JP4429520B2 - 陽極電解コンデンサ用アルミニウム箔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサ用アルミニウム合金箔に係り、詳しくは電解エッチングにより、優れた静電容量が得られる陽極電解コンデンサ用アルミニウム箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサ用アルミニウム箔は、その実効表面積を拡大して単位面積当たりの静電容量を増大させるために、エッチング処理が行われる。このエッチング処理は、通常塩酸や硫酸等の酸性溶液中で交流電解により行われる。
【0003】
アルミニウム箔をエッチング処理することにより、アルミニウムを溶解してその表面積を拡大させるが、この溶解性はアルミニウム箔中に含まれる元素によって変化することが知られており、エッチング条件に応じた最大実効表面積を得ることを目的として、Fe、Cu、Zn、Ga、Ni等を添加した電解コンデンサ用アルミニウム箔が開発されている。 しかしながら、電解コンデンサ用アルミニウム箔の静電容量は、溶解量だけで制御することは困難であり、アルミニウム箔表面の集中溶解を極力抑制しながら、その溶解性を向上させることが重要である。
【0004】
上記の添加成分のうち、Cu、Niは、とくに、エッチング時における溶解性を向上させ、静電容量の増加に寄与することが知られているが、アルミニウム箔表面の溶解量が極端に増加すると、箔表面に集中溶解部が発生し、この集中溶解部が多くなると、ピットの短絡や欠落による無効溶解部が多くなって、溶解量に対応した表面積拡大効果を得ることが出来ないため、その分静電容量の増加が妨げられるという問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、Niによる過剰な溶解量の増加を抑制する手段として、Ni含有量に対して1〜50重量%のPbを添加し、溶解量の増加を適宜に制御しつつ、静電容量の向上と共に、箔強度を向上させた陽極用アルミニウム合金箔が提案されている(特開2000−3836号公報)。
【0006】
上記のアルミニウム合金箔においては、添加するPbをより効果的に作用させるためには、Niの含有量に対する添加割合を制御するのに加え、Pbの含有量がアルミニウム合金箔の表面から0.1μmまでの表層部分において40〜2000ppm であることが、その効果との関係において望まれている。
【0007】
発明者らは、Niを含有する電解コンデンサ用アルミニウム箔において、Niの含有による過剰溶解を制御し得る元素との組合わせとエッチング性、静電容量との関係について、多角的な実験、検討を行った結果として、特定量のIn、Bi、Snを、Niに対して特定の割合で添加することにより、Niの溶解性能が制御され、エッチング処理により効果的な拡面性が得られることを見出した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その目的は、エッチング処理により実効表面積が拡大し、優れた静電容量が得られるアルミニウム箔を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による陽極電解コンデンサ用アルミニウム箔は、Alの純度が99.96%以上の電解コンデンサ用アルミニウム箔であって、FeおよびSiをそれぞれ5〜150ppm 、Cuを10〜60ppm 、Niを0.5〜10ppm 、In、BiおよびSnのうちの1種以上を、その合計量が30ppm 以下となるよう含有すると共に、Niの含有量とIn、BiおよびSnの含有量の合計の比(Ni(ppm) /(In(ppm) +Bi(ppm) +Sn(ppm) ))が0.05〜10であり、残部が不可避不純物からなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の陽極電解コンデンサ用アルミニウム箔の、各元素の含有量と、特定添加元素の相互の比率およびそれらの作用について説明する。
【0011】
(1)FeおよびSi
FeおよびSiの含有量は、5〜150ppm 、好ましくは10〜100ppm の範囲とする。FeおよびSiの含有量がそれぞれ5ppm 未満の場合には、異常成長した結晶粒が形成されやすく、エッチング後の外観不良が生じると共に、箔強度のバラツキが生じ易くなる。また、その含有量がそれぞれ150ppm を越えると、金属間化合物が増加し、前記の無効溶解部が多くなるため、静電容量の低下を招く原因となる。なお、アルミニウムの純度は99.96%以上とするのが好ましい。
【0012】
(2)Cu
Cuは、主にエッチング時の溶解減量を増加させ、静電容量を向上させる機能する。Cuの好ましい含有量は、10〜60ppm 、更に好ましくは20〜50ppm の範囲である。Cuの含有量が10ppm 未満ではその効果が十分でなく、60ppm を越えて含有すると、過剰な溶解による無効溶解部が増加するため静電容量が低下する。
【0013】
(3)Ni
