JP4422396B2 - ヒト起源の病原性プリオンを特異的に検出する抗体およびその体を用いて実施される検出方法 - Google Patents
ヒト起源の病原性プリオンを特異的に検出する抗体およびその体を用いて実施される検出方法 Download PDFInfo
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Description
本発明は、ヒト起源のプリオンと特異的に結合する抗体、および病原性プリオン、特に海綿状脳症の原因因子を検出する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
プリオン病、例えばクロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)は、先天性遺伝的障害の結果として発生するか、または、まだ完全には理解されていない感染経路によって後天的に生じる。さらに、前記疾患はまた偶発的、いわゆる散発型としても発生し、プリオンタンパク質の遺伝子の体細胞性変異がその原因であると説明されている(Prusiner, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:13363-13383(1998))。医原性感染ルートは、例えばプリオンで汚染された成長ホルモンもしくは性ホルモン、または角膜および髄膜移植片による処置の結果として発生する。適切に消毒されていない外科器具の使用もまた可能な感染源を構成する。
【0003】
プリオンタンパク質(PrPと省略する)(サイズは33から35kDである)は、天然の生理的アイソフォーム(PrPC)および病的感染性を有するアイソフォーム(PrPSC)として存在し、感染性アイソフォームは、二次および三次構造の再折り畳みの結果として非感染性の生理的アイソフォームから生じる。PrPSCは、プリオン病の伝播および発病の原因であるプリオンの唯一の物理的成分であるということは極めて蓋然性が高い(Prusiner, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:13363-13383(1998))。
【0004】
プリオンタンパク質は部分的蛋白分解を受けやすいということが、Prusiner et al.(Cell 38:127(1984); Biochemistry 21:6942(1982))によって既に文献に記載されている。そのとき以来、PrPCはほぼ完全に蛋白分解を受けるが、PrPSCは27から30kDのサイズに分解するだけであることが判明している。このタンパク質フラグメント(このフラグメントはそれ以上の蛋白分解を受けない)は、プロテアーゼ耐性コア(すなわち略してPrP27-30)と称される。それは、NH2末端の約67アミノ酸の分解の結果として生じ、その結果、前記は約141アミノ酸から成る。
【0005】
病的プリオンアイソフォームを検出する方法もまた既に報告された。したがって、例えばBarry & Prusinerは、抗プリオンタンパク質モノクローナル抗体(MAB)13A5を用いるウェスタンブロットテストを記載している(J. Infect. Dis. 154:518-521(1986))。前記MAB(ハムスターPrPに特異的である)は、スクレイピー感染ハムスターから単離した精製変性PrP27−30で免疫したマウスから得られた。
【0006】
MAB13A5と類似の他の抗体であって、PrPCおよびPrPSCの両方に対して向けられるもの(ただし後者のPrPSCは変性形として存在する)もまた、既に報告されている(米国特許4806627号)。さらにまた、免疫感作は、Zanusso et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:8812-8816(1998))が記載したように、細菌で発現させたリコンビナントプリオンタンパク質を用いて実施されている。さらに、モノクローナル抗体の調製は、Harmeyer et al.(J. Gen. Virology, 79:937-945(1998))が記載したようにペプチド免疫感作の手段によって、そしてKrasemann et al.(J. Biotechnology, 73:119-129(1999))が述べたように核酸免疫感作の手段による成功によって達成されている。
【0007】
ウェスタンブロットの他に、これらの抗体のまた別の応用、すなわちELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)と称されるものが、米国特許4806627号(Wisniewski et al.)に記載された。前記ELISAでは、マイクロタイタープレートに固定したプリオンにMAB3F4を結合させた。続いて、二次抗体に結合させた酵素によって染料の反応を触媒する前記二次抗体を用いて後者の抗体MAB3F4が検出された。
