JP4423394B2 - 新規糖鎖認識蛋白質及びその遺伝子 - Google Patents

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本発明は、糖鎖認識機能を有する新規蛋白質及び該蛋白質の一部と免疫グロブリンのFc部分とが結合した融合蛋白質、これを使用した糖鎖表出細胞及び組織の検出試薬、上記蛋白質をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組み換えベクター、及び該組換えベクターにより形質転換された形質転換体、並びに上記蛋白質を特異的に認識する抗体及び該抗体を使用した上記蛋白質表出細胞及び組織の検出試薬に関する。
シグレックファミリーは免疫グロブリンスーパーファミリーに属するI型膜貫通タンパク質の一群であり、シアル酸を含む各種糖鎖構造を特異的に認識するレクチン活性を有する(非特許文献1)。シグレックファミリーに属する分子はそのほとんどが細胞外領域でシアル酸を含む糖鎖と結合すること、また細胞内領域でシグナル伝達分子と結合してシグナル伝達に関与することが知られている。
一方、細胞の正常分化、癌性変化や免疫疾患などに伴って細胞表面の糖鎖構造が変化することが知られており、これらの変化を検出するものには、糖鎖を認識する抗体がよく用いられている(特許文献1)。また、このような抗体以外の、ヒト細胞あるいは組織に発現する糖鎖構造を特異的に認識する蛋白質も、ガン細胞等の検出や抗体医療に類するドラッグデリバリーに有用であると考えられている(特許文献2、特許文献3)。しかし、従来知られている、シグレックファミリーの蛋白質は糖鎖検出感度が十分でない場合が多い。
一方、例えば、シグレック2(別名CD22)、シグレック3(別名CD33)等のシグレックファミリーに属する蛋白質は、抗体医療の標的として有用であることが知られている(非特許文献2、非特許文献3)。また、シグレック5に関しても、骨髄性白血病細胞の検出に有用である事が報告されている(非特許文献4)。しかしながら一次配列上の相似性から抗シグレック抗体には他のシグレックと交差反応を示す物が少なからずあり、それぞれを特異的に認識する抗体の作出が望まれる。
また、従来知られているシグレックは細胞質に免疫受容体チロシン含有抑制モチーフ(ITIM)を有する物がほとんどであり、抗体を用いたシグレックの架橋は細胞に負のシグナルを伝達すると考えられている(非特許文献5、非特許文献6)。ITIMを持たないシグレックが存在すれば、これを抗体等で架橋する事により従来のシグレックとは異なる効果、例えば免疫細胞の活性化をもたらす事ができると期待される。

特許公開平8-67700号公報 特許公開2004-244411号公報 特許公開2003-246799号公報 Biochim Biophys Acta., 1572(2-3), 294-316(2002) N Engl J Med. 345(4), 241-247(2001) Blood 97(10), 3197-3204(2001) Br J Haematol 123(3), 420-430(2003) Proc Natl Acad Sci U S A. 98(10), 5764-5769(2001) Blood 101(12), 5014-5020(2003)
本発明の課題は、上記従来技術の状況に鑑み、糖鎖構造特異的に認識するシグレックファミリーに属する新規蛋白質及びその遺伝子を提供するとともに、該新規蛋白質を遺伝子工学的手法を用いて大量生産し、ガン細胞等の糖鎖発現細胞あるいは組織を検出するための手段を、効率的に提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、本発明者等は鋭意研究の結果、新たなシグレックファミリーに属する蛋白質の遺伝子を見いだし、該蛋白質を該遺伝子工学的手法を用いて製造し、その糖鎖認識能を検定した。その結果、該蛋白質は、ITIMを有していない点で特徴的であり、また極めて良好な糖鎖認識能を有し、ガン細胞等の糖鎖発現細胞あるいは組織を検出するための有用な手段となり得ることを確信し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列における26〜326番目のアミノ酸配列からなることを特徴とする、糖鎖認識機能を有する蛋白質。
