液晶表示装置は、透明電極と配向膜等を積層した面がそれぞれ対向するように2枚の透明ガラス基板を重ね合わせ、両基板間に液晶が封止されている液晶表示素子と、液晶表示素子の下に配置され、液晶表示素子に光を供給するバックライトと、液晶表示素子の駆動回路を有するプリント基板と、これらの部材を収納し、液晶表示窓があけられた金属製フレームとで構成されている。
なお、バックライトには、光を導くための透明な合成樹脂板から成る導光板の側面に沿って、冷陰極蛍光灯またはLEDなどの光源を近接して配置したタイプと、液晶表示素子の直下に複数本の冷陰極蛍光灯などの光源をそれぞれ平行に配列したタイプとがある。前者では導光板と液晶表示素子との間、後者では複数本の冷陰極蛍光灯と液晶表示素子との間に、光を拡散し、液晶表示素子に均一に光を照射するための拡散板が配置される。
導光板の側面に沿って光源を近接して配置したタイプの液晶表示装置においては、光源から照射された光が、導光板(ライトガイドと称される場合もある)によって導光され、拡散板によって拡散されて、レンズフィルムによって、配光制御がなされて、液晶表示素子に照射されるようになされている。
従来、液晶表示素子と、その下に配置した拡散板との間に、上面がプリズム面、下面が平滑面である透明なレンズフィルム(レンズシート、あるいは、プリズム板と称する場合もある)を配置することにより、表示装置における表示の輝度を増大させ、明るく輝度分布の均一な液晶表示画面を得ようとするようになされている。
また、レンズフィルムの一種として、BEF(Brightness Enhancement Film)(商標)が広く用いられている。拡散板により拡散された光は、BFFにより、液晶表示素子表面方向へ集光されるので、明るく輝度分布の均一な液晶表示画面を得ることができる。レンズフィルムのプリズム面の断面形状には、例えば、鋸歯状やカマボコ状などがある。
しかしながら、表示の輝度を増大させるためにレンズフィルムを用いることにより、液晶表示素子とレンズフィルムとの干渉に起因して、表示画面にモアレが発生する場合があり、また、斜めから表示画面を見たとき、鏡状のぎらつきが発生する場合があった。
バックライトの輝度を増大させて、輝度分布が均一な明るい表示画面を得るとともに、表示画面におけるモアレやぎらつきの発生を防止するための技術として、例えば、上面が光拡散作用を有する面で下面がケミカルマット層をコーティングした面を有する第2の拡散板を、レンズフィルムと液晶表示素子との間に、更に配置する技術がある(例えば、特許文献1)。
図1を用いて、特許文献1に開示されている技術について説明する。
図1Aは、液晶表示装置のバックライトの分解斜視図であり、図1Bは、図1Aのバックライトを備えた液晶表示装置のA−A′切断線における断面図であり、図1Cは、図1Aおよび図1Bに示したレンズフィルムの部分断面図である。
液晶表示素子21は、その下部に備えられているバックライト3から照射される光を受けるようになされている。液晶表示素子21の下に配置されたバックライト3は、第2の拡散板1、レンズフィルム2、第1の拡散板12、導光板13、反射板14、および光源である冷陰極蛍光灯11を備え、これらを保持する枠状体15は、モールド成形により成形される。
導光板13は、冷陰極蛍光灯11により発光された光を導光し、その上面(第1の拡散板12側)に備えられている第1の拡散板12の各部に、できるだけ均一に出光されるような構成(例えば、その底面部に、白色ドットが印刷され、導光される光の一部が白色ドットにより反射されることにより、第1の拡散板12側に出光されるような構成)になされている。拡散板12は、導光板13から出射された光を拡散する。反射板14は、導光板13の下面から透過してしまった光を全反射し、再び、導光板13に入射させる。
レンズフィルム2は、例えば、厚さ0.36mmのポリカーボネイトフィルムからなり、下面(第1の拡散板12側)は平滑面2bで、上面(第2の拡散板1側)には、例えば、図1Cに示されるような断面形状を有する多数のV字状ストライプ溝をそれぞれ平行に配列形成してなるプリズム面2aが形成されている。V字状ストライプ溝の角度θは、必要な配光性能をみたす角度とされ、例えば、90度前後とされる。レンズフィルム2は、第1の拡散板12から大きな角度で拡散する光をプリズム面2aにより表示画面に対して垂直な方向に集光する。
レンズフィルム2と液晶表示素子21との間に配置された第2の拡散板1は、例えば厚さ0.25mmのポリカーボネイトフィルムからなり、下面(レンズフィルム2側)は平滑面1b、上面(液晶表示装置62側)は公知のシボ加工による粗面1bとなっている。