【0008】
前記の全ての検出方法において、サンプル中に存在する一切の正常なプリオンタンパク質を除去し、その結果、検出されるものは、プロテアーゼ耐性の病原性プリオンタンパク質のみであることを担保するために、サンプルは酵素プロテアーゼKで予備処理される(なぜならば、抗体はもちろん、正常なプリオンタンパク質とも高い度合いの親和性で結合する能力を有するからである)。
【0009】
しかしながら、多大な手間と時間が要求されるために、これまでに報告された方法(これは、電気泳動による分離および膜(特にニトロセルロース膜)上での固定、さらにその後の抗PrP項血清による決定を必要とする)は、日常的検査のための方法としては適当ではない。したがって、海綿状脳症の伝播の可能性により生じた人々への脅威のために、例えばヒトおよび動物の診断で、体液サンプルおよび組織サンプル中の病的プリオンアイソフォームを定性的および定量的に検出することができる、迅速なプリオン検出方法が熱望される。
【0010】
最後に、サンプル中のプリオンタンパク質の病原性コンフォメーションを検出するために用いることができる検出方法は、国際特許出願WO98/37411で既に開示されている。前記の方法では、サンプルを2つの部分に分割し、第一の部分を固相支持体に結合させ、続いて標識抗体と接触させる。この抗体は、非変性病原性蛋白型に結合するよりも高い親和性でプリオンタンパク質の非病原型と結合する。続いて、サンプルの第二の部分に、病原性プリオンタンパク質のコンフォメーションを変化させ、それによってそのアクセスビリティーを劇的に高め、結果として標識抗体に対するその親和性を強めるような処置を施す。前記のように処置したサンプルの前記第二の部分を、続いて第二の支持体と接触させ、標識抗体と反応させる。続いて、第一の部分および第二の部分で結合した標識抗体の量を測定し、相互に比較する。2つの測定結果間の相違は、プリオンタンパク質の病原型がサンプル中に存在しているか否かを示す。前記検出方法は、コンフォメーション依存イムノアッセイ(CDI)と称される。サンプルをタンパク分解酵素、例えばプロテイナーゼKまたはディスパーゼで予備処理することによって、CDIの感度を高めることができる。プロテアーゼによる処理は、サンプル中のPrPCおよび無関係のタンパク質を破壊し、プロテアーゼ耐性PrP27-30がサンプル中に残存する。
【0011】
病原性プリオンタンパク質の存在についてのヒト血漿の検査は非常に鋭敏で特異的な(さらにサンプル検査の自動化も可能にする)検出系を必要とする。プリオンの病理学的作用の基礎となる生理学的過程が不明であるので、プリオンの検出はさらに困難でもある。さらに、病的アイソフォームPrPSCと正常アイソフォームPrPC(これは通常過剰に存在し、さらに、これまでのところプリオンの検出に用いられた他の抗体のいずれとも交差反応を示す)とを直接的に区別する診断試薬は入手にはほど遠い。
【0012】
病的プリオンタンパク質を検出するこれまでに公知となった全ての方法の共通する特色は、検出された病原性プリオンタンパク質は、ヒト起源のプリオンタンパク質であるか、または他の種に由来するプリオンタンパク質であるか明瞭に識別することができないということである。MAB3F4(これは広く利用可能で、ヒトのプリオン病の診断に用いられている)はまた、他の哺乳類種のプリオンタンパク質、例えばハムスタープリオンタンパク質と反応する。人体で発見された病原性プリオンタンパク質が外部から由来したか否か、または病原性プリオンが人体で最初に形成されたか否かを決定するためにこのような区別化は非常に重要である。動物のプリオンは、一方で、作業場、例えばプリオンが取り扱われている実験室または動物飼育場で曝露された結果として、他方、プリオンに汚染された食品の消費、または、可能性として汚染された化粧品または医薬品の使用によってもヒトに伝播されることがある。感染源についての正確な情報は、効果的な防御手段の開発を可能にするであろう。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
これまでに知られた抗体では、ヒト起源のプリオンにのみ存在し、同時に動物起源のプリオンには存在しないエピトープを選択的に認識するために使用することができないという事実のために、ヒト起源の病原性プリオンを検出する非常に特異的な方法はこれまで存在しなかった。
【0014】
驚くべきことには、ヒトのプリオンタンパク質に特有のエピトープを認識するが、動物起源のプリオンタンパク質とは反応しない抗体、特にモノクローナル抗体を発見することができることが判明した。この選択的認識は、好ましくはウェスタンブロット技術を用いることによって観察される。前記の性質を有する抗体の例は、ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524によって産生されるモノクローナル抗体である。これらのモノクローナル抗体は、アフリカミドリザル由来のPrPまたはウシ、ハムスター、ラットもしくはマウスPrPとは、それらをSDS−ポリアクリルアミドゲルで分離し、ナイロン膜に移し、前記モノクローナル抗体で検出した場合には全く交差反応を示さない。
