JP2010523978A - プリオンelisa - Google Patents

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Abstract

試料中のPrPScを検出するためのアッセイが記載される。詳細には、病原性プリオンELISAが記載される。このアッセイは、PrPScを捕捉するための病原性プリオン特異的試薬、および試料中に存在することがある非病原性プリオンタンパク質による干渉量を減少させるための、部位特異的プロテアーゼ、例えばトリプシンまたはSV−8プロテアーゼによる消化を利用する。本発明の別の態様では本明細書に記載の検出方法のいずれかによって、対象由来の生体試料中の病原性プリオンの存在を検出することにより、前記対象のプリオン関連疾患を診断する方法を提供する。

Description

(技術分野)
本開示は、試料中の病原性プリオンタンパク質を検出するためのアッセイに関する。
(背景)
ヒトでは、プリオン病、別名「伝染性海綿状脳症」(TSE)には、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症およびクールー病が含まれる(例えば、Isselbacherら編(1994年)、Harrison’s Principles of Internal Medicine、New York:McGraw−Hill, Inc.;Medoriら(1992年)N. Engl. J. Med.326巻:444〜9頁を参照)。動物では、TSEには、ヒツジスクレーピー、ウシ海綿状脳症(BSE)、伝染性のミンク脳症、ならびに捕えられたミュールジカおよびヘラジカの慢性消耗病が含まれる(Gajdusek、(1990年)、Subacute Spongiform Encephalopathies:Transmissible Cerebral Amyloidoses Caused by Unconventional Viruses、掲載書Virology、Fields編、New York:Raven Press, Ltd.(2289〜2324頁))。伝染性海綿状脳症は、同じ特質を特徴とする:霊長類、齧歯動物およびトランスジェニックマウスを含む研究用動物に実験的に接種した場合に、疾患を媒介するプリオンタンパク質の異常な(βに富み、プロテイナーゼK耐性の)立体構造の存在。
近年、BSEが急速に拡大し、それがヒトにおけるTSEの発生の増加と関連していることにより、ヒト以外の哺乳動物におけるTSEの検出に対する関心が高まった。これらの疾患の偶然の伝搬の悲劇的な結果(例えば、Gajdusek、Infectious Amyloids, and Prusiner Prions in Fields Virology、Fieldsら編Philadelphia:Lippincott−Ravin, Pub.(1996年);BrownらLancet、340巻:24〜27頁(1992年)を参照)、汚染除去の困難(Asherら(1986年)Laboratory Safety: Principles and Practices、Miller編(59〜71頁)Am. Soc. Micro.)、およびBSEに対する懸念(British Med. J.(1995年)311巻:1415〜1421頁)は、TSEを有するヒトおよび動物を特定するであろう診断検査を有することの緊急性の根拠をなす。
プリオンは、細菌、ウイルスおよびウイロイドとはかなり異なる。支配的な仮説は、他のすべての感染性病原体と異なり、感染がプリオンタンパク質の異常な立体構造に起因するというものであり、その立体構造は鋳型として働き、正常なプリオン立体構造を不規則で異常な立体構造に変換する。プリオンタンパク質は、1980年代初期に最初に特定された。(例えば、Bolton、McKinleyら(1982年)Science218巻:1309〜1311頁;Prusiner、Boltonら(1982年)Biochemistry21巻:6942〜6950頁;McKinley、Boltonら(1983年)Cell35巻:57〜62頁を参照)。完全なプリオンタンパク質をコードする遺伝子がその後クローニングされ、配列決定され、トランスジェニック動物で発現された。(例えば、Basler、Oeschら(1986年)Cell46巻:417〜428頁を参照)。
プリオン病の重要な特徴は、正常な形態のプリオンタンパク質(細胞性または非病原性またはPrP)からの、異常な形状のタンパク質(PrPSc)の形成である。(例えば、Zhangら(1997年)Biochem.36巻(12号):3543〜3553頁;Cohen & Prusiner(1998年)Ann. Rev. Biochem.67巻:793〜819頁;Panら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA90巻:10962〜10966頁;Safarら(1993年)J Biol. Chem.268巻:20276〜20284頁を参照)。PrPの主にα螺旋に折り畳まれた無病の形態と比較して、PrPScの実質的なβ−シート構造が、光学分光学および結晶学研究によって明らかにされている。(例えば、Willeら(2001年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA99巻:3563〜3568頁;Peretzら(1997年)J. Mol. Biol.273巻:614〜622頁;Cohen&Prusiner、(1999年)5巻:Structural Studies of Prion Proteins、掲載書Prion Biology And Diseases、S. Prusiner編Cold Spring Harbor、NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press.(191〜228頁)を参照)。構造上の変化に続いて、生化学的性状の変化が起こるようである:PrPは非変性洗浄剤に溶解性であり、PrPScは不溶性であり;PrPはプロテアーゼによって容易に消化されるが、PrPScは部分的に耐性であり、「PrPres」(Baldwinら(1995年)J. Biol Chem270巻:19197頁;Tateishiら(2002年)Nature376巻:434頁)、「PrP 27−30」(27〜30kDa)、または「PK耐性」(プロテイナーゼK耐性)形態として知られる、アミノ末端がトランケーションされた断片の形成をもたらす。プロテアーゼ感受性の差は、PrPSCとPrPの形態を区別するために用いられてきた。(Prusiner(1998年)Proc. Natl Acad. Sci.95巻:13363頁;Aguzzi(2006年)J. Neurochem.97巻:1726頁を参照)。50μg/mlのプロテイナーゼKは30分でプリオンタンパク質のPrPの形態を完全に分解するが、PrPSCの形態は同じ条件の下でプロテアーゼ耐性のコアを維持する。PrPSCのこのプロテアーゼ耐性コアは、残基約89または90から残基約231のアミノ酸を含む。プロテイナーゼKにより利用可能であるPrPSCの形態のN末端領域は、プロテイナーゼK処理によって一般的に除去される。PrPSCはプロテアーゼ消化にかなり耐性であるが、プロテイナーゼKの長期曝露および/または高い濃度は、PrPSCのより完全な消化をもたらす。PrPSCのプロテアーゼ感受性形態が報告されている(Safarら(1998年)Nature Med.4巻:1157頁)。
プリオンタンパク質の病的形態と正常細胞の形態との間の一部の物理的特性の差にもかかわらず、生体対象および生体対象から得られる試料中のプリオンタンパク質の病原性アイソフォームの検出は、困難であることが判明した。これの1つの理由は、一般的に、プリオンペプチドに対して生成される抗体は、変性したPrPSCおよびPrPの両方を認識するが、感染性の(未変性の)PrPSCを選択的に認識することができないというものである。(例えば、Matsunagaら(2001年)Proteins: Structure, Function and Genetics44巻:110〜118頁を参照)。したがって、対象の死亡前のこれらの伝染性のアミロイドを含有する状態の確定診断および姑息的治療は、実質的に未解決の難題である。脳生検材料の組織病理学的検査は対象にとって危険であり、病変およびアミロイド沈着は、生検試料がどこから採取されるかによって見逃されることがある。また、動物、患者および医療従事者にとっても、生検に伴うリスクがある。さらに、動物の脳検査の結果は、動物が食物供給品に入るまで通常得られない。
それでも、TSEのためのいくつかの死後の検査が利用可能である(Soto,C.(2004年)Nature Reviews Microbiol.2巻:809頁、Biffigerら(2002年)J.Virol.Meth.101巻:79頁;Safarら(2002年)Nature Biotech.20巻:1147頁、SchallerらActa Neuropathol.(1999年)98巻:437頁、Laneら(2003年)Clin.Chem.49巻:1774頁を参照)。しかし、これらのすべては脳組織試料を利用し、死後の検査として適するだけである。これらの多くは試料のプロテイナーゼK処理も必要とし、それは時間がかかることがあり、PrPの不完全な消化は偽陽性結果に至ることがあり、また、PK感受性PrPScの消化は偽陰性結果を生じることがある。
したがって、様々な試料、例えば生体対象から得られる試料、血液供給品、畜産動物、ならびに他のヒトおよび動物用の供給食品中の病原性プリオンタンパク質の存在を検出するための組成物および方法が依然として必要とされている。本開示は、これらならびに他の重要な目的を対象とする。
本開示は、最近報告された、プリオンタンパク質の存在を検出するための方法の改良方法に関する。これらの検出方法は、本明細書、および共同所有される出願、2004年8月13日に出願の米国特許出願第10/917,646号;2005年2月11日に出願の米国特許出願第11/056,950号;2006年9月8日に出願の米国特許出願第11/518,091号;および、2006年1月13日に出願の国際出願第PCT/US2006/001433号に記載され、これらの出願のすべては参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。これらの検出方法は、とりわけ、(例えば、ヒトまたはヒト以外の動物対象の)プリオン関連疾患を診断するための方法、実質的にPrPScを含まない血液供給品、血液製品供給品または食物供給品を確保するための方法、移植のための器官および組織の試料を分析するための方法、手術道具および機器の汚染除去をモニタリングするための方法に関連して、ならびに、病原性プリオンの有無についての知識が重要である任意の他の状況で用いることができる。これらの検出方法は、プリオン特異的試薬と病原性プリオンアイソフォームとの優先相互作用を利用する。一般に、プリオン特異的試薬は、米国特許出願第10/917,646号および米国特許出願第11/056,950号に記載のペプチド試薬、米国特許出願第11/518,091号および国際公開第2007/030804号に記載のペプトイド試薬、または、国際公開第03/085086号、国際公開第03/073106号もしくは国際公開第02/097444号に様々に記載の他の試薬であってもよくプリオンタンパク質の病原性型に特異的に結合させるために使用され、結果として、試料中に存在し得るプリオンタンパク質の非病原性型のほとんどまたはすべてを含む残りの試料から分離することができる複合体が得られる。プリオンタンパク質の非病原性型のすべてが除去されると、プリオンタンパク質の残りの病原性型を検出することができ、例えば、プリオンタンパク質の病原性型をプリオン特異的試薬との複合体から解離させ、変性させ、変性プリオンタンパク質に対する抗体を用いて検出することができる。この方法の特異性は、病原性プリオン型を非病原性プリオン型から分離する能力を利用する。一般的に、PrPSC−プリオン特異的試薬複合体の単純な洗浄(米国特許出願第10/917,646号;米国特許出願第11/056,950号、米国特許出願第11/518,091号および国際公開第2007/030804号に記載)は、任意の非病原性プリオンタンパク質を除去するのに十分である。しかし、本発明者らは、試料、特に血液試料のわずかな割合が、単純な洗浄によって不完全に除去され得る非常に高いレベルの非病原性プリオンタンパク質を含むことを発見した。このように非病原性プリオンタンパク質の除去が不完全であると、シグナルのバックグラウンドレベルが高くなり、偽陽性の結果が得られるか、真の陽性シグナルを不明確にする可能性がある。
