以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態の装置構成を説明する。図1に、本実施形態のデジタルカメラ1の外観を示す。図1(a)は、主にデジタルカメラ1の前面の構成を示し、図1(b)に主にデジタルカメラ1の背面の構成を示す。
図1(a)に示すように、デジタルカメラ1は、略矩形のボディ前面に、撮影レンズ2、セルフタイマランプ3、光学ファインダ窓4及びストロボ発光部5が配設され、上面には電源キー6及びシャッタキー7が配される。
電源キー6は、1回押圧操作する毎に電源をオン/オフするためのキーである。シャッタキー7は、撮影モード時にレリーズを指示し、メニュー選択時に設定/実行を指示するためのキーである。
また、図1(b)に示すように、デジタルカメラ1の背面には、モードスイッチ(SW)8、メニューキー9、十字キー10、光学ファインダ11、ストロボチャージランプ12、表示部13及びストップウォッチボタン14を配する。
モードスイッチ8は、スライドスイッチ等により構成され、撮影モード「R」と再生モード「P」とを切換えるためのスイッチである。撮影モード「R」には、動画撮影モード、スリット撮影モード、スチル撮影モード等があり、スライドスイッチのスライド位置に応じて撮影モードを指定することができる。メニューキー9は、各種メニュー選択時に操作するためのキーである。
十字キー10は、図1及び図3に示すように、4つの方向キー(上下左右)を有し、スリット撮影時に、被写体の移動方向を指定するためのキーである。例えば、表示部13に表示中のスルー画像において、被写体の移動方向が上向きである場合には、十字キー10の上向きのキーが押下される。同様に、被写体の移動方向が右向きである場合には、十字キー10の右向きのキーが押下され、被写体の移動方向が下向きである場合には、十字キー10の下向きのキーが押下され、被写体の移動方向が左向きである場合には、十字キー10の左向きのキーが押下される。
ストップウォッチボタン14は、スリット撮影モードにおいて、計時の開始及び終了を指示するためのボタンと、計時をリセットするためのボタンを備える。
表示部13は、バックライト付きのカラー液晶パネル等により構成され、撮影モード時には、電子ファインダとしてモニタ表示を行い、再生モード時には、選択された画像を再生表示する。
なお、図示はしないが、デジタルカメラ1のボディ下面には、蓋付きのメモリカードスロットが設けられ、デジタルカメラ1の記録媒体であるメモリカードが着脱自在に装着されるものとする。また、図示はしないが、デジタルカメラ1には、外部機器と通信するためのケーブルを接続するためのコネクタのスロットも設けられる。
次に、図2を参照して、デジタルカメラ1の電子回路構成について説明する。デジタルカメラ1は、図2に示すように、モータ(M)21、レンズ光学系22、CCD23、TF(タイミング発生器)24、垂直ドライバ25、S/H(サンプルホールド回路)26、A/D変換器27、カラープロセス回路28、DMA(Direct Memory Access)コントローラ29、DRAM(Dynamic RAM) I/F(DRAMインターフェース)30、DRAM31、制御部32、VRAM(Video RAM)コントローラ33、VRAM34、デジタルビデオエンコーダ35、キー入力部36、JPEG(Joint Photograph coding Experts Group)回路37、フラッシュメモリ38、タイマー部39、距離・速度計測部40、表示部13により構成される。
モータ(M)21は、制御部32から入力される制御信号に従って駆動し、レンズ光学系22の絞り位置を移動させる。
CCD23は、撮像素子が平面状(2次元)に配列された構造を有し、光入力を電気信号に変換して蓄積する光電変換部、蓄積された電荷を読み出す走査部、電気信号として出力する出力部により構成され、撮影モードでのモニタリング状態において、タイミング発生器(TG)24、垂直ドライバ25によって駆動される。
以下、図4を参照して、CCD23の走査部による電荷(撮像信号)の読出し方法について説明する。電荷の読出し方法としては、全画素分の電荷を読み出す全画素読出しモード(図4(a))、数ラインおきに電荷を読み出す間引き読出しモード(図4(b))、画面中央部の数十〜数百ラインのみの電荷を読み出す動画撮影用の中央部走査モード(図4(c))及び高速AF制御用のAFモード(図4(d))等がある。中央部走査モード及びAFモードでは、画面中央部の数十〜数百ラインのみを通常の撮影よりも数倍の高速のフレーム速度で読出し、他のラインの画素データを掃き出すように制御するモードである。高速で移動している被写体のスリット撮影では、このような高速駆動のCCDを使用するのが好ましい。
なお、CCD23の受光素子上の1点から複数点を、被写体の速度センサとして利用し、被写体が速度センサ上を通過する時間を計測するようにしてもよい。このようにすると、センサ上を通過した時間から、取り込まれた被写体の画像の縦横比を算出し、取込画像に対して一方向のみへの拡大又は縮小をして画像を生成することができる。この方法を用いて被写体の速度を連続して計測し続けることで、撮影中に被写体の速度が変化した場合であっても、被写体の縦横比を一定に保つことが可能になる。
CCD23の出力部から出力された電気信号は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整され、S/H(サンプルホールド回路)26は、このゲイン調整された信号をサンプルホールドする。A/D変換器27は、S/H(サンプルホールド回路)26から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、カラープロセス回路28に出力する。
カラープロセス回路28は、A/D変換器27から出力されたデジタル信号に対して画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理を施し、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb、Crを生成し、DMAコントローラ29に出力する。
DMAコントローラ29は、カラープロセス回路28から出力された輝度信号Y及び色差信号Cb、Crを、同じくカラープロセス回路28から出力された複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号及びクロック信号を用いて一度DMAコントローラ29内部のバッファに書込み、DRAM I/F30を介してバッファメモリとして使用されるDRAM31にDMA転送を行う。
制御部32は、CPU(Central Processing Unit)、CPUで実行される動作プログラムを固定的に記憶したROM(Read Only Memory)及びワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)等により構成され、デジタルカメラ1全体の制御動作を実行する。以下、制御部32による制御動作について説明する。
制御部32は、撮影モード時、輝度信号及び色差信号のDRAM31へのDMA転送終了後、これら輝度信号及び色差信号をDRAM31からDRAM I/F30を介して読出し、VRAMコントローラ33によりVRAM34に書き込ませる。また、制御部32は、再生モード時、フラッシュメモリ38に記録された符号化された画像データを伸長し、その伸長された画像データを、VRAMコントローラ33によりVRAM34に展開させて記憶させる。