【0015】
これらの新規なモノクローナル抗体を用いて、ヒト起源のプリオンタンパク質の高度に特異的で高い感受性を示す検出、例えば上記で述べたような適切なウェスタンブロット法の開発が初めて可能になった。
【0016】
体液サンプルまたは体組織の液状サンプル中の病原性プリオンタンパク質を検出するコンフォメーション依存イムノアッセイ、CDIもまた特に重要である。以前に用いられたCDIは、化学的架橋手段を用いて被検サンプルを固相支持体上に固定することを含むだけであった。結果として、サンプル中に含まれるプリオンタンパク質はサンプルから選択的に濃縮されることはなかった。その代りに、プリオンタンパク質は支持土台に多くの他の無関係のタンパク質と一緒に結合された。これは感度の低下を意味する。なぜならば、サンプル中の多くのプリオンタンパク質は支持材に全く結合さえしないからである。この干渉作用は、特にタンパク質含有量が高いサンプル(例えば血漿)で顕著になる。さらにまた、この干渉作用は、CDIのまた別の使用、すなわちプロテイナーゼによる予備処置を施さないサンプル中のプリオン含有量の決定を大きく制限する。なぜならば、プロテイナーゼ処理の省略は、サンプル中の無関係なタンパク質の干渉作用をさらにいっそう高めるからである。寄託細胞株DSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524によって産生されるヒトPrP特異的モノクローナル抗体はこの干渉作用を示さない。なぜならば、それらモノクローナル抗体は、例えば捕捉抗体として支持材に適用され、続いて、サンプル中に存在するヒトプリオンタンパク質を前記支持材上に選択的に結合させるからである。このようにして、サンプル中の実質的により多くのプリオンタンパク質が支持材に結合され、同時に、検査の感度が10から30倍増加する(実施例2、図2A)。結果として、無関係のタンパク質による一切の干渉作用も顕著でなくなり、サンプルがプロテアーゼで予備処理されないときでも高い検査感度が達成される(実施例2、図2B)。このことから、捕捉抗体の使用は、グルタルアルデヒド架橋法と比較したとき検査の感度を100から300倍増加させる。簡略化のために、捕捉抗体が支持体に適用される本形態をサンドイッチ形態(図2)と呼ぶ。
【0017】
本改良CDI検出方法は以下の工程を含む:
a)上記のモノクローナル抗体の1つ(これは固相支持体に結合され、プリオンタンパク質の正常な非病原性コンフォメーションに対しより高い親和性を有する)を、サンプルの第一の部分に添加し、さらにプリオンタンパク質の濃度を決定し;
b)サンプルの第二の部分を処理して、前記モノクローナル抗体に対する前記病原性コンフォメーションのアクセシビリティーを高め;
c)第二の濃度を決定する目的で、上記のように処理した第二の部分に前記モノクローナル抗体を添加し;
d)病原性コンフォメーションのプリオンタンパク質の存在を検出する目的で、第一の濃度を第二の濃度と比較する。
【0018】
ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524によって産生されるモノクローナル抗体は、この検出方法に特に適切である。イムノアッセイ検出方法で重要な工程は、被検サンプルの一部を病的形態の病原性プリオンタンパク質のコンフォメーションに変化をもたらす物理的または化学的条件に付すことから成る。前記コンフォメーションにおける変化は、抗体に対するアクセシビリティーの増加をもたらす。前記コンフォメーションの変化は、熱、圧または化学物質の作用によって惹起することができる。存在している病原性プリオンタンパク質の少なくとも2%が、モノクローナル抗体にアクセス可能なコンフォメーションに変換されれば十分である。
【0019】
プリオンタンパク質の固定に適した支持材は、クロマトグラフィー樹脂、アガロース、マイクロタイタープレート、ニトロセルロース膜、ナイロン膜または磁性ビーズで、これらは習慣的に用いられている。これら支持材に結合したプリオンタンパク質は、例えばELISA法を用いて検出される。本方法では、第二の標識抗体を固定したプリオンタンパク質と接触させる。モノクローナル抗体3F4は、第二の標識モノクローナル抗体として使用するために適切であることが証明された。前記抗体は、放射能基、酵素または蛍光基で標識できる。
【0020】
本発明のイムノアッセイ検出方法の利点は、プリオンタンパク質の検出感度が、公知のコンフォメーション依存イムノアッセイ(例えば国際特許出願WO98/37411に開示されている)と比較して10から300倍高いということである。これは、本発明のモノクローナル抗体を用いることによって達成される。前記モノクローナル抗体は、被検サンプルからプリオンタンパク質を選択的に濃縮することを可能にする。