(要旨)
本発明は、以前に報告された、PrPのレベルが異常に高いためにこのわずかな割合の試料で発生するバックグラウンドシグナルを減少させる検出方法の改良方法を提供する。本発明者らは、本明細書でさらに記載のように、部位特異的プロテアーゼで複合体を処理する工程を追加することが、病原性プリオンタンパク質からのシグナルにあまり影響を及ぼすことなく、単純な洗浄によって不完全に除去され得る非病原性プリオンタンパク質によるバックグラウンドシグナルレベルを減少させることを見出した。
したがって、本明細書において、試料中の病原性プリオンの存在を検出する方法が提供され、これは(a)存在する場合には病原性プリオンと病原性プリオン特異的試薬の結合を可能にする条件下で、この試料をこの試薬と接触させて第1の複合体を形成する工程、(b)非病原性プリオンタンパク質が部位特異的プロテアーゼによって実質的に消化される条件下で、第1の複合体をこのプロテアーゼと接触させる工程、(c)前記消化された非病原性プリオンおよび任意の未結合の試料を第1の複合体から除去する工程、(d)病原性プリオンを第1の複合体から解離させることにより、解離した病原性プリオンを得る工程、(e)病原性プリオンと抗プリオン抗体の結合を可能にする条件下で、解離した病原性プリオンを第1の抗プリオン抗体と接触させて第2の複合体を形成する工程、および(f)病原性プリオンの存在を示す、第2の複合体の形成を検出する工程による。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、病原性プリオン特異的試薬は、好ましくは、ペプチド試薬(米国特許出願第10/917,646号および同11/056,950号に記載)またはペプトイド試薬(米国特許出願第11/518,091号に記載)である。
ある実施形態では、この方法は、第2の(任意選択で検出可能に標識された)抗プリオン抗体を用いて第2の複合体を検出することをさらに含む。
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、非特異的に結合した非病原性プリオンは、第1の複合体を部位特異的プロテアーゼで処理することによって除去することができる。部位特異的プロテアーゼは、好ましくは、オクタリピート領域内の部位でプリオンタンパク質を切断しないものである。ある実施形態では、非病原性プリオンタンパク質を第1の複合体から除去するために使用されるプロテアーゼは、トリプシンまたはSV−8を含む。非病原性プリオンが部位特異的プロテアーゼによって実質的に消化されると、プロテアーゼが除去、不活性化または阻害されることにより、さらなるプロテアーゼ消化(例えば、他のタンパク質成分の消化)が妨害される。一般的に、プロテアーゼ活性は、第1の複合体の追加の洗浄、および/またはプロテアーゼ阻害剤の添加、または当技術分野で公知である他の方法によって除去、不活性化または阻害することができる。
ある実施形態では、病原性プリオンを第1の複合体から解離させる工程は、複合体を高pHまたは低pHに曝露し、任意選択で、前記解離の後に前記高pHまたは前記低pHを中和することによって実施される。解離した病原性プリオンは、変性させることもできる。
ある実施形態では、病原性プリオン特異的試薬および/または第1の抗プリオン抗体は、固体支持体に結合される。ある実施形態では、病原性プリオン特異的試薬は磁気ビーズに結合され、および/または、第1の抗プリオン抗体はマイクロタイタープレートに結合される。
したがって、一実施形態では、本発明は、病原性および非病原性のプリオンを含有する疑いのある試料中の病原性プリオンの存在を検出するための方法であって、
(a)前記試料を病原性プリオン特異的試薬と、存在する場合には、前記試薬の前記病原性プリオンへの結合を可能にする条件下で接触させて、第1の複合体を形成する工程、
(b)前記非病原性プリオンが部位特異的プロテアーゼによって実質的に消化される条件下で、前記第1の複合体を前記プロテアーゼと接触させる工程、
(c)前記部位特異的プロテアーゼによるさらなる切断を妨害する工程、
(d)前記第1の複合体を任意の未結合の試料および切断された非病原性プリオンから分離する工程、
(e)前記病原性プリオンを前記第1の複合体から解離させることにより、解離した病原性プリオンを得る工程、
(f)前記病原性プリオンと第1の抗プリオン抗体の結合を可能にする条件下で、前記解離された病原性プリオンを第1の抗プリオン抗体と接触させて第2の複合体を形成する工程、および
(g)前記第2の複合体を、任意選択で標識された第2の抗プリオン抗体と接触させることにより、前記第2の複合体の形成を検出する工程
を含み、
前記第1の抗プリオン抗体は、前記プリオンタンパク質中の第1のエピトープを認識し、前記第2の抗プリオン抗体は前記プリオンタンパク質中の第2のエピトープを認識し、前記第1のエピトープと前記第2のエピトープは、同一ではなく、部位特異的プロテアーゼの少なくとも1つの切断部位によって分離され、前記部位特異的プロテアーゼの前記少なくとも1つの切断部位は、前記プリオンタンパク質のプロテイナーゼK耐性コア領域に位置する、方法を提供する。
さらに、本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、試料は、生体試料、すなわち、生きている生物または死後の生物から得られるかまたはそれらに由来する試料、例えば臓器、全血、血液分画、血液成分、血漿、血小板、血清、脳脊髄液(CSF)、脳組織、神経系組織、筋肉組織、骨髄、尿、涙、非神経系組織、臓器および/または生検材料もしくは剖検材料であってもよい。好ましい実施形態では、生体試料は血液、血液分画または血液成分を含む。試料は、非生体試料であってもよい。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の検出方法のいずれかによって、対象由来の生体試料中の病原性プリオンの存在を検出することにより、前記対象のプリオン関連疾患を診断する方法を提供する。
別の態様では、試料中の病原性プリオンの存在を検出するための様々なキットが提供され、このキットは、病原性プリオンと優先的に相互作用する1つまたは複数の試薬(すなわち、病原性プリオン特異的試薬)、および/またはこれらの試薬の1つまたは複数、抗プリオン抗体および他の必要な試薬、ならびに任意選択で陽性および陰性の対照を含む固体支持体のいずれかを含む。ある実施形態では、キットは、適切な部位特異的プロテアーゼ、および任意選択でプロテアーゼ阻害剤も含む。
これらの実施形態および他の実施形態は、本明細書の開示に照らして、当分野の技術者ならば容易に思いつく。
PrPSCを含む血漿試料のELISAの結果(RLU)を示すグラフである。トリプシンで処理した試料は、濃い灰色(右の棒)で示している。トリプシンで処理していない試料は、薄い灰色(左の棒)で示している。 本発明の改善した方法の模式図である。単線は、プリオンタンパク質を表し、巻線部分は、PrPSCのプロテアーゼ耐性コアを表し、波状部分は、PrPおよびイソ型PrPSCの多数のαへリックス部分を表している。長方形は、抗プリオン抗体によって認識されるエピトープ領域を表し、三角形は、プロテアーゼ切断部位を表している。 オクタリピート領域(二重下線)、プロテイナーゼ耐性コア領域(カッコ)、および潜在トリプシンプロテアーゼ切断部位(下線、太字)を表している数種のプリオンタンパク質の配列アラインメントを示す図である。トリプシンは、切断部位を隠すProがカルボキシル側に近接している場合を除き、LysおよびArg残基のカルボキシル側で切断する。 オクタリピート領域(二重下線)、プロテイナーゼ耐性コア領域(カッコ)、および潜在トリプシンプロテアーゼ切断部位(下線、太字)を表している数種のプリオンタンパク質の配列アラインメントを示す図である。トリプシンは、切断部位を隠すProがカルボキシル側に近接している場合を除き、LysおよびArg残基のカルボキシル側で切断する。 オクタリピート領域(二重下線)、プロテイナーゼ耐性コア領域(カッコ)、および潜在SV−8プロテアーゼ切断部位(下線、太字)を表している数種のプリオンタンパク質の配列アラインメントを示すである。SV−8は、GluおよびAsp残基を切断する。 オクタリピート領域(二重下線)、プロテイナーゼ耐性コア領域(カッコ)、および潜在SV−8プロテアーゼ切断部位(下線、太字)を表している数種のプリオンタンパク質の配列アラインメントを示すである。SV−8は、GluおよびAsp残基を切断する。
(詳細な説明)
本発明の実施は、他に規定がない限り、当技術分野内の化学、生化学、分子生物学、免疫学、および薬理学の通常の方法を用いる。そのような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton、Pennsylvania: Mack Publishing Company、1990年);Methods In Enzymology(S. ColowickおよびN. Kaplan編、Academic Press, Inc.);およびHandbook of Experimental Immunology、I〜IV巻(D.M. WeirおよびC.C. Blackwell編、1986年、Blackwell Scientific Publications);Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版、1989年);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi, K.S.編、CRC Press、1977年);Short Protocols in Molecular Biology、第4版(Ausubelら編、1999年、John Wiley & Sons);Molecular Biology Techniques: An Intensive Laboratory Course(Reamら編、1998年、Academic Press);PCR(Introduction to Biotechniques Series)、第2版(Newton & Graham編、1997年、Springer Verlag);PetersおよびDalrymple、Fields Virology(第2版)、Fieldsら(編)、B.N. Raven Press、New York、NYを参照されたい。
本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、全体として参照により本明細書に組み込まれている。
定義
以下の選んだ用語は、本明細書に用いられる文脈において考察される。用語の複数形および単数形の両方が、考察される形に関わらず、含まれる。
「プリオン」、「プリオンタンパク質」、「PrPタンパク質」、および「PrP」は、病原性プリオンタンパク質型(スクレイピータンパク質、病原性タンパク質型、病原性アイソフォーム、病原性プリオン、およびPrPSCとも呼ばれる)および非病原性プリオン型(細胞タンパク質型、細胞アイソフォーム、非病原性アイソフォーム、非病原性プリオンタンパク質、およびPrPとも呼ばれる)の両方、加えて、病原性立体構造も正常な細胞立体構造のいずれも有していない可能性があるプリオンタンパク質の変性型および様々な組換え型を示すために交換可能に用いられる。
