JP4425623B2 - モジュラー股関節ステム及びそれを試用するための方法 - Google Patents

Description

関連出願
本願は、参照することを以って本明細書の一部とする、本願と同時出願の以下の３件の米国特許出願に関連する。（１）代理人整理番号ＤＥＰ６４４、名称：「調節可能な生体力学的型取り／切除器具及び関連方法（ADJUSTABLE BIOMECHANICAL TEMPLATING & RESECTION INSTRUMENT AND ASSOCIATED METHOD）」の米国特許出願。（２）代理人整理番号ＤＥＰ６６６、名称：「モジュラーインプラントの整合装置及び方法（ALIGNMENT DEVICE FOR MODULAR IMPLANTS AND METHOD）」の米国特許出願。（３）代理人整理番号ＤＥＰ７２５、名称：「モジュラー股関節ステムを試用するための器具及び方法（INSTRUMENT AND ASSOCIATED METHOD OF TRIALING FOR MODULAR HIP STEMS）」の米国特許出願。

本発明は、モジュラー股関節プロテーゼの構成要素を試用するための装置及び方法に関し、詳細には、大腿骨の前傾の程度を測定できる装置及びその方法に関する。

人間は、一生の内には疾患や外傷などにより関節置換術を行わなければならなくなることもあり得る。関節置換術では、患者の骨に移植するプロテーゼを使用することがある。股関節置換術の場合、大腿骨プロテーゼが患者の腿の骨すなわち大腿骨に移植される。初期のあるタイプの大腿骨プロテーゼは、上側部分及び細長い髄内ステムを備えた単一構造体として形成された。この上側部分は、患者の骨盤すなわち寛骨臼に支持される球状ヘッドを含み、髄内ステムは、患者の大腿骨内に大腿骨構成要素を固定するために用いられる。大腿骨プロテーゼを患者の大腿骨に固定するために、まず患者の大腿骨の髄内腔を、大腿骨プロテーゼの髄内ステムを患者の大腿骨に移植できるように外科的に準備する（リーマー加工及び／またはブローチ削り）。大腿骨プロテーゼは、髄内腔内にプレス嵌めすることができる。別法では、骨セメントを用いて大腿骨プロテーゼを髄内腔内に固定することができる。

一般に、関節置換術の最中に整形外科医がプロテーゼの選択においてある程度の融通性をもつことが重要である。具体的には、プロテーゼを挿入する骨の解剖学的構造は患者によって様々である。例えば、大腿骨プロテーゼの場合、患者の大腿骨が相対的に長かったり短かったりすることがあり、このため相対的に長いまたは短いステムを有する大腿骨プロテーゼを使用する必要がある。更に、例えば、相対的に長いステムを使用する場合、患者の大腿骨の解剖学的構造に一致するようにステムは曲がっていなければならない。

このように様々な形状や大きさのプロテーゼが必要であることから、単一体プロテーゼを用いる場合に幾つかの問題が生じる。例えば、病院すなわち外科センターは、外傷や修復手術などの場合に必要となる様々なプロテーゼを揃えるべく、比較的多くのプロテーゼを保有しなければならない。更に、ステムの湾曲が患者の大腿骨の髄内腔の湾曲に一致しなければならないため、プロテーゼの上側部分（すなわち、基端部）の位置合わせの際の回動が制限され、これにより上側部分、従ってプロテーゼのヘッドの正確な位置合わせが極めて困難である。加えて、患者の解剖学的構造の対応する左側の骨と右側の骨（例えば、左大腿骨及び右大腿骨）が反対方向に曲がっているため、曲がったステムに前傾を付与するためには左側用のプロテーゼと右側用のプロテーゼをそれぞれ別々に用意する必要があり、保有しなければならないプロテーゼの数量が更に多くなる。

上記した及び他の欠点を解消するべく、多数のモジュラープロテーゼがデザインされた。モジュラープロテーゼは、その名称から分かるようにモジュラー形式であって、プロテーゼの個々の要素すなわち構造を選択して所与の患者の解剖学的構造の要求に適合させることができる。例えば、モジュラープロテーゼは、基端側ネック構成要素を含むようにデザインされている。この基端側ネック構成要素は、任意の先端側ステム構成要素に取り付けて、所与の患者の解剖学的構造の要求に適合する組立体を形成することができる。このようなデザインにより、先端側ステム構成要素を選択して患者の解剖学的構造に一致する位置で患者の骨に移植することができ、かつ患者の骨盤に対する基端側ネック構成要素の限定された独立した位置合わせができる。

別のタイプのモジュラーインプラントでは、大腿骨と係合する先端側ステム構成要素と、基端側骨幹端部フィリング構成要素と、ヘッド構成要素を支持する、先端側ステム構成要素の上側の中間ネック構成要素との３つの構成要素（ヘッドに加えて）が用いられる。３つの構成要素を用いることにより、患者の解剖学的骨格構造及び通常の関節運動に最も近い全股関節インプラントを形成する際の柔軟性が向上した。このようなシステムの１つに、デピュイ社（DePuy Orthopaedics, Inc.）が販売するＳ−ＲＯＭ（登録商標）全股関節システムがある。Ｓ−ＲＯＭ（登録商標）全股関節システムは、様々な長さを有するネック構成要素及びヘッド構成要素、ステムに対するネックの様々な横方向のオフセット、並びに様々なステム構造を提供する。

最終的なインプラントの正確な大きさを得るために、多くのシステムが単にトライアルと一般に呼ばれる試用インプラントを用いている。従って、Ｓ−ＲＯＭ（登録商標）器具システムなどのモジュラーシステムには、ネックトライアル、基端側本体トライアル、先端側ステムトライアル、ヘッドトライアル、及びスリーブトライアルが含まれ得る。それぞれのトライアルは、外科医が様々な組み合わせから選択できるように様々な大きさ及び形状を有する。トライアルを用いることにより整形外科医が、完全に固定しないでも最終的なインプラントの適合性及び位置を調べることができる。インプラントシステムと同様に、トライアルも、構成要素の数量を減らすと共に試用プロセスの複雑さを低減するべくモジュラーである。

股関節置換術の成功の可否は、最終的なインプラントを挿入する際の技術的な精度及び各モジュラー構成要素の相対的な向きに大きく依存する。現在のトライアルシステムは、例えば、主としてレーザーマーキングを利用しており、インプラントの大きさ及び全体の向きを十分に評価することができる。しかしながら、大腿骨の前傾角を正確に再現できるトライアルシステム（及びモジュラーインプラントシステム）は存在せず、そのようなトライアルシステムが要望されている。前傾角とは、大腿骨の球状端部と大腿骨の髄内腔の平面との間の角度のことである。モジュラーインプラントの文脈における前傾角は、先端側ステム構成要素に対する基端側ネック構成要素の相対角度を指す。適切な相対角度すなわち前傾角にすることにより、再形成した股関節の機能及び機械的な向きを正確かつ安定的に再現可能となる。

真直な先端側ステムを有するインプラントの場合、適切な前傾角は、大腿骨の準備した孔の中でその先端側ステムを単に回転させて達成することができる。通常は、外科医が周囲の構造に対する基端側本体の向きを目で見て確認することができる。トライアルを用いる場合、トライアルを取り外してから最終的なプロテーゼをトライアルの位置に可能な限り近づくように移植する。場合によっては、Ｘ線を用いて角度の整合を確認し、ある種のシステムでは外部基準を用いて整合を確認する。

上記したＳ−ＲＯＭ（登録商標）全股関節システムでは、先端側ステムの基端部上のレーザーマーキング及び基端側スリーブ上のレーザーマーキングを利用している。これらのマーキングにより、外科医が構成要素間の相対的な前傾の角度の整合を測定することが可能なる。スリーブを無限に前傾できるため、前傾角を画定するために用いることができる骨のランドマークに対して向きを合わせる必要がない。実際には、簡潔にするために、現在の殆どのスリーブは、大腿骨の残っている骨の中を直接横方向に向いたレーザーマーキングに向きが合わせられている。

モジュラーシステムが湾曲した先端側ステムを含む場合、適切に前傾の整合をとるのが困難である。上記したように、長い先端側ステムを用いる場合、この先端側ステムは大腿骨の自然の形状に一致するように湾曲していなければならない。湾曲したステムの場合、準備した孔自体が曲がっているため、ステムをその孔内で単に回動させて角度の整合を調節することができないことが明らかである。一体構造すなわち単一体のステムは、所定の前傾角、通常は１５度の前傾角を提供しなければならない。現時点では、前傾角を正確に再現できるモジュラーインプラントまたはモジュラートライアルシステムは存在しない。

