、20Sプロテアソームをインビトロで抑制することに加えてインビボで殺菌・殺カビ作用を示す化合物を識別することができた。
【0089】
表Iに、例として、本発明の方法で阻害作用を示した化合物そしてその後のインビボ試験、例えばここではいろいろな菌・カビに対する「寒天拡散検定(agar diffusion assay)」などで殺菌・殺カビ作用を示した化合物を示す。これに関連して、下記の菌・カビを例として用いた:ボトリチス(Botrytis)シネレ(BOTRCI)、トウモロコシ黒穂菌(Ustilago maydis)(USTIMA)、ピリクラリア・オリカエ(PYRIOR)、フーザリウム・クルモルム(FUSACU)、リゾクトニア・ソラニ(RHIZSO)、プソイドセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(PSDCHW)。「MIC」値は「最小阻害濃度」を記述する値である。これは、活性化合物が菌・カビの増殖を防止する最低濃度(ppm)に相当する。このように、検定を受けさせた基質が示す効力はMIC値が低ければ低いほど高い。
【0090】
【表1】
Figure 0004434643
【0091】
これは、本発明の方法を用いて識別した26S/20Sプロテアソームの阻害剤およびまたヒト26S/20Sプロテアソームの公知阻害剤が菌・カビの損傷または死滅で用いるに適することを立証している。
【0092】
寒天拡散検定は、微生物が抗菌活性化合物に対して示す感受性を測定する簡潔な方法である[例えばMitchellおよびCarter(2000):「Modeling antimocrobial activity ofCloroxTM using an agara−diffusion test:anew twist on an old experiment」、Bioscene 26(3)、9−13を参照]。この検定では、微生物、即ちこのケースでは個々の菌・カビを接種しておいた寒天板を用い、そしてその寒天培地の中に活性化合物をゆっくりと拡散させてもよい。例えば、前記活性化合物を染み込ませておいた小型の丸いフィルターを単に例えば寒天板の上に置くことで寒天に接触させることなどでそれを実施する。その菌・カビを接種しておいた培地の中を拡散する活性化合物の濃度は、それが渡る距離の平方の関数として徐々に低くなる。その活性化合物は、これが個々の距離に渡って拡散した後にもはや菌・カビに対して全く作用を示さないくらいまで希釈される。増殖が抑制されるゾーンが発生することを利用して個々の物質が示す効力を示す。そのようなゾーンは、活性化合物を寒天培地の中に染み込ませたことで生じた斑点の回りに透明な領域が生じることで観察可能である。そのようなゾーン、即ち環の直径を測定することで、それを当該物質が示す効力の尺度として用いることができる。
【0093】
26S/20Sプロテアソーム阻害剤がインビボで示す殺菌・殺カビ効力を評価する時、前記検定方法に加えて、また、本分野の技術者に公知の他の方法も使用可能であるが、但し、検定を受けさせる化合物が示す殺菌・殺カビ作用または静菌・カビ(fungi−static)作用を評価することができることを条件とする。
【0094】
従って、本発明は、また、20Sおよび26Sプロテアソームの阻害剤、特に菌・カビの20Sもしくは26Sプロテアソームの阻害剤、および20Sおよび26Sプロテアソームの阻害剤を識別する本発明の方法を用いて見つけだした殺菌・殺カビ剤にも関する。
【0095】
本発明は、同様に、26S/20Sプロテアソーム、特に菌・カビの26S/20Sプロテアソームの阻害剤を殺菌・殺カビ剤として用いることにも関する。それらには、また、他の有機体に由来する26S/20Sプロテアソームの既に公知のあらゆる阻害剤、例えばこの上に述べた阻害剤などの全部が含まれる。本発明に従う様式で使用可能、従って、全部が本発明の主題事項に明らかに含まれるさらなる阻害剤は、例えばWO 00/43000、WO 95/24914およびWO 91/13904に挙げられているプロテアソーム阻害剤である。
【0096】
本化合物は、これを植物保護で用いる目的で、これが示す個々の物理的および/または化学的特性に応じて、通常の調剤、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、粉剤、発泡剤、ペースト、顆粒剤、エーロゾル、重合体物質に微細カプセル封じされた状態、そして種子用の被覆組成物、およびULV冷および温霧調剤に変換可能である。
【0097】
