以下に、本発明を実施するための最良の形態として、複数のネットワークデバイス(以降、単に「デバイス」とする)が無線LANの規格(IEEEE802.11規格)に従った無線通信を行うネットワーク構成を例示して説明する。
[第1実施形態]
このネットワーク構成においては、図1に示すように、アクセスポイント10、ネットワークプリンタ(以降、単に「プリンタ」とする)20、周知のパーソナルコンピュータ(以降、「PC」とする)30などのデバイスそれぞれが無線通信を行う。
まず、アクセスポイント10は、無線ステーションおよびケーブル100を介して接続された他のデバイス(または外部ネットワーク)の間におけるデータ通信を中継する「中継局」として機能するデバイスであって、CPU11,ROM12,RAM13,ネットワークコントローラ14,PCインターフェース部(PCI/F)15,無線LANコントローラ16などを備えている。
このアクセスポイント10の備えるCPU11は、ROM12に記録されている処理手順に従って、処理結果をRAM13に記録させながら、各構成要素に指令を送ることによってアクセスポイント10全体の動作を制御する。
また、ROM12は、図2に示すように、アクセスポイント10自身が無線ステーションと通信する際に利用されるSSID(service set identifier、または、ESSID:extended SSID;以降、「中継用SSID」とする)を記憶する中継記憶領域12a、通
信時のセキュリティに関するパラメータを記憶する中継セキュリティ記憶領域12c、認証に利用するパスワードを記憶する認証記憶領域12eなどからなる読み書き可能な不揮発性メモリである。なお、「SSID」とは、無線ネットワークにおける通信対象をグループ化するために使用される必須のIDである。
また、ネットワークコントローラ14は、ケーブル100を介して接続された他のデバイス(または外部ネットワーク)との間におけるデータ通信を実現するためのインターフェースである。
また、PCインターフェース部15は、アクセスポイント10を通信ケーブル経由で他のPCと接続するためのインターフェースであって、これにより、アクセスポイント10−PC間におけるデータ通信を可能な状態とすることができる。
また、無線LANコントローラ16は、無線LAN規格に従った通信をROM12に記憶された各パラメータに基づいて実現するインターフェースであって、中継記憶領域12aに記憶された中継用SSIDを利用し、他の無線ステーションに対する中継局としての通信(無線ネットワーク)を確立することによって、中継局としての通信機能を実現する。
このように構成されたアクセスポイント10では、中継記憶領域12aに中継用SSIDが記憶された以降、この中継用SSIDと同一のSSID(後述の端末用SSID)を利用してアクセスしてきた無線ステーションにのみ、中継局としての通信を許可するようになる(一部例外を除く)。
このとき、中継セキュリティ記憶領域12cに「セキュリティに関するパラメータ」が記憶されていれば、このパラメータに基づくセキュリティ対策を施した状態で通信を行うようになる。
ここで「セキュリティに関するパラメータ」としては、例えば、通信を暗号化した状態で行うための暗号キー(本実施形態においては、WEPキー;Wired Equivalent Privacy)がある。この暗号キーは、通信を暗号化した状態で行うか否かを示す暗号化フラグと共に中継セキュリティ記憶領域12cに記録される。アクセスポイント10(CPU11)は、暗号キーが、通信を暗号化した状態で行う旨を示す(「1」がセットされた)暗号化フラグと共に記憶されていれば、無線ステーションとの間における通信を暗号キーにより暗号化した状態で行う。一方、暗号キーが通信を暗号化した状態で行わない旨を示す(「0」がセットされた)暗号化フラグと共に記憶されていれば、無線ステーションとの間における通信を暗号化することなく行う。
また、「セキュリティに関するパラメータ」としては、無線ステーションの認証を行うか否かを示す認証フラグがある。アクセスポイント10は、無線ステーションの認証を行う旨を示す(「1」がセットされた)認証フラグが記憶されていれば、無線ステーションの認証を経て、この無線ステーションとの間における通信を許可するようになる。ここでは、通信に先立って無線ステーションから認証のために利用される認証キーを取得し、この認証キーおよび認証記憶領域12eに記憶されたパスワードそれぞれの文字列が一致する場合に認証できたと判定する。一方、無線ステーションの認証を行わない旨を示す(「0」がセットされた)認証フラグが記憶されていれば、無線ステーションの認証を経ることなく、この無線ステーションとの間における通信を許可するようになる。
なお、このアクセスポイント10では、他のデバイスとの間で設定に関するデータを無線または有線にてやりとりして他のデバイス側から間接的な設定(リモートセットアップ)が行われたときに、「中継用SSID」および「暗号キー,暗号化フラグおよび認証フラグ」が生成され各記憶領域に記憶される。また、「パスワード」は、あらかじめ認証記憶領域12eに記録されているものであるが、リモートセットアップにより生成して変更することもできるように構成されている。
次に、プリンタ20は、通常、「無線ステーション」として機能するデバイスであって、CPU21,ROM22,RAM23,無線LANコントローラ24,PCインターフェース部(PCI/F)25,操作パネル26,表示パネル27,プリントエンジン28などを備えている。
このプリンタ20の備えるCPU21は、ROM22に記録されている処理手順に従って、処理結果をRAM23に記録させながら、各構成要素に指令を送ることによってプリンタ20全体の動作を制御する。
また、ROM22は、図3(a)に示すように、プリンタ20が「中継局」として他の無線ステーションと通信する際に利用される中継用SSIDを記憶する中継記憶領域22a、プリンタ20が「無線ステーション」として中継局と通信する際に利用されるSSID(以降、「端末用SSID」とする)を記憶する端末記憶領域22b、通信時のセキュリティに関するパラメータを記憶する中継セキュリティ記憶領域22cおよび端末セキュリティ記憶領域22d、認証に利用するパスワードを記憶する認証記憶領域22e、プリンタ20の状態を記憶する状態記憶領域22fなどからなる読み書き可能な不揮発性メモリである。
また、無線LANコントローラ24は、無線LAN規格に従った無線通信をROM22
に記憶された各パラメータに基づいて実現するためのインターフェースであって、中継機能部24a,端末機能部24bなどを備えている。これらのうち、中継機能部24aは、中継記憶領域22aに記憶された中継用SSIDを利用し、他の無線ステーションに対する「中継局」としての通信(無線ネットワーク)を確立することによって、中継局としての通信機能を実現する。また、端末機能部24bは、端末記憶領域22bに記憶された端末用SSIDを利用し、無線ステーションとして中継局との接続(コネクション)を確立することによって、無線ステーションとしての通信機能を実現する。
また、PCインターフェース部25は、プリンタ20を通信ケーブル経由で他のPCと接続するためのインターフェースであって、これにより、プリンタ20−PC間におけるデータ通信を可能な状態とすることができる。
このように構成されたプリンタ20においては、端末記憶領域22bに端末用SSIDが記憶された以降、この端末用SSIDと同一のSSID(中継用SSID)による通信(無線ネットワーク)を確立可能な中継局に対し、無線ステーションとしてアクセスおよび通信できるようになる。
このとき、端末セキュリティ記憶領域22dに「セキュリティに関するパラメータ」が記憶されていれば、このパラメータに基づくセキュリティ対策を施した状態で通信を行うようになる。
この「セキュリティに関するパラメータ」としては、例えば、通信を暗号化した状態で行うための暗号キーがある。この暗号キーは、アクセスポイント10と同様、暗号化フラグと共に記録される。プリンタ20(CPU21)は、暗号キーが、通信を暗号化した状態で行う旨を示す暗号化フラグと共に記憶されていれば、中継局との間における通信を暗号キーにより暗号化した状態で行うようになる。一方、暗号キーが、通信を暗号化した状態で行わない旨を示す暗号化フラグと共に記憶されていれば、中継局との間における通信を暗号化することなく行うようになる。
また、「セキュリティに関するパラメータ」としては、通信を行うべき中継局側で設定(例えば、アクセスポイント10における認証記憶領域12eに記憶)されたパスワードと同一文字列からなり、この中継局による認証に利用する認証キーもある。プリンタ20(CPU21)は、通信に先立って中継局側から認証キーの要求を受けた際、この認証キーを返信し、この認証キーにより中継局側で認証された場合に、中継局との間における通信が許可(開始)される。
なお、これら無線ステーションとしての通信機能における「端末用SSID」,「暗号キー,暗号化フラグおよび認証キー」は、操作パネル26により無線ステーションとしての通信機能の設定に関する操作が行われたときや、後述する端末受信データ処理(図7)において端末設定データを受信したときに生成され各記憶領域に記憶されるものである。
また、このプリンタ20においては、中継記憶領域22aに中継用SSIDが記憶された以降、この中継用SSIDと同一のSSID(端末用SSID)を利用してアクセスしてきた無線ステーションにのみ中継局としての通信を許可するようになる。