本発明は、大腿骨構成要素の前傾回転角を決定するためにモジュラー股関節置換システムを試用するための方法を企図する。ある実施形態では、この方法は、大腿骨の準備した孔の中に先端側ステム構成要素を配置するステップを含む。この先端側ステム構成要素は、準備した孔の中に実質的に永久的に固定するように構成されている。先端側ステム構成要素は、ステムロケーター構造を画定している基端側部分を含む。次に、基端側トライアル組立体を先端側ステム構成要素の基端側部分に取り付ける。トライアル組立体は、先端側ステム構成要素のロケーター凹部にアクセスするための貫通孔を有する。基端側トライアル組立体は、先端側ステム構成要素に対して、先端側ステム構成要素の基端部分の長手方向の軸を中心に回動可能な第１の構成要素を有する。第１の構成要素はまた、ステムロケーター構造から独立したロケーター構造を有する。更に、第１の構成要素は、トライアルネックとして構成された部分を有する。このため、第１の構成要素を先端側ステム構成要素に対して回動させて、股関節システムの大腿骨構成要素の前傾回転角を決定することができる。

基端側トライアル組立体の第１の構成要素を、大腿骨内において回転位置が維持された状態の先端側ステム構成要素に対して回動させる。外科医が、トライアルネック部分が大腿骨に対して許容できる前傾回転角に一致するまで第１の構成要素を操作する。この時点で、アライメント器具に、大腿骨に対するトライアル部分の前傾角のリファレンスを付けることができる。具体的には、アライメント器具に、相対的に固定された先端側ステム部分及び基端側トライアル組立体の回動した構成要素のロケーター構造のリファレンスを付ける。

本発明の方法は、前傾角のリファレンスが付けられた器具を用いて最終的な大腿骨インプラントを形成することを含む。具体的には、ロケーター構造のリファレンスが付けられたときにアライメント器具をその位置に固定する。次に、アライメント器具をゲージすなわちテンプレートとして用いて、関節置換システムの基端側ネック構成要素を、先端側ステム構成要素に対する適切な前傾角に配置する。

ある実施形態では、股関節置換システムの先端側ステム構成要素を、従来の方法で骨の孔の中に固定する。この実施形態では、基端側トライアル本体組立体を用いて前傾回転角を求め、その後でそのトライアル本体組立体を取り外す。アライメント器具を股関節置換システムの基端側構成要素に係合させて、これを用いて基端側構成要素を先端側ステム構成要素上に配置する。アライメント器具がゲージとして機能するため、基端側構成要素のみを、測定した前傾回転角で先端側ステム構成要素上に取り付けることができる。基端側構成要素を先端側ステム構成要素の基端部に適切に配置したら、アライメント器具を基端側構成要素から取り外して、インプラントシステムの最終的な固定を終了する。

別の実施形態では、先端側ステム構成要素を孔の中に固定しない。この実施形態では、前傾回転角を決定したら、先端側ステム構成要素を大腿骨から取り外して、離れて股関節置換システムの残りの構成要素に取り付ける。

本発明は、先端側ステム構成要素が長く、大腿骨の湾曲に一致するように湾曲している場合に特に有用である。しかしながら、同じ原理を真直なステム構成要素に適用することもできる。

本発明の方法は、股関節システムがスリーブ構成要素を含む場合にも用いることができる。従って、この方法は、先端側ステム構成要素の基端部がスリーブ構成要素内を通るように準備した孔の中にスリーブ構成要素を配置するステップを含むように変更される。本発明のシステムの特徴及び方法により、スリーブ構成要素を大腿骨内に配置してもトライアルを行うことができる。先端側ステム構成要素と同様に、スリーブ構成要素は、骨の孔の中に実質的に永久的に固定することができ、また取り外し可能に大腿骨に配置することもできる。好適な実施形態では、骨の孔の中のスリーブ構成要素に対して基端側本体組立体の回転角を表示できる。

本発明は更に、トライアルに容易に用いることができるモジュラー股関節置換システム用の先端側ステム構成要素を含む。この先端側ステム構成要素は、大腿骨の準備した孔の中に固定するように構成された湾曲した骨係合部分を含む。先端側ステム構成要素の基端部分は、股関節置換システムの基端側モジュラー構成要素に係合するように構成された係合部分を画定している。更に、この基端部分は、骨係合部分（または大腿骨自体）の湾曲した平面に対して所定の角度で配置されるロケーター構造を画定している。ロケーター構造は、大腿骨の外部からアクセスできる基端側部分上に配置され、たとえ大腿骨の準備した孔の中に配置されていても骨係合部分の空間的な向きを遠隔表示するために用いることができる。

好適な実施形態では、ロケーター構造は、所定の角度に沿って延在する軸に沿って細長い。より詳細的な実施形態では、ロケーター構造は、先端側ステム構成要素の基端部分の露出した端部に画定された実質的に楕円形の凹部である。凹部は、円、六角形、及び八角形などの回転同一体でなければ、他の様々な構造にすることができる。言い換えれば、ロケーター構造はアライメント器具に係合して、孔に対する先端側構成要素の回転角を実質的に確実に遠隔表示できなければならない。楕円形の凹部が、骨係合部分の湾曲した平面に実質的に直交する軸に沿って配置されるのが好ましい。

本発明のある実施形態では、先端側ステム構成要素の係合部分はねじを含む。適切な前傾回転角が得られたら、このねじをナットに螺合させて、基端側トライアル本体組立体を先端側ステム構成要素に固定する。加えて、このねじを、モジュラー股関節置換システムの最終的な固定の一部として用いることができる。

先端側ステム構成要素はまた、その基端部に画定された互いに反対を向いた平坦部を含み得る。これらの平坦部は、基端側トライアル本体組立体の第２の構成要素の相補的な内側平坦部に係合して、第２の構成要素を先端側ステム構成要素に実質的に互いに回動できないように固定する。従って、この第２の構成要素は、基端側トライアル本体組立体が先端側構成要素に取り付けられたら、先端側ステム構成要素に対して回動できない。トライアル本体組立体は、最終的なインプラント組立体のスリーブ構成要素に係合するように構成された第３の構成要素を含む。この第３の構成要素は、第２の構成要素の周りを回動するように取り付けられ、基端側トライアル本体組立体が先端側ステム構成要素及びスリーブ構成要素と一体化するのを容易にする。

先端側ステム構成要素は、モジュラー股関節置換システムの大腿骨構成要素の前傾回転角を決定するためのトライアルシステムの一部を構成し得る。トライアルシステムは、第１の孔を画定している第１の構成要素を含む。この第１の孔は、先端側ステム構成要素の基端部分の少なくとも一部を受容し、かつステムロケーター構造にアクセスできるようにする。第１の構成要素は、先端側ステム構成要素に対して、先端側ステム構成要素の基端部分の長手方向の軸を中心に回動可能である。第１の構成要素はまた、大腿骨の準備した孔の外部からアクセス可能なステムロケーター構造から独立したトライアルロケーター構造を画定し得る。上記したように、第１の構成要素はまた、モジュラー股関節置換システムのネック構成要素として構成された部分を含み得る。

基端側トライアル本体組立体はまた、第２の孔を画定する第２の構成要素を含む。この第２の孔は、その中を先端側ステム構成要素の基端部分が通って、先端側ステム構成要素上に第２の構成要素が取り付けられるように構成されている。第１の構成要素を先端側ステム構成要素に対して回動させた後に、第１の構成要素と第２の構成要素を固定するべく、第１の構成要素と第２の構成要素の噛合が画定されている。この噛合は、互いに相補的な径方向のスプライン表面の形であるのが好ましい。この噛合では、前傾角を決定するときに２つの構成要素間の相対的な回動が可能である。スプラインにより、第１の構成要素が回動するときに角度の増加でクリック音が生成される。

適切な前傾角に到達したら、噛合させて２つの構成要素を固定する。基端側本体組立体の回動が互いに固定されているため、ステムロケーター構造及びトライアルロケーター構造を外部から見て、大腿骨構成要素の前傾回転角を示す先端側ステム構成要素に対する第１の構成要素の相対的な角度位置を決定できる。

本発明の大きな利点は、大腿骨の実際の前傾回転角を決定して最終的な股関節置換インプラントに正確に反映できるということにある。別の利点は、最終的なインプラントの一部のインプラント構成要素を用いてトライアルを行うことができるため、インプラント構成要素に対するトライアル構成要素の不適合によるエラーが発生しないということにある。

本発明による別の利点は、Ｘ線などを利用しなくても前傾角を決定できることにある。加えて、本発明により、角度の測定を行って最終的なインプラントを構成するときにその測定値を再現する必要がなくなった。

これら及び他の利点は、添付の図面を用いた説明から明らかになるであろう。

本発明は、様々な変更態様や代替態様が可能であるが、例示目的として、添付の図面を用いて本発明の特定の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、開示する特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内のすべての改良態様、同等態様、及び変更態様を含むものとする。

図１〜図３を参照すると、股関節置換術などの関節置換術の手術中に用いられるモジュラープロテーゼ１０が示されている。本発明は股関節置換術の実施について例示的に説明するが、本発明の概念は、体の他の様々な関節位置における置換術にも用いることができることを理解されたい。例えば、本発明の概念を用いて、肩もしくは膝の置換術を実施することができる。

