JP4425682B2 - 異方性磁石の製造に用いる金型、成形機、方法及び得られる磁石 - Google Patents
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Description
ダイス102、上下パンチ108で構成される金型101キャビティ103内に磁石粉105を供給し、磁場発生手段により矢印で図示した配向磁場を印加することにより磁石粉の容易磁化方向を一方向に揃え、上パンチ、下パンチにより矢印方向にプレス109を用いて圧力を伝達し、キャビティ内の磁石粉を成形する。成形は電磁石などで静磁場を印加しながら行われるのが一般的である。
キャビティ内に充填された磁石粉に配向磁場をかける方向には、上下パンチによる圧力印加の方向と平行方向に磁場をかける縦磁場成形と、圧力印加の方向に対し垂直方向に磁場を印加する図9に示した横磁場成形とがある。横磁場成形を選択するか縦磁場成形を選択するかは、製造される材料、特性、形状、着磁方向などによって判断されるが、縦磁場成形により製造された焼結磁石は横磁場成形の場合と比較して磁気特性が低下するので、横磁場成形を用いることが多い。
瓦状磁石の磁化方向は、図10(a)のような平行配向と図10(b)のようなラジアル配向が考えられる。
ACサーボモータのようにトルクリップルのない滑らかなトルクを求めるモータには、ロータヨークの表面に磁石を貼り付けた表面磁石型モータが採用される。このモータは、回転子の磁石に平行配向の磁石を用い、固定子巻線に正弦波の電流制御をおこなうと、脈動の少ないトルク波形が得られる。正弦波電流駆動の制御系は高価であるので、比較的コストのかからない矩形波制御を用いる。この場合、回転子の磁石は平行配向よりラジアル配向の方がトルクリップルは小さくなる。
トルクアクチュエータには、回転角度に対してフラットなトルク特性が求められ、ラジアル配向磁石を用いると、所望の特性を得ることができる。
このように磁石の配向は、モータやアクチュエータのトルク特性に大きく関わり、製品の要求特性に適した配向の磁石を採用する。
ラジアル度合いとは、図13に示す円弧の中心とキャビティのある位置θでの配向磁場の角度αの比α/θであり、ラジアル度合いが1に近いほどラジアル配向で、度合いが0は平行配向であることを意味している。このように、瓦状磁石で円弧端での配向をラジアルにすることは難しい。
特許文献4の金型では、瓦状磁石の円弧端の配向を平行配向にするものなので実現できたと考えられる。
また、本発明は、この金型と、該金型を挟むように配置され該金型に一定方向の磁場を印加する少なくとも二つの磁石と、該金型のパンチに連動してキャビティを該磁場方向に対して垂直方向に圧縮するためのプレスとを含んでなる磁性粉末用磁場成形機を提供する。
さらに、本発明は、磁性粉末をこの金型に充填し、一定の磁場方向を有する磁場中に、該磁場方向が上記磁性コアが上記キャビティを挟む方向と略平行になるように該金型を配置し、該磁性粉末の容易磁化方向を配向させ、該磁場方向に対して垂直な方向に圧縮成形を行い、その後焼結する異方性焼結磁石の製造方法、及び得られる異方性焼結磁石を提供する。
キャビティ内に充填する磁石粉末の平均粒径は特に限定しないが、1〜20μmであることが好ましい。
ダイスは、硬質金属を用いることが好ましく、硬質金属としては、好ましくは、超硬質合金(タングステンと炭素の合金)、高マンガン鋼、ステンレス鋼又は超硬質合金をステンレス鋼などに焼きばめしたものである。磁性コアの材質としては、好ましくは、飽和磁化で1.2テスラ以上の炭素鋼を用いる。キャビティ部の内壁の磨耗を考慮すると、硬質金属としては超硬質合金、炭素鋼としては金型に広く用いられている工具鋼やダイス鋼がさらに好ましい。
