JP4428225B2 - プラグ及び冷間引抜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラグ及び冷間引抜方法に関し、さらに詳しくは、冷間引抜に利用されるプラグ及びそのプラグを用いた金属管の冷間引抜方法に関する。
自動車等に用いられる軸部品等の機械部品の素材として中実材が利用されてきたが、近年、軽量化を目的に中実材の代わりに金属管の利用が検討されている。
中実材と異なり、金属管は内周面を有する。そのため、金属管を機械部品の素材とするためには、しわに代表される内周面の凹凸を低減する必要がある。内周面に深いしわが存在すれば、機械部品として必要な疲労強度が低下するためである。
熱間加工により製造された金属管の内周面には軸方向にしわが形成される。たとえば、マンネスマン方式により継目無鋼管を製造する場合、素材が穿孔された後、最終工程でレデューサにより圧延され継目無鋼管になる。このとき、圧延後の継目無鋼管の内周面に0.2mm程度の深さのしわが発生する場合がある。
このような熱間加工により生じる内周面のしわを軽減するために、熱間加工後の金属管に対して芯金を用いた冷間引抜を実施する。図12を参照して、ダイス1を用いて金属管2に対して冷間引抜を実施するとき、金属管2内に芯金として円筒型プラグ3を挿入する。引抜時に円筒型プラグ3の表面が金属管2の内周面に接触することにより、内周面のしわの深さを小さくできる。また、円筒型プラグ3の代わりに図13に示すようなテーパ型(フロート型)プラグ4も芯金として用いられる。
さらに、特許文献1、特許文献2、非特許文献1では、図14に示すようなプラグ(以下、段付きプラグと称する)100を用いて内周面を平滑にする方法が開示されている。段付きプラグ100は、第1円筒部101、第1円筒部よりも外径が大きい第2円筒部102、第1円筒部101と第2円筒部102との間にあってテーパ角θを有するテーパ部103で連続的に形成される。これらの文献では、段付きプラグ100が第2円筒部102の半径と第1円筒部101の半径との差分値である段差Δhを有するため、引抜後の金属管の内周面がより平滑になるとしている。
しかしながら、これらのプラグを用いた冷間引抜により内周面のしわを小さくする場合、複数回冷間引抜を実施しなければならない。なぜなら、上記のプラグを用いた冷間引抜の場合、1回の冷間引抜により低減できるしわ深さが非常に小さいからである。そのため、円筒型又はテーパ型のプラグを用いて冷間引抜を実施する場合、冷間引抜前の金属管の肉厚を最終寸法よりも厚肉にしなければならない。複数回冷間引抜を実施しなければ、所望の表面粗さにならないからである。
同様に、図14に示した段付きプラグ100を用いる場合も、複数回の冷間引抜が実施される。下記特許文献1、2及び非特許文献1に開示された段付きプラグの段差Δhは0.06mm程度である。非特許文献1に開示されるように、段差Δhをそれ以上大きくすれば、金属管の内周面及び段付きプラグ表面に焼き付きが発生するからである。そのため、これらの文献に開示された段付きプラグを用いても、複数回冷間引抜を実施しなければ焼き付きを発生させることなく疲労強度に影響しない程度にまでしわを小さくできない。
複数回の冷間引抜の実施は製造コストを引き上げる。さらに冷間引抜を実施するドローベンチの金属管1本当たりの占有時間が長くなる。その結果、製品のリードタイムが長くなる。
特開平11−300411号公報 国際公開第WO95/28239号パンフレット 今村ら、「管材の超平滑化引抜き技術の開発」、塑性と加工、日本、2000年5月、第41巻、第472号、p477〜481
本発明の目的は、焼き付きを発生させることなく冷間引抜1回当たりのしわ減少量を従来よりも大きくすることができるプラグ及びそのプラグを用いた金属管の冷間引抜方法を提供することである。