図１に示されているモジュラー大腿骨プロテーゼ１０は、基端側ネック構成要素１２などの基端側構成要素、基端側骨固定具すなわちスリーブ構成要素１４、ボールすなわちヘッド構成要素１６、及び先端側ステム構成要素などの先端側構成要素１８を含む。プロテーゼ１０は、例えば疾患や外傷などによる患者の大腿骨Ｆの自然の構造と置換するために、患者の大腿骨Ｆ（図３を参照）内に移植するように構成されている。具体的には、後述するように組み立てたら、モジュラープロテーゼ１０を、大腿骨Ｆの外科的に準備した（例えば、リーマー加工及び／またはブローチ削り）髄内腔Ｂ（図３を参照）内に移植する。モジュラープロテーゼ１０は、髄内腔Ｂ内にプレス嵌めしてもよいし、また骨セメントを用いて髄内腔Ｂ内に固定してもよい。

このような方式では、プロテーゼ１０を用いて、患者の骨盤（図示せず）に患者の大腿骨Ｆを回動可能に固定することができる。具体的には、ヘッド構成要素１６を、患者の自然の寛骨臼、または患者の寛骨臼の代わりに患者の骨盤に移植されたプロテーゼソケットに支持されるように配置する。このような方式では、モジュラープロテーゼ１０と天然或いは人工の寛骨臼が、患者の股関節の天然の球関節の代わりをするシステムとして集合的に機能する。

図１に示されているように、先端側ステム構成要素１８は、所与の患者の解剖学的構造の要求を満たし、かつ様々な固定オプション（例えば、テクスチャーやジオメトリ）及び大きさを提供するように様々な構造にすることができる。具体的には、ステム構成要素１８は、患者の解剖学的構造に適合するように様々な長さに形成することができる（例えば、長い大腿骨Ｆに用いるための比較的長いステム構成要素１８、短い大腿骨に用いるための比較的短いステムなど）。更に、先端側ステム構成要素１８は、所与の患者の解剖学的構造によっては、図１に示されているような弓形構造にすることもできる。更に、先端側ステム構成要素１８は、患者の解剖学的構造によって必要になる場合には、様々な直径や外面テクスチャーを有するようにできる。

更に、図１〜図３には示されていないが、ネック構成要素１２、スリーブ構成要素１４、及びヘッド構成要素１６のそれぞれを、患者によって異なる様々な解剖学的構造に適合するように必要な柔軟性を付与するべく様々に構成できることを理解されたい。例えば、ヘッド構成要素１６は様々な直径にすることができ、スリーブ構成要素１４は所与の患者の解剖学的構造に適合するように様々な角度及び長さにすることができる。更に、ネック構成要素１２の形状及び長さは共に、所与の患者の解剖学的構造に一致するように様々にすることができる。

図１に示されているように、基端側ネック構成要素１２は本体２０を含む。この本体２０は、その基端部から延出した支持部材すなわちトラニオン２２を有する。ヘッド構成要素１６は、テーパフィット或いは他の方法でトラニオン２２に既知の様式で固定される。本体２０はまた、その先端部分から延出したポスト２４を有する。図１に示されている例示的な実施形態では、トラニオン２２及びポスト２４は、基端側ネック構成要素１２の本体２０と一体形成されている。しかしながら、これらの構成要素のそれぞれは、別々の構成要素とし、ファスナー、プレス嵌め接合、またはテーパフィット接合によって互いに固定することができることを理解されたい。

例示されている実施形態では、スリーブ構成要素１４はその内部を貫通する孔２６を有する。この孔は、モジュラープロテーゼ１０が組み立てられたときにポスト２４を受容する大きさに形成されている。ポスト２４はまた、先端側ステム構成要素１８のポスト２８を受容する大きさに形成された孔（図示せず）を含む。先端側ステム構成要素は先端部分２９を含む。この先端部分２９は、例示されている実施形態では湾曲しているが、ステム構成要素１８を移植する大腿骨Ｆの解剖学的構造によっては真直にしてもよい。

本発明の一態様の詳細が図２に示されている。具体的には、本発明は、ステム１８のポスト２８のある特徴を含む。ポスト２８は、ネック構成要素１２に係合するための係合部分を含むように構成できる。一実施形態では、ポスト２８は、ネック構成要素１２の相補的な孔（図示せず）にテーパフィットするように構成されたテーパシャンク３２を含む。ネック構成要素１２をステム構成要素１８に固定することが望ましい場合、ステムポスト２８は、ナット（図示せず）に係合するように構成されたねじ部分３４で終わる。ここまでは、先端側ステム構成要素のこれらの構造は、モジュラープロテーゼ１０の最終的な組立体及び固定を得るためのものである。

本発明に従えば、テーパシャンク３２は、ねじ部分３４に近接した環状ショルダー３６を画定している。加えて、基端側ねじ部分３４は、互いに反対を向いた一対の平坦部３８を有する。更に、基端側ねじ部分３４は、ロケーター凹部３５（図１７を参照）などのロケーター構造を画定している。ロケーター凹部３５、ショルダー３６、及び平坦部３８は、本発明のトライアルシステムの一部を構成する。

トライアルシステムの別の特徴が図３に例示されている。具体的には、スリーブ構成要素１４は、図示されているように大腿骨Ｆの準備された孔Ｂの中に配置されている。大腿骨の基端部のかなりの部分が、モジュラーインプラント１０及び後述するトライアル構成要素を受容するために切除されているのが分かるであろう。スリーブ構成要素は、正反対の位置に設けられた一対のノッチ３０を含む。これらのノッチ３０は、本発明のトライアル構成要素と共に用いて、大腿骨の髄内腔などの解剖学的に固定された基準点に対するネック構成要素、スリーブ構成要素、及び先端側ステム構成要素の相対的な回転位置の整合をとることができる。

トライアル構成要素が図４〜図１４に示されている。図４の組立分解図には、本発明のトライアルシステムの基本的な構成要素が示されている。具体的には、トライアル組立体５０は、先端側ステム５４及び基端側スタッド５６からなるトライアルステム５２を含む。トライアルステム５２は、図１〜図２に示されているステム１８などの最終的なインプラントステムの構造を全体的に模している。しかしながら、本発明のある特徴に従えば、トライアルステムは、先端側ステム５４の色コーディングができるようにツーピースからなるステムである。トライアルの先端側ステムは、所定範囲の長さ、直径、及び曲率を有するようにできる。従って、様々な色コードの先端側ステム５４を用意できる。一方、基端側スタッド５６は、様々な大きさのものを用意する必要がない。基端側スタッド５６は、先端側ステム５４の孔８２（図６を参照）の中に受容されるように構成された嵌合ポスト７０（図５）によって先端部ステム５４に係合することができる。ピン５８（図４及び図６）が、基端側スタッド５６の整合孔７１（図５）及び先端側ステム５４の孔８３（図６）を貫通している。トライアルステム５２は患者内に永久的に移植するものではないため、このように２つの構成要素を連結する形態でもよい。

図５及び図６を参照すると、基端側スタッド５６の基端部は、図２に示されている先端側ステム構成要素１８の基端部と同様の構造である。実際には、本発明に従えば、トライアルは、トライアルステム５２を用いて行うこともできるし、また実際の永久的なインプラント先端側ステム部分１８を用いて行うこともできる。後者の場合、先端側ステム部分を選択して、既知の要領で大腿骨Ｆの孔Ｂの中にしっかりと固定することができる。

先端側ステム部分１８と同様に、基端側スタッド５６は、実質的に円柱状の本体７３を含む。この本体７３は、先端側ステム構成要素１８のテーパシャンク３２の長さに概ね一致する。しかしながら、トライアルステム５２は、永久的に移植されないため、本体７３は、先端側ステム構成要素のテーパロック構造を有する必要がない。基端側スタッド５６は更に、本体７３の基端部から突出したねじ部分７６を含む。先端側ステム構成要素１８と同様に、本体７３は、ねじ部分７６に近接した環状ショルダー７４を画定している。更に、ねじ部分７６は、先端側ステム構成要素１８の平坦部３８に類似した互いに反対側を向いた平坦部７７を有する。

本発明は、ねじ部分の基端部、すなわち先端側ステム構成要素１８の部分３４及び基端側スタッド５６の部分７６が、インプラントステムの凹部３５及びトライアルステムの凹部８０などの回転方向の整合表示すなわちロケーター構造を画定することを含む。好適な実施形態では、ロケーター凹部は、トライアル組立体５０の構成要素間の角度を確立するために細長い。凹部８０（及び凹部３５）は、図５に示されているように楕円形にするのが更に好ましい。この凹部は、本明細書で説明するアライメント器具である。本発明の一態様では、ロケーター凹部８０は、トライアルステム５２の先端側ステム５４（または先端側ステム構成要素１８の湾曲部分２９）に対して所定の角度で位置する。この所定の角度により、ステムの湾曲に対して適切な位置関係にある外部基準を確立でき、これにより正確な前傾角を得ることができる。好適な実施形態では、細長い凹部８０は、ステムの湾曲した平面に対してその長軸が直交する向きに配置される。ロケーター凹部８０の目的及び使用についての詳細は後述するが、凹部８０の特徴及び機能は、インプラント先端側ステム構成要素１８の凹部３５にも適用できることを理解されたい。