図1に示されるように、第1の拡散板12と液晶表示素子21との間に、上面がプリズム面2a、下面が平滑面2bであるレンズフィルム2を配置したことにより、第1の拡散板12から大きな角度で拡散する光をレンズフィルム2のプリズム面2aにより表示画面に対して垂直な方向に集光することができるので、バックライト3全体の輝度を増大することができる。しかも、全体として拡散方向を小さくすることができるので、均一な輝度分布を保つことができる。したがって、バックライト3の光を効率的に利用でき、明るく輝度分布の均一な液晶表示画面を得ることができる。
また、レンズフィルム2と液晶表示素子21との間に、上面がシボ加工による粗面1a、下面が平滑面1bである第2の拡散板1を配置することにより、レンズフィルム2を通過した光が、第2の拡散板1のシボ加工による粗面1aにより拡散されるので、液晶表示素子21とレンズフィルム2との干渉に起因して表示画面に生じるモアレや、斜めから画面を見たときに生じる鏡状のぎらつきの発生を防止することができ、表示品質を向上することができる。
なお、反射板14、導光板13、第1の拡散板12、レンズフィルム2、第2の拡散板1は、それぞれの部材間にギャップを設けることなく、直接接触する状態で、枠状体15に設けられた凹部内に保持されている。
また、レンズフィルム2と第1の拡散板12とを一体に形成してもよく、例えば、下面側を透明樹脂材に拡散粒子を混入した材料で拡散層を成形し、上面側にプリズム面を成形するように一体成形してもよい。
次に、点光源であるLED(light emitting diode)を用いた場合の、従来のライトガイドの構成例について説明する。
図2は、LED31を光源としたライトガイドの断面図である。
導光板32は、例えば、透明なPMMA樹脂(メタクリル樹脂(methacrylate resin))や、アクリル樹脂などで構成され、導光板32の下面には、拡散反射特性を有するドットが成形されている。LED31から出射され、導光板32内を全反射により伝達してきた光が、ある位置の拡散ドットに照射されると、その位置において拡散反射が発生し、導光板32から拡散シート34の方向へ光の一部が出射されるので、その位置に対応する発光面が明るくなる。反射シート33は、導光板32の下面から透過してしまった光を全反射し、再び、導光板32に入射させる。
拡散シート34は、導光板32から出射された光を散乱させる。Y-BEF(Brightness Enhancement Firm)35は、上面(X−BEF36側)に、例えば、鋸歯状の断面形状を有する多数のV字状ストライプ溝をそれぞれ平行に配列形成してなるプリズム面を有し、下面(拡散シート34側)は滑らかな表面形状になされており、拡散シート34から出射される拡散光を、上面(X−BEF36側)方向に集光する。X−BEF36は、上面(図示しない液晶表示部側)に、例えば、鋸歯状の断面形状を有する多数のV字状ストライプ溝を、Y-BEF35のストライプ溝と直交する方向に配列形成してなるプリズム面を有し、下面(Y-BEF35側)は滑らかな表面形状になされており、Y-BEF35から出射される光を、更に上方向(図示しない液晶表示部側)に集光する。
図2を用いて説明した場合における導光板32の導光性能、導光板32内部のドットの拡散反射性能、および、Y-BEF35またはX−BEF36の配光制御性能について、図3乃至図7を用いて説明する。図3乃至図7においては、導光板32、Y-BEF35、および、X−BEF36を構成する樹脂は、屈折率1.49のアクリルであるものとして説明する。
図3を用いて、LED31からの発光が、空気層を介して、導光板32に入射し、導光板内32部で導光される場合の導光性能について説明する。
LED31から発光された光は、拡散光である。LED31からの発光が、空気層を介して導光板32に入射する際の光の屈折を求めるには、次の式(1)が用いられる。
n1Sinθ1=n2Sinθ2・・(1)
ただし、式(1)において、n1は空気の屈折率であり、n2は導光板32の屈折率であり、θ1は空気層からの入射角であり、θ2は屈折後の角度である。
ここで、空気層の屈折率は、1.00であり、導光板32を構成する樹脂であるアクリルの屈折率は、1.49である。
LED31から発光された光は、拡散光であるので、θ1=0〜90°まで変化すると仮定すると、屈折の法則を示す式(1)より、導光板32内に入射した光の入射角の範囲は0度乃至42.2度であることが分かる。そして、空気の屈折率n1<導光板32(アクリル)の屈折率n2であるので、導光板32から空気層に出光されないで全反射される角度である臨界角sinθは、スネルの法則より、次の式(2)で求められる。
