JP4430837B2 - デジタル画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等に代表される、静止画像を記憶するために用いられる機器におけるデジタル画像記録装置に関するものである。また、書き換え可能な光磁気ディスクやハードディスクなど、その他の静止画像記録装置に応用可能な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラなど、あらかじめ決められた容量の記録装置に対して静止画像を記録する装置においては、可能な限り高品質かつ多くの枚数を記憶させることが求められる。画像の品質においては、原画像をそのままの状態で記録すると、情報の欠落を生じないためもっとも高い画質が得られるが、必要とされるメモリの容量が大きく多くの枚数が記録できないことになってしまう。そこで、写真に代表される自然画像においては、JPEGをはじめ、人間の目の特性上、画質劣化を感じにくい領域の画像情報を破棄することによって、データ圧縮をかけた状態で画像を記録する画像記録装置が主流となっている。
また、これらの画像圧縮方式においては、データの圧縮率を画質パラメータによって任意に調節することが可能である。すなわち、画質パラメータによって圧縮率を上げることによって記録する画像データの容量を小さくすることができる。ただし、この場合、あまり圧縮率を上げすぎると、人間の目に感知可能な領域において画質劣化が生じてしまい、この劣化の程度は原画像の周波数特性などに依存している。
そこで、多くのデジタルカメラでは、あらかじめ数通りの画質パラメータの設定手段を設け、撮影者は画像記録の目的に応じて画質パラメータを設定した後、撮影を行って画像を記録する方式がとられている。このことによって、例えば印刷を目的とした高品質な画像や、インターネット配信を目的としたサイズの小さい画像など、撮影者の意志によって画質パラメータの設定を使いわけることによって、記録装置の持つ容量を有効に使うことができるようになっている。
しかし、係る手法においては、実際にデジタルカメラで撮影した画像を利用する上で、撮影前にあらかじめ高画質で記録するか、低画質で記録するかを決定した上で撮影を行うことが困難であり、低画質にパラメータを設定した状態で撮影を進めても、記録装置の容量をあましてしまったり、逆に、それほど重要でない画像を高画質パラメータで撮影してしまったせいで、後で高画質で記録したい状況になっても記録装置の空き容量不足になってしまったりする場合がある。
また、この画質パラメータの設定操作は、撮影者が手動で行うため、操作ミスで誤った設定のまま撮影を進めてしまったり、さらには、設定操作を行っている間に撮影機会を逸する問題もあり、カメラの利便性を損なう原因となっている。
【0003】
このような問題を解決するための従来技術として、特開平2000−152171公報が知られている。該公報には、埋め込み符号化方式を使用して、ダイナミックに圧縮画像サイズを変更し、その結果、蓄積された画像の数に関わる画質を変え、より多数の画像を記録するにつれ、先に記録された画像の現在圧縮されている埋め込み符号化ビットストリームを切り捨てることにより、新しく記録する画像のための空き容量を作り出す技術が開示されている。
前記従来技術に開示された更に詳細な内容として、記録容量がいっぱいになっている状態で、さらに新しい画像を記録しようとした際に、先に記録された画像データを圧縮するためにビットストリームを切り捨てるにあたり、全画像データから一様なビット数を切り捨てるか、または、あらかじめ画像データを情報切り捨ての対象とするか否かを、タグ情報として画像データに付加しておき、切り捨ての際にはタグ情報を参照して切り捨てるか、または、新たに記録される画像を追加するために必要最小限のビット数を切り捨てる、などが挙げられている。
このため、あらかじめ画質パラメータを設定した上で撮影直後に画像データを圧縮して記録していく従来の方式に比べ、常に画像記録用のメモリの容量をいっぱいに使いきった状態で画像が記録される分、メモリの利用効率が上がり、画質の低下も小さくなるという利点がある。
また、メモリの利用効率を上げるための他の技術として、特開平8−331498号公報や、特開平10−56612号公報に記載された技術が知られている。前者は、画像データを記録するための記憶媒体の空き容量が無くなった場合に、先に記録されている画像データの中から再圧縮するデータを選択して、より高い圧縮率で圧縮したデータを上書き保存し、圧縮によって生じた空き容量を使用して新たな画像を記録する方式であり、後者は画像を記録する時点で、あらかじめ圧縮率を指示するための画質モードフラグを指定した画像データを低圧縮率で保存しておき、記憶容量不足が生じた際に、先に記録されている画像データの画質モードフラグを参照して、自動的に画質モードに応じた再圧縮処理を行った画像データを元の低圧縮率で記録された画像データに上書き保存することによって、新たに画像を記録するための空き容量を作り出すものである。