制御部32は、スリット撮影モード時に、移動している被写体を同一地点において撮影するスリット撮影処理を実行する(図12参照)。このスリット撮影処理において、制御部32は、40で計測された被写体とデジタルカメラ1との間の距離及び被写体の速度から、スリット速度、フレーム速度、スリット幅を算出し(図13参照)、算出されたフレーム速度で被写体を撮影するための制御をする。また、算出されたスリット幅に従って、スリット撮影によって取り込まれた各画像(フレーム画像)から短冊状のスリット画像を切出し、切出された各スリット画像と時間情報を符号化してフラッシュメモリ38に記録する。
また、制御部32は、スリット画像を表示部13に表示(再生)する場合、切出された各スリット画像を、被写体の移動方向と反対方向に連結させることでスリット画像を合成し、計時目盛を付加して表示する(図18及び図22参照)。
更に、制御部32は、電池残量、メモリの空き領域の容量から、スリット撮影可能な残り時間を算出する処理を実行する(図25及び図26参照)。
以下、図5を参照して、制御部32により実行されるスリット画像の合成方法について説明する。
制御部32は、移動している被写体を同一地点において連続的に撮影することにより得られる各画像毎に、中央部の短冊状のスリット画像を切出し、フラッシュメモリ38に記録させる(図5(a))。スリット画像の長辺は、被写体の移動方向に垂直であり、スリット画像の短辺は、被写体の移動方向に平行である。被写体の移動方向は、図3に示すように、十字キー10の操作により指定されている。また、スリット画像の短辺のライン数は、被写体の速度、被写体とデジタルカメラ1との間の距離等から算出されるスリット幅によって決定される。
スリット画像を再生する場合、制御部32は、切出された各スリット画像を、撮影時間順に、十字キー10の操作によって指定された被写体の移動方向と逆方向に連結することによって、スチル画像として合成し(図5(b))、合成されたスチル画像に、計時時間等を示す目盛を付加し、表示部13に表示させる(図5(c))。
図5(c)に示すように、スリット画像の合成により再生された画像は、一見すると、一般のスチル画像と同じように見えるが、同じ地点(図5では、陸上競技場のゴール地点)の時間経過が異なるスリット画像を並べた時間軸上の画像ゆえ、画像の位置が、被写体の通過時間を表すことになる。なお、スリット画像の連結方向を、被写体の移動方向と同一方向になるように設定すると、再生された画像上において、被写体の移動方向が逆向きになる。
次に、図6及び図7を参照して、制御部32により実行されるスリット画像の切出し方法について説明する。
CCD32により、全画素読出しモード又は間引き読出しモードで電荷(撮像信号)を読み出す場合、図6(a)に示すように、中央の縦1〜数十ラインの画素のみを切出す方法を用いる。また、全画素読出しモードで撮像信号を読み出す場合、図6(b)に示すように、中央の横1〜数十ラインの画素のみを切出す方法を用いることも可能である。また、央部読出しモード又はAFモードで撮像信号を読み出す場合、図6(c)に示すように、中央部のwライン分の画素(v+1〜v+wライン、数十〜数百ライン)を読出して、1〜vライン及びv+w+1〜n−(v+w)ラインを掃き出し、読み出された中央部のwライン分の画素から、更に、1〜数十ラインの画素のみを切出す方法を用いる(図6(d))。
なお、デジタルカメラ1の撮像素子として、CMOSイメージセンサを用いることもできる。CMOSイメージセンサでは、アドレスの走査順や一部領域のみの読出し等がメモリ素子のように任意に制御できる。図7(a)に、CMOSイメージセンサの回路構成を示し、図7(b)〜(d)に、スリット画像の切出し方法を示す。
十字キー10の操作によって指定された被写体の移動方向が、表示部12の表示画面の縦方向である場合、図7(b)に示すように、該当するアドレス線(横)のみが読み出されることによって、スリット画像が切出される。また、被写体の移動方向が、表示部12の表示画面の横方向である場合、図7(c)に示すように、該当する信号線(縦)の画素のみが読み出されることによって、スリット画像が切出される。また、図7(d)のように、特定のアドレス線と信号線からなる領域の画素のみを読み出すことも可能である。
図2の説明に戻る。VRAMコントローラ33は、制御部32の制御により、DRAM31に一時記憶されている画像データ(輝度信号Y及び色差信号Cb、Cr)を、DRAM31からDRAM I/F30を介して読出し、VRAM34に書込む。また、再生モード時、制御部32により伸長された画像データをVRAM34に展開して記憶させる。
デジタルビデオエンコーダ35は、VRAM34に記憶されている画像データを、VRAM34からVRAMコントローラ33を介して定期的に読出し、これらのデータを元にビデオ信号を生成して表示部13に出力する。
キー入力部36は、電源キー6、シャッタキー7、モードスイッチ8、メニューキー9及び十字キー10、ストップウォッチボタン14から構成され、それらのキー操作に応じた信号を制御部32に出力する。キー入力部36のシャッタキー7は、2段階のストロークで動作し、一般的に「半押し」と表現されている第1段階の操作状態でAE(自動露光)処理やAF(オートフォーカス)処理を始めとする撮影の準備を行い、一般的に「全押し」と表現されている、より強く押圧操作した第2段階の操作状態で撮影を実行する。
JPEG回路37は、CCD23から取り込まれ、DRAM31に一時的に記憶されている画像信号を、ADCT(Adaptive Discrete Cosine Transform:適応離散コサイン変換)、エントロピ符号化方式であるハフマン符号化などの処理によりデータ圧縮する。
フラッシュメモリ38は、デジタルカメラ1の記録媒体として着脱自在に装着されるメモリカード内に封入された不揮発性メモリであり、JEPG回路37により符号化された画像信号が記録される。フラッシュメモリ38は、デジタルカメラ38に内蔵されていてもよい。
表示部13は、撮影モード時にはモニタ表示部(電子ファインダ)として機能し、デジタルビデオエンコーダ35からのビデオ信号に基づいた表示を行うことで、その時点でVRAMコントローラ33から取込んでいる画像情報に基づくスルー画像をリアルタイムに表示する。
タイマー部39は、ストップウォッチボタン14が押下された時点から、次にストップウォッチボタン14が押下されるまでの経過時間を計時する。
距離・速度計測部40は、被写体とデジタルカメラ1との間の距離(以下、被写体距離と称す。)及び被写体の速度(以下、被写体速度と称す。)を測定し、測定結果を制御部32に出力する。
以下、図8及び図9を参照して、距離・速度計測部40で適用される被写体距離及び被写体速度の計測手段について説明する。
まず、図8を参照して、PSDを用いた距離計測手段について説明する。PSD(半導体位置検出素子)は、フォトダイオードの表面抵抗を利用したスポット光の位置センサである。図8に示すPSDを用いた距離検出手段は、被写体O1に光(レーザービーム)を照射し、被写体からの反射光をPSDで検出し、三角測量により被写体との距離Lを算出するものである。
図8において、fは、PSD受光素子とレンズとの間の距離を示し、xは、PSD受光素子の中央からスポット光の位置までの距離を示す。dは、発光素子(半導体レーザー等)とレンズとの間の距離であり、基線長と呼ばれる。f及び基線長dは、予め設定されている。図8より、距離L、f、d、xの関係は、L/d=f/xである。従って、被写体距離Lは、L=f・d/xとなる。
被写体距離とともに被写体速度を計測するには、距離・速度計測部40において、以下に示すドップラーレーダー方式の計測手段を用いるのがよい。以下、図9を参照して、ドップラーレーダー方式の距離計測手段及び速度計測手段について説明する。
ドップラーレーダーは、移動している物体から反射される電波の周波数が物体の速度に比例する変化するというドップラー効果を利用して、移動している物体の移動速度及び物体との距離を計測するものである。ドップラーレーダーは、図9に示すように、電波にパルス波を重畳して発信しており、被写体O2から反射される受信波の周波数、送信波と受信波との位相差Δθdにより、被写体速度、被写体距離を算出する。被写体速度及び被写体距離の具体的な算出方法を以下に示す。