(2)上記(1)に記載の蛋白質をコードする遺伝子。
(3)配列番号1に示される塩基配列における76〜978番目の塩基配列をからなることを特徴とする、上記(2)に記載の遺伝子。
(4)上記(2)または(3)に記載の遺伝子が導入された組換えベクター。
(5)ベクターに抗体のFc部分をコードする遺伝子が導入されていることを特徴とする上記(4)に記載の組み換えベクター。
(6)上記(4)または(5)に記載の組み換えベクターにより形質転換された形質転換体。
(7)上記(1)に記載の蛋白質に、抗体のFc部分が付加された融合蛋白質。
(8)上記(1)及び(7)に記載の蛋白質を含有する、糖鎖表出細胞または組織の検出試薬。
本発明によれば、遺伝子工学的手法により、シグレックファミリーに属する、糖鎖認識機能に優れた新規蛋白質を大量生産が可能となる。該蛋白質は、糖鎖として、各種シアル酸含有糖鎖、特にNeu5Acα2-6GalNAcα1-(sialyl Tn)およびNeu5Acα2-8Neu5Acα2-(disialic acid)に対する結合性が特に優れており、大腸がんや乳がん、神経芽腫等の検出ないし予後の予測に有用であると考えられる。
該蛋白質に対する抗体は、特に骨髄球系の白血病細胞等と特異的に結合することが予想され、白血病等の診断薬及び治療薬としても極めて有望である。
また、該蛋白質の正常白血球における発現が推定されることから、上記抗体は、該タンパク質を架橋することを通じて免疫抑制ないし免疫賦活化等を行う免疫調節手段としての利用可能性がある。
本発明の糖鎖認識蛋白質は、既知の糖鎖認識蛋白質シグレック5と部分的に99%以上の相同性を示すが、これらの遺伝子は、染色体上の所在が異なり、また糖鎖に対する結合活性が異なり別蛋白質である。そこで、本発明者はこの新規な蛋白質をシグレック14と命名した。以下の説明においては、本発明の新規シグレック蛋白質あるいはその類縁蛋白質及びそれらの遺伝子を、シグレック14蛋白質及びシグレック14遺伝子という場合がある。
全長シグレック14遺伝子の塩基配列は、配列表の配列番号1に示され、対応する蛋白質のアミノ酸配列は、同配列番号2に示される。
該蛋白質は、シグナルペプタイド部分(配列番号2で示されるアミノ酸配列における1〜17番目)及び成熟蛋白質部分(同18〜396番目)からなる。成熟タンパク質は細胞外領域(アミノ酸番号18〜358番目)、膜貫通領域(同359〜381番目)、及び細胞内領域(同382〜396番目)に分けられる。細胞外領域には免疫グロブリン様領域が3つ含まれている(それぞれ、同26〜140番目,149〜233番目,265〜326番目)。

本発明のシグレッック14蛋白質とは、直接的には配列番号2に示されるアミノ酸配列からシグナルペプタイド部分が削除された成熟蛋白質(配列番号2のアミノ酸配列のうち18〜396番目のアミノ酸配列を有する蛋白質)を指すが、本発明においては、これに限らず、配列番号2に示される、シグナルペプタイドが付加された全長蛋白質、あるいは、さらに、糖鎖を認識する機能的領域である1番目の免疫グロブリン様領域(同26〜140番目)のアミノ酸配列を少なくとも有する蛋白質、乃至上記3つの免疫グロブリン領域を含む領域(同26〜326番目)のアミノ酸配列を有する蛋白質も包含する。これらのアミノ酸配列を含む、細胞外領域(同18〜358番目)のみあるいはその部分配列を有する蛋白質は可溶性である。
また、これら蛋白質のアミノ酸配列において、少なくとも1つ、具体的には1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有するものであっても、糖鎖認識機能を有するものである限り、これらタンパク質も含む。