いずれの方式も、画像データを記録する容量が実際に不足するまでは、低圧縮率で高画質の画像を記録しておき、記憶容量が不足した分だけ先に記録されている画像を再圧縮して必要な空き容量を生成するため、画像圧縮による画質低下を抑えた上で、記録が必要な枚数に対してメモリ容量を使いきった状態で記録していくことが可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術により改善が図られていることは言うまでもないが、しかし、上記画像記録装置においては、いずれも画像の種類に対応して、最適な再圧縮の画質パラメータが設定されないため、再圧縮後の画像に劣化を大きく生じる場合や、逆に再圧縮後の状態でも、さらに画質劣化を生じさせずに圧縮可能な余地が残された状態で、記録されることがあり得る。
また、この問題に対しても、あらかじめ撮影者が画像圧縮と画質の性質を考慮した上で、撮影前に画質モードを設定可能な手段を設けたり、再圧縮時に画像を確認しながら再圧縮パラメータを設定できる手段を設けることによって、改善が加えられているが、この場合は、依然画質設定の操作ミスや手間がかかるという問題が残されてしまう。
本発明は、上記の問題を解決するために、メモリの空き容量が無くなった時点で、先に記録されている画像を再圧縮して新たな空き容量を確保する際に、もっとも効果的な画質パラメータを自動的に設定することによって、画質の劣化を最小限に抑制した上でメモリの利用効率を向上させ、さらに撮影者が画質パラメータを設定する操作をなくすことを目的とする。すなわち、記録容量に限りのあるメモリに記録可能な画像の枚数を増やし、かつ記録される画像の品質を向上し、さらにデジタル画像記録装置の操作性と利便性を向上することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、画像を記憶するためのメモリと、任意に設定される画質パラメータにしたがって画像を圧縮する圧縮回路と、記憶する原画像データを一旦圧縮回路において圧縮した結果生じた原画像データと圧縮画像データの大きさの差分にしたがって、低画質から高画質に相当する画質パラメータを決定する画質演算回路とを有し、さらに、メモリに原画像データと原画像データに対応した画質パラメータを対に組み合わせて記憶していき、メモリの空き容量が無くなった時点で、画像データと対応して記憶されている画質パラメータにしたがって、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、圧縮画像データを上書き保存することにより、メモリの空き容量を確保した後、新しい原画像データをメモリに記憶していく制御手段を有するデジタル画像記録装置を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1のデジタル画像記録装置において、前記画質演算回路は、規定の画質パラメータを圧縮回路に対して設定した状態で原画像を圧縮した結果得られる圧縮画像データと、圧縮される前の原画像データのサイズの差分を検出して、差が大きいほど低画質に相当する画質パラメータを出力し、差が小さいほど高画質に相当する画質パラメータを、原画像データに対して適応的に出力するデジタル画像記録装置を主要な特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、画像を記憶するためのメモリと、任意に設定される画質パラメータにしたがって画像を圧縮する圧縮回路と、原画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出して、低画質から高画質に相当する画質パラメータを決定する画質演算回路とを有し、さらに、メモリに原画像データと原画像データに対応した画質パラメータを対に組み合わせて記憶していき、メモリの空き容量が無くなった時点で、画像データと対応して記憶されている画質パラメータにしたがって、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、圧縮画像データを上書き保存することにより、メモリの空き容量を確保した後、新しい原画像データをメモリに記憶していく制御手段を有するデジタル画像記録装置を最も主要な特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のデジタル画像記録装置において、前記画質演算回路は、原画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出して、積算値が小さいほど低画質に相当する画質パラメータを出力し、積算値が大きいほど高画質に相当する画質パラメータを、原画像データに対して適応的に出力することデジタル画像記録装置を