このような調剤の調製を、公知様式、例えば本活性化合物と増量剤、即ち液状溶媒、加圧下で液化するガスおよび/または固体の担体を適宜界面活性剤、即ち乳化剤および/または分散剤および/または泡形成剤(foam formers)を用いて混合することで行う。用いる増量剤が水の場合、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することも可能である。適切な液状溶媒は本質的に下記である:芳香族、例えばキシレン、トルエンまたはアルキルナフタレン類など、塩素置換芳香族または塩素置換脂肪族炭化水素、例えばクロロベンゼン類、クロロエチレン類または塩化メチレンなど、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサンまたはパラフィン類、例えば石油留分など、アルコール類、例えばブタノールまたはグリコールなど、そしてそれらのエーテル類およびエステル類、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなど、強極性溶媒、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキサイドなど、および水。液化した気体状の増量剤または担体は大気圧下の標準的な温度で気体状になる液体を意味し、例えばエーロゾル噴射剤、例えばハロゲン置換炭化水素、およびまたブタン、プロパン、窒素および二酸化炭素などである。適切な固体状担体は、例えば粉砕した天然鉱物、例えばカオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モントモリロナイトまたはケイソウ土など、および粉砕した合成鉱物、例えば微細シリカ、アルミナおよびケイ酸塩などである。粒剤用の適切な固体状担体は、例えば破砕し分級した天然石、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石、ドロマイトなど、およびまた無機および有機粉末の合成粒体および有機材料の粒体、例えばのこくず、やし殻、とうもろこしの穂軸およびタバコの茎などである。適切な乳化剤および/または泡形成剤は、例えば非イオンおよび陰イオン乳化剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホネート類、アルキルスルフェート類、アリールスルホネート類、および蛋白質加水分解生成物などである、適切な分散剤は、例えばリグノスルファイト廃液およびメチルセルロースである。
【0098】
粘着付与剤、例えばカルボキシメチルセルロース、および粉末、粒体またはラテックス形態の天然および合成重合体、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなど、および天然の燐脂質類、例えばセファリン類およびレシチン類など、および合成燐脂質などが前記調剤で使用可能である。他の可能な添加剤は鉱油および植物油である。
【0099】
着色剤、例えば無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーなど、および有機染料、例えばアリザリン染料、アゾ染料および金属フタロシアニン染料など、そして微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデンおよび亜鉛の塩類などを使用することも可能である。
【0100】
前記調剤に含有させる本活性化合物の量は一般に0.1から95重量パーセント、好適には0.5から90重量%である。
【0101】
本活性化合物またはこれらの調剤を防除すべき菌・カビに直接接触させるか或はそれらの生息地に接触させてもよい。
【0102】
【実施例】
実施例1
S.セレビシエ細胞からプロテアソーム抽出物を調製
小型の発酵装置の酵母150mlを250mlの緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.5;10mMのEDTA)と一緒にして再懸濁させることで酵母懸濁液を400ml得た。この細胞を高圧ホモジェナイザーに入れて1800psiの圧力下27℃で3回破裂させた。細胞を破裂させた後、0.1MのNaOHを用いてpHを7.5に調整した。その後直ちにインキュベーションを60℃で60分間実施した。次に、この懸濁液をJA20ローターを用いた遠心分離に4℃において13000rpmで3回かけることで沈澱した成分を除去した。次に、プロテアソームが入っている残存上澄み液の1:100希釈液を直ちに阻害剤識別検定で用いることができた。
【0103】
その活性は細胞の発酵状態に応じて多様であり得ることから、適切な希釈率を選択することができるようにプロテアソームの活性を前以て測定しておくことを推奨する。
【0104】
実施例2
U.メイジス細胞からプロテアソーム抽出物を調製