用語「プリオン」、「プリオンタンパク質」、「PrPタンパク質」、「PrP」、または「コンフォメーション病タンパク質」の使用は、本明細書に記載されたものと全く同一の配列を有するポリペプチドに限定されることを意図されない。その用語が、同定された、または同定されていない種(例えば、ヒト、ウシ)または疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病など)のいずれの由来のコンフォメーション病タンパク質も含むことは容易に明らかである。全体として参照により本明細書に組み込まれている、共同所有する米国特許出願公開第2005/0118645号および第2006/0035242号、ならびに国際公開第06/076687号も参照されたい。本開示および当技術分野の教示を鑑みれば、当業者は、例えば、配列比較プログラム(例えば、基本的局所整列検索ツール(BLAST))または構造特性もしくはモチーフの同定および整列を用いて、任意の他のプリオンタンパク質において、本明細書に開示された配列に対応する領域を決定することができる。
「病原性」とは、そのタンパク質が実際に疾患を引き起こす、またはそのタンパク質が疾患に関連しており、それゆえに、疾患が存在する場合、そのタンパク質が存在することを意味する。したがって、本明細書における病原性タンパク質は、必ずしも、疾患の特定の原因物質であるタンパク質とは限らない。タンパク質の病原性型は、感染性であっても感染性でなくてもよい。病原性コンフォメーション病タンパク質の例はPrPScである。したがって、用語「非病原性」は、通常、疾患を引き起こさない、または疾患を引き起こすことに、通常、関連していないタンパク質を記載する。非病原性コンフォメーション病タンパク質の例はPrPである。
タンパク質、例えば、タンパク質断片と相互作用する試薬(例えば、ペプチドまたはペプトイド)に関する「相互作用する」とは、試薬が、プリオンタンパク質に、特異的に、非特異的に、または特異的結合および非特異的結合のいくらかの組合せで、結合することを意味する。試薬は、それが、非病原性アイソフォームに対してより病原性型により高い親和性および/またはより高い特異性で結合する場合には、病原性プリオンタンパク質と「優先的に相互作用する」と言われる。したがって、病原性プリオンタンパク質と優先的に相互作用する試薬はまた、「病原性プリオン特異的試薬」と本明細書で呼ばれる。いくつかの実施形態では、親和性および/または特異性の増大は、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約500倍、または少なくとも約1000倍である。優先的な相互作用は、必ずしも、各ペプチドの特定のアミノ酸、またはアミノ酸置換残基および/もしくはモチーフの間での相互作用を必要としない。例えば、いくつかの実施形態では、試薬は、病原性アイソフォームと優先的に相互作用するが、それでもなお、非病原性アイソフォームを、弱いがまだ検出可能なレベル(例えば、対象となるポリペプチドに対して示される結合の10%以下)で結合する能力を有することができる。典型的には、弱い結合またはバックグラウンド結合は、例えば、適切な対照を用いて、対象となる化合物またはポリペプチドとの優先的相互作用から容易に識別可能である。一般的に、本明細書に記載の検出方法に用いられる試薬は、10倍過剰量の非病原性型の存在下で病原性プリオンを結合する。プリオンタンパク質の病原性型と優先的に相互作用するペプチド試薬およびペプトイド試薬は、米国特許出願第10/917,646号;米国特許出願第11/056,950号、米国特許出願第11/518,091号、およびWO2007/030804に詳細に記載されている。
コンフォメーション病タンパク質と相互作用する試薬に関する「親和性」または「結合親和性」とは、結合の強さを示し、解離定数(K)として定量的に表現することができる。結合親和性は、当業者によく知られた技術を用いて決定することができる。
「プリオン関連疾患」は、病原性プリオンタンパク質(例えば、PrPSc)によって全部または一部、引き起こされる疾患、例えば、非限定的ではあるが、スクレイピー、ウシ海綿状脳症(BSE)、狂牛病、ネコ海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(nvCJD)、慢性消耗病(CWD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)、および致死性家族性不眠症(FFI)がある。
用語「変性させる」または「変性した」は、タンパク質構造に適用される場合の通常の意味をもち、タンパク質がその天然の二次および三次構造を失っていることを意味する。病原性プリオンタンパク質に関して、「変性した」病原性プリオンタンパク質はもはや、天然の病原性立体構造を保持せず、したがって、そのタンパク質はもはや、「病原性」ではない。変性した病原性プリオンタンパク質は、変性した非病原性プリオンタンパク質と類似した、または同一の立体構造を有する。しかし、本明細書において明快さを期するために、用語「変性した病原性プリオンタンパク質」とは、病原性アイソフォームとして試薬によって捕捉され、かつその後、変性している病原性プリオンタンパク質を示すように用いるものとする。
「生理的関連pH」とは、約5.5〜約8.5;または約6.0〜約8.0;または通常には、約6.5〜約7.5のpHを示す。
「ペプチド」は、一般的に、天然に存在するまたは合成の、アミノ酸またはアミノ酸様分子のポリマーを含む任意の化合物を示すように用いられ、それらには、それだけに限らないが、アミノ分子および/またはイミノ分子だけを含む化合物が挙げられる。用語「ペプチド」は、「オリゴペプチド」および「ポリペプチド」と交換可能に用いられる。これらの用語を用いてどの特定のサイズも意味することはない。その定義内には、例えば、天然および非天然(例えば、合成)の両方の、1個または複数のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸などが挙げられる)を含むペプチド、結合の置換および当技術分野において知られた他の改変を有するペプチドが含まれる。したがって、合成ペプチド、二量体、多量体(例えば、タンデムリピート、多重抗原ペプチド(MAP)型、直線連結型ペプチド)、環化分子、分岐分子などがその定義内に含まれる。
「ペプトイド」は、一般的に、少なくとも1個、好ましくは2個以上の、アミノ酸代替物、好ましくはN−置換グリシンを含むペプチドミミックを示すように用いられる。ペプトイドは、とりわけ、米国特許第5,811,387号に記載されている。
用語「標識」、「標識された」、「検出可能な標識」、および「検出可能に標識された」とは、検出できる分子を示し、それらには、それだけに限らないが、放射性同位元素、蛍光剤、発光剤、化学発光剤、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチンまたはハプテン)、蛍光ナノ粒子、金ナノ粒子などが挙げられる。用語「蛍光剤」は、フルオロフォアなどの検出可能な範囲で蛍光を示す能力がある物質またはその部分を示す。用いることができる標識の具体的な例には、それだけに限らないが、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、テキサスレッド、ルミノール、アクリジニウムエステル、NADPH、β−ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびウレアーゼが挙げられる。標識は、エピトープタグ(例えば、His−Hisタグ)、抗体、または増幅可能な、そうでなければ検出可能なオリゴヌクレオチドでもよい。
「病原性プリオン特異的試薬」または「PSR」とは、PSRが非病原性プリオン型に対してよりも病原性プリオン型により高い親和性および/またはより高い特異性で結合することを意味する、病原性プリオンタンパク質と優先的に相互作用する試薬、一般的にはペプチドまたはペプトイドを示す。PSRは、米国特許出願第10/917,646号;第11/056,950号;および第11/518,091号で十分に記載の他の追加の物理的特性を有する。本発明の方法に関連して用いる好ましいPSRには、上記の参照出願に記載されたもの、特に、配列番号12〜132、特に、2004年8月13日に出願されたUS10/917,646(その開示は、参照により本明細書に組み込まれている)の配列番号66、67、68、72、81、96、97、98、107、108、119、120、121、122、123、124、125、126、127、14、35、36、37、40、50、51、77、89、100、101、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、128、129、130、131、132、56、57、65、82、または84を含む、またはそれらに由来するペプチド試薬、および2006年9月8日に出願された米国特許出願第11/518,091号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれている)の配列番号230、237、238、239、もしくは240、または化合物I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIa、XIb、XIIa、XIIb、もしくはXIIIを含む、またはそれらに由来するペプトイド試薬が挙げられる。
「部位特異的プロテアーゼ」とは、タンパク質において1つの型または少数の異なるアミノ酸残基でペプチド結合を切断する酵素(プロテアーゼ)を示す。例えば、トリプシンは、Lys残基およびArg残基のみで切断する部位特異的プロテアーゼである。部位特異的プロテアーゼは、(すべての脂肪族、芳香族、および疎水性残基で切断する)プロテイナーゼKおよび(カルボキシ末端から始めて、順次、すべての残基を切断する)カルボキシペプチダーゼYのような非特異的プロテアーゼとは区別される。
「実質的に消化された」とは、タンパク質が、すべての利用可能なプロテアーゼ切断部位の少なくとも90%、好ましくは99%においてプロテアーゼに切断されていることを意味する。「利用可能なプロテアーゼ切断部位」とは、プロテアーゼによって切断部位として認識されるアミノ酸配列を有し、かつタンパク質の立体構造においてプロテアーゼと接触することができる部位を意図される。例として、プリオンタンパク質のプロテイナーゼK耐性コア内に存在するプロテアーゼ切断部位は、一般的に、プリオンタンパク質がPrPSC立体構造であるとき、プロテアーゼ消化に利用できない。
「オクタリピート領域」とは、これまで同定されたすべての種由来の成熟プリオンタンパク質のN末端の近くで見出される反復配列領域を示す。オクタリピートは、一般的に、GQPHGG(G/S)(−/G)W(配列番号11)として通常、書かれる8個(または9個)のアミノ酸配列の3つ〜5つの間、通常4つのコピーを含む。この配列は、高度に保存されており(この配列はリピートの一部においてわずかに異なる場合があるが)、一般的に、約58〜91位残基内に存在する。オクタリピート領域は、通常、プロテイナーゼK耐性コア領域に隣接し、かつそのN末端側に近接している。
プリオンタンパク質の「プロテイナーゼK耐性コア」(時々、「プロテアーゼ耐性コア」と呼ばれる)は、PrP型におけるプリオンタンパク質を実質的に消化するのに十分である条件下でのPrPSCのプロテイナーゼKへの曝露後、残存するPrPSC立体構造におけるプリオンタンパク質の領域によって定義される。一般的に、プリオンタンパク質のほとんどの種について、プロテイナーゼK耐性コア領域は、およそアミノ酸90位からおよそアミノ酸231位までの領域を含む。図3および図4は、10個の異なる種由来のプリオンタンパク質の整列を示し、それらの図中、囲まれた領域は、プロテイナーゼK耐性領域を示す。