図1の金型において、金型の外部左方から流れてきた磁力線は、内弧側磁性コアに集中し、キャビティ内の磁性粉末を通って、外弧側磁性コアを通って、金型の外部右方に出る。外弧側のコアは、キャビティに対してオーバーハングしているためにキャビティの両端で配向磁場が平行になることはない。オーバーハング部分での磁束でキャビティの両端の磁束が広がるのを抑えて、キャビティの両端でもラジアル配向磁場を実現できる。すなわち、外部に向く外弧と内部に向く内弧とこれらを結ぶ二本の線で構成される瓦状断面を有し、該断面に垂直で該断面の中心を通る面に対して左右対称となる放射状の磁場配向を有する異方性磁石を提供できる。
磁力線は透磁率のより高いところを流れようとする。図2(a)の参考例の金型において、金型の外部左方から流れてきた磁力線は、外弧側磁性コアに集中し、キャビティ内の磁性粉末を通って、内弧側磁性コアを通り、今度は逆に、もう一つのキャビティの磁性粉末を通って、外弧側磁性コアを通って、金型の外部右方に出る。外弧側の磁性コアは、キャビティの外弧に対してオーバーハングしているためにキャビティの両端で配向磁場が平行になることはない。オーバーハング部分での磁束でキャビティの両端の磁束が広がるのを抑えて、キャビティの両端でもラジアル配向磁場を実現できる。
なお、図2(a)は、内弧側磁性コアもキャビティの内弧に対してオーバーハングしている態様を示すが、内弧側磁性コアはオーバーハングしなくてもよい。
図3に示すダイスは、図2のように内側の磁性コアがキャビティの内弧と同じ弧を描く円系であってもよいが、内弧側磁性コアが配向磁場方向と直角方向両側部の中央部にそれぞれ凹部(切り欠き部を含む。)を形成していることが好ましい。こうすると、金型の外部左方から流れてきた磁力線は、外弧側磁性コアに集中し、キャビティ部内の磁性粉末を通って、内弧側磁性コアを通って、今度は逆に、キャビティ部の磁性粉末を通って、外弧側磁性コアを通って、金型の外部右方に出る。このとき、内弧側磁性コアの円弧端で磁束が内側に曲げられるので、特にキャビティ内弧側の円弧端のラジアル度合いがよくなる。
適正なオーバーハングの大きさHは、キャビティの径方向厚みTの1/2より大きいことが望ましい。また、内径側磁性コアの切り欠きDはオーバーハングの大きさH程度にとることが好ましい。
なお、図2(b)に示す金型も凹部(切り欠き部を含む。)を有してもよい。すなわち、外弧側磁性コアの中央部が、2つのキャビティと外弧側磁性コアを結ぶ直線に対して直角となる方向に凹部を有する形状であってもよい。
磁性粉末をこの金型に充填し、一定の磁場方向を有する磁場中に、該磁場方向が瓦状断面のキャビティの二本線と略平行になるように該金型を配置し、該磁性粉末の容易磁化方向を配向させ、該磁場方向に対して垂直な方向に圧縮成形を行う。
以上のようにして得られた磁石成形体は、所望の温度で焼結して、必要により時効熱処理して着磁して焼結永久磁石にするものである。
永久磁石回転機は、効率が高く制御性が良いことから、サーボモータを始めとする制御用モータに用いられている。例えば、ACサーボモータには、図6に示すようなラジアルエアギャップ形の永久磁石回転機が用いられている。図6に示した永久磁石回転機31は、回転子ヨーク32の表面に、C形の永久磁石33を貼り付けた回転子34と、空隙(ギャップ)35を介して配置された複数のスロットを有する固定子ヨークとティース36に巻かれたコイル7からなる固定子38とで構成されている。図6に示す永久磁石回転機の場合、永久磁石の極数は6、ティースの数は9であり、永久磁石内の矢印は永久磁石の磁化の方向を示している。また、コイルはティースに集中巻きで巻かれ、U相V相W相の3相のY結線がなされており、コイルの巻き数は1ティース当たり50ターンである。コイルのU+はU相コイルの巻き方向が手前、U−はU相コイルの巻き方向が奥であることを意味している。