sinθ=1.00/1.49,θ=42.2 ・・・(2)
導光板32に入射した光は、導光方向に対して±42.2度の範囲であるため、臨界角を超えて入射する光はなく、導光板32と空気層との境界面がなめらかな平面であった場合、導光体32から空気層へ出光されることはなく、100%の全反射で導光される。
次に、図4を用いて、導光板32内部のドットの拡散反射性能について説明する。
ドットの形状がランダムであるものとすると、ドットの面を構成するそれぞれの点の総和は半円形に近似される。導光板32と空気層の臨界角は42.2度であるため、ドットに照射された光のうち、反射される光と透過される光との比は23.9:18:3(4.3:1)となる。なお、ドットの面を半球面に近似した場合、頂点付近の面に対する接線が水平線から±5.6度以内となる位置に照射される光は、全反射される。
ドットにより反射された光のうち、水平面より下方向(反射板33の方向)に反射された光は、再び、他のドットまたは導光板32の下面に照射されるものとすると、導光板32の上面(拡散シート34側)に到達する光が取り得る角度は、図4中θ11で示されるように水平面から43度以内の角度となる。そして、導光板32の上面に到達する光のうち、図中θ12で示される角度の範囲内で導光板32の上面に到達する光(例えば、図中bで示される光)は、導光板32から空気層に出射される(例えば、図中b´で示される光)。導光板32の上面に到達する光のうち、それ以外の角度で導光板32の上面に到達する光は、導光板32内に反射される(すなわち、導光される)。
ドットからの反射光のうち、導光板32の上面から空気層への出光の割合は、ドットからの反射光のうちの約22%である。上述したように、ドットに照射された光のうち、反射される光と透過される光との比は4.3:1となるため、ドットに照射された光のうち、反射される光は、約81.1%であり、透過される光は、約18.9%である。したがって、ドットに照射した光のうちの約17.8%が、反射によって導光板32の上面から出光される。
一方、ドットを透過した光は、ほぼ100%、反射シート33により反射され、導光板32内部に再入射される。導光板32内に入射した光は、屈折の法則により、導光板32上面の出光面に対する垂線より±42.2°の範囲となるため、出光面に達したときに、全ての再入射光が臨界角を超えており、100%出光する。したがって、ドットに照射した光の約18.9%が、反射シート33により、導光板32に再入光されて導光板32の上面から出光される。
すなわち、導光体32に入射され、ドットに照射された光のうち、約36.7%が導光板32から図示しない液晶表示部の方向に出光される。換言すれば、63.3%の光が、導光板32内部で拡散される。
次に、図5を用いて、Y-BEF35またはX-BEF36に入射される光と、Y-BEF35またはX-BEF36の配光性能について説明する。ここでは、拡散シート34に拡散され、Y-BEF35に入射される光について説明するが、Y-BEF35およびX-BEF36が、その配光方向が異なるだけで、同様の配光性能を有している場合、X-BEF36に入射される光の振る舞いは、Y-BEF35に入射される光と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
拡散シート34により拡散された拡散光は空気層を介してY-BEF35に入射される。拡散シート34により拡散された拡散光のY-BEF35への照射角を0度乃至90度と仮定すると、Y-BEF35内部への入射角は、Y-BEF35と空気層の屈折率の差によって決まる。例えば、Y-BEF35の屈折率が、導光板32と同一の屈折率である場合、空気層からY-BEF35内部への光の入射角は、導光板32への入射角と同様に、±42度の範囲内となる。図中f1で示される光を含む、±42度の範囲内の全入射光のうち、出射される光は、例えば、図中f2で示される光のように、図示しない液晶表示部方向に出光される光と、例えば、図中f3で示される光のように、Y-BEF35内に反射され、次に到達する上面プリズム面から出光されることにより、図示しない液晶表示部方向とは異なる方向に出光される、図中f4およびf5で示される光とに分けられる。
また、図中f3で示される光のように、Y-BEF35内に反射される光のうち、図中f6にしめされるように、上面プリズム面から下方向へ反射される光も存在する。このようにして、Y-BEF35内に入射された光が図示しない液晶表示部方向に出光されるための配光性能は、空気層とY-BEF35との屈折率の比、および、Y-BEF35のプリズム形状によって決まる。