また、本発明のシグレック14遺伝子は、これら蛋白質をコードするDNAであればよく、より具体的には、少なくとも配列番号1で示される塩基配列を有する、シグナルペプタイドに対応する塩基配列を含むDNA、配列番号1に示される塩基配列における52〜1188番目の塩基配列を有し、成熟蛋白質に対応する塩基配列を有するDNA、配列番号1に示される塩基配列における76〜978番目の塩基配列を有するDNA、または配列番号1に示される塩基配列における76〜420番目の塩基配列を有するDNAである。
さらに、これら塩基配列において、少なくとも1つの、具体的には1乃至数個のヌクレオチドが欠失、置換または付加された塩基配列を有するものであっても、糖鎖認識機能を有するタンパク質をコードするものであれば、これらDNAを含む。
本発明においては、シグレック14遺伝子を用いて以下に示す遺伝子工学的手段により、シグレック14蛋白質を得ることができる。
(1) シグレック14遺伝子の取得
本発明者らは、米国IMAGEコンソーシアムの作製したcDNAクローン(IMAGEコンソーシアムによるクローンID番号5756894)中に、本発明のシグレック14遺伝子が含まれていることを見いだしている。したがって該クローンを、OpenBiosystems社(米国・アラバマ州)ないし同様にIMAGEコンソーシアムよりクローンの頒布を委任されている組織(例えばInvitrogen社、American Type Culture Collectionなど)から購入し、本発明のシグレック14遺伝子の塩基配列部分を切りだすか、あるいは該クローンをテンプレートとして、本発明により明らかになったシグレック14遺伝子のcDNA配列情報に基づき適当な一本鎖オリゴDNAからなるプライマー対を設計し、PCRを行うことによりシグレック14遺伝子を得ることができる。またこのプライマー対を用い、例えばヒト骨髄由来の全RNAないしメッセンジャーRNAをテンプレートに、逆転写PCRを行うことによっても同cDNAを得ることができる。しかし、本発明により上記IMAGEクローン中のシグレック14遺伝子の配列が既に確認されている事から、上記のIMAGEクローンを入手する方が簡便である。
(2)組み換えベクターの作成
上記cDNAクローンの塩基配列を常法により確認した後、同プラスミドをテンプレートに用いて、目的とするコード領域を適当なプライマーを用いてPCRにより増幅する。
この際、全長タンパク質を組み替え体タンパク質として発現するためのベクターを作成する場合には配列番号4及び配列番号5で示されるオリゴDNAをプライマーに用いるのが望ましい。例えば、シグレック14全長蛋白質のうち、上記3つの免疫グロブリン領域(配列番号2の26〜326番目)を含む可溶性蛋白質を得るために、分泌型組み替え体タンパク質として発現するためのベクターを作成する場合には配列番号4及び配列番号6で示されるオリゴDNAをプライマーに用いることができる。なお、これらプライマーを用いてPCRにより得られるDNAは、シグナルペプタイド部分を含む同1〜342番目のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する。
PCRで得られた断片を適当な制限酵素で処理した後、適当な制限酵素で処理したベクターにライゲーションする。この際ベクターは全長タンパク質を発現する場合にはpIRESneo3(Clontech社)やpCI Mammalian Expression Vector(Promega社)、pcDNA3.1(Invitrogen社)等のプラスミドが使用可能であるが、使用可能な制限酵素サイトの数が多く、薬物選択が可能で、かつ強力なプロモーターを有するpcDNA3.1を使用する事が好ましい。細胞外領域のみを分泌型組み替え体タンパク質として発現する場合にはp3XFLAG-CMV-13(シグマ)やEK-Fc/pcDNA(自家製)等が利用できるが、得られた組み替え体タンパク質の検出を容易にするFLAGタグをコードする部分、及び固相化プロテインA(例えばプロテインAアガロース)を用いた精製を容易にするヒト免疫グロブリンG(IgG)のFc領域をコードする部分を含むEK-Fc/pcDNAを用いる事が好ましい。