「プリオン結合性試薬」は、ある立体構造におけるプリオンタンパク質に結合する試薬であり、例えば、プリオン結合性試薬は、1つまたは複数の変性型プリオンタンパク質、PrP型(非病原性アイソフォーム)またはPrPSC(病原性アイソフォーム)に結合することができる。いくつかのそのようなプリオン結合性試薬は、これらのプリオンタンパク質型のうちの1つより多くに結合する。したがって、プリオン結合性試薬には、それだけに限らないが、病原性プリオンと優先的に相互作用するPSRが挙げられる。プリオン結合性試薬は、いかなる型であってもプリオンに特異的に結合する。プリオン結合性試薬は記載されており、例えば、抗プリオン抗体(とりわけ、Peretzら、1997年、J. Mol. Biol.、273巻、614頁;Peretzら、2001年、Nature、412巻、739頁;Williamsonら、1998年、J. Virol.、72巻、9413頁;Polymenidouら、The Lancet、2005年、4巻、805頁;米国特許第4,806,627号;米国特許第6,765,088号;および米国特許第6,537548号に記載されている)、モチーフグラフト化ハイブリッドポリペプチド(WO03/085086参照)、特定の陽イオン性または陰イオン性ポリマー(WO03/073106参照)、「伝播触媒」である特定のペプチド(WO02/097444参照)、プリオン特異的ペプチド試薬(例えば、WO2006/076687およびUS20060035242参照)、およびプラスミノーゲンを含む。プリオン結合性試薬を利用する方法のすべてにおいて、好ましいプリオン結合性試薬は抗プリオン抗体である。
「エピトープ」は、特定のB細胞および/またはT細胞が応答する抗原上の部位であり、そのようなエピトープを含む分子に免疫学的反応を誘発する能力、または生体試料中に存在する抗体と反応する能力を与える。その用語はまた、「抗原決定基」または「抗原決定部位」と交換可能に用いられる。エピトープは、3個以上のアミノ酸をそのエピトープに固有の空間的立体構造で含むことができる。一般的に、エピトープは、少なくとも5個のそのようなアミノ酸からなり、より通常には、少なくとも8〜10個のそのようなアミノ酸からなる。アミノ酸の空間的立体構造を決定する方法は当技術分野において知られており、それらには、例えば、X線結晶学および二次元核磁気共鳴が挙げられる。さらに、所定のタンパク質におけるエピトープの同定は、疎水性研究の利用による、および部位特異的血清学によるなど、当技術分野においてよく知られた技術を用いて容易に達成される。Geysenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1984年)81巻、3998〜4002頁(所定の抗原において免疫原性エピトープの位置を決定するためにペプチドを迅速に合成する一般的な方法);米国特許第4,708,871号(抗原のエピトープを同定し、かつ化学的に合成するための方法);およびGeysenら、Molecular Immunology(1986年)23巻、709〜715頁(所定の抗体に対して高親和性を有するペプチドを同定するための技術)も参照されたい。同じエピトープを認識する抗体は、別の抗体と標的抗原の結合をブロックする抗体の能力を示す、単純なイムノアッセイにおいて同定することができる。
全体的概観
病原性プリオンタンパク質と優先的に相互作用する試薬(ペプチドおよびペプトイド)の発見は、何桁も多いPrPを含む生体試料におけるPrPSCの検出を可能にした。米国特許出願公開第2005/0118645号および第2006/0035242号;国際公開第06/076687号参照。記載された方法は、試料を前処理するためのプロテイナーゼKの使用を必要としない。これらの刊行物に記載されているように、1つのそのような検出アッセイは、病原性プリオン特異的試薬でコーティングされた磁気ビーズを使用すること、ならびに試薬含有ビーズと病原性型の結合を可能にする条件下で、PrPおよびPrPSCを含有する疑いのある試料とビーズを接触させて、複合体を形成することを含む。PrPSCを捕捉および洗浄した後、典型的には、高pHまたは低pHへの曝露による変性によって、PrPSCをビーズから解離させ、中和し、単純なELISAにより、または好ましくは、サンドイッチELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)により検出する。このプロトコールは、プリオン疾患で死亡したことが知られているヒト由来の10%脳ホモジネートの100万倍希釈で添加(spike)されたヒト血漿試料においてPrPSCを検出する。
しかし、本発明者らは、PrPが試薬コーティングビーズに非特異的に結合することができ、ビーズから完全に除去されない場合には、これらの方法を用いるPrPSCの検出に干渉する可能性があることを見出した。典型的には、非特異的に結合したPrPは、単純な洗浄によってビーズから除去することができる。しかし、本発明者らはまた、PrPの量が、当然ながら、異なる試料間で大きく異なり、かなりの量で存在する場合、単純な洗浄(または繰り返し洗浄)によって除去されない可能性があり、偽陽性結果を示すことにより、または高バックグラウンドのために真の陽性シグナルをマスクすることにより、PrPScの検出に干渉することができることも見出している。
したがって、本明細書に記載された方法は、PrPSCのELISA検出の前に非特異的に結合したPrPを除去することにより病原性プリオン特異的試薬で捕捉されたPrPSCの検出の特異性を増大することができる向上に関する。好ましい実施形態では、(非特異的に結合したPrPも含む可能性がある)病原性プリオン特異的試薬−PrPSC複合体を、オクタリピート領域内では切断しないが、(PrPSC型におけるPK耐性コアに対応する)90〜231残基領域内でPrPを切断する部位特異的プロテアーゼで処理することにより、PrPを除去する。PrPSCアイソフォームが、PK耐性コア領域内(なぜなら、その領域におけるPrPSC構造が潜在的切断部位を利用できないようにさせているため)、オクタリピート領域内、またはこれらの2つの領域間でプロテアーゼにより切断されないように、部位特異的プロテアーゼは選択される。部位特異的プロテアーゼでの処理後、オクタリピートにおけるエピトープを認識するものと、PK耐性コア領域内においてPK耐性コア領域における部位特異的プロテアーゼについての少なくとも1つの認識部位の後にある(すなわち、そのカルボキシ末端側に近接している)エピトープを認識するものである、2つの異なる抗プリオン抗体を用いるサンドイッチELISA技術でPrPSCを検出することができる。図2は、プリオンアイソフォームにおける部位特異的プロテアーゼについての利用可能(白色三角形)および利用不可能(縞模様の三角形)の両方の潜在的切断部位の関係、ELISAに用いられる抗プリオン抗体により認識されるエピトープ(四角形)、PrPSCのプロテイナーゼ耐性コア領域(コイル状線)、α−ヘリックス領域(波線)、ならびにオクタリピート配列(実線バー)を示す概略図を提供する。
したがって、本明細書に記載の方法は、ELISA技術と組み合わされた、病原性プリオン型と優先的に相互作用するペプチド試薬およびペプトイド試薬を用いる、試料における病原性プリオンの検出の向上を可能にする。
このように、本発明は、病原性および非病原性のプリオンを含むと疑われる試料中の病原性プリオンの存在を検出するための方法であって、
(a)存在する場合には前記病原性プリオンと病原性プリオン特異的試薬の結合を可能にする条件下で、前記試料を前記試薬と接触させて第1の複合体を形成する工程、
(b)前記非病原性プリオンが部位特異的プロテアーゼによって実質的に消化される条件下で、前記第1の複合体を前記プロテアーゼと接触させる工程、
(c)前記部位特異的プロテアーゼによるさらなる切断を妨害する工程、
(d)前記第1の複合体を、任意の未結合の試料および消化された非病原性プリオンから分離する工程、
(e)前記病原性プリオンを前記第1の複合体から解離させることにより、解離した病原性プリオンを得る工程、
(f)前記病原性プリオンと第1の抗プリオン抗体の結合を可能にする条件下で、前記解離した病原性プリオンを前記第1の抗プリオン抗体と接触させて第2の複合体を形成する工程、および
(g)前記第2の複合体を、任意選択で標識された第2の抗プリオン抗体と接触させることにより、前記第2の複合体の形成を検出する工程
を含み、
前記第1の抗プリオン抗体は、前記プリオンタンパク質中の第1のエピトープを認識し、前記第2の抗プリオン抗体は、前記プリオンタンパク質中の第2のエピトープを認識し、前記第1のエピトープと前記第2のエピトープは、同一ではなく、前記部位特異的プロテアーゼの少なくとも1つの切断部位によって分離され、前記部位特異的プロテアーゼにに対する前記少なくとも1つの切断部位は、前記プリオンタンパク質のプロテイナーゼK耐性コア領域内に位置する、方法を提供する。
病原性プリオン特異的試薬
本明細書に記載のアッセイは、病原性プリオン型と優先的に相互作用する試薬を利用する。特に好ましい実施形態では、病原性プリオン特異的試薬は、米国特許出願公開第2005/0118645号および第2006/0035242号;ならびにPCT/US2006/035226(WO2007/030804)に記載されているような、ペプチド試薬またはペプトイド試薬である。本発明の方法に関連して用いる好ましいPSRには、上記の参照出願に記載されたもの、特に、配列番号12〜132、特に、2004年8月13日に出願されたUS10/917,646(その開示は、参照により本明細書に組み込まれている)の配列番号66、67、68、72、81、96、97、98、107、108、119、120、121、122、123、124、125、126、127、14、35、36、37、40、50、51、77、89、100、101、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、128、129、130、131、132、56、57、65、82、または84を含む、またはそれらに由来するペプチド試薬、および2006年9月8日に出願された米国特許出願第11/518,091号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれている)の配列番号230、237、238、239、もしくは240、または化合物I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIa、XIb、XIIa、XIIb、もしくはXIIIを含む、またはそれらに由来するペプトイド試薬が挙げられる。
本明細書に記載の方法に用いられる病原性プリオン特異的試薬は、好ましくは、固体支持体に付着している。これらの試薬は、試料に接触させる前に、固体支持体上に供給することができ、または病原性プリオン特異的試薬は、試料に接触させ、その中のいかなる病原性プリオンにも結合させた後の、(例えば、ビオチン化試薬、およびアビジンまたはストレプトアビジンを含む固体支持体を用いることによる)固体支持体への結合に適応することができる。