【0021】
本発明の検出方法の信頼性および感度は、極めて少量のプリオンを10から100の血漿サンプル群に添加し、続いて本発明のイムノアッセイを用いて全ての事例で確実にプリオンを検出することによって示すことができた。このコンフォメーション依存イムノアッセイによって、一般型のクロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)を引き起こすプリオンが、CJDの新型変種(vCJD)のプリオンと同様に検出される。新型変種CJDは、特に患者のリンパ器官にプリオンが出現することを特徴とする。対照的に、プリオンが添加されなかった血漿サンプルではいずれも、微量のバックグラウンドシグナルを除いて陽性反応は全く認められなかった。前記のような結果は、高度に精製したプリオンタンパク質を使用し、さらに感染動物の均質な脳サンプルを用いることによって達成することができた。プロテアーゼによる予備処理(この予備処理は以前の方法の全てで必要とされる)を実施しないときでも、本発明のイムノアッセイの方法を用いて、高い信頼性でプリオンタンパク質の存在を確認することができる。
【0022】
本発明のモノクローナル抗体の特色は、それらはヒトのプリオンタンパク質のみを認識するということである。これは、おそらく前記モノクローナル抗体は、ヒトのプリオンタンパク質の非常に特異的な、他の哺乳類には存在しないアミノ酸配列を認識するという事実によるものである。
【0023】
これにより、本発明のイムノアッセイには新規な応用がもたらされる。したがって、本発明の抗体を用いたときに病的プリオンタンパク質がヒトの体で発見された場合、このPrPSCは初めにヒトの体で形成されたことは明白である。他方、本発明のこれらの抗体を用いたときにはシグナルは認められないが、これまでに公知の抗体(例えばPrionicsから供給される抗体、6H4抗体と称される)を用いたときシグナルが認められる場合は、この病的プリオンは動物起源でなければならない。この場合には、したがって被検対象者は動物起源のプリオンの接種により感染した。このようにして、由来が不明のプリオンタンパク質の起源を動物であるかまたはヒトであるか決定し、それによって病的プリオンの伝播経路を説明できる。
【0024】
本発明のモノクローナル抗体の結合部位、すなわちエピトープの性状もまた調べた。モノクローナル抗体DSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC524のエピトープは、プリオンタンパク質中のただ1つのジスルフィド架橋によって決定的に定められる。したがって、前記ジスルフィド架橋は、それ自体エピトープの一部分であって、前記モノクローナル抗体の抗原結合部位と相互作用するか、または、ジスルフィド架橋は、本来互いに離れているタンパク質領域を一緒に結合させ、その結果、硫黄結合のために、酸化条件下のプリオンタンパク質にのみ存在する複合性でコンフォメーション性エピトープを形成する。このことは、実施例4および図3で明らかにする。
【0025】
タンパク質の抗原性は、抗体(ポリクローナルおよびモノクローナル両抗体)、単鎖抗体、またはファージディスプレー系でのそれぞれ対応する結合によって特徴づけることができる。抗体は、標的タンパク質の特異的なアミノ酸構造、エピトープと結合する。そのような特色の性状決定は、それ自体は当業者に公知の技術、例えばウェスタンブロット;標的タンパク質配列(または対応する場合には核酸配列)のオーバーラップ部分配列として合成したペプチドと抗体との結合;固定標的抗体によるELISA;抗原/抗体複合体とプロテインAとの結合;または免疫沈降反応によって達成できる。一般に、エピトープは、連続しているか(直線状)、または不連続(コンフォメーション性)であり、したがって異なる方法がそれぞれ用いられる。直線状エピトープは、タンパク質分子内で連続したアミノ酸配列から成り、タンパク質の空間的配置(二次元、三次元または四次元構造)はエピトープおよびこのエピトープと抗体との結合に対して全く影響をもたない。したがって、(例えばSDSまたはカオトロピズム性薬剤による)タンパク質の変性は、エピトープおよびこのエピトープと抗体との結合に全く影響を与えない。これらのエピトープは、ELISAで標的タンパク質のオーバーラップする部分配列との結合によって性状を調べることができる。ELISA、ドットブロットアッセイ、または免疫沈降反応で調べたとき、抗体が前変性を施されないで標的タンパク質と結合し、変性後には結合しない場合は、このエピトープは不連続(またはコンフォメーション性)である。すなわち、エピトープを含むアミノ酸はタンパク質上に直線的配列としてではなく、タンパク質の離れた部分の領域上に存在し、前記タンパク質の三次元アレンジメントにより空間的な配置を有する。コンフォメーション性エピトープを含むアミノ酸のこのアレンジメントは、全長が異なる複数分子または同じタンパク質の互いに離れた複数のドメインであるかもしれない。