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載のデジタル画像記録装置において、制御手段は、メモリの空き容量が無くなった時点で、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、圧縮画像データを上書き保存する際に、すでにメモリに記憶されている原画像データの中から、低画質に相当するパラメータが設定された画像データを優先して処理するとともに、新しい原画像データを1枚保存するために最低限必要な記憶容量を確保しながら、画像データをメモリに記憶していくデジタル画像記録装置を主要な特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明における、請求項1、2および請求項5に対するデジタル画像記録装置をデジタルカメラに適用する場合の実施形態のブロック図である。図1において、太線で示された矢印は、画像データの転送路を示し、それ以外の線は、制御信号やその他のデータの経路を示したものである。
【0008】
図1において、1はカメラであり、撮影者のレリーズ操作によって、CCDなどの撮像素子を用いて静止画像を取り込み、デジタル画像データに変換して出力する。2はバッファメモリである。バッファメモリ2は外部より入力される転送制御信号にしたがって、外部より転送されてくる画像データを一時的に記憶する。カメラ1で撮り込まれた画像データは、はじめにバッファメモリ2に転送され、記憶される。さらにバッファメモリ2は、カメラ1とは別の転送路による入力部を持ち、カメラ部と同様に転送されてきた画像データを記憶する。転送路の選択と転送のタイミングは、転送制御信号にしたがって決定されるものとする。
3は圧縮回路である。圧縮回路3は、外部より入力される原画像データに対して、JPEGなどの画像圧縮処理を行う。この時の画像データの圧縮率は、外部より入力される画質パラメータにしたがって処理されるものとする。なお、圧縮回路3で処理される画像データの圧縮は、画質パラメータが大きいほど圧縮率を低く、画質パラメータが小さいほど、圧縮率を高く処理されるものとする。また、圧縮回路3の動作は外部より入力される圧縮制御信号にしたがって、2通りの圧縮動作を行う。
第1の動作では、画像データを画質パラメータにしたがった圧縮率で圧縮したときの圧縮画像データのサイズを出力し、再度画質パラメータを外部より取り込み、原画像データと対にした状態で新しく取り込んだ画質パラメータを出力する。第2の動作では、原画像データを画質パラメータにしたがった圧縮率によって、圧縮処理をした圧縮画像データを出力する、通常の画像圧縮処理とする。
4はメモリカードである。メモリカード4は外部より入力される画像データと画質パラメータを記憶する。記憶される画像データは、圧縮のかからない原画像データと、圧縮後の圧縮画像データの2種類であり、原画像データを記録する場合は、その画像に対応した画質パラメータを対に記憶し、画像データと画質パラメータの対応は、画質パラメータテーブルに記録されていく。
図2は、メモリカード4に記録されているデータの状態を表した説明図である。画質パラメータの値と、メモリカード4に記録される画質パラメータテーブルの内容については後述するものとする。
【0009】
再度図1の説明に戻る。5は画質演算回路である。画質演算回路5は外部より入力される演算制御信号に従って、同じく外部より入力される圧縮画像データサイズを画質パラメータに変換して出力する。ここで、圧縮画像データサイズは、圧縮回路3より出力された値が入力されるものとする。画質演算回路5における画質パラメータの演算方法は以下の通りとする。
まず、画像圧縮を行わない原画像データのサイズは、画像の種類によらず画素数により一意に決まっており、この原画像サイズをOriginal Sizeとする。一方、圧縮回路3より出力される圧縮画像データのサイズをCompressed Sizeとする。画質演算回路5は、まず原画像サイズと圧縮画像サイズの差分を検出する。圧縮画像のサイズは、原画像に対して必ず小さくなるため、下の式によって差分を検出することができる。差分をDifference Sizeとすると
Original Size - Compressed Size = Difference Size
となる。
画質パラメータの値は、あらかじめ規定されたDifference Sizeの上限値と下限値、ならびに画質パラメータの上限値、下限値に対して、図3に示すグラフのように、Difference Sizeの値が上限値と下限値の間に相当する区間では線形な比例関係に変換され、その他の区間では、固定値に変換される。すなわち、Difference Sizeの値が下限値よりも小さい場合、画質パラメータは上限値でクリップされ、逆にDifference Sizeの値が上限値よりも大きい場合は、画質パラメータは下限値でクリップされるものとする。