ライゲーションしたプラスミドを用いて大腸菌をトランスフォームし、薬物選択を行って目的のプラスミドを持つクローンを単離する。得られたプラスミドの配列を確認し、哺乳動物細胞の形質転換に適した品質のプラスミドの大量調製を行う。
(3)形質転換体の作製
上記で調製した組み替えベクターをリポフェクション法、リン酸カルシウム法等を用いて哺乳動物由来の培養細胞に導入する。この際宿主細胞についてはCOS細胞、CHO細胞、HEK293細胞などが利用できる。細胞外領域のみを分泌型の組み替え体タンパク質として発現する場合は、組み換えタンパク質の発現量が高いHEK293細胞ないしそれ由来の亜株を使用する事が好ましい。
(4)形質転換体の培養及びシグレック14蛋白質の取得
得られた形質転換体を哺乳動物細胞に適した培地を用いて培養し、上清を集め、組み替えタンパク質を精製する。例えばHEK293細胞を用いて形質転換体を作成した場合には10%のウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)や2%の低IgGウシ胎児血清(HyClone社)を含むOpti-MEM培地(Invitrogen社)などが使用可能であるが、精製の際にウシ胎児血清由来のIgGの混入が少ない事から2%の低IgGウシ胎児血清を含むOpti-MEM培地を使用する事が好ましい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(1) シグレック14遺伝子の取得
米国IMAGEコンソーシアムの作製したcDNAクローン(IMAGEコンソーシアムによるクローンID番号5756894)をOpenBiosystems社(米国・アラバマ州)から購入した。液体培養により大腸菌を培養し、得られた菌体からQiaprep Spin Miniprep Kit(Qiagen社)を用いてプラスミドを調製した。なお、該クローンのインサート全長配列は、配列番号3に示される。
同プラスミドの挿入断片の配列はジデオキシターミネーター法を用い、常法に従って解析した。具体的には適当な一本鎖オリゴDNAをプライマーに用い、CEQ DTCS Quick Start Kit(ベックマンコールター社)を用いて試薬及び機器の取扱説明書通りにサイクルシークエンシングを行ってDNA断片を末端蛍光ラベルし、CEQ8000(ベックマンコールター社)を用いて解析した。得られた部分配列を相互の重複をもとにアセンブルし、挿入断片は配列番号1に示した全長cDNA配列を有することを確認した。
(2)組み換えベクターの作成
a.シグレック14の全長タンパク質の発現に用いる組み換えベクターの作成は以下のように行った。
まず、シグレック14の全長cDNAを含む上記のプラスミドをテンプレートに用いてPCRを行った。プライマーには配列番号4及び配列番号5に示す一本鎖オリゴDNAを用い、DNAポリメラーゼにはPhusion(Finnzymes社)を用いた。反応液組成は酵素の取扱説明書の指示に従い、反応は98℃10秒、60℃30秒、72℃1分のサイクルを20サイクル行った。
反応生成物をアガロースゲル電気泳動で分離し、目的の生成物(1214bp)をQIAQuick Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて抽出した。得られた断片を制限酵素XbaI及びHindIIIで消化し、QIAQuick PCR Purification kit(Qiagen社)で精製した。
一方ベクターとしてpcDNA3.1(-)(Invitrogen社)をXbaI及びHindIIIで消化し、アガロースゲル電気泳動で精製し、QIAQuick Gel Extraction kitで抽出した。