被写体O2の進行方向とドップラーレーダーとのなす角度をθ、ドップラーレーダーが発信する電波(送信波)の周波数をft、被写体O2から反射された受信波の周波数をfrとする。被写体O2が実速度V0でドップラーレーダーを備えるデジタルカメラ1に近づいてくる場合、fr=ft+fdとなる。ここで、周波数シフト分fdは、ドップラー周波数と呼ばれる。この場合、図9に示すように、ドップラーレーダーに対して平行方向の被写体速度Vaは、Va=fd・c/2ft、垂直方向の被写体速度Vbは、Vb=(fd・c/2ft)tanθ、実速度V0は、V0=fd・c/(2ftcosθ)となる。このように、被写体O2の速度は、送信波の周波数ft及びドップラー周波数fdから求めることができる。
また、送信波と、被写体O2から反射された受信波との位相差Δθdによる遅れ時間をTとすると、遅れ時間Tの間の電波の伝播距離が2Lであることから、被写体距離Lは、L=(T/2)・cとなる。受信波の周期は、1/frであることから、T={(Δθd+2nπ)/2π}・(1/fr)となる。従って、被写体距離Lは、L={(Δθd+2nπ)/4πfr}・cとなる。このように、ドップラーレーダーでは、被写体速度及び被写体距離を同時に求めることができる。
なお、デジタルカメラ1において実施可能な距離計測手段及び速度計測手段は、上述の手段に限定されない。
なお、以上の構成は、デジタルカメラにおける代表的な構成例であり、他の構成を有するものであってもよいことはいうまでもない。
〈カメラの設置方向〉
次に、図10を参照して、デジタルカメラ1の設置方向について説明する。
CCD等の撮像素子は、撮像信号を垂直方向若しくは水平方向の一定方向で順次転送することによって被写体の画像を読み出す。よって、CCDが固定装着のデジタルカメラにおいて、スリット画像の切出し方法として、図6(c)及び(d)のように、中央部走査モード又はAFモードにより、中央の数十〜数百ラインのみを読み出してスリット画像を切出す方法を用いる場合、被写体の移動方向に応じて、撮像素子による撮像及び読出しの走査の方向を変える必要がある。即ち、被写体の移動方向に応じて、デジタルカメラ1の設置方向を変える必要がある。
例えば、図10に示すように、デジタルカメラ1のCCDの撮像及び読出しの走査の方向が垂直方向に固定されているとすると、中央走査モード又はAFモードによりスリット画像を撮影する場合、デジタルカメラ1の設置方向(水平方向、垂直方向)と被写体の移動方向が垂直になればよい。例えば、デジタルカメラ1で上向きに移動している被写体のスリット撮影を行う場合、図10(a)に示すように、デジタルカメラ1の筐体を水平方向に設置すればよい。また、デジタルカメラ1で左向きに移動している被写体のスリット撮影を行う場合、図10(b)に示すように、デジタルカメラ1の筐体を垂直方向に設置すればよい。
また、デジタルカメラ1を設置する場合、図10に示すような簡易三脚を用いると、デジタルカメラ1を固定することができる。簡易三脚は、デジタルカメラ1に内蔵されていてもよいし、着脱可能なものでもよい。
スリット撮影では、動画撮影と同様に連続露出時間が長くなることから、ユーザ自身がデジタルカメラ1を保持してスリット撮影を行う場合、手ぶれが発生しやすい。このような手ぶれを防止するため、デジタルカメラ1に、図10に示すような手ぶれ検出センサ15、頂角プリズムのあおり(シフト)レンズ等の手ぶれ補正用のレンズ駆動若しくは画像処理による手ぶれ補正手段を備えるようにするのが好ましい。
なお、デジタルカメラ1の筐体に対してCCDを回転可能に構成し、十字キー10の操作により指定された被写体の移動方向に応じて、CCDの向きを変更するように制御することも可能である。また、デジタルカメラ1の撮像素子としてCMOSイメージセンサが用いられる場合、図7に示すように、被写体の移動方向に応じてアドレス線又は信号線をアドレス制御により読み出すことができる。従って、デジタルカメラ1の撮像素子として、回転可能なCCD又はCMOSイメージセンサが用いられている場合、ユーザは、デジタルカメラ1の設置方向を気にせずにスリット撮影を行うことができる。
次に、本実施形態における動作について説明する。
図11のフローチャートを参照して、本実施形態のデジタルカメラ1により実行される全体処理について説明する。
電源キー6の操作により電源がONになると(ステップS1;YES)、レンズ、撮影系等の初期設定が行われる(ステップS2)。ステップS2の初期設定後、モードスイッチ8の操作により再生モードが指定されると(ステップS4;YES)、フラッシュメモリ38に記録された画像等が表示部13に表示される(ステップS5)。ステップS2の初期設定後、メニューキー9等の操作により設定モードが指定されると(ステップS6;YES)、該当する設定処理が行われる(ステップS7)。
ステップS2の初期設定後、モードスイッチ8の操作により撮影モードが指定されると(ステップS3;YES)、撮影モードの種類が判定される(ステップS8)。撮影モードの種類がスチル撮影モードであると判定された場合(ステップS8;YES)、まず、スチル撮影用のモニタリングモード等が設定される(ステップS9)。次いで、モニタリング用の被写体のスルー画像が取り込まれて表示部13に表示され(ステップS10)、スチル撮影処理が開始される(ステップS11)。
撮影モードの種類が動画撮影モードであると判定された場合(ステップS12;YES)、まず、画像の切出し方法が、動作撮影用の中央部走査モード(図4参照)等に設定される(ステップS13)。次いで、動画用の被写体のスルー画像が取り込まれて表示部13に表示され(ステップS14)、動画撮影処理が開始される(ステップS15)。
撮影モードの種類がスリット撮影モードであると判定された場合(ステップS16;YES)、後述のスリット撮影処理に移行する(ステップS17)。スリット撮影処理の詳細は、後に図12を参照して説明する。撮影モードとして他の撮影モードが指定された場合は(ステップS17;NO)、該当する撮影処理が行われる。
次に、図12のフローチャートを参照して、図11のステップS17に示したスリット撮影処理の詳細について説明する。
スリット撮影モードが指定され、十字キー10の操作により被写体の移動方向(撮影方向)が指定されると、その指定された方向に合わせて、撮像信号の読出しモードがAFモード又は中央部走査モード等に設定され(ステップS20)、スリット画像撮影用の被写体のスルー画像が表示部13に表示される(ステップS21)。
AF(Auto Focus)処理又はズーム操作が指定されているか否かが判定される(ステップS22)。ステップS22において、AF処理又はズーム操作が指定されていると判定された場合(ステップS22;YES)、その指定された操作に応じてAF処理又はズーム処理が行われ(ステップS23)、被写体に対してフォーカスが合うか否かが判定される(ステップS24)。ステップS22において、AF処理又はズーム操作が指定されていないと判定された場合(ステップS22;NO)、ステップS26に移行する。
ステップS24において、フォーカスが合っていないと判定された場合(ステップS24;NO)、ステップS23に戻り、再度AF処理が行われる(ステップS23)。ステップS24において、フォーカスが合っていると判定された場合(ステップS24;YES)、表示部13にスルー画像が表示される(ステップS25)。