次に、これらの構成部材の一部を備える場合と、それらを全て備える場合との性能の差異について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、表示面の光源として、3つのLED31−1乃至31−3を用いるものとして、表示面内の発光の範囲とその強さを示す図であり、図6Aは、導光板32のみが用いられている場合を示し、図6Bは、導光板32および拡散シート34が用いられている場合を示し、図6Cは、導光板32、拡散シート34、および、Y-BEF35が用いられている場合を示し、図6Dは、導光板32、拡散シート34、Y-BEF35、および、X-BEF36が用いられている場合を示している。
また、図7は、図6A乃至Dのそれぞれの場合における表示面正面の点α、点β、点γの3点における正面輝度の測定結果の例を示すものである。曲線Aは、導光板32のみが用いられている場合の正面輝度の測定結果を示し、曲線Bは、導光板32および拡散シート34が用いられている場合の正面輝度の測定結果を示し、曲線Cは、導光板32、拡散シート34、および、Y-BEF35が用いられている場合の正面輝度の測定結果を示し、曲線Dは、導光板32、拡散シート34、Y-BEF35、および、X-BEF36が用いられている場合の正面輝度の測定結果を示す。
図7に示されるように、光の指向性が高い導光板32のみが用いられている場合よりも、導光板32および拡散シート34が用いられている場合のほうが、光の指向性がなまるため、正面輝度が高くなる。そしてY-BEF35が更に用いられている場合は、Y-BEF35による配光効果により、正面輝度がより高くなる。また、Y-BEF35、および、X-BEF36が更に用いられている場合はX-BEF36による配光効果が加わるため、正面輝度がより高くなる。これらの4つのパターンにおいて、正面輝度の均一性は、ほとんど変化しない。
すなわち、図2を用いて説明した従来のライトガイドにおいて、正面輝度の均一性は、導光板32に設けられたドットの配置によって制御されるものであり、導光板32から出射される光の配光が、拡散シート34、Y-BEF35、および、X-BEF36によって制御される。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本明細書に記載の発明と、発明の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本明細書に記載されている発明をサポートする実施の形態が、本明細書に記載されていることを確認するためのものである。したがって、発明の実施の形態中には記載されているが、発明に対応するものとして、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
更に、この記載は、本明細書に記載されている発明の全てを意味するものでもない。換言すれば、この記載は、本明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により出現、追加される発明の存在を否定するものではない。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図8は、本発明を適用した、液晶表示装置51の構成を説明するための図であり、図9は、図8の液晶表示装置51のB−B′切断線におけるライトガイド61の断面図である。
なお、従来の場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
液晶表示部62は、その下部に備えられているライトガイド61から照射される光を受けるようになされており、透明電極と配向膜等を積層した面がそれぞれ対向するように2枚の透明ガラス基板が重ね合わせられ、両基板間に液晶が封止されている。透明電極は、図示しない駆動回路により駆動される。
液晶とは、所定の温度範囲で、外観的には流動性のある濁った液体であるとともに、固体的な光学的異方性結晶に特有な複屈折性を示す物質である。液晶は、棒状または円盤状などの分子によって構成され、少なくとも一つの分子軸に関して長距離秩序を有する中間相を示す。透明電極により液晶に電圧が印加されることにより、液晶の分子配列が変更されるので、液晶を透過する(換言すれば、反射する)光の波長域が変化する。