本発明の他の目的は、冷間引抜後の金属管の内径寸法精度を向上できるプラグ及びそのプラグを用いた金属管の冷間引抜方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明者らは、段付きプラグの段差Δhが表面粗さに与える影響を調べるために、段差Δh=0.04(mm)、テーパ角θ=30(deg)の段付きプラグを用いて冷間引抜を実施した。その結果、冷間引抜後の金属管の内周面から肉厚方向に0.04〜0.05mmの深さの表面層で硬度が上昇した。つまり、段差Δh=0.04mmの段付きプラグは段差Δhの約1〜1.25倍の深さまで金属管内周面に剪断歪みを与え、表面層の硬度を上昇させた。さらに、表面が硬化した深さと同程度の深さのしわが1回の冷間引抜により除去された。
そこで、本発明者らは、1回の冷間引抜でしわを所望の深さにまで小さくするためには、除去したいしわ深さと同程度の深さまで金属管の内周面に剪断歪みを与える必要があると考えた。換言すれば、段付きプラグの段差Δhを除去したいしわ深さと同程度にすれば、1回の冷間引抜により所望の深さまでしわを小さくできると考えた。
しかしながら、非特許文献1にも述べられているように、段差Δhを大きくすれば金属管内周面及びプラグ表面に焼き付きが発生する。焼き付きが発生すれば、焼き付き部分を起点として疲労破壊が生じる可能性が高くなる。そのため、しわを所望の深さまで小さくしつつ、かつ、焼き付きの発生を防止する必要がある。
本発明者らは、段差Δhとともに、焼き付きの発生を防止するために段付きプラグのテーパ部のテーパ角θにも注目した。そして、冷間引抜によるしわの軽減量及び焼き付きの発生については段差Δhとテーパ角θとが相互に関連していると考えた。
そこで、段差Δhとテーパ角θとの関係を実験により調査した。段差Δh及びテーパ角θの異なる複数の段付きプラグを用いて金属管に対して1回冷間引抜を実施した。このとき、0.2mmの深さのしわを内表面に有する金属管を用いた。冷間引抜後の金属管の内表面のしわ深さを測定し、以下の式(A)に基づいてしわ深さ減少率F1(%)を求めた。
F1=(1−(冷間引抜後のしわ深さ/冷間引抜前のしわ深さ))×100 (A)
しわ深さ減少率が50%以上であれば、金属管に残存するしわの深さは疲労強度に影響しない程度の0.1mm以下となる。そのため、しわ深さ減少率が50%以上となった場合、すなわち、冷間引抜時にしわを0.1mm以上除去し、その結果冷間引抜後に残存するしわの深さが0.1mm以下になった場合、冷間引抜1回当たりのしわ減少量が大きいと判断した。さらに、冷間引抜後の金属管の内表面に焼き付きが発生していないか確認した。
調査の結果を図1に示す。図中「○」内の数値はしわ深さ減少率F1(%)を示す。また、図中「●」は焼き付きが発生したことを示す。調査結果に基づいて、本発明者らは、中央が外径D1(mm)を有する第1円筒部、両端のうちの一端がD1よりも大きい外径D2(mm)を有する第2円筒部、第1及び第2円筒部の間がテーパ部で連続的に形成されたプラグが以下の式(1)〜式(3)を満たせば、焼き付きを発生することなく、冷間引抜1回当たりのしわ減少量を従来よりも大きくできることを見出した。
0.08≦Δh≦0.20 (1)
5≦θ≦25 (2)
Δh≦−0.005θ+0.275 (3)
ここで、Δh=(D2−D1)/2である。またθ(deg)はテーパ部のテーパ角である。
一方、段差Δhを大きくして冷間引抜を実施する場合、冷間引抜中の金属管の内周面に大きな剪断応力がかかるため、引抜後の金属管の内径寸法精度が悪化することが考えられる。図2に示すように、Δhが小さい場合、冷間引抜中に金属管2が受ける剪断応力は小さい。この場合、金属管2はテーパ部13を通過中にテーパ部13により拡管する方向に力を受けるものの、テーパ部13を通過した後にダイス1により縮径する方向に力を受ける。そのため、金属管2の内周面は第2円筒部12に接触し、ダイス1出側の金属管2の内径DAは第2円筒部12の外径D2と等しくなる。