次いで、フォーカスロックが指定されているか否かが判定される(ステップS26)。ステップS26において、フォーカスロックが指定されていると判定された場合(ステップS26;YES)、フォーカス位置がロックされる(ステップS27)。フォーカス位置がロックされると、スリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理に移行する(ステップS28)。ステップS26において、フォーカスロックが指定されていないと判定された場合(ステップS26;NO)、スリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理に移行する(ステップS28)。ステップS28のスリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理の詳細は、後に図13を参照して説明する。
スリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理が終了すると、ストップウォッチボタン14により計時が指示されたか否かが判定される(ステップS29)。ステップS29において、ストップウォッチボタン14により、計時が指示されたと判定された場合(ステップS29;YES)、タイマー部39により計時が開始される(ステップS30)。計時が開始されると、シャッタキー7の押下によってスリット撮影が指示されたか否かが判定される(ステップS31)。ステップS29において、計時が指示されていないと判定された場合(ステップS29;NO)、ステップS31に移行する。
ステップS31において、シャッタキー7の押下によりスリット撮影が指示されたと判定された場合(ステップS31;YES)、ステップS20において設定された読出しモードにより、被写体の画像が順次取り込まれ(ステップS32)、ステップS28において設定されたフレーム速度、スリット幅に基づいて、取込画像から中央部のスリット画像が切出され、順次フラッシュメモリ38に時間情報とともに記録される(ステップS33)。ステップS33におけるスリット画像の記録方法の詳細は、後に図15を参照して説明する。
キー入力部36の操作により、スリット撮影の終了が指示されると(ステップS34;YES)、ステップS33において切出されたスリット画像が時間順に連結されて静止画像に合成され、計時目盛が付加される。そして、スリット画像が連結された静止画像及び計時目盛が表示部13に表示され(ステップS36)、本スリット撮影処理が終了する。スリット撮影の終了が指示されていない間は(ステップS34;NO)、ステップS32及びS33の処理が繰り返される。
次に、図13のフローチャート及び図14を参照して、図12のステップS28に示したスリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理の詳細について説明する。
まず、十字キー10の操作により指定された方向が、左右(横)方向であるか上下(縦)方向であるかが判定される(ステップS40)。ステップS40において、指定された方向が左右(横)方向であると判定された場合(ステップS40;左右、横方向)、画像の横サイズが実効画像サイズに設定され、横のライン数(画素数)が実効ライン数に設定される(ステップS41)。ステップS40において、指定された方向が上下(縦)方向であると判定された場合(ステップS40;上下、縦方向)、画像の縦サイズが実効画像サイズに設定され、縦のライン数(画素数)が実効ライン数に設定される(ステップS42)。
実効画像サイズ及び実効ライン数が設定されると、距離・速度計測部40により、被写体とデジタルカメラ1との間の距離(被写体距離)及び被写体の速度(被写体速度)が測定される。次いで、被写体距離及び被写体速度の測定値が入力され(ステップS43)、フォーカス位置のレンズ焦点距離が入力される(ステップS44)。なお、ステップS43において、被写体距離及び被写体速度は、見積値を入力するようにしてもよい。
次いで、レンズ焦点距離、被写体速度及び被写体距離から、最適なスリット速度が算出される(ステップS45)。以下、図14を参照して、スリット速度の算出方法について説明する。被写体の速度をV、被写体距離をL、レンズ焦点距離をfとすると、図14に示すように、レンズの中心を通る直線k1とk2のなす角(半画角)θは、tanθ=V/Lとなる。従って、図1より、撮像素子面上でのスリット(移動)速度y'は、y'=f×tanθ=f・V/Lとなる。よって、最適なスリット速度は、式(1)のようになる。
最適なスリット速度[mm/秒]=レンズ焦点距離[mm]×被写体速度[m/秒]÷被写体距離[m] (1)
例えば、運動会で速度5m/秒で走る子供を、ズームレンズの焦点距離が10mmで、子供から5m離れた距離で撮影した場合、最適なスリット速度は、10×5÷5=10[mm/秒]となる。
スリット速度が算出されると、フレーム速度が固定されているか否かが判定される(ステップS46)。ステップS46において、フレーム速度が固定されていないと判定された場合(ステップS46;NO)、スリット速度、結像サイズ、画素数(実効ライン数)、スリット幅から、式(2)に示すように最適なフレーム速度が算出される(ステップS50)。式(2)のスリット幅の値は、デフォルト値である。
最適なフレーム速度[フレーム/秒]=スリット速度[mm/秒]÷結像サイズ[mm]×画素ライン数÷スリット幅[画素ライン/フレーム] (2)
式(1)により算出されたスリット速度が10mmで、CCD23の結像サイズが5.27mm、画素ライン数が2080、スリット幅が50ライン/フレームであるとすると、最適なフレーム速度は、10÷5.27×2080÷50=78.9[フレーム/秒]となる。
最適なフレーム速度が算出されると、その算出されたフレーム速度が予め設定された許容範囲内であるか否かが判定される(ステップS51)。ステップS51において、ステップS50で算出されたフレーム速度が許容範囲内であると判定された場合(ステップS51;YES)、ステップS50で算出されたフレーム速度、式(2)中のスリット幅が、スリット撮影時の設定値として決定され、本スリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理が終了する。
ステップS51において、ステップS50で算出されたフレーム速度が許容範囲内ではないと判定された場合(ステップS51;NO)、その許容範囲内の最大のフレーム速度が、スリット撮影時のフレーム速度として設定され(ステップS52)、ステップS47に移行する。ステップS46においてフレーム速度が固定されていると判定された場合(ステップS46;YES)、そのフレーム速度が、スリット撮影時のフレーム速度として設定され、ステップS47に移行する。
スリット速度及びフレーム速度が算出(設定)されると、スリット速度、結像サイズ、画素数(実効ライン数)、フレーム速度から、式(3)に示すような最適なスリット幅が算出される(ステップS47)。
最適なスリット幅[画素ライン/フレーム]=スリット速度[mm/秒]÷結像サイズ[mm]×画素数÷フレーム速度[フレーム/秒] (3)
最適なスリット幅が算出されると、その算出されたスリット幅が予め設定された許容範囲内であるか否かが判定される(ステップS48)。ステップS48において、ステップS47で算出されたスリット幅が許容範囲内であると判定された場合(ステップS48;YES)、そのスリット幅が、スリット撮影時のスリット幅として設定され、本スリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理が終了する。
ステップS48において、ステップS47で算出されたスリット幅が許容範囲内でないと判定された場合(ステップS48;NO)、表示部13にエラーを通知するメッセージか、ズームを広角側に移動又は撮影距離を離すように通知するメッセージが表示され(ステップS49)、本スリット速度・フレーム速度・スリット幅設定処理が終了する。
次に、図15を参照して、図12のステップS33で示したスリット画像の記録方法の詳細について説明する。