図４を参照すると、トライアル組立体５０もスリーブ構成要素１４を含む。図３に示されているように、スリーブ構成要素１４は、その移植される位置で大腿骨Ｆの中に固定されるのが好ましい。スリーブ構成要素１４は、トライアルの前に骨の孔Ｂの中に永久的に固定しない方がよい。スリーブ構成要素１４が大腿骨内に配置されたときに、ノッチ３０がステムの湾曲した平面に対して直交するのが好ましい。しかしながら、先端側ステム構成要素（またはトライアルステム）に対するスリーブ構成要素の厳密な角度の関係は本発明の実施にとってクリティカルではない。

トライアル組立体５０は、複数の構成要素からなる基端側本体組立体６０を含む。図７〜図１１に、基端側本体組立体６０の詳細が示されている。具体的には、組立体６０は、トライアル本体テーパ構成要素９０、キー付き構成要素９４（図８及び図１０を参照）、基端側リング１００、及びキー付き噛み合い構成要素１０６を含む。完全な組立体はトライアルキットの中に含めて、システムの他の構成要素と共に外科医に供給するのが好ましい。

テーパ構成要素９０は細長く中空であって、その内部を貫通する孔９１を有する。テーパ構成要素９０の孔９１は、トライアルステム５２の基端側スタッド５６（またはステム構成要素１８のテーパシャンク３２）に対して隙間嵌めする大きさである。構成要素９０の外面は、スリーブ１４のテーパ、またはスリーブがない場合には準備された孔Ｂの内側のテーパ部分に一致するテーパに形成されている。テーパ構成要素９０は、大腿骨の孔Ｂ内に配置されたときにスリーブ構成要素１４の孔２６の中をスライドできる外径を有する。

基端側リング１００はキー付き構成要素９４と同軸上に配置してから、キー付き構成要素９４の雄ねじ９６をテーパ構成要素の雌ねじ９２に螺合させる。従って、図８に最もよく示され、その拡大図が図９に示されているように、基端側リング１００が、テーパ構成要素９０とキー付き構成要素９４の基端部に画定されたフランジ９７との間に閉じ込められる。基端側リング１００は、正反対の位置に設けられたウィング１０１を含む。これらのウィング１０１は、スリーブ構成要素１４の対応するノッチ３０内に受容されるように構成されている。従ってウィング１０１によって、スリーブ構成要素に対する基端側リング１００の回転方向の角度が固定される。

しかしながら、キー付き構成要素９４が基端側リング１００の中心孔１０２の中でスライドできるため、キー付き構成要素（並びに螺合したテーパ構成要素９０）は基端側リング内で自由に回動できる。このような自由な回動は、キー付き構成要素９４が、図８、図９、及び図１１に示されているように孔９５のフランジ端部において内側平坦部９８を画定しているため重要である。これらの内側平坦部９８は、先端側ステム構成要素１８上の平坦部３８及びトライアルステム５２上のロケーター平坦部７７に整合する。キー付き構成要素と基端側リングの中心孔が密着して嵌合しているため、誤った前傾角の決定を引き起こすような２つの構成要素間のスロップが排除される。言い換えれば、基端側リング１００が、ステム構成要素及び準備した孔Ｂの長手方向の軸を中心に安定して正確に回動できるようにキー付き構成要素９４を支持している。

トライアル組立体５０を大腿骨内に固定して、トライアルステム５２を大腿骨Ｆの孔Ｂの中に配置することができる。スリーブ構成要素１４は、トライアルステムを配置する前または後で骨の基端側部分の中に配置することができる。次に、図１５に示されているようにトライアル本体テーパ構成要素９０をスリーブ構成要素の孔２６の中をスライドさせて、トライアルステム５２の基端側スタッド５６（またはインプラント構成要素１８のステムポスト２８）を受容するようにして、基端側本体組立体６０を所定の位置に配置することができる。テーパ構成要素を基端側スタッドに対して前進させるとき、ねじ部分７６をテーパ構成要素９０の孔９１及びキー付き構成要素９４の孔９５を通過させる。最終的に、キー付き構成要素が、ねじ部分７６上の平坦部７７（またはインプラントステム１８上の平坦部３８）に接触する。次にキー付き構成要素を回動させて、平坦部７７（または３８）がキー付き構成要素の内側平坦部９８に整合するようにする。次に、キー付き構成要素をステムに対して更に前進させて、キー付き構成要素９４が基端側スタッド５６の環状ショルダー７４（またはインプラントのショルダー３６）に接触するようにする。基端側リング１００は、キー付き構成要素９４またはテーパ構成要素９０のいずれにも固定されていないため他の構成要素に対して自由に回動でき、ウィング１０１をノッチ３０（図１５を参照）内に配置することができる。

前記したこれらの構成要素が、本発明の前傾角整合の根幹である。具体的には、トライアル組立体５０の基端側本体組立体６０がキー付き噛み合い構成要素１０６を含み、この噛み合い構成要素１０６が図９の拡大図に例示されている要領でキー付き構成要素９４と嵌合している。上記したように、キー付き構成要素９４は環状フランジ９７を含む。噛み合い構成要素１０６は、その内部の孔を画定する円筒状本体１０８を含む。本体１０８の先端部は、内向きフランジ１０９として形成されている。この内向きフランジ１０９を、図９に示されているようにキー付き構成要素９４のフランジ９７に対してプレス嵌めして、噛み合い構成要素１０６がキー付き構成要素上に保持されるようにする。重要なことは、噛み合い構成要素のキー付き構成要素に対する回動が制限されて、２つの構成要素が一緒に回動するということである。好適な実施形態では、このような回動の制限は、キー付き構成要素９４のフランジ９７上の少なくとも１つの外側平坦部９９と、噛み合い構成要素１０６の円筒状本体１０８によって画定された対応する少なくとも１つの内側平坦部１１０とによって達成することができる。従って、テーパ構成要素９０、キー付き構成要素９４、及び噛み合い構成要素１０６が基端側リング１００によってスリーブ構成要素１４内に支持されているときは、これらの構成要素が一緒に回動することを理解されたい。言い換えれば、リング１００は、基端側本体組立体６０の他の３つの構成要素に対して自由に回動する。

噛み合い構成要素１０６は、基端側を向いた歯が設けられた表面１０７を含む。この表面１０７は、図１２に示されているトライアルネック構成要素６２の先端面に同様に構成された表面１２４と噛合するように形成されている。表面１０７の歯と表面１２４の歯は、所定の角度間隔で噛合するように形成することができる。例えば、これらの歯により、基端側本体組立体６０に対してトライアルネック構成要素６２を１０度の増分で相対的な回転位置を得ることができる。噛合面１０７と噛合面１２４により、トライアル組立体５０が大腿骨内に固定されたときに、トライアルネック構成要素６２の回転位置を調節することができる。

基端側本体組立体６０を骨の孔Ｂ（図１５に示されているように）内のスリーブ１４内に配置すると、基端側スタッド５６のねじ部分７６またはインプラントステム構成要素１８のねじ部分３４が、噛み合い構成要素１０６の噛合面１０７を超えて基端方向に延出する。次にトライアルネック構成要素６２を露出したねじ部分に対して配置して、ネック構成要素の噛合面１２４が構成要素１０６の噛合面１０７に接触するようにする。ねじ部分７６またはねじ部分３４がトライアルネック構成要素６２の中心（図示せず）を自由に通っており、トライアルネック構成要素が、ステム構成要素５２またはステム構成要素１８、スリーブ構成要素１４、及び基端側本体組立体６０に対して自由に回動できる。従って、外科医は、必要に応じてネック構成要素の相対的な回転位置を調節して、個々の股関節に適切な前傾角を得ることができる。

トライアルネック構成要素６２を適切に配置したら、ナット６４（図４及び図１５）でトライアル組立体５０全体を締め付けることができる。図１３及び図１４に詳細が示されているように、ナット６４は、ねじ部分７６またはねじ部分３４と螺合するように形成された雌ねじ１２０を含む。ナットは、ねじ部分に対して手で締めることができるように刻み付き外面１１４を有する。ナット６４は、トライアルネック構成要素６２に対して回動可能にその内部に軸方向に受容されていくのが好ましい。従って、ナットの先端部に、トライアルネック構成要素６２の孔（図示せず）の中に従来の方式でスナップ式に挿入される先端保持フランジ１１８及び環状凹部１１６を設けることができる。従って、ナット６４がネック構成要素に保持されるため、このナット６４を用いてトライアルネック構成要素６２をトライアルステム５２またはインプラントステム構成要素１８に対して緩く連結することができる。ナットは、ネック部分６２の回動位置を調節することができるようにねじ部分７６またはねじ部分３４にゆるく螺合した状態に保持される。適切な前傾角が得られたら、ナットをねじ部分に対して締め付けて噛合面１０６と噛合面１２４とが互いに噛合するようにする。加えて、ナットを締め付けることにより、テーパ構成要素９０と噛み合い構成要素１０６との間の基端側リング１００も締め付けられる。従って、ナットを締め付けることによりトライアル組立体５０の全ての構成要素が互いに締め付けられ、適切な解剖学的前傾回転角に構成要素を保持することができる。