一方、図3に示すように段差Δhが大きい場合、テーパ部13を通過中の金属管2が受ける剪断応力は大きくなる。この場合、テーパ部13を通過した金属管2はダイス1により縮径方向に曲げ戻されず、第2円筒部12に接触しない。その結果、金属管2の内径DAは第2円筒部12の外径D1よりも大きくなる。これをオーバーシュート変形と称する。オーバーシュート変形が発生すれば、冷間引抜中の金属管2は第2円筒部12に接触しないため、金属管の内径寸法は一定にならない。そのため、内径の寸法精度が悪化する。
本発明者らはプラグのテーパ部のうち、第2円筒部に隣接する部分で金属管に与える剪断応力を小さくすれば、このようなオーバーシュート変形を抑制できると考えた。剪断応力が小さければ、ダイスの拘束力により金属管が第2円筒部に接触するからである。具体的には、隣接部分にコーナ半径を形成することにより隣接部分が冷間引抜中の金属管に与える剪断応力を軽減できる。ただし、コーナ半径を過剰に大きくすればテーパ部全体が金属管に与える剪断応力が低下し、しわが軽減されない。
コーナ半径について検討した結果、本発明者らは、上記式(1)〜(3)に加えて、隣接部分のコーナ半径R1(mm)が以下の式(4)を満たせば、1回の冷間引抜で軽減されるしわ深さを大きくでき、かつ、金属管の内径寸法精度を向上できることを見出した。
0.5≦R1≦1.0 (4)
以上の検討の結果、本発明者らは以下の発明を完成させた。
本発明のプラグは、冷間引抜時に金属管内に挿入されるプラグであって、中央が第1の円筒部、両端のうちの一端が第2の円筒部、第1及び第2の円筒部の間がテーパ部で連続的に形成され、第1の円筒部の外径はD1(mm)であり、第2の円筒部の外径はD1よりも大きいD2(mm)であり、テーパ部のテーパ角はθ(deg)であり、式(1)〜式(3)を満足する。
0.08≦(D2−D1)/2≦0.20 (1)
5≦θ≦25 (2)
(D2−D1)/2≦−0.005θ+0.275 (3)
好ましくは、テーパ部のうち第2円筒部に隣接する部分は式(4)を満たすコーナ半径R1(mm)で形成される。
0.5≦R1≦1.0 (4)
本発明の金属管の冷間引抜方法は、金属管の一端をダイスに挿入する工程と、中央が第1の円筒部、両端のうちの一端が第2の円筒部、第1及び第2の円筒部の間がテーパ部で連続的に形成され、第1の円筒部の外径はD1であり、第2の円筒部の外径はD1よりも大きいD2であり、テーパ部のテーパ角はθであり、式(1)〜式(3)を満足するプラグを第2の円筒部から金属管内に引抜方向に向かって挿入する工程と、テーパ部がダイスのベアリング内に含まれる位置でプラグを保持しながら金属管を引き抜く工程とを含む。
好ましくは、テーパ部のうち第2円筒部に隣接する部分は上記式(4)を満たすコーナ半径R1で形成される。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
1.プラグ形状
図4を参照して、本実施の形態によるプラグ10は、外径D1(mm)を有する第1円筒部11、テーパ部13、D1よりも大きい外径D2(mm)を有する第2円筒部12の順に連続的に形成される。冷間引抜時にプラグ10を支持する棹は第1円筒部11の端部111に周知の方法で固定される。
テーパ部13は冷間引抜中の金属管の内周面に剪断応力を与え、内周面のしわを浅くする役割を有する。テーパ部13の外径は第1円筒部側でD1、第2円筒部側でD2であり、第1円筒部側から第2円筒部側に向かって徐々に大きくなる。図2に示すように、テーパ部13のテーパ角θ(deg)は一定である。
第2円筒部12は冷間引抜中の金属管の内周面と接触し、冷間引抜後の金属管の内径を一定にする役割を有する。図4では第2円筒部12の端部121は面取りされている。引抜時に金属管の内周面に疵をつけないようにするためである。ただし、端部121は面取りされていなくてもよい。
プラグ10はさらに、式(1)〜式(3)を満足する。これらの式を満足することにより、焼き付きを発生することなく1回の冷間引抜で除去できるしわ深さを従来よりも深くすることができる。
0.08≦Δh≦0.20 (1)
5≦θ≦25 (2)
Δh≦−0.005θ+0.275 (3)
ここで、段差Δh=(D2−D1)/2である。