このとき、中継セキュリティ記憶領域22cに「セキュリティに関するパラメータ」が記憶されていれば、このパラメータに基づくセキュリティ対策を施した状態で通信を行うようになる。
この「セキュリティに関するパラメータ」は、上述のアクセスポイント10と同様のも
の(暗号キー,暗号化フラグ,認証フラグおよびパスワード)であり、これにより、アクセスポイント10と同様、無線ステーションとの間における通信を暗号化した状態で行ったり、また、無線ステーションの認証を経て通信を行ったりするようになる。
なお、この中継局としての通信機能の設定における「中継用SSID」は、操作パネル26により中継局としての通信機能の設定に関する操作が行われたときや、後述する中継受信データ処理(図8)において中継設定データを受信したときに生成され中継記憶領域22aに記憶されるものである。
また、中継局としての通信機能の設定における「暗号キー,暗号化フラグ,認証フラグおよびパスワード」は、後述する中継機能処理(図4)において中継セキュリティ記憶領域22cに記憶および削除されるように構成されている。
なお、このプリンタ20(CPU21)においては、上述した中継機能部24aおよび端末機能部24bの動作を同時に制御することにより、各機能部により実現される通信機能を同時に実現する。
次に、PC30は、無線ステーションとしての機能を有するコンピュータシステムであって、プリンタ20が中継局として無線ステーションとの接続を確立するのに必要な設定をネットワーク経由で行うためのアプリケーションソフト、プリンタ20へ所定の画像を印刷させるための印刷データを送信できるアプリケーションソフト(およびデバイスドライバ)などがインストールされている。○プリンタ20の中継機能処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される中継機能処理の処理手順を図4に基づいて説明する。この中継機能処理は、無線LANコントローラ24の中継機能部24aによる通信を制御するための処理であって、プリンタ20が起動された以降、繰り返し実行される。
まず、プリンタ20が無線LANコントローラ24の端末機能部24bにより中継局(例えば、アクセスポイント10)との接続を確立している最中かどうかをチェックする(s110)。この処理では、後述する端末機能処理(図6)において中継局との通信が行われている場合(s380〜s420の処理)に、中継局との接続が確立されている最中であると判定する。
このs110の処理で、中継局との接続を確立している場合(s110:YES)、中継機能部24aによる通信が端末機能部24bによる通信と同様のセキュリティ対策を施した状態で行われるように設定する(s120)。この処理では、まず、端末セキュリティ記憶領域22dに記憶されているパラメータのうち「暗号キー,暗号化フラグ」を、中継セキュリティ記憶領域22cにコピーする(図3(b)の矢印a参照)。また、端末セキュリティ記憶領域22dに認証キーが記憶されていれば、この認証キーを認証記憶領域22eへ「パスワード」としてコピーし(図3(b)の矢印b参照)、また、中継セキュリティ記憶領域22cへ無線ステーションの認証を行う旨を示す(「1」がセットされた)認証フラグを記憶させる(図3(b)の矢印c参照)。一方、端末セキュリティ記憶領域22dに認証キーが記憶されていなければ、認証記憶領域22eおよび中継セキュリティ記憶領域22cへの記憶は行わない。このようにして、中継機能部24aによる通信が端末機能部24bによる通信と同様のセキュリティ対策を施した状態で行われるように設定する。
これにより、例えば、中継セキュリティ記憶領域22cに、暗号キーが通信を暗号化した状態で行う旨を示す暗号化フラグと共にコピーされた場合には、以降、図1におけるPC40など他の無線ステーションとの間における通信が暗号キーにより暗号化した状態で
行われるようになる。また、認証キーおよび認証フラグがコピーされた場合には、以降、パスワード(認証キー)に基づき認証された無線ステーションについての通信のみを許可(開始)するようになる。
なお、上述のPC40は、無線ステーションとしての機能を有し、プリンタ20が無線ステーションとして中継局との接続を確立するのに必要な設定を無線ネットワーク経由で行うためのアプリケーションソフト、プリンタ20へ所定の画像を印刷させるための印刷データを送信できるアプリケーションソフト(およびデバイスドライバ)などがインストールされた周知のコンピュータシステムである。
一方、s110の処理で、中継局との接続を確立していない場合(s110:NO)、中継セキュリティ記憶領域22cおよび認証記憶領域22eを初期化することにより、中継機能部24aによる通信がセキュリティ対策を施さない状態で行われるように設定する(s130)。ここでは、各記憶領域cに「暗号キー,暗号化フラグ,認証フラグおよびパスワード(認証キー)」が記憶されていたとしても、初期化により削除されるため、中継機能部24aによる通信がセキュリティ対策を施さない状態で行われるように設定し直されることになる。
このs120またはs130の処理を終えた後、無線ステーション(例えば、PC40)側から接続要求を受けた(アクセスされた)か否かをチェックする(s140)。
このs140の処理で接続要求を受けていなければ(s140:NO)、s110の処理へ戻る一方、接続要求を受けていれば(s140:YES)、接続要求してきた無線ステーションとの接続を確立してもよいかどうかをチェックする(s150)。この処理では、中継セキュリティ記憶領域に、認証を行わない旨を示す認証フラグが記憶されていれば、無線ステーションがプリンタ20への接続要求に際して利用しているSSIDが、中継記憶領域22aに記憶されている中継用SSIDと一致する場合のみ、この無線ステーションとの接続を確立してもよいと判定する。また、中継セキュリティ記憶領域22cに、認証を行う旨を示す認証フラグが記憶されていれば、通信に先立って無線ステーションに認証キーを要求し、この要求に応じて返信された認証キーが認証記憶領域12eに記憶されたパスワードの文字列と一致し、かつ、無線ステーションが接続要求に際して利用しているSSIDが中継用SSIDと一致する場合のみ、この無線ステーションとの接続を確立してもよいと判定する。
このs150の処理で、無線ステーションとの接続を確立すべきでないと判定された場合は(s150:NO)、接続を確立することなくs110の処理へ戻る一方、接続を確立してもよいと判定された場合には(s150:YES)、この無線ステーションとの接続を確立する(s160)。この処理では、無線ステーションとの間で通信を開始するためのデータをやりとりすることにより、この無線ステーションとの接続を確立する。
次に、無線ステーション側からデータを受信したかどうかをチェックする(s170)。
このs170の処理で、データを受信したら(s170:YES)、このデータが切断要求かどうかをチェックする(s180)。この切断要求とは、s160の処理で接続を確立した無線ステーションが、接続の開放(または解消)を要求する際に送信してくるデータである。
このs180の処理で受信したデータが切断要求でなければ(s180:NO)、この受信したデータに対応する処理を行う(s190)。この処理の詳細な内容については、
後述の「端末受信データ処理(図7)」において詳述する。
このs190の処理を終えた後、または、s170の処理でデータを受信していなければ(s170:NO)、無線ステーション側へ送信すべきデータがあるかどうかをチェックする(s200)。
このs190の処理で、送信すべきデータがなければ(s200:NO)、そのままs170の処理へ戻る一方、送信すべきデータがあれば(s200:YES)、このデータを無線ステーション側へ送信した後(s210)、s170の処理へ戻る。
こうして、s170からs210の処理を繰り返した後、このs170の処理で受信したデータが切断要求である場合(s180:YES)、無線ステーションとの接続を開放した後(s220)、s110の処理へ戻る。このs220の処理では、無線ステーションとの間で通信を終了するためのデータをやりとりすることにより、この無線ステーションとの接続を開放する。○プリンタ20のSSID報知処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行されるSSID報知処理の処理手順を図5に基づいて説明する。このSSID報知処理は、中継機能処理(図4)と同様、無線LANコントローラ24の中継機能部24aによる通信を制御するための処理であって、プリンタ20が起動された以降、SSIDを報知すべきタイミングとなったときに開始される。
この「SSIDを報知すべきタイミング」とは、無線LANの規格で定められた中継局の仕様によって規定されるものであって、例えば、「ビーコン信号」を送信するタイミングや、「プローブ要求」を受信したタイミングである。まず、「ビーコン信号」とは、中継局として機能するデバイスが、無線ステーションと通信する際に利用するSSIDを周囲の無線ステーションに報知する目的で定期的に送信するように定められたものである。また、「プローブ要求」とは、SSIDの報知を要求する旨のデータであって、中継局として機能するデバイスはプローブ要求を受信した際、自身が無線ステーションと通信する際に利用するSSIDを特定可能な「プローブ応答」といわれるデータを返信することが定められている。