トライアル組立体５０によって前傾角が概ね決まったら、アライメント器具すなわち測定器具１３０を用いて、トライアルネック構成要素６２とステム構成要素またはステム構成要素１８との角度関係を調べることができる。インプラントステム部分２９またはトライアルステム部分５４などの湾曲したステムが大腿骨内に固定されたら、外科医がトライアル組立体を見て湾曲したステムの向きを知ることができる。先端ステム構成要素の全体的な位置を判断するためにＸ線を用いる必要がない。トライアル組立体５０が、患者の大腿骨の実際の前傾角を直接的に表示する。このような直接的な表示は、単に締め付けられた組立体構成要素の回転位置でもよいし、表示マーカーを用いて正確に測定するものであってもよい。後者の場合、表示マークをスリーブ構成要素１４の外面またはアライメント器具１３０の表面上に設けて、スリーブ構成要素に対するトライアルネック構成要素の回転角を表示することができる。

本発明の一実施形態では、アライメント器具１３０を用いて、図１６に示されているように最終インプラントの形のテンプレートを提供する。アライメント器具１３０は、トライアルネック構成要素６２（図１２及び図１５を参照）の両側にある窪みすなわち凹部１２６に係合するように構成された内向きの突出部（図示せず）を有する一対のアーム１３２を含む。一対のアームは、それらの先端部が互いに拡がってその間にネック構成要素を受容し、そのネック構成要素と共に移動できるように本体１３３に支持されている。本体１３３はまた、孔１３５内に回動可能に配置されたアライメント軸１３４を支持する。アライメント軸は、インプラントステム構成要素１８の端部のロケーター凹部３５またはトライアルステム構成要素５６の凹部８０に嵌合するように構成された先端部１３６（図１７）を有する。本体１３３は、アーム１３２とアライメント軸１３４との相対位置を固定し、ステム部分に対するネック部分の適切な前傾回転位置のテンプレートとして役立つ。

外科医が器具１３０を用いて、インプラント先端側ステム構成要素１８に対してインプラントネック構成要素１２（図１）を正確に配置することができる。インプラントネック構成要素１２には、上記したトライアルネック構成要素６２上の凹部１２６と実質的に同一の互いに反対側を向いた窪みすなわち凹部２１を設けることができる。アライメント器具１３０のアーム１３２がこれらの凹部に係合することができる。インプラントネック構成要素１２がアライメント器具１３０によって実質的に支持された状態で、アライメント軸１３４を操作して、その先端部１３６が先端側ステム構成要素１８の端部のロケーター凹部３５に係合するようにする。アライメント軸がロケーター凹部３５と適切に係合するまで、インプラントネックを回動させる必要があるであろう。この回動動作により、最終インプラントにおけるネック構成要素と先端側ステム構成要素との間の適切な前傾角を得ることができる。アライメント器具１３０によってこの位置をセットしたら、この器具を取り外して、最終的なインプラント構成要素を互いに従来の方式で締め付けることができる。得られたインプラントは、特定の患者の適切な前傾回転角を正確に反映している。

別の実施形態では、アライメント器具１３０を所定の角度位置に予めセットすることができる。この角度位置は、大腿骨の実際の前傾角を確かめるための目的の関節のＸ線撮影で決定することができる。この前傾角をアライメント器具に合わせて、アライメント軸１３４とアーム１３２との間の相対位置を予め設定することができる。次にアライメント器具を上記したように用いて、生体内或いは近くの準備台で最終的なインプラント構成要素を正確に構成することができる。

本発明の１つの利点は、インプラント先端側ステム構成要素１８をトライアルに用いることができることである。上述したように、ステム構成要素の基端部（すなわち、ねじ部分３４の端部）は、図１７に示されているロケーター凹部３５を含む。加えて、ねじ部分３４が、トライアル基端側スタッド５６上の平坦部７７に類似した互いに反対側を向いた平坦部３８を含む。従って、本発明のある方法に従って、インプラント先端側ステム構成要素１８を大腿骨Ｆの孔Ｂの中に配置することができる。ステム構成要素１８は、骨セメントなどの従来の方法で孔内に固定するのが好ましい。準備した大腿骨内にインプラント先端側ステム構成要素１８を所定の位置に配置した状態で、図３に示されているようにスリーブ１４を配置することができる。孔Ｂは、既知の方法で大腿骨Ｆに形成することができ、骨の開口の基端側部分のフレア部分は骨の解剖学的構造に左右されることを理解されたい。従って、先端側ステム構成要素１８の湾曲した部分２９に対するスリーブ１４の回転角が患者によって異なる。

スリーブ構成要素１４及びステム構成要素１８は、図１に示されている最終的なインプラント１０の一部である。しかしながら、ステム構成要素のねじ部分及びスリーブ構成要素１４のノッチ３０を形成することにより、これらの最終的なインプラント構成要素をトライアル組立体５０の一部として用いることができる。基端側本体組立体６０、トライアルネック構成要素６２、及びナット６４を全て、上記したように用いることができる。従って、図４及び図１５に示されているトライアルステム５２を、図１及び図２のインプラント先端側ステム構成要素１８と交換することができる。

先端側ステムの基端部すなわちテーパシャンク３２はテーパであるが、トライアルテーパ構成要素９０の孔９１は、これら２つの構成要素がテーパフィットしないような大きさの直径を有する。従って、テーパ構成要素９０すなわち基端側本体組立体６０全体が、テーパシャンク３２に対して自由に回動でき、前傾角を整合させることができる。ナット６４は、ステム構成要素１８のねじ部分３４に係合するように構成されているため、基端側本体組立体６０及びトライアルネック構成要素６２をスリーブ１４及び先端側ステム構成要素１８に対して固定することができる。上記したようにアライメント器具１３０を用いて、前傾回転角のテンプレートを得ることができる。次に、アライメント器具１３０を用いてインプラントネック構成要素１２を把持し、そのネック構成要素１２を大腿骨内に移植する。具体的には、アライメント器具１３０でネック構成要素１２を把持して、スリーブ１４の孔２６の中にポスト２４を挿入してテーパシャンク３２を受容するようにする（ポスト２４が基端側リング１００に見られるようなウィング１０１を有していないため、スリーブ構成要素１４上のノッチ３０は必要ない）。アライメント器具１３０を更に前進させて、アライメント軸１３４の先端部がステム構成要素１８の基端部のロケーター要素３５に係合するようにする。もちろん、アライメント軸がその凹部内に受容するようにするために、アライメント器具１３０をある程度回動させる必要があるであろう。

アライメント軸の先端部１３６を凹部３５内に適切に配置すると、アライメント器具１３０によって保持されているネック構成要素１２が適切な前傾回転角にくる。アライメント器具１３０は、アーム１３２をネック構成要素１２から外してそのネック構成要素から上方にスライドさせて容易に取り外すことができる。インプラント構成要素の最終的な固定は、周知の方法、例えば、所与の器具を用いてテーパ構成要素を引き上げて堅くテーパロックするなどして行うことができる。ある実施形態では、インプラントナットを先端側ステム構成要素１８のねじ部分３４に係合させて、インプラント組立体の２次的な固定機構とすることができる。

本発明の好適な実施形態では、モジュラープロテーゼ１０の構成要素は次に示す米国特許出願に開示されているように構成することができる。（１）２００１年１０月２２日出願の自己の同時係属の米国特許出願第１０／０３３，１０５号（名称：「端ぐりが設けられたステム構成要素を備えたモジュラープロテーゼ及び関連する方法（Modular Prosthesis Having a Stem Component With a Counterbored Cavity Defined Therein and Associated Method）」）。（２）自己の同時係属の２００１年１０月２３日出願の米国特許出願第１０／０３２，９８４号（名称：「テーパ構造を有する自己固定モジュラープロテーゼ及び関連する方法（Self-Locking Modular Prosthesis Having Taper Feature and Associated Method）」）。これらの同時係属の特許出願、特に図６〜図１２及びそれに関係する説明を参照することをもって本明細書の一部とする。インプラント構成要素の詳細及びその固定方法は、参照することをもって本明細書の一部とする上記した特許出願第１０／０３３，１０５号及び同第１０／０３２，９８４号から容易に理解できるであろう。これらの特許出願では、真直な先端側ステム構成要素が図示されているが、同様の「自己固定」構造を、本発明の湾曲した先端側ステム構成要素１８などの湾曲したステムに用いることができることを理解できるであろう。しかしながら、本発明は、上記したようにインプラント構成要素をトライアル組立体５０に含めることができる先端側ステム構成要素の変更を含むものとする。更に、本発明の概念は、参照した同時係属の特許出願に記載されている自己固定構造を用いないモジュラープロテーゼに用いることができる。