両者をライゲーションし、大腸菌をトランスフォームし、得られたコロニーを単離し、常法に従ってプラスミドを調製した。得られたプラスミドをシグレック14/pcDNAと名付けた。得られたプラスミドの挿入配列は常法に従って決定した。該配列は所定の配列と一致した。
b.シグレック14全長蛋白質のうち、上記3つの免疫グロブリン領域(配列番号2の26〜326番目)を含む蛋白質とヒトIgGの定常(Fc)領域が結合した可溶性の融合タンパク質の発現に用いる組み換えベクターの作成は以下のように行った。
まずシグレック14の全長cDNAを含む上記のプラスミドをテンプレートに用いてPCRを行った。プライマーには配列番号4及び配列番号6に示す一本鎖オリゴDNAを用い、DNAポリメラーゼにはPfu DNA polymerase(Stratagene社)を用いた。反応液組成は酵素の取扱説明書の指示に従い、反応は95℃30秒、60℃30秒、72℃1分30秒のサイクルを15サイクル行った。
反応生成物をアガロースゲル電気泳動で分離し、目的の生成物(1044bp)をQIAEx II Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて抽出した。得られたDNA断片を制限酵素XbaIで消化し、QIAEx II Gel Extraction kit(Qiagen社)を用いて抽出した。得られたDNA断片の塩基配列は、配列表の配列番号1における1〜1026番目の塩基配列を有する(配列番号2のアミノ酸配列1〜342に対応。)
一方ベクターとしてEK-Fc/pcDNAを制限酵素XbaI及びEcoRVで消化し、アガロースゲル電気泳動で精製し、QIAEx II Gel Extraction kit(Qiagen社)を用いて抽出した。EK-Fc/pcDNAはpcDNA3.1(-)(Invitrogen社)のEcoRVとEcoRIサイトの間にFLAGタグ/エンテロキナーゼ認識配列をコードする領域及びヒトIgG1のヒンジ領域からC末端までをコードするゲノム由来DNA断片を含むベクターであり、FLAGタグ/エンテロキナーゼ認識配列をコードする領域の5’上流に読み枠が合うようにcDNA断片を挿入する事により、挿入したcDNA断片由来のポリペプチドとFLAGタグ/エンテロキナーゼ認識配列、ヒトIgGのヒンジ領域及びFc領域が融合された可溶性タンパク質を発現するためのコンストラクトを得ることができる。
両者をライゲーションし、大腸菌をトランスフォームし、得られたコロニーを単離し、常法に従ってプラスミドを調製した。得られたプラスミドをシグレック14-EK-Fc/pcDNAと名付けた。得られたプラスミドの挿入配列を常法に従って決定した。
該配列は所定の配列と一致した。
(3)形質転換体の培養及びシグレック14蛋白質の取得
リポフェクトアミン2000(Invitrogen社)を用い、試薬の取扱説明書に従ってHEK293細胞にシグレック14-EK-Fc/pcDNAをトランスフェクトした。
翌日、2%の低IgGウシ胎児血清(HyClone社)を含むOpti-MEM(Invitrogen社)に培地を交換し、3日間培養を行い、培養上清を回収した。新鮮な2%の低IgGウシ胎児血清を含むOpti-MEMを加え、さらに3日間培養を行い、培養上清を回収した。
回収した培養上清2回分を併せて遠心操作により細胞由来の固形物と分離し、得られた上清に1/50容の1M トリス塩酸バッファー(pH8.0)を加え、さらにプロテインA-セファロース(Amersham Biosecience社)を加え、組み換えシグレック14-IgG Fc融合タンパク質を4℃で一夜吸着させた。
プロテインA-セファロースビーズをプラスチックカラム(Poly-Prep、Bio-Rad社)に充填し、ビーズの20倍容の20mM トリス塩酸バッファー (pH8.0), 150mM塩化ナトリウムでビーズを洗った。