例えば、現在一般に使われている液晶ディスプレイの基礎となっているTN(Twisted Nematic)液晶は、細長い棒状の分子構造を持つネマティック液晶を2枚のパネルの間に挟み込み、一方のパネルから他方のパネルに向けて、液晶分子を90度ねじれるように配列させた構造になっている。電圧が印加されていない液晶に光を通すと、光は、ねじれるように配置されている分子に沿ってねじれて進むが、液晶に電圧を印加すると、液晶が電界に沿って垂直に並ぶので、光も液晶分子に沿って直進するようになる。このような性質を有するネマティック液晶を、偏光方向が直行するように対向させた2枚の偏光板で挟み、一定方向の光だけを通すようにすると、電圧によって透過する光量が変化される。
ライトガイド61は、配光制御部71、導光板72、および、低屈折層73で構成されこれらは、液晶表示部62の表示面と平行な面において接触され、接触面において接着された状態となるように、すなわち、一体として構成されている。
導光板72の形状は、図2の導光板32と同様であるが、材質となる樹脂は、導光板32と異なり、例えば、例えば、めがねなどに用いられる高屈折率樹脂を用いるようにすると好適である。めがね用の高屈折率樹脂は、屈折率1.68のものまでが広く用いられているが、ここでは、例えば、屈折率1.669の三井化学製のめがね用超高屈折率樹脂を用いるものとして説明する。また、後述する2P法の工程において、型からの離型性を改善するために、樹脂に離型剤を0.1乃至0.8%添加するようにすると好適である。
導光板72の屈折率により、LED(発光ダイオード)31から出射された光の導光板72内部の入射角度が決まり、導光板72の屈折率および低屈折層83の屈折率により臨界角が決まるので、これらの条件により、導光板72の導光性能が決まる。
低屈折層73は、例えば、屈折率1.319のNTT-AT#8564導波路用UV硬化樹脂などの、低屈折率のものを用いるようにすると好適である。低屈折率層73は、異なる屈折率を有するガラスや樹脂などで構成されたビーズによる拡散子を複数(その数は、求められる拡散性能によって決まる)含み、入射された光を拡散させるような構成となっている。また、後述する2P法の工程において、型からの離型性を改善するために、離型剤を0.1乃至0.8%添加するようにすると好適である。
例えば、導光板72を構成する樹脂として、屈折率1.669の三井化学製のめがね用超高屈折率樹脂が用いられ、低屈折層73を構成する樹脂として、屈折率1.319のNTT-AT#8564導波路用UV硬化樹脂が用いられた場合、これらの樹脂同士は、そのままでは、ほとんど接着力を有さない。しかしながら、シランカップリング剤を低屈折層73を構成する樹脂に混合することにより、これらの樹脂間に接着力が発現し、その混合率をコントロールすることにより、接着力が向上する。シランカップリング材の種類およびその最適な混合率は、材料の特性によって異なるので、樹脂の組み合わせに対応させて、適宜、最適なカップリング剤を用いるようにする必要があるのは言うまでもない。
配光制御部71は、図2のY-BEF35またはX-BEF36と同様の、いわゆるBEFと同様の形状を有するものであり、液晶表示部62に対向する面に、鋸歯状の断面形状を有する多数のV字状ストライプ溝をそれぞれ平行に配列形成してなるプリズム面を有し、導光板72との接触面は滑らかな表面形状になされており、低屈折層73を介して入射された光を、液晶表示部62の方向に配光する。配光制御部71に用いられる樹脂の種類とプリズム面の形状は、求められる配光性能により定められる。一般に、配光制御部71に用いられる樹脂の屈折率が高いほど、配光性能が向上する。なお、配光制御部71のプリズム形状は、三角形、正弦波状、半円状、楕円状断面の連なった形状であってもよい。また、配光制御部71のプリズム形状は、三角形、正弦波状、半円状、楕円状、ピラミッド形状、半球状の単位が、それぞれ直交するX方向およびY方向に複数配置された形状であってもよい。
また、配光制御部71と低屈折層73との接着力を向上するために、配光制御部71と低屈折層73とにそれぞれ用いられる樹脂の種類により最適なシランカップリング剤が選択され、シランカップリング剤の希釈剤が最適化(シランカップリング剤の材料によって、酢酸溶液や純水などの適した希釈剤が用いられて希釈される)され、希釈濃度が最適化されて、低屈折率層73に混合される。
図10を用いて、導光板72に入射される光と、低屈折層73に対して出射される光について説明する。