Schulz他[Schulz他(1990)、「The b alleles of Ustilago maydis,Whose combinations program pathogenic development、code for polypeptides containing a homeodomain−related motif」、Cell 60、295−306]に従い、50mlのU.メイジス培養物からプロトプラストを調製した。その後、そのプロトプラストを2000rpmで5分間かけて薄片状にした。その後、緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.5;10mMのEDTA)を50μl添加すると、浸透条件が変わることから前記プロトプラストが破裂を起こす。それを遠心分離に13000rpmで5分間かけることで細胞の屑を薄片状にした。その上澄み液を再び60℃で1時間インキュベートした後、変性した蛋白質を13000rpmで5分間かけて薄片状にした。次に、その得たU.メイジスプロテアソームが示す活性を試験することで次の検定で用いる希釈率を決定する。
【0105】
実施例3
公知阻害剤であるMG−132を用いた検定システムチェック(活性検定)
本発明の方法の有効性を検査することを意図してCalbiochemの公知阻害剤であるMG−132を用いた活性および阻害検定を384個のウエルが備わっているMTP(ウエルが384個備わっているミクロタイタープレート)を用いて実施した。全容積が50μlのウエルの各々にプロテアソーム(2.8g)を入れておいた酵素用緩衝液(10mMのTris−HCl、2mMのEDTA)を25μl、基質を入れておいた基質用溶液(13μMのSuc−LLVY−AMC、0.06%のSDS、10%のDMSO、10mMのTris−HCl、pH7.5;2mMのEDTA)を20μlおよび試験物質(5%のDMSOに160nNのMG−132)を5μl入れた。予備測定(蛍光)を360/465nm(35nmの帯幅)で実施した。インキュベーションを25℃で40分間実施した。蛍光を再び360/465nm(35nmの帯幅)で測定した。
【0106】
実施例4
プロテアソームの阻害剤の識別(選別)
UHTS(選別)におけるプロテアソーム阻害検定で384個のウエルが備わっているMTP(Greinerの)を用いた。最初に5μlの試験物質用溶液(50mMのTris−HCl、pH7.5;10mMのEDTA)に試験物質を阻害検定における試験物質の最終濃度が2μMになるように入れた。前記板に備わっている追加的ウエルに負の対照(160nMのMG−132;5%のDMSO)を5μl加えかつ正の対照(5%のDMSO)を5μl加えた。その試験物質溶液に基質溶液(13μMのSuc−LLVY−AMC、0.06%のSDS、10%(体積/体積)のDMSO;10mMのTris−HCl、pH7.5;2mMのEDTA)を20μl加えた。その後、酵素溶液(10mMのTris−HCl、pH7.5;2mMのEDTA;ウエル1個当たり280ngのプロテアソーム)を25μl加えそして相対的蛍光を測定した[360/465nm(25nmの帯幅)で予備測定]。インキュベーションを25℃で40分間行った後、相対的蛍光を再び360/465nm(25nmの帯幅)で測定した。
【0107】
実施例5
プロテアソームの阻害剤の識別(選別)
UHTS(選別)におけるプロテアソーム阻害検定で384個のウエルが備わっているMTP(Greinerの)を用いた。最初に352個のウエルに入れた5μlの試験物質用溶液(50mMのTris−HCl、pH7.5;10mMのEDTA)に試験物質を阻害検定における試験物質の最終濃度が2μMになるように入れた。負の対照(32個のウエル)および正の対照(32個のウエル)の目的で各場合とも前記板に備わっている追加的ウエルに5%のDMSOを5μl加えた。その試験物質溶液に基質溶液(13μMのSuc−LLVY−AMC、0.06%のSDS、10%(体積/体積)のDMSO;10mMのTris−HCl、pH7.5;2mMのEDTA)を20μl加えた。その後、酵素溶液(10mMのTris−HCl、pH7.5;2mMのEDTA;1:100のプロテアソーム抽出物、これはウエル1個当たり280ngに相当)を25μl加えたが、負の対照には酵素なしに緩衝液のみを加えた。その後、最初に、360nmの励起波長および460nmの発光波長を用いた予備測定で蛍光を測定した[360/465nm(25nmの帯幅)で予備測定]。次に、MTPを37℃で少なくとも40分間インキュベートした後、蛍光をこの上に記述した如く測定した。
【0108】
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29. Zhang他(1999)、J.Biomol.Screen.4(2):67−73。