本発明のモジュラーインプラントは、上記したようにトライアル組立体５０の一部を構成する。トライアルステム５２、基端側本体組立体６０、及びトライアルネック構成要素６２を含むトライアル組立体の一部の詳細は、自己の同時係属の、２００２年１２月１７日出願の米国特許出願第ＸＸＸＸＸ号（ＤＥＰ−７２５）（名称：「モジュラー股関節ステムのトライアルのための器具及び方法（Instrument and Associated Method of Trialing for Modular Hip Stems）」）の主題である。またこの特許出願を参照することをもって本明細書の一部とする。同様に、上記したアライメント器具１３０の詳細は、自己の同時係属の、参照することをもって本明細書の一部とする２００２年１２月１７日出願の米国特許出願第ＸＸＸＸＸ号（ＤＥＰ−６６６）（名称：「モジュラーインプラントの前傾角の整合／測定器具及び関連する方法（Anteversion Alignment and Measuring Instrument for Modular Implants and an Associated Method）」）の主題である。これら２つの特許出願の主題のある態様は、本発明を理解するのに役立つであろう。上記した構成要素の詳細の一部は、これらの同時係属の米国特許出願にのみ記載されていることを理解されたい。

本発明は添付の図面を用いて詳細に説明してきたが、これらの説明は本発明を限定するものではないことを理解されたい。好適な実施形態のみを用いて説明したが、本発明の概念の範囲内に含まれる全ての変更、改良、及び更なる適用例が保護されるべきことであることを理解されたい。例えば、本発明の好適な実施形態は、インプラント先端側ステム構成要素１８にロケーター凹部３５を設けること、トライアルステム５２に凹部８０を設けることを含む。しかしながら、このような凹部の代わりに、例えば、アライメント器具１３０などの器具によって外部からアクセスして、大腿骨Ｆの準備した孔Ｂ内の先端側ステム構成要素の回転位置を決定できるロケーター機構を用いることができる。例えば、凹部は細長い上方に突き出たボスに代えることができ、器具１３０のアライメント軸１３４をこれに合わせて変更する。更に、位置決め構造を、インプラントまたはトライアルステムの基端側部分に設けられたキー型スロットの形にすることができる。このスロットは、基端部分の端面内に完全に含まれる、または側面まで延在する。

別の変更態様では、トライアル基端側本体構成要素は、最終的な股関節置換システムにインプラントスリーブ構成要素を含まないように変更することもできる。言い換えれば、一部の股関節システムでは、スリーブ構成要素１４及びネック構成要素１２が適宜変更される。このような場合、トライアル基端側本体組立体は、基端側リング１００及びウィング１０１を必要としない。この場合、トライアル基端側本体組立体は、図１８に示されているように構成することができ、変更されたトライアル本体テーパ構成要素１５０とキー付き噛み合い構成要素１０６のみを含む。構成要素１５０は、上記した構成要素９０のように構成された先端部分を含み得る。この構成要素の基端部は、基端側リングを使用しないため、そのリングの高さの分を延長することができる。加えて、延長したトライアル本体テーパ構成要素１５０の基端部は、変更した組立体を必要としないキー付き構成要素９４の基端部のように構成することができる。言い換えれば、図９に示されている内側平坦部９８が、トライアル本体テーパ構成要素１５０の基端部に形成される。同様に、基端部は、噛み合い構成要素１０６（図９を参照）の内向きフランジ１０９に係合する外側フランジ９７を含み得る。

本発明は、大腿骨構成要素の前傾回転角を決定するためにモジュラー股関節置換システムを試用するための方法に適用可能である。ある態様では、この方法は、大腿骨の準備した孔の中に先端側ステム構成要素を配置するステップを含む。この先端側ステム構成要素は、準備した孔の中に実質的に永久的に固定するように構成されている。先端側ステム構成要素は、ステムロケーター構造を画定している基端側部分を含む。次に、基端側トライアル組立体を先端側ステム構成要素の基端側部分に取り付ける。トライアル組立体は、先端側ステム構成要素のロケーター凹部にアクセスするための貫通孔を有する。基端側トライアル組立体は、先端側ステム構成要素に対して、先端側ステム構成要素の基端部分の長手方向の軸を中心に回動可能な第１の構成要素を有する。第１の構成要素はまた、ステムロケーター構造から独立したロケーター構造を有する。更に、第１の構成要素は、トライアルネックとして構成された部分を有する。このため、第１の構成要素を先端側ステム構成要素に対して回動させて、股関節システムの大腿骨構成要素の前傾回転角を決定することができる。

基端側トライアル組立体の第１の構成要素を、大腿骨内において回転位置が維持された状態の先端側ステム構成要素に対して回動させる。外科医が、トライアルネック部分が大腿骨に対して許容できる前傾回転角に一致するまで第１の構成要素を操作する。この時点で、アライメント器具に、大腿骨に対するトライアル部分の前傾角のリファレンスを付けることができる。具体的には、アライメント器具に、相対的に固定された先端側ステム部分及び基端側トライアル組立体の回動した構成要素のロケーター構造のリファレンスを付ける。

本発明の方法は、前傾角のリファレンスが付けられた器具を用いて最終的な大腿骨インプラントを形成することを含む。具体的には、ロケーター構造のリファレンスが付けられたときにアライメント器具をその位置に固定する。次に、アライメント器具をゲージすなわちテンプレートとして用いて、関節置換システムの基端側ネック構成要素を、先端側ステム構成要素に対する適切な前傾角に配置する。

ある態様では、股関節置換システムの先端側ステム構成要素を、従来の方法で骨の孔の中に固定する。この態様では、基端側トライアル本体組立体を用いて前傾回転角を求め、その後でそのトライアル本体組立体を取り外す。アライメント器具を股関節置換システムの基端側構成要素に係合させて、これを用いて基端側構成要素を先端側ステム構成要素上に配置する。アライメント器具がゲージとして機能するため、基端側構成要素のみを、測定した前傾回転角で先端側ステム構成要素上に取り付けることができる。基端側構成要素を先端側ステム構成要素の基端部に適切に配置したら、アライメント器具を基端側構成要素から取り外して、インプラントシステムの最終的な固定を終了する。

別の態様では、先端側ステム構成要素を孔の中に固定しない。この態様では、前傾回転角を決定したら、先端側ステム構成要素を大腿骨から取り外して、離れて股関節置換システムの残りの構成要素に取り付ける。

本発明は、先端側ステム構成要素が長く、大腿骨の湾曲に一致するように湾曲している場合に特に有用である。しかしながら、同じ原理を真直なステム構成要素に適用することもできる。

本発明の方法は、股関節システムがスリーブ構成要素を含む場合にも用いることができる。従って、この方法は、先端側ステム構成要素の基端部がスリーブ構成要素内を通るように準備した孔の中にスリーブ構成要素を配置するステップを含むように変更される。本発明のシステムの特徴及び方法により、スリーブ構成要素を大腿骨内に配置してもトライアルを行うことができる。先端側ステム構成要素と同様に、スリーブ構成要素は、骨の孔の中に実質的に永久的に固定することができ、また取り外し可能に大腿骨に配置することもできる。好適な態様では、骨の孔の中のスリーブ構成要素に対して基端側本体組立体の回転角を表示できる。

本発明は更に、トライアルに容易に用いることができるモジュラー股関節置換システム用の先端側ステム構成要素を含む。この先端側ステム構成要素は、大腿骨の準備した孔の中に固定するように構成された湾曲した骨係合部分を含む。先端側ステム構成要素の基端部分は、股関節置換システムの基端側モジュラー構成要素に係合するように構成された係合部分を画定している。更に、この基端部分は、骨係合部分（または大腿骨自体）の湾曲した平面に対して所定の角度で配置されるロケーター構造を画定している。ロケーター構造は、大腿骨の外部からアクセスできる基端側部分上に配置され、たとえ大腿骨の準備した孔の中に配置されていても骨係合部分の空間的な向きを遠隔表示するために用いることができる。

好適な態様では、ロケーター構造は、所定の角度に沿って延在する軸に沿って細長い。より詳細的な態様では、ロケーター構造は、先端側ステム構成要素の基端部分の露出した端部に画定された実質的に楕円形の凹部である。凹部は、円、六角形、及び八角形などの回転同一体でなければ、他の様々な構造にすることができる。言い換えれば、ロケーター構造はアライメント器具に係合して、孔に対する先端側構成要素の回転角を実質的に確実に遠隔表示できなければならない。楕円形の凹部が、骨係合部分の湾曲した平面に実質的に直交する軸に沿って配置されるのが好ましい。

本発明のある態様では、先端側ステム構成要素の係合部分はねじを含む。適切な前傾回転角が得られたら、このねじをナットに螺合させて、基端側トライアル本体組立体を先端側ステム構成要素に固定する。加えて、このねじを、モジュラー股関節置換システムの最終的な固定の一部として用いることができる。

先端側ステム構成要素はまた、その基端部に画定された互いに反対を向いた平坦部を含み得る。これらの平坦部は、基端側トライアル本体組立体の第２の構成要素の相補的な内側平坦部に係合して、第２の構成要素を先端側ステム構成要素に実質的に互いに回動できないように固定する。従って、この第２の構成要素は、基端側トライアル本体組立体が先端側構成要素に取り付けられたら、先端側ステム構成要素に対して回動できない。トライアル本体組立体は、最終的なインプラント組立体のスリーブ構成要素に係合するように構成された第３の構成要素を含む。この第３の構成要素は、第２の構成要素の周りを回動するように取り付けられ、基端側トライアル本体組立体が先端側ステム構成要素及びスリーブ構成要素と一体化するのを容易にする。