Niは、AlおよびFeと反応して微細なAl−Fe―Ni系の金属間化合物を形成し、これが腐食開始点となるため、静電容量を増加させる。Niの好ましい含有量は、0.5〜10ppm 、更に好ましくは1〜5ppm の範囲である。Niの含有量が0.5ppm 未満では、形成されるAl−Fe−Ni系の金属間化合物量が少ないため、十分な効果が期待できず、10ppm を越えると、過剰溶解による無効溶解部が増加し、静電容量の低下を招く。
【0014】
(4)In、Bi、Sn
In、BiおよびSnは、主に、添加したNiの溶解性能を制御するよう機能する。Niを添加することにより、溶解量を高めることはできるが、箔表面の集中溶解によってピットの短絡や欠落による無効溶解部が形成され易くなる。In、Bi、SnをNiの含有量に応じて特定比率で添加することにより、Niの溶解性能が適宜に制御され、箔表面の集中溶解が分散して無効溶解部が減少し、溶解量に応じた静電容量が得られる。
【0015】
本発明においては、In、BiおよびSnを、これらの元素うちのいずれか1種以上を、その合計量が30ppm 以下となるよう含有させる。また、これらの元素を、Niの含有量とIn、Biおよび/またはSnの添加量の合計の比(Ni(ppm) /(In(ppm) +Bi(ppm) +Sn(ppm) ))が0.05〜10の割合で添加することにより所期の目的が達成し得る。
【0016】
この際、In、BiおよびSnの合計の添加量が30ppm を越えると、箔表面が過剰に溶解し、ピットの欠落が生じる。Ni(ppm) /(In(ppm) +Bi(ppm) +Sn(ppm) )の値が0.05未満では、添加元素の効果が不十分となって箔表面における全面溶解が生じ易く静電容量が低下する。一方、その値が10を越えると、Niによる無効溶解量が多くなり静電容量が低下する。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して示し、本発明の特徴をより明確にすると共に、その効果を実証する。なお、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内において適宜に変更することが可能である。
【0018】
実施例1、比較例1
純度が99.96重量%以上の高純度アルミニウムに、Fe、Si、Cu、NiおよびIn、Bi、Snの各成分を、表1に示す合金組成となるよう添加、調整したスラブ製造した。各スラブを、常法に従って均質化処理、熱間圧延、冷間圧延し、厚さ100μmのアルミニウム箔とした後、不活性雰囲気中で焼鈍処理を行った。
【0019】
得られたアルミニウム箔を試験材とし、各試験材を、1モル塩酸+0.01モル硫酸を含む液温30℃の混合水溶液中において、電流密度0.25A /cm2 、正弦波20Hzで交流エッチングを行った。エッチング処理後の質量差により溶解減量を求めた後、EIAJ法に基づき60Vfの電圧を印可して化成処理を行い、LCRメーターで静電容量を測定した。静電容量及び溶解減量は比較例の試験材No.1の値を基準値として100%と表記し、各試験材の値を算出した。その結果を表2に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
表2にみられるように、本発明に従う実施例の試験材はいずれも、エッチング時の溶解減量に応じた優れた静電容量をそなえている。これに対して、本発明の条件を外れた比較例の試験材は、十分な静電容量が得られていない。
【0023】
すなわち、試験材No.11および試験材No.12は、Ni(ppm) /(In(ppm) +Bi(ppm) +Sn(ppm) )の比が大きいためエッチング処理時に無効溶解量が多くなり、静電容量が低くなる。試験材No.13は、NiとIn比が小さいため、Inの効果が十分でなく無効溶解部が多くなり、静電容量が低くなる。試験材No.14は、In、Bi、Snの合計量が多いためエッチング時に過剰溶解が生じ、静電容量が低くなる。試験材No.15は、FeおよびSiの含有量が多いため、金属間化合物量が増加してエッチング時に無効溶解部が多くなり、静電容量が低くなる。試験材No.16はCu量が多いため、また試験材No.17はNi量が多いため、いずれもエッチング時に過剰溶解による無効溶解部が多くなり、静電容量が低くなる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、エッチング処理時の拡面効果に優れ、改善された静電容量をそなえた電解コンデンサ用アルミニウム箔が提供される。当該アルミニウム箔は陽極電解コンデンサ用に好適に使用される。
Claims (1)
- Alの純度が99.96%(質量%、以下同じ)以上の電解コンデンサ用アルミニウム箔であって、FeおよびSiをそれぞれ5〜150ppm 、Cuを10〜60ppm 、Niを0.5〜10ppm 、In、BiおよびSnのうちの1種以上を、その合計量が30ppm 以下となるよう含有すると共に、Niの含有量とIn、BiおよびSnの含有量の合計の比(Ni(ppm) /(In(ppm) +Bi(ppm) +Sn(ppm) ))が0.05〜10であり、残部が不可避不純物からなることを特徴とする陽極電解コンデンサ用アルミニウム箔。
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