まず、中継局との接続を確立しているかどうかをチェックする(s260)。この処理は、図4におけるs110の処理と同様の処理である。
このs260の処理で、中継局との接続を確立していなければ(s260:NO)、SSIDの報知を行う(s280)。この処理では、本SSID報知処理が「ビーコン信号」を送信するタイミングになったことにより開始された場合であれば、中継記憶領域22aに記憶されている中継用SSIDを特定可能な「ビーコン信号」を生成して送信することにより、周囲の無線ステーションに対して中継用SSIDを報知する。また、本SSID報知処理が「プローブ要求」を受信したタイミングになったことにより開始された場合であれば、中継記憶領域22aに記憶されている中継用SSIDを特定可能な「プローブ応答」を生成して返信することにより、プローブ要求の送信元の無線ステーション(例えば、PC40)に対してSSIDを報知する。
こうして、s280の処理を終えた後、または、s260の処理でアクセスポイント10との接続を確立している場合(s260:YES)、本SSID報知処理を終了する。このように、中継局との接続を確立している場合には、SSIDの報知が行われない。○プリンタ20の端末機能処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される端末機能処理の処理手順を図6に基づいて説明する。この端末機能処理は、無線LANコントローラ24の端末機能
部24bによる通信を制御するための処理であって、プリンタ20が起動された以降、中継局(例えば、アクセスポイント10)への接続要求が発生したとき、または、後述する端末受信データ処理(図7)および中継受信データ処理(図8)において状態記憶領域22fに記憶されている接続要求フラグに「1」がセットされたときに開始される。
まず、接続要求を送信する(s310)。この処理では、無線ステーションとしての接続要求を中継局へ送信する。ここで、接続要求に際しては、端末記憶領域22bに記憶されている端末用SSIDを利用する。この接続要求を受信した中継局からは、図4におけるs150の処理と同様の判定を行って接続が確立された後、通信を開始するためのデータが送信されてくる。
次に、中継局との接続が確立したか否かをチェックする(s320)。この処理では、s310の処理で接続要求を送信してから所定時間以内(本実施形態においては、250ms)に、中継局側から通信を開始するためのデータを受信した場合に、中継局との接続が確立したと判定する。一方、所定時間以内にデータを受信しなかった場合には、中継局との接続が確立できなかったと判定する。
このs320の処理で、中継局との接続を確立できなかった場合(s320:NO)、接続要求フラグに「0」をセットし(s330)、状態記憶領域22fに「中継局との接続が確立できなかった旨(無線接続エラー)」を示す接続状態データを記憶させた後(s340)、本端末機能処理を終了する。ここで、「接続状態データ」とは、後述する端末受信データ処理(図7)および中継受信データ処理(図8)において利用されるデータである。なお、以前に実行された本端末機能処理において、既に接続状態データが記憶されている場合には、「中継局との接続が確立できなかった旨」を示す接続状態データに書き換える。
一方、s320の処理で、中継局との接続を確立できた場合(s320:YES)、中継局がデータ通信可能に接続されているネットワーク(例えば、アクセスポイント10がケーブル100を介してデータ通信可能な外部ネットワーク)との間で、正常にデータ通信が行えるような設定がなされているか否かをチェックする(s350)。ここでは、プリンタ20に対して、中継局がデータ通信可能に接続されたネットワークへ接続するために必要な設定事項が設定(所定の記憶領域に記憶)されていて、かつ、この設定事項によるデータ通信が行えた場合に、正常にデータ通信が行えるような設定がなされていると判定する。なお、上述の「設定事項」とは、例えば、IPアドレス,サブネットマスク,デフォルトゲートウェイなどのことであり、この場合、デフォルトゲートウェイ(として設定されたIPアドレス)宛にICMPエコーリクエスト(いわゆるpingコマンド)を送信した後、ICMPリコーリプライが返信されてくれば、正常にデータ通信が行えるような設定がなされていると判定できる。
このs350の処理で、正常にデータ通信が行えるような設定がなされていれば(s350:YES)、状態記憶領域22fに「正常にデータ通信が行えない旨(ネットワーク接続エラー)」を示す接続状態データを記憶させた後(s360)、本端末機能処理を終了する。なお、このs360の処理においても、既に接続状態データが記憶されている場合には、「正常にデータ通信が行えない旨」を示す接続状態データに書き換える。
一方、s350の処理で、正常にデータ通信が行えるような設定がなされていれば(s350:YES)、状態記憶領域22fに「正常にデータ通信が行える旨(ネットワーク接続可能)」を示す接続状態データを記憶させる(s370)。なお、このs370の処理においても、既に接続状態データが記憶されている場合には、「正常にデータ通信が行える旨」を示す接続状態データに書き換える。
次に、中継局側からデータを受信したかどうかをチェックする(s380)。
このs380の処理で、データを受信したら(s380:YES)、この受信したデータに対応する処理を行う(s390)。この処理の詳細な内容については、後述の「中継受信データ処理(図8)」において詳述する。
このs390の処理を終えた後、または、s380の処理でデータを受信していなければ(s380:NO)、中継局側へ送信すべきデータがあるかどうかをチェックする(s400)。
このs400の処理で、送信すべきデータがあれば(s400:YES)、このデータを中継局側へ送信する(s410)。
このs410の処理を終えた後、または、s400の処理で送信すべきデータがない場合(s400:NO)、中継局との接続を開放すべきか否かをチェックする(s420)。この処理では、中継局側とのデータ通信が終了した場合に、中継局との接続を開放すべきと判定する。
このs420の処理で、中継局との接続を開放すべきでなければ(s420:NO)、s380の処理へ戻る。
一方、s420の処理で、中継局との接続を開放すべきであれば(s420:YES)、中継局との接続を開放した後(s430)、本端末機能処理を終了する。このs430の処理では、中継局に対して切断要求を送信した後、通信を終了するためのデータをやりとりすることにより、この中継局との接続を開放する。○プリンタ20による端末受信データ処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される端末受信データ処理の処理手順を、図7に基づいて説明する。この端末受信データ処理は、図4におけるs190の処理の詳細な処理手順である。
まず、図4におけるs170の処理で受信されたデータが端末設定データであるか否かをチェックする(s510)。この「端末設定データ」とは、プリンタ20が中継局(例えば、アクセスポイント10)との接続を確立するための各種設定項目を特定可能であって、この設定項目に基づく設定を指令するためのものである。なお、この端末設定データは、中継局としてのプリンタ20と接続を確立した無線ステーション側から送信されてくるデータであって、例えば、プリンタ20との接続を確立したPC40が、後述するリモートセットアップ処理(図9)において送信してくるものである。また、上述の「各種設定項目」とは、具体的には、端末用SSID,暗号キー,暗号化フラグおよび認証キーのうち、少なくとも端末用SSIDを含む1以上のパラメータを特定可能なデータである。
このs510の処理で、データが端末設定データでなければ(s510:NO)、接続指令データであるか否かをチェックする(s520)。この「接続指令データ」とは、プリンタ20が中継局との接続を確立可能か否かのチェックを指令するためのデータである。なお、この接続指令データは、中継局としてのプリンタ20と接続を確立した無線ステーション側から送信されてくるデータであって、例えば、プリンタ20との接続を確立したPC40が、後述するリモートセットアップ処理(図9)において端末設定データを送信してきた後に送信してくるものである。
このs520の処理で、データが接続指令データであれば(s520:YES)、無線
ステーションとしての通信機能に関する設定状態をチェックする(s530)。この処理では、端末記憶領域22bに「端末用SSID」が記憶されているか、端末セキュリティ記憶領域22dに「暗号キー」が通信を暗号化した状態で行う旨を示す「暗号化フラグ」と共に記憶されているか、および、端末セキュリティ記憶領域22dに「認証キー」が記憶されているか、という各条件をチェックし、これらのうち、全ての条件が満たされている場合に、無線ステーションとしての通信機能を実現するのに充分な設定状態であると判定する。一方、いずれか1つの条件でも満たされていない場合に、不充分な設定状態であると判定する。
このs530の処理によるチェックの結果、充分な設定状態であると判定された場合(s530:YES)、状態記憶領域22fに「充分な設定状態である旨」を示す設定状態データを記憶させる(s540)。ここで、「設定状態データ」とは、後述の処理において利用されるデータである。なお、以前に実行された本端末受信データ処理において、既に設定状態データが記憶されている場合には、「充分な設定状態である旨」を示す設定状態データに書き換える。