なお、画質パラメータの値は、大きくなるほど高画質を示し、圧縮後の画像の大きさが大きくなる値に相当する。逆に画質パラメータの値が小さくなるほど低画質を示し、圧縮後の画像データのサイズが小さくなる値に相当している。
【0010】
次に図1におけるCPU(制御手段)6について説明する。CPU6は本実施形態の画像記録装置における全体の処理の流れを制御し、処理手順は実行されるプログラムに従っている。カメラ1に画像が取り込まれてから、前出のメモリカード4に記録されるまでにCPU6が制御を行う、一連の動作の流れを以下に説明する。
まず、撮影者がカメラ1に対してレリーズを押し込む操作を行うと、CPU6は、カメラ1に対するカメラ制御信号によってデジタル画像データの取り込み制御を行い、バッファメモリ2に対する転送制御信号によって、デジタル画像データを一旦バッファメモリ2に転送し記憶させる。次にCPU6はバッファメモリ2に対する転送制御信号、および圧縮回路3に対する圧縮制御信号により、バッファメモリ2の画像データに対して、あらかじめ決められた標準の圧縮率に相当する画質パラメータにしたがった画像圧縮処理を行う。この時、圧縮後の画像データサイズは、画質演算回路5に対して出力される。画質演算回路5は、入力された圧縮画像データサイズと、圧縮前の原画像データサイズとの差分を検出して、その差分を画質パラメータに変換した結果をメモリカード4に対して出力する。
以上の処理によって、撮影された画像に対する画質パラメータがメモリカード4に対して入力された後、CPU6はバッファメモリ2に記録されている原画像データを、転送制御信号、圧縮制御信号、メモリ制御信号によって、そのまま圧縮処理をかけずに、メモリカード4に対して転送し記録する。この時、メモリカード4は、原画像データと、その現画像データに対応した画質パラメータを画質パラメータテーブルに記録する。以上の処理をメモリカード4の容量に空きがある間は繰り返し行うことで、画像データを記録されていくものとする。
【0011】
図4は、メモリカード4に記録される画質パラメータテーブルの内容の例を示している。一例として、3枚の画像、原画像1,原画像2,原画像3を撮影し、それぞれの画質パラメータがA,B,C(後述する説明のため、仮にA>C>Bとしておく)であった場合、画質パラメータテーブルの内容は、図4に示すような形式となる。
次に、画像をメモリカード4に記録していき、メモリカード4の空き容量が足りなくなった場合にCPU6が制御する処理の流れを説明する。メモリカード4は、メモリの空き容量が圧縮をかけない原画像データ1枚分に不足する状態となった時点で、メモリフル通知信号をCPU6に対して出力する。CPU6はメモリフル信号が入力された際には、メモリカード4に対するメモリ制御信号によって、画質パラメータテーブルの中で、もっとも画質パラメータの値が小さい記録画像を検索する。図4に示した例では、画質パラメータ値の大きさをA>C>Bとしたので、画質パラメータの値がもっとも小さいBに相当する原画像ナンバー2が検出される。
次に、CPU6は、図1に示したバッファメモリ2に対する転送制御信号ならびに、メモリカード4に対するメモリ制御信号によって、メモリカード4の中から選択された原画像ナンバー2をバッファメモリ2に対して転送し記憶させる。また、同時にメモリカード2の画質パラメータテーブルからは、原画像ナンバー2の画質パラメータが出力され、圧縮回路3に入力される。次に、CPU6はバッファメモリ2に対する転送制御信号ならびに、圧縮回路3に対する圧縮制御信号、メモリカード4に対するメモリ制御信号によって、バッファメモリ2に記憶されていた原画像ナンバー2の画像データを、画質パラメータにしたがった圧縮率によって圧縮処理を行った上でメモリカード4に対して転送し記録させる。
この時、メモリカード4に記録されていた原画像ナンバー2と画質パラメータテーブルの原画像ナンバー2に関するデータを消去することで、新たにメモリの空き容量を確保する。なお、圧縮回路3における画質パラメータと、圧縮後の画像データのサイズは、図5に示す表にしたがった関係とする。すなわち、画質パラメータの値が大きい場合は、圧縮率を上げて、圧縮画像データのサイズが小さくなり、逆に画質パラメータの値が小さい場合は、圧縮率を下げて、圧縮画像データのサイズが大きくなる関係とする。
以上に説明した、メモリカード4においてメモリフルが生じた際の一連の動作は、メモリカード4の空き容量が、原画像1枚を記録するために必要な容量が確保されるまで、繰り返し処理される。なお、メモリカード4に記録されている原画像すべてが圧縮され、画質パラメータテーブルに何も記録されていない状態で、なおかつ空き容量が不足する場合は、それ以上の空き容量を作ることはできないため、処理を終了するか、または、最後の一枚の画像のみ、高圧縮率で強制的に圧縮画像サイズを小さくした上で記録して、処理を終了するものとする。
【0012】