【0026】
驚くべきことに、ハイブリドーマDSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524によって分泌されるモノクローナル抗体の結合の特徴について性状を調べている間に、変性タンパク質はウェスタンブロットで抗体と反応する(直線状エピトープであることを示す)が、オーバーラップペプチドとは反応しない(コンフォメーション性エピトープであることを示す)ことが見出された。潜在的抗体結合部位のアミノ酸配列の分析によって、この領域にジスルフィド結合が存在することが明らかになった。発明者らは、このジスルフィド結合がコンフォメーション性(不連続)エピトープの存在をもたらすか否かを調べた。
【0027】
ジスルフィド架橋は通常のタンパク質変性条件では破壊されない。したがって、ウェスタンブロット(タンパク質をそれらの見かけのサイズによってSDS−PAGEで分離し、続いて膜に移した後)では、前記タンパク質は一次抗体を含む水溶液中でインキュベートされ、続いて一次抗体に対して誘導した標識二次抗体で検出される。ジスルフィド架橋が還元によって破壊される場合は、前記エピトープもまた破壊され、抗体はもはや結合できない。オーバーラップペプチド(当業者は直線状エピトープを特定するために使用し、これはウェスタンブロット技術で検出できる)の使用では、ハイブリドーマDSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524によって分泌される抗体のエピトープの性状を決定できる結果は得られなかった。これは、ジスルフィド架橋をペプチド中に出現させることができなかったからである。
【0028】
ジスルフィド結合の正確な発生はタンパク質の成熟過程で重要な工程である。多くの事例で、ジスルフィド架橋は、タンパク質の安定性および機能のためにもっとも重要である。本発明が達成される前は、そのようなジスルフィド架橋の正確な発生を検出し性状を決定することは可能ではなかった。
【0029】
この驚くべき発見、すなわちジスルフィド架橋をベースとするエピトープの検出は、(酸化条件下で)ジスルフィド架橋を含むタンパク質に対してタンパク質または他の高親和性リガンドを作製することによって、タンパク質の性状決定のために用いることができる。当業者は、ジスルフィド架橋を有するタンパク質(酸化状態)およびジスルフィド架橋をもたないタンパク質(還元状態)との結合を決定することによって適当なリガンドの選択の仕方を知ることができる。そのような抗体を誘導するために、前記ジスルフィド架橋を含むタンパク質で動物を免疫感作することができる。このタンパク質は、遺伝子組換えによって、例えば細菌、酵母、植物、昆虫または哺乳類細胞で製造するか、またはin vitroで発現させ、さらに、当業者に公知の通常の単離技術によって単離することができる。前記タンパク質はまた、組織、器官、体液、混合物または他の供給源から過剰発現させることなく単離することができる。タンパク質は、還元状態または酸化状態で免疫感作に用いることができる、他の高親和性リガンド(例えば単鎖抗体またはペプチドリガンド)は、いわゆる“ファージディスプレーライブラリー”で、還元型および酸化型の標的タンパク質をそれぞれスクリーニングすることによって特定できる。
【0030】
そのようにして製造した抗体を用いて、一定の方法(SMALES、2002)で処理した、または異種生物で遺伝子組換えによって発現させたタンパク質の正確な状態を容易に分析できるであろう。
本発明の検出方法の実施について以下の実施例で説明する。
【0031】
【実施例】
実施例1:ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524に由来するモノクローナル抗体の、多様な種のPrP C をウェスタンブロットによって検出するための使用
種々の種に由来するPRPCを検出するために、アフリカミドリザル、ウシ、シリアンゴールドハムスター、ラットおよびヒトPrP発現遺伝子導入(トランスジェニック)マウスの脳の等量(重量)を、ウルトラターラックス(Ultra Turrax)組織粉砕装置を用いてリン酸緩衝食塩水溶液(PBS)中で均質化させ、10%(重量/容積)の最終濃度にした。大きな組織フラグメントは、室温で500×gで15分遠心して除去した。4%サーコシルを含むPBSの等容積を前記の上清に添加した。タンパク質の分離のために、ゲル電気泳動用SDSサンプル緩衝液とこれら溶解物を混合し、100℃で10分沸騰させた。続いて、各々の種の脳溶解物20μLを10%SDSポリアクリルアミドゲル(Novex)にロードし、150ボルトで45分間電気泳動してタンパク質を分離させた。