次に、状態記憶領域22fに記憶されている接続要求フラグに「1」をセットする(s550)。この処理では、接続要求フラグに「1」をセットすることにより、上述した端末機能処理(図6)を開始させ、これにより、プリンタ20が中継局との接続を確立可能か否かのチェックを行う。この結果、接続を確立可能であれば、状態記憶領域22fに接続が確立できた旨(ネットワーク接続可能,ネットワーク接続エラー)を示す接続状態データが記憶される。一方、接続を確立可能でなければ、状態記憶領域22fに接続が確立できない旨(無線接続エラー)を示す接続状態データが記憶される。
また、上述したs530の処理で、不充分な設定状態であると判定された場合(s530:NO)、状態記憶領域22fに「不充分な設定状態である旨」を示す設定状態データを記憶させる(s560)。なお、このs560の処理においても、既に設定状態データが記憶されている場合には、「不充分な設定状態である旨」を示す設定状態データに書き換える。
こうして、s550またはs560の処理を終えた後、本端末受信データ処理を終了する。このように、無線ステーションとしての通信機能を実現するのに充分な設定状態となっている場合のみ、接続要求フラグに「1」がセットされ、プリンタ20が中継局との接続を確立可能か否かのチェックが行われることになる。
また、上述したs520の処理で、データが接続指令データでなければ(s520:NO)、状態要求データであるか否かをチェックする(s570)。この「状態要求データ」とは、状態記憶領域22fに記憶されている接続状態データおよび設定状態データの送信を要求するためのデータであって、中継局としてのプリンタ20と接続を確立した無線ステーション側から送信されてくるものである。具体的には、例えば、プリンタ20との接続を確立したPC40が、後述するリモートセットアップ処理(図9)において端末設定データ,接続指令データを送信してきた後に送信してくるものである。
このs570の処理で、データが状態要求データであれば(s570:YES)、状態記憶領域22fに記憶されている接続状態データおよび設定状態データを、図4におけるs170の処理で受信されたデータの送信元に対して送信する(s580)。
また、s570の処理で、データが状態要求データでなければ(s570:NO)、プリンタ20が中継局(例えば、アクセスポイント10)との接続を確立している最中かどうかをチェックする(s590)。この処理は、図4におけるs110の処理と同様の処
理である。
このs590の処理で、中継局との接続を確立している最中であれば(s590:YES)、この中継局との間における通信がセキュリティ対策を施した状態で行われているかどうかをチェックする(s600)。この処理では、端末セキュリティ記憶領域22dに「認証キー」および通信を暗号化した状態で行う旨を示す「暗号化フラグ」が記憶されている場合に、通信がセキュリティ対策を施した状態で行われていると判定する。
このs600の処理で、通信がセキュリティ対策を施した状態で行われていない場合(s600:NO)、本端末受信データ処理を終了する。
また、s600の処理で通信がセキュリティ対策を施した状態で行われている場合(s600:YES)、または、s590の処理で中継局との接続を確立している最中でない場合(s590:NO)、図4におけるs170の処理で受信されたデータが印刷データであるか否かをチェックする(s610)。この「印刷データ」は、所定の画像をプリントエンジン28により印刷させるために無線ステーション(例えば、PC40)側から連続して送信されてくるものである。
このs610の処理で、データが印刷データであれば(s610:YES)、状態記憶領域22fに記憶されている中継印刷フラグに「1」をセットする(s620)。この中継印刷フラグは、初期状態では「0」がセットされており、無線ステーション側から印刷データの受信が行われている最中である場合にのみ「1」がセットされるものであって、後述する中継受信データ処理(図8)において利用される。
次に、全ての印刷データを受信し終えたかどうかをチェックする(s630)。
このs630の処理で、全ての印刷データを受信し終えていれば(s630:YES)、全ての印刷データにより示される画像をプリントエンジン28により印刷させ(s640)、状態記憶領域22fに記憶されている中継印刷フラグに「0」をセットした後(s650)、本端末受信データ処理を終了する一方、全ての印刷データを受信し終えていなければ(s630:NO)、印刷フラグへのセットを行うことなく、本端末受信データ処理を終了する。
また、上述したs610の処理で、データが印刷データでなければ(s610:NO)、そのデータに従った処理(その他の処理)を行う(s660)。この処理は、プリンタ20の有する上述した以外の機能を実現するための処理であるが、具体的な処理内容については、本発明を理解する上では重要ではないため省略する。
また、上述したs510の処理で、データが端末設定データであれば(s510:YES)、印刷データの受信が行われている最中であるか否かをチェックする(s670)。この処理では、「端末印刷フラグ」に「1」がセットされている場合のみ、印刷データの受信が行われている最中であると判定する。この「端末印刷フラグ」とは、後述する中継受信データ処理(図8)において、中継局側から印刷データの受信が行われている最中のみ「1」がセットされるものである。
このs670の処理で、印刷データの受信が行われている最中でなければ(s670:NO)、端末設定データに基づき、プリンタ20が中継局との接続を確立するために必要な設定を行った後(s680)、s530の処理へ移行する。このs680の処理では、プリンタ20が中継局との接続を確立するための各種設定項目として、まず、端末設定データで特定される端末用SSIDを端末記憶領域22bに記憶する。次に、端末設定デー
タから暗号キー,暗号化フラグおよび認証キーが特定可能あれば、これらを端末セキュリティ記憶領域22dに記憶する。
また、s670の処理で、印刷データの受信が行われている最中であれば(s670:YES)、プリンタ20が中継局との接続を確立するために必要な設定を行うことなく、本端末受信データ処理を終了する。○プリンタ20による中継受信データ処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される中継受信データ処理の処理手順を、図8に基づいて説明する。この中継受信データ処理は、図6におけるs390の処理の詳細な処理手順である。
まず、図6におけるs380の処理で受信されたデータが中継設定データであるか否かをチェックする(s710)。この「中継設定データ」とは、プリンタ20が無線ステーションとの接続を確立するための各種設定項目を特定可能なデータであって、この設定項目に基づく設定を指令するためのものである。なお、この中継設定データは、無線ステーションとしてのプリンタ20と接続を確立した中継局側から送信されてくるデータであって、例えば、アクセスポイント10を介してプリンタ20との接続を確立したPC30が後述するリモートセットアップ処理(図9)において送信してくるものである。また、上述の「各種設定項目」とは、具体的には、中継用SSID,暗号キー,暗号化フラグ,認証フラグのうち、少なくとも中継用SSIDを含む1以上のパラメータを特定可能なデータである。
このs710の処理で、データが端末設定データでなければ(s710:NO)、状態要求データであるか否かをチェックする(s720)。この「状態要求データ」は、プリンタ20と接続を確立した中継局側から送信されてくるものであって、例えば、アクセスポイント10を介してプリンタ20との接続を確立したPC30が、後述するリモートセットアップ処理(図9)において端末設定データを送信してきた後に送信してくるものである。
このs720の処理で、データが状態要求データであれば(s720:YES)、状態記憶領域22fに記憶されている接続状態データおよび設定状態データを、図6におけるs380の処理で受信されたデータの送信元に対して送信した後(s730)、本中継受信データ処理を終了する。
また、s720の処理で、データが状態要求データでなければ(s720:NO)、プリンタ20が無線ステーションとの接続を確立している最中かどうかをチェックする(s740)。この処理では、中継機能部24aにより無線ステーション(例えば、PC40)との通信が行われている場合に、無線ステーションとの接続が確立されている最中であると判定する。
このs740の処理で、無線ステーションとの接続を確立している最中であれば(s740:YES)、この無線ステーションとの間における通信がセキュリティ対策を施した状態で行われているかどうかをチェックする(s750)。この処理では、中継セキュリティ記憶領域22cに「認証キー」および通信を暗号化した状態で行う旨を示す「暗号化フラグ」が記憶され、かつ、認証記憶領域22eに「パスワード」が記憶されている場合に、通信がセキュリティ対策を施した状態で行われていると判定する。
このs750の処理で、通信がセキュリティ対策を施した状態で行われていない場合(s750:NO)、本中継受信データ処理を終了する。
一方、s750の処理で通信がセキュリティ対策を施した状態で行われている場合(s