撮影画像が取り込まれてスリット画像が切出されると(図15(a))、スリット画像が時間の方向に連結される(図15(b))。次いで、連結されたスリット画像データとともに、画像付属情報、時間データ(時間情報)等の付加情報が所定の専用符号化方式で記録される(図15(c1)及び(d1))。なお、符号化をせずに、スリット画像及び付加情報の生データを記録するようにしてもよい。
また、図15(c2)に示すように、連結されたスリット画像データをページ単位画像に分割し、ページ単位で、圧縮符号化するとともにサムネイル画像を作成して、サムネイル画像と圧縮符号化された画像データを、画像付属情報、時間情報等の付加情報とともに、JPEG等の汎用符号化方式で記録するようにしてもよい(図15(d2))。ここで、サムネイル画像は、高速読出し又はインデックス(見出し)再生用にスリット画像を間引きして画像サイズを小さくしたものである。なお、専用符号化方式から汎用符号化方式への変換又は汎用符号化方式から専用符号化方式への変換により、記録するデータの符号化方式を変換することが可能である(図15(e))。
図16(a)に、スリット画像データとともに記録される付加情報のデータ構成を示し、図16(b)に、この付加情報の具体例を示す。付加情報は、図16(a)に示すように、画像付属情報、スリット画像の再構成(並べ方)情報、ページ毎の計時情報、画素ライン毎の計時情報により構成される。
画像付属情報は、図16(a)に示すように、画像File名、画像フォーマット、画像サイズ(画素数)、撮影日時、メモ情報、再生方法、撮影機器データ、撮影条件データ等の項目により構成される。画像付属情報において、画像File名項目、画像フォーマット項目、画像サイズ(画素数)、撮影日時の各項目には、それぞれ、撮影されたスリット画像のファイル名、フォーマット例えば、JPEG等)、画像サイズ、撮影日時が記録。メモ情報項目には、ユーザにより入力されるメモ情報(例えば、競技名等)が記録される。
画像付属情報において、再生方法項目には、表示部13への再生方法(表示の仕方)を示すデータが記録される。図17に、表示部13での再生方法の一例を示す。再生方法としては、例えば、ページ毎の表示(図17(a))、スクロール表示(手動スクロール表示又は自動スクロール表示)(図17(b))、細長い連続スリット画像を複数段に分割した表示(図17(c))、複数のスリット画像を複数段の上下に並べた比較表示(図17(d))、被写体の移動方向を切り替える表示(図17(e))、スライド表示等がある。
画像付属情報において、撮影機器データ項目には、撮影機器に関するデータが記録され、撮影条件データ項目には、スリット画像の撮影条件に関するデータが記録される。
スリット画像の再構成(並べ方)情報は、Slit画像形式、左右上下方向、フレーム速度及びスリット幅の各項目により構成される。スリット画像の再構成(並べ方)情報において、左右上下方向項目には、スリット画像の連結方向が記録される。例えば、十字キー10により被写体の移動方向が右向きに指定された場合、スリット画像の連結方向は、右から左であるので、左右上下方向項目には、横(右→左)が記録される。
ページ毎の計時情報は、図16に示すように、ページ先頭の開始計時タイム、計時オフセット値、ページ当りの計時時間等の項目により構成される。ページ毎の計時情報において、計時オフセット値項目には、ページ先頭の開始タイムに加算される時間が記録される。ページ毎の計時情報には、他に、種別、速度又は換算量等の項目があるが、これらの項目の詳細は、後に図19〜図21を参照して説明する。
画素ライン毎の計時情報は、図16に示すように、ライン当りの計時時間等の項目により構成される。画素ライン毎の計時情報には、他に、1目盛の単位、単位の表示等の項目があるが、これらの項目の詳細は、後に図19〜図21を参照して説明する。ページ当りの計時時間、ライン当りの計時時間の定義を、それぞれ、式(4)、式(5)に示す。
ページ当りの計時時間=ライン当りの計時時間×ライン数 (4)
ライン当りの計時時間=1÷フレーム速度÷スリット幅 (5)
次に、図18のフローチャートを参照して、デジタルカメラ1により実行されるスリット画像の再生表示処理について説明する。図18のスリット画像の再生表示処理は、図11のステップS5に示した再生表示又は図12のステップS35に示した処理のうち、スリット画像の再生部分の詳細を示すものである。
まず、キー入力部36により指定された選択ページPが、スリット画像の表示ページに設定され、選択ページPの先頭ラインが表示ラインに設定される(ステップS60)。ここで、Pは、表示ページを指定するためのカウンタ値である。次いで、該当する表示ページのスリット画像、画像付属情報、再構成(並べ方)情報、ページ毎の計時情報、画素ライン毎の計時情報等が復号化される(ステップS61)。
次いで、再構成(並べ方)情報の「左右上下方向」項目に設定された、スリット画像の連結方向が判別される(ステップS62)。ステップS62において、スリット画像の連結方向が横(左右)方向であると判別された場合(ステップS62;左右、横方向)、スリットラインを指定するためのカウンタ値iが1に設定され、表示列を指定するためのカウンタ値jが1に設定される(ステップS63)。連結方向が右から左の場合、表示列jは、右からj列目を示す。連結方向が左から右の場合、表示列jは、左からj列目を示す。
次いで、スリットラインiのスリット画像が、横方向の表示列jに表示される(ステップS64)。次いで、スリットラインのカウンタ値i及び表示列のカウンタ値jがインクリメントされ(ステップS65)、表示列のカウンタ値jが、最終列Dhより大きいか否かが判定される(ステップS66)。
ステップS66において、j>Dhであると判定された場合(ステップS66;YES)、本スリット画像再生処理が終了する。ステップS66において、j≦Dhであると判定された場合(ステップS66;NO)、スリットラインのカウンタ値iがページの最終スリットラインのカウンタ値Lhより大きいか否かが判定される(ステップS67)。
ステップS67において、i≦Lnであると判定された場合(ステップS67;NO)、ステップS64に戻り、スリットラインiのスリット画像が、横方向の表示列jに表示される(ステップS64)。ステップS67において、i<Lnであると判定された場合(ステップS67;YES)、表示ページのカウンタ値Pがインクリメントされ(ステップS68)、表示ページのカウンタ値Pが最終ページのカウンタ値Pnより大きいか否かが判定される(ステップS69)。
ステップS69において、P>Pnであると判定された場合(ステップS69;YES)、本スリット画像再生表示処理が終了する。ステップS69において、P≦Pnであると判定された場合(ステップS69;NO)、ステップS61に戻り、ページPのスリット画像、画像付属情報、再構成(並べ方)情報、ページ毎の計時情報、画素ライン毎の計時情報等が復号化される(ステップS61)。
ステップS62において、スリット画像の連結方向が縦(上下)方向であると判別された場合(ステップS62;上下、縦方向)、スリットラインを指定するためのカウンタ値iが1に設定され、表示行を指定するためのカウンタ値jが1に設定される(ステップS70)。連結方向が上から下の場合、表示行jは、上からj行目を示す。連結方向が下から上の場合、表示行jは、下からj行目を示す。
次いで、スリットラインiのスリット画像が、横方向の表示行jに表示される(ステップS71)。次いで、スリットラインのカウンタ値i及び表示行のカウンタ値jがインクリメントされ(ステップS72)、表示行のカウンタ値jが、最終行Dvより大きいか否かが判定される(ステップS73)。
ステップS73において、j>Dvであると判定された場合(ステップS73;YES)、本スリット画像再生処理が終了する。ステップS73において、j≦Dvであると判定された場合(ステップS73;NO)、スリットラインのカウンタ値iがページの最終スリットラインのカウンタ値Lhより大きいか否かが判定される(ステップS74)。