段差Δhは式(1)を満たす。段差Δhが大きければ、冷間引抜中の金属管の内周面に剪断歪みをより深く与えることができ、より深いしわを除去できる。機械部品として使用される金属管が疲労破壊を生じないようにするためには、内周面のしわの深さを0.1mm以下にするのが好ましい。熱間加工後の金属管の内周面に形成されるしわの深さは最大で0.2mm程度であるため、1回の冷間引抜でしわ深さを0.1mm以下にするためには、1回の冷間引抜で除去されるしわ深さが0.1mm以上となるのが好ましい。段差Δhが0.08mm以上である場合、1回の冷間引抜で0.1mm以上の深さのしわを除去できる。一方、段差Δhが大きすぎると焼き付きが発生する。そのため、段差Δhの上限値を0.20mmとする。
テーパ角θは式(2)を満たす。テーパ角θが小さい場合、冷間引抜中にテーパ部13が金属管の内周面に与える剪断歪みが小さくなる。この場合、段差Δhが式(1)を満たしても、1回の冷間引抜で除去されるしわ深さは浅くなる。一方、テーパ角θが大きい場合、テーパ部13が金属管に与える剪断歪みが大きくなりすぎ、焼き付きが発生する。そのため、テーパ角θは式(2)を満足するように形成される。
段差Δh及びテーパ角θはさらに、式(3)を満たす。段差Δhとテーパ角θとは相互に関連している。具体的には、段差Δhが式(1)を満足し、テーパ角θが式(2)を満足しても、焼き付きが発生する場合がある。段差Δhとテーパ角θとが式(3)を満たすことにより、焼き付きの発生を防止できる。
プラグ10は、図5に示すように、テーパ部13のうち第2円筒部12と隣接する部分131にコーナ半径R1(mm)を有していてもよい。コーナ半径R1を隣接部131に形成することにより冷間引抜後の金属管の内径寸法精度が向上する。プラグ10がコーナ半径R1を有する場合、プラグ10は式(1)〜(3)を満たすことに加え、式(4)も満たす。
0.5≦R1≦1.0 (4)
コーナ半径R1が小さすぎると、冷間引抜中に隣接部分131を通過する金属管に過剰な剪断応力がかかり、オーバーシュート変形が発生しやすくなる。一方、コーナ半径R1が大きすぎるとテーパ部13全体が金属管に与える剪断応力が過剰に小さくなり、しわが軽減されない。
コーナ半径R1が式(4)を満たせば、冷間引抜中に隣接部分131を通過する金属管に過剰な剪断応力がかかるのを防止できる。そのため、金属管にオーバーシュート変形が発生せず、金属管の内周面が第2円筒部12に接触する。その結果、冷間引抜後の金属管の内径寸法精度が向上する。また、コーナ半径R1を形成してもテーパ部13全体が金属管に与える剪断応力の低下を防止できるため、冷間引抜1回当たりのしわ減少量を従来よりも大きくできる。
本実施の形態によるプラグは図6に示すようにテーパ型のプラグ15であってもよい。この場合、プラグ15は式(1)〜式(3)又は式(1)〜式(4)を満たす。要するに、本発明の実施の形態によるプラグは、中央が第1円筒部11、両端のうちの一端が第2円筒部12、第1円筒部11と第2円筒部12との間にテーパ部13が連続的に形成されて、かつ、式(1)〜式(3)又は式(1)〜式(4)を満たせばよい。
本発明の実施の形態によるプラグは周知の材質で製造される。たとえば、JISV20に代表される超硬合金であってもよいし、工具鋼であって表面上にTiNi等のコーティング層を有するものであってもよい。工具鋼はたとえば、JIS G4403 SKH51やJIS G4404 SKD11等である。
2.金属管の冷間引抜方法
初めに、冷間引抜する金属管を準備する。金属管はたとえば熱間加工により製造される。穿孔及び圧延することにより金属管を製造してもよいし、熱間鍛造により製造してもよい。他の方法により金属管を製造してもよい。
準備した金属管に対して冷間引抜を実施する。初めに、酸洗いにより金属管の外周面及び内周面に付着したスケールを除去する。スケールを除去した後、図7に示すように、金属管2の先端部21を口絞り加工する。続いて、図8に示すように、金属管2の先端部21を図示しないドローベンチに固定されたダイス1に挿入する。挿入後、ダイス1の出側から抜け出た先端部21をドローベンチのチャック30で掴み、固定する。棹6の先端にプラグ10を固定し、金属管2内にプラグ10を第2円筒部12側から引抜方向に向かって挿入する。このとき、挿入したプラグ10はダイス1のベアリング110よりも入り側で一旦止める。