LED31から出射された拡散光は、図3を用いて説明した従来における場合と同様に、空気層を介して、導光板72に入射されるので、図10において、図中θ21でその上限値が示される光の入射角の範囲および臨界角は、上述した式(1)および式(2)を用いて、導光板72の屈折率により求められる。そして、導光板72と低屈折層73の臨界角は、スネルの法則により求められる。そして、その入射角と臨界角によって決まる導光板72と低屈折層73との界面の反射率は、従来のライトガイドと同等以上の性能を有するためには、従来のライトガイドと同様の100%でなければならない
LED31から発光された光は、拡散光である。LED31からの発光が、空気層を介して導光板72に入射する際の光の屈折を求めるには、上述した式(1)が用いられる。
ここで、空気層の屈折率は、1.00であり、導光板72を構成する樹脂の屈折率は、1.669である。
LED31から発光された光は、拡散光であるので、θ1=0乃至90°まで変化すると仮定すると、屈折の法則を示す式(1)より、導光板32内に入射した光の入射角の範囲は0度乃至36.8度であることが分かる。そして、低屈折層73の屈折率n1<導光板32の屈折率n2であるので、導光板32から低屈折層73に出光されないで全反射される角度である臨界角sinθは、スネルの法則より、上述した式(2)により、θ=52.2であることが求められる。
導光板72に入射した光は、導光方向に対して±36.8度の範囲であるため、臨界角を超えて低屈折層73に入射する光はなく、導光板32と低屈折層73との境界面が滑らかな平面であった場合、導光体72から低屈折層73へ出光されることはなく、100%の全反射で導光される。
ここで、導光板32の屈折率n2が、例えば、0.68など、0.669よりも高い場合、低屈折層73の屈折率n1は、1.319よりも、その分だけ高くてもよい。換言すれば、導光板32の屈折率n2が決まれば、導光板32に入射された光が、導光体72から低屈折層73へ出光されることはなく、100%の全反射で導光されるための低屈折層73の屈折率n1の範囲が決まり、低屈折層73の屈折率n1が決まれば、導光板32に入射された光が、導光体72から低屈折層73へ出光されることはなく、100%の全反射で導光されるための導光板32の屈折率n2の範囲が決まる。
そして、ドットの形状がランダムであるものとすると、ドットの面を構成するそれぞれの点の総和は半円形に近似される。導光板72と空気層の臨界角は36.8度であるため、ドットに照射された光のうち、反射される光と透過される光との比は5.0:1となる。
ドットにより反射された光のうち、水平面より下方向(反射板33の方向)に反射された光は、再び、他のドットまたは導光板72の下面に照射されるものとすると、導光板72の上面(低屈折層73側)に到達する光が取り得る角度は、図10中θ23で示されるように水平面から43度以内の角度となる。そして、導光板32の上面に到達する光のうち、図中θ24で示される角度、すなわち、臨界角52.2度の範囲内で導光板72の上面に到達する光(例えば、図中bで示される光)は、導光板72から低屈折層73に出射される(例えば、図中b´で示される光)。導光板72の上面に到達する光のうち、それ以外の角度で導光板72の上面に到達する光は、導光板72内に反射される(すなわち、導光される)。
ドットからの反射光のうち、導光板72の上面から低屈折層73への出光の割合は、ドットからの反射光のうちの約33.6%である。上述したように、ドットに照射された光のうち、反射される光と透過される光との比は5.0:1となるため、ドットに照射された光のうち、反射される光は、約83.3%であり、透過される光は、約16.7%である。したがって、ドットに照射した光のうちの28.0%が、反射によって導光板72の上面から出光される。
一方、ドットを透過した光は、ほぼ100%、反射シート33により反射され、導光板72内部に再入射される。導光板32内に入射した光は、屈折の法則により、導光板72上面の出光面に対する垂線より±36.8°の範囲となるため、出光面に達したときに、全ての再入射光が臨界角を超えており、100%出光する。したがって、ドットに照射した光の約16.7%が、反射シート33により、導光板32に再入光されて導光板72の上面から出光される。
すなわち、導光体72に入射され、ドットに照射された光のうち、約44.7%が導光板72から液晶表示部62の方向に出光される。換言すれば、55.3%の光が、導光板72内部で拡散される。
そして、導光板72の上面から出光された光は、低屈折層73に含まれている拡散子81−1乃至81−nにより拡散される。