次に、本発明の請求項3、4に対する、画像記録装置について、実施形態に基づいて説明する。請求項3、4の画像記録装置をデジタルカメラに適用する場合、図1に示した請求項1、2および請求項5に対する説明のためのブロック図において、圧縮回路3ならびに画質演算回路5における動作のみが異なる。その他の処理の流れについては、先の請求項1、2、5の実施形態と同様であるため、請求項3、4に対する実施形態についても、図1のブロック図に基づいて説明する。したがって、圧縮回路の動作、および画質演算回路についてのみ、動作の詳細を説明する。
請求項3、4に対する、画像記録装置を構築する場合、図1に示す圧縮回路3は、原画像データを画質パラメータにしたがった圧縮率によって、圧縮処理をした圧縮画像データを出力する通常の画像圧縮処理に加え、画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出して出力し、再度画質パラメータを外部より取り込み、原画像データと対にした状態で新しく取り込んだ画質パラメータを出力する機能を有するものとする。
図6は、圧縮回路3の動作説明のために縦横の画素数を3×3とした、小さな画像データにおける、画素の輝度値を示した例である。圧縮回路3において、隣接画素どうしのき度値の差分を演算するとき、差分の積算値をSumとして、図6のaからiの画素すべてを対象とする際は、たとえば以下の式のような演算によって、Sumの値が検出される。
Sum={|b-a|+|c-b|}+{|e-d|}+|f-e|}+{|h-g|+|i-h|}
なお、上記の式で、中括弧によりくくられる範囲は、画像データの行に相当している。このように、行単位で隣接画素間の輝度値の差分をすべて積算した値が、圧縮回路3から積算データとして出力される。
【0013】
次に図1における画質演算回路5の動作について説明する。画質演算回路5は外部より入力される演算制御信号に従って、同じく外部より入力される積算データを画質パラメータに変換して出力する。ここで、積算データは、圧縮回路3より出力された値が入力されるものとする。画質演算回路5における画質パラメータの演算方法は以下の通りとする。
積算データをSumとすると、画質パラメータの値は、あらかじめ規定されたSumの上限値と下限値、ならびに画質パラメータの上限値、下限値に対して、図7に示すグラフのように、Sumの値が上限値と下限値の間に相当する区間では線形な比例関係に変換され、その他の区間では、固定値に変換される。すなわち、Sumの値が下限値よりも小さい場合、画質パラメータも下限値でクリップされ、逆にSumの値が上限値よりも大きい場合は、画質パラメータも上限値でクリップされるものとする。なお、画質パラメータの値は、請求項1、2および5の画像記録装置と同様に、大きくなるほど高画質を示し、圧縮後の画像の大きさが大きくなる値に相当する。逆に画質パラメータの値が小さくなるほど低画質を示し、圧縮後の画像データのサイズが小さくなる値に相当している。
【0014】
次に請求項3、4の画像記録装置において、図1におけるカメラ1に画像が取り込まれてから、メモリカード4に記録されるまでにCPU6が制御を行う、一連の動作の流れを以下に説明する。まず、撮影者がカメラ1に対してレリーズを押し込む操作を行うと、CPU6は、カメラに対するカメラ制御信号によってデジタル画像データの取り込み制御を行い、バッファメモリ2に対する転送制御信号によって、デジタル画像データを一旦バッファメモリ2に転送し記憶させる。
次にCPU6はバッファメモリ2に対する転送制御信号、および圧縮回路3に対する圧縮制御信号により、バッファメモリ2の画像データに対して、画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出し、積算値データとして出力させる。この時、積算値データは、画質演算回路5に対して出力される。画質演算回路5は、入力された積算値データを画質パラメータに変換した結果を、メモリカード4に対して出力する。
以上の処理によって、撮影された画像に対する画質パラメータがメモリカード4に対して入力された後、CPU6はバッファメモリ2に記録されている原画像データを、転送制御信号、圧縮制御信号、メモリ制御信号によって、そのまま圧縮処理をかけずに、メモリカード4に対して転送し記録する。この時、メモリカード4には、原画像データと、その現画像データに対応した画質パラメータを画質パラメータテーブルに記録する。
以上の処理をメモリカード4の容量に空きがある間は、繰り返し行うことで、画像データを記録されていくものとする。さらに画像をメモリカード4に記録していき、メモリの空き容量が足りなくなった場合の動作については、請求項1、2および5の画像記録装置と同様な処理が行われる。
【0015】