続いて、チャック30で固定された金属管2をダイス1に通しながら引っ張る。このとき、棹6を引抜方向に動かし、図9に示すようにプラグ10のテーパ部13がダイス1のベアリング110内に含まれる位置で止める。図9及び図10に示すように、テーパ部13がベアリング110内に含まれる位置でプラグ10を保持しながら金属管2を引き抜く。テーパ部13がベアリング110内に含まれる位置でプラグ10を保持することにより金属管2の内径寸法を所望の寸法に仕上げることができる。なお、冷間引抜時に潤滑剤を用いる。
冷間引抜中、テーパ部13により金属管2の内周面に剪断歪みが与えられるため、内周面のしわの深さを軽減できる。具体的には、プラグ10が式(1)〜式(3)を満たすことにより、1回の冷間引抜で0.1mm以上の深さのしわが除去される。さらに、焼き付きが発生しない。
また、テーパ部13のうち、第2円筒部12との隣接部分が式(4)を満たすコーナ半径を有していれば、金属管2にオーバーシュート変形が発生しない。そのため、冷間引抜後の金属管2の内径寸法は第2円筒部12の外径と同じになる。つまり、金属管の内径寸法精度が向上する。
なお、プラグ10に代えて、図11に示すようにテーパ型のプラグ15を用いて冷間引抜を実施できる。テーパ型のプラグ15の場合、プラグ15を棹で支持しなくてもよい。つまり、従来のテーパ型プラグと同じ方法で金属管に対して冷間引抜を実施できる。ただし、図11に示すように、冷間引抜中のプラグ15はテーパ部13がベアリング110内に含まれる位置で保持される。
従来の円筒型プラグと、図2に示したプラグ10とを用いて冷間引抜を実施し、冷間引抜後の金属管の内面粗さを調査した。
外径寸法38mm、肉厚4mmの複数の金属管の各々の内周面に、軸方向に深さ0.2mmの1本の溝を放電加工により作製した。以降この金属管をしわ付き金属管と称する。しわ付き金属管の材質はJIS規格におけるS40Cとした。
27mmの外径を有する従来の円筒プラグと、外径D2=27mmの第2円筒部を有し、表1に示す段差Δh(mm)及びテーパ角θ(deg)を有する複数のプラグ10を用いてしわ付き金属管に対して冷間引抜を1回実施し、外径寸法34mm、肉厚3.5mmの金属管にした。なお、ダイス及び各プラグの材質はJIS規格におけるJISV20に相当する超硬合金とし、JIS B0601に基づく表面粗さはRzで0.1μmとした。また、冷間引抜時に潤滑剤を使用した。引抜速度は30m/minとした。
冷間引抜後の金属管の内周面に残存するしわの深さをミクロ観察により測定した。具体的には、金属管のしわを有する内周面を含む外径34mm×内径27mm×長さ10mmの試験片を長手方向に2個採取した。採取した試験片のうちしわを有する内周面を含む部分の断面を光学顕微鏡で200倍で観察し、しわ深さを測定した。各サンプルのしわ深さを平均した値を冷間引抜後のしわ深さとした。
さらに式(A)に基づいてしわ深さ減少率F1(%)を算出した。
また、冷間引抜後の金属管の内周面に焼き付きが発生しているか否かを目視により判断した。焼き付きが発生している場合、冷間引抜後のしわ深さを測定することなく不合格とした。
表1にしわ深さ減少率及び焼き付き判断の結果を示す。表中の焼き付き欄に「有り」と記載されている場合は焼き付きが発生したことを示す。
供試材8〜10、13〜15、18、19では、式(1)〜式(3)を満足するプラグを使用して冷間引抜されたため、しわ深さ減少率が50%以上となった。よって、これらの供試材は冷間引抜で除去されたしわ深さが0.1mm以上となり、換言すれば、1回の冷間引抜で疲労破壊が発生しない程度のしわ深さに軽減できた。また、これらの供試材には焼き付きが発生しなかった。