その後、タンパク質を電気的にナイロン膜(millipores)に移した。続いて、前記の膜を1%ウシ血清アルブミン(BSA,Merck)含有TBST(トリス緩衝食塩水/0.1%トゥイーン20(Sigma))により室温で60分封鎖し、さらに、モノクローナル抗体6H4(Prionics(Switzerland)より入手可能、TBSTで1:5000に希釈)、またはハイブリドーマ細胞株DSM ACC2522、DSMACC2523およびDSM ACC2524由来のモノクローナル抗体(TBSTで1:1000に希釈)のいずれかとともに振盪しながら室温で1時間インキュベートした。3回TBSTで洗浄した後、アルカリ性ホスファターゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Amersham, TBSTで1:5000に希釈)とともに振盪しながら室温で1時間膜をインキュベートした。TBSTで5回洗浄した後、膜を検出試薬(Amersham)とともにインキュベートした。
【0032】
多様な種に由来する脳をナイロン膜にブロットしPrP特異的モノクローナル抗体とともにインキュベートして以下の結果が観察された:
細胞株DSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524から得られたモノクローナル抗体はウシ、ハムスターまたはラットのPrPとも、またはアフリカミドリザルのPrPとも交差反応性をもたず、前記抗体はヒトのプリオンタンパク質と明瞭に結合した。
【0033】
実施例2:ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524に由来するモノクローナル抗体を結合試薬として用いるコンフォメーション依存イムノアッセイの改良方法:サンドイッチCDI
ヒトのPRPCを発現し、さらに散発型クロイツフェルト−ヤコブ病(sCJD)に感染しているトランスジェニックマウスの脳を、プリオン病の最初の徴候を示した(すなわちCJDで死亡した患者の脳ホモジネートを用いて脳内感染させてから約150日後)安楽死マウスから単離した。脳を実施例1で述べた溶解物調製方法を用いて溶解させた。この脳溶解物を、2%サーコシル(重量/容積)および4%BSA(重量/容積)を含むPBSで0.5log10で段階希釈した。続いて、サンプルをプロテイナーゼK(PK;Roche)(最終濃度250μg/mL)で37℃1時間処理した。前記消化は、プロテイナーゼ阻害剤PMSF(=フェニルメチルスルホニルフルオリド;Roche)、アプロチニン(Sigma)およびロイペプチン(Sigma)を各事例で最終濃度20μg/mLで添加することによって停止させた。ホスホタングステン酸を最終濃度0.3%および塩化マグネシウムを最終濃度2.72mMで添加した。続いて、サンプルを37℃で16時間インキュベートし、その後室温で30分14000rpmで遠心した。上清を除去し、ペレットを50μLの水に再懸濁させた。前記の水は、プロテイナーゼ阻害剤ロイペプチンおよびアプロチニンを0.1μg/mLの量で含んでいた。サンプルを分割し、1/2に25μLの8M塩酸グアニジン(Gdn−HCl;Merck)を添加し、80℃で5分間加熱して変性させた。室温に冷却した後、950μLの水(プロテイナーゼ阻害剤ロイペプチンおよびアプロチニンを0.1μg/mLの量で含む)を添加した。サンプルの未処理の半分を975μLの水(同じプロテイナーゼ阻害剤および0.205MのGdn−HClを含む)で希釈した。前記希釈変性および非変性(ネイティブ)サンプルを96穴(ウェル)のテストプレートにトリプリケートで移した(200μL/ウェル)。前記プレートのウェルはその前に室温で2時間0.2%グルタルアルデヒド含有PBSで再活性化させるか、または最終濃度10μg/mLにPBSで希釈したDSM ACC2522、DSM ACC2523およびDSM ACC2524モノクローナル抗体で被覆されていた。サンプルを予備活性化させたプレート上で室温で2時間インキュベートし、その後、洗浄緩衝液(Wallac)の溶液で洗浄した。続いてこのプレートを5%BSA含有TBS(トリス緩衝食塩水)で室温で1時間ブロックし、さらに洗浄緩衝液(Wallac)で3回洗浄し、その後、ユーロピウム標識モノクローナル抗体3F4を含む試薬緩衝液(Wallac)とともに室温で2時間攪拌しながらインキュベートした。続いて、プレートを洗浄緩衝液で7回洗浄し、その後、ウェル当たり200μLの強化溶液(Wallac)を添加した。室温で10分攪拌した後、ユーロピウム結合モノクローナル抗体3F4から発生する蛍光をディスカバリー(Canberra Packard)蛍光分析装置で測定した。続いて、変性サンプルで前記分析装置が測定した蛍光シグナルの数をネイティブサンプルから得られた蛍光シグナルの数で割った。変性/ネイティブ比がPBS/BSA/サーコシル希釈緩衝液について得られた比よりも高い場合は、サンプル希釈物にプロテアーゼ耐性PrPSCが存在することを示している(図1A)。サンドイッチCDIは、通常のグルタルアルデヒド架橋法と比較して10から30倍高い感度を示す。