ステップS74において、i≦Lnであると判定された場合(ステップS74;NO)、ステップS71に戻り、スリットラインiのスリット画像が、横方向の表示行jに表示される(ステップS71)。ステップS74において、i<Lnであると判定された場合(ステップS74;YES)、表示ページのカウンタ値Pがインクリメントされ(ステップS75)、表示ページのカウンタ値Pが最終ページのカウンタ値Pnより大きいか否かが判定される(ステップS76)。
ステップS76において、P>Pnであると判定された場合(ステップS76;YES)、本スリット画像再生表示処理が終了する。ステップS76において、P≦Pnであると判定された場合(ステップS76;NO)、ステップS61に戻り、ページPのスリット画像、画像付属情報、再構成(並べ方)情報、ページ毎の計時情報、画素ライン毎の計時情報等が復号化される(ステップS61)。
次に、図22の計時目盛表示処理の説明に先立って、図19〜図21を参照して、スリット画像データとともに記録される付加情報(図16参照)のうち、図22の計時目盛表示処理で用いられる情報について説明する。以下では、図16に示した、スリット画像の再構成(並べ方)情報、ページ毎の計時情報及び画素ライン毎の計時情報の総称をスリット画像の時間情報と呼ぶことにする。
図19〜図21のスリット画像の時間情報において、種別項目には、計時目盛の種類が設定(記録)される。計時目盛の種類としては、計時時間(経過時間)、計時時刻、距離(長さ情報)等がある。図19は、種別が計時時間(経過時間)に設定された場合を示し、図20は、種別が計時時刻に設定された場合を示し、図21は、種別が距離に設定された場合を示している。
また、スリット画像の時間情報において、ページ先頭の計時データ項目には、種別が計時時間の場合、ページ先頭の計時時間が記録され(図19)、種別が計時時刻の場合、ページ先頭の時刻が記録され(図20)、種別が距離の場合、ページ先頭の計時時間が記録される(図21)。
更に、スリット画像の時間情報において、速度又は換算量項目には、被写体の速度が記録され、ページ当りの換算量項目には、速度又は換算量項目に記録された速度に、ページ当りの計時時間に記録された計時時間を乗算した値が記録される。また、スリット画像の時間情報において、ライン当りの換算量項目には、種別が計時時間又は計時時刻の場合、ライン当りの計時時間が記録され(図19及び図20)、種別が距離の場合、ライン当りの距離が記録される(図21)。
また、スリット画像の時間情報において、1目盛の単位項目には、種別が計時時間又は計時時刻の場合、1目盛当りの計時時間が記録され(図19及び図20)、種別が距離の場合、1目盛当りの距離が記録される(図21)。更に、スリット画像の時間情報において、単位の表示項目には、計時時間、計時時刻、距離の表示方法が記録される。
なお、図19〜図21には、計時目盛の種類を示す種別が、それぞれ、計時時間、計時時刻、距離である場合を示したが、計時時間や距離に関係する他の換算量であってもよい。このような換算量としては、例えば、電車の運賃、タクシー料金等、距離に応じた金額、車両のガソリン消費量、面積に応じた工事経費等がある。
次に、図22のフローチャートを参照して、デジタルカメラ1により実行される計時目盛表示処理について説明する。図22の計時目盛表示処理は、図11のステップS5に示した再生表示又は図12のステップS35に示した処理のうち、計時目盛表示部分の詳細を示すものである。
まず、表示対象のページPのスリット画像データ、スリット画像の時間情報が復号化される(ステップS80)。次いで、左右上下方向に設定されたスリット画像の連結方向が判別される(ステップS81)。
ステップS81において、スリット画像の連結方向が横方向であると判別された場合(ステップS81;横)、式(5)により、ライン当りの計時時間が算出され、式(4)により、ページ当りの計時時間が算出される(ステップS82)。
次いで、目盛の種別が判別される(ステップS83、S92、S101)。目盛の種別が計時時間であると判別された場合(ステップS83;YES)、スリットラインを指定するためのカウンタ値iが1に設定され、表示列を指定するためのカウンタ値jが1に設定され、ページ先頭の計時時間が、スリットラインiの計時時間として設定される(ステップS84)。
次いで、スリットラインiの計時時間を目盛単位で割った余りを算出することによって、スリットラインiの計時時間が区切りの時間であるか否かが判定される(ステップS85)。ステップS85において、スリットラインiの計時時間を目盛単位で割った余りが0ではなく、スリットラインiの計時時間が区切りの時間でないと判定された場合(ステップS85;NO)、後述のステップS89に移行する。
ステップS85において、スリットラインiの計時時間を目盛単位で割った余りが0であり、スリットラインiの計時時間が区切りの時間であると判定された場合(ステップS85;YES)、スリットラインiの計時時間を大目盛単位で割った余りを算出することによって、スリットラインiの計時時間が大区切りの時間であるか否かが判定される(ステップS86)。
ステップS86において、スリットラインiの計時時間を大目盛単位で割った余りが0ではなく、スリットラインiの計時時間が大区切りの時間でないと判定された場合(ステップS86;NO)、スリットラインiに小目盛が描画される(ステップS87)。ステップS86において、スリットラインiの計時時間を大目盛単位で割った余りが0であり、スリットラインiの計時時間が大区切りの時間であると判定された場合(ステップS86;YES)、スリットラインiに大目盛が描画され、その隣にスリットラインiの計時時間が表示される(ステップS88)。
スリットラインiに目盛が描画されると、スリットラインのカウンタ値i及び表示列のカウンタ値jがインクリメントされ、スリットライン(i−1)の計時時間にライン当りの計時時間を加えた値が、スリットラインiの計時時間として設定される(ステップS89)。
次いで、表示列のカウンタ値jが、最終列Dhより大きいか否かが判定される(ステップS90)。ステップS90において、j>Dhであると判定された場合(ステップS90;YES)、本計時目盛表示処理が終了する。ステップS90において、j≦Dhであると判定された場合(ステップS90;NO)、スリットラインのカウンタ値iがページの最終スリットラインのカウンタ値Lhより大きいか否かが判定される(ステップS91)。
ステップS91において、i≦Lnであると判定された場合(ステップS91;NO)、ステップS85に戻り、スリットラインiの計時時間が区切りの時間であるか否かが判定される(ステップS85)。ステップS91において、i>Lnであると判定された場合(ステップS91;YES)、本計時目盛表示処理が終了する。
目盛の種別の判別において、目盛の種別が計時時刻であると判別された場合(ステップS92;YES)、スリットラインを指定するためのカウンタ値iが1に設定され、表示列を指定するためのカウンタ値jが1に設定され、ページ先頭の計時時刻が、スリットラインiの計時時刻として設定される(ステップS93)。
次いで、スリットラインiの計時時刻を目盛単位で割った余りを算出することによって、スリットラインiの計時時刻が区切りの時刻であるか否かが判定される(ステップS94)。ステップS94において、スリットラインiの計時時刻を目盛単位で割った余りが0ではなく、スリットラインiの計時時刻が区切りの時間でないと判定された場合(ステップS94;NO)、後述のステップS98に移行する。
ステップS94において、スリットラインiの計時時刻を目盛単位で割った余りが0であり、スリットラインiの計時時刻が区切りの時刻であると判定された場合(ステップS94;YES)、スリットラインiの計時時刻を大目盛単位で割った余りを算出することによって、スリットラインiの計時時刻が大区切りの時刻であるか否かが判定される(ステップS95)。