750:YES)、または、s740の処理で無線ステーションとの接続を確立している最中でない場合(s740:NO)、図4におけるs170の処理で受信されたデータが印刷データであるか否かをチェックする(s760)。この「印刷データ」は、所定の画像をプリントエンジン28により印刷させるために中継局(例えば、アクセスポイント10)側から連続して送信されてくるものである。
このs760の処理で、データが印刷データであれば(s760:YES)、状態記憶領域22fに記憶されている端末印刷フラグに「1」をセットする(s770)。この処理は、図7におけるs620の処理と同様の処理である。なお、この端末印刷フラグは、図7の端末受信データ処理において、無線ステーション側から印刷データの受信が行われている最中のみ「1」がセットされるものである。
次に、全ての印刷データを受信し終えたかどうかをチェックする(s780)。
このs780の処理で、全ての印刷データを受信し終えていれば(s780:YES)、全ての印刷データにより示される画像をプリントエンジン28により印刷させ(s790)、状態記憶領域22fに記憶されている端末印刷フラグに「0」をセットした後(s800)、本端末受信データ処理を終了する一方、全ての印刷データを受信し終えていなければ(s780:NO)、端末印刷フラグへのセットを行うことなく、本中継受信データ処理を終了する。
なお、本実施形態においては、全ての印刷データを受信し終えてから印刷する構成となっているが、例えば、1ページ分や印字幅分などの単位データ毎に印刷を行うように構成されたプリンタにおいても本発明を適用することはできる。その場合、s780〜s790の処理では単位データを受信する度に印刷を行う、といった処理を繰り返し、全ての印刷データを受信したことを検知したら、s800の処理に移ることになる。これは、s630〜s650の処理においても同様である。
また、上述したs760の処理で、データが印刷データでなければ(s760:NO)、そのデータに従った処理(その他の処理)を行う(s810)。この処理は、プリンタ20の有する上述した以外の機能を実現するための処理であるが、具体的な処理内容については、本発明を理解する上では重要ではないため省略する。
また、上述したs710の処理で、データが端末設定データであれば(s710:YES)、印刷データの受信が行われている最中であるか否かをチェックする(s820)。この処理では、「中継印刷フラグ」に「1」がセットされている場合のみ、印刷データの受信が行われている最中であると判定する。
このs820の処理で、印刷データの受信が行われている最中でなければ(s820:NO)、端末設定データに基づき、プリンタ20が無線ステーションとの接続を確立するために必要な設定を行った後(s830)、本中継受信データ処理を終了する。このs830の処理では、プリンタ20が無線ステーションとの接続を確立するための各種設定項目として、まず、中継設定データで特定される中継用SSIDを中継記憶領域22aに記憶する。次に、中継設定データから暗号キー,暗号化フラグおよび認証フラグが特定可能あれば、これらを中継セキュリティ記憶領域22cに記憶する。
また、s820の処理で、印刷データの受信が行われている最中であれば(s820:YES)、プリンタ20が無線ステーションとの接続を確立するために必要な設定を行うことなく、本中継受信データ処理を終了する。○PC30,40によるリモートセットアップ処理
以下に、PC30,40により実行されるリモートセットアップ処理の処理手順を図9に基づいて説明する。このリモートセットアップ処理は、PC30においては、アクセスポイント10を介してプリンタ20との接続を確立し、このプリンタ20が中継局として無線ステーションとの接続を確立するために必要な設定を行うアプリケーションの機能により、中継用SSID,暗号キー,暗号化フラグ,認証フラグのうち、少なくとも中継用SSIDを含む1以上を、プリンタ20に対して設定させるための操作が行われた際に開始される。また、PC40においては、中継局としてのプリンタ20との接続を確立し、このプリンタ20がアクセスポイント10との接続を確立するために必要な設定を行うアプリケーションの機能により、端末用SSID,暗号キー,暗号化フラグおよび認証キーのうち、少なくとも端末用SSIDを含む1以上を、プリンタ20に対して設定させるための操作が行われた際に開始される。
なお、本実施形態において、上述の「設定させるための操作」とは、図10に示すような設定用画像をディスプレイに表示させ、各種設定項目の入力,選択などを行った後、「OK」ボタンb1を選択する操作を行う、といった一連の操作のことである。
まず、設定データを送信する(s910)。この処理では、上述の「プリンタ20に対して設定させるための操作」として設定させるべき設定項目を特定可能なデータとして、PC30においては中継設定データ、PC40においては端末設定データを生成し、プリンタ20へ送信する。これら設定データは、図7におけるs510の処理,図8におけるs710の処理においてプリンタ20が受信するデータである。
このs910の処理の後、PC40のみが行う処理として、接続指令データをプリンタ20へ送信する(s920)。この接続指令データは、プリンタ20が図7におけるs520の処理で受信するデータである。なお、この処理において、接続指令データは、s910の処理で端末設定データを送信した後、プリンタ20側で端末設定データに関する設定を行うのに充分な時間が経過した後に送信される。
また、PC30がs910の処理を行った後、PC40がs920の処理を行った後に行う処理として、状態要求データをプリンタ20へ送信する(s930)。この状態要求データは、プリンタ20が図7におけるs570の処理,図8におけるs720の処理で受信するデータである。なお、この処理において、状態要求データは、PC30については、s910の処理で中継設定データを送信した後、プリンタ20側で中継設定データに関する設定を行うのに充分な時間が経過した後に送信する。また、PC40については、s920の処理で接続指令データを送信した後、プリンタ20側で接続指令データに基づく確立をチェックするのに充分な時間が経過した後に送信される。この状態要求データを受信したプリンタ20は、図7におけるs580の処理,図8におけるs730の処理において接続状態データ,設定状態データを送信してくる。
そして、プリンタ20から接続状態データおよび設定状態データを受信するまで待機し(s940:NO)、これらデータを受信したら(s940:YES)、接続状態データで示される接続状態および設定状態データで示される設定状態を報知する(s950)。この処理では、接続状態および設定状態をディスプレイにより表示することにより報知を行う。
[第1実施形態の効果]
上述した本実施形態のプリンタ20によれば、無線LANコントローラ24の端末機能部24bによって、外部に用意された所定の中継局(アクセスポイント10)により提供され端末用SSIDに対応した無線ネットワークとの接続を確立する無線ステーション本来の機能を実現する。一方、中継機能部24aによって、無線ネットワークにおける通信対象をグループ化するために必須の中継用SSIDに基づく独自の無線ネットワークを確
立させてプリンタ20自身を中継局として機能させることもできる。
これら端末機能部24bおよび中継機能部24aは、CPU21によって同時に動作が制御されるため、中継機能部24aにより確立させた無線ネットワークを介して、端末機能部24bにより無線ネットワークとの接続を確立するために必要な設定を間接的に行った後であっても、中継機能部24aつまり中継局としての機能が停止されることはない。よって、例えば、このプリンタ20を介して他の無線ステーション(例えば、PC40)が無線ネットワークとの間で無線通信を行うなどといった用途に活用できる。
また、プリンタ20は、図5におけるs210の処理で、無線ステーションとしての機能により、中継局(例えば、アクセスポイント10)との接続を確立している最中、中継局としての機能の一つであるSSIDの報知を行ず、つまり、中継局としての機能の一部を停止させている。このように、無線ステーションとしての機能により中継局と通信を行っている間は、中継機能部24aにより無線ネットワークを確立するために必要なSSIDが送信されることはない。そのため、このSSIDの送信に際する電波が、中継局との通信に何らかの悪影響(例えば、混信や通信速度の低下など)を与えてしまうことを防止できる。
また、プリンタ20は、ネットワークを介して受信した印刷データに基づく画像を印刷するといった機能を実現できるため(図7におけるs610,図8におけるs760の処理)、アクセスポイント10を介して接続が確立されたPC30だけでなく、直接接続が確立されたPC40に対しても、画像を印刷するといったサービスを提供することができる。このように、PC40は、アクセスポイント10により確立された無線ネットワークと接続を確立できるように設定された正規の無線ステーションでなくても、プリンタ20が中継局として確立している無線ネットワークへ接続し、このプリンタ20へ印刷データを送信することによって、アクセスポイント10により確立された無線ネットワークを介さずに直接プリンタ20が提供可能なサービス(画像の印刷)を利用することができる。