次に、図11を用いて、導光板72への光の入射角の屈折による集光と、導光板72からの出光方向に、導光板72と接して設けられる物質(例えば、従来においては、空気層であり、本発明においては低屈折層81である)の屈折率による導光性能について説明する。
図11において、曲線xは、導光板72への光の入射直後の光路範囲を示し、曲線aは、導光板72と接して設けられる物質が空気層(屈折率1.00)であった場合を示し、曲線bは、導光板72と接して設けられる物質が屈折率1.319の樹脂であった場合を示し、曲線cは、導光板72と接して設けられる物質が屈折率1.35の樹脂であった場合を示し、曲線dは、導光板72と接して設けられる物質が屈折率1.39の樹脂であった場合を示し、曲線eは、導光板72と接して設けられる物質が屈折率1.40の樹脂であった場合をそれぞれ示している。
この図において、曲線xと曲線a乃至曲線eそれぞれの曲線との交点よりも、導光板72の屈折率が高い場合、導光板72上面において、100%の光が反射されるので、100%の導光性能を満たすことがいえる。ここでは、導光板72として屈折率1.669の樹脂を用い、低屈折層73として屈折率1.319の樹脂を用いているので、導光板72と低屈折層73との界面において、全反射が起こり、100%の導光性能を満たすことがいえる。
次に、図12を用いて、低屈折層73から配光制御部71に入射する光と、配光制御部71の配光性能について説明する。
低屈折層73により拡散された拡散光は空気層を介さずに配光制御部71に入射される。低屈折層73により拡散された拡散光の配光制御部71への照射角を0度乃至90度と仮定すると、配光制御部71内部への入射角θ31は、低屈折層73と配光制御部71とに用いられている樹脂の屈折率の比率により決まる角度となる。例えば、図中f1で示される光を含む所定角度の範囲内の全入射光は、例えば、図中f2で示される光のように、液晶表示部62方向に出光される光と、例えば、図中f3で示される光のように、配光制御部71内に反射され、次に到達する上面プリズム面から出光されることにより、液晶表示部62方向とは異なる方向に出光される、図中f4およびf5で示される光とに分けられる。
ここで、図中f2で示される光のように、表示面の垂線に対して、所定の角度を有するプリズム面に照射され、液晶表示部62方向に出射される光の割合、すなわち、配光性能は、プリズム面に対する臨界角が、配光制御部71を構成する樹脂と空気層との屈折率の比率より決まることから、配光制御部71に用いられる樹脂の種類と、プリズム面を構成する角度によって決まることがわかる。
以上の説明においては、配光制御部71の形状を、液晶表示部62に対向する面に、鋸歯状の断面形状を有する多数のV字状ストライプ溝をそれぞれ平行に配列形成してなるプリズム面を有し、導光板72との接触面は滑らかな表面形状であるものとして説明したが、そのプリズムの形状は、V字状ストライプ溝以外にも、例えば、蒲鉾型の溝であっても良く、更に、図13に示されるように、XY両方向に対するプリズムを形成するような、ピラミッド形であっても良い。
更に、ここでは、光源として、LED31が用いられている場合について説明しているが、光源には、LED31以外の、たとえば、冷陰極蛍光灯などを用いるようにしてもよいことは言うまでもない。このようなライトガイドを用いた液晶表示装置においては、ライトガイドが一体形成されて、部品点数が削減されていることにより、光路中の界面数が減少することから、光の損失量が減少するため、光源から発生される光を効率よく利用することが可能となる。
このように、本発明を適用したライトガイド61を用いた液晶表示装置は、従来における場合よりも部品点数が少なく、更に、組み立て工数が少ないため、大幅に製造コストを削減することができるにもかかわらず、従来における液晶表示装置と略同等の性能を有している。
次に、本発明を適用したライトガイドの製造方法について説明する。
図14のフローチャートを参照して、本発明を適用した、ライトガイド製造処理1について説明する。
ステップS1において、所定の樹脂(例えば、屈折率1.669の三井化学製のめがね用超高屈折率樹脂。以下、同様)により成形される導光板72が用意される。導光板72は、空気層および低屈折率層73との屈折率の比が、導光性能100%を満たすような樹脂であれば、いかなる樹脂によって構成されるものであってもよい。また、導光板72は、この前のステップとして製造されるものであっても、他の供給者(ベンダー)から購入されるものであっても良いことは言うまでもない。