【0034】
実施例3:プロテイナーゼKで処理しないコンフォメーション依存イムノアッセイの改良方法
ヒトのプリオンを含む脳溶解物をヒト血漿に少量添加し、ヒト血漿で0.5log10で段階希釈した。続いてこの希釈物を実施例2で述べたように処理したが、ただしプロテイナーゼKは添加しなかった(図2B)。DSM ACC2523細胞株に由来するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ形態は、グルタルアルデヒド架橋法と比べてテスト感度を100から300倍高めた。
【0035】
実施例4:プリオンタンパク質の還元後の抗体結合阻害
Bolton(D.C. Bolton, 1987)が記載した方法によって、vCJDで死亡したヒトの脳から単離した精製PrPSCを、2%サーコシルおよび1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝食塩水に再懸濁し、サンプルを分割した。1mLの部分標本をエッペンドルフ試験管に移し、65μg/mLの濃度のプロテイナーゼKで37℃で1時間消化した。当業者に公知の濃度のプロテアーゼ阻害剤を添加して前記反応を停止させ、NaClを最終濃度30%(重量/容積)で添加してPrPSCを沈殿させた。サンプルを4℃で一晩インキュベートし、続いて16000×gで30分遠心した。当業者に公知の濃度のプロテアーゼ阻害剤を含む50μLの蒸留水に前記ペレットを再懸濁させ、続いて、4Mの塩酸グアニジンで変性させ83℃で6分加熱した。3つのサンプルに並行して同一処理を施したが、ただしPrPSCは、同じときに3.3mMのジチオスレイトールの存在下で還元した。これら還元サンプルの1つを10mMのヨードアセトアミドで10分間処理して、チオール基を不可逆的にメチル化し再酸化を防止した。前記還元サンプルの第二のサンプルに0.2mMの酸化グルタチオンを添加して2時間室温で酸化した。残りのサンプルにグルタチオンを欠く緩衝液を補充し、同様に室温で2時間インキュベートした。続いて、各々のサンプルのウェルから3×200μLの部分標本を、実施例2で述べたようにグルタルアルデヒドで予備処理したマイクロタイターウェルに移し、振盪しながら室温で2時間インキュベートした。ウェルを封鎖および洗浄した後、DSM ACC2522、DSM ACC2523またはDSM ACC2524モノクローナル抗体を添加した。室温で1.5時間インキュベートした後、プレートを7回洗浄することによって抗体を除去した。続いて、化学的にユーロピウムキレート複合体を結合させた、ネズミの免疫グロブリンに特異的な二次抗体をウェルに添加し、振盪しながら室温で1.5時間インキュベートした。二次抗体を除去し、プレートを7回洗浄した後、Wallac(Turku, Finland)から提供された強化緩衝液を用いて結合二次抗体からユーロピウムを遊離させた。続いて、ユーロピウム蛍光シグナルをディスカバリー蛍光分析装置(Canberra, Packard, Darmstadt, Germany)を用いて分析した。非還元PrPSC分子は、還元PrPSC分子よりも30倍強いシグナルを生じた(図3)。これは、DSM ACC2522、DSM ACC2523またはDSM ACC2524抗体のヒトプリオンタンパク質への効率のよい結合には、ジスルフィド結合が存在しなければならないことを意味している。一度還元されたPrPSC分子への結合は、ジスルフィド結合を再構成することによって再現できる。これは図3に示されている。すなわち、酸化剤として酸化グルタチオンまたは酸素を用いて還元PrPSC分子を酸化した後、ユーロピウム標識抗体の結合は、非還元サンプルで得られたシグナルの60%に達した。
【0036】
添付の図面において、図1は本発明の抗体のヒトプリオンタンパク質への結合を示す。様々な種の均質化した脳をSDS−PAGEで分離し、ナイロン膜に移した。続いて、モノクローナル抗体6H4(Prionics, 上段の図)および並行して本発明の抗体DSM ACC2522(下段の図)を用いてウェスタンブロットを実施した。結合抗体はホスファターゼ結合二次抗体によって検出した。レーン1:分子量標準物質;レーン2:ラット;レーン3:ヒト;レーン4:アフリカミドリザル;レーン5:シリアンゴールデンハムスター;レーン6:ウシ。