一方、供試材1は、従来の円筒型プラグを用いて冷間引抜を実施したため、しわ深さ減少率が50%未満であった。つまり、1回の冷間引抜で除去されるしわ深さが0.1mmよりも小さく、内周面に残存したしわの深さが0.1mmよりも大きかった。
また、供試材2〜6の冷間引抜に使用したプラグのテーパ角θが3degと小さく、式(2)を満足しなかった。そのため、供試材2〜6のしわ深さ減少率は50%未満になった。供試材7、12、17、22の冷間引抜に使用したプラグの段差Δhは0.05mmであり、式(1)を満足しなかったため、これらの供試材のしわ深さ減少率が50%未満となった。
供試材11、16、21の冷間引抜に使用したプラグの段差Δhは0.25mmであり、式(1)を満足しなかった。そのため、これらの供試材では焼き付きが発生した。供試材23〜26の冷間引抜に使用したプラグのテーパ角θは30degであり、式(2)を満足しなかったため、これらの供試材では焼き付きが発生した。
供試材20の冷間引抜に使用したプラグは、式(1)を満たす段差Δhと式(2)を満たすテーパ角θとを有するものの、式(3)を満たさなかった。そのため、供試材20では焼き付きが発生した。
図6及び表2に示す段差Δh(mm)及びテーパ角θ(deg)を有する複数のプラグ15を用いてしわ付き金属管に対して冷間引抜を1回実施した。なお、供試材1に対しては従来のテーパ型プラグを使用した。他の条件、たとえばダイス及びプラグの材質や表面粗さ、使用した潤滑剤及び引抜速度等は実施例1と同じにした。なお、プラグ15の第2円筒部の外径D2及び従来のテーパ型プラグの円筒部の外径は27mmとした。
冷間引抜後の金属管の内周面のしわ深さを実施例1と同様にミクロ観察により測定し、式(A)に基づいてしわ深さ減少率F1(%)を算出した。
表2にしわ深さ減少率及び焼き付き判断の結果を示す。供試材34〜36、39〜41、44、45では、式(1)〜式(3)を満足するプラグを使用して冷間引抜されたため、しわ深さ減少率が50%以上となった。つまり、1回の冷間引抜で疲労破壊が発生しない程度のしわ深さに軽減できた。また、これらの供試材には焼き付きが発生しなかった。
他の供試材については、実施例1と同様の結果となった。具体的には、従来のテーパ型プラグを使用した供試材27のしわ深さ減少率が50%未満になった。供試材28〜32に使用したプラグのテーパ角θが3degと小さかったため、しわ深さ減少率が50%未満になった。供試材33、38、43、48に使用したプラグの段差Δhは0.05mmであったため、しわ深さ減少率が50%未満となった。供試材37、42、47に使用したプラグの段差Δhは0.25mmであったため、焼き付きが発生した。供試材49〜52に使用したプラグのテーパ角θは30degであったため、焼き付きが発生した。供試材46の冷間引抜に使用したプラグは式(3)を満たさなかったため、焼き付きが発生した。
図5に示すように、テーパ部13のうち第2円筒部12に隣接する部分131にコーナ半径R1が形成されたプラグ10を用いて冷間引抜を実施し、引抜後のしわ深さ減少率及び内径寸法精度を調査した。
実施例1で使用したものと同じしわ付き金属管を準備した。外径が27mmの第2円筒部を有し、表3に示す段差Δh(mm)、テーパ角θ(deg)、コーナ半径R1(mm)を有する複数のプラグを用いてしわ付き金属管に対して冷間引抜を1回実施した。他の条件、たとえばダイス及びプラグの材質及び表面粗さ、使用した潤滑剤等は実施例1と同じとした。
冷間引抜後、実施例1と同様にしわ深さ減少率F1(%)を求めた。また、冷間引抜された金属管の内径寸法精度を求めた。具体的には、金属管の軸方向の任意の5点の内径及び周方向の任意の5点の内径をマイクロメータにより測定し、測定結果と第2円筒部の外径(=27mm)との最大誤差を内径寸法精度として求めた。
表3にしわ深さ減少率F1(%)及び内径寸法精度(mm)を示す。表3に示すように、供試材54、55、58、59は式(1)〜式(4)を満足したため、しわ深さ減少率が50%以上になり、かつ、内径寸法精度が±0.1mmよりも小さくなった。
