JP4423175B2 - 射出成形機の制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Description
この射出成形機には射出ロッド部を制御する制御装置が設けられており、この制御装置では、射出ロッド部がホッパから投入された樹脂材料を溶融するために回転するとともに前進して射出する溶融樹脂を計量する計量工程と、この計量工程で計量した溶融樹脂をノズルからキャビティ内に射出するために計量完了位置から射出ロッドを前進させる射出工程(充填工程)と、射出された溶融樹脂をキャビティ内で保圧するために射出ロッド部を保圧切換位置で所定時間静止させる保圧工程とが、この順番で実行される。これらの工程は繰り返し実行されることで、連続した射出ショットが行われる。
成形品の外観不良を防止するために、射出工程における射出速度及び射出圧力を切り換える多段制御が行われている。この多段制御を行うにあたり、計量完了位置を変更することがあり、この変更に際しては、これに合わせて射出速度及び射出圧力の切換位置も変更される。
従来では、計量完了位置が設定値とずれることがあり、この状態を放置することは成形品の品質低下を招くことにもなるので、それを補正する技術がある。例えば、特許文献1及び特許文献2は、計量完了位置の設定位置と実位置とを比較し、これらの位置にずれがあれば、その差分だけ保圧切換位置を補正し、溶融樹脂の充填量を安定させるものである。
しかしながら、成形品の樹脂充填量を変更する等、計量完了位置を積極的に変更する場合があり、この場合には特許文献1及び特許文献2をそのまま利用することには次の課題がある。
つまり、特許文献1及び特許文献2では、計量ストロークを変更する場合、その変更の都度に射出速度及び射出圧力の切換位置を変更するという煩雑な作業をしなければならず、この作業は設定された射出速度及び射出圧力の切換段数が多いと、その分手間がかかるという課題がある。
さらに、成形サイクルが短い場合、変更するために要する時間が成形サイクルに間に合わないという不都合も生じる。
溶融樹脂を計量したら、射出ロッド部を計量完了位置から前進させて溶融樹脂をノズルからキャビティ内に射出する。この射出工程では、射出速度及び射出圧力の切り換えが行われる。射出ロッド部が前進して射出工程が終了したなら、その前進位置である保圧切換位置で射出ロッド部を所定時間静止させてキャビティ内に射出された溶融樹脂を保圧する。その後、金型を開放操作して成形品を金型から取り出す。さらに、射出ロッド部を後退させて次回の射出ショットの実行に備える。以上の工程を繰り返すことで、射出成形機での射出操作が行われる。
この射出成形機では、成形品の樹脂充填量を変更するために、計量完了位置、つまり、計量ストロークを変更する。この計量ストロークの変更のため、本発明では、変更前と変更後との前記射出ロッド部の計量ストロークの差分を求め、この差分に対応して前記射出速度及び射出圧力の切換位置を補正する。この補正により、保圧切換位置を補正することなく、そのままの位置にし、必要最低限の切換位置のみ変更することになり、キャビティ内への溶融樹脂の充填を簡易な手法で安定させることができる。
この構成の発明では、区間選択部のうち任意の区間を作業者が選択できることで、作業性が向上する。
この構成の発明では、選択した切換位置と、この位置より射出ロッド部の後退側に配置された1又は2以上の切換位置とを、ともに計量ストロークの差分だけずらすことで、射出速度及び射出圧力の補正を行う。
例えば、変更前に対する変更後の計量完了位置を寸法Δだけ射出ロッド部の後退方向にずらす場合では、選択した選択区間及びこれより射出ロッド部の後退側に配置された選択区間での切換位置をそれぞれ寸法Δだけ射出ロッド部の後退側に移動させる。そのため、本発明では、射出速度及び射出圧力の切換位置を計量完了位置の変動寸法Δだけ移動させることで、より正確な補正をすることができる。
図1には本実施形態の概略構成が示されている。
図1において、射出成形機10は固定金型11を取付けた固定プレート12と、固定プレート12に対してトグル機構13により進退する移動金型14を取付けた移動プレート15とを有し、両金型11,14の間には溶融樹脂を射出するためのキャビティ16が形成される。
制御装置20は、射出スクリュー172がホッパから投入された樹脂材料を溶融するために回転するとともに前進して射出する溶融樹脂を計量する計量工程と、この計量工程で計量した溶融樹脂をノズル17Aからキャビティ16内に射出するために計量完了位置から射出ロッドを前進させる射出工程と、射出された溶融樹脂をキャビティ16内で保圧するために射出スクリュー172を保圧切換位置で所定時間静止させる保圧工程とを、この順番で実行するものであり、これらの工程は繰り返し実行されることで、連続した射出ショットが行われる。
射出工程では、射出速度及び射出圧力を切り換えながら射出スクリュー172が前進する。
この射出速度及び射出圧力の切換位置は射出スクリュー172の前進方向に沿って3箇所ある(図3参照)。
位置・速度変換部22は、エンコーダ位置を射出速度に換算するためのものであり、図示していないシーケンサからの信号により充填時間をカウントし、充填時間に応じたサンプリングモードで射出速度の波形を記憶装置23に出力する。
図2において、射出速度・射出圧力切換位置制御部28は、自動制御切換部281と、区間選択部282と、差分検出部283と、補正信号指令部284とを備えて構成されている。