ステップS95において、スリットラインiの計時時刻を大目盛単位で割った余りが0ではなく、スリットラインiの計時時刻が大区切りの時刻でないと判定された場合(ステップS95;NO)、スリットラインiに小目盛が描画される(ステップS96)。ステップS95において、スリットラインiの計時時刻を大目盛単位で割った余りが0であり、スリットラインiの計時時刻が大区切りの時刻であると判定された場合(ステップS95;YES)、スリットラインiに大目盛が描画され、その隣に計時時刻が表示される(ステップS97)。
スリットラインiに目盛が描画されると、スリットラインのカウンタ値i及び表示列のカウンタ値jがインクリメントされ、スリットライン(i−1)の計時時刻にライン当りの計時時間を加えた値が、スリットラインiの計時時刻として設定される(ステップS98)。
次いで、表示列のカウンタ値jが、最終列Dhより大きいか否かが判定される(ステップS99)。ステップS99において、j>Dhであると判定された場合(ステップS99;YES)、本計時目盛表示処理が終了する。ステップS99において、j≦Dhであると判定された場合(ステップS99;NO)、スリットラインのカウンタ値iがページの最終スリットラインのカウンタ値Lhより大きいか否かが判定される(ステップS100)。
ステップS100において、i≦Lnであると判定された場合(ステップS100;NO)、ステップS94に戻り、スリットラインiの計時時刻が区切りの時刻であるか否かが判定される(ステップS94)。ステップS100において、i>Lnであると判定された場合(ステップS100;YES)、本計時目盛表示処理が終了する。
目盛種別の判別において、目盛の種別が距離であると判別された場合(ステップS101;YES)、スリットラインを指定するためのカウンタ値iが1に設定され、表示列を指定するためのカウンタ値jが1に設定され、ページ先頭の計時時間が、スリットラインiの計時時間として設定される(ステップS102)。次いで、スリットラインiの計時時間に、被写体の速度を乗算した値が、スリットラインiの距離として設定される(ステップS103)。
次いで、スリットラインiの距離を目盛単位で割った余りを算出することによって、スリットラインiの距離が区切りの距離であるか否かが判定される(ステップS104)。ステップS104において、スリットラインiの距離を目盛単位で割った余りが0ではなく、スリットラインiの距離が区切りの距離でないと判定された場合(ステップS104;NO)、後述のステップS108に移行する。
ステップS104において、スリットラインiの距離を目盛単位で割った余りが0であり、スリットラインiの距離が区切りの距離であると判定された場合(ステップS104;YES)、スリットラインiの距離を大目盛単位で割った余りを算出することによって、スリットラインiの距離が大区切りの距離であるか否かが判定される(ステップS105)。
ステップS105において、スリットラインiの距離を大目盛単位で割った余りが0ではなく、スリットラインiの距離が大区切りの距離でないと判定された場合(ステップS105;NO)、スリットラインiに小目盛が描画される(ステップS106)。ステップS105において、スリットラインiの距離を大目盛単位で割った余りが0であり、スリットラインiの距離が大区切りの距離であると判定された場合(ステップS105;YES)、スリットラインiに大目盛が描画され、その隣にスリットラインiの距離が表示される(ステップS107)。
スリットラインiに目盛が描画されると、スリットラインのカウンタ値i及び表示列のカウンタ値jがインクリメントされ、スリットライン(i−1)の計時時間にライン当りの計時時間を加えた値が、スリットラインiの計時時間として設定される(ステップS108)。
次いで、表示列のカウンタ値jが、最終列Dhより大きいか否かが判定される(ステップS109)。ステップS109において、j>Dhであると判定された場合(ステップS109;YES)、本計時目盛表示処理が終了する。ステップS109において、j≦Dhであると判定された場合(ステップS109;NO)、スリットラインのカウンタ値iがページの最終スリットラインのカウンタ値Lhより大きいか否かが判定される(ステップS110)。
ステップS110において、i≦Lnであると判定された場合(ステップS110;NO)、ステップS103に戻り、スリットラインiの距離が算出される(ステップS103)。ステップS110において、i>Lnであると判定された場合(ステップS110;YES)、本計時目盛表示処理が終了する。
ステップS81において、スリット画像の連結方向が縦方向であると判定された場合(ステップS81;縦)、縦方向に対して、ステップS82からS110と同様の処理が行われる。
次に、図23を参照して、スリット画像上の2点間(複数点間)の時間差を算出する処理について説明する。
表示部13に、スリット画像及び計時目盛が表示されているとする(図23(a))。ここで、表示部13に表示されたスリット画像の計時目盛の1目盛が、1/200秒(0.005秒)であるとする。
次いで、キー入力部36によって、表示部13に表示されたスリット画像上で、電子カーソル線を、被写体の移動方向(又はスリット画像の連結方向)に平行な方向に操作することにより、任意の2つのカーソル線が指定される(図23(b))。図23(b)では、2つのカーソル線の間隔が14目盛である場合を示している。
2つのカーソル線が指定されると、2つのカーソル線間の目盛数に1目盛の時間を乗算することにより、その指定された2つのカーソル線間の時間差ΔTが算出され、算出された時間差ΔTが、スリット画像及び計時情報とともに表示部13に表示される(図23(c))。図23(b)の例では、ΔT=14[目盛]×0.005[秒]=0.07秒となり、表示部13には、図23(c)に示すように、ΔT=0.07sec.と表示される。
次に、図24を参照して、スリット画像上の2点間の長さから被写体の速度を算出する処理について説明する。この被写体の速度算出処理では、被写体の長さが予め設定されているものとする。
表示部13に、スリット画像及び計時目盛が表示されているとする(図24(a))。ここで、表示部13に表示されたスリット画像の計時目盛の1目盛は、図23と同様に、1/200秒(0.005秒)であるとする。
次いで、キー入力部36によって、表示部13に表示されたスリット画像上で、電子カーソル線を、被写体の移動方向(又はスリット画像の連結方向)に平行な方向に操作することにより、2つのカーソル線がそれぞれ被写体の両端に指定される(図24(b))。図24(b)では、2つのカーソル線の間隔が20目盛である場合を示している。
被写体の両端にカーソル線が指定されると、2つのカーソル線間の目盛数に1目盛の時間を乗算することにより、その指定された2つのカーソル線間の時間差ΔTが算出される。図24(b)の例では、ΔT=20[目盛]×0.005[秒]=0.1秒となる。
被写体の両端の時間差ΔTが算出されると、被写体の長さをΔTで割ることにより、被写体の速度が算出され、算出された被写体の速度が、スリット画像及び計時情報とともに表示部13に表示される(図24(c))。図24(b)において、被写体(自転車)の長さが2mであるとすると、被写体の速度は、2[m]÷0.1[秒]=20m/秒=72km/秒となる。
次に、図25のフローチャートを参照して、デジタルカメラ1により実行されるメモリ残り時間の算出処理について説明する。メモリ残り時間とは、画像メモリの空き領域の容量がなくなるまでにスリット撮影が可能な時間を意味する。