ステップS2において、導光板72上に、低屈折層73を構成する所定の樹脂(例えば、屈折率1.319のNTT-AT#8564導波路用UV硬化樹脂。以下同様)に、例えばガラスビーズなどの拡散子81が混入されたものを用いて、2P(Photo-Polymer)成形法により、図15に示されるように、導光板72上に低屈折層73が成形されるか、または、導光板72上に低屈折層73を構成する樹脂を、所定の厚さで、均一に塗布することにより、図15に示されるように、導光板72上に低屈折層73が成形される。低屈折層73を構成する樹脂は、導光版72との屈折率の比により、導光板72の導光性能100%を満たすような屈折率を有し、かつ、配光制御部71との屈折率の比により、要求される配光制御性能を満たすような屈折率を有するものであれば、いかなる樹脂を用いるようにしてもよい。
2P成形法とは、低粘度のUV硬化樹脂を用い、金型形状を樹脂に転写複製する方式である。具体的には、電鋳金型(スタンパ)と、基板ガラスの間に、UV硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射することにより樹脂をUV硬化させ、所望の形状に成形する。
ステップS3において、配光制御部71を構成する所定の樹脂が用いられて、上述した2P成形法により、図16に示されるように、低屈折層73上に配光制御部71が成形され、本発明を適用したライトガイド61の製造処理が終了される。配光制御部71を構成する樹脂の種類、および、プリズムの形状は、求められる配光性能より定められる。
このような処理により、簡単な製造方法で、一体成形されたライトガイド61を製造することが可能である。
また、導光板72と配光制御部71を個別に用意して、一体成形されたライトガイド61を製造するようにすることも可能である。
図15のフローチャートを参照して、本発明を適用した、ライトガイド製造処理2について説明する。
ステップS11において、所定の樹脂により成形される導光板72が用意される。導光板72は、上述したような所定の性能を満たしているものであれば、この前のステップとして製造されるものであっても、他の供給者(ベンダー)から購入されるものであっても良いことは言うまでもない。
ステップS12において、配光制御部71を構成する樹脂を用いて成形される配光制御部71を用意する。配光制御部71は、上述したような所定の性能を満たしているものであれば、この前のステップとして製造されるものであっても、他の供給者(ベンダー)から購入されるものであっても良いことは言うまでもない。なお、配光制御部71の製造には、例えば、シート成形などの手法が用いられる。
シート成形とは、射出成形の一種として、ダイの形状をTダイとすることにより、樹脂をシート状に成形する方式である。または、加熱可塑性樹脂を複数(例えば、2乃至6本)の加熱ロールによって圧延し、シート等を成形する方式(いわゆる、カレンダー成形)を、シート成形と称する場合もある。
ステップS11およびステップS12の処理により、図18に示されるように、導光板72と配光制御部71とが用意される。
ステップS13において、例えば、図19に示されるように、導光板72上に、低屈折層73を構成する所定の樹脂81が所定の量だけ塗布される。ここでは、後述する処理により、低屈折層73の厚みや均一性が決められるので、低屈折層73を構成する所定の樹脂を、導光板72上の全体にわたるように、均一に塗布する必要はない。
ステップS14において、導光板72上に塗布された低屈折層73上の所定の位置に、配光制御部71が配置され、例えば、所定の圧力がかけられることなどにより、低屈折層73の厚みが所定の厚みになるように導光板72と配光制御部71とが張り合わされて、図15を用いて説明した場合と同様に、低屈折層73上に配光制御部71が成形され、本発明を適用したライトガイド61の製造処理が終了される。
このような処理によれば、図14のフローチャートで説明したライトガイド製造処理1における場合と異なり、配光制御部を2P成形法により成形することなく、本発明を適用したライトガイドを簡単に製造することができるので、例えば、上述したような性能を有する配光制御部が、他の装置などにも用いられているような場合、共通した部品として用いることが可能となるので、部品コストの削減が期待できる。
また、このようにして製造されたライトガイドを用いた液晶表示装置においては、部品点数が削減されて、光路中の界面数が減少することから、光の損失量が減少するため、光源から発生される光を効率よく利用することが可能となる。また、このようにして製造されたライトガイドを用いた液晶表示装置においては、ライトガイドの一体形成による薄型化によって、液晶表示装置を薄型にすることが容易となる。