組み替えタンパク質をビーズに吸着させたままシアリダーゼ(Arthrobacter ureafaciensノイラミニダーゼ、ナカライテスク社)で37℃、30分処理した(ビーズ1mlあたりシアリダーゼ1単位使用)。この操作は組み換え体タンパク質の糖鎖認識能を調べる際には行う事が望ましいが、その他の目的に用いる際には省略しても良い。この後ビーズを20倍容の20mMトリス塩酸バッファー(pH8.0), 150mM 塩化ナトリウムで洗った。
さらにビーズを20倍容の0.1M クエン酸ナトリウムバッファー(pH5.8)で洗った後、 ビーズの20倍容の0.1Mグリシン塩酸バッファー(pH3.0)を用いて組み替えタンパク質を溶出した。溶出液の1/10容の1M トリス塩酸バッファー(pH8.0)を加えて中和し、Amicon Ultra(カットオフ30K)を用いて濃縮した。
(4)シグレック14蛋白質の糖鎖結合性試験
a.全長タンパク質を発現させた細胞の糖鎖結合性試験は以下のように行った。
12ウェルプレート上のCOS-7細胞にリポフェクトアミン2000を用いて、上記(2)a.で得たシグレック14/pcDNAをトランスフェクトした。24時間後、細胞をPBSで洗い、20mM HEPESバッファー(pH 7.0), 140mM塩化ナトリウム, 1mM塩化カルシウム, 1mM塩化マグネシウム中でシアリダーゼ処理(1cm2当り1ミリ単位、37℃、1時間)を行った。一方、ヒト末梢血赤血球を20mM HEPESバッファー(pH 7.0), 140mM塩化ナトリウム中でシアリダーゼ処理(赤血球1mm3当り0.5ミリ単位、37℃、1時間)ないし対照処理(シアリダーゼを含まない液中で37℃、1時間保温)した。COS-7細胞を0.25%ウシ血清アルブミンを含むDMEMで数回洗浄後、上記のようにシアリダーゼ処理ないし対照処理したヒト末梢血赤血球(0.25%ウシ血清アルブミンを含むDMEMに0.5%(v/v)で懸濁)を加え、室温で30分保温した。この後、0.25%ウシ血清アルブミンを含むDMEMで各ウェルを穏やかに3回洗浄することで結合していない赤血球を除き、1%ホルマリンを含むPBSを加えて細胞を固定し、光学顕微鏡下で観察した。
同顕微鏡写真を図1として示す。なお、図1においては、赤血球をシアリダーゼで処理した場合(C、D)、処理しない場合(A,B)を、本発明のシグレック14発現ベクターをCOS-7細胞にトランスフェクトした場合(B,D)と空ベクターをCOS-7細胞にトランスフェクトした場合に分けて示した(A,C)。これによれば、糖鎖を有する、シアリダーゼ処理していない赤血球を使用した場合であって、かつ本発明のシグレック14発現ベクターをトランスフェクトした場合(B)のみに、COS-7細胞の周囲に赤血球が結合していることが分かる。すなわち、発現したシグレック14蛋白質は、赤血球表面の糖鎖を認識することが明らかである。
b.組み換え可溶型Fc融合タンパク質を用いた糖鎖結合性試験は以下のように行った。
96穴プレート(NUNC、カタログ番号269620)にプロテインA(50マイクログラム/ml)を含む0.1M炭酸トリウムバッファー(pH9.5)をウェルあたり100マイクロリットル加え、4℃で終夜静置することによりプロテインAを固相化した。上清を除き、ウェルあたり150マイクロリットルのELISAバッファー(20mM HEPESバッファー(pH7.45), 125mM塩化ナトリウム, 1%ウシ血清アルブミン, 0.01%アジ化ナトリウム)を加え、軽く震盪後、液を除いた。この洗浄操作を2回行った後、各ウェルにELISAバッファーを150マイクロリットル加え、室温で1時間静置した(ブロッキング操作)。液を除き、2マイクログラム/mlの上記(3)で得られたシグレック14-IgG Fc融合タンパク質を含むELISAバッファーをウェルあたり100マイクロリットル加え、室温で2時間静置した(シグレック-Fc融合タンパク質の固相化)。液を除き、ウェルあたり150マイクロリットルのELISAバッファーを用いて3回ウェルを洗浄した。