先端側ステム構成要素は、モジュラー股関節置換システムの大腿骨構成要素の前傾回転角を決定するためのトライアルシステムの一部を構成し得る。トライアルシステムは、第１の孔を画定している第１の構成要素を含む。この第１の孔は、先端側ステム構成要素の基端部分の少なくとも一部を受容し、かつステムロケーター構造にアクセスできるようにする。第１の構成要素は、先端側ステム構成要素に対して、先端側ステム構成要素の基端部分の長手方向の軸を中心に回動可能である。第１の構成要素はまた、大腿骨の準備した孔の外部からアクセス可能なステムロケーター構造から独立したトライアルロケーター構造を画定し得る。上記したように、第１の構成要素はまた、モジュラー股関節置換システムのネック構成要素として構成された部分を含み得る。

基端側トライアル本体組立体はまた、第２の孔を画定する第２の構成要素を含む。この第２の孔は、その中を先端側ステム構成要素の基端部分が通って、先端側ステム構成要素上に第２の構成要素が取り付けられるように構成されている。第１の構成要素を先端側ステム構成要素に対して回動させた後に、第１の構成要素と第２の構成要素を固定するべく、第１の構成要素と第２の構成要素の噛合が画定されている。この噛合は、互いに相補的な径方向のスプライン表面の形であるのが好ましい。この噛合では、前傾角を決定するときに２つの構成要素間の相対的な回動が可能である。スプラインにより、第１の構成要素が回動するときに角度の増加でクリック音が生成される。

適切な前傾角に到達したら、噛合させて２つの構成要素を固定する。基端側本体組立体の回動が互いに固定されているため、ステムロケーター構造及びトライアルロケーター構造を外部から見て、大腿骨構成要素の前傾回転角を示す先端側ステム構成要素に対する第１の構成要素の相対的な角度位置を決定できる。

本発明の実施態様は以下の通りである。
（Ａ）
大腿骨構成要素の前傾回転角を決定するためにモジュラー股関節置換システムを試用する方法であって、
先端側ステム構成要素を大腿骨の準備された孔の中に配置するステップであって、前記先端側ステム構成要素が、前記準備した孔の中に実質的に永久的に固定するように構成されており、ステムロケーター構造を画定する基端部分を有している、前記ステップと、
基端側トライアル組立体を前記先端側ステム構成要素の前記基端部分に一時的に取り付けるステップであって、前記トライアル組立体が、前記先端側ステム構成要素のロケーター凹部にアクセスするための貫通孔を有しており、前記基端側トライアル組立体が、前記先端側ステム構成要素に対して、前記先端側ステム構成要素の前記基端部分の長手方向の軸を中心に回動可能な第１の構成要素を有しており、前記第１の構成要素が、前記ステムロケーター構造から独立したトライアルロケーター構造を画定しており、前記第１の構成要素が、トライアルネックとして構成された部分を有する、前記ステップと、
前記基端側トライアル組立体の前記第１の構成要素を、前記大腿骨内において回転位置が維持された状態の前記先端側ステム構成要素に対して回動させて、前記トライアルネック部分を前記大腿骨に対して許容できる前傾回転角に合わせるステップと、
ある器具に前記大腿骨に対する前記トライアルネック部分の前記前傾回転角のリファレンスを付けるステップとを含むことを特徴とする方法。
（１）更に、前記前傾回転角のリファレンスが付けられた前記器具を用いて、前記大腿骨に対する前記前傾回転角で前記関節置換システムの基端側ネック構成要素を配置するステップを含み、前記ネック構成要素が、前記大腿骨内の前記先端側ステム構成要素上に実質的に永久的に取り付けられるように形成されていることを特徴とする実施態様（Ａ）に記載のモジュラー股関節置換システムを試用する方法。
（２）更に、前傾回転角を器具が表すようする前記ステップの前に、前記先端側ステム構成要素に対して前記第１の構成要素を一時的に固定するステップを含むことを特徴とする実施態様（Ａ）に記載のモジュラー股関節置換システムを試用する方法。
（３）前記先端側ステム構成要素を前記準備した孔の中に配置する前記ステップが、前記先端側ステム構成要素を前記孔の中に実質的に永久的に移植することを含むことを特徴とする実施態様（Ａ）に記載のモジュラー股関節置換システムを試用する方法。
（４）更に、基端側トライアル組立体を一時的に取り付ける前記ステップの前に、前記関節置換システムのスリーブ構成要素を前記準備した孔の中に配置して、前記先端側ステム構成要素の前記基端部が前記スリーブ内を貫通するようにするステップを含み、前記スリーブが、前記大腿骨の前記準備した孔の中に実質的に永久的に固定されるように形成されていることを特徴とする実施態様（Ａ）に記載のモジュラー股関節置換システムを試用する方法。
（５）前記基端側トライアル組立体が、前記第１の構成要素に対して回動可能な第２の構成要素を有しており、前記基端側トライアル組立体を一時的に取り付ける前記ステップが、前記スリーブ構成要素に対する前記第２の構成要素の回動を示すことを含むことを特徴とする実施態様（４）に記載のモジュラー股関節置換システムを試用する方法。

（Ｂ）
モジュラー股関節置換システムのための先端側ステム構成要素であって、
大腿骨の準備した孔の中に固定するように構成された湾曲した骨係合部分と、
前記骨係合部分に連結された基端側部分とを含み、
前記基端側部分が、前記股関節置換システムの基端側モジュラー構成要素と係合するように構成された係合部分を画定しており、更に前記骨係合部分の湾曲した平面に対して所定の角度方向にロケーター構造を画定しており、
前記ロケーター構造が、前記大腿骨の外部からアクセスできるように前記基端部分に配置されており、かつ前記基端側部分が前記大腿骨の前記準備された孔の中に配置されたときに前記骨係合部分の空間的向きを表示するように構成されていることを特徴とする先端側ステム構成要素。
（６）前記ロケーター構造が、前記所定の角度方向に沿って延在する軸に沿って細長いことを特徴とする実施態様（Ｂ）に記載の先端側ステム構成要素。
（７）前記ロケーター構造が実質的に楕円形の凹部であることを特徴とする実施態様（６）に記載の先端側ステム構成要素。
（８）前記所定の角度方向が、前記骨係合部分の前記湾曲した平面に対して実質的に直交していることを特徴とする実施態様（Ｂ）に記載の先端側ステム構成要素。
（９）前記係合部分がねじを含むことを特徴とする実施態様（Ｂ）に記載の先端側ステム構成要素。
（１０）前記先端側ステム部分が互いに反対を向いた平坦部を含むことを特徴とする実施態様（Ｂ）に記載の先端側ステム構成要素。

（１１）前記平坦部のそれぞれが、前記骨係合部分の前記湾曲した平面に対して実質的に直交していることを特徴とする実施態様（１０）に記載の先端側ステム構成要素。
（Ｃ）
モジュラー股関節置換システムの大腿骨構成要素の前傾回転角を決定するためのトライアルシステムであって、先端側ステム構成要素と、基端側トライアル組立体とを含み、
前記先端側ステム構成要素が、準備した孔の中に実質的に永久的に固定するように構成された骨係合部分、並びに前記モジュラー股関節置換システムの基端側構成要素と係合するように構成された基端側部分を含み、その基端部が、前記骨係合部分が大腿骨の準備した孔の中に配置された時にその空間的方向を表す、前記大腿骨の外側からアクセスすることができるステムロケーター構造を画定しており、
前記基端側トライアル組立体が、第１の構成要素及び第２の構成要素を含み、
前記第１の構成要素が、前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分の少なくとも一部を受容し、かつ前記ステムロケーター構造にアクセスできるようにする第１の孔を画定しており、更に前記第１の構成要素が、前記先端側ステム構成要素に対して、前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分の長手方向の軸を中心に回動可能であり、更に前記第１の構成要素が、前記ステムロケーター構造から独立した、前記大腿骨の前記準備した孔の外からアクセス可能なトライアルロケーター構造を画定しており、更に前記第１の構成要素が、前記モジュラー股関節置換システムのトライアルネック構成要素として構成された部分を有しており、
前記第２の構成要素が第２の孔を画定しており、その第２の孔が、その中を前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分が通って前記先端側ステム構成要素上に前記第２の構成要素が取り付けられるように構成されており、
前記第１の構成要素を前記先端側ステム構成要素に対して回動させた後に、前記第１の構成要素と前記第２の構成要素とを固定するべく、前記第１の構成要素と前記第２の構成要素との噛合が画定されており、
前記ステムロケーター構造と前記トライアルロケーター構造とを外部から見て、前記大腿骨構成要素の前記前傾回転角を示す前記先端側ステム構成要素に対する前記第１の構成要素の相対的な角度を決定できるようになっていることを特徴とするトライアルシステム。
（１２）前記噛合が、前記第１の構成要素上に画定された径方向のスプラインと前記第２の構成要素上に画定された径方向のスプラインとの噛合を含むことを特徴とする実施態様（Ｃ）に記載のトライアルシステム。
（１３）前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分及び前記第２の構成要素の前記第２の孔が、前記先端側ステム構成要素と前記基端側トライアル組立体の前記第２の構成要素とが互いに回動しないように構成されていることを特徴とする実施態様（Ｃ）に記載のトライアルシステム。
（１４）前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分が互いに反対側を向いた外側平坦部を含み、前記第２の孔が前記外側平坦部に一致する互いに反対側を向いた内側平坦部を含むことを特徴とする実施態様（１３）に記載のトライアルシステム。
（１５）前記先端側ステム構成要素の前記骨係合部分が湾曲した平面に沿って湾曲しており、前記ステムロケーター構造が、前記湾曲した平面に対して所定の角度に向いていることを特徴とする実施態様（Ｃ）に記載のトライアルシステム。