適切な固体支持体には、不溶性マトリックスであり、病原性プリオン特異試薬を連結または結び付けできる、剛直または半剛直な表面を有する任意の材料が含まれる。例示的な固体支持体には、それだけに限らないが、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ラテックス、ポリカーボネート、ナイロン、デキストラン、キチン、砂、シリカ、軽石、アガロース、セルロース、ガラス、金属、ポリアクリルアミド、シリコン、ゴム、多糖類、ポリフッ化ビニル;ジアゾ紙;活性化ビーズ、磁気応答ビーズ、ならびに固相合成、親和性分離、精製、ハイブリッド形成反応、免疫アッセイおよび他のそのような応用に汎用される任意の材料が挙げられる。該支持体は、粒状でもよく、または連続表面の形態を採ってもよく、それには膜、メッシュ、板、ペレット、スライド、円板、キャピラリー、中空繊維、針、ピン、チップ、中実繊維、ゲル(例えば、シリカゲル)およびビーズ(例えば、多孔ガラスビーズ、シリカゲル、場合によりジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンビーズ、グラフト化コポリビーズ、ポリアクリルアミドビーズ、ラテックスビーズ、場合によりN−N’−ビス−アクリロイルエチレンジアミンで架橋したジメチルアクリルアミドビーズ、酸化鉄磁気ビーズ、ならびに疎水性ポリマーをコートしたガラス粒子などの基質が挙げられる。好ましい実施形態では、病原性プリオン特異的試薬は、磁気ビーズに付着している。
本明細書に記載の病原性プリオン特異的試薬は、標準的技術を用いて固体支持体に容易に結合させることができる。支持体への固定化は、最初に試薬をタンパク質に結合させることにより増強する場合がある(例えば、そのタンパク質がより良い固相結合性を有する場合)。適した結合タンパク質には、それだけに限らないが、ウシ血清アルブミン(BSA)を含めた血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、イムノグロブリン分子、チログロブリン、オボアルブミン、および当業者に周知の他のタンパク質などの高分子が挙げられる。分子を支持体に結合させるのに用いることができる他の試薬には、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、アミノ酸コポリマーなどが挙げられる。これらの分子をタンパク質に結合させるそのような分子および方法は、当業者によく知られている。例えば、Brinkley, M.A.、(1992年)Bioconjugate Chem.、3巻、2〜13頁;Hashidaら、(1984年)J. Appl. Biochem.、6巻、56〜63頁;ならびに AnjaneyuluおよびStaros、(1987年)International J. of Peptide and Protein Res.、30巻、117〜124頁を参照されたい。
必要に応じて、病原性プリオン特異的試薬は、容易に、スチレン部分またはアクリレート部分を生じるように官能基をもたせて、ポリスチレン、ポリアクリレート、またはポリイミド、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリビニル、ポリジアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリペプチド、多糖、ポリスルホン、ポリピロロール、ポリイミダゾール、ポリチオフェン、ポリエーテル、エポキシ、石英ガラス、シリカゲル、シロキサン、ポリリン酸、ヒドロゲル、アガロース、セルロースなどなどの他のポリマーへのその分子の組み入れを可能にすることができる。
病原性プリオン特異的試薬(PSR)はまた、結合ペアの分子の相互作用を通して固体支持体に付着することもできる。そのような結合ペアはよく知られており、例は本明細書の他の箇所で記載されている。結合ペアの一方のメンバーは、上記の技術により固体支持体に結合しており、結合ペアの他方のメンバーは、PSRに(合成前、合成中、または合成後)付着している。このように修飾されたPSRを、試料と接触させることができ、病原性プリオンが存在する場合には、それとの相互作用は溶液中で起こることができ、その後、固体支持体を、そのペプチド試薬(またはペプチド−プリオン複合体)と接触させることができる。この実施形態についての好ましい結合ペアとしては、ビオチンとアビジン、およびビオチンとストレプトアビジンが挙げられる。
したがって、本明細書に記載の方法において、試料中の病原性プリオン型は、病原性型に優先的に結合するPSR(例えば、ペプチド試薬またはペプトイド試薬)を用いて捕捉される。
部位特異的プロテアーゼ
本発明において有用である部位特異的プロテアーゼは、特定の別々のアミノ酸残基のペプチド結合を切断するプロテアーゼである。一般的に、部位特異的プロテアーゼは、1つの型または少数の特定のアミノ酸残基でタンパク質を切断し、したがって、プリオンタンパク質の切断における予測性を可能にする。そのような部位特異的プロテアーゼの例は以下である:Arg残基またはLys残基のカルボキシル側で切断する部位特異的プロテアーゼであるトリプシン、およびAsp残基またはGlu残基のカルボキシル側で切断するStaphyloccocus aureas由来の部位特異的プロテアーゼであるSV−8。トリプシンおよびSV−8のどちらも様々な供給業者(例えば、Pierce Rockford、IL)から市販されている。他のそのような部位特異的プロテアーゼは、本明細書の記載に基づいて当業者によって容易に選択することができる。加えて、本発明において有用であるためには、プリオンタンパク質における、ELISAに用いられる2つの抗体によって認識されるエピトープ間の領域に部位特異的プロテアーゼの少なくとも1つの切断部位がある必要があり、かつその少なくとも1つのプロテアーゼ切断配列は、PK耐性コア領域(プリオンタンパク質のおよそアミノ酸90〜231位)内にある。この部位は、プリオンタンパク質がPrP型であるときのみ部位特異的プロテアーゼによって切断され、プリオンタンパク質がPrPSC型であるときは切断されない。さらに、その2つのエピトープ間の領域にPrPSCアイソフォームにおける切断に利用可能な潜在的切断部位がない。好ましくは、そのエピトープの少なくとも1つは、プリオンタンパク質のPK耐性コア領域内にある。好ましくは、他方のエピトープは、プリオンタンパク質のオクタリピート領域内にある。好ましくは、部位特異的プロテアーゼは、プリオンタンパク質のオクタリピート領域内の部位で切断しない。オクタリピート領域のコア反復配列は、GQPHGG(G/S)(−/G)W(配列番号11)であり、それは、異なる種由来のプリオンにおいてわずかに異なり得る(オクタリピート配列を示す10個の異なるプリオンタンパク質の配列についての図3および図4参照)。図2は、オクタリピート領域、例示的なエピトープ部位、および例示的な部位特異的プロテアーゼ切断部位を示すPrP型およびPrPSC型の概略図を示す。部位特異的プロテアーゼは、ELISAに用いられる抗プリオン抗体により認識されるエピトープ間の少なくとも1つの部位でPrP型を切断する。したがって、PrP型はELISAで検出されない。しかし、PrPSC型は、その2つのエピトープ間の領域で部位特異的プロテアーゼによって切断されず、なぜなら、このアイソフォームの立体構造が、その部位をプロテアーゼ切断に利用できないようにさせているからである。したがって、PrPSCはELISAにおいて検出可能である。
プロテアーゼ処理
上記のように、病原性プリオン特異的試薬と病原性プリオンの特異的相互作用により形成される複合体はまた、特に試料が自然に高レベルのPrPを含む場合、非特異的に結合したPrPを含む可能性がある。プロテイナーゼKは、他の設定では、PrP型を消化し、より耐性の高いPrPSC型をそのままにしておくために用いられている。しかし、PK処理が病原性型の感染力を低減するという事実により示されているように、高濃度のプロテイナーゼKおよび/または長時間の曝露時間が用いられる場合には、PrPSCはタンパク分解に対して完全に耐性であるわけではない。McKinleyら、Cell、35巻、57〜62頁、1983参照。さらに、PrPSCのいくつかの配座異性体は、プロテイナーゼKに感受性がより高いことが示されており、そのような処理が検出の感度を低減する可能性がある(Safarら、(1998年)Nature Med.、4巻、1157頁)。
それゆえに、プロテイナーゼK処理は、PrP型の完全な切断を与えるが、PrPSC型の耐性コアを無傷のままにするためには注意深く制御されなければならない。少なすぎるプロテイナーゼK消化は、残留するPrP型を残し、それが検出相において偽陽性を生じるであろうし、多すぎるプロテイナーゼK消化は、PrPSC耐性コアを切断し、検出相においてそれを検出不可能にさせるであろう。さらに、病原性型が複数の立体構造をとり得るため、PrPSCの特定のPK消化部位(複数可)は様々であるが、PrPSCのPK消化は、常に、約23位残基から90位残基までN末端アミノ酸を除去する(成熟プリオンタンパク質はアミノ酸23位から始まる)。このN末端領域は、抗プリオン抗体の重要なエピトープであり得る配列、特にオクタリピート配列を有する。したがって、PrPSCのPK消化は、この領域におけるエピトープに対して方向付けられた抗プリオン抗体の結合を低減または排除する可能性がある。Tellingら、Science、274巻、2079〜2082頁、1996参照。
PSRおよび病原性プリオンを含む第1の複合体を、いかなる非病原性プリオンタンパク質も実質的に消化されるだろう条件下で、選択された部位特異的プロテアーゼと接触させる。当業者は適切な条件を決定する能力がある。実質的消化の条件は、組換えPrPを用いる試験によって容易に決定することができる。部位特異的プロテアーゼとしてのトリプシンについて、典型的には、50μg/mlのトリプシン濃度、37℃で1時間が、適切である。
部位特異的プロテアーゼは、第1の複合体が形成されたすぐ後に第1の複合体と接触させることができ、または第1の複合体を、結合していない試料から分離し、任意選択で洗浄し、その後、部位特異的プロテアーゼと接触させることができる。
非病原性プリオンタンパク質の実質的消化後、部位特異的プロテアーゼは、どのようなさらなるプロテアーゼ消化も、例えば、検出のために用いられることになっている抗プリオン抗体のプロテアーゼ消化を、妨害するために、除去、不活性化、または阻害されなければならない。プロテアーゼは、特に第1の複合体が固体支持体上にある場合、第1の複合体の単純な、または繰り返しの洗浄によって除去することができる。プロテアーゼはまた、1つまたは複数のプロテアーゼ阻害剤の添加によって阻害してもよい。プロテアーゼ阻害剤は、当技術分野においてよく知られており、それらには、とりわけ、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、アプロチニン、フルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)、および1−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン(TLCK)が挙げられる。あるいは、いくつかのプロテアーゼは、固定化型(例えば、アガロースマトリックス)で利用可能であり、それは、通常の手段(例えば、遠心分離、濾過など)によって反応から容易に除去することができる。典型的には、1〜2mMのPMSFが、プロテアーゼ消化を停止するのに用いられる。
非特異的に結合したPrPを選択的切断によって除去することにより、本明細書に記載の方法は、病原性プリオン型に優先的に結合する試薬を利用する病原性プリオンELISAの特異性および再現性を増大させる。PrPの除去後、変性PrPSCのN末端におけるエピトープを認識するものを含めた抗プリオン抗体は、病原性プリオン特異的試薬によって捕捉された病原性プリオンの検出のためのELISAに用いることができる。
ELISA
非病原性プリオンを除去するためのプロテアーゼ処理および洗浄段階後、病原性プリオンタンパク質を、国際公開第2006/076687号パンフレットに記載されているように、病原性プリオン特異的試薬から解離させ、そのパンフレット内および下に記載された、いくつかのELISA形式で検出する。病原性プリオンは、典型的には、病原性プリオン特異的試薬からの解離過程で変性されるが、必ずしもそうとは限らない。高親和性抗プリオン抗体の大部分は、PrPの変性型を結合し、変性PrPに結合する多くの抗プリオン抗体が知られており、かつ市販されているため、ELISAを行う前の捕捉されたPrPSCの変性は好ましい。