参考例
具体的な実施例を示す。キャビティの内径R33mm、外径R43mm、円弧の開き角度110oの金型で、参考例の図3の金型を用いた場合と従来例で最もラジアル度合いのよい金型である図12の金型で、キャビティ内の位置θにおける配向磁場角度αを調べた。なお、参考例金型のオーバーハングの大きさH=6mm、切り欠きD=10mm、ダイス本体は非磁性の超硬質合金で磁性コアは飽和磁化2テスラの炭素鋼S55Cとした。図7と図8に結果をまとめた。図7は、キャビティ内部の磁性粉の配向磁場強度が1.8テスラの場合である。従来例では円弧端でラジアル配向からずれる傾向が見られるが、参考例では円弧端までラジアル配向となっている。また、電磁石に流す電流の大きさを大きくして、キャビティ内部の磁性粉の配向磁場強度を2.4テスラにすると、図8のように参考例、従来例ともにラジアル配向からずれるが、参考例の方がラジアル度合いはよくなっている。これは、配向磁場強度を強くしすぎると磁性コアが磁気飽和してしまい磁束を集中させる効果が少なくなるためで、配向磁場強度は磁性コアの飽和磁化以下にすることが望ましい。
2 ダイス
3 キャビティ
4 磁性コア
5 磁石粉
6 配向磁場
7 磁石
11 金型
12 ダイス
13 キャビティ
14 磁性コア
15 磁石粉
21 金型
22 ダイス
23 キャビティ
24 磁性コア
25 磁石粉
31 永久磁石回転機
32 回転子ヨーク
33 永久磁石
34 回転子
35 空隙(ギャップ)
36 ティース
37 コイル
38 固定子
101 金型
102 ダイス
103 キャビティ
105 磁石粉
107 磁石
108 パンチ
109 プレス
111 金型
112 ダイス
113 キャビティ
115 磁石粉
121 金型
122 ダイス
123 キャビティ
124 強磁性コア
125 磁石粉
131 金型
132 ダイス
133 キャビティ
134 強磁性コア
135 磁石粉
Claims (4)
- 外部に向く外弧と内部に向く内弧と二本の線で構成される瓦状断面のキャビティを形成するダイスと、該キャビティ内を圧縮するためにプレスに連動可能なパンチと、該キャビティの外弧と内弧に沿うように該ダイス内に設けられた少なくとも2つの磁性コアとを含んでなり、該キャビティの外弧に沿う磁性コアが、該外弧の両端から延びてオーバーハングする形状を有する、磁性粉末用磁場成形に用いられる金型であって、
上記磁性コアが、2つのキャビティの対向する外弧に沿う1つの外弧側磁性コアと、該2つのキャビティの内弧に沿う2つの内弧側磁性コアとを含んでなり、該外弧側磁性コアが、該2つのキャビティの外弧の両端から延びてオーバーハングする形状を有する金型。 - 請求項1に記載の金型と、該金型を挟むように配置され該金型に一定方向の磁場を印加する少なくとも二つの磁石と、該金型のパンチに連動してキャビティを該磁場方向に対して垂直方向に圧縮するためのプレスとを含んでなる磁性粉末用磁場成形機。
- 磁性粉末を請求項1に記載の金型に充填し、一定の磁場方向を有する磁場中に、該磁場方向が上記磁性コアが上記キャビティを挟む方向と略平行になるように該金型を配置し、該磁性粉末の容易磁化方向を配向させ、該磁場方向に対して垂直な方向に圧縮成形を行い、その後焼結する異方性焼結磁石の製造方法。
- 上記磁場の強度を、上記磁性のコアの飽和磁化密度以下とする請求項3に記載の異方性焼結磁石の製造方法。
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