（１６）前記ステムロケーター構造が、前記所定の角度に沿って延在する軸に沿って細長いことを特徴とする実施態様（１５）に記載のトライアルシステム。
（１７）前記ロケーター構造が、実質的に楕円形の凹部であることを特徴とする実施態様（１６）に記載のトライアルシステム。

本発明の一実施形態に従ったモジュラー股関節置換システムの組立分解図である。 図１のモジュラー股関節置換システムの先端側ステム構成要素の基端側部分の拡大側面図である。 大腿骨の準備した孔の中に配置された、図１に示されているモジュラー股関節置換システムのスリーブ構成要素の側面図である。 本発明の一実施形態に従ったトライアル組立体の構成要素の組立分解図である。 図４に示されているトライアル組立体の基端側スタッドの拡大斜視図である。 図４に示されているトライアル組立体のトライアルステムの側断面図である。 図４に示されているトライアル組立体の基端側本体組立体の側面図である。 図７の線８−８に沿ってその矢印の方向から見た、図７に示されている基端側本体組立体の反対側の側断面図である。 図８に示されている基端側本体組立体の拡大断面図である。 図７に示されている基端側本体組立体の構成要素の組立分解図である。 図７に示されている基端側本体組立体の斜視図である。 図４に示されている基端側本体組立体のトライアルネック構成要素及びナットの斜視図である。 図７に示されている基端側本体組立体のナットの側面図である。 図１３の線１４−１４に沿ってその矢印の方向から見た、図１３に示されているナットの断面図である。 大腿骨の準備した孔の中に配置された図４に示されているトライアル組立体の側面図である。 本発明のトライアルシステムと共に使用するアライメント基部の斜視図である。 図１６に示されているアライメント基部のロケーター先端部に嵌合する先端側ステムの基端部の斜視図である。 図４に示されているトライアル組立体の代替の基端側本体組立体の側面図である。

符号の説明

１０ モジュラー大腿骨プロテーゼ
１２ 基端側ネック構成要素
１４ スリーブ構成要素
１６ ヘッド構成要素
１８ 先端側ステム構成要素
２０ 基端側ネック構成要素本体
２４ 基端側ネック構成要素のポスト
２６ 貫通孔
２８ 先端側ステム構成要素のポスト
３０ ノッチ
３２ テーパシャンク
３４ ねじ部分
３５ ロケーター構造
３６ 環状ショルダー
３８ 平坦部
５０ トライアル組立体
５２ トライアルステム
５４ 先端側ステム
５６ 基端側スタッド
６０ 基端側本体組立体
６２ トライアルネック構成要素
６４ ナット
７３ 円柱状本体
７４ 環状ショルダー
７６ ねじ部分
７７ 平坦部
８０ ロケーター凹部
９０ テーパ構成要素
９４ キー付き構成要素
９８ 内側平坦部
１００ 基端側リング
１０６ キー付き噛み合い構成要素
１０７，１２４ 噛合面
１２６ 凹部
１３０ アライメント器具
１３２ アーム
１３３ アライメント器具本体
１３４ アライメント軸

Claims (12)

1. モジュラー股関節置換システムのための先端側ステム構成要素であって、
   大腿骨の準備した孔の中に固定するように構成された湾曲した骨係合部分と、
   一方の端部において前記骨係合部分に連結され、前記股関節置換システムの基端側モジュラー構成要素と係合するように構成された係合部分を画定している基端側部分とを有し、
   前記基端側部分は、前記基端側部分の他方の端部に位置し、かつ前記骨係合部分の湾曲した平面に対して直交する軸に沿って細長いロケーター構造を画定しており、
   前記ロケーター構造が、前記基端側モジュラー構成要素を前記先端側ステム構成要素に対する適切な角度に配置するために用いるアライメント器具に回転可能に配置されたアライメント軸の先端部分と嵌合するように構成されており、
   前記ロケーター構造が、前記大腿骨の外部からアクセスできるように前記基端側部分に配置されていることを特徴とする先端側ステム構成要素。
2. 前記ロケーター構造が楕円形の凹部であることを特徴とする請求項１に記載の先端側ステム構成要素。
3. 前記骨係合部分がねじを含むことを特徴とする請求項１または２に記載の先端側ステム構成要素。
4. 前記先端側ステム構成要素が互いに反対を向いた平坦部を含むことを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の先端側ステム構成要素。
5. 前記平坦部のそれぞれが、前記骨係合部分の前記湾曲した平面に対して直交する表面を画定していることを特徴とする請求項４に記載の先端側ステム構成要素。
6. モジュラー股関節置換システムの大腿骨構成要素の前傾回転角を決定するためのトライアルシステムであって、
   （A）先端側ステム構成要素であって、準備した孔の中に永久的に固定するように構成された骨係合部分、並びに前記モジュラー股関節置換システムの基端側構成要素と係合するように構成された基端側部分を含み、前記基端側部分は、前記骨係合部分の湾曲した平面に対して直交する軸に沿って細長いステムロケーター構造を画定しており、前記ステムロケーター構造は、前記モジュラー股関節置換システムの基端側構成要素を前記先端側ステム構成要素に対する適切な角度に配置するために用いるアライメント器具に回転可能に配置されたアライメント軸の先端部分と嵌合するように構成されており、前記ステムロケーター構造は、前記骨係合部分が大腿骨の前記準備した孔の中に配置された時に、前記骨係合部分の空間的方向を表すために、前記大腿骨の外側からアクセスすることができる、先端側ステム構成要素と、
   （B）基端側トライアル組立体であって、
   （ａ）前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分の少なくとも一部を受容し、かつ前記ステムロケーター構造にアクセスできるようにする第１の孔を画定している第１の構成要素であって、前記第１の構成要素が、前記先端側ステム構成要素に対して、前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分の長手方向の軸を中心に回動可能であり、更に前記第１の構成要素が、前記ステムロケーター構造から独立した、前記大腿骨の前記準備した孔の外からアクセス可能なトライアルロケーター構造を画定しており、更に前記第１の構成要素が、前記モジュラー股関節置換システムのトライアルネック構成要素として構成された部分を有している第１の構成要素と、
   （ｂ）第２の孔を画定している第２の構成要素であって、前記第２の孔が、前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分が通って前記先端側ステム構成要素上に前記第２の構成要素が取り付けられるように構成されている第２の構成要素と、
   （ｃ）前記第１の構成要素を前記先端側ステム構成要素に対して回動させた後に、前記第１の構成要素と前記第２の構成要素とを固定するように、前記第１の構成要素と前記第２の構成要素との間で画定された噛合せ係合とを含んでいる基端側トライアル組立体
   とを備えていることを特徴とするトライアルシステム。
7. 前記噛合せ係合が、前記第１の構成要素上に画定された径方向のスプラインと前記第２の構成要素上に画定された径方向のスプラインとの噛合を含むことを特徴とする請求項６に記載のトライアルシステム。
8. 前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分及び前記第２の構成要素の前記第２の孔は、前記先端側ステム構成要素と前記基端側トライアル組立体の前記第２の構成要素とが互いに回動しないように構成されていることを特徴とする請求項６または７に記載のトライアルシステム。
9. 前記先端側ステム構成要素の前記基端側部分が互いに反対側を向いた外側平坦部を含み、前記第２の孔が前記外側平坦部に一致する互いに反対側を向いた内側平坦部を含むことを特徴とする請求項８に記載のトライアルシステム。
10. 前記ステムロケーター構造が、楕円形の凹部であることを特徴とする請求項６から９のいずれか一つに記載のトライアルシステム。
11. さらに、前記トライアルネック構成要素と前記先端側ステム構成要素との間の角度関係を調べるためのアライメント器具を有する、請求項６から１０のいずれか一つに記載のトライアルシステム。
12. 前記アライメント器具は、本体と、前記本体の孔部内に回転可能に配置されたアライメント軸と、前記本体に保持された一対のアームを含んでおり、前記一対のアームは、前記トライアルネック構成要素を間に受容し係合するために、それぞれ別々に動くことが可能であることを特徴とする、請求項１１に記載のトライアルシステム。

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