病原性プリオンの解離および変性は、高濃度のカオトロピック剤、例えば、3M〜6Mの、チオシアン酸グアニジウムまたはグアニジウムHClなどのグアニジウム塩を用いて達成することができる。カオトロピック剤は、それが、ELISAに用いられる抗プリオン抗体の結合に干渉するため、ELISAを行う前に除去または希釈しなければならない。これは、追加の洗浄段階または大きな試料容量の発生をもたらし、そのどちらも迅速な高処理量のアッセイにとって望ましくない。
または、病原性プリオンタンパク質の試薬からの解離は、高pHまたは低pHを用いて達成することができる。病原性プリオンタンパク質は、pHを12より上へ増大させる成分(例えば、NaOH)、または2より下に低下させる成分(例えば、HPO)を添加することにより、容易に試薬から解離し、変性される。さらに、pHは、小容量の適切な酸または塩基の添加によって中性へ容易に再調整して、少しの追加の洗浄もなく、かつ試料容量を有意に増加させることなく、ELISAに直接用いることを可能にすることができる。捕捉された病原性プリオンタンパク質(すなわち、第1の複合体中の病原性プリオン)を変性させるための高pHまたは低pH処理の使用は、PCT/US2006/001437および米国特許出願第11/518,091号に、より詳細に記載されており、それらの特許出願の開示は、全体として本明細書に組み込まれている。
プリオン、特に、PrPまたは変性PrPに結合する抗体、修飾抗体、および他の試薬は記載されており、これらのいくつかは市販されている(例えば、Peretzら、1997年、J. Mol. Biol.、273巻、614頁;Peretzら、2001年、Nature、412巻、739頁;Williamsonら、1998年、J. Virol.、72巻、9413頁;Polymenidouら、2005年、Lancet、4巻、805頁;米国特許第6,765,088号に記載された抗プリオン抗体を参照されたい)。これらを始めとするもののいくつかは、とりわけ、InPro Biotechnology、South San Francisco、CA、Cayman Chemicals、Ann Arbor MI;Prionics AG、Zurichから市販されている;また、修飾抗体の記載についてはWO03/085086を参照。本方法に用いるのに適した抗体としては、非限定的に、3F4(US4,806,627)、D18(Peretzら、J. Mol. Biol.、1997年、273巻、614頁)、D13(Peretz、1997年、前記)、6H4(Liuら、J. Histochem. Cytochem.、2003年、51巻、1065頁)、MAB5242(Chemicon)、7D9(Kascsakら、1987年、J. Virol.、61巻、3688頁)、BDI115(Biodesign International)、SAF32、SAF53、SAF83、SAF84(SAF抗体はSPI Bio、Franceから入手可能)、19B10(WO2004/4033628)、7VC(WO2004/4033628)、12F10(SPI Bio)、PRI308(SPI Bio)、34C9(Prionics AG)、Fab HuM−P(Peretzら、Nature、2001年、412巻、739頁)、POM 1〜POM 19(Polymenidouら、2005年、前記)、特に、オクタリピート領域内のエピトープを認識するPOM2、Fab HuM−R1(Peretz、1997年、前記)、およびFab HuM−R72(Peretz、1997年、前記)が挙げられる。他の抗プリオン抗体は、当技術分野においてよく知られている方法によって容易に作製することができる。
好ましい抗プリオン抗体は、変性型の病原性プリオンに結合するものである。特に好ましい第1の抗プリオン抗体は、プリオンタンパク質のN末端領域(例えば、オクタリピート領域)におけるエピトープを認識するものである。そのような抗体の例は、SAF−32、POM2、POM11、POM12、POM14、3B5、4F2、13F10、SAF−15、SAF−31、SAF−32、SAF−33、SAF−34、SAF−35、およびSAF−37である。(例えば、Polymenidouら、(2005年)Lancet Neurol.、4巻、805〜814頁;Krasemannら、(1996年)Mol. Medicine、2巻、725〜734頁;Freaudetら、(2005年)J. Biol. Chem.、280巻、11247〜11258頁;米国特許第7,097,997号B1参照。)好ましい第2抗プリオン抗体は、プロテイナーゼK耐性コア領域内のエピトープを認識するもの、例えば、およそアミノ酸109〜112位におけるエピトープを認識する3F4抗体、POM17、またはPOM19である。または、第1の抗プリオン抗体は、プロテイナーゼK耐性コア内のエピトープを認識する一群の抗体から選択することができ、第2抗プリオン抗体は、N末端領域における、特にオクタリピート領域内のエピトープを認識する。
第1および第2の抗プリオン抗体は、それらが、プロテイナーゼK耐性コア領域における部位特異的プロテアーゼの切断部位に隣接するエピトープを認識するように、選択されることを、当業者は本明細書における開示から十分理解しているであろう。このように、部位特異的プロテアーゼでの消化後、第1および第2の抗プリオン抗体により認識されるエピトープは、PrPの異なる断片上に存在する(それゆえに、ELISAで検出することができない)が、これらのエピトープは、PrPSCの単一の断片上に存在する(それゆえに、ELISAで検出可能である)。
1つまたは限られた数の動物種由来のプリオンタンパク質に特異的である抗プリオン抗体もあるし、多くの動物種由来のプリオンタンパク質を結合する能力があるものもある。分析される試料、および試験の目的に基づいて適切な抗プリオン抗体を選択することは明らかであると考えられる。
一実施形態では、病原性プリオン特異的試薬は、固体支持体、好ましくは磁気ビーズ、より好ましくは、ポリスチレン/酸化鉄ビーズ上で供給される。
ペプチドまたはペプトイド試薬を固体支持体上に付着させる方法は、当技術分野で常用され、本明細書の別の箇所で記載されており、タンパク質およびペプチドを様々な固体表面に付着させる周知の方法を含む。
典型的には、方法は、マイクロタイタープレートのウェル中、または小容量プラスチックチューブ中で行われるが、いかなる便利な容器でも適している。試料は、一般的に、液体試料または懸濁液であり、反応容器へ病原性プリオン特異的試薬の前に加えても後に加えてもよい。上で述べられているように、いったん第1の複合体が確立されたならば、非特異的に結合したPrPを、結合していないいかなる試料材料も(すなわち、結合していないいかなる病原性プリオンタンパク質も含めた、病原性プリオン特異的試薬に結合しなかった試料のいかなる成分も)共に除去する。
上記のように、結合していない試料材料を除去し、非特異的に結合したいかなるPrPも除去し、かつ任意選択的にいかなる洗浄でもした後に、結合した病原性プリオンタンパク質を第1の複合体から解離させる。この解離は、いくつかの方法で達成することができる。一実施形態では、カオトロピック剤、好ましくはグアニジウム化合物、例えば、チオシアン酸グアニジウムまたはグアニジウム塩酸を、3M〜6Mの間の濃度まで加える。これらの濃度でのカオトロピック剤の添加は、病原性プリオンタンパク質を試薬から解離させ、かつまた、病原性プリオンタンパク質を変性させる。
別の実施形態では、解離は、pHを12以上(「高pH」)へ上昇させるか、またはpHを2以下(「低pH」)へ低下させるかのいずれかにより、達成される。pH解離/変性技術の詳細は、PCT/US2006/001437および米国特許出願第11/518,091号に記載されている。第1の複合体の高pHかまたは低pHのいずれかへの曝露は、病原性プリオンタンパク質の試薬からの解離を生じ、病原性プリオンタンパク質を変性させる。この実施形態では、第1の複合体の高pHへの曝露が好ましい。12.0〜13.0の間のpHが一般的に十分である;好ましくは、12.5〜13.0の間のpHが用いられる;より好ましくは12.7〜12.9のpH;最も好ましくは、12.9のpHが用いられる。または、第1の複合体の低pHへの曝露を、病原性プリオンタンパク質を試薬から解離させ、かつ変性させるのに用いることができる。この代替法について、1.0〜2.0の間のpHが十分である。第1の複合体の高pHかまたは低pHのいずれかへの曝露は、短時間のみ、例えば、60分間、好ましくはたった15分間、より好ましくはたった10分間、行われる。これより長い曝露は、病原性プリオンタンパク質の構造の有意な劣化を生じ得、検出段階に用いられる抗プリオン抗体により認識されるエピトープが破壊される。病原性プリオンタンパク質を解離させるのに十分な時間での曝露後、pHは、酸性試薬(高pH解離条件が用いられた場合)かまたは塩基性試薬(低pH解離条件が用いられた場合)のいずれかの添加によって容易に中性(すなわち、約7.0〜7.5の間のpH)へ再調整することができる。当業者は、適切なプロトコールを容易に決定することができ、例は本明細書に記載されている。
一般的に、高pH解離条件をもたらすために、NaOHの約0.05N〜約0.2Nの濃度までの添加が十分である。好ましくは、NaOHを、0.05N〜0.15Nの間の濃度まで添加する;より好ましくは、0.1N NaOHが用いられる。いったん病原性プリオンの病原性プリオン特異的試薬からの解離が達成されたならば、pHを、適切な量の酸性溶液、例えば、リン酸、リン酸二水素ナトリウムの添加により中性(すなわち、約7.0〜7.5の間)へ再調整することができる。
一般的に、低pH解離条件をもたらすために、HPOの約0.2M〜約0.7Mの濃度までの添加が十分である。好ましくは、HPOを、0.3M〜0.6Mの間の濃度まで添加する;より好ましくは、0.5M HPOが用いられる。いったん病原性プリオンの試薬からの解離が達成されたならば、pHを、適切な量の塩基性溶液、例えば、NaOHまたはKOHの添加により中性(すなわち、約7.0〜7.5の間)へ再調整することができる。
その後、解離した病原性プリオンタンパク質を、病原性プリオン特異的試薬を含む固体支持体から分離する。この分離は、結合していない材料(その時点では、解離した病原性プリオンタンパク質)を含む部分が保持されて、かつ固体支持体材料部分が捨てられる点を除き、上記の結合していない試料材料の除去と類似した様式で達成することができる。
解離した病原性プリオンタンパク質は、抗プリオン抗体を用いて検出することができる。いくつかの抗プリオン抗体が記載され、多くは市販されており、例えば、Fab D18(Peretzら、(2001年)Nature、412巻、739〜743頁)、3F4(Sigma Chemical St Louis MOから入手可能;また、米国特許第4,806,627号参照)、SAF−32(Cayman Chemical、Ann Arbor MI)、6H4(Prionic AG、Switzerland;また、米国特許第6,765,088号参照)、POM1〜19(Polymenidouら、The Lancet、2005年、4巻、805頁)、ならびに上記および当技術分野において周知の他のものがある。解離した病原性プリオンタンパク質を、好ましくは、より十分に下に記載されている、直接ELISAかまたは抗体サンドイッチELISA型アッセイのいずれかとして、ELISA型アッセイで検出する。用語「ELISA」は、抗プリオン抗体での検出を記載するために用いられるが、そのアッセイは、抗体が「酵素結合型」であるものに限定されない。検出抗体は、本明細書に記載された、およびイムノアッセイ分野においてよく知られた検出可能な標識のいずれかで標識することができる。