【図面の簡単な説明】
【図1】酵母に由来する20Sプロテアソームの活性検定。キモトリプシン活性で用いた基質はSuc−LLVY−AMCであった。AMCの遊離を時間の関数として蛍光測定で測定した。酵母抽出物の1:100希釈液中で40nMのMG132の存在下およびMG−132の存在なしでプロテアソーム活性を測定した。負の対照として、酵素なしに反応を実施した(緩衝液)。
【図2】トウモロコシ黒穂菌に由来する20Sプロテアソームの活性検定。キモトリプシン活性で用いた基質はSuc−LLVY−AMCであった。AMCの遊離を時間の関数として蛍光測定で測定した。トウモロコシ黒穂菌(U.メイジス)調合物の1:100希釈液および1:20希釈液中でプロテアソーム活性を測定した。その上、プロテアソーム阻害剤であるMG−132を40nMの濃度から最大のプロテアソーム濃度で加えた。
【図3】ボトリチス・シレネに由来する20Sプロテアソームの活性検定。菌・カビの細胞からプロトプラストを調製することを通して、B.シレネに由来する20Sプロテアソーム(B.c.プロテアソーム)を単離した。U.メイジスから20Sプロテアソームを単離するプロトコル(実施例2を参照)に従って前記プロトプラストにさらなる処理を受けさせた。Suc−LLVY−AMCの変換を基にしてB.c.プロテアソームのキモトリプシン活性を測定した(実施例3を参照)。(x)=B.シレネに由来する20Sプロテアソーム(1:100に希釈)、(□)=S.セレビシエに由来する20Sプロテアソーム(1:100に希釈)、(▲)=B.シレネに由来する20Sプロテアソーム(1:500に希釈)、(◇)=プロテアソームなしの反応。
【図4】ペプチド基質であるSuc−LLVY−AMCが示すKMを測定。一定量(反応当たり約70ng)のプロテアソームを基質と一緒に基質の量を多くしながらインキュベートした後、蛍光の量が多くなる度合を5分間に渡って測定した。傾向線(trend lines)を計算することで曲線(破線)の傾きを測定した。Suc−LLVY−AMCが示したKMをLineweaver−Burkeに従って計算することで5μMの値を得た。
【図5】反応がDMSOの使用量に依存。時間の関数としてのAMC遊離を基にして酵母に由来する20Sプロテアソームが示す活性を測定した。この反応に添加するDMSOの量を多くして行った。図Aで用いた蛋白質の量は図Bに比べて半分であった。この反応では特に5%のDMSOが適切である。
【図6】図5に記述するようにして反応がDMSOの使用量に依存することを測定した。しかしながら、図5(B)では反応成分を4℃で72時間貯蔵した。DMSOを5%存在させると反応が72時間後でも安定である。DMSOの量をより高くすると活性の損失がもたらされる。
【図7】384個のウエルが備わっているMTPを用いて20Sプロテアソームが示す活性を検出。各場合とも192個のウエルを用いてAMCの蛍光を40分後、50分後および60分後に測定した。「posco」は酵素を用いた反応に相当し、「negco」は酵素を用いない反応に相当し、「デルタ」はその2つの間の値の差である。40分後であっても>0.7のzファクターが達成された。このzファクターは、記録されたデータの均一性を計算するための数学的パラメーターであり、従って、物質を選択する検定の利用性を評価することを可能にするものである。zファクターを下記の如く計算する:zファクター=1−[(3x標準偏差posco+3x標準偏差negco)/(平均posco−平均negco)][Zhang他(1999):「A Simple Statistical Parameter for Use in Evaluation and Validation of High Throughput Screening Assays」、J.Biomol.Screen.4(2):67−73]。

Claims (2)

  1. 20Sプロテアソーム阻害検定で候補化合物を検定することにより殺菌・殺カビ剤を識別する方法であって、
    a)候補化合物と菌・カビの20Sプロテアソームを基質の存在下および2から10%(体積/体積)のジメチルスルホキサイドの存在下で接触させ、そして
    b)前記20Sプロテアソームの酵素作用による前記基質の変換を特異的に抑制する候補化合物を選択し、そして
    c)選択した候補化合物が菌・カビに対して示す作用を後でインビボ検定で検査することを特徴とする方法。
  2. 前記基質が前記20Sプロテアソームの酵素活性によって遊離して来る基を含んで成っていて前記遊離を蛍光測定または比色測定で検出することができることを特徴とする請求項記載の方法。
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