図3は、本発明の抗体のヒトプリオンタンパク質への結合を示す。ヒトの病原性プリオンタンパク質PrPSCを変性させ、さらに、それをマイクロタイタープレートに固定する前に以下のいずれかの処置を実施した:DTTを添加して還元し、さらにヨードアセトアミドでメチル化するか、またはDTTを添加して還元し、さらにグルタチオンで酸化するか、またはDTTで還元し、さらに空気(O2)で酸化した。続いて固定したプリオンタンパク質を細胞株DMSACC2523に由来する本発明の抗体とともにインキュベートした。結合抗体を蛍光標識二次抗体で検出した。TRF:経時分解蛍光。プリオンタンパク質におけるジスルフィド架橋の還元は蛍光の低下をもたらし、これは、抗体結合の消失を意味する。
【0037】
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗体のヒトプリオンタンパク質への結合を示す。
【図2】AはプロテイナーゼKで処理したグルタルアルデヒド結合法およびサンドイッチCDI法の結果を示し、BはプロテイナーゼKで処理しないグルタルアルデヒド結合法およびサンドイッチCDI法の結果を示す。
【図3】本発明の抗体のヒトプリオンタンパク質への結合を示す。
Claims (13)
- ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2522、DSM ACC2523又はDSM ACC2524によって産生されるモノクローナル抗体。
- 請求項1に記載のモノクローナル抗体を用いることを含む、ヒト起源の病原性プリオンを検出する方法。
- 第一の天然の非病的コンフォメーション(すなわちPrPC)および第二の病的コンフォメーション(すなわちPrPSC)を有するPrPタンパク質を含む、ヒトまたは動物由来の体液サンプル中の病原性プリオンタンパク質を検出するコンフォメーション依存イムノアッセイの方法であって、前記タンパク質は、請求項1に記載のモノクローナル抗体に対するその結合親和性において相違を有し、次の工程、
a)第一のプリオンタンパク質コンフォメーションに対してより強い親和性を示す、固相支持体に固定された請求項1に記載のモノクローナル抗体をサンプルの第一の部分に添加して、この第一の濃度を決定し、
b)サンプルの第二の部分に処理を施して、前記モノクローナル抗体に対するプリオンタンパク質の第二のコンフォメーションの結合親和性を高め、
c)前記処理を施した被検サンプルの第二の部分に前記モノクローナル抗体を添加して、第二の濃度を決定し、
d)第一のプリオンタンパク質濃度を第二のプリオンタンパク質濃度と比較して、病原性プリオンタンパク質コンフォメーションの存在を確かめること、
を含む上記の方法。 - サンプルがタンパク分解酵素で予備処理される請求項3に記載のコンフォメーション依存イムノアッセイの方法。
- タンパク分解酵素が、プロテイナーゼKまたはディスパーゼを含む群から選択される請求項4に記載のコンフォメーション依存イムノアッセイの方法。
- 被検サンプルが、コンフォメーションの変化を目的として、高められた温度、高められた圧力、または化学試薬に曝露する処理に付され、この高められた温度、高められた圧力または化学試薬への曝露が、存在する可能性のあるプリオンタンパク質の少なくとも2%をモノクローナル抗体と結合する形態に変換させる請求項3〜5のいずれか1項に記載のコンフォメーション依存イムノアッセイの方法。
- 固相支持体に結合したプリオンタンパク質の量が、第二の標識モノクローナル抗体を用いて測定される請求項3〜6のいずれか1項に記載のコンフォメーション依存イムノアッセイの方法。
- 寄託番号ATCC−HB 9222で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体3F4が第二の標識モノクローナル抗体として用いられる請求項7に記載のコンフォメーション依存イムノアッセイの方法。
- 第二の標識モノクローナル抗体は、放射性活性基、酵素基または蛍光基で標識されている請求項7または8に記載のコンフォメーション依存イムノアッセイの方法。
- 由来が不明の病原性プリオンタンパク質を含むサンプルを請求項1に記載のモノクローナル抗体で処理する、ヒト起源のプリオンタンパク質を動物起源のプリオンタンパク質と識別する請求項3〜9のいずれか1項に記載のコンフォメーション依存イムノアッセイの方法。
- 請求項1に記載のモノクローナル抗体を使用することを特徴とする、タンパク質の酸化状態を決定するイムノアッセイの方法。
- 請求項11に記載のイムノアッセイを利用する、タンパク質のリコンビナント発現後またはタンパク質の精製後にジスルフィド架橋の存在を決定する方法。
- ジスルフィド架橋を含むエピトープを確認する方法であって、エピトープを含むタンパク質を請求項1に記載のモノクローナル抗体と
(i)還元条件下、および
(ii)酸化条件下
でインキュベートし、モノクローナル抗体と酸化形との結合が、還元形との結合よりも少なくとも3倍強い、前記エピトープを確認する方法。
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