以上の実施形態において説明した本発明の請求項1から5の画像記録装置における、全体の処理の流れを図8の動作フロー図にまとめ説明する。Step(S1)において、撮影者がレリーズを押し込む操作を行ったことを判定し、レリーズ操作が行われていない場合、step1に戻る。レリーズ操作が行われた場合は、次のstep(S2)へ進み、カメラ1によってデジタル画像データの取り込みを行い、次のstep(S3)において、取り込まれた画像データをバッファメモリ2に転送し、記憶させる。次のstep(S4)において、バッファメモリの画像データを圧縮回路に転送し、step(S5)において圧縮画像サイズまたは積算データを演算する。
次のstep6では、画質演算回路5において、圧縮画像サイズまたは積算値データが画質パラメータに変換され、次のstep(S7)で画質パラメータがメモリカード4に対して出力され、画質パラメータテーブルに記録される。さらに、次のstep(S8)において、バッファメモリ2に記録されている原画像データを、圧縮処理をかけずに、メモリカード4に対して転送し、記録する。次のstep(S9)において、メモリカード4の空き容量が、原画像1枚分よりも少ない状態のメモリフルが起きているかどうかを判定し、メモリフルが起きていない場合は、step(S1)に戻る。またメモリフルが生じている場合は、次のstep(S10)に進み、メモリカードに圧縮されていない原画像データが残っているかどうかを判定し、残っていない場合はメモリカード4にこれ以上空き容量を確保することが不可能であるため、endへ進み、処理を終了する。
【0016】
メモリカード4に圧縮されていない原画像データが残っている場合は、次のstep(S11)に進み、メモリカード4に記録されている画像の中で、画質パラメータが最小の原画像を検出し、次のstep(S12)において、step(S11)で検出された原画像データをバッファメモリ2に対して転送し、次のstep(S13)ではstep(S11)において検出された原画像データをメモリカード4から消去する。次のstep(S14)では、step(S11)において検出された原画像データの画質パラメータを圧縮回路3に対して出力し、次のstep(S15)において、バッファメモリ2からstep(S12)で転送されて記録されている原画像データを圧縮回路3に転送し、次のstep(S16)においてstep(S14)において出力された画質パラメータにしたがって画像圧縮処理を行った結果生成された圧縮画像データをメモリカード4に転送、記録する。次のstep(S17)では、メモリカードに記録されている画質パラメータテーブルより、step(S11)において検出された原画像データの記録を消去し、step(S9)のメモリフルの判定に戻る。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、記憶する原画像データと圧縮画像データの大きさの差分にしたがって、低画質から高画質に相当する画質パラメータを決定する画質演算回路を有しているので、画質パラメータが自動的に設定され、撮影者が画像を確認しながら画質パラメータを設定する必要がなく、利便性が向上する効果がある。また、メモリ(メモリカード)に原画像データと原画像データに対応した画質パラメータを対に組み合わせて記憶していき、メモリの空き容量が無くなった時点で、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、メモリの空き容量を確保した後、新しい原画像データを記憶していくので、メモリ容量の利用効率を向上できる上、記録される画像データの品質を向上させる効果を有する。
請求項2記載の発明によれば、原画像を圧縮した結果得られる圧縮画像データと、圧縮される前の原画像データのサイズの差分を検出して、差が大きいほど低画質に相当する画質パラメータを出力し、差が小さいほど高画質に相当する画質パラメータを、原画像データに対して適応的に出力するので、画像データの種類によって最適な画質パラメータが自動的に設定され、メモリに記録される画像データの品質が向上する効果を有する。
請求項3記載の発明によれば、原画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出して、低画質から高画質に相当する画質パラメータを決定す画質演算回路を有しているので、画質パラメータを演算する際にいったん原画像データを圧縮処理する必要がなく、画像記録に要する処理時間をより高速化する効果を有する。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、画質演算回路において、原画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出して、積算値が小さいほど低画質に相当する画質パラメータを出力し、積算値が小さいほど高画質に相当する画質パラメータを、原画像データに対して適応的に出力するので、画像データの輝度値の変化が激しい場合は、高画質に相当するパラメータが求められ、輝度値の変化が少ない場合は、低画質に相当するパラメータが求められるため、画像データの種類によって最適な画質パラメータが自動的に設定され、メモリに記録される画像データの品質が向上する効果を有する。