ここに各種オリゴ糖(3‘-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、ジシアル酸、シアリルTn)を各結合したビオチン化ポリアクリルアミド(図中にはオリゴ糖の名称のみを記した。Glycotech社)5マイクログラム/mlを含むELISAバッファーをウェルあたり100マイクロリットル加え、室温で2時間静置した。液を除き、ウェルあたり150マイクロリットルのELISAバッファーを用いて3回ウェルを洗浄した。ここにストレプトアビジンを結合したアルカリ性フォスファターゼ(Jackson ImmunoReserarch社)1マイクログラム/mlを含むELISAバッファーをウェルあたり100マイクロリットル加え、室温で1時間静置した。液を除き、ウェルあたり150マイクロリットルのELISAバッファーを用いて4回ウェルを洗浄した。ここにアルカリ性フォスファターゼ基質である100mM炭酸ナトリウム、10mMパラニトロフェニルリン酸、1mM塩化マグネシウムをウェルあたり100マイクロリットル加え、室温で反応させた。マイクロプレートリーダー(Versamax、Molecular Devices社)を用いて継時的に405ナノメートルでの吸光度を測定し、パラニトロフェニルリン酸の分解産物であるパラニトロフェノールの生成をモニターした。
結果を図2に示す。なお、図2においては、ヒトIgG及びヒトシグレック5を同様に用いた結果も併せて示した。これによれば、本発明のシグレック14-IgG Fc融合タンパク質は、糖鎖結合性に優れ、特にジシアル酸、シアリルTnに対する結合性が高いことが明らかである。
(5)シグレック14mRNA発現パターンの解析
SuperScript II(Invitrogen社)の取扱説明書に従い、ヒト各組織由来total RNA(Clontech社)各0.2マイクログラムからoligo dT(12-18)プライマーを用いてファーストストランドcDNAを合成し、PCRに供した。PCRには配列番号7及び配列番号8に示した一本鎖オリゴDNAをプライマー、ExTaq(タカラ)をDNAポリメラーゼとして用い、酵素の取扱説明書に従って95℃15秒、60℃1分からなるサイクルを35サイクル繰り返した。反応生成物をアガロースゲル電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色して可視化した。結果を図3に示す。これによれば、ヒトシグレック14遺伝子は、骨髄、脾臓、胸腺、胎児肝臓等の造血系の組織及び肺、脊髄で多く発現していることが分かる。
実施例(4)a.において、全長シグレック14発現細胞の赤血球に対する結合性を試験した結果を示す光学顕微鏡写真である。 実施例(4)b.において、シグレック14―Fc融合タンパク質の各種糖鎖に対する結合活性を試験した結果を示すグラフである。 実施例(5)において、各組織のシグレック14mRNA由来のcDNAをPCRにより増幅し、電気泳動後エチジウムブロマイドで染色した写真である。

Claims (8)

  1. 配列番号2に示されるアミノ酸配列における26〜326番目のアミノ酸配列からなることを特徴とする、糖鎖認識機能を有する蛋白質。
  2. 請求項1に記載の蛋白質をコードする遺伝子。
  3. 配列番号1に示される塩基配列における76〜978番目の塩基配列をからなることを特徴とする、請求項2に記載の遺伝子。
  4. 請求項2または3に記載の遺伝子が導入された組換えベクター。
  5. ベクターに抗体のFc部分をコードする遺伝子が導入されていることを特徴とする請求項4に記載の組み換えベクター
  6. 請求項4または5に記載の組み換えベクターにより形質転換された形質転換体。
  7. 請求項1に記載の蛋白質に、抗体のFc部分が付加された融合蛋白質。
  8. 請求項1及び7に記載の蛋白質を含有する、糖鎖表出細胞または組織の検出試薬。
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