十字キー10の操作により指定された撮影方向(被写体の移動方向)と、AF(Auto Focus)操作で焦点が合ったときのレンズ焦点距離と、速度計測手段及び距離計測手段により測定された被写体速度及び被写体距離が入力される(ステップS120)。ここで、被写体速度及び被写体距離は、見積値であってもよい。
次いで、ステップS120で入力されたデータに基づいて、最適のスリット速度、フレーム速度、スリット幅及び画素数(実効ライン数)が算出される(ステップS121)。最適のスリット速度は、式(1)により算出され、フレーム速度は、式(2)により算出され、スリット幅は、式(3)により算出される。
次いで、画像メモリ(フラッシュメモリ38)の空き容量が算出される(ステップS122)。次いで、画素当りのビット数に画素数を乗算することにより、1ライン当りの所要ビット数が算出される(ステップS123)。
次いで、ステップS121で算出されたスリット幅と、ステップS123で算出された1ライン当たりの所要ビット数と、画像情報及び計時情報の所要ビット数から、式(6)に示すように1フレーム当りのメモリ所要量が算出される(ステップS124)。
1フレーム当りの所要メモリ=スリット幅[ライン/フレーム]×1ライン当りの所要ビット数+画像情報及び計時情報の所要ビット数 (6)
次いで、ステップS121で算出されたフレーム速度と、ステップS124で算出された1フレーム当りのメモリ所要量から、式(7)に示すように1秒当りのメモリ所要量が算出される(ステップS125)。
1秒当りのメモリ所要量=フレーム速度[フレーム/秒]×1フレーム当りのメモリ所要量 (7)
次いで、ステップS122で算出された画像メモリの空き容量と、ステップS125で算出された1秒当りのメモリ所要量から、式(8)に示すように、メモリ残り時間(画像メモリが使用可能な残り時間)が算出される(ステップS126)。
メモリ残り時間[分]=画像メモリの空き容量÷1秒当りのメモリ所要量÷60[秒] (8)
メモリ残り時間が算出されると、その算出結果が表示部13に表示され(ステップS127)、本メモリ残り時間算出処理が終了する。
次に、図26のフローチャートを参照して、デジタルカメラ1により実行される電池容量の残り時間算出処理について説明する。電池容量の残り時間とは、電池の残り容量がなくなるまでにスリット撮影が可能な残り時間を意味する。
十字キー10の操作により指定された撮影方向(被写体の移動方向)と、AF(Auto Focus)操作で焦点が合ったときのレンズ焦点距離と、速度計測手段及び距離計測手段により測定された被写体速度及び被写体距離が入力される(ステップS130)。ここで、被写体速度及び被写体距離は、見積値であってもよい。
次いで、ステップS120で入力されたデータに基づいて、最適のスリット速度、フレーム速度、スリット幅及び画素数(実効ライン数)が算出される(ステップS131)。次いで、基準電圧での電池の残り容量[mAh]が検出又は算出され(ステップS132)、基準電圧での1フレーム当りの消費電流[mA]の見積値が算出される(ステップS133)。
次いで、ステップS131で算出されたフレーム速度と、ステップS133で算出された1フレーム当りの消費電流から、式(9)に示すようにスリット撮影中の平均消費電流が算出される(ステップS134)。
スリット撮影中の平均消費電流[mA]=フレーム速度[フレーム/秒]×1フレーム当りの消費電流[mA/フレーム] (9)
次いで、ステップS132で算出された電池の残り容量と、ステップS134で算出された平均消費電流から、式(10)に示すように電池容量の残り時間が算出される(ステップS135)。
電池容量の残り時間[分]=電池の残り容量[mAh]×60[分]÷スリット撮影中の消費電流[mA] (10)
電池容量の残り時間が算出されると、その算出結果が表示部13に表示され(ステップS136)、本電池容量の残り時間算出処理が終了する。
以上のように、本実施形態のデジタルカメラ1によれば、従来のCCDやCMOS等の撮像素子を用いて、移動している被写体を高速連写や動画撮影することにより得られた連続画像から中央の1〜数ラインの短冊状のスリット画像を切出し、切出されたスリット画像を時間順に並べて自動合成するようにしたことにより、従来の携帯可能なデジタルカメラでスリットカメラの機能を実現することが可能になる。従って、一般ユーザでも、気軽にスリット撮影を行うことが可能になる。
特に、被写体の速度及び被写体とデジタルカメラ1との間の距離から、自動的に最適なスリット速度、フレーム速度及びスリット幅を算出し、算出されたフレーム速度で被写体を撮影し、算出されたスリット幅のスリット画像を切出して合成するようにしたことにより、ユーザは、従来の銀塩のスリットカメラのように、フィルムの巻取り速度を被写体の速度に合わせて連動させたりするような作業を行う必要がなく、容易にスリット撮影を行うことができる。
また、移動している被写体の画像だけでなく、特定位置における被写体の通過時間、通過時刻、距離を計時目盛とともに記録して表示可能にしたことにより、各種競技会の記録、数両編成の長い列車の側面の撮影を行うことができ、一般ユーザでも実用性の高い写真を撮影することができる。
更に、スリット画像を合成した画像を、スクロール表示、複数段で分割表示、被写体の移動方向を切り替える表示、スライド表示等が可能になることにより、ユーザが希望する再生方法を実現することができ、デジタルカメラ1の利便性を向上させることができる。
また、表示部13の表示画面上で電子カーソル線により2つの異なる位置を指定するだけで、その2つの位置間に相当する経過時間の差又は被写体の速度を算出して表示するようにしたことにより、デジタルカメラ1の利便性を一層向上させることができる。
更に、デジタルカメラ1の電池残量、メモリの空き領域の容量から、スリット撮影可能な残り時間を算出し、算出結果をユーザに通知可能にしたことにより、ユーザは、撮影可能な時間を容易に把握することができる。
なお、本実施形態における記述内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、取込画像から切出されるスリット画像は、画像データの画面中央部の1〜数ラインの短冊状の領域に固定されていたが、スリット画像として切出す領域を移動させるようなスリット移動方式の撮影を行うようにしてもよい(図27(a)参照)。このようなスリット移動方式の撮影により得られたスリット画像を連結させることにより、移動している被写体の軌跡を表示したり、被写体の速度を算出して表示したりすることが可能になる。
図27(c)に、スリット移動方式の撮影により得られた画像の一例を示す。図27(c)に示す画像は、移動している被写体(ボール)の移動範囲をカーソルで指定し、投手から打者へのピッチングシーンを示すスチル画像に、スリット移動方式の撮影により得られた指定枠内のスリット画像を合成した画像である。図27(c)では、指定枠の範囲が、投手板から本塁ベースまでの範囲になっている。
図27(b)に、高速フレーム速度の動画撮影又は高速スチル連写撮影により得られた画像の一例を示す。図27(b)に示す画像は、高速フレーム速度の動画撮影又は高速スチル連写撮影により得られた連続スチル画像から、画像処理により、移動している被写体(ボール)の移動範囲である指定枠内を切出し、指定枠内の連続スチル画像(ボールの軌跡画像)の重ね描き画像に、投手から打者へのピッチングシーンを示すスチル画像を合成した画像である。
図27(c)に示す画像は、見かけ上、図27(b)と同等であるが、指定枠内がスリット画像から構成されていることにより、この指定枠内のスリット画像の数(目盛数)から、ボールの通過時間を算出することができる(図27(d))。また、投手板から本塁ベース先端までの距離は既知(例えば、プロ野球では、18.44m)であるため、投手板から本塁ベース先端までの距離を、ボールの通過時間で割ることにより、投手の投球速度を算出することができる(図27(e))。