正規の無線ステーションでない無線ステーションは、無線ネットワークへの不正アクセス等を試みようと考える悪意のあるユーザにより操作される可能性もあり、このような無線ステーションが容易に無線ネットワークへ接続できるような状況はセキュリティ上好ましいことではない。そのため、上述したように、プリンタ20が提供可能なサービスを、このプリンタ20が無線ステーションとしての機能により接続を確立している無線ネットワークを介さずに利用できることは、例えば、ゲストユーザが操作する正規の無線ステーション以外の無線ステーションに対してサービスを提供するような場合であっても、無線ネットワークのセキュリティを低下させることがないため好適である。
また、図7におけるs510の処理で端末設定データを受信した場合、s670の処理で、この端末設定データに基づいて、中継局との接続を確立するための設定が行われる。この端末設定データは、プリンタ20が中継局としての機能により無線ステーション側から直接受信するものであるため、例えば、PC40などの無線ステーションは、中継局として確立した無線ネットワークを介して、中継局との接続を確立するために必要な設定を間接的に行う、つまり、リモートセットアップを行うことができる。
特に、プリンタ20は、無線ステーション本来の機能を実現しつつ、プリンタ20自身を中継局としても機能させることができるため、リモートセットアップを行う側の無線ステーションについては、中継局として確立した無線ネットワークとの接続を「インフラストラクチャモード」でできればよい。そのため、例えば、「インフラストラクチャモード」にて使用していた無線ステーションであるPC30をリモートセットアップに利用する場合であっても、このPC30を「アドホックモード」へ切り替える必要がなく、リモートセットアップに要する作業の手間を低減することができる。
また、図7におけるs670の処理で設定が行われた後、s550の処理で接続要求フラグに「1」をセットすることにより、端末機能処理(図6)を開始させ、プリンタ20が中継局との接続を確立可能か否かのチェックを行い、その後、s580の処理で、無線ステーション側からの状態要求データを受けて接続状態データおよび設定状態データを返信する。これらデータは、上述のチェック結果に従った接続状態および設定状態を示す内容となるため、接続状態および設定状態を報知していることになる。このように、上述のようにリモートセットアップを行った後、このリモートセットアップにより中継局(例えば、アクセスポイント10)が確立している無線ネットワークへの接続が正常に確立できたか否かを、リモートセットアップを行った無線ステーション側に報知することができる(図9におけるs950の処理参照)。
このように、PC30,40のユーザは、図9におけるs950の処理による報知内容によって、リモートセットアップにより中継局が確立している無線ネットワークへの接続が正常に確立できたか否かを確認することができる。
また、図7におけるs510の処理で、プリンタ20自身が中継局として確立した無線ネットワーク側(PC40)から端末設定データを受信したとき、中継局(アクセスポイント10)により確立された無線ネットワーク側(PC30)から印刷データを受信している最中であれば、この端末設定データに基づく設定は行われない。
プリンタ20が中継局により確立された無線ネットワークとの接続を確立しているときに、端末設定データに基づく設定が行われてしまうと、設定内容が変更されることに伴い先に接続が確立されていた無線ネットワークとの通信が突然中断されてしまう。このことから、プリンタ20が中継局により確立された無線ネットワーク側から印刷データを受信しているときに上述した通信の中断が起こると、印刷データの受信が途中で終了し、これによりプリンタ20が正常な画像の印刷ができなくなるなど何らかの悪影響が発生する恐れがある。そのため、上述のように、端末設定データを受信したときでも、印刷データを受信している最中であれば、この端末設定データに基づく設定が行われないように構成することは、通信の中断による何らかの悪影響が発生することを防止できるため好適である。
同様に、図8におけるs710の処理で、中継局(アクセスポイント10)により確立された無線ネットワーク側(PC30)から中継設定データを受信したとき、プリンタ20自身が中継局として確立した無線ネットワーク側(PC40)から印刷データを受信している最中であれば、この中継設定データに基づく設定は行われない。この場合においても、同様の理由から、通信の中断による何らかの悪影響が発生することを防止できるため好適である。
また、図4におけるs110の処理で、中継局(アクセスポイント10)との接続が確立されている最中であるとき、この中継局との通信に対して施されているセキュリティ対策(認証および暗号キー)を、プリンタ20自身が中継局として確立した無線ネットワークとの通信に対して適用することができる。そのため、プリンタ20自身が中継局として確立した無線ネットワークとの通信に対しても、中継局との通信と同様のセキュリティを確保することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態のネットワーク構成と同様であって、PC30,40により実行されるリモートセットアップ処理の処理手順が異なるだけであるため、この相違点についてのみ詳述する。○PC30,40によるリモートセットアップ処理
以下に、PC30,40により実行されるリモートセットアップ処理の処理手順を図1
1に基づいて説明する。なお、本実施形態において「プリンタ20に対して設定させるための操作」とは、それぞれがポップアップ画面としてディスプレイに表示されるi種類(本実施形態においては3種類)の設定用画像のうち、第1設定用画像をディスプレイに表示させるための操作である。この設定用画像では、特定の設定項目の入力または選択を行った後、「次へ」ボタンb2を選択していくことによって、i種類の設定用画像がウィザード形式で順番に表示される(図12(a)〜図12(c)参照)。
まず、変数Nを初期化する(s1010)。この処理では、変数Nに「1」をセット(1→N)する。なお、以降に記載の「n」とは変数Nにセットされた値を示すものとする。
次に、変数Nの値nが設定用画像の数iに到達している(i=n)か否かをチェックする(s1020)。
このs1020の処理で、変数Nの値nが設定用画像の数iに到達していなければ(s1020:NO)、第n設定用画像をディスプレイに表示する(s1030)。この第n設定用画像が表示された後、ユーザは、キーボードやマウスなどの操作部によって、特定の設定項目の入力または選択を行った後、「次へ」ボタンb2を選択する操作を行うことができる。
次に、第n設定用画像における「次へ」ボタンb2を選択する操作が行われるまで待機し(s1040:NO)、「次へ」ボタンb2を選択する操作が行われたら(s1040:YES)、設定データを送信する(s1050)。この処理では、第n設定用画像で入力又は選択された設定項目を特定可能なデータを、PC30においては中継設定データとして生成し、PC40においては端末設定データとして生成し、プリンタ20へ送信する。これら設定データは、図7におけるs510の処理,図8におけるs710の処理においてプリンタ20が受信するデータである。
このs1050の処理の後、PC40のみが行う処理として、接続指令データをプリンタ20へ送信する(s1060)。この処理は、図9におけるs920の処理と同様の処理である。
また、PC30がs1050の処理の後に行い、PC40がs1060の処理の後に行う処理として、状態要求データをプリンタ20へ送信する(s1070)。この処理は、図9におけるs930の処理と同様の処理である。
次に、プリンタ20から接続状態データおよび設定状態データを受信するまで待機し(s1080:NO)、これらデータを受信したら(s1080:YES)、設定状態データで示される設定状態をチェックする(s1090)。この処理では、設定状態データで示される設定状態が「充分な設定状態である旨」であるか否かをチェックする。
このs1090の処理で、設定状態データで示される設定状態が「充分な設定状態である旨」ではない場合(s1090:NO)、変数Nに「1」を加算(n+1→N)した後(s1100)、s1020の処理へ戻る。
こうして、s1020からs1100の処理を繰り返すことにより、第1〜第i―1設定用画像それぞれに対する状態要求データを、「充分な設定状態である旨」を示す設定状態データが送信されてくるまで順番に送信する。
そして、s1090の処理で、設定状態データで示される設定状態が「充分な設定状態である旨」である場合(s1090:YES)、プリンタ20側において中継局との接続が正常に確立された旨を報知した後(s1110)、本リモートアップ処理を終了する。
このs1110の処理では、図12(d)に示すように、プリンタ20側において中継局との接続が正常に確立された旨の確立報知画像をディスプレイで表示することにより報知を行う。
また、s1010からs1100の処理を繰り返して、第1〜第i―1設定用画像それぞれに対する状態要求データを順番に送信したにも拘わらず、「充分な設定状態である旨」を示す設定状態データが送信されてこなかった場合には、上述したs1020の処理で、変数Nの値nが設定用画像の数iに到達することになる。
このように、変数Nの値nが設定用画像の数iに到達した場合には(s1020:YES)、図12(e)に示すような第i設定用画像をディスプレイに表示する(s1120)。この第i設定用画像が表示された後、ユーザは、キーボードやマウスなどの操作部によって、「接続」ボタンb3を選択する操作を行うことができる。