方法の好ましい実施形態では、解離した病原性プリオンタンパク質を、抗体サンドイッチ型ELISAを用いて検出する。この実施形態では、解離したプリオンタンパク質を、第1の抗プリオン抗体を含む第2の固体支持体上に「再捕捉」する。再捕捉されたプリオンタンパク質を有する第2固体支持体を、任意選択で、洗浄して、結合していないいかなる材料も除去し、その後、第2抗プリオン抗体と、第2抗プリオン抗体が再捕捉されたプリオンタンパク質に結合するのを可能にする条件下で、接触させる。
この実施形態では、第1の固体支持体は、好ましくは、磁気ビーズである;第2固体支持体は、好ましくは、マイクロタイタープレートまたは磁気ビーズである;第1および第2の抗プリオン抗体は、好ましくは、異なる抗体である;第1および第2の抗体は、好ましくは、変性プリオンタンパク質に結合する;好ましくは、第1または第2の抗プリオン抗体の少なくとも1つは、プリオンタンパク質のオクタリピート領域におけるエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、第2抗プリオン抗体は、検出可能に標識されている;さらなる実施形態では、第2抗プリオン抗体は酵素標識されている。
本明細書における上記の病原性プリオンの検出方法のいずれも、任意の試料においてプリオン関連疾患を診断するための方法に用いることができる。
本明細書に記載された方法に用いるのに、試料は、病原性プリオンタンパク質を含むことが知られている、またはそれを含有する疑いのある任意のものであることができる。試料は、生体試料(すなわち、生きている、または死後の生物体から調製された試料)または非生体試料であることができる。適した生体試料には、それだけに限らないが、器官、全血、血液画分、血液成分、血漿、血小板、血清、脳脊髄液(CSF)、脳組織、神経系組織、筋肉組織、骨髄、尿、涙、非神経系組織、器官、および/または生検もしくは剖検材料が挙げられる。好ましい生体試料としては、全血、血液製剤、血漿、血小板、および赤血球が挙げられる。
適切な対照もまた、本明細書に記載されたアッセイに用いることができる。例えば、PrPの陰性対照をアッセイに用いることができる。PrPSc(またはPrPres)の陽性対照もまたアッセイに用いることができる。そのような対照は、任意選択で、検出可能に標識することができる。
キット
病原性プリオン特異的試薬、部位特異的プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、変性剤、抗プリオン抗体などを含めた上記のアッセイ試薬は、上記のように検出アッセイを行うために、適切な使用説明書および他の必要な試薬と共にキットにして提供することができる。病原性プリオン特異的試薬を固体支持体上で用いる場合、キットは、追加として、または代わりとして、1つまたは複数の固体支持体上のそのような試薬を含んでもよい。キットはさらに、上記のように、適切な陽性および陰性対照を含んでもよい。キットはまた、用いられる特定の検出アッセイに依存して、適切な標識ならびに他のパックされた試薬および材料(すなわち、洗浄緩衝液など)も含むことができる。
以下は、本開示を実施するための特定の実施形態の実施例である。これらの実施例は、単なる例示目的であり、本開示の範囲を一切限定するものではない。
使用する数字(例えば、量や温度など)には正確を期したが、当然、ある程度の実験の誤差や偏差は許容されるべきものである。
(実施例1)
PrPを含むヒト血漿試料のプロテアーゼ処理
トリプシンが、PrPを十分に消化して我々のELISAでPrPが検出されなくなるか否かを調べるために、10ng/mL PrPを含むヒト血漿(10μL)を、表1に示すように様々な濃度(逓増)のトリプシンで処理した。1〜2mM フェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)(プロテアーゼインヒビター)を添加して、トリプシン消化を停止させ、捕捉抗体として3F4(Signet社から入手)を用い、かつ光検出用の化学発光基質を用いるアルカリホスファターゼ(AP)に結合したPOM2抗体(上記のPolymenidouらを参照)で検出するサンドイッチELISAによってPrPの存在について試料を検査した。測定単位は、相対発光量(RLU)とした。予想通り、トリプシンがPrPを消化し、PrPを検出できなかった。予想通り、トリプシンがPrPを消化し、PrPを検出できなかった。トリプシン濃度が400μg/mL以上で、PrPのシグナルがバックグラウンドレベルに低下し、PrPが完全に消化されたことを示唆している。
Figure 2010523978
(実施例2)
PrPおよびPrPScを含むヒト血漿試料のプロテアーゼ処理
次の一連の実験の目的は、WO2007/030804に記載されているようにPSRで被覆された磁気ビーズを用いるPrPSCのプルダウンアッセイにおいてPrP汚染を除去するトリプシンの効果を調べることであった。磁気ビーズは、ペプトイド試薬で被覆し、10nL/mL 10%vCJD脳ホモジネートを添加した、または添加していない様々な血漿調製物と共にインキュベートした。10%vCJD脳ホモジネートを、最終濃度10nL/mLの様々な正常(すなわち、非vCJD)ヒト血漿200μLに添加した。この実験では、2群の血漿を試験した。第1の群(N91835およびプール7〜11)は、バックグラウンドが低く(0.8〜2.9相対発光量(RLU))、PrPのレベルが低いことを示しており、第2の群は、PrPのレベルが高く、バックグラウンドシグナル(15〜114RLU)が著しく高い。これらのバックグラウンドシグナルは、以前の実験で決定されており、磁気ビーズに非特異的に付着したPrPのレベルを反映している。10nL/mL 10%vCJD脳ホモジネートを添加すると、PrPに加えてPrPSCも検出されるため、RLUが増大した。37℃で1時間混合してから、磁気ビーズを磁石で収集して洗浄した。磁気ビーズを、37℃で1時間、50μg/mL トリプシンで処理し、1mM PMSFを室温で10分かけて添加して、タンパク分解を停止させた。磁気ビーズを再度洗浄してから、複合体中のPrPSCを、PCT/US06/001437およびWO2007/030804に開示されているようにNaOHで変性させた。PrPのレベルを、実施例1に記載したようにELISAで測定した。この結果を表2に示す。
分析感度を決定するために、正常血漿に添加したvCJDの比率(シグナル/カットオフ(S/CO))を算出した。99.7%の統計的信頼性を得るために、カットオフを、正常血漿の平均値に標準偏差の3倍を加えた値とし、1.00を超える比率を陽性とみなした。例えば、血漿N91835の場合、カットオフが、2.1+3×0.3=3と算出され、平均vCJD添加物が10.9RLUであったため、試料は、3.8のS/COで検出可能とみなした。PrP汚染のレベルが高い試料のS/COは、0.8〜1.4であり、境界検出を示唆しているが、バックグラウンドの低い試料のS/COは、2.2〜8.3とかなり高い。ビーズを、37℃で1時間、50μg/mL トリプシンで処理すると、PrPSCシグナルが維持されたまま、汚染負荷がバックグラウンドレベルまで低下した。結果として、S/COシグナルが2.3〜5と数倍に増大した。また、平均して1RLUの低いとみなされる試料の場合、バックグラウンド測定値が低下すると、S/CO比率が増大することを確認した。したがって、トリプシンでの処理により、非添加血漿のバックグラウンドが、21.3±31.6から1.3±0.6RLU(平均±SD)に低下した。
この一連の実験により、トリプシンが、磁気ビーズに付着したPSRに結合したPrPScのレベルに影響を与えずに、磁気ビーズを汚染しているPrP分子を効果的に消化できることが実証された。この処理は、すべての試料のPrP汚染を、1〜3RLUの一様に低いバックグラウンドレベルに低下させ、結果として検出信頼性を高める。
Figure 2010523978
(実施例3)
PrPおよびPrPSCを含むヒト脳ホモジネートのプロテアーゼ処理
トリプシン消化がPrPSCからの信号を著しく低減するか否かを確認するために、様々なCJD試料に対するトリプシンの影響を検査した。3人の散発性CJD患者からの脳ホモジネート(赤色、緑色、および黄色に標識)、2人のvCJD患者からの脳ホモジネート(白色および青色)、および正常コントロールを、英国の国立生物学的製剤研究所(NIBSC)から入手した。この6種の脳ホモジネートを、最終濃度10nL/mLで正常ヒト血漿(NHP プール11、すなわちPrPのバックグラウンドレベルが低いことを既に示した血漿)200μLに添加し、WO2007/030804に開示されているようにペプトイド試薬で被覆した磁気ビーズを添加した。37℃で1時間混合してから、磁気ビーズを洗浄し、37℃で1時間、トリプシン(50μg/mL)と共にインキュベートした。1mM PMSFを室温で10分かけて添加して、トリプシン消化を停止させた。磁気ビーズを再度洗浄してから変性させ、実施例1および2に記載したように捕捉用の3F4と検出用のPOM2を用いるサンドイッチELISAで検出を行った。
図1に示すように、PrPSCは、すべてのCJDホモジネートで検出され、トリプシン処理後も検出に変化が見られなかったため、ヒトPrPScが、一般にトリプシン消化に対して耐性であることを示唆している。
(実施例4)
PrPおよびPrPScを含むヒツジ血漿試料のプロテアーゼ処理
ヒツジPrP(図3および図4に示している配列番号:5)中のPrPSCの検出に対するプロテアーゼ処理による消化の影響を検査した。
血漿試料を、様々な濃度(逓増)のS−V8、トリプシン、またはプロテイナーゼK(PK)で処理した。血漿試料には、(1)PrPのレベルが低い正常(すなわち、スクレイピーに感染していない)ヒツジからの血漿(INR#1、5RLU)、(2)PrPのレベルが高い正常ヒツジ血漿(224L、30RLU)、(3)スクレイピーに感染しているヒツジからの脳ホモジネートで添加した血漿(BH、45RLU)を用いた。実施例2に記載したように血漿試料を処理した。簡単に述べると、病因プリオン特異的ペプトイド(PSR1)で被覆した磁気ビーズを、異なる試料(INR#1、224L、またはBH)に添加した。37℃で1時間混合してから、磁気ビーズを洗浄し、37℃で1時間、3種類のプロテアーゼ(トリプシン、SV−8、またはPK)のうちの1つと共にインキュベートした。すべての試料にPMSFを室温で10分かけて1mMになるまで添加して、プロテアーゼ消化を停止させた。磁気ビーズを再度洗浄してから変性させ、捕捉用のPOM19と検出用のPOM2を用いるサンドイッチELISAで検出を行った。POM19は、ヒツジプリオン配列のカルボキシ末端のエピトープを認識する。
表3に示すように、INR#1を3種類のプロテアーゼで処理しても、未処理の試料に比べて測定値が低下しなかった。しかし、224Lをトリプシンで処理すると、測定値が30RLUからバックグラウンドレベルの4.7RLUに低下したが、ヒツジ脳PrPScで添加した血漿を100μg/mL トリプシンで消化してもシグナルが低下しなかった。PK消化は、0.1μg/mLの濃度では、PrPと50%低減されたスクレイピーシグナルにより、バックグラウンドの低減に効果的ではなかった。
Figure 2010523978
(実施例5)
PrPを除去するPK処理
近年の研究報告は、プロテイナーゼKでの緩やかな処理により、PrPScのすべてまたは一部のオクタリピートエピトープを維持したまま、PrPを効果的に除去することができ、これにより検出が向上することを示唆している(米国特許第7,097,997号を参照)。部位特異的プロテアーゼの使用とPK処理の効果を比較するために、以下の実験を行った。