請求項5記載の発明によれば、メモリ(メモリカード)の空き容量が無くなった時点で、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、圧縮画像データを上書き保存する際に、すでにメモリに記憶されている原画像データの中から、低画質に相当するパラメータが設定された画像データを優先して処理するので、常にもっとも画像圧縮処理によって画質劣化を生じにくい画像データが圧縮の対象となり、メモリカードに記録される画像データの品質を最大に保つ効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタル画像記録装置のブロック図である。
【図2】メモリカードに記録される内容の説明図である。
【図3】原画像と圧縮画像の差分と、画質パラメータの関係を示す説明図である。
【図4】メモリカードに記録される画質パラメータテーブルの内容を示す説明図である。
【図5】画質パラメータと圧縮率と圧縮画像サイズの関係を示す説明図である。
【図6】輝度の差分の演算に関する説明図である。
【図7】積算値データと画質パラメータの関係を示す説明図である。
【図8】本発明の全体の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 カメラ、2 バッファメモリ、3 圧縮回路、4 メモリカード、5 画質演算回路、6 CPU(制御手段)
Claims (5)
- 画像を記憶するためのメモリと、任意に設定される画質パラメータにしたがって画像を圧縮する圧縮回路と、記憶する原画像データを一旦圧縮回路において圧縮した結果生じた原画像データと圧縮画像データの大きさの差分にしたがって、低画質から高画質に相当する画質パラメータを決定する画質演算回路と、メモリに原画像データと原画像データに対応した画質パラメータを対に組み合わせて記憶していき、メモリの空き容量が無くなった時点で、画像データと対応して記憶されている画質パラメータにしたがって、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、圧縮画像データを上書き保存することにより、メモリの空き容量を確保した後、新しい原画像データをメモリに記憶していく制御手段とを備えたことを特徴とするデジタル画像記録装置。
- 請求項1のデジタル画像記録装置において、前記画質演算回路は、規定の画質パラメータを圧縮回路に対して設定した状態で原画像を圧縮した結果得られる圧縮画像データと、圧縮される前の原画像データのサイズの差分を検出して、差が大きいほど低画質に相当する画質パラメータを出力し、差が小さいほど高画質に相当する画質パラメータを、原画像データに対して適応的に出力することを特徴とするデジタル画像記録装置。
- 画像を記憶するためのメモリと、任意に設定される画質パラメータにしたがって画像を圧縮する圧縮回路と、原画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出して、低画質から高画質に相当する画質パラメータを決定する画質演算回路と、メモリに原画像データと原画像データに対応した画質パラメータを対に組み合わせて記憶していき、メモリの空き容量が無くなった時点で、画像データと対応して記憶されている画質パラメータにしたがって、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、圧縮画像データを上書き保存することにより、メモリの空き容量を確保した後、新しい原画像データをメモリに記憶していく制御手段とを備えたことを特徴とするデジタル画像記録装置。
- 請求項3記載のデジタル画像記録装置において、前記画質演算回路は、原画像データの全領域または一部の領域に対して隣接画素どうしの輝度値、もしくは色情報値の差分の積算値を検出して、積算値が小さいほど低画質に相当する画質パラメータを出力し、積算値が大きいほど高画質に相当する画質パラメータを、原画像データに対して適応的に出力することを特徴とするデジタル画像記録装置。
- 請求項1乃至4のいずれか1項記載のデジタル画像記録装置において、前記制御手段は、メモリの空き容量が無くなった時点で、すでにメモリに記憶されている原画像データに圧縮処理を行って、圧縮画像データを上書き保存する際に、すでにメモリに記憶されている原画像データの中から、低画質に相当するパラメータが設定された画像データを優先して処理するとともに、新しい原画像データを1枚保存するために最低限必要な記憶容量を確保しながら、画像データをメモリに記憶していくことを特徴とするデジタル画像記録装置。
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