次に、「接続」ボタンb3を選択する操作が行われるまで待機し(s1130:NO)、「接続」ボタンb3を選択する操作が行われたら(s1130:YES)、状態要求データをプリンタ20へ送信する(s1140)。この処理は、s1070の処理と同様の処理である。
次に、プリンタ20から接続状態データおよび設定状態データを受信するまで待機する(s1150:NO)。そして、これら接続状態データおよび設定状態データを受信したら(s1150:YES)、接続状態データで示される接続状態および設定状態データで示される設定状態を報知する(s1160)。この処理は、図9におけるs950の処理と同様の処理である。
[第2実施形態の効果]
上記実施形態においてプリンタ20およびPC30,40は、第1実施形態と同様の構成から得られる効果の他に、以下に示すような効果を得ることができる。
本実施形態のPC30,40によれば、リモートセットアップ処理によって、プリンタ20が中継局または無線ステーションと接続を確立するのに必要な複数の設定事項それぞれを順番に設定していくことができる。このとき、PC30,40のユーザは、自身の操作により順番に設定事項に対する設定を行うことができ、その都度、s1110の処理による報知が行われるか否かにより、接続が正常に確立されたかどうかを確認することができる。
また、プリンタ20が中継局または無線ステーションと接続を確立するのに必要な複数の設定事項全てについての設定を行ったにも拘わらず、接続が正常に確立されない場合には、s1160の処理により、その旨を報知することができる。
また、複数の設定事項全てについての設定が終了する前に、s1160の処理による報知が行われた場合には、設定内容の入力が終了されるため、接続を最小限の設定により確立できるようにすることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態のネットワーク構成と同様であるが、一部装置の構成および処理手順が異なるため、この相違点についてのみ詳述する。
プリンタ20は、無線LANコントローラ24が端末機能部に相当する部分だけで構成され、「無線ステーション」のみとして機能するデバイスである。そのため、ROM22には、図13(a)に示すように、中継記憶領域,中継セキュリティ領域および認証記憶領域が存在せず、また、中継局に拘わる処理(中継機能処理)は行わない。なお、このR
OM22には、後述するPC30が中継局として確立可能な無線ネットワークへの接続を確立するための設定項目(端末用SSID,暗号キー,暗号化フラグ,および認証キー)が、デフォルト(工場出荷)状態の設定項目としてデフォルト記録領域22gに記録されている。
PC30は、通常、「無線ステーション」として機能するデバイスであって、図14に示すように、CPU31,ROM32,RAM33,PCインターフェース部(PCI/F)35,キーボード36およびディスプレイ37からなる周知のコンピュータシステムに、第1実施形態におけるプリンタ20の備えるのと同様の無線LANコントローラ34が備えられたものである。これらのうちROM32には、図13(b)に示すように、第1実施形態におけるプリンタ20と同様の各記憶領域(中継記憶領域32a,端末記憶領域32b,中継セキュリティ記憶領域32c,端末セキュリティ記憶領域32d,認証記憶領域32eおよび状態記憶領域32f)を備えており、これら記憶領域の記録内容に基づいてCPU31が無線LANコントローラ34を制御することにより「無線ステーション」だけでなく、「中継局」としての通信機能が実現される。○PC30の中継機能処理
以下に、PC30の備えるCPU31により実行される中継機能処理の処理手順を図15に基づいて説明する。この中継機能処理は、無線LANコントローラ34の中継機能部34aによる通信を制御するための処理であって、PC30が起動された以降、繰り返し実行される。
まず、無線ステーション(例えば、プリンタ20)側から接続要求を受ける(アクセスされる)まで待機し(s1210:NO)、接続要求を受けたら(s1210:YES)
、接続要求してきた無線ステーションとの接続を確立してもよいかどうかをチェックする(s1220)。この処理は、図4におけるs150の処理と同様の処理である。
このs1220の処理で、無線ステーションとの接続を確立すべきでないと判定された場合は(s1220:NO)、接続を確立することなくs1210の処理へ戻る一方、接続を確立してもよいと判定された場合には(s1220:YES)、この無線ステーションとの接続を確立する(s1230)。この処理は、図4におけるs160の処理と同様の処理である。
次に、無線ステーション側からデータを受信したかどうかをチェックする(s1240)。
このs1240の処理で、データを受信したら(s1240:YES)、このデータが切断要求かどうかをチェックする(s1250)。
このs1250の処理で受信したデータが切断要求でなければ(s1250:NO)、受信したデータが設定要求かどうかをチェックする(s1260)。この「設定要求」とは、s1230の処理で接続を確立した無線ステーション側から送信されてくるデータであって、PC30自身が無線ステーションとして中継局(アクセスポイント10)と接続を確立するための設定項目を要求するためのデータである。
このs1260の処理で、受信したデータが設定要求であれば(s1260:YES)、RAM33に設定データを記憶する(s1270)。この処理では、PC30自身が中継局と接続を確立するための設定項目であって、端末記憶領域32b,端末セキュリティ記憶領域32dの記録内容(端末用SSID,暗号キー,暗号化フラグ,および認証キー)全てを示すデータを設定データとし、s1230の処理で接続を確立した無線ステーションに対応づけた状態でRAM33に記憶する。このRAM33に記憶された設定データは、後述するs1300の処理において無線ステーション側へ送信されることになる。
一方、s1260の処理で、受信したデータが設定要求でなければ(s1260:NO)、この受信したデータに対応する処理を行う(s1280)。この処理は、図4におけるs190の処理と同様の処理である。
こうして、s1270,s1280の処理を終えた後、無線ステーション側へ送信すべきデータがあるかどうかをチェックする(s1290)。
このs1290の処理で、送信すべきデータがなければ(s1290:NO)、そのままs1240の処理へ戻る一方、送信すべきデータがあれば(s1290:YES)、このデータを無線ステーション側へ送信した後(s1300)、s1240の処理へ戻る。
こうして、s1240からs1300の処理を繰り返した後、このs1240の処理で受信したデータが切断要求である場合(s1250:YES)、無線ステーションとの接続を開放した後(s1310)、s1210の処理へ戻る。このs1310の処理は、図4におけるs220の処理と同様の処理である。○PC30の端末機能処理
以下に、PC30の備えるCPU31により実行される端末機能処理の処理手順を図16に基づいて説明する。この端末機能処理は、第1実施形態におけるプリンタ20が実行するものと同様の処理であり、s400,s410の処理の後、本実施形態特有の処理が行われるように構成されたものであるため、この特有の処理についてのみ詳述する。なお、特有の処理以外は、第1実施形態における端末機能処理に関する説明において、「プリンタ20」との記載を「PC30」と読み替え、「端末記憶領域22b」を「端末記憶領域32b」と読み替え、「状態記憶領域22f」を「状態記憶領域32f」と読み替えたものを本実施形態における端末機能処理の説明とする。
まず、s410の処理を終えた後、または、s400の処理で送信すべきデータがない場合(s400:NO)、RAM34に設定データが記憶されているかどうかをチェックする(s412)。この設定データは、上述した中継機能処理(図15)におけるs1270の処理でRAM33に記憶されるものである。
このs412の処理で設定データが記憶されていれば(s412:YES)、設定データを送信した無線ステーションに対する接続試験を行う(s416)。本実施形態においては、プリンタ20に対してテスト印刷用の印刷データを送信することによって、プリンタ20との接続が正常に確立できるか否かを試験する。この後、プリンタ20側において印刷データで示される画像の印刷が正常に行われれば、プリンタ20側での設定データに基づく設定が正常に行われたことになる。なお、この416の処理では、接続試験を行った後、RAM34から設定データを削除する。
このs416の処理を終えた後、または、s412の処理で設定データが記憶されていなければ(s412:NO)、s420の処理へ移行する。○プリンタ20の端末機能処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される端末機能処理の処理手順を図17に基づいて説明する。本実施形態における端末機能処理は、第1実施形態における端末機能処理(図6)と同様の処理であって、s310の処理の前に、以下に示すような処理が行われるように構成されたものである。
まず、プリンタ20がデフォルト状態となっているかどうかをチェックする(s301)。この処理では、ROM22のうち、デフォルト記憶領域22gを除く各記憶領域に設定項目が記憶されていない場合に、プリンタ20がデフォルト状態であると判定する。本実施形態において、プリンタ20が製造後に初めて起動した場合や、デフォルト状態に戻