一方、供試材53及び57は式(1)〜(3)を満たすものの、コーナ半径R1が0.3mmであり、式(4)の下限値未満であった。そのため、内径寸法精度が±0.1mmを超えた。また、供試材56及び60は式(1)〜(3)を満たすものの、コーナ半径R1が1.2mmであり、式(4)の上限値を超えた。そのため、しわ深さ減少率が50%未満となった。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
本発明によるプラグは、金属管の冷間引抜に利用可能であり、特に、自動車等に用いられる機械部品の素材となる金属管の冷間引抜に利用可能である。
冷間引抜時のしわ減少量及び焼き付きに影響を与える段付きプラグの段差とテーパ角との関係を示す図である。 プラグを用いて冷間引抜するときの金属管の加工状態を説明するための模式図である。 プラグを用いて冷間引抜するときの金属管の加工状態を説明するための他の模式図である。 本発明の実施の形態によるプラグの側面図である。 本発明の実施の形態による他のプラグの側面図である。 本発明の実施の形態による他のプラグの側面図である。 図4のプラグを用いた金属管の冷間引抜の第1工程を示す図である。 図4のプラグを用いた金属管の冷間引抜の第2工程を示す図である。 図4のプラグを用いた金属管の冷間引抜の第3工程を示す図である。 図4のプラグを用いた金属管の冷間引抜の第4工程を示す図である。 図6のプラグを用いた金属管の冷間引抜方法を説明するための図である。 従来の円筒型プラグを用いた金属管の冷間引抜方法を説明するための図である。 従来のテーパ型プラグを用いた金属管の冷間引抜方法を説明するための図である。 従来の段付きプラグの側面図である。
符号の説明
1 ダイス
2 金属管
10,15 プラグ
11 第1円筒部
12 第2円筒部
13 テーパ部

Claims (4)

  1. 冷間引抜時に金属管内に挿入されるプラグであって、
    中央が第1の円筒部、両端のうちの一端が第2の円筒部、前記第1及び第2の円筒部の間がテーパ部で連続的に形成され、
    前記第1の円筒部の外径はD1(mm)であり、
    前記第2の円筒部の外径はD1よりも大きいD2(mm)であり、
    前記テーパ部のテーパ角はθ(deg)であり、
    式(1)〜式(3)を満足することを特徴とするプラグ。
    0.08≦Δh≦0.20 (1)
    5≦θ≦25 (2)
    Δh≦−0.005θ+0.275 (3)
    ここで、Δh=(D2−D1)/2である。
  2. 請求項1に記載のプラグであって、
    前記テーパ部のうち前記第2円筒部に隣接する部分は式(4)を満たすコーナ半径R1(mm)で形成されることを特徴とするプラグ。
    0.5≦R1≦1.0 (4)
  3. 金属管の一端をダイスに挿入する工程と、
    中央が第1の円筒部、両端のうちの一端が第2の円筒部、前記第1及び第2の円筒部の間がテーパ部で連続的に形成され、前記第1の円筒部の外径はD1(mm)であり、前記第2の円筒部の外径はD1よりも大きいD2(mm)であり、前記テーパ部のテーパ角はθ(deg)であり、式(1)〜式(3)を満足するプラグを前記第2の円筒部から金属管内に引抜方向に向かって挿入する工程と、
    前記テーパ部が前記ダイスのベアリング内に含まれる位置でプラグを保持しながら前記金属管を引き抜く工程とを含むことを特徴とする金属管の冷間引抜方法。
    0.08≦Δh≦0.20 (1)
    5≦θ≦25 (2)
    Δh≦−0.005θ+0.275 (3)
    ここで、Δh=(D2−D1)/2である。
  4. 請求項3に記載の冷間引抜方法であって、
    前記テーパ部のうち前記第2円筒部に隣接する部分は式(4)を満たすコーナ半径R1(mm)で形成されることを特徴とする冷間引抜方法。
    0.5≦R1≦1.0 (4)
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