PSR被覆磁気ビーズを、高レベルのPrPを含む様々な血漿調製物と共にインキュベートした。10%vCJD脳ホモジネートを、最終濃度40nL/mLで低バックグラウンド血漿試料に添加した。ペプトイド(PSR1)で被覆した磁気ビーズを各試料に添加した。37℃で1時間混合してから、磁気ビーズを洗浄し、37℃で1時間、PK(0、1μg/mL、および2μg/mL)と共にインキュベートした。2mM PMSFを室温で10分かけて添加して、消化を停止させた。磁気ビーズを再度洗浄し、次いで実施例2に記載されているように変性させ、捕捉抗体用の3F4と検出用のアルカリリン酸塩(AP)に結合したPOM2抗体を用いるサンドイッチELISAによって検出を行った。
高PrP血漿のPrPのバックグラウンドレベルは、4〜35RLU(6〜26行目)であるが、低PrP血漿のPrPのバックグラウンドレベルは、わずか1.2RLU(1行目)である。低PrP血漿を40nL/mL 10%vCJD脳ホモジネートで添加すると、このvCJD脳ホモジネート中にPrPScが存在するため、RLUが1.2(1行目)から9(2行目)に増大した。高PrP血漿のバックグラウンドシグナルを、低PrP血漿で認められるバックグラウンドシグナルに低下させようと、ビーズを、37℃で1時間、低濃度のPK(1μg/mLおよび2μg/mL)で処理した。
分析感度を決定するために、バックグラウンドに対するシグナルの比率を算出した(S/CO)。99.7%の統計的信頼性を得るために、カットオフを、正常血漿の平均値に標準偏差の3倍を加えた値とし(1行目)、1.00を超える比率を陽性とみなした。カットオフが、1.2+3×0.8=3.6と算出され、平均vCJD添加物が9.3RLUであったため、試料は、2.6のS/COで検出可能とみなした。汚染レベルが高い試料のS/COは、1〜10であり、偽陽性検出を示唆している。磁気ビーズを、37℃で1時間、1μg/mL PKで処理しても、vCJDの検出には影響が及ばず、高いバックグラウンドレベルも低下しなかった。2μg/mL PKでの処理では、大多数の試料(8、11、14、17、23、および26行目)のバックグラウンドシグナルのレベルが低下せず、S/CO値が同一か1よりも大きい値に維持された。加えて、この低濃度のPK処理でも、真陽性シグナルの検出(2〜4行目のvCJD試料)が9RLUから6RLU、S/COが2.8から1.8に低下し、検出が35%減となった。
Figure 2010523978
次の一連の実験では、PKの濃度を4μg/mLおよび8μg/mLに高めた(表5)。PK濃度を4μg/mLに高めると、高PrP血漿からのシグナルのレベルが、1.7〜3RLUのバックグラウンドレベルに十分に低下した。これらの実験は、PK濃度を4μg/mlまたは8μg/mlにした点を除き、上記の通り行った。
Figure 2010523978
濃度4μg/mLのPKでのPSRビーズの処理が、PrP汚染のレベルを低下させるのに有効であることを確認するために、この処理を、PSRビーズに付着したvCJD PrPSCに対して実施した(表6)。この実験では、様々な量(逓増)の10%vCJD脳ホモジネート(BH)を血漿に添加し、PSR被覆ビーズと混合した。これらのビーズを、PKを用いてまたは用いずに処理し、タンパク質を実施例2および3に記載したようにNaOHを用いて変性させ、実施例2および3に記載したようにサンドイッチELISAでPrPを検出した。予想通り、vCJD BHの濃度が増大すると、0μg/mL PKで検出シグナルが高くなった(1〜5行目)。4μg/mL PKでPSRビーズを処理すると、RLUが1/2〜1/4に低下し、バックグラウンドに対するシグナル(S/CO)も同様に低下し、PrPSCの検出感度が著しく低下することを示唆している。
Figure 2010523978
次の一連の実験では、vCJDのPrPSCの検出に対するPKの影響を、2種類の異なる検出抗体、すなわちPOM2(オクタリピート領域エピトープ)およびPOM17(エピトープは、プロテアーゼ耐性断片90〜231位残基内に存在する)を用いて調べた(Polymenidouら、Lancet、第4巻、804〜814頁、2005年)。表7は、この実験の結果を示している。上記の実験から分かるように、POM2を検出に用いた場合、4μg/mL PKでの処理により、感度が約1/4に低下し、PK濃度をさらに高めると、感度がさらに低下した。同様のPK濃度で、POM17を検出に用いた場合は、90〜231領域がPKに対して比較的耐性を有するため、感度の低下が小さかった。これらの結果は、PrPSCのプロテアーゼ耐性特性についての既知の事実および予想と一致しており、PrPScの90〜231位残基が穏やかなプロテアーゼ消化に対して耐性があるため、この領域内のエピトープを認識する抗体で検出することができ、一方、N末端の23〜90位残基がPKに対して感受性であるため、オクタリピート領域に結合する抗体は、結合部位を失ってしまう。この実験はまた、様々な濃度(逓増)のPKで処理すると、90〜231位残基も分解されるため、たとえPOM17を検出に用いた場合でも、RLUレベルが約16から10に低下することを実証した。
(実施例6)
ヒツジPrPSCの検出におけるトリプシン濃度の影響
ELISAプレート(Microlite 2+)を、4℃で一晩、0.1M NaHPO.HOに溶解したPOM19(3.3μg/mL、pH6)150μLで被覆し、37℃で1時間、TBSTに溶解した0.02%カゼインでブロックした。
正常ヒツジ血漿を250nL/mL 10%スクレイピー脳ホモジネートを用いてまたは用いずに添加した。Greinerプレートの各ウェルで、血漿試料70μLおよび3.3×TBSTT(TBS、1%Tween20、および1%TritonX−100)30μLを、37℃で2時間、750rpmで振盪しながら、PSRビーズ(30mg PSR/mL)3μLと共にインキュベートした。PSRビーズをTBST(TBSおよび0.05%Tween20)で4回洗浄した。次いで、トリプシンの濃度が異なるTBST 100μLを各ウェルに添加した。プレートを、37℃で30分間、750rpmで振盪しながらインキュベートした。PMSF(最終濃度1mM)を添加し、室温で10分間、750rpmで振盪しながらインキュベートした。ビーズを上記のように再度洗浄してから、室温の0.1N NaOH 75μLを各ウェルに添加し、10分間、750rpmで振盪した。室温の0.3N NaHPO 30μLを添加し、5分間、750rpmで振盪して、この反応を中和した。POM19被覆ELISAプレートの各ウェルに対して、ビーズから溶出した試料150μLを添加し、37℃で1時間、300rpmで振盪しながらインキュベートした。
0.001×カゼイン−TBSTに溶解したPOM2−AP(0.01μg/mL)を検出抗体として用い、37℃で1時間インキュベートした。基質(Lumi−Phos Plusおよびエンハンサー)を37℃で30分間インキュベートし、Luminoskan Ascentによって検出した。この結果を表8に示す。この実施例は、100μg/mLもの高濃度のトリプシンであっても、PrPScの検出シグナルを低下させないことを実証した。
Figure 2010523978
Figure 2010523978
好適な実施形態をかなり詳細に説明したが、本明細書に明示した開示の精神および範囲から逸脱することなく、自明の変更形態が可能であることを理解されたい。

Claims (15)

  1. 病原性プリオンおよび非病原性プリオンを含有する疑いのある試料中の病原性プリオンの存在を検出するための方法であって、該方法は、
    (a)存在する場合には病原性プリオン特異的試薬と該病原性プリオンとの結合を可能にする条件下で、該試料を該試薬と接触させて、第1の複合体を形成する工程、
    (b)該非病原性プリオンが部位特異的プロテアーゼによって実質的に消化される条件下で、該第1の複合体を該プロテアーゼと接触させる工程、
    (c)プロテアーゼ阻害剤を添加して、該部位特異的プロテアーゼによるさらなる切断を妨害する工程、
    (d)該第1の複合体を、任意の未結合の試料および切断された非病原性プリオンから分離する工程、
    (e)該病原性プリオンを該第1の複合体から解離させることにより、解離した病原性プリオンを得る工程、
    (f)該病原性プリオンと第1の抗プリオン抗体との結合を可能にする条件下で、該解離した病原性プリオンを該第1の抗プリオン抗体と接触させて第2の複合体を形成する工程、および
    (g)該第2の複合体を、任意選択で標識された第2の抗プリオン抗体と接触させることにより、該第2の複合体の形成を検出する工程
    を含み、
    該第1の抗プリオン抗体は、該プリオンタンパク質中の第1のエピトープを認識し、該第2の抗プリオン抗体は、該プリオンタンパク質中の第2のエピトープを認識し、該第1のエピトープと該第2のエピトープは、同一ではなく、該部位特異的プロテアーゼの少なくとも1つの切断部位によって分離され、該部位特異的プロテアーゼに対する該少なくとも1つの切断部位は、該プリオンタンパク質のプロテイナーゼK耐性コア領域に位置する、方法。
  2. 前記部位特異的プロテアーゼがトリプシンまたはSV8を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記病原性プリオン特異的試薬が固体支持体に結合される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記固体支持体が磁気ビーズである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の抗プリオン抗体が固体支持体に結合される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記第1の抗プリオン抗体がマイクロタイタープレートに結合される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記解離する工程が、前記第1の複合体を高pHまたは低pHに曝露することによって実施される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記解離する工程の後に前記高pHまたは前記低pHを中和する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記解離した病原性プリオンがさらに変性される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記第1の抗体または前記第2の抗体が前記プリオンタンパク質のオクタリピート領域のエピトープを認識する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記オクタリピート領域のエピトープを認識する抗体がPOM2およびSAF−32からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第1および第2の抗体の一方が前記プリオンタンパク質のオクタリピート領域のエピトープを認識し、他方の抗体が該プリオンタンパク質のプロテイナーゼ耐性コア領域のエピトープを認識する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記プロテイナーゼK耐性コア領域のエピトープを認識する抗体が、3F4、POM17およびPOM19からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記プロテアーゼ阻害剤がフッ化フェニルメチルスルホニルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 非病原性プリオンタンパク質も含む試料中の病原性プリオンタンパク質を検出するための方法において、該非病原性プリオンタンパク質が実質的に消化される条件下で該試料を部位特異的プロテアーゼで処理する工程を含む改良方法。
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