すための操作が行われた場合、ROM22のうちデフォルト記憶領域22gを除く各記憶領域には設定項目が記憶されていない(または削除される)ため、デフォルト記憶領域22gを除く各記憶領域に設定項目が記憶されていなければプリンタ20がデフォルト状態であると判定できる。
このs301の処理で、デフォルト状態でなければ(s301:NO)、つまり、ROM22に設定項目それぞれが記憶されていれば、s310の処理へ移行する。
一方、s301の処理で、デフォルト状態になっていれば(s301:YE)、デフォルトの設定項目により中継局との接続を確立可能な状態に設定する(s302)。この処理では、デフォルト記憶領域22gに記憶されている各設定項目、つまり、PC30が確立可能な無線ネットワークへの接続を確立するための設定項目それぞれを、端末記憶領域22bおよび端末セキュリティ記憶領域22dに記憶させる。
次に、接続要求を送信する(s303)。この処理では、s302の処理により設定された設定項目に基づいて、無線ステーションとしての接続要求をPC30へ送信する。
次に、PC30との接続が確立したか否かをチェックする(s304)。この処理では、s320の処理と同様に、s303の処理で接続要求を送信してから所定時間以内に、PC30側から通信を開始するためのデータを受信した場合に、PC30との接続が確立したと判定する。
このs304の処理で、PC30との接続を確立できなかった場合(s304:NO)、その旨を報知した後(s305)、本端末機能処理を終了する。このs305の処理では、表示パネル27に、PC30との接続を確立できない旨のメッセージを表示させることにより報知を行う。なお、このs305の処理では、メッセージを表示する方法以外に、メッセージをプリントエンジン28により印刷することにより報知を行うように構成してもよい。
一方、s304の処理で、PC30との接続を確立できた場合(s304:YES)、設定要求を送信する(s306)。この処理では、PC30が中継局と接続を確立するための設定項目を示す設定データを要求するためのデータをPC30へ送信する。この設定要求を受信したPC30側からは、上述した中継機能処理(図15)におけるs1270の処理でRAM33に設定データが記憶された後、この設定データが中継機能処理(図15)におけるs1300の処理で送信されてくる。
次に、PC30側から設定データを受信するまで待機した後(s307:NO)、設定データを受信したら(s307:YES)、この設定データで示される設定項目の設定を行った後(s308)、s350の処理へ移行する。このs308の処理では、設定データで示される設定項目として、端末用SSIDを端末記憶領域22bに記憶し直して、暗号キー,暗号化フラグ,および認証キーを端末セキュリティ記憶領域22dに記憶し直す。こうして、プリンタ20には、PC30が中継局と接続を確立するための設定項目が設定されるため、これにより、PC30との通信が同一の中継局を介して行えるようになる。
[第3実施形態の効果]
上記実施形態においてプリンタ20およびPC30,40では、第1実施形態と同様の構成から得られる効果の他に、以下に示すような効果を得ることができる。
本実施形態のプリンタ20によれば、PC30が中継機能部34aにより確立した無線
ネットワークへ接続した以降、このPC30から設定データを受信することにより、この設定データで示される設定項目を設定(リモートセットアップ)することができる。
また、図17におけるs306の処理で設定要求を送信することにより、設定データの送信を要求することができるため、設定要求を送信するタイミングで設定データに基づく設定を行うことができる。
また、本実施形態のPC30によれば、図15におけるs1300の処理で送信される設定データによって、プリンタ20に、PC30が中継局と接続を確立するための設定項目と同様の設定を行わせることができる。
また、図15におけるs1300の処理で設定データを送信してプリンタ20側で設定を行わせた後、図16におけるs416の処理で接続試験を行うことによって、プリンタ20が、PC30が中継局と接続を確立するための設定項目と同様の設定を正常に行った否かをチェックすることができる。
また、図15におけるs1260の処理で受信した設定要求に応じて、s1270の処理で設定データをRAM33に記憶させた後、この設定データをs1300の処理にて送信することにより、プリンタ20に設定データで示される設定項目を設定させることができる。
[変形例] 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実
施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、本発明の無線ステーションとしてプリンタ20を適用したものを例示した。しかし、本発明の無線ステーションとしては、無線ステーションとして機能するデバイスであれば、プリンタ20以外のデバイスに適用することもできる。
また、上記実施形態においてプリンタ20は、図5のSSID報知処理において、中継局との接続を確立している最中に、中継局としての機能の一つであるSSIDの報知を行わないように構成されたものを例示した。しかし、中継局との接続を確立している最中には、例えば、図4の中継機能処理そのものが実行されないように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、図7におけるs510,図8におけるs710の処理で、印刷データを受信している最中であれば、設定データに基づく設定は行われないように構成されたものを例示した。しかし、上述の処理においては、印刷データを受信している最中であれば、この印刷データの受信が終了するまで待機し、その後、設定データに基づく設定を行うように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、図4におけるs110の処理で、中継局(アクセスポイント10)との接続が確立されている最中、この中継局との通信に対して施されているセキュリティ対策(認証および暗号キー)が、プリンタ20自身が中継局として確立した無線ネットワークとの通信に対しても適用されるように構成されたものを例示した。しかし、プリンタ20自身が中継局として確立した無線ネットワークへの無線ステーションの接続は、何らセキュリティ対策を施すことなく行うように構成してもよく、この場合、この無線ステーションは、中継用SSIDを設定するだけで、プリンタ20自身が中継局として確立した無線ネットワークとの接続を容易に確立できる。
また、上記実施形態においては、セキュリティ対策の1つである認証方式として、中継局側に記憶されたパスワードに基づく認証方式を採用したものを例示した。しかし、「認証方式」としては、例えば、ユーザ名およびIDによる認証方式(IEEEE802.1
x規格により規定)、無線ステーション固有の識別番号(MACアドレス)をチェックすることによる認証方式(MACアドレスによるフィルタリング)などを採用してもよい。
また、上記実施形態においては、セキュリティ対策の1つである暗号化通信に使用される暗号キーとして、WEPキーを採用したものを例示した。しかし、「暗号キー」としては、例えば、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol )、AES(Advanced Encryption Standard)、WEPplusなどの暗号化方式において定められた暗号キーを採用してもよい。
また、上記実施形態においては、図7におけるs510の処理で、プリンタ20が中継局としての機能により端末設定データを受信したとき、無線ステーションとしての機能により印刷データを受信している最中である場合には、この端末設定データに基づく設定を行わないように構成されたものを例示した。しかし、このように、無線ステーションとしての機能により印刷データを受信している最中である場合には、中継局としての機能によるデータの受信そのものを行わないようにしても同様の作用・効果を得ることができる。
同様に、図8におけるs710の処理で、プリンタ20が無線ステーションとしての機能により中継設定データを受信したとき、中継局としての機能により印刷データを受信している最中である場合には、この中継設定データに基づく設定を行わないように構成されたものを例示した。しかし、このように、中継局としての機能により印刷データを受信している最中である場合には、無線ステーションとしての機能によるデータの受信そのものを行わないようにしても同様の作用・効果を得ることができる。
また、上記第3実施形態においては、図16におけるs416の処理で接続試験を行った後、そのままs420の処理へ移行するように構成されたものを例示した。しかし、s416の処理で行った接続試験の結果をチェックし、プリンタ20側での設定が正常に行われていない場合には、s414の処理へ戻って、接続試験を行うように構成してもよい。
また、上記第3実施形態においては、図16におけるs416の処理において、プリンタ20側にテスト印刷用の印刷データを送信し、この印刷データで示される画像がプリンタ20により印刷されるか否かによって、接続試験の結果を報知するように構成されたものを例示した。しかし、接続試験および結果を報知するための構成としては、他の構成を採用することもできる。例えば、単純に中継局を介したアクセスが可能かどうかのみをチェックし、そのチェック結果をディスプレイ37に表示する、といった構成が考えられる。