自動制御切換部281は、キー入力装置26からの自動補正の「有」の信号を受けると、区間選択部282を駆動させる信号を区間選択部282に送る。
区間選択部282は、射出工程の射出速度及び射出圧力の複数箇所(本実施形態では、3箇所)ある切換位置で区画された区間を選択するものである。本実施形態では、射出速度VがV1〜V4に切り替わり、射出圧力PがP1〜P3に切り替わる射出工程(図3〜図6参照)において、表1に示す選択区間の射出速度及び射出圧力の切換を行うものである。
選択区間V1〜V4のいずれかを作業者はキー入力装置26を介して選択する。
例えば、選択区間V1が選択されると、計量完了位置LS5のみの変更に伴って計量ストロークの差分Δだけ移動し、切換位置LS4,LS4A〜LS4Cを固定したままとする信号を補正信号指令部284に送る。選択区間V2が選択されると、計量完了位置LS5の変更に伴って切換位置LS4Aを補正して計量ストロークの差分Δだけ移動する信号を補正信号指令部284に送る。選択区間V3が選択されると、計量完了位置LS5の変更に伴って、切換位置LS4A,LS4を補正して計量ストロークの差分Δだけそれぞれ移動する信号を補正信号指令部284に送る。選択区間V4が選択されると、計量完了位置LS5の変更に伴って切換位置LS4A〜LS4Cを補正して計量ストロークの差分Δだけそれぞれ移動する信号を補正信号指令部284に送る。
補正信号指令部284では、区間選択部282及び差分検出部283から発信された信号を受けて射出制御用サーボアンプ29を駆動する信号を送る。
さらに、図5に示される通り、区間選択部282でV2を選択した場合には、切換位置LS4Aが差分Δだけ移動してLS4A’となる。
また、図6に示される通り、区間選択部282でV1を選択した場合には、切換位置LS4A〜LS4Cが変動せず、計量完了位置のみがLS5からLS5’となる。
ホッパ内の樹脂材料は射出スリーブ171の内部に投入され、ここで、射出スクリュー172が回転しながら前進することで、樹脂材料が溶融される。この溶融樹脂は射出スクリュー172の前進に伴って軽量される。この前進した量が軽量ストロークであり、その前進位置が軽量完了位置LS5である。
その後、金型11,14を開放操作して成形品を金型11,14から取り出す。さらに、射出スクリュー172を後退させて次回の射出ショットの実行に備える。
以上の工程は繰り返されて、同一の成形品が射出成形機での製造される。
例えば、前記実施形態では、切換位置LS4A〜LS4Cは射出スクリュー172の前進方向に沿って3箇所の場合について説明したが、本発明では、切換箇所が複数あればよく、3箇所に限定されるものではない。例えば、2箇所、4箇所、それ以上であってもよい。
さらに、射出ロッド部は射出スクリューに限定されるものではなく、樹脂材料を可塑化できるものであれば具体的な構造を問わない。
11…固定金型
14…移動金型
16…キャビティ
17…射出装置
17A…ノズル
171…射出スリーブ
172…射出スクリュー(射出ロッド部)
20…制御装置
22…位置・速度変換部22に連結されている。
281…自動制御切換部
282…区間選択部
LS5…計量完了位置
LS4…保圧切換位置
LS4A〜LS4C…射出速度及び射出圧力の切換位置
Claims (4)
- 金型内のキャビティに連通するノズルが形成された射出スリーブと、この射出スリーブ内で前記ノズルに向けて前進して溶融樹脂を前記キャビティに射出する射出ロッド部とを備えた射出成形機において、溶融樹脂の計量完了位置から前記キャビティ内に射出した溶融樹脂を保圧する保圧切換位置までの射出工程で射出速度及び射出圧力を切り換えながら前進するとともに前記計量完了位置が変更可能とされた前記射出ロッド部を制御する制御装置であって、
前記計量完了位置の変更前と変更後との間における前記射出ロッド部の計量ストロークの差分に対応して前記射出速度及び射出圧力の切換位置を補正することを特徴とする射出成形機の制御装置。 - 請求項1に記載された射出成形機の制御装置において、
前記射出速度及び射出圧力の切換位置は前記射出ロッド部の前進方向に沿って複数箇所あり、これらの複数の切換位置で区画された区間のうち補正をする区間を選択する区間選択部を備えたことを特徴とする射出成形機の制御装置。 - 請求項2に記載された射出成形機の制御装置において、
前記区間選択部で選択した所定の選択区間と、この選択区間よりも前記射出ロッド部の後退側に位置する選択区間との切換位置を、前記計量ストロークの差分だけ移動させることを特徴とする射出成形機の制御装置。 - 金型内のキャビティに連通するノズルが形成された射出スリーブ内で前記ノズルに向けて射出ロッド部を前進して溶融樹脂を前記キャビティに射出する射出成形機において、前記射出ロッドを、溶融樹脂の計量完了位置から前記キャビティ内に射出した溶融樹脂を保圧する保圧切換位置まで射出速度及び射出圧力を切り換えながら前進させるとともに所定の射出ショットにおける前記計量完了位置と次回の射出ショットにおける前記計量完了位置とが変更される射出成形機の制御方法であって、
変更前と変更後との前記射出ロッド部の計量ストロークの差分に対応して前記射出速度及び射出圧力の切換位置を補正することを特徴とする射出成形機の制御方法。
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